(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168553
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】端子挿入ユニット及び端子挿入方法
(51)【国際特許分類】
H01R 43/20 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H01R43/20 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085337
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信吾
(72)【発明者】
【氏名】園原 行貴
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063HA01
5E063HB14
5E063HB19
5E063XA01
5E063XA02
5E063XA09
5E063XA20
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を抑えつつ、端子付き電線の端部端子をコネクタハウジングのキャビティにスムーズに挿入する。
【解決手段】端子挿入ユニット1が、ハウジングパレット11と、第1運搬部16と、第1運搬部16から端子付き電線W1を受け取り、その傾きを検知して補正する傾き補正部17と、傾き補正後の端子付き電線W1を運ぶ第2運搬部18と、第2運搬部18から端子付き電線W1を受け取り、端部端子W11の先端位置及び挿入対象のキャビティの位置の相互間の位置ズレを検知して補正しつつ位置ズレ補正後の端部端子W11を挿入対象のキャビティに挿入する端子挿入部13と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、
前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、
を備えたことを特徴とする端子挿入ユニット。
【請求項2】
前記傾き補正部が、
前記第1運搬部から受け取った前記端子付き電線を把持する第1電線チャックと、
前記第1電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から撮影する第1撮影部と、
前記第1撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像に基づいて前記傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する補正制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項3】
前記端子挿入部が、
前記第2運搬部から受け取った前記端子付き電線を把持する第2電線チャックと、
前記第2電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から撮影する第2撮影部と、
挿入対象の前記キャビティにおける端子挿入口を撮影する第3撮影部と、
前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像、及び、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像、に基づいて前記位置ズレを検知するとともに、前記第2電線チャックを検知結果に応じて前記端子挿入口に向かって上下左右に動かすことで前記端部端子を動かして前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する挿入制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項4】
前記挿入制御部は、前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像から、予め登録されている登録端子位置と画像中の前記端部端子の先端位置との差異である端子側位置ズレを検知し、更に、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像から、予め登録されている登録挿入位置と画像中の前記端子挿入口との差異であるキャビティ側位置ズレを検知し、前記端子側位置ズレと前記キャビティ側位置ズレとの合計を前記位置ズレとして検知することを特徴とする請求項3に記載の端子挿入ユニット。
【請求項5】
前記第2電線チャックが、前記端子付き電線の電線部分における前記端部端子側を把持する前チャックと、前記端部端子の挿入方向について前記前チャックよりも後側を把持する後チャックと、を有しており、
前記挿入制御部は、位置ズレ補正後の前記端部端子の先端が前記端子挿入口に挿入されるまで前記第2電線チャックを動かした後に、前記前チャックの把持を一旦解除して前記後チャック側に所定距離だけ後退させて再度把持させ、前記第2電線チャックを再び前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入することを特徴とする請求項3に記載の端子挿入ユニット。
【請求項6】
前記挿入制御部は、前記第2電線チャックを再び前記端子挿入口へと動かす際には、前記端子付き電線の前記電線部分の、前記端子挿入口に対する位置合わせも行いつつ前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことを特徴とする請求項5に記載の端子挿入ユニット。
【請求項7】
前記端子付き電線は、前記端部端子が両端に設けられたものであり、
前記ハウジングパレットに前記ハウジングホルダが2つ以上取り付けられており、
前記第1運搬部は、前記端子付き電線の両端を把持して前記第1検査位置まで運び、
前記傾き補正部は、前記端子付き電線の両端の前記端部端子それぞれについて前記傾きを補正し、
前記第2運搬部は、傾き補正後の前記端子付き電線の両端を把持して前記第2検査位置まで運び、
前記端子挿入部は、前記端子付き電線の両端の前記端部端子のそれぞれについて、各前記端部端子に対応した前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティとの位置ズレを補正しつつ端子挿入を行うことを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項8】
前記ハウジングパレットには、前記コネクタハウジングの前記キャビティに挿入されない非挿入端子を有する非挿入の端子付き電線を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダが前記ハウジングホルダの隣に設けられており、
前記端子挿入部は、前記非挿入の端子付き電線を受け取ると、当該非挿入の端子付き電線については、前記非挿入端子に対する前記位置ズレの検知及び補正を省略し、前記非挿入の端子付き電線を前記電線仮置きホルダまで運んで保持させることを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項9】
前記電線仮置きホルダが、隣接配置された一対の板バネ部材で前記非挿入の端子付き電線における電線部分を挟持する電線挟持部が1つ以上設けられたものであり、
前記端子挿入部は、前記非挿入の端子付き電線の電線部分における前記非挿入端子の近傍箇所を前記電線挟持部に挟持させるように前記非挿入の端子付き電線を運ぶことを特徴とする請求項8に記載の端子挿入ユニット。
【請求項10】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、
前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、
を備えたことを特徴とする端子挿入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コネクタハウジングのキャビティに端子付き電線の端部端子を挿入する端子挿入ユニット及び端子挿入方法に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、端部にコネクタが設けられたワイヤーハーネスの製造等に、コネクタハウジングのキャビティに端子付き電線の端部端子を挿入する端子挿入ユニットが利用されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の端子挿入ユニットは、端子付き電線を把持し、保持状態のコネクタハウジングに向かって移動させることで、キャビティに端子付き電線の端部端子を自動挿入する装置となっている。この端子挿入ユニットでは、端部端子の挿入中、コネクタハウジングを上下左右に動かすことで端部端子がキャビティの内面に干渉せずスムーズに挿入されるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、端部端子が軸回りで傾いた状態で挿入されるとコネクタハウジングの移動だけではキャビティへのスムーズな挿入が困難となる場合があり、上述の端子挿入ユニットでは、端子挿入の前段階で厳密な位置管理が求められる。そして、このような厳密な位置管理を作業者に負わせることは、作業者にとって大きな負担となる。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、作業者の負担を抑えつつ、端子付き電線の端部端子をコネクタハウジングのキャビティにスムーズに挿入することができる端子挿入ユニット及び端子挿入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、端子挿入ユニットは、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、端子挿入方法は、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記の端子挿入ユニット及び端子挿入方法によれば、作業者の負担を抑えつつ、端子付き電線の端部端子をコネクタハウジングのキャビティにスムーズに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る端子挿入ユニットを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されている端子挿入ユニットを示す模式的なブロック図である。
【
図3】
図1及び
図2に示されているハウジングパレット、パレット保持フレーム、及びパレット駆動部を、
図1に示されている斜視図から他の要素を取り去った状態で示す図である。
【
図4】
図3に示されている3つのハウジングパレットのうちの1つを拡大して示す拡大斜視図である。
【
図5】
図1及び
図2に示されている第1運搬部を、電線保持具に保持された端子付き電線とともに示す図である。
【
図6】
図5に示されている第1運搬部を、端子付き電線の運搬先である傾き補正部とともに示す図である。
【
図7】
図1及び
図2に示されている傾き補正部を、補正対象の端子付き電線とともに示す図である。
【
図8】
図7に示されている傾き補正部を示す模式的な側面ブロック図である。
【
図9】
図7及び
図8に示されている傾き補正部で行われる傾き補正について説明するための説明図である。
【
図10】
図1及び
図2に示されている第2運搬部を、運搬元である傾き補正部とともに示す図である。
【
図11】
図10に示されている第2運搬部を、端子付き電線の運搬先である端子挿入部の一部とともに示す図である。
【
図12】
図1及び
図2に示されている端子挿入部を、端部端子の先端位置の検知機能に注目して示す図である。
【
図13】
図12に示されている端子挿入部を、挿入対象のキャビティの位置の検知機能に注目して示す図である。
【
図15】
図12~
図14に示されている挿入制御部の挿入制御部で、端部端子について検知される端子側位置ズレを示す模式図である
【
図16】
図12~
図14に示されている挿入制御部の挿入制御部で、挿入対象のキャビティについて検知されるキャビティ側位置ズレを示す模式図である。
【
図17】
図12~
図14に示されている端子挿入部において、位置ズレ補正後の端部端子が挿入対象のキャビティに挿入される手順を示す模式図である。
【
図18】
図1~
図17に示されている端子挿入ユニット1で実行される端子挿入方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、端子挿入ユニット及び端子挿入方法の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る端子挿入ユニットを示す斜視図であり、
図2は、
図1に示されている端子挿入ユニットを示す模式的なブロック図である。
【0012】
本実施形態の端子挿入ユニット1は、一例として、車両等に搭載されて配策されるワイヤーハーネスの少なくとも一部を構成するコネクタ付き電線束2を製造するための作業ユニットである。この端子挿入ユニット1では、電線保持具191を介して供給される端子付き電線W1の端部端子W11が、ハウジングパレット11に保持されたコネクタハウジングC1に挿入される。本実施形態における端子付き電線W11は、1つのコネクタ付き電線束2の製造に必要な本数、電線保持具191に保持される。各端子付き電線W11は、1本の電線部分W12の両端に端部端子W11が接続されたもので、
図2に示されているようにU字状に曲げられた状態の両端部で電線保持具191に保持される。これら複数本の端子付き電線W11が1本ずつピックアップされて、両端それぞれの端部端子W11が、対応するコネクタハウジングC1に挿入される。端子挿入ユニット1は、このような端子挿入を、繰り返し行ってコネクタ付き電線束2を製造し、製造されたコネクタ付き電線束2が作業者Y1によって端子挿入ユニット1から取り出される。
【0013】
この端子挿入ユニット1は、ハウジングパレット11、パレット保持フレーム12、端子挿入部13、パレット駆動部14、ハウジング供給部15、第1運搬部16、傾き補正部17、第2運搬部18、及び保持具載置部19、を備えている。以下、各部位について、別図も参照しながら説明を行う。
【0014】
図3は、
図1及び
図2に示されているハウジングパレット、パレット保持フレーム、及びパレット駆動部を、
図1に示されている斜視図から他の要素を取り去った状態で示す図である。
図4は、
図3に示されている3つのハウジングパレットのうちの1つを拡大して示す拡大斜視図である。
【0015】
ハウジングパレット11は、複数のコネクタハウジングC1を着脱可能に保持する部材であって、パレット本体111と、複数のハウジングホルダ112と、1つの電線仮置きホルダ113と、を備えている。保持対象のコネクタハウジングC1は、端子付き電線W1の端部端子W11を挿入可能なキャビティC11が複数設けられた、矩形ブロック状の外観を有する樹脂ハウジングである。
【0016】
パレット本体111は、帯板棒状の部材であって、パレット保持フレーム12における後述のハウジング取り外し位置124で作業者Y1から見た左右方向D11に長手方向D12が沿って延在するように位置付けられる。
【0017】
ハウジングホルダ112は、コネクタハウジングC1を保持可能な部材である。このハウジングホルダ112は、コネクタハウジングC1を開閉方向D13に開閉可能な一対のアーム112aで抱え込むように保持する。ハウジングホルダ112は、パレット本体111の長手方向D12に一列に配列された状態で複数取り付けられている。また、各ハウジングホルダ112は、キャビティC11における端子挿入口C11aを露出させ、端子挿入方向D14をパレット本体111と交差させてコネクタハウジングC1を保持するようにパレット本体111に取り付けられている。
【0018】
そして、本実施形態では、互いにサイズが異なる複数種類のコネクタハウジングC1を保持可能となるように、各サイズに対応した複数種類のハウジングホルダ112がパレット本体111に取り付けられている。
図4の図示例では、2種類のコネクタハウジングC1を保持可能となるように、アーム形状等が異なる2種類のハウジングホルダ112が示されており、各種類のハウジングホルダ112が2つずつパレット本体111に取り付けられている。また、ハウジングホルダ112は、長手方向D12について取付け位置を変更可能にパレット本体111に取り付けられる。ハウジングホルダ112の取付けはネジ止めによって行われ、パレット本体111には取付け位置を変更できるように、複数のネジ穴111aが長手方向D12に一列に並べられて形成されている。複数のハウジングホルダ112は、完成したコネクタ付き電線束2におけるコネクタ配置等に基づいて予め決められた間隔や順番で配列されてパレット本体111に取り付けられることとなる。
【0019】
電線仮置きホルダ113は、コネクタハウジングC1のキャビティC11に挿入されない非挿入端子W21を有する非挿入の端子付き電線W2を1本以上一時的に保持する部材であり、パレット本体111におけるハウジングホルダ112の隣に取り付けられる。電線仮置きホルダ113の取付けは、ハウジングホルダ112と同様に、取付け位置が適宜に変更可能となるようにネジ止めによって行われる。この電線仮置きホルダ113には、隣接配置された一対のU字形板バネ部材113b-1で非挿入の端子付き電線W2における電線部分W22を挟持する電線挟持部113bが1つ以上設けられている。非挿入の端子付き電線W2は、各電線挟持部113bにおけるU字形板バネ部材113b-1の間に差し込まれて挟持される。
【0020】
本実施形態では、ここまでに説明した構成を有するハウジングパレット11が、
図1及び
図3に示されているように、パレット保持フレーム12に3つ保持されている。パレット保持フレーム12は、大地が下方側となるように所定の設置面の上に載置される矩形ブロック状の外観を有するフレーム部材であり、設置面に沿った矩形板状の天板部12aの上面の平面上に3つのハウジングパレット11を保持する。天板部12aの上面は、2×2の4つのエリアに区画されており、これら4つのエリアを3つのハウジングパレット11が循環移動するように、パレット保持フレーム12には、3つのハウジングパレット11が移動可能に保持されている。
【0021】
パレット保持フレーム12の天板部12aにおける上記の4つのエリアとは、ハウジング供給位置121、待機位置122、端子挿入位置123、及びハウジング取外し位置124である。ハウジングパレット11は、これら4つのエリアを繋ぐ循環ルートR11に沿った移動が可能な状態でパレット保持フレーム12に保持されている。循環ルートR11は、ハウジング供給位置121、待機位置122、端子挿入位置123、及びハウジング取外し位置124の順に移動し、またハウジング供給位置121へと戻るルートとなっている。
【0022】
ハウジング供給位置121は、コネクタハウジングC1が供給されてハウジングパレット11のハウジングホルダ112に保持されるエリアである。待機位置122は、ハウジング保持後のハウジングパレット11が一時的に待機するエリアである。端子挿入位置123は、コネクタハウジングC1のキャビティC11に端子付き電線W1の端部端子W11が挿入されるエリアである。そして、ハウジング取外し位置124は、端子挿入後のコネクタハウジングC1がハウジングホルダ112から取り外されるエリアである。1つのハウジングパレット11について、ハウジング供給位置121で供給される全てのコネクタハウジングC1への端子挿入が終了し、ハウジング取外し位置124へと移動すると、それら全てのコネクタハウジングC1の取外しが行われる。ここでの取外しにより、端子挿入ユニット1からコネクタ付き電線束2がアウトプットとして取り出される。本実施形態では、ハウジング取外し位置124でのコネクタハウジングC1の取外しは作業者Y1の手作業によって行われる。
【0023】
4つのエリアを繋ぐ循環ルートR11は、ハウジング取外し位置124での手作業を念頭に、パレット保持フレーム12の天板部12aの平面上の次のような環状ルートとなっている。まず、ハウジング取外し位置124は、作業者Y1に面したユニット手前側のエリアとなっている。ここでの取外しが容易に行えるように、ハウジングホルダ112にはコネクタハウジングC1が次のように保持される。即ち、コネクタハウジングC1は、端部端子W11が挿入されて端子付き電線W1が延出するリア側が、ハウジング取外し位置124で作業者Y1側を向くようにハウジングホルダ112に保持される。
【0024】
このハウジング取外し位置124の直前の通過エリアである端子挿入位置123は、ユニット手前側で、作業者Y1から見た左右方向D11についてハウジング取外し位置124に隣り合ったエリアとなっている。ハウジング取外し後に空のハウジングパレット11がハウジング取外し位置124から移動するハウジング供給位置121は、作業者Y11から見た奥行方向D15についてハウジング取外し位置124から奥側へと離れたユニット奥側のエリアとなっている。そして、端子挿入前にハウジングパレット11が待機する待機位置122が、ユニット奥側で左右方向D11についてハウジング供給位置121に隣り合うとともに、奥行方向D15について端子挿入位置123から奥側へと離れたエリアとなっている。
【0025】
図1及び
図2に示されている端子挿入部13は、循環ルートR11において端子挿入位置123に位置付けられたハウジングパレット11におけるコネクタハウジングC1のキャビティC11に端部端子W11を挿入する機構部位である。この端子挿入部13については、後で他の部位と併せて詳細に説明する。
【0026】
この循環ルートR11に沿い、途中で端子挿入部13による端子挿入を受けながらハウジングパレット11を移動させるべく、端子挿入ユニット1には、パレット駆動部14が設けられている。本実施形態では、3つのハウジングパレット11が、ハウジング供給位置121、待機位置122、端子挿入位置123、及びハウジング取外し位置124、のうちの一箇所を空けて循環ルートR11を移動するように設けられている。パレット駆動部14は、これら3つのハウジングパレット11を移動させる。このとき、パレット駆動部14は、3つのうちの一のハウジングパレット11についてハウジング供給位置121でハウジング供給を受けてから端子挿入位置123での端子挿入が終了するまでの間に、他の一のハウジングパレット11を次のように移動させる。即ち、このハウジングパレット11については、上記の期間中に、ハウジング供給位置121でハウジング供給を受けさせた後に待機位置122で待機させる。殆どの場合、ハウジング供給よりも端子挿入の方に時間を要することから、一のハウジングパレット11が端子挿入を受けている間、ハウジング供給済みの他のハウジングパレット11が待機位置122で待機することとなる。また、このときには、残りのハウジングパレット11について、端子挿入済みであればハウジング取外し位置124でコネクタハウジングC1の取外しが行われる。更に、このハウジングパレット11について、端子挿入が予定されている場合には、ハウジング供給位置121に送られてハウジング供給を受ける。そして、待機位置122が空くまでこのハウジングパレット11はハウジング供給位置121に留まることとなる。
【0027】
また、ハウジング供給位置121の近傍には、
図1及び
図2に示されているようにハウジング供給部15が設けられている。ハウジング供給部15は、コネクタハウジングC1をストックするとともに、ハウジング供給位置121に位置付けられたハウジングパレット11にコネクタハウジングC1を自動で供給してハウジングホルダ112に保持させる。ハウジング供給部15からハウジング供給を受けたハウジングパレット11が待機位置122を経て端子挿入位置123に送られて端子挿入部13による端子挿入を受けることとなる。
【0028】
この端子挿入部13には、保持具載置部19における電線保持具191から、途中で傾き補正部17による後述の傾き補正を受けつつ、第1運搬部16及び第2運搬部18によって端子付き電線W1が運搬される。
【0029】
図5は、
図1及び
図2に示されている第1運搬部を、電線保持具に保持された端子付き電線とともに示す図であり、
図6は、
図5に示されている第1運搬部を、端子付き電線の運搬先である傾き補正部とともに示す図である。
【0030】
第1運搬部16は、電線保持具191に保持された端子付き電線W1を把持して傾き補正部17における第1検査位置17aまで運ぶ。電線保持具191は、端子付き電線W1の両端それぞれにおける端部端子W11の近傍の電線部分W12を保持する竿状の部材である。この電線保持具191には、電線部分W12が差し込まれる保持スリット191aが竿長方向D16に一列に配列されて形成されている。各端子付き電線W1は、上述したようにU字状に曲げられた状態の両端部で電線保持具191に保持される。第1運搬部16は、この電線保持具191から端子付き電線W1を1本ずつ、U字状に曲げられた状態のまま、その両端を把持するようにピックアップする。第1運搬部16は、端子付き電線W1の両端部を把持する一対の把持機構161、各把持機構161を駆動する把持駆動機構162、及び、一対の把持機構161を第1検査位置17aまで移動させる移動機構163(
図1)を備えている。
【0031】
保持具載置部19には、電線保持具191が、端子挿入位置123でのハウジングパレット11の長手方向D12と竿長方向D16が略直交した姿勢で配置される。電線保持具191は、前工程で複数本の端子付き電線W1がセットされ、作業者Y1によって保持具載置部19まで運ばれて上記の直交姿勢で載置される。第1運搬部16では、一対の把持機構161が竿長方向D16に並ぶピックアップ姿勢で電線保持具191から1本の端子付き電線W1の両端部を把持した後、把持機構161が移動機構163によって90°、向きを変えられて第1検査位置17aまで動かされる。この第1検査位置17aにおいて端子付き電線W1が傾き補正部17に受け渡されて傾き補正が行われる。
【0032】
図7は、
図1及び
図2に示されている傾き補正部を、補正対象の端子付き電線とともに示す図であり、
図8は、
図7に示されている傾き補正部を示す模式的な側面ブロック図である。そして、
図9は、
図7及び
図8に示されている傾き補正部で行われる傾き補正について説明するための説明図である。
【0033】
傾き補正部17は、第1検査位置17aにて第1運搬部16から端子付き電線W1を受け取って傾き補正を行う部位である。ここでの傾き補正は、電線保持具191からピックアップされた端子付き電線W1の両端部における端部端子W11の軸W11a回りの姿勢を補正する処理である。傾き補正部17は、第1電線チャック171と、第1撮影部172と、補正制御部173と、を備えている。第1電線チャック171は、第1運搬部16から受け取った端子付き電線W1の両端部を把持する一対の把持機構である。傾き補正部17における第1検査位置17aとは、この第1電線チャック171で端子付き電線W1の両端部を把持する位置のことである。
【0034】
第1撮影部172は、第1電線チャック171が把持した端子付き電線W1の両端部それぞれの端部端子W11を、当該端部端子W11の先端側から撮影する部位である。第1撮影部172は、撮影時に各端部端子W11を照らす一対のライト172aと、照らされた各端部端子W11を撮影する一対のカメラ172bと、を備えている。補正制御部173は、第1撮影部172で撮影された各端部端子W11の先端画像に基づいて軸W11a回り傾き角度θ11を検知する。ここでの傾き角度θ11は、端部端子W11の水平軸W11bが水平面H11に対してなす角度となっている。補正制御部173は、傾き角度θ11を検知すると、その検知結果に応じ、傾き角度θ11をゼロにする軸W11a回りの傾き補正方向D17に各第1電線チャック171を傾けることで各端部端子W11を動かして傾きを補正する。傾き補正後の端子付き電線W1が第2運搬部18によって端子挿入部13における第2検査位置13aまで運ばれる。
【0035】
図10は、
図1及び
図2に示されている第2運搬部を、運搬元である傾き補正部とともに示す図であり、
図11は、
図10に示されている第2運搬部を、端子付き電線の運搬先である端子挿入部の一部とともに示す図である。
【0036】
第2運搬部18は、傾き補正部17から傾き補正後の端子付き電線W1を受け取り、端子挿入部13における第2検査位置13aまで運ぶ部位である。第2運搬部18は、端子付き電線W1を、傾き補正部17におけるU字状に曲げられた状態のまま、その両端を把持するようにピックアップする。第2運搬部18は、端子付き電線W1の両端部を把持する一対の把持機構181、各把持機構181を駆動する把持駆動機構182、及び、一対の把持機構181を第2検査位置13aまで移動させる移動機構183(
図1)を備えている。ここで、端子挿入部13は、第2運搬部18から受け取った端子付き電線W1を把持し、端子挿入位置123のハウジングパレット11上のコネクタハウジングC1のキャビティC11に端部端子W11を挿入する後述の第2電線チャック131を備えている。この第2電線チャック131は、端子挿入位置123においてハウジングパレット11の長手方向D12に移動可能に設けられている。そして、第2電線チャック131は、挿入先のコネクタハウジングC1のキャビティC11に応じた位置で端子付き電線W1を受け取る。第2運搬部18が端子挿入部13に端子付き電線W1を受け渡す第2検査位置13aは、挿入先のコネクタハウジングC1のキャビティC11に応じて第2電線チャック131が位置付けられた位置となる。
【0037】
第2検査位置13aで端子付き電線W1を受け取った端子挿入部13は、端部端子W11の先端位置、及び、コネクタハウジングC1における挿入対象のキャビティC11の位置、の相互間の位置ズレを検知する。そして、端子挿入部13は、コネクタハウジングC1及び端子付き電線W1のうちの少なくとも一方(本実施形態では端子付き電線W1)を動かすことで位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の端部端子W11を挿入対象のキャビティC11に挿入する。
【0038】
図12は、
図1及び
図2に示されている端子挿入部を、端部端子の先端位置の検知機能に注目して示す図であり、
図13は、
図12に示されている端子挿入部を、挿入対象のキャビティの位置の検知機能に注目して示す図である。また、
図14は、
図12及び
図13に示されている端子挿入部を示す模式的な側面ブロック図である。
【0039】
端子挿入部13は、第2電線チャック131と、第2撮影部132と、第3撮影部133と、挿入制御部134と、を備えている。第2電線チャック131は、上述のように挿入先のコネクタハウジングC1のキャビティC11に応じた第2検査位置13aまで移動して第2運搬部18から端子付き電線W1を受け取って端子挿入を行う部位である。この第2電線チャック131が、一対の把持機構131a、把持駆動機構131b、及び移動機構131c(
図1)を備えている。一対の把持機構131aは、端子付き電線W1の両端部を把持する一対の機構部位であり、把持駆動機構131bは各把持機構131aを駆動する機構部位である。そして、移動機構131c(
図1)は、一対の把持機構131bを第2検査位置13aまで移動させる機構部位となっている。
【0040】
第2撮影部132は、第2電線チャック131が把持した端子付き電線W1の両端部それぞれの端部端子W11を、当該端部端子W11の先端側から撮影する部位である。第2撮影部132は、撮影時に各端部端子W11を照らす一対のライト132aと、照らされた各端部端子W11を撮影する一対のカメラ132bと、移動機構132c(
図1)と、を備えている。移動機構132cは、一対のライト132a及び一対のカメラ132bを、第2検査位置13aまで移動する第2電線チャック131に対する対面位置まで移動させる機構部位となっている。
【0041】
第3撮影部133は、ハウジングパレット11上のコネクタハウジングC1において挿入対象となるキャビティC11の端子挿入口C11aを撮影する部位である。この第3撮影部133は、一対のカメラ133aと、各カメラ133aの移動機構133b(
図1)と、を備えている。一対のカメラ133aは、端子付き電線W1の両端部それぞれの端部端子W11の挿入対象となる一対のキャビティC11を撮影する。移動機構133bは、各カメラ133aを挿入対象のキャビティC11に対する対面位置まで移動させる。
【0042】
挿入制御部134は、第2撮影部132で撮影された端部端子W11の先端画像、及び、第3撮影部133で撮影された端子挿入口C11aの画像、に基づいて位置ズレを検知する。この位置ズレは、端部端子W11の先端位置、及び挿入対象のキャビティC11の位置、の相互間の位置ズレである。
【0043】
図15は、
図12~
図14に示されている挿入制御部の挿入制御部で、端部端子について検知される端子側位置ズレを示す模式図である。また、
図16は、
図12~
図14に示されている挿入制御部の挿入制御部で、挿入対象のキャビティについて検知されるキャビティ側位置ズレを示す模式図である。
【0044】
まず、本実施形態では、第2電線チャック131における一対の把持機構131aについて、各把持機構131aで端子付き電線W1を把持したときの想定上の端部端子W11の先端位置が登録端子位置P11として挿入制御部134に登録されている。挿入制御部134は、第2撮影部132で撮影された端部端子W11の先端画像から、予め登録されている登録端子位置P11と画像中の端部端子W11の先端位置P12との差異である端子側位置ズレG11を検知する。ここで、登録端子位置P11は、想定上の端部端子W11を先端側から見たときの先端部分の中心位置であり、先端位置P12は、画像中の端部端子W11の先端部分の中心位置である。挿入制御部134は、端部端子W11の先端について、これら2つの中心位置の差異を端子側位置ズレG11として検知する。
【0045】
また、挿入制御部134には、ハウジングパレット11上の各コネクタハウジングC1における複数のキャビティC11それぞれについて、理想の保持状態における端子挿入口C11aの中心が登録挿入位置P13として登録されている。各登録挿入位置P13は、各端子挿入口C11aを目標として第2電線チャック131が移動したときに登録端子位置P11が一致する位置となっている。挿入制御部134は、第3撮影部133で撮影された実際の保持状態における端子挿入口C11aの画像から、登録挿入位置P13と画像中の端子挿入口C11aの挿入口位置P14との差異であるキャビティ側位置ズレG12を検知する。ここで、登録挿入位置P13は、理想の保持状態における端子挿入口C11aの中心位置であり、挿入口位置P14は、画像中の端子挿入口C11aの中心位置である。挿入制御部134は、端子挿入口C11aについて、これら2つの中心位置の差異をキャビティ側位置ズレG12として検知する。
【0046】
そして、挿入制御部134は、端子側位置ズレG11及びキャビティ側位置ズレG12の合計を、端部端子W11の先端位置、及び挿入対象のキャビティC11の位置、の相互間の位置ズレとして検知する。ここにいう位置ズレとは、登録端子位置P11を登録挿入位置P13に一致させたときに生ずる端部端子W11の先端位置(中心位置)とキャビティC11の位置(中心位置)と間の位置ズレとなる。
【0047】
挿入制御部134は、コネクタハウジングC1及び端子付き電線W11のうちの少なくとも一方(本実施形態では端子付き電線W11)を動かすことで上記の位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の端部端子W11を挿入対象のキャビティC11に挿入する。このときの位置ズレ補正は、第2電線チャック131を位置ズレの検知結果に応じて端子挿入口C11aに向かって上下左右に動かすことで端部端子W11を動かして行われる。更に、本実施形態では、位置ズレ補正後の端部端子W11の挿入が次のような手順に沿って行われる。
【0048】
図17は、
図12~
図14に示されている端子挿入部において、位置ズレ補正後の端部端子が挿入対象のキャビティに挿入される手順を示す模式図である。
【0049】
まず、本実施形態では、第2電線チャック131における一対の把持機構131aそれぞれが、次のような前チャック131a-1及び後チャック131a-2を有している。前チャック131a-1は、各把持機構131aにおいて端子付き電線W1の電線部分W12における端部端子W11側を把持する部分である。この前チャック131a-1は、各把持機構131aの3つのチャック部分のうち、端子挿入方向D14の前側の1つのチャック部分となっている。後チャック131a-2は、3つのチャック部分のうちの端子挿入方向D14の後側の2つのチャック部分であり、端子挿入方向D14について前チャック131a-1よりも後側を把持する。本実施形態では、前チャック131a-1が端子挿入方向D14について前後に移動可能となっており、後チャック131a-2は、移動不可の固定チャックとなっている。また、前チャック131a-1は、端子挿入方向D14について後チャック131a-2から若干広めに離れた位置をデフォルト位置として設定されている。
【0050】
端部端子W11をコネクタハウジングC1における挿入対象のキャビティC11に挿入する際には、挿入制御部134は、第2電線チャック131を次のように移動させる。まず、前チャック131a-1がデフォルト位置に位置付けられた状態で端子付き電線W1を把持した第2電線チャック131が、位置ズレ補正後の端部端子W11の先端が端子挿入口C11aに挿入されるまで端子挿入方向D14に動かされる(ステップS11)。次に、挿入制御部134は、前チャック131a-1の把持を一旦解除した後に後チャック131a-2側へと後退方向D18に所定距離だけ後退させて再度把持させる(ステップS12)。その後、挿入制御部134は、第2電線チャック131を再び端子挿入口C11aへと端子挿入方向D14に動かすことで端部端子W11を挿入対象のキャビティC11に挿入する(ステップS13)。
【0051】
また、挿入制御部134は、第2電線チャック131を再び端子挿入口C11aへと動かす際には、端子付き電線W1の電線部分W12の、端子挿入口C11aに対する位置合わせも行いつつ第2電線チャック131を端子挿入口C11aへと動かす。
図17に模式的に示されているように、端子付き電線W1は、自重等により端部端子W11が下方に垂れ下がった状態で第2電線チャック131に把持される場合がある。上記のステップS11の段階では、このように垂れ下がった状態の端部端子W11の先端位置について位置ズレ補正が行われ、その先端部分が端子挿入口C11aに挿入された状態となっている。この段階では、端子付き電線W1の電線部分W12は端部端子W11の垂れ下がりの分だけ、端子挿入口C11aから上方にずれている。ステップS13では、この電線部分W12のズレを補正すべく、挿入制御部134は、第2電線チャック131を下方へと動かして端子挿入口C11aに対する電線部分W12の位置合わせを行う。ここで、
図15及び
図16を参照して説明した端子側位置ズレG11とキャビティ側位置ズレG12による位置ズレ補正のうち、上下方向の補正量は、上述の端部端子W11の垂れ下がりによる位置ズレを補正するものとなっている。このため、ステップS11で端部端子W11の先端が端子挿入口C11aに挿入された状態では、この上下方向の補正量に相当する分だけ、端子挿入口C11aに対して電線部分W12が上方にずれた状態となっている。このため、ステップS13では、端子側位置ズレG11とキャビティ側位置ズレG12による位置ズレの補正のうち、上下方向の補正を元に戻すことで、端部端子W11と電線部分W12をキャビティC11に対して真っ直ぐな状態へと位置合わせを行う。挿入制御部134は、ステップS13において、このような位置合わせを行いつつ端部端子W11をキャビティC11に挿入する。
【0052】
端子挿入部13では、端子付き電線W1の両端の端部端子W11のそれぞれについて、各端部端子W11に対応したコネクタハウジングC11における挿入対象のキャビティC11aとの位置ズレを補正しつつ端子挿入を行う。このような位置ズレ補正及び端子挿入は、各端部端子W11について個別に行われるので、1本の端子付き電線W1につき、位置ズレ補正及び端子挿入が2回行われることとなる。
【0053】
次に、本実施形態の端子挿入ユニット1で実行される端子挿入方法について、ここまでの説明と重複する部分もあるが、以下、これまでの
図1~
図17、及び下記の
図18を参照しながら説明する。
【0054】
図18は、
図1~
図17に示されている端子挿入ユニット1で実行される端子挿入方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【0055】
この
図18のフローチャートで表される端子挿入方法の処理は、端子付き電線W1がセットされた電線保持具191が作業者Y1によって保持具載置部19に載置され、所定の開始操作を受けるとスタートする。処理がスタートすると、一のハウジングパレット11についてハウジング供給工程S101が実行される。ハウジング供給工程S101では、一のハウジングパレット11が循環ルートR11におけるハウジング供給位置121に位置付けられ、コネクタハウジングC1が供給されてハウジングホルダ112に保持される。その後、先行して端子挿入位置123に位置付けられているハウジングパレット11の有無判定S102が実行される。先行パレットが有る場合(YES判定)、ハウジング供給済みのハウジングパレット11を待機位置122に位置付け、端子挿入位置123が空くまで待機させ、待機後にハウジングパレット11を端子挿入位置123に位置付ける待機工程S103が実行される。他方、先行パレットが無い場合(NO判定)、ハウジング供給済みのハウジングパレット11を直ちに端子挿入位置123に位置付ける挿入位置移動工程S104が実行される。スタート直後の段階では、先行パレットが無いので挿入位置移動工程S104が実行される。
【0056】
一のハウジングパレット11が端子挿入位置123に位置付けられると、そのハウジングパレット11上のコネクタハウジングC1を対象とした第1運搬工程S105~端子挿入工程S108が実行される。第1運搬工程S105では、電線保持具191における1本の端子付き電線W1を第1運搬部16が把持して第1検査位置17aまで運ぶ。傾き補正工程S106では、第1検査位置17aにて第1運搬部16から端子付き電線W1が傾き補正部17の第1電線チャック171に受け取られて把持される。更に、傾き補正部17において、端部端子W11の軸W11a回りの姿勢について、キャビティC11への挿入姿勢からの傾きが検知される。そして、傾き補正部17が第1電線チャック171を検知結果に応じて軸W11a回りに傾けることで端部端子W11を動かして傾きを補正する。第2運搬工程S107では、傾き補正部17から傾き補正後の端子付き電線W1が第2運搬部18に受け取られ、端子挿入部13における第2検査位置13aまで運ばれる。端子挿入工程S108では、第2検査位置13aにて第2運搬部18から端子付き電線W1が端子挿入部13における第2電線チャック131に受け取られる。更に、端部端子W11の先端位置、及び、コネクタハウジングC1における挿入対象のキャビティC11の位置、の相互間の位置ズレが検知される。そして、第2電線チャック131を介して端子付き電線W1を動かすことで位置ズレを補正しつつ、第2電線チャック131を端子挿入口C11aへと動かすことで位置ズレ補正後の端部端子W11が挿入対象のキャビティC11に挿入される。第1運搬工程S105~端子挿入工程S108は、電線保持具191に保持されている1本の端子付き電線W1について行われる。
【0057】
そして、端子挿入工程S108の次には、電線保持具191における未挿入の端子付き電線W1の有無判定S109が実行される。未挿入の端子付き電線W1が有る場合(YES判定)、第1運搬工程S105まで戻り、以降の処理が繰り返される。端子挿入が全て終了し、未挿入の端子付き電線W1が無い場合(NO判定)、ハウジング取出し工程S110が実行される。ハウジング取外し工程S110では、端子挿入後の一のハウジングパレット11がハウジング取外し位置124に位置付けられ、作業者Y1によってハウジングホルダ112からコネクタハウジングC1が取り外される。このハウジング取外し工程S110においてアウトプットとしてのコネクタ付き電線束2が取り出される。
【0058】
この後、ハウジングパレット11に対する処理を終了するか否かの終了可否判定S111が行われ、処理終了の場合(YES)には処理を終了する。処理を続ける場合(NO)には、ハウジング供給工程S101まで処理が戻り、以降の処理が繰り返される。ここで、
図18のフローチャートは、3つのハウジングパレット11のうちの一のハウジングパレット11に注目し、そのハウジングパレット11に対して行われる端子挿入方法の処理の流れを表している。本実施形態では、この処理が、3つのハウジングパレット11それぞれに対して行われる。そして、各ハウジングパレット11のハウジング供給工程S101、第1運搬工程S105~端子挿入工程S108、及びハウジング取出し工程S110が、待機工程S103を適宜に挟みつつ互いに並行してハウジングパレット11を移動させながら行われる。
【0059】
以上に説明した実施形態の端子挿入ユニット1及び端子挿入方法によれば、ハウジングパレット11の循環移動に関する構成と、各種補正を行いつつ端子付き電線W1を運搬して端子挿入を行う構成と、のそれぞれによって次のような効果を奏することができる。
【0060】
まず、ハウジングパレット11の循環移動に関する構成による効果について説明する。この構成によれば、ハウジングホルダ112を有するハウジングパレット11について、ハウジング供給位置121、待機位置122、端子挿入位置123、及びハウジング取外し位置124を経る循環ルートR11に沿った移動が可能となっている。そして、一のハウジングパレット11の端子挿入の終了時には、次の端子挿入対象のコネクタハウジングC1をハウジングホルダ112で保持した他のハウジングパレット11が待機位置122で待機することとなっている。従って、端子挿入後のハウジングパレット11をコネクタハウジングC11の取外しのためにハウジング取外し位置124に移動させた後は、待機位置122のハウジングパレット11を端子挿入位置123へと移動させて直ちに端子挿入を行うことができる。このように、本実施形態によれば、コネクタハウジングC1に対する端子挿入を効率良く繰り返し行うことができる。また、本実施係形態では、2つ以上(本実施形態では3つ)設けられたハウジングパレット11について、上述した端子挿入方法の各工程が互いに並行して行われるので、サイクルタイムの短縮が図られている。この構成により、コネクタハウジングC1に対する端子挿入を更に効率良く行うことができる。
【0061】
ここで、本実施形態では、ハウジングパレット11が、ハウジング供給位置121、待機位置122、端子挿入位置123、及びハウジング取外し位置124、のうちの一箇所を空けて循環ルートR11を移動するように3つ設けられている。この構成によれば、端子挿入位置123やハウジング取外し位置124に一のハウジングパレット11が留まることとなったとしても、循環ルートR11上の空きスペースを利用して、他の2つのハウジングパレット11を動かしてハウジング供給を行うことができる。上記の構成によれば、このようにコネクタハウジングC1に対する端子挿入を更に効率良く繰り返し行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、ハウジング供給位置121に位置付けられたハウジングパレット11に、コネクタハウジングC1を供給してハウジングホルダ112に保持させるハウジング供給部15が設けられている。この構成によれば、ハウジング供給位置121でのハウジング供給自体についても効率良く行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、ハウジングホルダ112は、コネクタハウジングC1を開閉可能な一対のアーム112aで抱え込むように保持するものとなっている。ハウジング供給位置121では一対のアーム112aが開かれ、ハウジング供給部15は、一対のアーム112aが開かれた状態のハウジングホルダ112へとコネクタハウジングC1を供給する。この構成によれば、ハウジングホルダ112へのコネクタハウジングC1の供給と保持、更にはハウジング取外し位置124での取外しについても良好な操作性の下で行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、ハウジングパレット11には、互いにサイズが異なる複数種類のコネクタハウジングC1を保持可能となるように、各サイズに対応した複数種類のハウジングホルダ112が取り付けられている。この構成によれば、複数種類のコネクタハウジングC1に対する端子挿入が可能となるので、端子挿入に関する汎用性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、パレット保持フレーム12が、大地が下方側となるように所定の設置面の上に載置される。そして、パレット保持フレーム12は、設置面に沿った平面上の環状ルートを循環ルートR11として移動可能となるようにハウジングパレット11を保持する。この構成によれば、ハウジング取外し位置124でのコネクタハウジングC1の取外しを作業者Y1が手作業で行う際に、設置面に沿った平面上の循環ルートR11に対する上方からのアクセスが可能となる。そして、このようなアクセスにより、作業者Y1はコネクタハウジングC1の取外しを良好な作業性の下で行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、ハウジング取外し位置124が作業者Y1に面した位置となり、端子挿入位置123が作業者Y1から見た左右方向D11についてハウジング取外し位置124に隣り合った位置となっている。また、ハウジング供給位置121は、作業者Y1から見た奥行方向D15についてハウジング取外し位置124から奥側へと離れた位置となっている。そして、待機位置122は、左右方向D11についてハウジング供給位置121に隣り合うとともに奥行方向D15について端子挿入位置123から奥側へと離れた位置となっている。この構成によれば、作業者Y1は、自分に面しているハウジング取外し位置124に対して良好な作業性の下でアクセスしてコネクタハウジングC1の取外しを行うことができる。また、その作業に先立つ端子挿入が、作業者Y1から見た左右方向D11についてハウジング取外し位置124に隣り合った端子挿入位置123で行われるので、その進捗を目視により確認しながら取外し作業の準備を行うこともできる。
【0067】
また、本実施形態では、ハウジングパレット11が、ハウジング取外し位置124で左右方向D11に延在するように位置付けられる帯板棒状のパレット本体111を備えている。ハウジングホルダ112は、このパレット本体111の長手方向D12に一列に配列された状態で取り付けられている。端子挿入位置123からハウジング取外し位置124へのハウジングパレット11の移動、及びハウジング供給位置121から待機位置122へのハウジングパレット11の移動はパレット本体111の長手方向D12に沿って行われる。また、ハウジング取外し位置124からハウジング供給位置121へのハウジングパレット11の移動、及び待機位置122から端子挿入位置123へのハウジングパレット11の移動は長手方向D12と交差する奥行方向D15(交差方向)に沿って行われる。この構成によれば、作業者Y1に面してハウジングホルダ112が一列に並んだ状態になるので、ハウジング取外し位置124での作業性、及び端子挿入位置123における端子挿入の進捗に対する視認性を更に向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態では、ハウジングホルダ112は、長手方向D12について取付け位置を変更可能にパレット本体111に取り付けられる。この構成によれば、例えば分岐形状で各分岐端部にコネクタが設けられたワイヤーハーネスを製造する際に効果的な装置利用を行うことができる。即ち、上記の構成によれば、分岐形状に応じてコネクタハウジングC1を配置し、各コネクタハウジングC1に対する端子挿入を行う等といった装置利用を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、ハウジングホルダ112は、コネクタハウジングC1において端部端子W11が挿入されて端子付き電線W1が延出するリア側が、ハウジング取外し位置124で作業者Y1側を向くようにコネクタハウジングC1を保持する。この構成によれば、ハウジング取外し位置124では、作業者Y1に向かってリア側から電線が延出した状態で、端子挿入済みのコネクタハウジングC1が配置されることとなる。このような配置となることで、作業者Y1は、良好な作業性の下で電線を持ちつつ、コネクタハウジングC1の取外しを行うことができる。
【0070】
次に、各種補正を行いつつ端子付き電線W1を運搬して端子挿入を行う構成による効果について説明する。この構成によれば、端子付き電線W1は、途中で端部端子W11の傾き補正を受けつつ第1運搬部16から第2運搬部18に受け渡される。更に、端子付き電線W1は、この第2運搬部18から端子挿入部13に受け渡され、当該端子挿入部13において、挿入対象のキャビティC11に対する位置ズレ補正を受ける。これら一連の処理により、第1運搬部16での端子付き電線W1の把持状態と、端子挿入部13に受け渡されたときの端部端子W11及びキャビティC11の相対的な位置関係と、の双方から、スムーズな端子挿入に対する阻害要因が除かれる。従って、第1運搬部16での端子付き電線W1の把持や、ハウジングパレット11のハウジングホルダ112でのコネクタハウジングC1の保持に厳密な位置管理が不要となり、作業者の負担が抑えられることとなる。このように、本実施形態によれば、作業者の負担を抑えつつ、端子付き電線W1の端部端子W11をコネクタハウジングC1のキャビティC11にスムーズに挿入することができる。
【0071】
ここで、本実施形態では、傾き補正部17が、第1電線チャック171と、端部端子W11を先端側から撮影する第1撮影部172と、補正制御部173と、を備えている。補正制御部173は、撮影された先端画像に基づいて傾きを検知するとともに、第1電線チャック171を検知結果に応じて軸W11a回りに傾けることで端部端子W11を動かして傾きを補正する。この構成によれば、第1撮影部172での先端画像に基づく傾き検知と、検知結果に応じた第1電線チャック171の傾けと、により、効果的かつ高精度で端部端子W11の傾きを補正することができる。
【0072】
また、本実施形態では、端子挿入部13が、第2電線チャック131と、端部端子W11を先端側から撮影する第2撮影部132と、挿入対象のキャビティC11における端子挿入口C11aを撮影する第3撮影部133と、挿入制御部134と、を備えている。挿入制御部134は、端部端子W11の先端画像及び端子挿入口C11aの画像に基づいて位置ズレを検知する。そして、挿入制御部134は、第2電線チャック131を検知結果に応じて端子挿入口C11aに向かって上下左右に動かすことで端部端子W11を動かして位置ズレを補正する。更に、挿入制御部134は、その位置ズレ補正とともに、第2電線チャック131を端子挿入口C11aへと動かすことで端部端子W11を挿入対象のキャビティC11に挿入する。この構成によれば、先端画像及び端子挿入口C11aの画像に基づく位置ズレ検知と、検知結果に応じた第2電線チャック131の移動により、効果的かつ高精度で位置ズレを補正しつつ端部端子W11をキャビティC11に挿入することができる。
【0073】
また、本実施形態では、挿入制御部134は、端部端子W11の先端画像から、登録端子位置P11と画像中の端部端子W11の先端位置P12との差異である端子側位置ズレG11を検知する。更に、挿入制御部134は、端子挿入口C11aの画像から、登録挿入位置P13と画像中の端子挿入口C11aとの差異であるキャビティ側位置ズレG12を検知する。そして、挿入制御部134は、端子側位置ズレG11とキャビティ側位置ズレG12との合計を、端部端子W11と端子挿入口C11aとの位置ズレとして検知する。この構成によれば、端子側位置ズレG11とキャビティ側位置ズレG12とのそれぞれを検知して合計することで、端部端子W11と端子挿入口C11aとの位置ズレを高精度で検知することができる。
【0074】
また、本実施形態では、第2電線チャック131が、前チャック131a-1と後チャック131a-2を有している。挿入制御部134は、まず、位置ズレ補正後の端部端子W11の先端が端子挿入口C11aに挿入されるまで第2電線チャック131を動かす。その後、挿入制御部134は、前チャック131a-1の把持を一旦解除して後チャック131a-2側に所定距離だけ後退させて再度把持させる。そして、挿入制御部134は、第2電線チャック131を再び端子挿入口C11aへと動かすことで端部端子W11を挿入対象のキャビティC11に挿入する。この構成によれば、端部端子W11に前チャック131a-1をなるべく近づけて把持することで、端部端子W11の先端を端子挿入口C11aに高精度で挿入することができる。そして、その後は、前チャック131a-1を後退させて挿入ストロークを確保しつつ、端部端子W11をキャビティC11に効果的に挿入することができる。
【0075】
また、本実施形態では、挿入制御部134は、第2電線チャック131を再び端子挿入口C11aへと動かす際には、電線部分W12の位置合わせも行いつつ第2電線チャック131を動かす。この構成によれば、電線部分W12の位置合わせも行うことで、端部端子W11をキャビティC11に一層スムーズに挿入することができる。
【0076】
また、本実施形態では、第1運搬部16は、端子付き電線W1の両端を把持して第1検査位置17aまで運び、傾き補正部17は、端子付き電線W1の両端の端部端子W11それぞれについて傾きを補正する。第2運搬部18は、傾き補正後の端子付き電線W1の両端を把持して第2検査位置13aまで運ぶ。端子挿入部13は、端子付き電線W1の両端の端部端子W11のそれぞれについて、対応したコネクタハウジングC1における挿入対象のキャビティC11との位置ズレを補正しつつ端子挿入を行う。この構成によれば、端子付き電線W1の両端の端部端子W11が、一緒に傾き補正を受けつつ端子挿入部13へと運ばれる。端子挿入部13では、両端の端部端子W11が、各々位置ズレ補正を受けつつ対応するコネクタハウジングC1のキャビティC11に挿入されることとなる。これら一連の処理により、端子付き電線W1の両端の端部端子W11について、キャビティC11へのスムーズな挿入を効率的に行うことができる。
【0077】
また、本実施形態では、ハウジングパレット11には、非挿入の端子付き電線W2を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダ113がハウジングホルダ112の隣に設けられている。端子挿入部13は、非挿入の端子付き電線W2については、位置ズレの検知及び補正を省略し、電線仮置きホルダ113まで運んで保持させる。この構成によれば、非挿入の端子付き電線W2についても、端部端子W11がキャビティC11に挿入される端子付き電線W1と一緒に扱うことができるので好適である。
【0078】
また、本実施形態では、電線仮置きホルダ113が、一対のU字形板バネ部材113b-1で非挿入の端子付き電線W2の電線部分W22を挟持する電線挟持部113bが1つ以上設けられたものとなっている。端子挿入部13は、電線部分W22における非挿入端子W21の近傍箇所を電線挟持部113bに挟持させるように非挿入の端子付き電線W2を運ぶ。この構成によれば、非挿入の端子付き電線W2における電線部分W12を電線挟持部113bにおける一対のU字形板バネ部材113b-1挟持させることで、電線仮置きホルダ113で非挿入の端子付き電線W2を高い保持強度で保持することができる。
【0079】
尚、以上に説明した実施形態は、端子挿入ユニット及び端子挿入方法の代表的な形態を示したに過ぎない。端子挿入ユニット及び端子挿入方法は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0080】
例えば、上述した実施形態では、端子挿入ユニット及び端子挿入方法の一例として、車両等に搭載されて配策されるワイヤーハーネスの少なくとも一部を構成するコネクタ付き電線束2を製造する端子挿入ユニット1及び端子挿入方法が例示されている。しかしながら、端子挿入ユニット及び端子挿入方法は、これに限るものではなく、その具体的な適用対象を問うものではない。
【0081】
また、上述した実施形態では、端子挿入ユニット及び端子挿入方法の一例として、
図1及び
図2に各構成要素の具体的な形状や配置が図示された端子挿入ユニット1と、その端子挿入ユニット1を用いた端子挿入方法が例示されている。しかしながら、端子挿入ユニット及び端子挿入方法は、これに限るものではなく、端子挿入ユニットにおける構成要素の具体的な形状や配置は、これを問うものではない。
【0082】
また、上述した実施形態では、端子挿入ユニット及び端子挿入方法の一例として、作業者Y1によって保持具載置部19まで運ばれる電線保持具191から端子付き電線W1をピックアップして端子挿入を行う端子挿入ユニット1及び端子挿入方法が例示されている。しかしながら、端子挿入ユニット及び端子挿入方法は、これに限るものではない。端子挿入ユニット及び端子挿入方法は、作業者Y1による電線保持具191の運搬等を介することなく、例えば端子付き電線の製造装置から直に端子付き電線を受け取って端子挿入を行うユニットや方法等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 端子挿入ユニット
2 コネクタ付き電線束
11 ハウジングパレット
12 パレット保持フレーム
12a 天板部
13 端子挿入部
13a 第2検査位置
14 パレット駆動部
15 ハウジング供給部
16 第1運搬部
17 傾き補正部
17a 第1検査位置
18 第2運搬部
19 保持具載置部
111 パレット本体
112 ハウジングホルダ
112a アーム
113 電線仮置きホルダ
113b 電線挟持部
113b-1 U字形板バネ部材
121 ハウジング供給位置
122 待機位置
123 端子挿入位置
124 ハウジング取外し位置
131 第2電線チャック
131a,161,181 把持機構
131a-1 前チャック
131a-2 後チャック
131b,162,182 把持駆動機構
131c,132c,133b,163,183 移動機構
132 第2撮影部
132a,172a ライト
132b,133a,172b カメラ
133 第3撮影部
134 挿入制御部
171 第1電線チャック
172 第1撮影部
172a ライト
173 補正制御部
191 電線保持具
191a 保持スリット
C1 コネクタハウジング
C11 キャビティ
C11a 端子挿入口
D11 左右方向
D12 長手方向
D13 開閉方向
D14 端子挿入方向
D15 奥行方向
D16 竿長方向
D17 補正方向
G11 端子側位置ズレ
G12 キャビティ側位置ズレ
H11 水平面
P11 登録端子位置
P12 先端位置
P13 登録挿入位置
P14 挿入口位置
R11 循環ルート
S101 ハウジング供給工程
S102,S109 有無判定
S103 待機工程
S104 挿入位置移動工程
S105 第1運搬工程
S106 傾き補正工程
S107 第2運搬工程
S108 端子挿入工程
S110 ハウジング取外し工程
S111 終了可否判定
W1 端子付き電線
W2 非挿入の端子付き電線
W11 端部端子
W11a 軸
W11b 水平軸
W12,W22 電線部分
W21 非挿入端子
Y1 作業者
θ11 傾き角度
【手続補正書】
【提出日】2024-09-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、端子挿入ユニットは、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、を備え、前記端子挿入部が、前記第2運搬部から受け取った前記端子付き電線を把持する第2電線チャックと、前記第2電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から撮影する第2撮影部と、挿入対象の前記キャビティにおける端子挿入口を撮影する第3撮影部と、前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像、及び、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像、に基づいて前記位置ズレを検知するとともに、前記第2電線チャックを検知結果に応じて前記端子挿入口に向かって上下左右に動かすことで前記端部端子を動かして前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する挿入制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、端子挿入ユニットは、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、を備え、前記ハウジングパレットには、前記コネクタハウジングの前記キャビティに挿入されない非挿入端子を有する非挿入の端子付き電線を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダが前記ハウジングホルダの隣に設けられており、前記端子挿入部は、前記非挿入の端子付き電線を受け取ると、当該非挿入の端子付き電線については、前記非挿入端子に対する前記位置ズレの検知及び補正を省略し、前記非挿入の端子付き電線を前記電線仮置きホルダまで運んで保持させることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、端子挿入方法は、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、を備え、前記端子挿入工程が、前記第2電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から第2撮影部に撮影させ、挿入対象の前記キャビティにおける端子挿入口を第3撮影部に撮影させ、前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像、及び、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像、に基づいて前記位置ズレを検知するとともに、前記第2電線チャックを検知結果に応じて前記端子挿入口に向かって上下左右に動かすことで前記端部端子を動かして前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する工程であることを特徴とする。
また、端子挿入方法は、端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、を備え、前記ハウジングパレットには、前記コネクタハウジングの前記キャビティに挿入されない非挿入端子を有する非挿入の端子付き電線を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダが前記ハウジングホルダの隣に設けられており、
前記端子挿入工程は、前記第2電線チャックが前記非挿入の端子付き電線を受け取ると、当該非挿入の端子付き電線については、前記非挿入端子に対する前記位置ズレの検知及び補正を省略し、前記非挿入の端子付き電線を前記電線仮置きホルダまで運んで保持させる工程であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、
前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、を備え、
前記端子挿入部が、
前記第2運搬部から受け取った前記端子付き電線を把持する第2電線チャックと、
前記第2電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から撮影する第2撮影部と、
挿入対象の前記キャビティにおける端子挿入口を撮影する第3撮影部と、
前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像、及び、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像、に基づいて前記位置ズレを検知するとともに、前記第2電線チャックを検知結果に応じて前記端子挿入口に向かって上下左右に動かすことで前記端部端子を動かして前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する挿入制御部と、
を備えたことを特徴とする端子挿入ユニット。
【請求項2】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットと、
前記端子付き電線を把持して第1検査位置まで運ぶ第1運搬部と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正部と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を受け取り、第2検査位置まで運ぶ第2運搬部と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を受け取り、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ位置ズレ補正後の前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入部と、を備え、
前記ハウジングパレットには、前記コネクタハウジングの前記キャビティに挿入されない非挿入端子を有する非挿入の端子付き電線を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダが前記ハウジングホルダの隣に設けられており、
前記端子挿入部は、前記非挿入の端子付き電線を受け取ると、当該非挿入の端子付き電線については、前記非挿入端子に対する前記位置ズレの検知及び補正を省略し、前記非挿入の端子付き電線を前記電線仮置きホルダまで運んで保持させることを特徴とする端子挿入ユニット。
【請求項3】
前記傾き補正部が、
前記第1運搬部から受け取った前記端子付き電線を把持する第1電線チャックと、
前記第1電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から撮影する第1撮影部と、
前記第1撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像に基づいて前記傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する補正制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の端子挿入ユニット。
【請求項4】
前記挿入制御部は、前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像から、予め登録されている登録端子位置と画像中の前記端部端子の先端位置との差異である端子側位置ズレを検知し、更に、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像から、予め登録されている登録挿入位置と画像中の前記端子挿入口との差異であるキャビティ側位置ズレを検知し、前記端子側位置ズレと前記キャビティ側位置ズレとの合計を前記位置ズレとして検知することを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項5】
前記第2電線チャックが、前記端子付き電線の電線部分における前記端部端子側を把持する前チャックと、前記端部端子の挿入方向について前記前チャックよりも後側を把持する後チャックと、を有しており、
前記挿入制御部は、位置ズレ補正後の前記端部端子の先端が前記端子挿入口に挿入されるまで前記第2電線チャックを動かした後に、前記前チャックの把持を一旦解除して前記後チャック側に所定距離だけ後退させて再度把持させ、前記第2電線チャックを再び前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入することを特徴とする請求項1に記載の端子挿入ユニット。
【請求項6】
前記挿入制御部は、前記第2電線チャックを再び前記端子挿入口へと動かす際には、前記端子付き電線の前記電線部分の、前記端子挿入口に対する位置合わせも行いつつ前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことを特徴とする請求項5に記載の端子挿入ユニット。
【請求項7】
前記端子付き電線は、前記端部端子が両端に設けられたものであり、
前記ハウジングパレットに前記ハウジングホルダが2つ以上取り付けられており、
前記第1運搬部は、前記端子付き電線の両端を把持して前記第1検査位置まで運び、
前記傾き補正部は、前記端子付き電線の両端の前記端部端子それぞれについて前記傾きを補正し、
前記第2運搬部は、傾き補正後の前記端子付き電線の両端を把持して前記第2検査位置まで運び、
前記端子挿入部は、前記端子付き電線の両端の前記端部端子のそれぞれについて、各前記端部端子に対応した前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティとの位置ズレを補正しつつ端子挿入を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の端子挿入ユニット。
【請求項8】
前記電線仮置きホルダが、隣接配置された一対の板バネ部材で前記非挿入の端子付き電線における電線部分を挟持する電線挟持部が1つ以上設けられたものであり、
前記端子挿入部は、前記非挿入の端子付き電線の電線部分における前記非挿入端子の近傍箇所を前記電線挟持部に挟持させるように前記非挿入の端子付き電線を運ぶことを特徴とする請求項2に記載の端子挿入ユニット。
【請求項9】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、
前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、を備え、
前記端子挿入工程が、
前記第2電線チャックが把持した前記端子付き電線の前記端部端子を、当該端部端子の先端側から第2撮影部に撮影させ、
挿入対象の前記キャビティにおける端子挿入口を第3撮影部に撮影させ、
前記第2撮影部で撮影された前記端部端子の先端画像、及び、前記第3撮影部で撮影された前記端子挿入口の画像、に基づいて前記位置ズレを検知するとともに、前記第2電線チャックを検知結果に応じて前記端子挿入口に向かって上下左右に動かすことで前記端部端子を動かして前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する工程であることを特徴とする端子挿入方法。
【請求項10】
端子付き電線の端部端子を挿入可能なキャビティが複数設けられたコネクタハウジングを保持可能なハウジングホルダが1つ以上取り付けられたハウジングパレットに前記コネクタハウジングを供給して前記ハウジングホルダに保持させるハウジング供給工程と、
前記端子付き電線を第1運搬部に把持させて第1検査位置まで運ばせる第1運搬工程と、
前記第1検査位置にて前記第1運搬部から前記端子付き電線を第1電線チャックに受け取らせて把持させ、前記端部端子の軸回りの姿勢について、前記キャビティへの挿入姿勢からの傾きを検知するとともに、前記第1電線チャックを検知結果に応じて前記軸回りに傾けることで前記端部端子を動かして前記傾きを補正する傾き補正工程と、
前記傾き補正部から傾き補正後の前記端子付き電線を第2運搬部に受け取らせ、第2検査位置まで運ばせる第2運搬工程と、
前記第2検査位置にて前記第2運搬部から前記端子付き電線を第2電線チャックに受け取らせ、前記端部端子の先端位置、及び、前記ハウジングホルダに保持された前記コネクタハウジングにおける挿入対象の前記キャビティの位置、の相互間の位置ズレを検知するとともに、前記コネクタハウジング及び前記端子付き電線のうちの少なくとも一方を動かすことで前記位置ズレを補正しつつ、前記第2電線チャックを前記端子挿入口へと動かすことで前記端部端子を挿入対象の前記キャビティに挿入する端子挿入工程と、を備え、
前記ハウジングパレットには、前記コネクタハウジングの前記キャビティに挿入されない非挿入端子を有する非挿入の端子付き電線を1本以上一時的に保持する電線仮置きホルダが前記ハウジングホルダの隣に設けられており、
前記端子挿入工程は、前記第2電線チャックが前記非挿入の端子付き電線を受け取ると、当該非挿入の端子付き電線については、前記非挿入端子に対する前記位置ズレの検知及び補正を省略し、前記非挿入の端子付き電線を前記電線仮置きホルダまで運んで保持させる工程であることを特徴とする端子挿入方法。