(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168556
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20241128BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20241128BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241128BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20241128BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20241128BHJP
H01L 21/329 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L29/78 657A
H01L29/78 655D
H01L29/78 657D
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/78 658A
H01L29/78 655E
H01L29/78 655G
H01L29/78 655B
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/91 C
H01L29/91 D
H01L29/91 E
H01L29/91 F
H01L29/78 657F
H01L29/90 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085340
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】大塚 翔瑠
(72)【発明者】
【氏名】阪口 浩介
(57)【要約】
【課題】pn接合の接合面積を適切に大きくすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体装置は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、第1主面上に第1絶縁膜を介して設けられたポリシリコン素子とを備える。ポリシリコン素子は、第1絶縁膜上に設けられた、第1導電型の第1領域、及び、第2導電型の第2領域と、第1領域と第2領域との間に設けられ、第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域とを含む。断面視における第1領域の幅が、第2主面から第1主面へ向かう方向に対して変化する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、
前記第1主面上に第1絶縁膜を介して設けられたポリシリコン素子と
を備え、
前記半導体基板は、
前記第1主面側に第1電極が設けられ、前記第2主面側に第2電極が設けられた通電領域を含み、
前記ポリシリコン素子は、
前記第1絶縁膜上に設けられた、第1導電型の第1領域、及び、第2導電型の第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域と
を含み、
断面視における前記第1領域の幅が、前記第2主面から前記第1主面へ向かう方向に対して変化する、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
断面視における前記第1領域の幅が前記方向に対して変化することによって、前記第1領域がテーパ形状を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置であって、
断面視における前記第1領域の幅が、前記方向に対して階段状に変化する、半導体装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
前記第1領域の不純物濃度が、前記方向に対して勾配を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
前記ポリシリコン素子は、温度センスダイオードまたはツェナーダイオードである、半導体装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
前記通電領域は、IGBT領域、及び、ダイオード領域の少なくともいずれか1つである、半導体装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
前記ポリシリコン素子の上部を少なくとも覆う第2絶縁膜をさらに備え、
前記第1絶縁膜の厚みは、前記第2絶縁膜の厚み以下である、半導体装置。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置であって、
断面視における前記第2領域の幅が、前記方向に対して変化する、半導体装置。
【請求項9】
第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に第2導電型のポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜のうちの離間した部分に、第1導電型の不純物と第2導電型の不純物とを注入する工程と、
前記ポリシリコン膜の上部を少なくとも覆う第2絶縁膜を形成する工程と、
アニール処理によって、前記第2絶縁膜を平坦化し、かつ、前記ポリシリコン膜に、第1導電型の第1領域と、第2導電型の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域とを形成する工程とを備え、
断面視における前記第1領域の幅が、前記第2主面から前記第1主面に向かう方向に対して変化する、半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記ポリシリコン膜の厚みが500nm以下である、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の温度を測定するための温度センスダイオードが、半導体基板上に設けられた構成が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、断面視における温度センスダイオード中の複数の不純物領域が、上下方向(つまり厚さ方向)に亘って設けられており、pn接合の境界が上下方向に対して傾かずに延在している。このような温度センスダイオードのpn接合の接合面積を大きくして、順方向電圧を小さくする構成として、平面視での温度センスダイオードの面積を大きくする構成と、断面視での複数の不純物領域の厚みを大きくする構成とが考えられる。しかしながら、平面視での温度センスダイオードの面積を大きくする構成では、半導体装置の通電領域などの有効領域が低減されるという問題がある。また、断面視での不純物領域の厚みを大きくする構成では、不純物を拡散する時間が長くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本開示は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、pn接合の接合面積を適切に大きくすることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、前記第1主面上に第1絶縁膜を介して設けられたポリシリコン素子とを備え、前記半導体基板は、前記第1主面側に第1電極が設けられ、前記第2主面側に第2電極が設けられた通電領域を含み、前記ポリシリコン素子は、前記第1絶縁膜上に設けられた、第1導電型の第1領域、及び、第2導電型の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域とを含み、断面視における前記第1領域の幅が、前記第2主面から前記第1主面へ向かう方向に対して変化する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、断面視における第1領域の幅が、第2主面から第1主面へ向かう方向に対して変化する。このような構成によれば、pn接合の接合面積を適切に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1に係る半導体装置の別の構成を示す平面図である。
【
図3】実施の形態1に係る半導体装置のIGBT領域の構成を示す部分拡大平面図である。
【
図4】実施の形態1に係る半導体装置のIGBT領域の構成を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る半導体装置のIGBT領域の構成を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係る半導体装置のダイオード領域の構成を示す部分拡大平面図である。
【
図7】実施の形態1に係る半導体装置のダイオード領域の構成を示す断面図である。
【
図8】実施の形態1に係る半導体装置のダイオード領域の構成を示す断面図である。
【
図9】実施の形態1に係る半導体装置のIGBT領域とダイオード領域との境界領域の構成を示す断面図である。
【
図10】実施の形態1に係る半導体装置の終端領域の構成を示す断面図である。
【
図11】実施の形態1に係る半導体装置の終端領域の構成を示す断面図である。
【
図12】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図13】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図14】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図15】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図16】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図17】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【
図18】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【
図19】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図20】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図21】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するための平面図である。
【
図22】変形例に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の各実施の形態で説明される特徴は例示であり、すべての特徴は必ずしも必須ではない。また、以下に示される説明では、複数の実施の形態において同様の構成要素には同じまたは類似する符号を付し、異なる構成要素について主に説明する。また、以下に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「表」または「裏」などの特定の位置及び方向は、実際の実施時の位置及び方向とは必ず一致しなくてもよい。
【0010】
また、ある部分が別部分よりも濃度が高いことは、例えば、ある部分の濃度の平均が、別部分の濃度の平均よりも高いことを意味するものとする。逆に、ある部分が別部分よりも濃度が低いことは、例えば、ある部分の濃度の平均が、別部分の濃度の平均よりも低いことを意味するものとする。また、以下では第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であるとして説明するが、第1導電型がp型であり、第2導電型がn型であってもよい。また、n-は不純物濃度がnよりも低濃度であることを示し、n+は不純物濃度がnよりも高濃度であることを示す。同様に、p-は不純物濃度がpよりも低濃度であることを示し、p+は不純物濃度がpよりも高濃度であることを示す。
【0011】
<実施の形態1>
図1は、RC-IGBT(Reverse Conducting IGBT:逆導通IGBT)を備える半導体装置を示す平面図である。また、
図2は、本実施の形態1に係るRC-IGBTを備える半導体装置の別構成を示す平面図である。
【0012】
後述するように、本実施の形態1に係る半導体装置は、RC-IGBTだけでなく、ポリシリコン素子も備える。以下では、半導体装置のうちのRC-IGBTの構成について説明した後、ポリシリコン素子の構成について説明する。なお、RC-IGBTの説明では、RC-IGBTと半導体装置とを区別しないこともある。
【0013】
図1に示す半導体装置100は、IGBT領域10とダイオード領域20とがストライプ状に並んで設けられており、以下の説明では単に「ストライプ型」と呼ぶこともある。
図2に示す半導体装置100は、ダイオード領域20が縦方向と横方向に複数設けられ、ダイオード領域20の周囲にIGBT領域10が設けられており、以下の説明では単に「アイランド型」と呼ぶこともある。なお、半導体装置は、
図1のストライプ型の構造、及び、
図2のアイランド型の構造の少なくともいずれか1つを有していればよい。なお、本明細書において、例えばA、B、C、…、及び、Zの少なくともいずれか1つとは、A、B、C、…、及び、Zのグループから1つ以上抜き出した全ての組合せのうちのいずれか1つであることを意味する。
【0014】
<ストライプ型の全体平面構造>
図1において、半導体装置100は、1つの半導体装置内にIGBT領域10とダイオード領域20とを備えている。IGBT領域10及びダイオード領域20のそれぞれは、半導体装置100の一端側から他端側に延設されており、IGBT領域10及びダイオード領域20の延設方向と直交する方向に交互にストライプ状に設けられている。
図1では、3個のIGBT領域10と、2個のダイオード領域20とが示され、全てのダイオード領域20がIGBT領域10で挟まれた構成が示されている。しかしながら、IGBT領域10及びダイオード領域20の数はこれに限るものでなく、IGBT領域10の数は3個以上でも3個以下でもよく、ダイオード領域20の数も2個以上でも2個以下でもよい。また、
図1のIGBT領域10とダイオード領域20との場所を入れ替えた構成であってもよく、全てのIGBT領域10がダイオード領域20に挟まれた構成であってもよい。また、IGBT領域10とダイオード領域20とがそれぞれ1つずつ互いに隣り合って設けられた構成であってもよい。
【0015】
図1に示すように、紙面下側のIGBT領域10に隣接してパッド領域40が設けられている。パッド領域40は半導体装置100を制御するための制御パッド41が設けられる領域である。以下の説明では、IGBT領域10及びダイオード領域20を合わせてセル領域と呼ぶこともある。セル領域及びパッド領域40を合わせた領域の周囲には半導体装置100の耐圧保持のために終端領域30が設けられている。終端領域30には、周知の耐圧保持構造が適宜設けられてもよい。耐圧保持構造には、例えば、半導体装置100のおもて面側に、p型半導体のp型終端ウェル層でセル領域を囲ったFLR(Field Limmiting Ring)や濃度勾配をつけたp型ウェル層でセル領域を囲ったVLD(Variation of Lateral Doping)が設けられてもよい。なお、FLRに用いられるリング状のp型終端ウェル層の数やVLDに用いられる濃度分布は、半導体装置100の耐圧設計によって適宜選択されればよい。また、パッド領域40のほぼ全域に亘ってp型終端ウェル層を設けてもよく、パッド領域40にIGBTセルやダイオードセルを設けてもよい。
【0016】
制御パッド41は、例えば、電流センスパッド41a、ケルビンエミッタパッド41b、ゲートパッド41c、温度センスダイオードパッド41d,41eの少なくともいずれか1つを含む。
【0017】
電流センスパッド41aは、半導体装置100のセル領域に流れる電流を検知するための制御パッドである。半導体装置100のセル領域に電流が流れる際に、セル領域全体に流れる電流の数分の1から数万分の1の電流がセル領域の一部のIGBTセルまたはダイオードセルに流れるように、電流センスパッド41aは当該セル領域に電気的に接続される。
【0018】
ケルビンエミッタパッド41b及びゲートパッド41cは、半導体装置100をオンオフ制御するためのゲート駆動電圧が印加される制御パッドである。ケルビンエミッタパッド41bはIGBTセルのp型ベース層に電気的に接続される。ゲートパッド41cはIGBTセルのゲートトレンチ電極に電気的に接続される。ケルビンエミッタパッド41bとp型ベース層とはp+型コンタクト層を介して電気的に接続されてもよい。温度センスダイオードパッド41d,41eは、半導体装置100に設けられた温度センスダイオードのアノード及びカソードに電気的に接続された制御パッドである。セル領域内に設けられた図示しない温度センスダイオードのアノードとカソードとの間の電圧が、温度センスダイオードパッド41d,41eを介して測定され、当該電圧に基づいて半導体装置100の温度が測定される。
【0019】
<アイランド型の全体平面構造>
図2において、半導体装置100は、1つの半導体装置内にIGBT領域10とダイオード領域20とを備えている。ダイオード領域20は、半導体装置100内の縦方向及び横方向のそれぞれに複数並んで配置されており、ダイオード領域20の周囲はIGBT領域10に取り囲まれている。つまり、IGBT領域10内に複数のダイオード領域20がアイランド状に設けられている。
図2では、ダイオード領域20は紙面左右方向に4列、紙面上下方向に2行のマトリクス状に設けた構成が示されている。しかしながら、ダイオード領域20の個数及び配置はこれに限るものではなく、IGBT領域10内に1つまたは複数のダイオード領域20が点在して設けられ、それぞれのダイオード領域20の周囲がIGBT領域10に囲まれた構成であればよい。
【0020】
図2に示すように、IGBT領域10の紙面下側に隣接してパッド領域40が設けられている。パッド領域40は半導体装置100を制御するための制御パッド41が設けられる領域である。ここでの説明でも、IGBT領域10及びダイオード領域20を合わせてセル領域と呼ぶ。セル領域及びパッド領域40を合わせた領域の周囲には半導体装置100の耐圧保持のために終端領域30が設けられている。終端領域30には、周知の耐圧保持構造が適宜設けられてもよい。耐圧保持構造には、例えば、半導体装置100のおもて面側に、p型半導体のp型終端ウェル層でセル領域及びパッド領域40を合わせた領域を囲ったFLRや濃度勾配をつけたp型ウェル層でセル領域を囲ったVLDが設けられてもよい。なお、FLRに用いられるリング状のp型終端ウェル層の数やVLDに用いられる濃度分布は、半導体装置100の耐圧設計によって適宜選択されればよい。また、パッド領域40のほぼ全域に亘ってp型終端ウェル層を設けてもよく、パッド領域40にIGBTセルやダイオードセルを設けてもよい。
【0021】
制御パッド41は、例えば、電流センスパッド41a、ケルビンエミッタパッド41b、ゲートパッド41c、温度センスダイオードパッド41d,41eの少なくともいずれか1つを含む。
【0022】
電流センスパッド41aは、半導体装置100のセル領域に流れる電流を検知するための制御パッドである。半導体装置100のセル領域に電流が流れる際に、セル領域全体に流れる電流の数分の1から数万分の1の電流がセル領域の一部のIGBTセルまたはダイオードセルに流れるように、電流センスパッド41aは当該セル領域に電気的に接続される。
【0023】
ケルビンエミッタパッド41b及びゲートパッド41cは、半導体装置100をオンオフ制御するためのゲート駆動電圧が印加される制御パッドである。ケルビンエミッタパッド41bはIGBTセルのp型ベース層及びn+型ソース層に電気的に接続される。ゲートパッド41cはIGBTセルのゲートトレンチ電極に電気的に接続される。ケルビンエミッタパッド41bとp型ベース層とはp+型コンタクト層を介して電気的に接続されてもよい。温度センスダイオードパッド41d,41eは、半導体装置100に設けられた温度センスダイオードのアノード及びカソードに電気的に接続された制御パッドである。セル領域内に設けられた図示しない温度センスダイオードのアノードとカソードとの間の電圧が、温度センスダイオードパッド41d,41eを介して測定され、当該電圧に基づいて半導体装置100の温度が測定される。
【0024】
<IGBT領域10>
図3は、RC-IGBTである半導体装置のIGBT領域10の構成を示す部分拡大平面図である。具体的には、
図3は、
図1及び
図2に示した半導体装置100における破線82で囲った領域を拡大して示した図である。
【0025】
また、
図4及び
図5は、RC-IGBTである半導体装置のIGBT領域10の構成を示す断面図である。具体的には、
図4は、
図3に示した半導体装置100の一点鎖線A-Aにおける断面図であり、
図5は、
図3に示した半導体装置100の一点鎖線B-Bにおける断面図である。
【0026】
図3に示すように、IGBT領域10には、アクティブトレンチゲート11とダミートレンチゲート12とがストライプ状に設けられている。
図1の半導体装置100では、アクティブトレンチゲート11及びダミートレンチゲート12は、IGBT領域10の長手方向に延設されており、IGBT領域10の長手方向がアクティブトレンチゲート11及びダミートレンチゲート12の長手方向に対応している。一方、
図2の半導体装置100では、IGBT領域10に長手方向と短手方向の区別が特段にない。このため、紙面左右方向がアクティブトレンチゲート11及びダミートレンチゲート12の長手方向に対応してもよく、紙面上下方向がアクティブトレンチゲート11及びダミートレンチゲート12の長手方向に対応してもよい。
【0027】
アクティブトレンチゲート11は、半導体基板に設けられたトレンチ内にゲートトレンチ絶縁膜11bを介してゲートトレンチ電極11aが設けられて構成されている。ダミートレンチゲート12は、半導体基板に設けられたトレンチ内にダミートレンチ絶縁膜12bを介してダミートレンチ電極12aが設けられて構成されている。アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ電極11aは、
図1及び
図2のゲートパッド41cに電気的に接続される。ダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aは、半導体装置100のおもて面上に設けられるエミッタ電極に電気的に接続される。
【0028】
図3に示すように、n
+型ソース層13が、アクティブトレンチゲート11の幅方向の両側にゲートトレンチ絶縁膜11bに接して設けられる。n
+型ソース層13は、半導体装置によってはn
+型エミッタ層とも呼ばれる。n
+型ソース層13は、n型不純物として例えばヒ素(As)またはリン(p)等を有する半導体層であり、そのn型不純物の濃度は、例えば1.0E+17/cm
3~1.0E+20/cm
3である。n
+型ソース層13は、アクティブトレンチゲート11の延設方向に沿って、p
+型コンタクト層14と交互に設けられる。また、p
+型コンタクト層14は、隣り合った2つのダミートレンチゲート12の間にダミートレンチ絶縁膜12bに接して設けられる。p
+型コンタクト層14は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+15/cm
3~1.0E+20/cm
3である。
【0029】
図3に示すように半導体装置100のIGBT領域10では、3つのアクティブトレンチゲート11が並んだ隣に、3つのダミートレンチゲート12が並んでいる。そして、その3つのダミートレンチゲート12が並んだ隣に、上記のものとは別の3つのアクティブトレンチゲート11が並んだ構成をしている。IGBT領域10は、このようにアクティブトレンチゲート11の組とダミートレンチゲート12の組とが交互に並んだ構成をしている。
図3では、1つのアクティブトレンチゲート11の組に含まれるアクティブトレンチゲート11の数を3としたが、1以上であればよい。また、1つのダミートレンチゲート12の組に含まれるダミートレンチゲート12の数は1以上であってもよく、ダミートレンチゲート12の数は0であってもよい。すなわち、IGBT領域10に設けられるトレンチゲートの全てがアクティブトレンチゲート11であってもよい。
【0030】
図4は、半導体装置100の
図3における一点鎖線A-Aでの断面図であり、IGBT領域10の断面図である。半導体装置100は、半導体基板からなるn
-型ドリフト層1を有している。n
-型ドリフト層1は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、そのn型不純物の濃度は、例えば1.0E+12/cm
3~1.0E+15/cm
3である。なお、上述したn
+型ソース層13のn型不純物の濃度は、n
-型ドリフト層1のn型不純物の濃度よりも高い。
【0031】
半導体基板の範囲は、
図4においては、n
+型ソース層13及びp
+型コンタクト層14から、p型コレクタ層16までの範囲である。p型コレクタ層16は、半導体装置によってはp型ドレイン層とも呼ばれる。
図4においてn
+型ソース層13及びp
+型コンタクト層14の紙面上端を半導体基板の第1主面であるおもて面と呼び、p型コレクタ層16の紙面下端を半導体基板の第2主面である裏面と呼ぶ。半導体装置100は、セル領域のIGBT領域10において、おもて面と、当該おもて面に対向する裏面との間にn
-型ドリフト層1を有している。なお、半導体基板は、例えばウエハ及びエピタキシャル成長層の少なくともいずれか1つを含んで構成されてもよい。また、半導体基板は、高温下の安定動作が可能なワイドバンドギャップ半導体(炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド)を含んでもよい。
【0032】
図4に示すように、IGBT領域10では、n
-型ドリフト層1のおもて面側に、n
-型ドリフト層1よりもn型不純物の濃度が高いn型キャリア蓄積層2が設けられている。n型キャリア蓄積層2は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、そのn型不純物の濃度は、例えば1.0E+13/cm
3~1.0E+17/cm
3である。なお、半導体装置100は、n型キャリア蓄積層2が設けられずに、
図4で示したn型キャリア蓄積層2の領域にもn
-型ドリフト層1が設けられた構成であってもよい。n型キャリア蓄積層2を設けることによって、IGBT領域10に電流が流れた際の通電損失を低減することができる。n型キャリア蓄積層2とn
-型ドリフト層1とを合わせてドリフト層と呼んでもよい。
【0033】
n型キャリア蓄積層2は、n-型ドリフト層1を構成する半導体基板に、n型不純物をイオン注入し、その後アニールによって注入したn型不純物をn-型ドリフト層1である半導体基板内に拡散させることで形成される。
【0034】
n型キャリア蓄積層2のおもて面側には、p型ベース層15が設けられている。p型ベース層15は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+12/cm3~1.0E+19/cm3である。p型ベース層15はアクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接している。
【0035】
p型ベース層15のおもて面側の一部の領域には、アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接するn+型ソース層13が設けられ、p型ベース層15のおもて面側の残りの領域には、p+型コンタクト層14が選択的に設けられている。n+型ソース層13及びp+型コンタクト層14は半導体基板のおもて面を構成している。なお、p+型コンタクト層14は、p型ベース層15よりもp型不純物の濃度が高い領域である。p+型コンタクト層14とp型ベース層15とを区別する必要がある場合にはそれぞれを個別に呼んでもよいし、区別する必要がない場合にはp+型コンタクト層14とp型ベース層15とを合わせてp型ベース層と呼んでもよい。
【0036】
また、半導体装置100のn
-型ドリフト層1の裏面側には、n
-型ドリフト層1よりもn型不純物の濃度が高いn型バッファ層3が設けられている。n型バッファ層3は、半導体装置100がオフ状態のときにp型ベース層15から裏面側に延びる空乏層がパンチスルーするのを抑制するために設けられる。n型バッファ層3は、例えば、リン(P)またはプロトン(H
+)を注入して形成してよく、リン(P)及びプロトン(H
+)の両方を注入して形成してもよい。n型バッファ層3のn型不純物の濃度は、例えば1.0E+12/cm
3~1.0E+18/cm
3である。なお、半導体装置100は、n型バッファ層3が設けられずに、
図4で示したn型バッファ層3の領域にn
-型ドリフト層1が設けられた構成であってもよい。n型バッファ層3とn
-型ドリフト層1とを合わせてドリフト層と呼んでもよい。
【0037】
半導体装置100のn型バッファ層3の裏面側には、p型コレクタ層16が設けられている。すなわち、p型コレクタ層16が、n-型ドリフト層1と半導体基板の裏面との間に設けられている。p型コレクタ層16は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+16/cm3~1.0E+20/cm3である。p型コレクタ層16は半導体基板の裏面を構成している。p型コレクタ層16は、IGBT領域10だけでなく、終端領域30にも設けられてもよい。なお、後述するようにp型コレクタ層16のうち終端領域30に設けられた部分は、p型終端コレクタ層16aを構成する。また、p型コレクタ層16は、IGBT領域10からダイオード領域20に一部がはみ出して設けられてもよい。
【0038】
図4に示すように、半導体装置100のIGBT領域10には、半導体基板のおもて面からp型ベース層15を貫通し、n
-型ドリフト層1に達するトレンチが設けられている。いくつかのトレンチ内にゲートトレンチ絶縁膜11bを介してゲートトレンチ電極11aが設けられることでアクティブトレンチゲート11が構成されている。ゲートトレンチ電極11aは、ゲートトレンチ絶縁膜11bを介してn
-型ドリフト層1に対向している。また、いくつかのトレンチ内にダミートレンチ絶縁膜12bを介してダミートレンチ電極12aが設けられることでダミートレンチゲート12が構成されている。ダミートレンチ電極12aは、ダミートレンチ絶縁膜12bを介してn
-型ドリフト層1に対向している。
【0039】
アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bは、p型ベース層15及びn+型ソース層13に接している。ゲートトレンチ電極11aにゲート駆動電圧が印加されると、アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11bに接するp型ベース層15にチャネルが形成される。
【0040】
図4に示すように、アクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ電極11aの上には層間絶縁膜4が設けられている。半導体基板のおもて面の層間絶縁膜4が設けられていない領域の上、及び層間絶縁膜4の上にはバリアメタル5が設けられている。バリアメタル5は、例えば、チタン(Ti)を含む導電体であってよく、例えば、窒化チタンであってもよいし、チタンとシリコン(Si)とを合金化させたTiSiであってもよい。
図4に示すように、バリアメタル5は、n
+型ソース層13、p
+型コンタクト層14及びダミートレンチ電極12aにオーミック接触し、n
+型ソース層13、p
+型コンタクト層14及びダミートレンチ電極12aと電気的に接続されている。一方、バリアメタル5は、層間絶縁膜4によってゲートトレンチ電極11aと電気的に絶縁されている。
【0041】
バリアメタル5の上には、エミッタ電極6が設けられる。エミッタ電極6は、例えば、アルミニウムシリコン合金(Al-Si系合金)などのアルミニウム合金で形成してもよく、アルミニウム合金で形成した電極上に、無電解めっき、または電解めっきでめっき膜を形成した複数層の金属膜からなる電極であってもよい。無電解めっき、または電解めっきで形成されるめっき膜は、例えば、ニッケル(Ni)めっき膜であってもよい。隣接する層間絶縁膜4の間などの微細な領域であって、エミッタ電極6では良好な埋め込みが得られない領域がある場合には、エミッタ電極6よりも埋込性が良好なタングステン膜を微細な領域に配置して、当該タングステン膜の上にエミッタ電極6を設けてもよい。なお、バリアメタル5を設けずに、n+型ソース層13、p+型コンタクト層14及びダミートレンチ電極12aの上にエミッタ電極6を設けてもよい。また、n+型ソース層13などのn型の半導体層の上のみにバリアメタル5を設けてもよい。バリアメタル5とエミッタ電極6とを合わせてエミッタ電極と呼んでよい。
【0042】
なお、
図4では、ダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aの上には層間絶縁膜4が設けられない構成を示したが、
図4の断面部分において、層間絶縁膜4はダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aの上に設けられてもよい。
図4の断面部分において、層間絶縁膜4がダミートレンチゲート12のダミートレンチ電極12aの上に設けられた場合には、別の断面部分においてエミッタ電極6とダミートレンチ電極12aとが電気的に接続されればよい。
【0043】
p型コレクタ層16の裏面側には、コレクタ電極7が設けられる。コレクタ電極7は、エミッタ電極6と同様、アルミニウム合金やアルミニウム合金とめっき膜との複数層で構成されてもよい。コレクタ電極7はエミッタ電極6と異なる構成であってもよい。コレクタ電極7は、p型コレクタ層16にオーミック接触し、p型コレクタ層16と電気的に接続されている。
【0044】
図5は、半導体装置100の
図3における一点鎖線B-Bでの断面図であり、IGBT領域10の断面図である。
図4に示した一点鎖線A-Aでの断面部分とは異なり、
図5の一点鎖線B-Bでの断面部分では、アクティブトレンチゲート11に接し、半導体基板のおもて面側に設けられるn
+型ソース層13がない。つまり、
図3に示されるn
+型ソース層13は、p型ベース層のおもて面側に選択的に設けられる。なお、ここでいうp型ベース層とは、p型ベース層15とp
+型コンタクト層14とを含む。
【0045】
<ダイオード領域20>
図6は、RC-IGBTである半導体装置のダイオード領域20の構成を示す部分拡大平面図である。具体的には、
図6は、
図1及び
図2に示した半導体装置100における破線83で囲った領域を拡大して示した図である。
【0046】
また、
図7及び
図8は、RC-IGBTである半導体装置のダイオード領域20の構成を示す断面図である。具体的には、
図7は、
図6に示した半導体装置100の一点鎖線C-Cにおける断面図であり、
図8は、
図6に示した半導体装置100の一点鎖線D-Dにおける断面図である。
【0047】
ダイオードトレンチゲート21は、半導体装置100のおもて面に沿ってセル領域のダイオード領域20の一端側から対向する他端側に向かって延設されている。ダイオードトレンチゲート21は、ダイオード領域20に設けられたトレンチ内にダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してダイオードトレンチ電極21aが設けられることで構成される。ダイオードトレンチ電極21aはダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してn-型ドリフト層1に対向している。
【0048】
隣接する2つのダイオードトレンチゲート21の間には、p+型コンタクト層24と、それよりもp型不純物の濃度が低いp型アノード層25とが設けられている。p+型コンタクト層24は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+15/cm3~1.0E+20/cm3である。p型アノード層25は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+12/cm3~1.0E+19/cm3である。p+型コンタクト層24とp型アノード層25とはダイオードトレンチゲート21の長手方向に交互に設けられている。
【0049】
図7は、半導体装置100の
図6における一点鎖線C-Cでの断面図であり、ダイオード領域20の断面図である。半導体装置100は、ダイオード領域20においてもIGBT領域10と同じく半導体基板からなるn
-型ドリフト層1を有している。ダイオード領域20のn
-型ドリフト層1と、IGBT領域10のn
-型ドリフト層1とは連続して一体的に構成されており、同一の半導体基板に構成されている。
【0050】
半導体基板の範囲は、
図7においては、p
+型コンタクト層24からn
+型カソード層26までの範囲である。
図7においてp
+型コンタクト層24の紙面上端を半導体基板のおもて面と呼び、n
+型カソード層26の紙面下端を半導体基板の裏面と呼ぶ。ダイオード領域20のおもて面とIGBT領域10のおもて面とは同一面に含まれ、ダイオード領域20の裏面とIGBT領域10の裏面とは同一面に含まれる。
【0051】
図7に示すように、ダイオード領域20においてもIGBT領域10と同様に、n
-型ドリフト層1のおもて面側にn型キャリア蓄積層2が設けられ、n
-型ドリフト層1の裏面側にn型バッファ層3が設けられている。ダイオード領域20に設けられるn型キャリア蓄積層2及びn型バッファ層3は、IGBT領域10に設けられるn型キャリア蓄積層2及びn型バッファ層3と同一の構成であってもよい。なお、IGBT領域10及びダイオード領域20にn型キャリア蓄積層2は必ずしも設けられる必要はなく、例えば、n型キャリア蓄積層2が、IGBT領域10には設けられるが、ダイオード領域20には設けられない構成であってもよい。また、IGBT領域10と同じく、n
-型ドリフト層1、n型キャリア蓄積層2及びn型バッファ層3を合わせてドリフト層と呼んでもよい。
【0052】
n型キャリア蓄積層2のおもて面側には、p型アノード層25が設けられている。p型アノード層25は、n-型ドリフト層1とおもて面との間に設けられている。p型アノード層25のp型不純物の濃度を、IGBT領域10のp型ベース層15のp型不純物の濃度と同じにして、p型アノード層25とp型ベース層15とを同時に形成してもよい。また、p型アノード層25のp型不純物の濃度を、IGBT領域10のp型ベース層15のp型不純物の濃度よりも低くして、ダイオード動作時にダイオード領域20に注入される正孔の量を減少させるように構成してもよい。ダイオード動作時に注入される正孔の量を減少させることでダイオード動作時のリカバリ損失を低減することができる。
【0053】
p型アノード層25のおもて面側には、p+型コンタクト層24が設けられている。p+型コンタクト層24のp型不純物の濃度は、IGBT領域10のp+型コンタクト層14のp型不純物の濃度と同じでもよく、異なってもよい。p+型コンタクト層24は半導体基板のおもて面を構成している。なお、p+型コンタクト層24は、p型アノード層25よりもp型不純物の濃度が高い領域であり、p+型コンタクト層24とp型アノード層25とを区別する必要がある場合にはそれぞれを個別に呼んでもよく、区別する必要がない場合にはp+型コンタクト層24とp型アノード層25とを合わせてp型アノード層と呼んでもよい。
【0054】
半導体装置100のn型バッファ層3の裏面側には、n+型カソード層26が設けられている。すなわち、n+型カソード層26が、n-型ドリフト層1と裏面との間に設けられている。n+型カソード層26は、n型不純物として例えばヒ素またはリン等を有する半導体層であり、そのn型不純物の濃度は、例えば1.0E+16/cm3~1.0E+21/cm3である。n+型カソード層26は、ダイオード領域20の一部または全部に設けられる。n+型カソード層26は半導体基板の裏面を構成している。なお、図示していないが、n+型カソード層26を形成した領域の一部に、さらにp型不純物を選択的に注入して、p型半導体であるp型カソード層を設けてもよい。
【0055】
なお
図7には示されていないが、n
+型カソード層26とp
+型カソード層とが、n型バッファ層3の裏面側に設けられ、かつ、半導体基板の面内方向に沿って交互に設けられてもよい。このように構成されたダイオードは、RFC(Relaxed Field of Cathode)ダイオードと呼ばれる。
【0056】
図7に示すように、半導体装置100のダイオード領域20には、半導体基板のおもて面からp型アノード層25を貫通し、n
-型ドリフト層1に達するトレンチが設けられている。ダイオード領域20のトレンチ内にダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してダイオードトレンチ電極21aが設けられることでダイオードトレンチゲート21が構成されている。ダイオードトレンチ電極21aは、ダイオードトレンチ絶縁膜21bを介してn
-型ドリフト層1に対向している。
【0057】
図7に示すように、ダイオードトレンチ電極21a、及びp
+型コンタクト層24の上にはバリアメタル5が設けられている。バリアメタル5は、ダイオードトレンチ電極21a及びp
+型コンタクト層24とオーミック接触し、ダイオードトレンチ電極21a及びp
+型コンタクト層24に電気的に接続されている。バリアメタル5は、IGBT領域10のバリアメタル5と同一の構成であってもよい。
【0058】
バリアメタル5の上には、エミッタ電極6が設けられる。ダイオード領域20に設けられるエミッタ電極6は、IGBT領域10に設けられたエミッタ電極6と連続して構成されている。なお、IGBT領域10の場合と同様に、バリアメタル5を設けずに、ダイオードトレンチ電極21a及びp+型コンタクト層24とエミッタ電極6とをオーミック接触させてもよい。
【0059】
なお、
図7では、ダイオードトレンチゲート21のダイオードトレンチ電極21aの上に
図4のような層間絶縁膜4が設けられない構成を示したが、
図7の断面部分において、層間絶縁膜4はダイオードトレンチ電極21aの上に設けられてもよい。
図7の断面部分において、層間絶縁膜4がダイオードトレンチゲート21のダイオードトレンチ電極21aの上に設けられた場合には、別の断面部分においてエミッタ電極6とダイオードトレンチ電極21aとが電気的に接続されればよい。
【0060】
n+型カソード層26の裏面側には、コレクタ電極7が設けられる。エミッタ電極6と同様、ダイオード領域20のコレクタ電極7は、IGBT領域10に設けられたコレクタ電極7と連続して構成されている。コレクタ電極7は、n+型カソード層26にオーミック接触し、n+型カソード層26に電気的に接続されている。
【0061】
図8は、半導体装置100の
図6における一点鎖線D-Dでの断面図であり、ダイオード領域20の断面図である。
図7に示した一点鎖線C-Cでの断面部分とは異なり、
図8の一点鎖線D-Dでの断面部分では、p型アノード層25とバリアメタル5との間に、p
+型コンタクト層24が設けられておらず、p型アノード層25が半導体基板のおもて面である。つまり、
図7で示したp
+型コンタクト層24は、p型アノード層25のおもて面側に選択的に設けられている。
【0062】
<IGBT領域10とダイオード領域20との境界領域>
図9は、RC-IGBTである半導体装置のIGBT領域10とダイオード領域20との境界領域の構成を示す断面図である。具体的には、
図9は、
図1及び
図2に示した半導体装置100における一点鎖線E-Eにおける断面図である。
【0063】
図9に示すように、IGBT領域10の裏面側に設けられたp型コレクタ層16と、ダイオード領域20の裏面側に設けられたn
+型カソード層26とは、半導体基板の面内方向において隣り合っている。そして、p型コレクタ層16は、IGBT領域10とダイオード領域20との境界から距離U1だけダイオード領域20側にはみ出して設けられている。
【0064】
このように、p型コレクタ層16をダイオード領域20にはみ出して設けることにより、ダイオード領域20のn+型カソード層26とアクティブトレンチゲート11との距離を大きくすることができる。このため、還流ダイオード動作時にゲートトレンチ電極11aにゲート駆動電圧が印加された場合であっても、IGBT領域10のアクティブトレンチゲート11に隣接して形成されるチャネルからn+型カソード層26に電流が流れるのを抑制することができる。距離U1は、例えば100μmであってもよい。なお、RC-IGBTである半導体装置100の用途によっては、距離U1がゼロまたは100μmより小さい距離であってもよい。
【0065】
<終端領域30>
図10及び
図11は、RC-IGBTである半導体装置100の終端領域の構成を示す断面図である。具体的には、
図10は、
図1及び
図2に示した一点鎖線F-Fでの断面図であり、IGBT領域10から終端領域30にかけての断面図である。また、
図11は、
図1に示した一点鎖線G-Gでの断面図であり、ダイオード領域20から終端領域30にかけての断面図である。
【0066】
図10及び
図11に示すように、半導体装置100の終端領域30は、半導体基板のおもて面と裏面との間にn
-型ドリフト層1を有している。終端領域30のおもて面及び裏面は、それぞれIGBT領域10及びダイオード領域20のおもて面及び裏面と同一面に含まれる。また、終端領域30のn
-型ドリフト層1は、IGBT領域10及びダイオード領域20のそれぞれのn
-型ドリフト層1と同一構成であり、連続して一体的に構成されている。
【0067】
n-型ドリフト層1のおもて面側に、すなわち半導体基板のおもて面とn-型ドリフト層1との間に、p型終端ウェル層31が選択的に設けられている。p型終端ウェル層31は、p型不純物として例えばボロンまたはアルミニウム等を有する半導体層であり、そのp型不純物の濃度は、例えば1.0E+14/cm3~1.0E+19/cm3である。p型終端ウェル層31は、IGBT領域10及びダイオード領域20が含まれるセル領域を取り囲んで設けられている。p型終端ウェル層31は複数のリング状に設けられており、p型終端ウェル層31が設けられる数は、半導体装置100の耐圧設計によって適宜選択される。また、p型終端ウェル層31のさらに外縁側にはn+型チャネルストッパ層32が設けられており、n+型チャネルストッパ層32は平面視においてp型終端ウェル層31を取り囲んでいる。
【0068】
終端領域30のn-型ドリフト層1と半導体基板の裏面との間には、p型終端コレクタ層16aが設けられている。p型終端コレクタ層16aは、セル領域のIGBT領域10に設けられるp型コレクタ層16と連続して一体的に構成されている。したがって、p型終端コレクタ層16aを含めてp型コレクタ層と呼んでもよい。
【0069】
図1に示した半導体装置100のようにダイオード領域20が終端領域30と隣接して設けられる構成では、
図11に示すように、p型終端コレクタ層16aは、ダイオード領域20側の端部が距離U2だけダイオード領域20にはみ出して設けられている。このような構成によれば、ダイオード領域20のn
+型カソード層26とp型終端ウェル層31との距離を大きくすることができる。このため、p型終端ウェル層31がダイオードのアノードとして動作することを抑制することができる。距離U2は、例えば100μmであってもよい。
【0070】
半導体基板の裏面上にはコレクタ電極7が設けられている。コレクタ電極7は、IGBT領域10及びダイオード領域20を含むセル領域から終端領域30まで連続して一体的に構成されている。
【0071】
一方、終端領域30の半導体基板のおもて面上にはセル領域から連続しているエミッタ電極6と、エミッタ電極6から構造的に分離された終端電極6aとが設けられる。エミッタ電極6と終端電極6aとは、半絶縁性膜33を介して電気的に接続されている。半絶縁性膜33は、例えば、sinSiN(semi-insulating Silicon Nitride:半絶縁性シリコン窒化膜)であってもよい。終端電極6aと、p型終端ウェル層31及びn+型チャネルストッパ層32のそれぞれとは、終端領域30のおもて面上に設けられた層間絶縁膜4のコンタクトホールを介して電気的に接続されている。また、終端領域30には、エミッタ電極6、終端電極6a及び半絶縁性膜33を覆う終端保護膜34が設けられている。終端保護膜34は、例えば、ポリイミドである。
【0072】
<RC-IGBTの製造方法>
図12~
図17は、RC-IGBTである半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図12~
図15は半導体装置100の
図9の境界領域のおもて面側を主に形成する工程を示す図であり、
図16及び
図17は、半導体装置100の
図9の境界領域の裏面側を主に形成する工程を示す図である。
【0073】
まず、
図12(a)に示すようにn
-型ドリフト層1を構成する半導体基板を準備する。半導体基板は、例えば、FZ(Floating Zone)法で作製されたFZウエハ、または、MCZ(Magnetic field applied CZochralski)法で作製されたMCZウエハであってもよく、n型不純物を含むn型ウエハであってもよい。半導体基板に含まれるn型不純物の濃度は、作製される半導体装置の耐圧によって適宜選択される。例えば、耐圧が1200Vの半導体装置では、半導体基板を構成するn
-型ドリフト層1の比抵抗が40~120Ω・cm程度となるようにn型不純物の濃度が調整される。
図12(a)に示すように、半導体基板を準備する工程では、半導体基板の全体がn
-型ドリフト層1となっている。半導体基板の第1主面側であるおもて面側または第2主面側である裏面側から、p型またはn型の不純物イオンを注入し、その後熱処理などによって半導体基板内に拡散させることで、p型またはn型の半導体層が適宜形成され、半導体装置100が製造される。
【0074】
図12(a)に示すように、n
-型ドリフト層1を構成する半導体基板は、IGBT領域10及びダイオード領域20になる領域を有している。また、
図12(a)では図示しないが、IGBT領域10及びダイオード領域20になる領域の周囲には終端領域30などとなる領域を備えている。以下では、半導体装置100のIGBT領域10及びダイオード領域20の構成の製造方法について主として説明するが、半導体装置100の終端領域30などについては周知の製造方法により作製してもよい。例えば、終端領域30に耐圧保持構造としてp型終端ウェル層31を有するFLRを形成する場合、半導体装置100のIGBT領域10及びダイオード領域20を加工する前にp型不純物イオンを注入してFLRを形成してもよい。または、半導体装置100のIGBT領域10またはダイオード領域20にp型不純物をイオン注入する際に同時にp型不純物イオンを注入してFLRを形成してもよい。
【0075】
次に、
図12(b)に示すように、半導体基板のおもて面側からリン(P)などのn型不純物を注入してn型キャリア蓄積層2を形成する。また、半導体基板のおもて面側からボロン(B)などのp型不純物を注入してp型ベース層15及びp型アノード層25を形成する。n型キャリア蓄積層2、p型ベース層15及びp型アノード層25は、半導体基板内に不純物イオンを注入した後、熱処理により不純物イオンを拡散させることで形成される。n型不純物及びp型不純物のイオン注入は、半導体基板のおもて面上にマスク処理を施した後に行われるため、各種層は半導体基板のおもて面側に選択的に形成される。n型キャリア蓄積層2、p型ベース層15及びp型アノード層25は、IGBT領域10及びダイオード領域20に形成され、終端領域30でp型終端ウェル層31に接続される。n型キャリア蓄積層2、p型ベース層15及びp型アノード層25は、IGBT領域10及びダイオード領域20に形成され、終端領域30でp型終端ウェル層31に接続される。マスク処理は、半導体基板上にレジストを塗布し、写真製版技術を用いてレジストの所定の領域に開口を形成し、開口を介して半導体基板の所定の領域にイオン注入を施したり、エッチングを施したりするために、半導体基板上にマスクを形成する処理である。
【0076】
p型ベース層15及びp型アノード層25のp型不純物は、同時にイオン注入されてもよい。この場合、p型ベース層15とp型アノード層25との深さ及びp型不純物濃度は互いに同じとなる。また、マスク処理によりp型ベース層15及びp型アノード層25のp型不純物が別々にイオン注入されることで、p型ベース層15とp型アノード層25との深さ及びp型不純物濃度を互いに異ならせてもよい。
【0077】
図12(b)に図示されない終端領域30のp型終端ウェル層31及びp型アノード層25のp型不純物は、同時にイオン注入されてもよい。この場合、p型終端ウェル層31とp型アノード層25との深さ及びp型不純物濃度は互いに同じとなる。または、異なる開口率のマスクを用いて、p型終端ウェル層31及びp型アノード層25のp型不純物が、同時にイオン注入されることで、p型終端ウェル層31とp型アノード層25とのp型不純物濃度を互いに異ならせることも可能である。この場合、いずれか一方または双方のマスクをメッシュ状のマスクとして、マスクの開口率を異ならせればよい。
【0078】
また、マスク処理によって、p型終端ウェル層31及びp型アノード層25のp型不純物が、別々にイオン注入されることで、p型終端ウェル層31とp型アノード層25との深さ及びp型不純物濃度を互いに異ならせてもよい。同様に、異なる開口率のマスクを用いて、p型終端ウェル層31、p型ベース層15、及び、p型アノード層25のp型不純物は、同時にイオン注入されてもよい。
【0079】
次に、
図13(a)に示すように、マスク処理によりIGBT領域10のp型ベース層15のおもて面側に選択的にn型不純物を注入してn
+型ソース層13を形成する。注入するn型不純物は、例えば、砒素(As)またはリン(P)であってもよい。また、マスク処理により、IGBT領域10のp型ベース層15のおもて面側にp型不純物を選択的に注入してp
+型コンタクト層14を形成し、ダイオード領域20のp型アノード層25のおもて面側にp型不純物を選択的に注入してp
+型コンタクト層24を形成する。注入するp型不純物は、例えばボロン(B)またはアルミニウム(Al)等であってもよい。
【0080】
次に、
図13(b)に示すように、半導体基板のおもて面側からp型ベース層15及びp型アノード層25を貫通し、n
-型ドリフト層1に達するトレンチ8を形成する。IGBT領域10において、n
+型ソース層13を貫通するトレンチ8の側壁は、n
+型ソース層13の一部を含む。IGBT領域10において、p
+型コンタクト層14を貫通するトレンチ8の側壁は、p
+型コンタクト層14の一部を含む。ダイオード領域20において、p
+型コンタクト層24を貫通するトレンチ8の側壁は、p
+型コンタクト層24の一部を含む。
【0081】
例えば、トレンチ8は、半導体基板上にSiO
2などの酸化膜を堆積させた後、マスク処理によってトレンチ8を形成する部分の酸化膜に開口を形成し、開口を形成した酸化膜をマスクとして半導体基板をエッチングすることで形成される。
図13(b)では、IGBT領域10とダイオード領域20とでトレンチ8のピッチを同じにして形成しているが、IGBT領域10とダイオード領域20とでトレンチ8のピッチを異ならせてもよい。トレンチ8のピッチ及び平面視におけるパターンは、マスク処理のマスクパターンにより適宜変更することができる。
【0082】
次に、
図14(a)に示すように、酸素を含む雰囲気中で半導体基板を加熱してトレンチ8の内壁及び半導体基板のおもて面に酸化膜9を形成する。IGBT領域10のトレンチ8に形成された酸化膜9はアクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ絶縁膜11b及びダミートレンチゲート12のダミートレンチ絶縁膜12bとなる。また、ダイオード領域20のトレンチ8に形成された酸化膜9はダイオードトレンチ絶縁膜21bとなる。半導体基板のおもて面に形成された酸化膜9は、トレンチ8に形成された部分を除いて後の工程で除去される。
【0083】
次に、
図14(b)に示すように、トレンチ8内の酸化膜9に、CVD(chemical vapor deposition)などによってn型またはp型の不純物をドープしたポリシリコンを堆積させて、ゲートトレンチ電極11a、ダミートレンチ電極12a及びダイオードトレンチ電極21aを形成する。
【0084】
次に、
図15(a)に示すように、IGBT領域10のアクティブトレンチゲート11のゲートトレンチ電極11a上に層間絶縁膜4を形成する。層間絶縁膜4は、例えば、SiO
2であってもよい。堆積させた層間絶縁膜4となる絶縁膜へのコンタクトホールの形成と、半導体基板のおもて面に形成されている酸化膜9の除去とをマスク処理によって行うことで、
図15(a)の層間絶縁膜4などを形成する。層間絶縁膜4のコンタクトホールは、n
+型ソース層13上、p
+型コンタクト層14上、p
+型コンタクト層24上、ダミートレンチ電極12a上及びダイオードトレンチ電極21a上に形成される。
【0085】
次に、
図15(b)に示すように、半導体基板のおもて面及び層間絶縁膜4上にバリアメタル5を形成し、さらにバリアメタル5の上にエミッタ電極6を形成する。バリアメタル5は、窒化チタンをPVD(physical vapor deposition)やCVDによって成膜することで形成される。
【0086】
エミッタ電極6は、例えば、スパッタリングや蒸着などのPVDによってアルミシリコン合金(Al-Si系合金)をバリアメタル5の上に堆積させて形成されてもよい。また、形成したアルミシリコン合金の上に、無電解めっきや電解めっきでニッケル合金(Ni合金)をさらに形成してエミッタ電極6としてもよい。エミッタ電極6をめっきで形成すると、エミッタ電極6として厚い金属膜を容易に形成することができるので、エミッタ電極6の熱容量を増加させて耐熱性を向上させることができる。なお、PVDでアルミシリコン合金からなるエミッタ電極6を形成した後に、めっき処理でニッケル合金をさらに形成する場合、ニッケル合金を形成するためのめっき処理は半導体基板の裏面側の加工を行った後に実施されてもよい。
【0087】
次に、
図16(a)に示すように半導体基板の裏面側を研削し、半導体基板を設計した所定の厚さに薄板化する。研削後の半導体基板の厚さは、例えば、80μm~200μmであってもよい。
【0088】
次に、
図16(b)に示すように、半導体基板の裏面側からn型不純物を注入しn型バッファ層3を形成する。さらに、半導体基板の裏面側からp型不純物を注入しp型コレクタ層16を形成する。n型バッファ層3はIGBT領域10、ダイオード領域20及び終端領域30などに形成されてもよく、IGBT領域10またはダイオード領域20のみに形成されてもよい。n型バッファ層3は、例えば、リン(P)イオンを注入して形成されてもよいし、プロトン(H
+)を注入して形成されてもよいし、プロトン及びリンの両方を注入して形成されてもよい。プロトンは比較的低い加速エネルギーで半導体基板の裏面から深い位置にまで注入することができる。また、加速エネルギーを変えることでプロトンを注入する深さを比較的容易に変更することができる。このため、n型バッファ層3をプロトンで形成する際に、加速エネルギーを変更しながら複数回注入すると、リンで形成するよりも半導体基板の厚さ方向に厚いn型バッファ層3を形成することができる。
【0089】
また、リンはプロトンと比較して、n型不純物としての活性化率を高くすることができるので、リンでn型バッファ層3を形成すれば、薄板化された半導体基板でも空乏層のパンチスルーを抑制することができる。半導体基板をさらに薄板化するには、プロトン及びリンの両方を注入してn型バッファ層3を形成するのが好ましく、この際には、プロトンはリンよりも裏面から深い位置に注入される。
【0090】
p型コレクタ層16は、例えば、ボロン(B)を注入して形成されてもよい。p型コレクタ層16は、終端領域30にも形成され、終端領域30のp型コレクタ層16がp型終端コレクタ層16aとなる。半導体基板のイオン注入された裏面にレーザーを照射してレーザーアニールすることで、注入されたイオンが活性化してp型コレクタ層16が形成される。
【0091】
半導体基板の裏面から比較的浅い位置にリンが注入されている場合には、レーザーアニールによってリンも同時に活性化される。プロトンは350℃~500℃といった比較的低いアニール温度で活性化されるので、プロトンを注入した場合には、その後にプロトンの活性化のための工程以外で、半導体基板全体が350℃~500℃より高い温度にならないように留意する必要がある。レーザーアニールは、半導体基板の裏面近傍のみを高温にできるため、プロトンを注入した後であってもn型不純物やp型不純物の活性化に用いることができる。
【0092】
次に、
図17(a)に示すように、ダイオード領域20の裏面側にn
+型カソード層26を形成する。n
+型カソード層26は、例えばリン(P)を注入して形成されてもよい。
図17(a)に示すように、IGBT領域10とダイオード領域20との境界からダイオード領域20側に向かって距離U1の位置に、p型コレクタ層16とn
+型カソード層26との境界が位置するように、n型不純物がマスク処理により選択的に裏面側から注入される。n
+型カソード層26を形成するためのn型不純物の注入量は、p型コレクタ層16を形成するためのp型不純物の注入量より多い。n
+型カソード層26の深さはp型コレクタ層16の深さ以上である。n
+型カソード層26が形成される領域は、p型不純物が注入された領域にn型不純物を注入してn型半導体にする必要がある。このため、n
+型カソード層26が形成される領域の全てにおいて、n型不純物の濃度はp型不純物の濃度よりも高い。
【0093】
次に、
図17(b)に示すように、半導体基板の裏面上にコレクタ電極7を形成する。コレクタ電極7は、裏面のIGBT領域10、ダイオード領域20及び終端領域30などの全面に亘って形成される。また、コレクタ電極7は、半導体基板であるn型ウエハの裏面の全面に亘って形成されてもよい。コレクタ電極7は、スパッタリングや蒸着などのPVDによって、アルミシリコン合金(Ai-Si系合金)やチタン(Ti)などを堆積させて形成されてもよく、アルミシリコン合金、チタン、ニッケルまたは金など複数の金属を積層させて形成されてもよい。また、PVDで形成した金属膜上に、無電解めっきや電解めっきで金属膜をさらに形成することによって、コレクタ電極7は形成されてもよい。
【0094】
以上のような工程により半導体装置100は作製される。なお通常、複数の半導体装置100は、1枚のn型ウエハなどの半導体基板にマトリクス状に一体化された状態で作製される。このため、半導体装置100はレーザーダイシングやブレードダイシングにより個々に切り分けられる。
【0095】
<ポリシリコン素子>
図18は、本実施の形態1に係る半導体装置の構成を示す断面図である。本実施の形態1に係る半導体装置は、以上で説明したRC-IGBTと、以下で説明するポリシリコン素子とを備える。
【0096】
図18の半導体装置は、半導体基板51と、第1絶縁膜である下部絶縁膜52と、ポリシリコン素子53と、第2絶縁膜である上部絶縁膜54と、カソード電極55と、アノード電極56とを備える。
【0097】
半導体基板51は、RC-IGBTの構成で説明した半導体基板であり、第1主面であるおもて面51aと、第2主面である裏面51bとを有し、通電領域を含む。通電領域のおもて面51a側には第1電極が設けられ、通電領域の裏面51b側には第2電極が設けられる。本実施の形態1では、通電領域は、RC-IGBTの主電流が通電される
図9のIGBT領域10及びダイオード領域20であり、第1電極は、
図9のエミッタ電極6であり、第2電極は、
図9のコレクタ電極7である。なおここでは便宜上、通電領域、第1電極及び第2電極は、
図9の構成要素であるとして説明したが、
図4、
図5、
図7、
図8などの構成要素であってもよい。
【0098】
ポリシリコン素子53は、半導体基板51のおもて面51a上に下部絶縁膜52を介して設けられている。例えば、ポリシリコン素子53は、IGBT領域10及びダイオード領域20以外の領域、つまり
図1及び
図2の終端領域30及びパッド領域40のような領域に設けられる。下部絶縁膜52は、例えばCVD膜でもよいし、熱酸化膜でもよい。
【0099】
ポリシリコン素子53は、第1導電型の第1領域であるn+型カソード領域53aと、第2導電型の第2領域であるp+型アノード領域53bと、第2導電型の第3領域であるp-型ドリフト領域53cとを含む。n+型カソード領域53a、p+型アノード領域53b、及び、p-型ドリフト領域53cは、下部絶縁膜52上に設けられている。
【0100】
n
+型カソード領域53aの不純物濃度は、
図9のn
+型ソース層13の不純物濃度と同じであってもよいし、p
+型アノード領域53bの不純物濃度は、
図9のp
+型コンタクト層14の不純物濃度と同じであってもよい。p
-型ドリフト領域53cの不純物濃度は、p
+型アノード領域53bの不純物濃度よりも低く、p
-型ドリフト領域53cは、n
+型カソード領域53aとp
+型アノード領域53bとの間に設けられている。
【0101】
上部絶縁膜54は、ポリシリコン素子53の上部を少なくとも覆い、本実施の形態1では、ポリシリコン素子53の下部以外の部分を覆う。また本実施の形態1では、上述した下部絶縁膜52の厚みは、上部絶縁膜54の厚み以下である。上部絶縁膜54は、例えばSiO2などのCVD膜でもよい。上部絶縁膜54は、n+型カソード領域53aを露出するコンタクトホールと、p+型アノード領域53bを露出するコンタクトホールとを有する。
【0102】
カソード電極55は、n+型カソード領域53aを露出するコンタクトホール内でn+型カソード領域53aと電気的に接続される。アノード電極56は、p+型アノード領域53bを露出するコンタクトホール内でp+型アノード領域53bと電気的に接続される。
【0103】
以上のような構成において、ポリシリコン素子53は、面内方向に通電可能なダイオードとして機能する。ポリシリコン素子53は、温度センスダイオードであってもよいし、ツェナーダイオードであってもよい。
【0104】
ここで
図18に示すように、断面視におけるn
+型カソード領域53aの幅、つまり面内方向の長さは、半導体基板51の裏面51bからおもて面51aに向かう方向である上方向に対して変化している。
図18の例では、断面視におけるn
+型カソード領域53aの幅が、上方向に対して連続的に単調に増加することによって、n
+型カソード領域53aは下方向に先細るテーパ形状を有している。
【0105】
<ポリシリコン素子の製造方法>
図19は、本実施の形態1に係るポリシリコン素子53の製造方法を示すフローチャートである。
図19の製造方法は、おもて面51a及び裏面51bを有する半導体基板51を準備した後に行われる。なお、
図19の製造方法を開始する時点で半導体基板51にRC-IGBTが完成されていなくてもよく、ポリシリコン素子53の製造とRC-IGBTの製造とが並行して行われてもよい。
【0106】
ステップS1にて、半導体基板51のおもて面51a上に下部絶縁膜52を形成する。ステップS2にて、下部絶縁膜52上に、ポリシリコン膜を一様に形成する。ポリシリコン膜の厚みは、例えば700nm以下でもよいし、500nm以下でもよい。
【0107】
ステップS3にて、ポリシリコン膜にp型不純物をイオン注入する。p型不純物は、例えばボロン(B)またはアルミニウム(Al)である。ステップS4にて、ポリシリコン膜をエッチングして、ポリシリコン膜の形状を、
図18のポリシリコン素子53の形状に対応させる。ステップS5にて、アニール処理を行い、ポリシリコン膜に注入されたp型不純物をポリシリコン膜中に拡散させる。これにより、ポリシリコン素子53と外形が実質的に同じp
-型のポリシリコン膜を、下部絶縁膜52上に形成する工程が完了する。
【0108】
ステップS6にて、ポリシリコン膜の第1端部にn型不純物をイオン注入する。n型不純物は、例えばヒ素(As)またはリン(P)である。本実施の形態1では、ステップS6のイオン注入に、ポリシリコン膜の中央部から第1端部に向かうにつれて開口率が大きくなるレジストマスクを用いる。この結果として、例えば
図20及び
図21に示すように、n型不純物がイオン注入される領域61aの面積あたりの割合が、ポリシリコン膜61の中央部から第1端部に向かうにつれて大きくなる。
【0109】
ステップS7にて、ポリシリコン膜の第1端部と逆側の第2端部にp型不純物をイオン注入する。これにより、ポリシリコン膜61のうちの離間した第1端部及び第2端部に、n導電型の不純物とp型の不純物とを注入する工程が完了する。
【0110】
ステップS8にて、ポリシリコン膜61を覆う上部絶縁膜54を形成する。ステップS9にて、アニール処理を行い、上部絶縁膜54を平坦化しながら、ポリシリコン膜61の不純物を拡散させることによって、ポリシリコン膜61にn
+型カソード領域53a、p
+型アノード領域53b、及び、p
-型ドリフト領域53cを形成する。ステップS6にて、n型不純物がイオン注入される領域61aの面積あたりの割合が、第1端部に向かうにつれて大きくなっているため、断面視におけるn
+型カソード領域53aの幅は、
図18のように上方向に対して変化する。
【0111】
なお、ステップS9のアニール処理の温度は、例えば700℃以上1100以下、または、800℃以上900℃以下であり、アニール処理の時間は、例えば60分である。ステップS9のアニール処理は、例えばN
2、O
2、H
2の少なくともいずれか1つの雰囲気で行われる。なお、
図16(b)のn型バッファ層3がプロトンのイオン注入によって形成される場合、ステップS9のアニール処理は、n型バッファ層3の形成前に行われることが好ましい。
【0112】
ステップS10にて、上部絶縁膜54にコンタクトホールを形成し、カソード電極55及びアノード電極56を形成する。
【0113】
<実施の形態1のまとめ>
以上のような本実施の形態1に係る半導体装置によれば、断面視におけるn+型カソード領域53aの幅は、半導体基板51の裏面51bからおもて面51aに向かう方向である上方向に対して変化する。このような構成によれば、断面視におけるpn接合の境界が上下方向に対して傾かずに延在する構成よりも、pn接合の接合面積を大きくすることができる。この結果、ポリシリコン素子53が温度センスダイオードである場合には、温度センスダイオードの順方向電圧を低減することができ、ポリシリコン素子53がツェナーダイオードである場合には、ツェナーダイオードの耐圧を高めることができる。
【0114】
また上記の構成によれば、平面視でのポリシリコン素子53の面積を大きくしたり、ポリシリコン素子53の厚みを大きくしたりしなくても、pn接合の接合面積を大きくすることができる。このため、IGBT領域10及びダイオード領域20の少なくともいずれか1つなどの有効領域を低減したり、不純物を拡散する時間を長くしたりしなくても、pn接合の接合面積を大きくすることができる。
【0115】
また本実施の形態1では、下部絶縁膜52の厚みは、上部絶縁膜54の厚み以下である。このような構成によれば、例えばポリシリコン素子53が温度センスダイオードである場合に、温度センスダイオードが半導体基板51に近くなるので、通電領域の素子の温度を正確に検出することができる。
【0116】
また本実施の形態1では、アニール処理によって、上部絶縁膜54を平坦化し、かつ、ポリシリコン膜61にn+型カソード領域53a、p+型アノード領域53b、及び、p-型ドリフト領域53cを形成する。このような構成によれば、n+型カソード領域53aなどの形成のための不純物拡散を行うための専用のアニール処理が不要となるので、製造コストの低減化が期待できる。
【0117】
また本実施の形態1では、ポリシリコン膜61の厚みが500nm以下である。このような構成によれば、ポリシリコン膜61の成膜時間、n+型カソード領域53aなどの形成のための不純物拡散を行うためのアニール時間及びアニール温度を低減できるので、製造コストの低減化が期待できる。
【0118】
<変形例>
実施の形態1では、ステップS6のイオン注入に、ポリシリコン膜の中央部から第1端部に向かうにつれて開口率が大きくなるレジストマスクを用いて、
図20及び
図21に示すように、イオン注入される領域61aの面積あたりの割合を大きくした。しかしながら、断面視にて幅が変化するn
+型カソード領域53aの形成は、これに限ったものではない。例えば、ステップS6にて、ポリシリコン膜の第1端部全体を開口するレジストマスクと斜めイオン注入とを用いて、第1端部にn型不純物を注入してもよい。この場合も、断面視にて幅が変化するn
+型カソード領域53aを形成することができる。また、ステップS6にて、不純物拡散のための熱処理の温度を下げる、または、時間を短くするように調節することで、概ね垂直方向にイオンを注入しても断面視にて幅が変化するn
+型カソード領域53aを形成することができる。
【0119】
また実施の形態1では、断面視におけるn+型カソード領域53aの幅が、上方向に対して連続的に単調に増加することによって、n+型カソード領域53aは下方向に先細るテーパ形状を有していたが、幅の変化はこれに限ったものではない。例えば、断面視におけるn+型カソード領域53aの幅が、上方向に対して階段状に変化してもよい。このような構成によれば、pn接合の接合面積をさらに大きくすることができる。
【0120】
また例えば、断面視におけるn+型カソード領域53aの幅は、上方向に対して増加するのではなく減少してもよい。また例えば、斜めイオン注入などを組み合わせることによって、断面視におけるn+型カソード領域53aの幅は、上方向に対して減少してから増加してもよいし、増加してから減少してもよい。
【0121】
またn
+型カソード領域53aの不純物濃度が、上方向に対して勾配を有してもよい。例えば、実施の形態1の
図18の構成において、n
+型カソード領域53aの不純物濃度が、上方向に対して高くなってもよい。このような構成によれば、pn接合の境界が上下方向に対して傾斜する角度を大きくすることができ、この結果としてpn接合の接合面積をさらに大きくすることができる。
【0122】
また、断面視におけるp+型アノード領域53bの幅が、n+型カソード領域53aの幅と同様に、上方向に対して変化してもよい。このような構成によれば、p-型ドリフト領域53cの幅を実質的に広くすることができるので、ポリシリコン素子53の出力特性の調整範囲を広げることができる。
【0123】
また
図19の構成では、n
+型カソード領域53a及びp
+型アノード領域53bは、ポリシリコン膜61の第1端部及び第2端部にそれぞれ設けられたが、これに限ったものではない。例えば
図22に示すように、平面視において、p
+型アノード領域53bが、p
-型ドリフト領域53cを介してn
+型カソード領域53aを囲んでもよい。
【0124】
また、実施の形態1では、通電領域には、IGBT領域10及びダイオード領域20を有するRC-IGBTが設けられていたが、これに限ったものではない。例えば、通電領域には、IGBT領域10及びダイオード領域20のいずれか1つが設けられてもよいし、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、及び、SBD(Schottky Barrier Diode)、PND(PN junction diode)の少なくともいずれか1つが設けられてもよい。
【0125】
なお、実施の形態の内容を適宜、変形、省略することが可能である。
【0126】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0127】
(付記1)
第1主面及び第2主面を有する半導体基板と、
前記第1主面上に第1絶縁膜を介して設けられたポリシリコン素子と
を備え、
前記半導体基板は、
前記第1主面側に第1電極が設けられ、前記第2主面側に第2電極が設けられた通電領域を含み、
前記ポリシリコン素子は、
前記第1絶縁膜上に設けられた、第1導電型の第1領域、及び、第2導電型の第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域と
を含み、
断面視における前記第1領域の幅が、前記第2主面から前記第1主面へ向かう方向に対して変化する、半導体装置。
【0128】
(付記2)
断面視における前記第1領域の幅が前記方向に対して変化することによって、前記第1領域がテーパ形状を有する、付記1に記載の半導体装置。
【0129】
(付記3)
断面視における前記第1領域の幅が、前記方向に対して階段状に変化する、付記1に記載の半導体装置。
【0130】
(付記4)
前記第1領域の不純物濃度が、前記方向に対して勾配を有する、付記1から付記3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【0131】
(付記5)
前記ポリシリコン素子は、温度センスダイオードまたはツェナーダイオードである、付記1から付記4のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【0132】
(付記6)
前記通電領域は、IGBT領域、及び、ダイオード領域の少なくともいずれか1つである、付記1から付記5のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【0133】
(付記7)
前記ポリシリコン素子の上部を少なくとも覆う第2絶縁膜をさらに備え、
前記第1絶縁膜の厚みは、前記第2絶縁膜の厚み以下である、付記1から付記6のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【0134】
(付記8)
断面視における前記第2領域の幅が、前記方向に対して変化する、付記1から付記7のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【0135】
(付記9)
第1主面及び第2主面を有する半導体基板を準備する工程と、
前記第1主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜上に第2導電型のポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜のうちの離間した部分に、第1導電型の不純物と第2導電型の不純物とを注入する工程と、
前記ポリシリコン膜の上部を少なくとも覆う第2絶縁膜を形成する工程と、
アニール処理によって、前記第2絶縁膜を平坦化し、かつ、前記ポリシリコン膜に、第1導電型の第1領域と、第2導電型の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記第2領域よりも不純物濃度が低い第2導電型の第3領域とを形成する工程とを備え、
断面視における前記第1領域の幅が、前記第2主面から前記第1主面に向かう方向に対して変化する、半導体装置の製造方法。
【0136】
(付記10)
前記ポリシリコン膜の厚みが500nm以下である、付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0137】
6 エミッタ電極、7 コレクタ電極、10 IGBT領域、20 ダイオード領域、51 半導体基板、51a おもて面、51b 裏面、52 下部絶縁膜、53 ポリシリコン素子、53a n+型カソード領域、53b p+型アノード領域、53c p-型ドリフト領域、54 上部絶縁膜、61 ポリシリコン膜。