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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168561
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20241128BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241128BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J29/00 A
G03G21/16 120
G03G21/16 133
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085351
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄一郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H171
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA13
2C056HA28
2C056HA29
2C061AQ05
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB11
2C061BB35
2C061CD03
2C061CD07
2C061CD10
2H171FA01
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA22
2H171GA11
2H171HA03
2H171HA09
2H171HA11
2H171HA23
2H171JA01
2H171JA48
2H171KA05
2H171KA29
2H171SA07
(57)【要約】
【課題】装置に対して移動する移動部を移動させる際の作業性を向上する。
【解決手段】プリントモジュールは、給送モジュール100に接続される接続部分に対して収納された第1位置と、接続部分から突出した第2位置と、に移動可能なメンテナンスユニット209を有し、給送モジュール100は、閉位置と開位置とに移動する上扉ユニット122を有する。上扉ユニット122は、閉位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が第1位置から第2位置に向けて移動するときに上扉ユニット122に当接し、メンテナンスユニット209が第1位置から第2位置に移動することを制限する。上扉ユニット122は、開位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が給送モジュール100に当接せず、メンテナンスユニット209が第1位置と第2位置との間で移動することを許容する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1装置と、
前記第1装置に接続されてシートを搬送し、前記第1装置との間でシートの受け渡しを行う第2装置と、を備え、
前記第1装置は、前記第2装置に接続される接続部分に対して収納された第1位置と、前記接続部分から突出した第2位置と、に移動可能な第1移動部を有し、
前記第2装置は、閉位置と開位置とに移動する第2移動部を有し、
前記第2移動部は、
前記閉位置に位置するときは、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動するときに前記第2移動部に当接し、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に移動することを制限し、
前記開位置に位置するときは、前記第1移動部が前記第2装置に当接せず、前記第1移動部が前記第1位置と前記第2位置との間で移動することを許容する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1移動部は、前記第1装置の装置本体に対して引出可能に装着されたユニットであり、
前記第1位置は、前記第1装置の装置本体に装着された装着位置であり、
前記第2位置は、前記接続部分から突出するように前記第1装置の装置本体から引き出された引出位置である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2移動部は、前記閉位置から前記開位置に移動することにより前記第2装置の内部を露出するカバーである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記カバーは、前記閉位置と前記開位置との間に位置する中間位置に移動可能であり、
前記中間位置は、前記第2装置の内部を露出して前記第2装置の内部のメンテナンスを実行可能とし、かつ、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動するときに前記カバーに当接し、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に移動することを制限する位置である、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第2移動部は、前記第2装置の上部に設けられ、前記閉位置として水平となる水平位置と、前記開位置として前記水平位置に対して上方に回動させた回動位置と、に移動する上面カバーである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2装置は、前記第2移動部を回動可能に支持する筐体を有し、
前記第2移動部は、前記筐体に対し、並列配置された前記第1装置と前記第2装置との並列方向に沿った回動中心線を有する回動軸により上下に回動することで開閉可能に支持されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1装置は、シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置であり、
前記第1移動部は、前記画像形成部を構成するユニットである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記第2装置は、前記画像形成装置にシートを供給するシート供給装置である、
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置やシート供給装置など、複数の装置を機能の異なるモジュールとしてシート搬送方向に連結し、全体として画像形成や形成後の後処理を実行する画像形成システムが開発されている(特許文献1参照)。このような画像形成システムでは、例えば、ジャム(シート詰まり)処理や各種のメンテナンスなどのため、各装置に内蔵されたユニットを装置本体から引き出す場合がある。この場合、例えば、前カバーを開いて引き出せるユニットについては、メンテナンスなどの作業は容易である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-141258号公報
【特許文献2】特開2014-162561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の画像形成システムでは、例えば、画像形成装置の画像形成ユニットなど、装置本体の側面からアクセスするユニット(特許文献2参照)があり、これについては以下の課題が発生する虞がある。即ち、この場合、画像形成装置の側面であるシート搬送方向の上流にはシート供給装置が連結され、下流には定着装置が連結されるなどしており、そのままでは他の装置が邪魔で画像形成ユニットにアクセスできない。このため、画像形成装置と連結された他の装置との連結を解除して離間させ、画像形成装置から画像形成ユニットをシート搬送方向に引き出して、メンテナンスなどを実行し、終了後、再び他の装置を連結するという作業を行う必要がある。同様に、画像形成装置の側面のカバーを開放する場合でも、画像形成装置と連結された他の装置に干渉して開放できないことがあり、その場合も他の装置との連結を解除して離間させる必要がある。このため、これらユニットやカバーのような移動部が、連結された他の装置に干渉する場合にメンテナンスなどの作業性が悪く、多くの労力や時間を要するという課題があった。
【0005】
本発明は、装置に対して移動する移動部を移動させる際の作業性を向上できる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートを搬送する第1装置と、前記第1装置に接続されてシートを搬送し、前記第1装置との間でシートの受け渡しを行う第2装置と、を備え、前記第1装置は、前記第2装置に接続される接続部分に対して収納された第1位置と、前記接続部分から突出した第2位置と、に移動可能な第1移動部を有し、前記第2装置は、閉位置と開位置とに移動する第2移動部を有し、前記第2移動部は、前記閉位置に位置するときは、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に向けて移動するときに前記第2移動部に当接し、前記第1移動部が前記第1位置から前記第2位置に移動することを制限し、前記開位置に位置するときは、前記第1移動部が前記第2装置に当接せず、前記第1移動部が前記第1位置と前記第2位置との間で移動することを許容することを特徴とする画像形成システムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置に対して移動する移動部を移動させる際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る画像形成システムを示す断面図である。
図2】実施の形態に係る給送モジュール、プリントモジュール、乾燥モジュールを示す斜視図である。
図3】(a)は、実施の形態に係る給送モジュール及びプリントモジュールにおいて、上扉ユニットを閉位置に位置させ、メンテナンスユニットを装着位置に位置させた状態を示す斜視図である。(b)は、実施の形態に係る給送モジュール及びプリントモジュールにおいて、上扉ユニットを閉位置に位置させ、メンテナンスユニットを引き出して上扉ユニットに干渉した状態を示す斜視図である。
図4】(a)は、実施の形態に係る給送モジュール及びプリントモジュールにおいて、上扉ユニットをメンテナンス位置に位置させ、メンテナンスユニットを引き出して上扉ユニットに干渉した状態を示す斜視図である。(b)は、実施の形態に係る給送モジュール及びプリントモジュールにおいて、上扉ユニットを開位置に位置させ、メンテナンスユニットを引出位置まで引き出した状態を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係る上扉ユニットの支持機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図1図5を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録システム1に適用した場合について説明している。図1は、インクジェット記録システム1の概略構成の一例を示す模式図である。このインクジェット記録システム1は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する記録物を製造する枚葉式のインクジェット記録システムである。図1に示すように、インクジェット記録システム1は、給送モジュール100、プリントモジュール200、乾燥モジュール300、定着モジュール400、冷却モジュール500、反転モジュール600、排出モジュール700から構成されている。給送モジュール100から供給されるカット紙状のシートSは、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排出モジュール700で排出される。
【0010】
給送モジュール100は、第2装置及びシート供給装置の一例であり、プリントモジュール200に接続されてシートを搬送することで、プリントモジュール200にシートを供給し、プリントモジュール200との間でシートの受け渡しを行う。シートSを収容する3つの収納庫111,112,113を有している。各収納庫111,112,113は、装置正面側へ引き出し可能な構成になっている。シートSは、各収納庫111,112,113において不図示の分離ベルトおよび搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール200へ搬送される。なお、収納庫111,112,113は3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成であってもよい。
【0011】
プリントモジュール200は、第1装置及び画像形成装置の一例であり、不図示の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230を有し、シートを搬送する。給送モジュール100から搬送されたシートSは、作像前レジ補正部によりシートの傾きや位置が補正されプリントベルトユニット220へ搬送される。記録部230は、搬送経路に対し、プリントベルトユニット220と対向する位置に配置されている。記録部230は、画像形成部の一例であり、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッドによりシートS上に記録処理(印字)を行なって画像を形成する。記録ヘッドは搬送方向に沿って複数並べられている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有している。なお、色数および記録ヘッドの数は5つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッドに供給される。記録部230で印字されたシートSは、プリントベルトユニット220により吸着搬送されることにより、記録ヘッドとのクリアランスを確保しつつ搬送される。記録部230で印字されたシートSは、記録部のシート搬送方向下流側に配置された不図示のインラインスキャナによりシートSに形成された画像のズレや色濃度が検出される。検出結果は印刷画像の補正に利用される。
【0012】
乾燥モジュール300は、デカップリング部320、乾燥ベルトユニット330、温風吹付部340を有しており、プリントモジュール200の記録部230でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクの定着性を高める。プリントモジュール200の記録部230で印字されたシートSは、乾燥モジュール300のシート搬送方向上流側に配置されたデカップリング部320に搬送される。デカップリング部320では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートSを搬送することができ、ベルト上のシートSを弱く保持して搬送することで、インク像を形成するプリントベルトユニット220上のシートSのズレを防ぐ。乾燥ベルトユニット330はベルトの下方に、温風吹付部340はベルトの上方に、ベルトを挟んで対向して配置されている。デカップリング部320から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット330にて吸着搬送されると同時に、温風吹付部340から熱風を受けてインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートSの表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0013】
定着モジュール400は、定着ベルトユニット410を有している。定着ベルトユニット410は上ベルトユニットと下ベルトユニットとを有しており、乾燥モジュール300から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インクをシートSに定着させることができる。
【0014】
冷却モジュール500は、冷却部501を複数有しており、定着モジュール400からシート搬送路を搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部501は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートSに当てることにより、シートSを冷却するように構成されている。冷却部501は、搬送経路に対し上側と下側の両方に配置され、シートSを両面から冷却する。
【0015】
また、冷却モジュール500は搬送経路切替部を有しており、シートSを反転モジュール600に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合とに応じて、シートSの搬送経路を切り替えることができる。両面印刷時には、シートSは冷却モジュール500の下部の搬送経路に搬送される。この場合、冷却モジュール500から、定着モジュール400、乾燥モジュール300、プリントモジュール200、給送モジュール100の両面搬送経路に沿って更に搬送される。定着モジュール400の両面搬送経路には、シートSの表裏を反転させる第1反転部420が設けられている。そして、再度、給送モジュール100から、プリントモジュール200の作像前レジ補正部、プリントベルトユニット220、記録部230へ搬送され、記録部230で印字される。
【0016】
反転モジュール600は第2反転部640を有し、搬送されるシートSの表裏を反転させることができ、排出されるシートSの表裏向きを変更することができる。排出モジュール700は、トップトレイ720と積載部750を有し、反転モジュール600から搬送されたシートSを整列積載する。
【0017】
[給送モジュールとプリントモジュール]
次に、給送モジュール100及びプリントモジュール200の構成について、図2図5を用いて説明する。図2は、給送モジュール100がプリントモジュール200に連結された状態を示す概略図である。尚、図2中、インクジェット記録システム1の手前側を前方向F、背面側を後方向B、向かって右側を右方向R、向かって左側を左方向L、上側を上方向U、下側を下方向Dと表記する。給送モジュール100は、プリントモジュール200の側面(図2では右側面)に連結されている。
【0018】
プリントモジュール200には、メンテナンス時に給送モジュール100が連結されている右側面方向に引き出されるメンテナンスユニット209が内部に設けられている。メンテナンスユニット209は、第1移動部の一例であり、本実施形態では、記録部230など、画像形成部を構成するユニットである。メンテナンスユニット209は、給送モジュール100に接続される接続部分に対して収納された装着位置(図3(a)参照)と、接続部分から突出してメンテナンス可能な状態になる引出位置(図4(b)参照)と、に移動可能に設けられている。即ち、メンテナンスユニット209は、プリントモジュール200の装置本体に対して引出可能に装着されたユニットである。
【0019】
メンテナンスユニット209の装着位置は、第1位置の一例であり、プリントモジュール200の装置本体に装着された位置である。メンテナンスユニット209の引出位置は、第2位置の一例であり、接続部分から突出するようにプリントモジュール200の装置本体から引き出された位置である。ここで、本実施形態では、プリントモジュール200と給送モジュール100との接続部分とは、例えば、仮想的な平面又は曲面である境界面としている。即ち、ここでの接続部分とは、プリントモジュール200と給送モジュール100とを接続するボルトなどの締結部材や接続構成そのものを意味するものではない。
【0020】
給送モジュール100は、閉位置とメンテナンス位置と開位置とに移動する上扉ユニット122を上部に有している。上扉ユニット122をメンテナンス位置又は開位置に位置させることにより、給送モジュール100の内部を露出して内部のメンテナンスを実行可能とする。即ち、上扉ユニット122は第2移動部の一例であり、上扉ユニット122の下方にあるシート搬送路123(図4(a)参照)に対して、搬送に失敗したシートを取り出すなどのジャム処理を行う場合に、手動で開閉するようになっている。
【0021】
本実施形態では、上扉ユニット122はカバー又は上面カバーの一例であり、閉位置として水平となる水平位置(図3(a)参照)と、開位置として水平位置に対して上方に回動させた回動位置(図4(b)参照)と、に移動する。上扉ユニット122は、閉位置から開位置に移動することにより給送モジュール100の内部を露出する。また、上扉ユニット122は、閉位置と開位置との間に位置する中間位置であるメンテナンス位置(図4(a)参照)にも移動可能である。
【0022】
図5は、上扉ユニット122の本体後方部の一部を示した概略図である。図5に示すように、給送モジュール100は、上扉ユニット122を回動可能に支持する筐体101を有している。上扉ユニット122は、筐体101に対し、並列配置されたプリントモジュール200と給送モジュール100との並列方向に沿った回動中心線を有する回動軸102により上下に回動することで開閉可能に支持されている。閉位置に位置する上扉ユニット122は、メンテナンスユニット209が配置された高さに配置されている。
【0023】
図5に示す状態では、上扉ユニット122は約30°~45°開いたメンテナンス位置に位置している。このとき、上扉ユニット122はメンテナンス位置より大きく回動しようとしても、ストッパ部材124によって制限されている。上扉ユニット122をメンテナンス位置から開位置に回動する場合は、上扉ユニット122のカバー141(図4(a)参照)や、給送モジュール100のカバー140(図4(a)参照)を外す。その上で、上扉ユニット122を略鉛直な開位置まで開こうとした場合に、メンテナンス位置以上に開かないようにしているストッパ部材124を給送モジュール100から取り外す。その上で、上扉ユニット122を手動で開く。
【0024】
[メンテナンスユニットの移動]
次に、メンテナンスユニット209の引出動作について、図3(a)~図4(b)を用いて説明する。図3(a)は、メンテナンスユニット209と給送モジュール100とを示す概略図である。メンテナンスユニット209は、実際にはプリントモジュール200に存在する枠体に支持及び固定されているが、図3ではメンテナンスユニット209以外のプリントモジュール200の構成を説明のため省略している。
【0025】
メンテナンスユニット209は、プリントモジュール200のカバーを外した状態で、給送モジュール100側にスライドして移動させることができる。あるいは、カバーがプリントモジュール200と一体化されている場合は、カバーと共に移動できる。しかしながら、図3(b)に示すように、給送モジュール100に対して、そのままメンテナンスユニット209をスライドさせようとしても、メンテナンスユニット209は閉位置に位置する上扉ユニット122に当接してしまう位置関係になっている。このように、上扉ユニット122は、閉位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が装着位置から引出位置に向けて移動するときに上扉ユニット122に当接し、メンテナンスユニット209が装着位置から引出位置に移動することを制限する。尚、図3(b)では、メンテナンスユニット209と上扉ユニット122とが重なって示されているが、実際には互いに干渉するため重ならない。
【0026】
図4(a)は、給送モジュール100の上扉ユニット122を、ジャム処理を行う場合にメンテナンス位置まで開いた状態と、メンテナンスユニット209をスライドさせたとした場合の概略図である。この状態においても、上扉ユニット122はメンテナンスユニット209と当接してしまう関係にある。即ち、上扉ユニット122は、メンテナンス位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が装着位置から引出位置に向けて移動するときに上扉ユニット122に当接し、メンテナンスユニット209が装着位置から引出位置に移動することを制限する。尚、図4(a)においても、メンテナンスユニット209と上扉ユニット122とが重なって示されているが、実際には互いに干渉するため重ならない。
【0027】
図4(a)は、給送モジュール100の上扉ユニット122を、メンテナンス位置よりも、さらに回動させて開位置に位置させたときの概略図である。このように上扉ユニット122を閉位置から約90°にまで開くことで、メンテナンスユニット209は給送モジュール100が存在する方向にスライド可能となる。即ち、上扉ユニット122は、開位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が給送モジュール100に当接せず、メンテナンスユニット209が装着位置と引出位置との間で移動することを許容する。つまり、メンテナンスユニット209をスライドして、プリントモジュール200のメンテナンスを行うときに、給送モジュール100を、プリントモジュール200から離間させる必要がなく、メンテナンス作業の作業量を削減可能である。
【0028】
上述したように、本実施形態によれば、上扉ユニット122は、開位置に位置するときは、メンテナンスユニット209が給送モジュール100に当接せず、メンテナンスユニット209が装着位置と引出位置との間で移動することを許容する。このため、メンテナンスユニット209をメンテナンス可能な位置まで引き出すことができるので、プリントモジュール200のメンテナンス時に、給送モジュール100をプリントモジュール200から離間する必要がなくなり、メンテナンス性が向上する。これにより、労力の削減や作業時間の短縮化を図り、装置に対して移動する移動部を移動させる際の作業性を向上することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、上扉ユニット122は、閉位置と開位置の間のメンテナンス位置にも移動可能になっている。このため、開位置まで大きく回動させなくても給送モジュール100のメンテナンスを行うことができるので、給送モジュール100のメンテナンスに関して高い作業性を維持することができる。
【0030】
尚、上述した実施形態では、上扉ユニット122は、閉位置と開位置との間のメンテナンス位置に移動可能である場合について説明したが、これには限られず、閉位置と開位置のみに移動可能であるようにしてもよい。この場合でも、開位置において給送モジュール100のメンテナンスを実行することができる。
【0031】
また、上述した実施形態では、上扉ユニット122は、回動軸102により回動可能に支持される場合について説明したが、これには限られず、スライド移動するようにしてもよい。また、上述した実施形態では、第2移動部として上扉ユニット122を適用した場合について説明したが、これには限られず、例えばADFなどの読取装置を適用するようにしてもよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、第1移動部としてメンテナンスユニット209を適用した場合について説明したが、これには限られない。例えば、プリントモジュール200の側面に設けられた開閉カバーであってもよい。この場合、上扉ユニット122を開位置に位置させることで、開閉カバーの開閉が許容される。
【0033】
また、上述した実施形態では、第2装置を給送モジュール100に適用した場合について説明したが、これには限られず、プリントモジュール200の上流又は下流に接続された後処理装置などの他のモジュールに適用してもよい。更に、第1装置をプリントモジュール200に適用した場合について説明したが、これには限られず、他のモジュールに適用してもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、画像形成システムをインクジェット記録方式のインクジェット記録システム1に適用した場合について説明したが、これには限られず電子写真方式の画像形成装置に適用してもよい。この場合、第1移動部としては、例えば、中間転写ベルトユニットやプロセスユニットなどを適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…インクジェット記録システム(画像形成システム)、100…給送モジュール(第2装置、シート供給装置)、101…筐体、102…回動軸、122…上扉ユニット(第2移動部、カバー、上面カバー)、200…プリントモジュール(第1装置、画像形成装置)、209…メンテナンスユニット(第1移動部)、230…記録部(画像形成部)
図1
図2
図3
図4
図5