(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168563
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】給湯器
(51)【国際特許分類】
F24H 15/196 20220101AFI20241128BHJP
F24H 1/12 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/18 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/32 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20241128BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20241128BHJP
【FI】
F24H15/196 301Q
F24H1/12 B
F24H15/196 301E
F24H15/18
F24H15/219
F24H15/238
F24H15/32
F24H15/31
F24H15/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085356
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】星崎 心吾
【テーマコード(参考)】
3L024
3L034
【Fターム(参考)】
3L024CC19
3L024DD22
3L024GG04
3L024GG05
3L024GG37
3L024HH14
3L024HH19
3L024HH26
3L034BA22
3L034BB02
3L034CA03
3L034DA06
(57)【要約】
【課題】高温差し湯中に給湯栓を使用した場合に給湯栓から高温の湯水が出湯するのを防止できる給湯器を提供する。
【解決手段】給湯器のコントローラは、差し湯流路に設けた高温差し湯水電磁弁を開放して浴槽への差し湯を行う差し湯状態で(S21,S22)、給湯栓水量センサで給湯栓の使用を検知した場合(S23:YES)、第1制御を実行する。第1制御では、バーナによる加熱を停止する(S27)と共に、出湯流路に設けた水量制御モータにおける水量を通常時の所定水量よりも多い割増水量に調節する(S28)。これにより給湯器は、給湯器内部に残った高温水を浴槽に流すことができるので、給湯栓から高温水が出湯するのを防止できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部により通水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器の入口に接続される入水流路と、前記熱交換器の出口に接続され、前記熱交換器で加熱された湯水を給湯栓に導出する出湯流路と、前記熱交換器をバイパスするように前記入水流路と前記出湯流路とに接続されるバイパス流路とを備え、前記熱交換器で加熱された湯水を浴槽に供給可能な給湯器において、
前記入水流路に設けられ、前記入水流路を流れる水量を調節する水量調節部と、
前記出湯流路の前記バイパス流路との接続部よりも上流側の第1分岐部で分岐し、第1電磁弁によって開閉され、前記浴槽への差し湯用の湯水が流れる差し湯流路と、
前記出湯流路の前記接続部よりも下流側の第2分岐部で分岐し、第2電磁弁によって開閉され、前記浴槽への湯張り用の湯水が流れる湯張流路と、
前記差し湯流路及び前記湯張流路の双方に通じると共に下流側に向けて延設され、前記浴槽に通じる出口流路と、
前記出湯流路における前記第1分岐部と前記接続部との間に設けられ、前記接続部側から前記第1分岐部側に向かう湯水の逆流を防止する為の逆止弁と、
前記給湯栓の使用の有無を検知する使用検知部と、
前記加熱部、前記水量調節部、前記第1電磁弁、及び前記第2電磁弁の夫々の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1電磁弁を開放して前記浴槽への差し湯を行う差し湯状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用を検知した場合、前記加熱部による加熱を停止すると共に、前記水量調節部における水量を通常時の所定水量よりも多い割増水量に調節する第1制御を実行すること
を特徴とする給湯器。
【請求項2】
前記出湯流路における前記第1分岐部よりも上流側に設けられ、前記出湯流路を流れる湯水の温度を検出する第1サーミスタと、
前記制御部が前記第1制御を実行中において、前記第1サーミスタが検出した温度が設定温度まで低下したか判断する低下判断部と
を備え、
前記制御部は、前記低下判断部が、前記温度が前記設定温度まで低下したと判断された場合に、前記第1制御の状態から、前記第1電磁弁を閉じると共に、前記水量調節部における水量を前記所定水量にまで絞る第2制御を実行すること
を特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【請求項3】
前記給湯栓を流れる湯水の水量を検出する給湯栓水量センサを備え、
前記制御部は、前記第2制御を実行している状態で、前記給湯栓水量センサが前記加熱部による加熱を許可する所定流量以上の流量を検知した場合、前記加熱部による加熱を開始する第3制御を実行すること
を特徴とする請求項2に記載の給湯器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1制御又は前記第2制御を実行している状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用の終了を検知した場合、前記加熱部による加熱を開始すると共に、前記第1電磁弁を開放する第4制御を実行し、
前記第3制御を実行している状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用の終了を検知した場合、前記第1電磁弁を開放する第5制御を実行すること
を特徴とする請求項3に記載の給湯器。
【請求項5】
前記給湯栓を流れる湯水の水量を検出する給湯栓水量センサと、
前記出湯流路における前記接続部よりも下流側に設けられ、前記出湯流路を流れる湯水の温度を検出する第2サーミスタと
を備え、
前記使用検知部は、前記給湯栓水量センサ及び前記第2サーミスタのうち少なくとも何れか一方の検出値に基づき、前記給湯栓の使用の有無を検知すること
を特徴とする請求項1に記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高温差し湯使用中にも一般給湯を使える給湯器が知られている(例えば特許文献1参照)。この給湯器では、バイパス管に備えられた閉止機能を備えないバイパス率制御弁と、出湯管に備えられた逆流防止弁(逆止弁)との相互作用により入水量が少ないほどバイパス率が高くなることを利用して、高温差し湯中に台所等の一般給湯系が開かれたときには、直ちに通常より高いバイパス率でミキシングすることで、高温の湯水を水で薄めて温度を下げた状態で出湯を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の給湯器では、入水圧が低い場合は逆流防止弁から一般給湯系に流れる高温の湯水が多くなるが、バイパス率は変わらないことから、高温の湯水を水で十分に薄めることが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、高温差し湯中に給湯栓を使用した場合に給湯栓から高温の湯水が出湯するのを防止できる給湯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の給湯器は、加熱部により通水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器の入口に接続される入水流路と、前記熱交換器の出口に接続され、前記熱交換器で加熱された湯水を給湯栓に導出する出湯流路と、前記熱交換器をバイパスするように前記入水流路と前記出湯流路とに接続されるバイパス流路とを備え、前記熱交換器で加熱された湯水を浴槽に供給可能な給湯器において、前記入水流路に設けられ、前記入水流路を流れる水量を調節する水量調節部と、前記出湯流路の前記バイパス流路との接続部よりも上流側の第1分岐部で分岐し、第1電磁弁によって開閉され、前記浴槽への差し湯用の湯水が流れる差し湯流路と、前記出湯流路の前記接続部よりも下流側の第2分岐部で分岐し、第2電磁弁によって開閉され、前記浴槽への湯張り用の湯水が流れる湯張流路と、前記差し湯流路及び前記湯張流路の双方に通じると共に下流側に向けて延設され、前記浴槽に通じる出口流路と、前記出湯流路における前記第1分岐部と前記接続部との間に設けられ、前記接続部側から前記第1分岐部側に向かう湯水の逆流を防止する為の逆止弁と、前記給湯栓の使用の有無を検知する使用検知部と、前記加熱部、前記水量調節部、前記第1電磁弁、及び前記第2電磁弁の夫々の駆動を制御する制御部と
を備え、前記制御部は、前記第1電磁弁を開放して前記浴槽への差し湯を行う差し湯状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用を検知した場合、前記加熱部による加熱を停止すると共に、前記水量調節部における水量を通常時の所定水量よりも多い割増水量に調節する第1制御を実行することを特徴とする。
【0007】
請求項2の給湯器は、前記出湯流路における前記第1分岐部よりも上流側に設けられ、前記出湯流路を流れる湯水の温度を検出する第1サーミスタと、前記制御部が前記第1制御を実行中において、前記第1サーミスタが検出した温度が設定温度まで低下したか判断する低下判断部とを備え、前記制御部は、前記低下判断部が、前記温度が前記設定温度まで低下したと判断された場合に、前記第1制御の状態から、前記第1電磁弁を閉じると共に、前記水量調節部における水量を前記所定水量にまで絞る第2制御を実行してもよい。
【0008】
請求項3の給湯器は、前記給湯栓を流れる湯水の水量を検出する給湯栓水量センサを備え、前記制御部は、前記第2制御を実行している状態で、前記給湯栓水量センサが前記加熱部による加熱を許可する所定流量以上の流量を検知した場合、前記加熱部による加熱を開始する第3制御を実行してもよい。
【0009】
請求項4の給湯器の前記制御部は、前記第1制御又は前記第2制御を実行している状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用の終了を検知した場合、前記加熱部による加熱を開始すると共に、前記第1電磁弁を開放する第4制御を実行し、前記第3制御を実行している状態で、前記使用検知部が前記給湯栓の使用の終了を検知した場合、前記第1電磁弁を開放する第5制御を実行してもよい。
【0010】
請求項5の給湯器は、前記給湯栓を流れる湯水の水量を検出する給湯栓水量センサと、前記出湯流路における前記接続部よりも下流側に設けられ、前記出湯流路を流れる湯水の温度を検出する第2サーミスタとを備え、前記使用検知部は、前記給湯栓水量センサ及び前記第2サーミスタのうち少なくとも何れか一方の検出値に基づき、前記給湯栓の使用の有無を検知してもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の給湯器によれば、給湯器内部に残った高温水を浴槽に流すことができ、給湯器内に残った高温水を早急に排出できるので、給湯栓から高温水が出湯するのを防止できる。さらにバイパス流路への水量を増やすことができるので、出湯流路のバイパス流路との接続部において出湯流路を流れる高温水に水が十分に混合されることで、給湯栓から高温水が出湯するのを防止できる。
【0012】
請求項2の給湯器によれば、第1サーミスタが検出する温度が設定温度近くまで低下した場合、第1制御から第2制御に切り替えて実行することで、浴槽に低温水が流れ込むのを防止できる。
【0013】
請求項3の給湯器によれば、第2制御を実行している状態で、給湯栓から所定流量以上の湯水が出湯される場合は、第3制御で加熱部による加熱を再開するので、給湯栓から低温水が出るのを防止できる。
【0014】
請求項4の給湯器によれば、第1制御又は第2制御を実行している途中で給湯栓の使用終了を検知した場合は第4制御を実行し、第3制御を実行している途中で給湯栓の使用終了を検知した場合は第5制御を実行することにより、浴槽への差し湯を再開する。これにより、第1制御で加熱部の加熱が停止したことに起因する浴槽の使い勝手への影響を最小限にできる。
【0015】
請求項5の給湯器によれば、何等かの原因で給湯栓水量センサが故障して給湯栓の使用を検知できなかったとしても、第2サーミスタによって給湯栓の使用を検知できるので、第1制御を良好に実行できる。それ故、給湯器において給湯栓からの高温水の出湯を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に記載される機械構成及び制御処理などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0018】
図1を参照し、給湯器1の内部の回路構成について説明する。給湯器1は筐体(図示略)の内部に給湯回路2、風呂回路3、コントローラ100、リモコン101を備える。
【0019】
給湯回路2の構成について説明する。給湯回路2は、入水流路5、バーナ6,7、熱交換器8、出湯流路9、バイパス流路10を備える。入水流路5の水入口13は筐体の下部に設けられる。入水流路5における水入口13の近傍には水抜き栓16が設けられる。水抜き栓16にはストレーナ16Aが設けられる。水抜き栓16よりも下流側には、上流側から順に、分岐部31,32が設けられる。分岐部31では入水流路5から給圧流路12へ分岐し、分岐部32では入水流路5からバイパス流路10へ分岐する。分岐部31と32の間には、水量制御モータ17が設けられる。
【0020】
バーナ6,7と熱交換器8は燃焼室200に設けられる。ガス流路11のガス入口15は筐体の下部に設けられる。ガス流路11はガス入口15から燃焼室200に向かって延び、その途中で分岐流路11Aと11Bに分岐する。分岐流路11Aはバーナ6に向かって延び、分岐流路11Bはバーナ7に向かって延びる。ガス流路11におけるガス入口15の近傍には元ガス電磁弁24が設けられ、その下流側で且つ分岐流路11Aと11Bに分岐する位置よりも上流側にはガス比例弁25が設けられる。分岐流路11Aにはガス電磁弁26Aが設けられ、分岐流路11Bにはガス電磁弁26Bが設けられる。バーナ7の燃焼面の近傍には、イグナイタ18の点火プラグ18Aが設けられる。バーナ6の燃焼面とバーナ7の燃焼面との間には、火炎検出用のフレームロッド27が設けられる。
【0021】
熱交換器8はバーナ6,7の上方に設けられる。熱交換器8の入口には入水流路5の下流側一端部が接続される。熱交換器8はバーナ6,7からの燃焼排気中の熱を回収して通水を加熱する。燃焼室200の上部には排出口201が設けられる。排出口201は熱交換器8を通過した燃焼排気を外部に排出する。燃焼室200の下部には燃焼ファン19が設けられる。燃焼ファン19は燃焼室200の外側から燃焼用の空気を取り込む。出湯流路9は熱交換器8の出口に接続され、その下流側一端部は給湯栓14に接続される。
【0022】
出湯流路9には、湯水が流れる上流側から順に、熱交換器サーミスタ20、分岐部33、給湯逆止弁21、合流部34、出湯サーミスタ22、分岐部35、給湯栓水量センサ23が設けられる。熱交換器サーミスタ20は、熱交換器8の出口直後の湯水の温度を検出する。バイパス流路10は、入水流路5の分岐部32と出湯流路9の合流部34との間に接続される。出湯サーミスタ22は、出湯流路9においてバイパス流路10との合流部34の下流側に設けられ、バイパス流路10内の通水と混合後の湯水の温度を検出する。分岐部33では出湯流路9から後述の差し湯流路42に分岐する。
【0023】
風呂回路3の構成について説明する。風呂回路3は、湯張流路41、差し湯流路42、出口流路49、水抜き路43を備える。湯張流路41は出湯流路9の分岐部35から浴槽40側に分岐する。湯張流路41には、浴槽40への湯張り用の湯水が流れる。湯張流路41には、落し込み水電磁弁44が設けられる。差し湯流路42は分岐部33から浴槽40側に分岐する。差し湯流路42には、浴槽40への差し湯水が流れる。差し湯流路42には、過圧逃し弁兼水抜栓57と高温差し湯水電磁弁58が設けられる。湯張流路41の下流側一端部と差し湯流路42の下流側一端部とは合流部55で接続する。出口流路49は合流部55と浴槽40に設けられた湯出口40Aとの間に接続され、湯張流路41と差し湯流路42との双方に通じる。出口流路49には、上流側から浴槽40側に向かって順に、2つの逆止弁45,46,風呂出口サーミスタ47、圧力緩衝弁48が設けられる。風呂出口サーミスタ47は、浴槽40に供給される湯水の温度を検出する。
【0024】
出口流路49において、逆止弁45と46の間には分岐部56が設けられる。分岐部56には水抜き路43が接続される。水抜き路43の下流側一端部は縁切弁50の風呂側に接続される。入水流路5の分岐部31に接続された給圧流路12の下流側一端部は縁切弁50の給湯側に接続される。縁切弁50には排水管51が設けられる。給湯器1では、通常給湯回路2の方が風呂回路3よりも水圧が高いため、縁切弁50は常時閉じられている。仮に風呂回路3側の水圧が高くなって逆止弁46を逆流したとしても、その逆流水は水抜き路43を通過して縁切弁50を開く方向に作用する。よって、逆流水は縁切弁50から排水管51を介して外部に排出される。
【0025】
コントローラ100は図示外のCPU、ROM、RAM等を備え、給湯器1の動作を制御する。コントローラ100には、上記の水量制御モータ17、イグナイタ18、燃焼ファン19、熱交換器サーミスタ20、出湯サーミスタ22、給湯栓水量センサ23、元ガス電磁弁24、ガス比例弁25、ガス電磁弁26A,26B、フレームロッド27、落し込み水電磁弁44、風呂出口サーミスタ47、高温差し湯水電磁弁58等が電気的に接続される。リモコン101はコントローラ100に接続される。リモコン101には、図示外の運転スイッチ、湯張りスイッチ、設定温度の変更ボタン等の操作部及び運転状態の表示部等が設けられる。なお、これらの操作部及び表示部はコントローラ100に設けてもよい。
【0026】
図2を参照し、給湯制御処理について説明する。使用者が給湯栓14を開くと、水入口13から流入した水が入水流路5を流れ、熱交換器8に向かう。入水流路5に設けられたトータル水量センサ(図示略)は入水流路5における水量に応じて周波数の信号を出力する。コントローラ100のCPUは、トータル水量センサから出力される周波数の信号が規定周波数に達したことを感知すると、ROMに記憶する給湯制御プログラムを読出し、本処理を実行する。
【0027】
CPUは燃焼ファン19を回転させる(S1)。燃焼ファン19を回転させてプリパージ後、CPUは元ガス電磁弁24とガス電磁弁26A,26Bを同時に開き(S2)、ガス比例弁25の緩点火動作を開始する(S3)。これにより、バーナ6,7にガスが供給されるので、CPUはイグナイタ18を駆動し(S4)、点火プラグ18Aを連続放電させてバーナ6,7に点火する。CPUはフレームロッド27が火炎を検知したか否か判断する(S5)。火炎を検知した場合(S5:YES)、CPUは緩点火動作を終了して(S6)、ガスの比例制御を開始する(S7)。
【0028】
ガスの比例制御では、出湯サーミスタ22で検出された湯温と設定温度とに差があると、CPUはそれを認識し、ガス電磁弁26A,26Bの開閉及びガス比例弁25によってガス量を連続的に変化させて熱交換器8の出口温度を一定に保持する。また、水量制御モータ17により適切な水量に調節することにより、常時安定した出湯温度を保持する。さらに、ガス比例弁25によるガス量の変化に応じて、CPUは燃焼ファン19のモータへ信号を送り、常時ガス量と空気量の関係を一定に保持する。なお、フレームロッド27で火炎を検知しなかった場合(S5:NO)、CPUはリモコン101の表示部に失火のエラー表示を行い(S12)、本処理を終了する。
【0029】
次いで、CPUは入水流路5に設けられたトータル水量センサが出力する周波数の信号に基づき、給湯栓14が閉じられたか否か判断する(S8)。給湯栓14が開いている間は(S8:NO)、CPUはS8に戻ってガスの比例制御を継続する。給湯栓14が閉じられると(S8:YES)、トータル水量センサが出力する周波数の信号が無くなるので、CPUは元ガス電磁弁24、ガス電磁弁26A,26B、ガス比例弁25を閉じる(S9)。これでバーナ6,7が消火するので、CPUはポストパージを実行する(S10)。ポストパージがタイムアップするとCPUは燃焼ファン19を停止し(S11)、本処理を終了する。このようにして給湯動作は終了する。
【0030】
図3を参照し、ふろ制御処理について説明する。使用者がリモコン101のふろ自動スイッチ(図示略)を押すと、CPUはROMに記憶するふろ制御プログラムを読出し、本処理を実行する。
【0031】
CPUは落し込み水電磁弁44を開き(S11)、給湯燃焼動作を開始する(S12)。給湯燃焼動作とは、
図2のS1~S7までの動作であり、バーナ6,7にガスを供給して燃焼することにより熱交換器8で通水を加熱して出湯流路9に湯水を供給する動作である。落し込み水電磁弁44を開いたことで、出湯流路9を流れる湯水は分岐部35から湯張流路41に流入する。湯水は湯張流路41及び出口流路49に沿って流れ、逆止弁45,46を通過して湯出口40Aから浴槽40内に流入する。このようにしてCPUはふろ自動運転を実行する。
【0032】
CPUはふろ自動運転動作中に給湯栓水量センサ23から出力される周波数の信号に基づき、給湯栓14が開かれたか否か判断する(S13)。給湯栓14が閉じている状態であれば(S13:NO)、CPUはトータル水量センサで検出したこれまでの水量の積算値が落し込み水設定湯量に到達したか否か判断する(S17)。落し込み水設定湯量に到達するまでは(S17:NO)、CPUはS13に戻って引き続きふろ自動運転を継続する。
【0033】
そして、ふろ自動運転動作中に給湯栓14が開かれた場合(S13:YES)、CPUは落し込み水電磁弁44を閉じ(S14)、ふろ自動運転を中断すると共に一般の給湯動作に切り替える。続いてCPUは給湯栓14が閉じられたか否か判断する(S15)。給湯栓14が閉じるまでは(S15:NO)、CPUは給湯動作を引き続き継続する。給湯栓14が閉じられた場合(S15:YES)、CPUは落し込み水電磁弁44を再度開き(S16)、ふろ自動運転を再開する。
【0034】
そして、これまでの水量の積算値が落し込み水設定湯量に到達した場合(S17:YES)、CPUは落し込み水電磁弁44を閉じる(S18)。これによりトータル水量センサからの周波数の信号が無くなるので、CPUは給湯燃焼動作を停止し(S19)、本処理を終了する。
【0035】
図4~
図6を参照し、差し湯制御処理について説明する。使用者がリモコン101の差し湯スイッチ(図示略)を長押しすると、CPUはROMに記憶する差し湯制御プログラムを読出し、本処理を実行する。
【0036】
CPUは高温差し湯水電磁弁58を開き(S21)、給湯燃焼動作を開始する(S22)。この場合、約80℃の高温の湯水が出湯流路9の分岐部33から差し湯流路42を流れ、合流部55から出口流路49に流入する。高温の湯水が出口流路49に沿って流れ、逆止弁45,46を通過して湯出口40Aから差し湯水として浴槽40に流入する。
【0037】
CPUは給湯栓14が開かれたか否か判断する(S23)。給湯栓14が閉じている状態であれば(S23:NO)、CPUはトータル水量センサで検出したこれまでの差し湯水量の積算値が差し湯設定湯量に到達したか否か判断する(S24)。差し湯設定湯量に到達するまでは(S24:NO)、CPUはS23に戻って引き続き差し湯水供給動作を継続する。
【0038】
ここで、差し湯水供給動作中に給湯栓14が開かれた場合(S23:YES)、CPUは元ガス電磁弁24、ガス電磁弁26A,26Bを閉じてバーナ6,7を消火すると共に(S27)、水量制御モータ17を制御して入水流路5における入水量を通常の所定水量から割増水量に増加させる(S28)。なお、割増水量とは、通常の所定水量よりも多い水量である。これらS27,S28の処理は「第1制御」である。これにより、給湯器1は、給湯器1内部に残存する高温水を浴槽40内に早急に流入させることができるので、給湯栓14から高温水が出湯するのを効果的に防止できる。さらに入水流路5における入水量を増加させることでバイパス流路10に流れる水量を通常時より増やすことができる。よって、出湯流路9におけるバイパス流路10との合流部34において出湯流路9を流れる高温水に水が十分に混合される。これにより、給湯器1は、給湯栓14から高温水が出湯するのをより効果的に防止できる。
【0039】
第1制御を実行中において、CPUは熱交換器サーミスタ20が検出する湯水の温度が設定温度以下か否か判断する(S29)。出湯流路9を流れる湯水の温度が設定温度以下であった場合(S29:YES)、CPUは高温差し湯水電磁弁58を閉じ(S30)、差し湯水供給動作を一旦中断すると共に、水量制御モータ17を制御して入水流路5における入水量を割増水量から通常時の所定水量まで絞る(S31)。これらS30,S31の処理は「第2制御」である。これにより、給湯器1は浴槽40に低温水が流れ込むのを防止できる。
【0040】
他方、熱交換器サーミスタ20が検出する湯水の温度が設定温度を超えていた場合(S29:NO)、
図5に示すように、CPUは給湯栓14が閉じられたか否か判断する(S43)。給湯栓14が閉じられていない場合(S43:NO)、CPUは処理をS29に戻して上記処理を繰り返す。他方、給湯栓14が閉じられた場合(S43:YES)、CPUはバーナ6,7を再点火した上で(S44)、処理をS23に戻して上記処理を繰り返す。
【0041】
また、S30,S31の第2制御を実行中において、CPUは給湯栓14が閉じられたか否か判断する(S32)。給湯栓14が閉じられた場合(S32:YES)、CPUは
図6に示すように、高温差し湯水電磁弁58を開き(S51)、さらにバーナ6,7を再点火することにより(S52)、差し湯水供給動作を再開する。これらS51,S52の処理は「第4制御」である。これにより、浴槽40への差し湯水の供給を再開できるので、CPUは第1制御でバーナ6,7による加熱が停止したことに起因する浴槽40の使い勝手への影響を最小限にできる。また、浴槽40に低温水が流れ込むのを防止できる。次いでCPUは
図4のS23に処理を戻して上記処理を繰り返す。
【0042】
また、S30,S31の第2制御を実行中において、給湯栓14が開かれたままの場合(S32:NO)、CPUは給湯栓水量センサ23により検出された給湯栓14の流量が所定流量以上か否か判断する(S33)。所定流量未満の場合(S33:NO)、CPUはS32に戻って引き続き給湯栓14の開閉と給湯栓14の流量を監視する。所定流量以上の場合(S33:YES)、CPUはバーナ6,7を再点火することにより(S34)。給湯栓14から低温水が出るのを防止できる。S34の処理は「第3制御」である。
【0043】
続いてCPUは給湯栓14が閉じられたか否か判断する(S35)。給湯栓14が閉じられるまでは(S35:NO)、CPUはS35に戻って引き続き給湯栓14の開閉を監視する。給湯栓14が閉じられた場合(S35:YES)、CPUは高温差し湯水電磁弁58を開き(S36)、差し湯水供給動作を再開する。これにより、バーナ6,7による加熱が停止することに起因するふろの使い勝手への影響を最小限にできる。CPUはこれまでの差し湯水量の積算値が差し湯設定湯量に到達したか否か判断する(S24)。差し湯設定湯量に到達した場合(S24:YES)、CPUは高温差し湯水電磁弁58を閉じることで(S25)、差し湯水供給動作を停止する。そして、CPUは給湯燃焼動作を停止(S26)することで本処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の給湯器1は、熱交換器8、入水流路5、出湯流路9、バイパス流路10を備える。熱交換器8はバーナ6,7により通水を加熱する。入水流路5は熱交換器8の入口に接続される。出湯流路9は熱交換器8の出口に接続され、熱交換器8で加熱された湯水を給湯栓14に導出する。バイパス流路10は、熱交換器8をバイパスするように入水流路5と出湯流路9とに接続される。給湯器1は熱交換器8で加熱された湯水を浴槽40に供給可能である。
【0045】
上記構成を備える給湯器1は、水量制御モータ17、差し湯流路42、湯張流路41、出口流路49、給湯逆止弁21、給湯栓水量センサ23、熱交換器サーミスタ20、コントローラ100を備える。水量制御モータ17は入水流路5に設けられ、入水流路5を流れる水量を調節する。差し湯流路42は、出湯流路9のバイパス流路10との合流部34よりも上流側の分岐部33で分岐し、高温差し湯水電磁弁58によって開閉され、浴槽40への差し湯用の湯水が流れる。湯張流路41は、出湯流路9の合流部34よりも下流側の分岐部35で分岐し、落し込み水電磁弁44によって開閉され、浴槽40への湯張り用の湯水が流れる。出口流路49は、差し湯流路42及び湯張流路41の双方に通じると共に下流側に向けて延設され、浴槽40側に通じる。給湯逆止弁21は、出湯流路9における分岐部33と合流部34との間に設けられ、合流部34側から分岐部33側に向かう湯水の逆流を防止する。コントローラ100は、バーナ6,7、水量制御モータ17、落し込み水電磁弁44、高温差し湯水電磁弁58の夫々の駆動を制御する。コントローラ100は、給湯栓水量センサ23により出湯流路9を流れる湯水の水量を検知することで、給湯栓14の使用の有無を検知する。コントローラ100は、高温差し湯水電磁弁58を開放して浴槽40への差し湯を行う差し湯状態で、給湯栓水量センサ23で給湯栓14の使用を検知した場合、第1制御を実行する。第1制御では、バーナ6,7による加熱を停止すると共に、水量制御モータ17における水量を通常時の所定水量よりも多い割増水量に調節する。
【0046】
これにより、給湯器1は、給湯器1内部に残った高温水を浴槽40に流すことができ、給湯器1内に残った高温水を早急に排出できるので、給湯栓14から高温水が出湯するのを防止できる。さらにバイパス流路10への水量を増やすことができるので、出湯流路9のバイパス流路10との合流部34において出湯流路9を流れる高温水に水が十分に混合されることで、給湯栓14から高温水が出湯するのを防止できる。
【0047】
上記説明において、バーナ6,7は本発明の「加熱部」の一例である。高温差し湯水電磁弁58は本発明の「第1電磁弁」の一例である。落し込み水電磁弁44は本発明の「第2電磁弁」の一例である。分岐部33は本発明の「第1分岐部」の一例であり、分岐部35は本発明の「第2分岐部」の一例であり、合流部34は本発明の「接続部」の一例である。給湯逆止弁21は本発明の「逆止弁」の一例である。熱交換器サーミスタ20は本発明の「第1サーミスタ」の一例であり、出湯サーミスタ22は本発明の「第2サーミスタ」の一例である。S29の処理を実行するコントローラ100のCPUは本発明「低下判断部」の一例である。
【0048】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態の給湯器1は熱交換器が一つである顕熱回収型であるが、熱交換器を2つ備えた潜熱回収型であってもよい。また給湯器1は高温差し湯が可能なものであるが、必須な構成ではなく、それ以外の給湯器にも適用可能である。例えば浴槽40内の湯を追い炊き可能な循環加熱回路を備えた給湯器であってもよい。また、配管構成、電磁弁等の各種部品の数、配置等についても適時変更可能である。
【0049】
上記実施形態のコントローラ100のCPUは、給湯栓水量センサ23の湯水の流量の検出値に基づき給湯栓14の開閉(使用の有無)を検知したが、仮に何等かの原因で給湯栓水量センサ23が故障した場合は、出湯サーミスタ22の検出値に基づき給湯栓14の開閉を検知すればよい。給湯栓14が開かれたことに応じて出湯流路9における湯水の流量が変化し、その変化に基づき出湯サーミスタ22が検出する湯温が変化する。コントローラ100のCPUは、その出湯サーミスタ22が検出する湯温が変化に基づき給湯栓14が開かれたことを検知できる。また、コントローラ100のCPUは、給湯栓水量センサ23及び出湯サーミスタ22の夫々の検出値に基づき、給湯栓14の開閉を検知してもよい。この場合、給湯器1はより正確に給湯栓14の開閉を検知できる。
【符号の説明】
【0050】
1 給湯器
5 入水流路
6,7 バーナ
8 熱交換器
9 出湯流路
10 バイパス流路
14 給湯栓
17 水量制御モータ
20 熱交換器サーミスタ
21 給湯逆止弁
22 出湯サーミスタ
23 給湯栓水量センサ
33,35 分岐部
34 合流部
40 浴槽
41 湯張流路
42 差し湯流路
44 落し込み水電磁弁
49 出口流路
55 合流部
58 高温差し湯水電磁弁
100 コントローラ