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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168567
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】水蒸気観測方法
(51)【国際特許分類】
   G01W 1/14 20060101AFI20241128BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20241128BHJP
   G01S 19/00 20100101ALI20241128BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241128BHJP
   G01W 1/08 20060101ALI20241128BHJP
   G01W 1/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01W1/14 E
G01S7/40 126
G01S19/00
G08G1/00 A
G01W1/08 P
G01W1/10 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085362
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【弁理士】
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【弁理士】
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 道彦
【テーマコード(参考)】
5H181
5J062
5J070
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA28
5H181BB04
5H181EE13
5H181EE14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF33
5H181MC04
5H181MC15
5H181MC27
5J062AA11
5J062BB01
5J062CC07
5J062EE01
5J070AC01
(57)【要約】
【課題】精度よく水蒸気量を推測することが難しいことがある。
【解決手段】水蒸気観測装置は、移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置がGNSS信号を受信した際における、受信装置と、GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、受信装置が受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する判定部と、判定部による判断の結果に応じて、受信装置が受信したGNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う推定部と、を有する。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
水蒸気観測方法。
【請求項2】
請求項1に記載の水蒸気観測方法であって、
前記受信装置が前記GNSS信号を受信した位置を示す受信位置情報と、前記GNSS衛星の位置を示す衛星位置情報と、に基づいて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認し、
確認の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する
水蒸気観測方法。
【請求項3】
請求項2に記載の水蒸気観測方法であって、
前記受信位置情報と前記衛星位置情報とに基づいて前記受信装置と前記GNSS衛星との間の位置関係を示す値を算出し、
算出した値と、予め記憶された前記障害物についての情報と、に基づいて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に前記障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
【請求項4】
請求項3に記載の水蒸気観測方法であって、
前記位置関係を示す値として、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の2次元空間上の位置関係に応じた平面角を算出する
水蒸気観測方法。
【請求項5】
請求項4に記載の水蒸気観測方法であって、
前記位置関係を示す値として、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の3次元空間上の位置関係に応じた立体角を算出する
水蒸気観測方法。
【請求項6】
請求項5に記載の水蒸気観測方法であって、
前記障害物との間で算出した平面角の中に、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の2次元空間上の位置関係に応じた平面角と同一となる角度が含まれ、かつ、算出した立体角が衝突の可能性のある障害物との間の立体角よりも小さい場合に、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に前記障害物が存在すると判断する
水蒸気観測方法。
【請求項7】
請求項2に記載の水蒸気観測方法であって、
予め記憶する周囲の状況を示す情報に基づいて障害物の有無を確認するか否か判別し、
判別の結果に応じて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
【請求項8】
請求項2に記載の水蒸気観測方法であって、
過去の確認結果を示す情報に基づいて障害物の有無を確認するか否か判別し、
判別の結果に応じて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
【請求項9】
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する判定部と、
前記判定部による判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う推定部と、
を有する
水蒸気観測装置。
【請求項10】
情報処理装置に、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
処理を実現させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気観測方法、水蒸気観測装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
気象観測の方法として、大気中の水蒸気量を推定することが行われている。例えば、特許文献1に記載のように、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から発信されるGNSS信号を地上にて受信する際に、大気中の水蒸気によるGNSS信号の遅延時間を計測することで、受信地点における大気中の水蒸気量を推定する技術が知られている。これにより、各地点における降雨予測、特に、突発的な積乱雲の発生による集中豪雨の予測を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-198645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GNSS信号を受信する受信装置の設置場所は限られており、その間隔が30kmとなる場所も存在する。すると、受信装置の間に位置する地点の水蒸気量は、受信装置が設置されている地点の値から推測する必要があるが、実際に計測していない地点では、水蒸気量を精度よく推測することは困難であった。このように、精度よく水蒸気量を推測することが難しいことがある、という課題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決することが可能な水蒸気観測方法、水蒸気観測装置、プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態である水蒸気観測方法は、
情報処理装置が、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態である水蒸気観測装置は、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する判定部と、
前記判定部による判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う推定部と、
を有する
という構成をとる。
【0008】
また、本発明の一形態であるプログラムは、
情報処理装置に、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
処理を実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
上述したような各構成によると、上述したような課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の実施形態における水蒸気観測システムの構成例を示す図である。
図2図1に開示した水蒸気観測装置の構成例を示すブロック図である。
図3】位置関係の算出例を説明するための図である。
図4】衝突判定の一例を説明するための図である。
図5】衝突判定の一例を説明するための図である。
図6】水蒸気観測装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】水蒸気観測装置の他の構成例を示すブロック図である。
図8】本開示の第2の実施形態における水蒸気観測装置のハードウェア構成例を示す図である。
図9】水蒸気観測装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態を図1から図7までを参照して説明する。図1は、水蒸気観測システム100の構成例を示す図である。図2は、水蒸気観測装置400の構成例を示すブロック図である。図3は、位置関係の算出例を説明するための図である。図4図5は、衝突判定の一例を説明するための図である。図6は、水蒸気観測装置400の動作例を示すフローチャートである。図7は、水蒸気観測装置400の他の構成例を示すブロック図である。
【0012】
本開示の第1の実施形態では、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星200から発信されるGNSS信号に基づいて、大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する水蒸気観測システム100について説明する。図1で例示するように、水蒸気観測システム100は、GNSS信号を受信するGNSS信号受信装置300が搭載された移動体310を複数有している。例えば、水蒸気観測システム100は、移動体310に搭載されたGNSS信号受信装置300それぞれにおいて、GNSS信号を受信する。そして、水蒸気観測システム100は、GNSS信号受信装置300が受信したGNSS信号の遅延時間を計測することで、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した地点における加降水量をそれぞれ推定する。
【0013】
また、水蒸気観測システム100は、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係が所定の条件を満たすか否かに応じて、受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する。例えば、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に建物などの障害物が存在する場合、GNSS信号が反射してしまい正確な遅延時間を計測することが難しくなる。そこで、水蒸気観測システム100は、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係に基づいて、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に障害物が存在するか否か確認する。そして、障害物が存在する場合、水蒸気観測システム100は受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いないと判断する。一方、障害物が存在しない場合、水蒸気観測システム100は受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いると判断する。例えば、以上のように、水蒸気観測システム100は、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に障害物が存在するか否かに応じて、異なる判断を行うことができる。なお、水蒸気観測システム100は、上記判断の結果に応じて可降水量を推定してもよいし、上記判断の結果に応じて推定した可降水量を破棄してもよい。換言すると、上記判断は、可降水量を推定する処理の前に行われてもよいし、可降水量を推定する処理の後に行われてもよい。
【0014】
なお、本開示において、移動体310とは、バス、タクシー、電車、そのほか任意の移動する物体のことをいう。移動体310には、上記例示した以外の移動する物体が含まれてもよい。また、障害物とは、建物やそのほか任意の人工物、自然物など、GNSS衛星が発信するGNSS信号を反射などして遅延時間の計測に悪影響を与えるおそれのあるもののことをいう。障害物には、遅延時間の計測に悪影響を与えるおそれのある上記例示した以外の任意の物体が含まれてもよい。
【0015】
図1は、水蒸気観測システム100の構成例を示している。図1を参照すると、水蒸気観測システム100は、GNSS衛星200と、GNSS信号受信装置300が搭載された移動体310と、水蒸気観測装置400と、を有している。例えば、水蒸気観測システム100は、1つまたは複数の移動体310を有してよい。図1で示すように、GNSS信号受信装置300と水蒸気観測装置400とは、無線通信などを用いて互いに通信可能なよう接続することができる。GNSS信号受信装置300は、移動体310などを介して水蒸気観測装置400と通信を行ってもよい。
【0016】
GNSS信号受信装置300は、地球の上空に存在するGNSS衛星200から発信された電波信号であるGNSS信号を受信する。また、GNSS信号受信装置300は、受信したGNSS信号に基づいて、GNSS信号を受信した際におけるGNSS信号受信装置300の位置を示す受信位置情報を取得することができる。例えば、GNSS信号受信装置300は、一般的な単独測位または相対測位の方法を実行することで受信位置情報を取得してよい。
【0017】
また、GNSS信号受信装置300は、GNSS信号や受信位置情報を水蒸気観測装置400に提供する。GNSS信号受信装置300は、移動体310を介して上記各種情報を水蒸気観測装置400に対して提供してもよい。
【0018】
なお、上述したように、GNSS信号受信装置300は移動体310に搭載されている。そのため、GNSS信号受信装置300は、GNSS信号に基づいて移動体310の位置を示す受信位置情報を取得する、ということもできる。また、GNSS信号受信装置300は、移動体310の屋根上に搭載されるなど、移動体310の任意の箇所に搭載されてよい。なお、GNSS信号受信装置300は、地表や建造物など移動体310とは異なる任意の箇所に設置されてもよい。
【0019】
水蒸気観測装置400は、GNSS信号を解析することで、GNSS信号を受信した位置に対応する計測地点上空の水蒸気量を表す可降水量を推定する情報処理装置である。また、水蒸気観測装置400は、GNSS信号を受信した際におけるGNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係に基づいて、受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断することができる。
【0020】
図2は、水蒸気観測装置400の構成例を示している。図2を参照すると、水蒸気観測装置400は、主な構成要素として、例えば、操作入力部410と、画面表示部420と、通信I/F部430と、記憶部440と、演算処理部450と、を有している。
【0021】
なお、図2では、1台の情報処理装置を用いて水蒸気観測装置400としての機能を実現する場合について例示している。しかしながら、水蒸気観測装置400としての機能のうちの少なくとも一部は、例えばクラウド上に実現されるなど、複数台の情報処理装置を用いて実現されてもよい。また、水蒸気観測装置400は、操作入力部410や画面表示部420を有さないなど上記例示した構成の一部を含まなくてもよいし、上記例示した以外の構成を有してもよい。
【0022】
操作入力部410は、キーボード、マウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部410は、水蒸気観測装置400を操作する操作者の操作を検出して演算処理部450に出力する。
【0023】
画面表示部420は、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)などの画面表示装置からなる。画面表示部420は、演算処理部450からの指示に応じて、記憶部440に格納されている各種情報などを画面表示することができる。
【0024】
通信I/F部430は、データ通信回路などからなる。通信I/F部430は、通信回線を介して接続された各種センサやそのほか外部装置との間でデータ通信を行う。
【0025】
記憶部440は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。記憶部440は、演算処理部450における各種処理に必要な処理情報やプログラム444を記憶する。プログラム444は、演算処理部450に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム444は、通信I/F部430などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部440に保存されている。記憶部440で記憶される主な情報としては、例えば、GNSS情報441、障害物情報442、移動体位置情報443などがある。
【0026】
GNSS情報441は、GNSS衛星200の位置を示す情報である。例えば、GNSS情報441は、GNSS衛星200の軌道情報などであってよい。GNSS情報441は、操作入力部410を介して入力すること、通信I/F部430を介して外部装置から取得することなど任意の方法を用いて予め取得されており、記憶部440に格納されている。
【0027】
障害物情報442は、建物など遅延時間の計測に悪影響を与えるおそれのある障害物についての情報を含んでいる。例えば、障害物情報442は、経度や緯度など障害物の位置を示す情報、障害物の範囲を示す情報、障害物の高さを示す情報、そのほか任意の情報など含むことができる。障害物情報442は、操作入力部410を介して入力すること、通信I/F部430を介して外部装置から取得することなど任意の方法を用いて予め取得されており、記憶部440に格納されている。
【0028】
移動体位置情報443は、GNSS信号を受信した際における移動体310の位置を示す受信位置情報を含んでいる。移動体位置情報443は、後述する情報取得部451が受信位置情報を取得することなどに応じて更新される。
【0029】
演算処理部450は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置とその周辺回路を有する。演算処理部450は、記憶部440からプログラム444を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム444とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部450で実現される主な処理部としては、例えば、情報取得部451、衛星位置取得部452、位置関係算出部453、衝突判定部454、推定部455、出力部456などがある。
【0030】
なお、演算処理部450は、上述したCPUの代わりに、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを有してもよい。
【0031】
情報取得部451は、GNSS信号受信装置300からGNSS信号や受信位置情報などを取得する。情報取得部451は、GNSS信号受信装置300からGNSS信号を取得するとともに、取得したGNSS信号に基づいて受信位置情報を取得してもよい。また、情報取得部451は、取得した受信位置情報を移動体位置情報443として記憶部440に格納する。
【0032】
衛星位置取得部452は、GNSS衛星200の位置を示す衛星位置情報を取得する。例えば、衛星位置取得部452は、GNSS情報441を参照することで、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した際における衛星位置情報を取得する。衛星位置取得部452は、GNSS信号などに基づいて衛星位置情報を取得してもよい。
【0033】
位置関係算出部453は、受信位置情報と衛星位置情報とに基づいて、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した際におけるGNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係を算出する。例えば、位置関係算出部453は、位置関係を示す値として、GNSS信号受信装置300からGNSS衛星200を見た際における方向や方角に応じた値を算出する。また、位置関係算出部453は、位置関係を示す値として、GNSS信号受信装置300とGNSS衛星200との間の距離やGNSS衛星200が位置する高さなどに応じた値を算出する。位置関係算出部453は、上記例示した以外の位置関係を示す値を算出してもよい。
【0034】
図3は、位置関係算出部453による処理の一例を示している。例えば図3で示すように、位置関係算出部453は、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係を示す値として、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の2次元空間上の位置関係に応じた平面角αを算出することができる。例えば、位置関係算出部453は、受信位置情報と衛星位置情報とに基づいて、図3で例示するようなXY座標における平面角αを算出してよい。なお、位置関係算出部453は、任意に設定される基準からの角度として平面角αを算出してよい。また、位置関係算出部453は、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の3次元空間上の位置関係に応じた立体角βを算出する。例えば、位置関係算出部453は、受信位置情報と衛星位置情報とに基づいて、図3で例示するようなXYZ座標における立体角βを算出してよい。
【0035】
例えば、位置関係算出部453は、位置関係を示す値として、平面角αと立体角βをともに算出する。位置関係算出部453は、位置関係を示す値として平面角αのみを算出するなど上記例示したうちの一部のみを算出してもよい。
【0036】
衝突判定部454は、位置関係算出部453が算出した位置関係を示す値に基づいて、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に障害物が存在するか否か確認する。換言すると、衝突判定部454は、位置関係を示す値に基づいて、GNSS衛星200が発信したGNSS信号が障害物により反射または衝突するか否か確認する。例えば、衝突判定部454は、障害物情報442を参照することで、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に障害物が存在するか否か確認することができる。また、衝突判定部454は、確認の結果に応じて、GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する。
【0037】
例えば、衝突判定部454は、平面角αに基づいて、衝突の可能性があるか否か確認する。一例として、衝突判定部454は、障害物情報442を参照して、障害物情報442に含まれる各障害物とGNSS信号受信装置300との間の平面角を算出する。この際、衝突判定部454は、障害物情報442に含まれる各障害物のうち基準となるGNSS信号受信装置300からの位置や方向が所定の条件を満たす障害物についてのみ平面角を算出してもよい。また、衝突判定部454は、算出した平面角の中に平面角αと同一となる角度が含まれるか否か確認することで、衝突の可能性があるか否か確認する。
【0038】
例えば、図4を参照すると、GNSS衛星200―1の平面角α1と同一の平面角となる障害物は存在しない。そのため、衝突判定部454は、平面角α1の場合、衝突の可能性はないと判断する。一方、図4で例示する場合、GNSS衛星200-2の平面角α2と同一の平面角となる障害物が存在する。そのため、衝突判定部454は、平面角α2の場合、衝突の可能性があると判断する。
【0039】
また、平面角αに基づいて衝突の可能性があると判断した場合、衝突判定部454は、立体角βに基づいて、実際に衝突するか否か確認する。一例として、衝突判定部454は、障害物情報442を参照して、障害物情報442に含まれる各障害物とGNSS信号受信装置300との間の立体角を算出する。この際、衝突判定部454は、障害物情報442に含まれる各障害物のうち衝突の可能性のある障害物について立体角を算出してもよい。また、衝突判定部454は、算出した立体角と立体角βとを比較することで、実際に衝突するか否か確認する。
【0040】
例えば、図5を参照すると、GNSS衛星200―2の立体角β2は、衝突の可能性のある障害物の立体角以上の値である。そのため、衝突判定部454は、立体角β2の場合、衝突はないと判断する。一方、図5で例示する場合、GNSS衛星200-3の立体角β3は、衝突の可能性のある障害物の立体角よりも小さい。そのため、衝突判定部454は、立体角β3の場合、衝突があると判断する。
【0041】
例えば、以上のように、衝突判定部454は、障害物との間で算出した平面角の中に平面角αと同一となる角度が含まれ、かつ、立体角βが衝突の可能性のある障害物の立体角よりも小さい場合、衝突があると判断する。一方、障害物との間で算出した平面角の中に平面角αと同一となる角度が含まれない場合や立体角βが衝突の可能性のある障害物の立体角以上である場合、衝突判定部454は、GNSS信号を可降水量の推定に用いると判断する。
【0042】
また、衝突判定部454は、確認の結果に応じて、GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する。例えば、衝突があると判断した場合、衝突判定部454は、GNSS信号を可降水量の推定に用いないと判断する。一方、衝突の可能性がないと判断した場合や衝突がないと判断した場合、衝突判定部454は、GNSS信号を可降水量の推定に用いると判断する。
【0043】
推定部455は、GNSS信号の遅延時間に基づいて、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した地点における加降水量を推定する。推定部455は、特許文献1に記載されている方法を用いるなど、一般的な方法を用いて可降水量を推定してよい。
【0044】
また、推定部455は、衝突判定部454による判断の結果に基づく処理を行うことができる。例えば、推定部455は、衝突判定部454がGNSS信号を可降水量の推定に用いると判断した場合に、可降水量の推定を行うよう構成してよい。推定部455は、衝突判定部454がGNSS信号を可降水量の推定に用いると判断した場合に、推定した可降水量を破棄するよう構成してもよい。
【0045】
出力部456は、推定部455による推定結果を出力する。例えば、出力部456は、推定部455による推定結果を画面表示部420上に表示したり、通信I/F部430を介して外部装置へと送信したりする。なお、出力部456は、推定部455による推定結果のほか、位置関係を示す値や衝突判定部454による判断の結果などを出力してもよい。
【0046】
以上が、水蒸気観測装置400の構成例である。続いて、図6を参照して、水蒸気観測装置400の動作例について説明する。
【0047】
図6は、水蒸気観測装置400の動作例を示している。図6を参照すると、情報取得部451は、GNSS信号受信装置300からGNSS信号や受信位置情報などを取得する(ステップS101)。情報取得部451は、GNSS信号受信装置300からGNSS信号を取得するとともに、取得したGNSS信号に基づいて受信位置情報を取得してもよい。
【0048】
衛星位置取得部452は、GNSS衛星200の位置を示す衛星位置情報を取得する(ステップS102)。例えば、衛星位置取得部452は、GNSS情報441を参照することで、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した際における衛星位置情報を取得する。
【0049】
位置関係算出部453は、受信位置情報と衛星位置情報とに基づいて、GNSS信号受信装置300がGNSS信号を受信した際におけるGNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間の位置関係を算出する(ステップS103)。例えば、位置関係算出部453は、位置関係を示す値として、平面角αや立体角βを算出することができる。
【0050】
衝突判定部454は、位置関係算出部453が算出した位置関係を示す値に基づいて、GNSS衛星200とGNSS信号受信装置300との間に障害物が存在するか否か確認する。換言すると、衝突判定部454は、位置関係を示す値に基づいて、GNSS衛星200が発信したGNSS信号が障害物により反射または衝突するか否か確認する(ステップS104)。
【0051】
衝突しない場合(ステップS104、No)、衝突判定部454は、GNSS信号を可降水量の推定に用いると判断する(ステップS105)。一方、衝突する場合(ステップS104、Yes)、衝突判定部454は、GNSS信号を可降水量の推定に用いないと判断する(ステップS106)。
【0052】
以上が、水蒸気観測装置400の動作例である。
【0053】
このように、水蒸気観測システム100は、GNSS信号受信装置300が搭載された移動体310を例えば複数含んでいる。このような構成によると、水蒸気観測システム100は、より多くの箇所においてGNSS信号を受信することができる。その結果、効率よく計測地点を増やすことができ、より精度よく水蒸気量を推定することができる。
【0054】
また、水蒸気観測装置400は、位置関係算出部453と、衝突判定部454と、を有している。このような構成によると、衝突判定部454は、位置関係算出部453が算出した位置関係を示す値に基づいて衝突の有無を確認することで、GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断することができる。その結果、水蒸気観測装置400は、障害物が存在する場合に受信したGNSS信号を推定に用いないよう構成することができる。これにより、効率よく計測地点を増やしつつ、より精度よく水蒸気量を推定することができる。
【0055】
なお、水蒸気観測装置400の構成は、図2で例示した場合に限定されない。例えば、図7は、水蒸気観測装置400の他の構成例を示している。例えば、図7を参照すると、記憶部440は、図2で例示した情報に加えて、判別用情報445、過去情報446などを記憶することができる。
【0056】
判別用情報445は、位置関係を算出して衝突の有無を確認するか否か判別する際に用いられる情報である。例えば、判別用情報445は、道路ごとやそのほか所定のエリアごとに、位置関係を算出して衝突の有無を確認する必要があるか否か示すことができる。判別用情報445は、地図などの道路情報上で道路ごとに確認の必要性を示してもよい。なお、判別用情報445は、上記確認の必要性のほか、取得したGNSS信号を推定に用いるか否か示してもよい。例えば、判別用情報445は、操作入力部410を介して入力すること、通信I/F部430を介して外部装置から取得することなど任意の方法を用いて予め取得されており、記憶部440に格納されている。
【0057】
例えば、周囲に障害物が存在しない旨を確認済みである道路やエリアについて、改めて衝突の有無を確認する必要性は薄い。そこで、判別用情報445は、周囲に障害物が存在しない旨を確認済みである道路やエリアについて、確認の必要がない旨を示すことができる。また、周囲に背の高い建物が密集しているなど衝突の可能性が高い道路やエリアについて、判別用情報445は、確認の必要がない旨を示すことができる。例えば、以上のように、判別用情報445は、周囲の状況などに応じた情報を示すことができる。
【0058】
過去情報446は、衝突判定部454による過去の判断結果を示している。例えば、過去情報446では、受信位置情報と衛星位置情報と衝突判定部454による過去の判断結果とが関連づけられている。過去情報446では、上記に加えて、衝突判定部454が判断した日時を示す情報などが含まれてもよい。例えば、過去情報446は、衝突判定部454が判断を行うことなどに応じて更新される。
【0059】
また、演算処理部450は、記憶部440からプログラム444を読み込んで実行することにより、図2で例示した構成に加えて、判別部457を実現することができる。
【0060】
判別部457は、位置関係算出部453や衝突判定部454による処理を行うか否か判別する。例えば、判別部457は、情報取得部451がGNSS信号や受信位置情報を取得することなどに応じて、上記判別を行う。
【0061】
例えば、判別部457は、判別用情報445を参照して、受信位置情報が示す位置における確認の必要性を確認する。そして、確認が必要である場合、判別部457は、位置関係算出部453や衝突判定部454に対して、位置関係の算出や判断を行うよう指示する。一方、確認が必要でない場合、判別部457は、上記指示を行わない。この場合、判別部457は、判別用情報445に基づいて推定部455に対して可降水量の推定を行うか否か指示するよう構成してもよい。
【0062】
また、判別部457は、過去情報446に基づいて位置関係算出部453や衝突判定部454による処理を行うか否か判別してもよい。例えば、移動体310がバスなどの公共交通である場合、概ね決まったルートを通行しているものと想定され、過去に同じような状況が存在する可能性が高い。そこで、判別部457は、過去情報446を参照して、同じ受信位置情報や衛星位置情報に基づく判断が過去に行われているか確認する。そして、同じ受信位置情報や衛星位置情報に基づく判断が過去に行われている場合、判別部457は、位置関係算出部453や衝突判定部454による新たな処理を行わずに過去の判断結果を採用する。例えば、以上のように、判別部457は、過去の情報を参照した上で、位置関係算出部453や衝突判定部454による処理を行うか否か判別してもよい。なお、判別部457は、移動体310の種類によらずに上記判別を行ってもよいし、移動体310の種別がバスなど予め定められたものである場合に上記判別を行ってもよい。移動体310の種別などの情報は、GNSS信号などとともに情報取得部451がGNSS信号受信装置300などから取得してよい。
【0063】
[第2の実施形態]
次に、本開示の第2の実施形態について、図8図9を参照して説明する。図8は、水蒸気観測装置500のハードウェア構成例を示す図である。図9は、水蒸気観測装置500の構成例を示すブロック図である。
【0064】
本開示の第2の実施形態においては、GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する水蒸気観測装置500について説明する。図8は、水蒸気観測装置500のハードウェア構成例を示している。図8を参照すると、水蒸気観測装置500は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)501(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)502(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)503(記憶装置)
・RAM503にロードされるプログラム群504
・プログラム群504を格納する記憶装置505
・情報処理装置外部の記録媒体510の読み書きを行うドライブ装置506
・情報処理装置外部の通信ネットワーク511と接続する通信インタフェース507
・データの入出力を行う入出力インタフェース508
・各構成要素を接続するバス509
【0065】
また、水蒸気観測装置500は、プログラム群504をCPU501が取得して当該CPU501が実行することで、図9に示す判定部521、推定部522としての機能を実現することができる。なお、プログラム群504は、例えば、予め記憶装置505やROM502に格納されており、必要に応じてCPU501がRAM503などにロードして実行する。また、プログラム群504は、通信ネットワーク511を介してCPU501に供給されてもよいし、予め記録媒体510に格納されており、ドライブ装置506が該プログラムを読み出してCPU501に供給してもよい。
【0066】
なお、図8は、水蒸気観測装置500のハードウェア構成例を示している。水蒸気観測装置500のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、水蒸気観測装置500は、ドライブ装置506を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。また、CPU501は、第1の実施形態で例示したGPUなどであってもよい。
【0067】
判定部521は、移動体に搭載された受信装置と、GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、受信装置が受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する。例えば、判定部521は、受信装置がGNSS信号を受信した際における、受信装置とGNSS衛星との間の位置関係に応じて、受信装置が受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する。
【0068】
推定部522は、判定部521による判断の結果に応じて、受信装置が受信したGNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する。または、推定部522は、判定部521による判断の結果に応じて、推定した可降水量の廃棄を行う。
【0069】
このように、水蒸気観測装置500は、判定部521と推定部522とを有している。このような構成によると、推定部522は、判定部521による判断の結果に応じて、受信装置が受信したGNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定することができる。その結果、位置関係が適切である場合などに可降水量の推定を行うことができ、受信装置を移動体に搭載した場合でも、より精度よく水蒸気量を推定することができる。
【0070】
なお、上述した水蒸気観測装置500は、当該水蒸気観測装置500などの情報処理装置に所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、水蒸気観測装置500などの情報処理装置に、移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置がGNSS信号を受信した際における、受信装置と、GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、受信装置が受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、判断の結果に応じて、受信装置が受信したGNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う、処理を実現するためのプログラムである。
【0071】
また、上述した水蒸気観測装置500などの情報処理装置により実行される水蒸気観測方法は、情報処理装置が、移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置がGNSS信号を受信した際における、受信装置と、GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、受信装置が受信したGNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、判断の結果に応じて、受信装置が受信したGNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う、という方法である。
【0072】
上述した構成を有する、プログラム、又は、プログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体、又は、水蒸気観測方法、の発明であっても、上述した水蒸気観測装置500と同様の作用・効果を奏するために、上述した本開示の目的を達成することができる。
【0073】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における水蒸気観測方法、水蒸気観測装置、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
情報処理装置が、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
水蒸気観測方法。
(付記2)
付記1に記載の水蒸気観測方法であって、
前記受信装置が前記GNSS信号を受信した位置を示す受信位置情報と、前記GNSS衛星の位置を示す衛星位置情報と、に基づいて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認し、
確認の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する
水蒸気観測方法。
(付記3)
付記2に記載の水蒸気観測方法であって、
前記受信位置情報と前記衛星位置情報とに基づいて前記受信装置と前記GNSS衛星との間の位置関係を示す値を算出し、
算出した値と、予め記憶された前記障害物についての情報と、に基づいて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に前記障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
(付記4)
付記3に記載の水蒸気観測方法であって、
前記位置関係を示す値として、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の2次元空間上の位置関係に応じた平面角を算出する
水蒸気観測方法。
(付記5)
付記4に記載の水蒸気観測方法であって、
前記位置関係を示す値として、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の3次元空間上の位置関係に応じた立体角を算出する
水蒸気観測方法。
(付記6)
付記5に記載の水蒸気観測方法であって、
前記障害物との間で算出した平面角の中に、前記受信装置と前記GNSS衛星との間の2次元空間上の位置関係に応じた平面角と同一となる角度が含まれ、かつ、算出した立体角が衝突の可能性のある障害物との間の立体角よりも小さい場合に、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に前記障害物が存在すると判断する
水蒸気観測方法。
(付記7)
付記2から付記6までのうちのいずれか1項に記載の水蒸気観測方法であって、
予め記憶する周囲の状況を示す情報に基づいて障害物の有無を確認するか否か判別し、
判別の結果に応じて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
(付記8)
付記2から付記7までのうちのいずれか1項に記載の水蒸気観測方法であって、
過去の確認結果を示す情報に基づいて障害物の有無を確認するか否か判別し、
判別の結果に応じて、前記受信装置と前記GNSS衛星との間に予め定められた障害物が存在するか否か確認する
水蒸気観測方法。
(付記9)
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断する判定部と、
前記判定部による判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う推定部と、
を有する
水蒸気観測装置。
(付記10)
情報処理装置に、
移動体に搭載されGNSS(Global Navigation Satellite System)信号を受信する受信装置が前記GNSS信号を受信した際における、前記受信装置と、前記GNSS信号を送信するGNSS衛星との間の位置関係に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号を可降水量の推定に用いるか否か判断し、
判断の結果に応じて、前記受信装置が受信した前記GNSS信号に基づいて大気中の水蒸気量を表す可降水量を推定する、または、推定した可降水量の廃棄を行う
処理を実現させるためのプログラム。
【0074】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0075】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0076】
100 水蒸気観測システム
200 GNSS衛星
300 GNSS信号受信装置
310 移動体
400 水蒸気観測装置
410 操作入力部
420 画面表示部
430 通信I/F部
440 記憶部
441 GNSS情報
442 障害物情報
443 移動体位置情報
444 プログラム
445 判別用情報
446 過去情報
450 演算処理部
451 情報取得部
452 衛星位置取得部
453 位置関係算出部
454 衝突判定部
455 推定部
456 出力部
457 判別部
500 水蒸気観測装置
501 CPU
502 ROM
503 RAM
504 プログラム群
505 記憶装置
506 ドライブ装置
507 通信インタフェース
508 入出力インタフェース
509 バス
510 記録媒体
511 通信ネットワーク
521 判定部
522 推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9