(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168568
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】アンテナ装置及び無線通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/30 20060101AFI20241128BHJP
H01Q 5/385 20150101ALI20241128BHJP
H01Q 5/40 20150101ALI20241128BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01Q9/30
H01Q5/385
H01Q5/40
H01Q1/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085367
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】524066085
【氏名又は名称】FCNT合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】殿岡 旅人
(72)【発明者】
【氏名】古賀 洋平
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA12
5J047AB06
5J047FD01
(57)【要約】
【課題】より効率的にアンテナの実装スペースを活用できるアンテナ装置及び無線通信装置を提供する。
【解決手段】本アンテナ装置は、給電点が設けられたグランド基板と、上記給電点から給電を受けて第1の周波数で共振する第1のモノポールアンテナと、第1の端部が上記グランド基板に接続されるとともに第2の端部が開放され、第2の周波数で共振する無給電のモノポールアンテナと、上記グランド基板に第3の端部が接続されるとともに第4の端部が上記第1のモノポールアンテナに向けて配置され、上記第1のモノポールアンテナ及び上記無給電のモノポールアンテナと容量結合する導体素子と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電点が設けられたグランド基板と、
前記給電点から給電を受けて第1の周波数で共振する第1のモノポールアンテナと、
第1の端部が前記グランド基板に接続されるとともに第2の端部が開放され、第2の周波数で共振する無給電のモノポールアンテナと、
前記グランド基板に第3の端部が接続されるとともに第4の端部が前記第1のモノポールアンテナに向けて配置され、前記第1のモノポールアンテナ及び前記無給電のモノポールアンテナと容量結合する導体素子と、を備える、
アンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の端部から前記第2の端部に向かう方向と、前記第3の端部から前記第4の端部に向かう方向とが同じである、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第1のモノポールアンテナと前記無給電のモノポールアンテナとの間隔は、前記第2の周波数の波長の0.27倍より広く設定される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記無給電のモノポールアンテナと前記導体素子の間隔は、前記第2の周波数の波長の0.006倍以下に設定される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1のモノポールアンテナと前記導体素子の間隔は、前記第2の周波数の波長の0.012倍以下に設定される、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
第2の給電点をさらに備え、
前記導体素子は、前記第2の給電点から給電を受けて第3の周波数で共振するモノポールアンテナである、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置を実装した、
無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及び無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信装置で使用されるアンテナの広帯域化、マルチバンド化が進められている。このようなアンテナにおいては、給電アンテナ近傍に無給電素子を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2017/141601号
【特許文献2】国際公開2005/069439号
【特許文献3】特開2010-232820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広帯域化、マルチバンド化を進める場合、無線通信装置は複数のアンテナを実装することになる。その一方で、スマートフォンやウェアラブル端末等の無線通信装置では多機能化、小型化が進められており、アンテナの実装スペースが狭くなっている。また、給電点近傍にはマッチング回路等の電子部品や同軸ケーブルのコネクタ等が配置されており、無給電素子を配置するスペースは制限される。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、より効率的にアンテナの実装スペースを活用できるアンテナ装置及び無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなアンテナ装置によって例示される。本アンテナ装置は、給電点が設けられたグランド基板と、上記給電点から給電を受けて第1の周波数で共振する第1のモノポールアンテナと、第1の端部が上記グランド基板に接続されるとともに第2の端部が開放され、第2の周波数で共振する無給電のモノポールアンテナと、上記グランド基板に第3の端部が接続されるとともに第4の端部が上記第1のモノポールアンテナに向けて配置され、上記第1のモノポールアンテナ及び上記無給電のモノポールアンテナと容量結合する導体素子と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、より効率的にアンテナの実装スペースを活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るアンテナ装置の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るアンテナ装置の放射効率を例示する図である。
【
図3】
図3は、第1シミュレーションの結果を例示する第1の図である。
【
図4】
図4は、第1シミュレーションの結果を例示する第2の図である。
【
図5】
図5は、第2シミュレーションの結果を例示する図である。
【
図6】
図6は、第2シミュレーションの結果を例示する図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係るアンテナ装置の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1変形例に係るアンテナ装置の放射効率を例示する図である。
【
図9】
図9は、第1のアンテナ、導体素子及び第2のアンテナの配置及び形状のバリエーションを模式的に示す第1の図である。
【
図10】
図10は、第1のアンテナ、導体素子及び第2のアンテナの配置及び形状のバリエーションを模式的に示す第2の図である。
【
図11】
図11は、第1のアンテナ、導体素子及び第2のアンテナの配置及び形状のバリエーションを模式的に示す第3の図である。
【
図12】
図12は、第1のアンテナ、導体素子及び第2のアンテナの配置及び形状のバリエーションを模式的に示す第4の図である。
【
図13】
図13は、実装例に係るスマートフォンの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実装例において、筐体内の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係るアンテナ装置1の一例を示す図である。アンテナ装置1は、グランド基板2、給電点3、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6を備える。
図1において、給電点3から第2のアンテナ6に向かう方向を-X方向、その逆方向を+X方向とする。また、第1のアンテナ4からグランド基板2に向かう方向を+Y方向、その逆方向を-Y方向とする。
【0010】
グランド基板2は、例えば、プリント基板である。グランド基板2のグランド面21には、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6が配置されるグランド面21は、銅箔等が形成されることによりグランドとして動作する。グランド基板2は、「グランド基板」の一例である。
【0011】
給電点3は、グランド面21に設けられ、第1のアンテナ4に給電する。第1のアンテナ4は、給電点3からの給電を受けて動作するモノポールアンテナである。第1のアンテナ4は、グランド面21に沿って設けられる。第1のアンテナ4は、基端部42が給電点3に接続され、先端部41が開放されるアンテナである。第1のアンテナ4は、基端部42よりも先端部41が-X方向に位置するように配置される。第1のアンテナ4は、例えば、第1の波長λ1の電波で共振する。第1のアンテナ4は、「第1のモノポールアンテナ」の一例である。給電点3は、「給電点」の一例である。第1の波長λ1の電波の周波数は、「第1の周波数」の一例である。
【0012】
導体素子5は、給電点3から給電を受けない素子であり、グランド面21に沿って設けられる。導体素子5は、グランド基板2に接続される基端部52よりも先端部51が+X方向に位置するように配置される。
図1では、第1のアンテナ4と導体素子5とは、先端部41と先端部51とが対向するように配置される。導体素子5は、「導体素子」の一例である。基端部52は、「第3の端部」の一例である。先端部51は、「第4の端部」の一例である。
【0013】
第2のアンテナ6は、第2のアンテナ6とグランド面21との間に配置される。第2のアンテナ6は、基端部62がグランド面21に接続され、先端部61が開放される無給電のモノポールアンテナである。第2のアンテナ6は、基端部62よりも先端部61が+X方向に位置するように配置される。すなわち、第2のアンテナ6の基端部62から先端部61に向かう方向と、導体素子5の基端部52から先端部51に向かう方向とは、同じである。第2のアンテナ6は、例えば、第1の波長λ1とは異なる第2の波長λ2の電波で共振する。第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6は、互いに接触しないように間をあけて配置される。第2のアンテナ6は、「無給電のモノポールアンテナ」の一例である。基端部62は、「第1の端部」の一例である。先端部51は、「第2の端部」の一例である。第2の波長λ2の電波の周波数は、「第2の周波数」の一例である。
【0014】
第1のアンテナ4の先端部41と導体素子5の先端部51との間隔D1は、第1のアンテナ4と導体素子5とが容量結合する程度の間隔に設定される。間隔D1は、例えば、0.012λ2以下に設定される。導体素子5と第2のアンテナ6との間の最も近い間隔D2は、導体素子5と第2のアンテナ6とが容量結合する程度の間隔に設定される。間隔D2は、例えば、0.006λ2以下に設定される。また、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6との間の最も近い間隔D3は、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6とが容量結合しない程度の間隔に設定される。間隔D3は、例えば、0.27λ2より広く設定される。なお、容量結合は、高周波結合とも称される。
【0015】
このような構成のアンテナ装置1では、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6は直接的には容量結合しない。しかしながら、アンテナ装置1では、第1のアンテナ4と導体素子5とが容量結合し、導体素子5と第1のアンテナ4とが容量結合することで、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6とを導体素子5を介して間接的に容量結合させることができる。そのため、アンテナ装置1は、第1のアンテナ4による波長λ1の電波と第2のアンテナ6による波長λ2の2種類の電波で動作するアンテナ装置となる。
【0016】
図2は、実施形態に係るアンテナ装置1の放射効率を例示する図である。
図2の縦軸は放射効率、横軸は周波数を例示する。
図2を参照すると、アンテナ装置1は、第1のアンテナ4による共振と第2のアンテナ6による共振の双方が得られていることが理解できる。第1のアンテナ4及び第2のアンテナ6の長さを適宜決定することで、アンテナ装置1は様々な帯域に対応できる。
【0017】
<シミュレーション>
続いて、間隔D1、D2、D3の変動によるアンテナ装置1の特性への影響を検証するシミュレーションを行ったので、当該シミュレーションについて説明する。本シミュレーションでは、第2のアンテナ6を共振させる電波の周波数を3.5GHzと仮定した。
【0018】
<第1シミュレーション>
第1シミュレーションでは、間隔D1の変動によるアンテナ装置1の特性への影響を検証した。
図3及び
図4は、第1シミュレーションの結果を例示する図である。
図3及び
図4の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は周波数を例示する。また、
図3及び
図4において、実線はアンテナ装置1の特性を例示し、点線はアンテナ装置1から第2のアンテナ6を除いた構成(以下、比較例とも称する)の特性を例示する。
【0019】
図3Aでは、間隔D1が0.5mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
図3Bでは、間隔D1が1.0mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
図3Cでは、間隔D1が2.0mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
図4Aでは、間隔D1が3.0mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
図4Bでは、間隔D1が5.0mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
図4Cでは、間隔D1が7.0mmに設定されたときにおける放射効率が例示される。
【0020】
図3及び
図4を参照すると、間隔D1が1.0mm(0.012λ
2)以下に設定されることで、比較例と比較して1dB程度の放射効率の改善がみられることが理解できる。
【0021】
<第2シミュレーション>
第2シミュレーションでは、導体素子5と第2のアンテナ6との間隔D2の変動によるアンテナ装置1の特性への影響を検証した。
図5は、第2シミュレーションの結果を例示する図である。
図5の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。第2シミュレーションでは、間隔D2を0.3mm、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、5.0mm及び10mmの夫々に設定して、アンテ
ナ装置1の放射効率を検証した。また、
図5には、比較例の特性についても例示される。
【0022】
図5を参照すると、間隔D2が0.5mm(0.006λ
2)以下に設定されることで、比較例と比較して1dB程度の放射効率の改善がみられることが理解できる。
【0023】
<第3シミュレーション>
第3シミュレーションでは、第1のアンテナ4と導体素子5との間隔D3の変動によるアンテナ装置1の特性への影響を検証した。
図6は、第2シミュレーションの結果を例示する図である。
図6の縦軸は放射効率(dB)を例示し、横軸は周波数(MHz)を例示する。第3シミュレーションでは、間隔D3を33.5mm、23.5mm、13.5mm、3.5mm及び0.5の夫々に設定して、アンテナ装置1の放射効率を検証した。また、
図6には、比較例の特性についても例示される。
【0024】
図6を参照すると、間隔D3が23.5mm(0.27λ
2)より広くに設定されることで、比較例と比較して1dB程度の放射効率の改善がみられることが理解できる。
【0025】
<実施形態の作用効果>
本実施形態では、第2のアンテナ6が第1のアンテナ4と容量結合できない位置に配置されていても、導体素子5が第1のアンテナ4及び第2のアンテナ6の双方と容量結合する位置に配置されることで、第2のアンテナ6を無給電アンテナとして動作させることができる。
【0026】
また、本実施形態では、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6との容量結合が導体素子5を介して実現されるため、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6とが導体素子5を介さずに容量結合できる位置に第2のアンテナ6を設けなくともよい。換言すれば、第1のアンテナ4と第2のアンテナ6とが互いに離れた位置に配置されてもよい。そのため、本実施形態によれば、第2のアンテナ6の配置の自由度が高まる。例えば、第1のアンテナ4の付近に他の部品が配置されることで第2のアンテナ6を第1のアンテナ4の付近に配置できなくとも、第1のアンテナ4を他の位置に配置することで、第1のアンテナ4を無給電アンテナとして動作させることができる。
【0027】
<第1変形例>
以上説明した実施形態では導体素子5は給電点3から給電されなかった。第1変形例では、導体素子5が給電アンテナとして動作する構成について説明する。実施形態と共通の構成要素については同一の符号を付し、その説明は省略される。以下、図面を参照して、第1変形例について説明する。
【0028】
図7は、第1変形例に係るアンテナ装置1Aの一例を示す図である。アンテナ装置1Aは、導体素子5に代えて第3のアンテナ5Aを備えるとともに、給電点3に加えて給電点3Aを備える点で、実施形態に係るアンテナ装置1とは異なる。
【0029】
給電点3Aは、グランド面21に設けられ、第3のアンテナ5Aに給電する。第3のアンテナ5Aは、給電点3Aからの給電を受けて動作するモノポールアンテナである。第3のアンテナ5Aは、グランド面21に沿って設けられる。第3のアンテナ5Aは、基端部52Aが給電点3Aに接続され、先端部51Aが開放されるアンテナである。第3のアンテナ5Aは、基端部52Aよりも先端部51が+X方向に位置するように配置される。
図7では、第1のアンテナ4と第3のアンテナ5Aとは、先端部41と先端部51Aとが対向するように配置される。第3のアンテナ5Aは、例えば、第1の波長λ
1及び第2の波長λ
2とは異なる第3の波長λ
3の電波で共振する。給電点3Aは、「第2の給電点」の一例である。第3のアンテナ5Aは、「第3の周波数で共振するモノポールアンテナ」の
一例である。第3の波長λ
3の電波の周波数は、「第3の周波数」の一例である。
【0030】
第1のアンテナ4の先端部41と第3のアンテナ5Aの先端部51Aとの間隔D1Aは、第1のアンテナ4と第3のアンテナ5Aとが容量結合する程度の間隔に設定される。間隔D1Aは、例えば、0.012λ2以下に設定される。第3のアンテナ5Aと第2のアンテナ6との間の最も近い間隔D2Aは、第3のアンテナ5Aと第2のアンテナ6とが容量結合する程度の間隔に設定される。間隔D2Aは、例えば、0.006λ2以下に設定される。
【0031】
図8は、第1変形例に係るアンテナ装置1Aの放射効率を例示する図である。
図8の縦軸は放射効率、横軸は周波数を例示する。アンテナ装置1Aでは、第1のアンテナ4による共振及び第2のアンテナ6による共振に加えて、導体素子5による共振も得ることができる。そのため、アンテナ装置1Aでは、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の3つのアンテナを互いに異なる周波数で動作させることができる。
【0032】
第1変形例のアンテナ装置1Aによっても、第1のアンテナ4と第3のアンテナ5Aとは容量結合され、第3のアンテナ5Aと第2のアンテナ6とは容量結合される。すなわち、第2のアンテナ6は、第3のアンテナ5Aを介してアンテナ装置1Aと容量結合できる。そのため、第1変形例によっても、第2のアンテナ6を無給電アンテナとして動作させることができる。さらに、アンテナ装置1Aは、第3のアンテナ5Aを波長λ3の電波で共振する給電アンテナとして動作させることができる。
【0033】
<その他の変形>
第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の配置及び形状は様々に変形できる。
図9から
図12は、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の配置及び形状のバリエーションを模式的に示す図である。以下
図9から
図12を参照して、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の配置及び形状のバリエーションについて説明する。
【0034】
実施形態では第1のアンテナ4と導体素子5とは、先端部41と先端部51とが対向するように配置されたが、第1のアンテナ4の先端部41と先端部51とは対向しなくともよい。例えば、第1のアンテナ4及び導体素子5の少なくとも一部の素子は、途中で屈曲されることで、先端部41と先端部51とが対向しなくなってもよい。
【0035】
図9Aでは、第1のアンテナ4の方が導体素子5よりもグランド基板2に近い位置に配置されることで、先端部41と先端部51とが対向しない配置となった例が示される。
図9Bでは、導体素子5の方が第1のアンテナ4よりもグランド基板2に近い位置に配置されることで、先端部41と先端部51とが対向しない配置となった例が示される。
図9A及び
図9Bに例示されるように、第1のアンテナ4及び導体素子5は、先端部41と先端部51とが対向しない配置となってもよい。
【0036】
図9Cでは、導体素子5が、屈曲部53において屈曲される。
図9Cの例では、屈曲部53よりも基端部52側の本体部54とグランド基板2との距離は、第1のアンテナ4とグランド基板2との距離に等しい。そして、屈曲部53より先端部51側の先端枝部55は、第1のアンテナ4よりもグランド基板2に近い位置に配置される。
【0037】
また、
図9Dでは、第1のアンテナ4が、屈曲部43において屈曲される。
図9Dの例では、屈曲部43よりも基端部42側の本体部44とグランド基板2との距離は、導体素子5とグランド基板2との距離に等しい。そして、屈曲部43よりも先端部41側の先端枝部45は、導体素子5よりもグランド基板2に近い位置に配置される。
【0038】
図9C及び
図9Dに例示されるように、第1のアンテナ4及び導体素子5は、途中で屈曲されることで、先端部41と先端部51とが対向しない配置となってもよい。第1のアンテナ4及び第2のアンテナ6の少なくとも一部の素子が屈曲されることで、実装スペースに実装される他の電子部品を回避して第1のアンテナ4及び第2のアンテナ6を実装しやすくなる。なお、第2のアンテナ6が屈曲されてもよい。
【0039】
また、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の少なくとも一部の素子は、先端が折り返されてもよい。
図10Aでは、第1のアンテナ4は、先端部41付近の折り返し部46で折り返される。また、導体素子5は、先端部51付近の折り返し部56で折り返される。なお、
図10Aでは、第1のアンテナ4及び導体素子5の双方が折り返されたが、
図10B及び
図10Cに例示されるように、第1のアンテナ4及び導体素子5の一方が折り返されてもよい。また、
図10Dに例示されるように、第2のアンテナ6が先端部61付近の折り返し部66で折り返されてもよい。導体素子5及び第2のアンテナ6の少なくとも一部の素子が折り返されることで、狭い実装スペースにおいてもアンテナ長の確保が容易になる。
【0040】
また、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の少なくとも一部の素子はメアンダ形状に形成されてもよい。
図11Aの例では、第2のアンテナ6がメアンダ形状に形成される。
図11Bの例では、導体素子5がメアンダ形状に形成される。
図11Cの例では、第1のアンテナ4がメアンダ形状に形成される。また、
図11Dの例では、第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6がメアンダ形状に形成される。第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6の少なくとも一部の素子はメアンダ形状に形成されることで、狭い実装スペースにおいてもアンテナ長の確保が容易になる。
【0041】
なお、以上説明した実施形態及び変形例では、第2のアンテナ6は導体素子5とグランド基板2との間に配置されたが、第2のアンテナ6とグランド基板2との間に導体素子5が配置されてもよい。
図12では、第2のアンテナ6とグランド基板2との間に導体素子5が配置される構成が例示される。
図12に例示されるように、第2のアンテナ6は、グランド基板2と導体素子5との間に限定されず、導体素子5よりもグランド基板2から離れた位置に設けられてもよい。
【0042】
なお、第2のアンテナ6を共振させる電波の周波数は、コンデンサ及びコイルの少なくとも一方を第2のアンテナ6に接続させることで、調整されてもよい。
【0043】
<実装例>
図13は、実装例に係るスマートフォン100の一例を示す図である。スマートフォン100は、例えば、筐体110の前面にタッチスクリーン111が配置された可搬型の無線通信装置である。筐体110は、例えば、金属等の導体で形成される。
【0044】
図14は、実装例において、筐体110内の一例を示す図である。
図14では、筐体110内において第1のアンテナ4、導体素子5及び第2のアンテナ6が実装された領域付近が例示される。スマートフォン100において、第1のアンテナ4及び導体素子5は、筐体110の一部を利用して形成される。
図14の例では、第1のアンテナ4がグランド基板2に接続される位置には、ネジ113が配置される。そのため、第2のアンテナ6を第1のアンテナ4に容量結合させたい場合であっても、第2のアンテナ6を第1のアンテナ4近傍に配置することは困難である。
【0045】
本実装例では、第1のアンテナ4から離れた位置であって、導体素子5と容量結合可能な位置に第2のアンテナ6を実装可能なスペースが存在する。そこで、第2のアンテナ6
は当該スペースに実装される。そして、第1のアンテナ4と導体素子5とは互いに容量結合可能な位置に配置され、導体素子5と第2のアンテナ6とは互いに容量結合可能な位置に配置される。その結果、第2のアンテナ6は、導体素子5を介して第1のアンテナ4と容量結合可能となる。そのため、本実装例によれば、第1のアンテナ4と直接的に容量結合可能な位置に第2のアンテナ6を配置できない状態であっても、第2のアンテナ6を無給電のアンテナ素子として動作させることができる。
【0046】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・アンテナ装置
1A・・アンテナ装置
2・・グランド基板
21・・グランド面
3・・給電点
3A・・給電点
4・・第1のアンテナ
41・・先端部
42・・基端部
43・・屈曲部
44・・本体部
45・・先端枝部
46・・折り返し部
5・・導体素子
5A・・第3のアンテナ
51・・先端部
52・・基端部
53・・屈曲部
54・・本体部
55・・先端枝部
56・・折り返し部
6・・第2のアンテナ
61・・先端部
62・・基端部
66・・折り返し部
100・・スマートフォン
110・・筐体
111・・タッチスクリーン
113・・ネジ
114・・他のアンテナ
120・・基板