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特開2024-168569観察装置、印刷装置、観察方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168569
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】観察装置、印刷装置、観察方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241128BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/165 303
B41J2/165 211
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085370
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】加藤 龍二
(72)【発明者】
【氏名】小川 幹生
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕幸
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB32
2C056EB52
2C056EC26
2C056EC32
2C056JA01
2C056JA06
2C056JA13
2C056JB04
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】拭き取り中の液体の様子を詳細に知ることができる手段を提供する。
【解決手段】観察装置1は、インク3が付着する上面34を有するプレート31と、プレート31に対して相対移動し、上面34に付着したインク3を拭き取るワイパ32と、上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するカメラ33とを備える。ワイパ32は、プレート31に対して左右方向9に相対移動し、カメラ33は、ワイパ32がインク3を拭き取る過程を左右方向9と交差する前後方向8から撮像する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が付着する第1面を有する第1部材と、
前記第1部材に対して相対移動し、前記第1面に付着した前記液体を拭き取るワイパと、
前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する撮像部とを備えた観察装置。
【請求項2】
前記ワイパは、前記第1部材に対して第1方向に相対移動し、
前記撮像部は、前記ワイパが前記液体を拭き取る過程を前記第1方向と交差する第2方向から撮像する請求項1に記載の観察装置。
【請求項3】
前記ワイパは固定されており、
前記第1部材は前記第1方向に移動可能である請求項2に記載の観察装置。
【請求項4】
前記第1部材が載置される台と、
前記台を移動させるロボシリンダと、さらに備え、
前記第1部材は、前記ロボシリンダにより前記第1方向に移動可能である請求項3に記載の観察装置。
【請求項5】
前記ワイパは、前記第1部材に対する押し付け圧力を変更可能である請求項1に記載の観察装置。
【請求項6】
前記ワイパは、支持部材により支持角度を変更可能に支持されている請求項5に記載の観察装置。
【請求項7】
前記ワイパは、交換可能なバネを介して所定位置に固定されている請求項5に記載の観察装置。
【請求項8】
前記第1面には撥水膜があり、
前記撥水膜と前記ワイパとの間の距離が変更可能である請求項5に記載の観察装置。
【請求項9】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理と、
前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記第1部材に対する前記ワイパの相対速度を遅くする第1速度低下処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項10】
制御部と、表示部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理と、
前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記ワイパの押し付け圧力を高くすることを促す表示を前記表示部に行わせる促進表示処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項11】
前記ワイパは、支持部材により支持角度を変更可能に支持されており、
前記制御部は、前記促進表示処理として、前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記ワイパの前記支持角度を大きくすることを促す表示を前記表示部に行わせる第1表示処理を実行する請求項10に記載の観察装置。
【請求項12】
前記ワイパは、交換可能なバネを介して所定位置に固定されており、
前記制御部は、前記促進表示処理として、前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記バネを弾性力の大きいものにすることを促す表示を前記表示部に行わせる第2表示処理を実行する請求項10に記載の観察装置。
【請求項13】
前記第1面には撥水膜があり、
前記撥水膜と前記ワイパとの間の距離が変更可能であり、
前記制御部は、前記促進表示処理として、前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記撥水膜と前記ワイパとの間の距離を短くすることを促す表示を前記表示部に行わせる第3表示処理を実行する請求項10に記載の観察装置。
【請求項14】
制御部と、表示部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理と、
前記液体が前記ワイパに追随していると判断したことに応じて、前記液体と前記ワイパとが適合していることを前記表示部に表示させる適合表示処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項15】
前記第1面には撥水膜が塗布されており、
前記撥水膜と前記ワイパとは常に非接触状態である請求項1に記載の観察装置。
【請求項16】
前記撥水膜と前記ワイパとの間の距離は、0.1mm以上1.0mm以下である請求項15に記載の観察装置。
【請求項17】
制御部と、表示部とをさらに備え、
前記制御部は、前記液体の粘度に応じて高粘度時処理を実行し、
前記制御部は、前記高粘度時処理において、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理を実行し、
前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、
前記第1部材に対する前記ワイパの相対速度を遅くする第1速度低下処理と、
前記ワイパの押し付け圧力を高くすることを促す表示を前記表示部に行わせる促進表示処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項18】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理を実行し、
前記第1判断処理を実行する前に、
前記撮像部で撮像された画像と基準画像との間のパターンマッチング処理と、
前記液体の粘度に応じて、前記パターンマッチング処理で用いる前記基準画像を切り換える切り換え処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項19】
制御部と、表示部とをさらに備え、
前記液体は、樹脂微粒子と色材の固形分とを含み、
前記樹脂微粒子は、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内で前記液体に含有され、
前記色材の固形分は、0.1wt%以上20wt%以下の範囲内で前記液体に含有され、
前記制御部は、
前記樹脂微粒子の、前記色材の固形分に対する比率が所定量未満であるか否かを判断する第2判断処理と、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理とを実行し、
前記第2判断処理において前記比率が前記所定量未満であると判断し、かつ、前記第1判断処理において前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記第1部材に対する前記ワイパの相対速度を遅くする第1速度低下処理を実行し、
前記第2判断処理において前記比率が前記所定量未満でないと判断し、かつ、前記第1判断処理において前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記第1速度低下処理と、前記ワイパの押し付け圧力を高くすることを促す表示を前記表示部に行わせる促進表示処理と、を実行する請求項1に記載の観察装置。
【請求項20】
液体が付着する第1面と、前記液体を吐出するノズルとを有するヘッドと、
前記ヘッドに対して相対移動し、前記第1面に付着した前記液体を拭き取るワイパと、
前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する撮像部とを備えた、印刷装置。
【請求項21】
制御部と、
排出口を有するキャップと、
前記排出口に連結された吸引機構と、
前記ヘッドを覆わない第1位置と、前記ヘッドを覆う第2位置との間で前記キャップを移動させる移動機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記キャップを前記第1位置に移動して、前記吸引機構を駆動する空吸引処理を実行した後に、前記ヘッドに対して前記ワイパを相対移動して、前記ヘッドの前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパに拭き取らせるワイピング処理を実行し、
前記制御部は、前記空吸引処理を実行した後に前記撮像部に撮像を開始させる第1撮像開始処理を実行する請求項20に記載の印刷装置。
【請求項22】
前記制御部は、前記ワイピング処理を実行した後に、前記ヘッドの前記ノズルから前記液体を吐出させるフラッシング処理を実行し、
前記制御部は、前記フラッシング処理を実行する前、前記フラッシング処理を実行している間、または前記フラッシング処理を実行した後に前記撮像部に撮像を終了させる第1撮像終了処理を実行する請求項21に記載の印刷装置。
【請求項23】
制御部と、
第3位置と、前記第3位置より高い第4位置との間で前記ワイパを昇降させる昇降機構をさらに備え、
前記制御部は、前記昇降機構が前記ワイパを前記第3位置から前記第4位置に上昇させている間に前記撮像部に撮像を開始させる第2撮像開始処理を実行する請求項20に記載の印刷装置。
【請求項24】
前記制御部は、前記昇降機構が前記ワイパを前記第4位置から前記第3位置に下降させている間に前記撮像部に撮像を終了させる第2撮像終了処理を実行する請求項23に記載の印刷装置。
【請求項25】
制御部と、報知部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理と、
前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記ワイパの寿命に到達したことを前記報知部に報知させる報知処理と、を実行する請求項20に記載の印刷装置。
【請求項26】
制御部と、
前記ヘッドを搭載して移動するキャリッジとをさらに備え、
前記制御部は、
前記撮像部で撮像された画像に基づき、前記液体が前記ワイパに追随しているか否かを判断する第1判断処理と、
前記液体が前記ワイパに追随していないと判断したことに応じて、前記キャリッジの移動速度を遅くする第2速度低下処理と、を実行する請求項20に記載の印刷装置。
【請求項27】
液体が付着する第1面を有する第1部材と、ワイパと、撮像部と用いた観察方法であって、
前記ワイパを前記第1部材に対して相対移動させ、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパで拭き取るステップと、
前記撮像部により、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するステップとを備えた観察方法。
【請求項28】
コンピュータに、液体が付着する第1面を有する第1部材と、ワイパと、撮像部と用いた観察方法を実行させるプログラムであって、
前記ワイパを前記第1部材に対して相対移動させ、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパで拭き取るステップと、
前記撮像部により、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するステップとを、前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置などに関連する観察装置、印刷装置、観察方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリンタは、ヘッドのノズルからインクを吐出する印刷装置の一例である。プリンタは、ノズルからのインクの吐出状態を良好に保つために、各種のメンテナンス処理を行う。例えば、特許文献1には、ノズル付近に付着したインクなどの異物をワイパにより拭き取るワイピング処理を行うプリンタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-154995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイピング処理後のヘッドを視れば、インクを拭き取れたか否かを知ることができる。しかしながら、この方法では、拭き取り中のインクの様子を詳細に知ることができない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、拭き取り中の液体の様子を詳細に知ることができる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観察装置は、液体が付着する第1面を有する第1部材と、前記第1部材に対して相対移動し、前記第1面に付着した前記液体を拭き取るワイパと、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する撮像部とを備えている。
【0007】
本発明の印刷装置は、液体が付着する第1面と、前記液体を吐出するノズルとを有するヘッドと、前記ヘッドに対して相対移動し、前記第1面に付着した前記液体を拭き取るワイパと、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する撮像部とを備えている。
【0008】
本発明の観察方法は、液体が付着する第1面を有する第1部材と、ワイパと、撮像部と用いた観察方法であって、前記ワイパを前記第1部材に対して相対移動させ、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパで拭き取るステップと、前記撮像部により、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するステップとを備えている。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータに、液体が付着する第1面を有する第1部材と、ワイパと、撮像部と用いた観察方法を実行させるプログラムであって、前記ワイパを前記第1部材に対して相対移動させ、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパで拭き取るステップと、前記撮像部により、前記第1面に付着した前記液体を前記ワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するステップとを、前記コンピュータに実行させる。
【0010】
上記の観察装置、印刷装置、観察方法、およびプログラムによれば、第1面に付着した液体をワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像することにより、撮像部で撮像された画像に基づき、拭き取り中の液体の様子を詳細に知ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、拭き取り中の液体の様子を詳細に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る観察装置1の構成を示す図である。
図2図2は、観察装置1のカメラ33で撮像される画像の例を示す図である。
図3図3は、観察装置1のメイン処理のフローチャートである。
図4図4は、観察装置1の第1観察処理のフローチャートである。
図5図5は、観察装置1の第2観察処理のフローチャートである。
図6図6は、観察装置1の他の第1観察処理のフローチャートである。
図7図7は、本発明の第2の実施形態に係るプリンタ2の構成を示す図である。
図8図8は、プリンタ2の制御部71およびその周辺部を示すブロック図である。
図9図9(A)は、制御部71がメンテナンス処理を実行する前の状態を示す図であり、図9(B)は、制御部71がアンキャッピング空吸引処理を実行中の状態を示す図であり、図9(C)は、制御部71がワイピング処理を実行中の状態を示す図である。
図10図10は、プリンタ2のメンテナンス処理のフローチャートである。
図11図11は、プリンタ2の他のメンテナンス処理のフローチャートである。
図12図12は、プリンタ2の他のメンテナンス処理のフローチャートである。
図13図13は、プリンタ2の他のメンテナンス処理のフローチャートである。
図14図14は、プリンタ2の印刷処理のフローチャートである。
図15図15は、第1の実施形態の第1変形例に係る観察装置のメイン処理のフローチャートである。
図16図16は、第1変形例に係る観察装置の組成テーブル91を示す図である。
図17図17は、第1の実施形態の第2変形例に係る観察装置のメイン処理のフローチャートである。
図18図18は、第2変形例に係る観察装置の粘度テーブル92を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[インクの詳細]
本発明の実施形態を説明するに先立ち、本発明の実施形態で使用されるインクの詳細を説明する。インクは、樹脂微粒子、色材、有機溶剤、界面活性剤、および水を有する。インクは、水性インクである。
【0014】
インクは、コート紙、プラスチック、フィルム、OHPシートなどの疎水性の記録媒体への濡れ性があるが、これに限定されるものではなく、例えば、普通紙、光沢紙、マット紙などの疎水性の記録媒体以外の画像記録に好適なものであってもよい。「コート紙」とは、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙などのパルプを主要な構成要素とした普通紙に、平滑性、白色度、光沢度などの向上を目的として、コート剤を塗布したものを言い、具体的には、上級コート紙、中級コート紙などがあげられる。
【0015】
樹脂微粒子としては、例えば、メタクリル酸およびアクリル酸の少なくとも一方をモノマーとして含むものを用いることができ、例えば、市販品を用いてもよい。樹脂微粒子は、例えば、モノマーとして、さらに、スチレン、塩化ビニルなどを含んでもよい。樹脂微粒子は、例えば、エマルジョンに含まれるものであってもよい。エマルジョンは、例えば、樹脂微粒子と、分散媒(例えば、水など)とで構成されるものである。樹脂微粒子は、分散媒に対して溶解状態ではなく、特定の粒子径の範囲で分散している。樹脂微粒子としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂およびこれらの共重合体樹脂などが挙げられるが、アクリル系樹脂であることが好ましい。
【0016】
樹脂微粒子としては、例えば、0℃以上200℃以下の範囲内においてガラス転移温度(Tg)を有する樹脂が用いられる。より好ましくは、ガラス転移温度(Tg)は、20℃以上180℃以下であり、さらに好ましくは、30℃以上150℃以下である。
【0017】
エマルジョンとしては、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス(登録商標)870」(Tg:71℃)、「スーパーフレックス(登録商標)150」(Tg:40℃)、ジャパンコーティングレジン(株)製の「モビニール(登録商標)6760」(Tg:-28℃)、「モビニール(登録商標)DM774」(Tg:33℃)、昭和電工(株)製の「ポリゾール(登録商標)AP-3270N」(Tg:27℃)、星光PMC(株)製の「ハイロース-X(登録商標)KE-1062」(Tg:112℃)、「ハイロース-X(登録商標)QE-1042」(Tg:69℃)などが挙げられる。
【0018】
樹脂微粒子の平均粒子径は、例えば、30nm以上200nm以下の範囲内である。平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-550」を用いて、算術平均径として測定可能である。
【0019】
インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5wt%以上20wt%以下の範囲内であり、特に好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。樹脂微粒子は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
色材は、例えば、顔料分散用樹脂(樹脂分散剤)によって、水に分散可能な顔料である。色材としては、例えば、カーボンブラック、無機顔料および有機顔料などが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどが挙げられる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄系無機顔料およびカーボンブラック系無機顔料などが挙げられる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料;塩基性染料型レーキ顔料、酸性染料型レーキ顔料などの染料レーキ顔料;ニトロ顔料;ニトロソ顔料;アニリンブラック昼光蛍光顔料;などが挙げられる。
【0021】
インク全量における色材の固形分含有量は、特に限定されず、例えば、所望の光学濃度または彩度などにより、適宜決定できる。色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内が好ましく、さらに好ましくは1.0wt%以上15.0wt%以下の範囲内である。色材の固形分含有量は、顔料のみの重量であり、樹脂微粒子の重量は含まない。色材は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0022】
有機溶剤としては、特に限定はなく、任意のものが使用できる。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどが挙げられ、プロピレンオキサイド基を有するグリコールエーテルが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。
【0023】
インク全量における有機溶剤の含有量は、25℃において単体で液体として存在する有機溶剤が、インク全量に対して50wt%以下であることが好ましく、さらに好ましくは40wt%以下である。
【0024】
水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。インク全量における水の含有量は、例えば、15wt%以上95wt%以下の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは25wt%以上85wt%以下の範囲内である。水の含有量は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0025】
インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防腐剤、防黴剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤、酸化防止剤、ノズル乾燥防止剤、エマルジョンなどのポリマー成分、染料などが挙げられる。界面活性剤は、さらに、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、またはノニオン性界面活性剤を含んでもよい。これら界面活性剤は、例えば、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日信化学工業(株)製の「オルフィン(登録商標)E1010」、「オルフィン(登録商標)E1006」、「オルフィン(登録商標)E1004」、「シルフェイスSAG503A」、および「シルフェイスSAG002」などが挙げられる。インク全量における界面活性剤の含有量は、例えば、5wt%以下、3wt%以下、0.1wt%以上2wt%以下である。粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂などが挙げられる。
【0026】
インクは、例えば、樹脂微粒子と、色材と、有機溶剤と、水と、必要に応じて他の添加剤とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタなどで不溶解物を除去することにより調製できる。
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。第1の実施形態では、図1に示される観察装置1について説明する。図1に示される観察装置1は、拭き取り中のインク(液体の一例)の様子を観察するためのものである。第2の実施形態では、図7に示されるプリンタ2について説明する。図7に示されるプリンタ2は、拭き取り中のインクの様子を観察する機能を有する印刷装置の一例である。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。
【0028】
<第1の実施形態>
[観察装置1の構成]
図1に示されるように、第1の実施形態に係る観察装置1は、スライダ14を有するロボシリンダ10と、固定台20と、プレート31と、ワイパ32と、カメラ33と、制御装置40とを備えている。ロボシリンダ10は、スライダ14が上になるように、例えば作業台(図示せず)の上に載置される。本実施形態では、ロボシリンダ10の上下方向を上下方向7、スライダ14の移動方向を左右方向9、上下方向7および左右方向9と直交する方向を前後方向8という。
【0029】
ロボシリンダ10は、左右方向9を長手方向とする概ね直方体状の筐体11を有する。ロボシリンダ10は、モータ12と、ボールネジ13と、スライダ14とを有する。モータ12は、筐体11の一端(図1では左端)に内蔵されている。ボールネジ13は、筐体11に内蔵されており、ロボシリンダ10の長手方向(左右方向9)に延在している。モータ12は、制御装置40からの制御に従い回転する。モータ12の回転に伴い、ボールネジ13は回転し、スライダ14は左右方向9に移動する。
【0030】
プレート31は、薄いガラス板である。プレート31の上面34には、撥水膜35(図2参照)が塗布されている。プレート31は、スライダ14上に載置され、スライダ14の上面に固定される。プレート31は、スライダ14と共に左右方向9に移動する。スライダ14は、台の一例である。プレート31は、第1部材の一例である。上面34は、第1面の一例である。
【0031】
固定台20は、台座21と、垂直部22と、水平部23とを有する。台座21は、前後方向8および左右方向9に延在する平板形状を有する。固定台20は、台座21の下面が作業台などに接触するように、作業台などの上に載置される。垂直部22は、概ね直方体状の形状を有し、台座21から上向きに延伸する。水平部23は、概ね直方体状の形状を有し、垂直部22の上端から後向きに延伸する。
【0032】
水平部23の左側面24には、支持部材25が設けられている。支持部材25は、バネ26およびワイパ取付部27を介してワイパ32を支持する。バネ26は、例えば板状のバネである。ワイパ32は、ゴム製の薄板状部材である。ワイパ32の幅(前後方向8のサイズ)は、例えば3mmである。バネ26の上端は、支持部材25に取り付けられる。バネ26の下端は、ワイパ取付部27の上端に接続される。ワイパ取付部27の下端には、接着材などでワイパ32が固着されている。
【0033】
観察装置1は、プレート31の上面34に所定量のインク3が付着した状態で、メイン処理(図3)を実行する。インク3は、観察装置1で観察の対象となるインクである。所定量は、例えば、20μlである。メイン処理において、スライダ14およびプレート31は、ロボシリンダ10により右向きに移動する。このとき、プレート31がワイパ32の下端付近を通過し、ワイパ32がプレート31に付着したインク3を拭き取るように、固定台20の垂直部22および水平部23のサイズなどが決定されている。ワイパ32が固定された状態で、プレート31が左右方向9に移動することにより、ワイパ32はプレート31に対して左右方向9に相対移動する。左右方向9は、第1方向の一例である。
【0034】
ワイパ32は、プレート31に対する押し付け圧力を変更可能である。具体的には、支持部材25は、ワイパ32の支持角度を変更可能に構成されている。バネ26は、固定台20に対して交換可能である。ワイパ32は、交換可能なバネ26を介して、上下方向7および左右方向9においてカメラ33とほぼ同じ位置に固定されている。この位置は、所定位置の一例である。ワイパ32の上下方向7の位置は、変更可能に構成されている。このため、プレート31の上面34に形成された撥水膜35とワイパ32との間の距離は変更可能である。撥水膜35とワイパ32とは、常に非接触状態である。撥水膜35とワイパ32との距離は、例えば0.1mm以上1.0mm以下である。撥水膜35とワイパ32との距離は、例えば0.7mmに設定される。
【0035】
ここで、撥水膜35とワイパ32とが非接触状態である点について、詳細に説明する。撥水膜35には塗布ムラがあるので、撥水膜35の表面は均一な平面ではない。また、ワイパ32の先端は切断手段(例えば、ハサミやカッター)により切断されるが、ワイパ32の先端の切断面も均一な平面ではない。このため、撥水膜35とワイパ32とが十分に接近した状態において、両者が接触している部分と、両者が接触していない部分とが生じる。両者が接触していない部分には、上述の0.1mm以上1.0mm以下の距離がある。したがって、ワイパ32が固定された状態で、インク3が付着したプレート31が例えば右向きに移動する場合、プレート31上のインク3がワイパ32の位置に到達したときに、インク3はワイパ32の左側の面に一旦遮られるが、その後、インク3の一部が、撥水膜35とワイパ32との非接触部分を通り抜けてワイパ32の右側に移動する。ワイパ32の右側に移動したインク3の一部は、プレート31に対するワイパ32の押し付け圧力、ワイパ32の支持角度、撥水膜35とワイパ32との間の距離などに応じて、ワイパ32に追随したり、ワイパ32に追随しなかったりする。
【0036】
カメラ33は、顕微鏡を内蔵したカメラである。カメラ33は、ロボシリンダ10の後方、かつ、上下方向7および左右方向9においてワイパ32とほぼ同じ位置に位置する。カメラ33は、ロボシリンダ10の後方からワイパ32およびその近傍を撮像する。ワイパ32がプレート31に対して左右方向9に相対移動するとき、カメラ33はワイパ32がインク3を拭き取る過程を前後方向8から撮像する。カメラ33は、撮像部の一例である。前後方向8は、第1方向に交差する第2方向の一例である。
【0037】
カメラ33は、例えば、図2に示される画像を撮像する。図2に示される画像は、ワイパ取付部27に取り付けられたワイパ32が、スライダ14上に載置されたプレート31の上面34に付着したインク3を拭き取る様子を示す。
【0038】
図1に示されるように、制御装置40は、制御部41と、入力部42と、表示部43とを備えている。入力部42は、例えばマウスやタッチパネルなどである。表示部43は、例えば液晶ディスプレイである。制御部41は、CPU44と、メモリ45とを含んでいる。メモリ45は、例えばROMやRAMなどを含んでいる。メモリ45は、制御プログラム46を記憶している。入力部42と、表示部43と、CPU44と、メモリ45とは、制御装置40内のバス47に接続されている。バス47には、ロボシリンダ10のモータ12、カメラ33なども接続されている。
【0039】
CPU44は、メモリ45に記憶された制御プログラム46を実行することにより、メイン処理(図3)を実行する。CPU44とメモリ45とは、制御部41として機能する。制御部41は、モータ12に対して制御信号を出力することにより、スライダ14の移動/停止、およびスライダ14の移動速度を制御する。制御部41は、カメラ33に対して制御信号を出力することにより、カメラ33の撮像開始/停止を制御する。制御部41は、カメラ33で撮像された画像に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断し、判断した結果に応じて後述する処理を実行する。制御装置40は、例えば、パーソナルコンピュータによって実現される。制御装置40および制御部41は、コンピュータの一例である。制御プログラム46は、プログラムの一例である。
【0040】
なお、制御プログラム46は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体に記憶されてもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、CD-ROM、DVD-ROMなどの記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0041】
このような観察装置1によれば、ワイパ32がプレート31の上面34に付着したインク3を拭き取る様子を取得することができる。取得された結果は、印刷装置の設計時に参照される。取得された結果は、例えば、印刷装置で使用されるインクを選択したり、印刷装置におけるワイパの移動速度や、ワイパの押し付け圧力や、ワイパの支持角度を決定したりするときに参照される。
【0042】
[メイン処理]
制御部41は、入力部42を経由して利用者から指示を受けたことに応じて、図3に示されるメイン処理を実行する。利用者は、メイン処理の実行を指示する前に、プレート31の上面34に所定量のインク3を落とす。メイン処理を実行する前の状態では、スライダ14およびプレート31はワイパ32より左の初期位置に位置し、プレート31の上面34にインク3が付着している。
【0043】
図3に示されるように、制御部41は、メイン処理の先頭において、プレート31上のインク3がラテックス系インクであるか否かを判断する(S111)。制御部41は、S111において、例えば、「使用するインクは、ラテックス系インクですか?」というメッセージを表示部43に表示させ、入力部42からYesおよびNoのいずれが入力されたかに応じて、インク3がラテックス系インクであるか否かを判断する。
【0044】
制御部41は、インク3がラテックス系インクでないと判断したことに応じて(S111:No)、S112へ進む。この場合、制御部41は、図4に示される第1観察処理を実行する(S112)。制御部41は、S111においてインク3がラテックス系インクであると判断したことに応じて(S111:Yes)、S113へ進む。この場合、制御部41は、図5に示される第2観察処理を実行する(S113)。制御部41は、S112またはS113を実行した後、メイン処理を終了する。なお、ラテックス系インクは粘度の高いインクの一例である。S113は、インク3がラテックス系インクであると判断したことに応じて実行されるので、インク3の粘度に応じて実行される高粘度時処理の一例である。
【0045】
[第1観察処理]
図4に示されるように、制御部41は、第1観察処理の先頭において、スライダ14の移動速度を設定する(S121)。制御部41は、S121において、スライダ14の移動速度を示す制御信号をモータ12に対して出力することにより、スライダ14の移動速度を設定する。次に、制御部41は、カメラ33に撮像を開始させる(S122)。制御部41がS122を実行した以降、カメラ33はワイパ32およびその近傍を撮像する。
【0046】
次に、制御部41は、ワイピング処理を実行する(S123)。制御部41は、S123において、モータ12を所定時間だけ駆動して、スライダ14およびプレート31を初期位置から右向きに所定量だけ移動させ、プレート31の上面34に付着したインク3をワイパ32に拭き取らせる。
【0047】
次に、制御部41は、カメラ33に撮像を終了させる(S124)。制御部41がS124を実行したときに、カメラ33はワイパ32およびその近傍の撮像を終了する。このようにカメラ33は、プレート31の上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの最初から最後まで撮像する。
【0048】
次に、制御部41は、カメラ33による撮像画像と、予め用意された第1基準画像との間でパターンマッチング処理を実行する(S125)。第1基準画像は、パターンマッチング処理における、所謂テンプレート画像である。第1基準画像には、例えば、ラテックス系でないインクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を事前に撮像した画像が使用される。第1基準画像は、ラテックス系でないインクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を撮像した画像の一部を変更した画像や、ラテックス系でないインクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を撮像した画像と同様の特徴を有する、人工的に作成された画像などであってもよい。
【0049】
次に、制御部41は、S125におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断する(S126)。制御部41は、S126において、2枚の画像がマッチングしていることに応じて、インク3がワイパ32に追随していると判断する。S126は、第1判断処理の一例である。
【0050】
ここで、S125で実行されるパターンマッチング処理、および、S126で実行される第1判断処理の具体例を説明する。例えば、制御部41は、パターンマッチング処理において、撮像画像と第1基準画像(テンプレート画像)との間で画素値の差の和を求め、第1判断処理において、パターンマッチング処理で求めた和と所定の閾値とを比較し、和が閾値より小さい場合に、2枚の画像がマッチングしており、インク3がワイパ32に追随していると判断してもよい。この場合、第1基準画像の一部を変更した画像などをテンプレート画像に追加し、追加した画像について同様の処理を行うことにより、インク3がワイパ32に追随しているか否かをより好適に判断できる。
【0051】
あるいは、制御部41は、パターンマッチング処理において、撮像画像内で第1基準画像(テンプレート画像)を上下左右に例えば1画素ずつ移動させて、テンプレート画像とテンプレート画像の位置にある撮像画像との間で画素値の差の和の最小値を求め、第1判断処理において、パターンマッチング処理で求めた最小値と所定の閾値とを比較し、最小値が閾値より小さい場合に、撮像画像と第1基準画像とがマッチングしており、インク3がワイパ32に追随していると判断してもよい。
【0052】
この場合、制御部41は、テンプレート画像として、第1基準画像の画素数を減らした第1縮小画像および第2縮小画像(ただし、第2縮小画像の画素数は、第1縮小画像の画素数よりも多い)を用い、パターンマッチング処理を3段階で実行してもよい。制御部41は、第1段階の処理(1次スクリーニングとも呼ばれる)において、第1縮小画像と第1縮小画像と同じ縮小率で縮小した撮像画像との間で、2枚の画像がマッチングする1個以上の位置(画素値の差の和が閾値よりも小さい位置)を求める。制御部41は、第2段階の処理(2次スクリーニングとも呼ばれる)において、第1段階の処理で求めた位置について、第2縮小画像と第2縮小画像と同じ縮小率で縮小した撮像画像との間で、2枚の画像がマッチングする1個以上の位置を求める。制御部41は、第3段階の処理において、第2段階の処理で求めた位置について、元の第1基準画像と元の撮像画像との間で画素値の差の和の最小値を求める。制御部41は、第1判断処理において、パターンマッチング処理で求めた最小値と所定の閾値とを比較し、最小値が閾値より小さい場合に、撮像画像と第1基準画像とがマッチングしており、インク3がワイパ32に追随していると判断する。なお、制御部41は、第3段階の処理において、撮像画像内で第1基準画像を上下左右に例えば0.5画素ずつ移動させて、2枚の画像間のマッチングを行ってもよい。また、制御部41は、パターンマッチング処理を2段階で実行してもよく、4段階以上で実行してもよい。
【0053】
制御部41は、インク3がワイパ32に追随していると判断したことに応じて(S126:Yes)、S127へ進む。この場合、制御部41は、インク3とワイパ32とが適合していることを表示部43に表示させる(S127)。S127は、適合表示処理の一例である。その後、制御部41は、第1観察処理およびメイン処理を終了する。
【0054】
制御部41は、S126においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて(S126:No)、S128へ進む。この場合、制御部41は、スライダ14を初期位置に移動させる(S128)。制御部41は、S128において、モータ12を所定時間だけ駆動して、スライダ14およびプレート31を初期位置まで左向きに移動させる。
【0055】
次に、制御部41は、スライダ14の移動速度を遅くする(S129)。出願人の実験によると、インク3に対するワイパ32の相対速度(言い換えると、スライダ14の移動速度)と、インク3のワイパ32に対する追随性との間には以下の傾向がある。ワイパ32の相対速度が大きいときには、インク3は、ワイパ32の移動に追随できずに引き延ばされて、プレート31の上面34に分断された状態で残存する。一方、ワイパ32の相対速度が小さいときには、インク3は、ワイパ32の移動に追随しやすくなり、引き延ばされて残存することが少なくなる。制御部41は、S129において、現在のスライダ14の移動速度より遅い移動速度を示す制御信号をモータ12に対して出力することにより、スライダ14の移動速度を遅くする。これにより、プレート31に対するワイパ32の相対速度は遅くなり、インク3はワイパ32に追随しやすくなる。S129は、第1速度低下処理の一例である。
【0056】
利用者は、インク3とワイパ32とが適合していることが表示部43に表示されずに、スライダ14が初期位置に移動したことを認識して、次の観測のためにインクを準備する。利用者は、プレート31の上面34に残ったインクや、ワイパ32が拭き取ったインクを布などで拭き取り、プレート31の上面34に所定量のインク3を落とす。
【0057】
制御部41は、S129を実行した後、インクの準備が完了するまでS130で待機する。より詳細には、制御装置40は、S130において、インクの準備が完了したか否かを判断する。制御部41は、例えば、「インクの準備が完了しましたか?」というメッセージを表示部43に表示させ、入力部42からYesが入力されたことに応じて、インクの準備が完了したと判断する。
【0058】
制御部41は、S130においてインクの準備が完了していないと判断したことに応じて(S130:No)、再びS130を実行する。制御部41は、S130においてインクの準備が完了したと判断したことに応じて(S130:Yes)、S122へ進む。この場合、制御部41は、S122以降の処理を再び実行する。
【0059】
[第2観察処理]
図5に示される第2観察処理は、図4に示される第1観察処理において、S125をS141に置換し、S142およびS143を追加したものである。制御部41は、第2観察処理の先頭において、スライダ14の移動速度を設定する(S121)。次に、制御装置40は、カメラ33に撮像を開始させ(S122)、ワイピング処理を実行し(S123)、カメラ33に撮像を終了させる(S124)。カメラ33は、プレート31の上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する。
【0060】
次に、制御部41は、カメラ33による撮像画像と、予め用意された第2基準画像との間でパターンマッチング処理を実行する(S141)。第2基準画像は、第1基準画像とは異なるテンプレート画像である。第2基準画像には、例えば、ラテックス系インクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を事前に撮像して得られた画像や、ラテックス系インクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を事前に撮像して得られた画像の一部を変更した画像や、ラテックス系インクがワイパ32に追随して拭き取られる様子を撮像した画像と同様の特徴を有する、人工的に作成された画像などが使用される。
【0061】
次に、制御部41は、S141におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断する(S126)。S141およびS126は、第1判断処理の一例である。制御部41は、インク3がワイパ32に追随していると判断したことに応じて(S126:Yes)、S127へ進む。この場合、制御部41は、インク3とワイパ32とが適合していることを表示部43に表示させ(S127)、第2観察処理およびメイン処理を終了する。
【0062】
制御部41は、S126においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて(S126:No)、S128へ進む。この場合、制御装置40は、スライダ14を初期位置に移動させ(S128)、スライダ14の移動速度を遅くし(S129)、S142へ進む。
【0063】
次に、制御部41は、ワイパ32の押し付け圧力を上げることを促す表示を表示部43に行わせる(S142)。制御部41は、S142において、例えば、「ワイパの押し付け圧力を上げる変更を行って下さい。」というメッセージを表示部43に表示させる。利用者は、表示部43に表示されたメッセージを視て、ワイパ32の押し付け圧力を上げる変更を行う。利用者は、例えば、ワイパ32の支持角度を大きくする変更、バネ26を弾性力の大きいものにする変更、あるいは、撥水膜35とワイパ32との距離を短くする変更などを行う。S142は、促進表示処理の一例である。
【0064】
制御部41は、S142において、ワイパ32の支持角度を大きくすることを促す表示を表示部43に行わせてもよい。すなわち、制御部41は、S141におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、S126においてインク3がワイパ32に追随しているか否かを判断し、S126においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、S128およびS129を実行した後、S142においてワイパ32の支持角度を大きくすることを促す表示を表示部43に行わせる。ワイパ32の支持角度を大きくすることを促す表示を表示部43に行わせる場合、利用者は、ワイパ32の支持角度を大きくする変更を行う。この場合のS142は、第1表示処理の一例である。
【0065】
制御部41は、S142において、バネ26を弾性力の大きいものにすることを促す表示を表示部43に行わせてもよい。すなわち、制御部41は、S141におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、S126においてインク3がワイパ32に追随しているか否かを判断し、S126においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、S128およびS129を実行した後、S142においてバネ26を弾性力の大きいものにすることを促す表示を表示部43に行わせる。バネ26を弾性力の大きいものにすることを促す表示を表示部43に行わせる場合、利用者は、バネ26を弾性力の大きいものにする変更を行う。この場合のS142は、第2表示処理の一例である。
【0066】
制御部41は、S142において、撥水膜35とワイパ32との距離を短くすることを促す表示を表示部43に行わせてもよい。すなわち、制御部41は、S141におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、S126においてインク3がワイパ32に追随しているか否かを判断し、S126においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、S128およびS129を実行した後、S142において撥水膜35とワイパ32との距離を短くすることを促す表示を表示部43に行わせる。撥水膜35とワイパ32との距離を短くすることを促す表示を表示部43に行わせる場合、利用者は、ワイパ32の上下方向7の位置を低くして、撥水膜35とワイパ32との距離を短くする変更を行う。この場合のS142は、第3表示処理の一例である。利用者が、これらの3つの変更のうち少なくとも1つを行うことにより、ワイパ32の押し付け圧力を上げることができる。
【0067】
制御部41は、S142を実行した後、押し付け圧力の変更が完了するまでS143で待機する。より詳細には、制御部41は、S143において、押し付け圧力の変更が完了したか否かを判断する。制御部41は、例えば、「押し付け圧力の変更が完了しましたか?」というメッセージを表示部43に表示させ、入力部42からYesが入力されたことに応じて、押し付け圧力の変更が完了したと判断する。
【0068】
制御部41は、S143において押し付け圧力の変更が完了していないと判断したことに応じて(S143:No)、再びS143を実行する。制御部41は、S143において押し付け圧力の変更が完了したと判断したことに応じて(S143:Yes)、S130へ進む。
【0069】
制御部41は、S143でYesと判断した後、インクの準備が完了するまでS130で待機する。制御部41は、S130においてインクの準備が完了していないと判断したことに応じて(S130:No)、再びS130を実行し、S130においてインクの準備が完了したと判断したことに応じて(S130:Yes)、S122へ進む。後者の場合、制御部41は、S122以降の処理を再び実行する。
【0070】
制御部41は、S125では撮像画像と第1基準画像との間でパターンマッチング処理を実行し、S141では撮像画像と第2基準画像との間でパターンマッチング処理を実行する。このように、制御部41は、インク3の粘度に応じて、パターンマッチング処理で用いる基準画像を切り換える。S125、S126、およびS141は、第2判断処理の一例である。S125およびS141は、切り換え処理の一例である。
【0071】
[他の第1観察処理]
制御部41は、図4に示される第1観察処理に代えて、図6に示される第1観察処理を実行してもよい。図6に示される第1観察処理は、図4に示される第1観察処理において、S129をS142およびS143に置換したものである。
【0072】
図6に示される第1観察処理では、制御部41は、S128を実行した後、S142へ進む。次に、制御部41は、ワイパ32の押し付け圧力を高くすること促す表示を表示部43に行わせ(S142)、押し付け圧力の変更が完了するまでS143で待機する。制御部41は、S143において押し付け圧力の変更が完了したと判断したことに応じて(S143:Yes)、S130へ進む。制御部41は、インクの準備が完了するまでS130で待機し、インクの準備が完了したと判断したことに応じて(S130:Yes)、S122へ進む。この場合、制御部41は、S122以降の処理を再び実行する。
【0073】
[第1実施形態の作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係る観察装置1は、インク3(液体)が付着する上面34(第1面)を有するプレート31(第1部材)と、プレート31に対して相対移動し、上面34に付着したインク3を拭き取るワイパ32と、上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するカメラ33(撮像部)とを備えている。観察装置1は、ワイパ32をプレート31に対して相対移動させ、上面34に付着したインク3をワイパ32で拭き取るステップと、カメラ33により、上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するステップとを備えた観察方法を実行する。制御プログラム46(プログラム)は、制御装置40および制御部41(コンピュータ)に、上記の観察方法を実行させる。
【0074】
したがって、観察装置1、観察装置1が実行する観察方法、および、制御プログラム46によれば、上面34に付着したインク3をワイパ32が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像することにより、カメラ33で撮像された画像に基づき、拭き取り中のインク3の様子を詳細に知ることができる。
【0075】
また、ワイパ32は、プレート31に対して左右方向9(第1方向)に相対移動し、カメラ33は、ワイパ32がインク3を拭き取る過程を前後方向8(第2方向)から撮像する。このようにプレート31に対してワイパ32が相対移動する方向と交差する方向から撮像することにより、ワイパ32がインク3を拭き取る過程を好適な方向から撮像できる。また、ワイパ32は固定されており、プレート31は左右方向9に移動可能である。このようにワイパ32を固定し、プレート31を移動させて、ワイパ32がインク3を拭き取る過程を撮像できる。
【0076】
また、観察装置1は、プレート31が載置されるスライダ14(台)と、スライダ14を移動させるロボシリンダ10とを備え、プレート31は、ロボシリンダ10により左右方向9に移動可能である。したがって、ロボシリンダ10によりプレート31を左右方向9に所望の速度で移動できる。
【0077】
また、ワイパ32は、プレート31に対する押し付け圧力を変更可能である。したがって、プレート31に対するワイパ32の押し付け圧力を変更することにより、押し付け圧力を変更してインク3を拭き取ることができる。また、ワイパ32は、支持部材25により支持角度を変更可能に支持されている。したがって、ワイパ32の支持角度を変更することにより、ワイパ32の押し付け圧力を変更できる。また、ワイパ32は、交換可能なバネ26を介して上下方向7および左右方向9においてカメラ33とほぼ同じ位置(所定位置)に固定されている。したがって、バネ26を交換し、バネ26の弾性力を変更することにより、ワイパ32の押し付け圧力を変更できる。また、上面34には撥水膜35があり、撥水膜35とワイパ32との間の距離が変更可能である。したがって、上面34にある撥水膜35とワイパ32との間の距離を変更することにより、ワイパ32の押し付け圧力を変更できる。
【0078】
また、観察装置1は、制御部41と表示部43とを備えている。制御部41は、カメラ33で撮像された画像に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断する第1判断処理(S126)を実行する。制御部41は、インク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、スライダ14の移動速度を遅くすることで、プレート31に対するワイパ32の相対速度を遅くする第1速度低下処理(S129)を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、プレート31に対するワイパ32の相対速度を遅くすることにより、インク3の拭き残しを減らすことができる。
【0079】
また、制御部41は、第1判断処理と、インク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、ワイパ32の押し付け圧力を高くすることを促す表示を表示部43に行わせる促進表示処理(S142)と、を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、利用者はワイパ32の押し付け圧力を高くすべきことを認識できる。
【0080】
また、制御部41は、促進表示処理として、ワイパ32の支持角度を大きくすることを促す表示を表示部43に行わせる第1表示処理(S142)を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、利用者はワイパ32の支持角度を大きくすべきことを認識できる。
【0081】
また、制御部41は、促進表示処理として、バネ26を弾性力の大きいものにすることを促す表示を表示部43に行わせる第2表示処理(S142)を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、利用者はバネ26の弾性力を大きいものにすべきことを認識できる。
【0082】
また、制御部41は、促進表示処理として、撥水膜35とワイパ32との間の距離を短くすることを促す表示を表示部43に行わせる第3表示処理(S142)を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、利用者は撥水膜35とワイパ32との間の距離を短くすべきことを認識できる。
【0083】
また、制御部41は、第1判断処理と、インク3がワイパ32に追随していると判断したことに応じて、インク3とワイパ32とが適合していることを表示部43に表示させる適合表示処理(S127)と、を実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随する場合に、利用者はインク3とワイパ32とが適合していることを認識できる。
【0084】
また、上面34には撥水膜35が塗布されており、撥水膜35とワイパ32とは常に非接触状態である。また、撥水膜35とワイパ32との間の距離は、0.1mm以上1.0mm以下である。撥水膜35とワイパ32とが常に非接触状態である場合でも、撥水膜35とワイパ32との距離が0.1mm以上1.0mm以下である場合でも、プレート31に対してワイパ32が相対移動することにより、撥水膜35に付着したインク3をワイパ32で拭き取ることができる。
【0085】
また、制御部41は、インク3の粘度に応じて第2観察処理(高粘度時処理)を実行する。制御部41は、第2観察処理において、第1判断処理(S126)を実行し、インク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、第1速度低下処理(S129)と促進表示処理(S142)とを実行する。したがって、第2観察処理において、インク3がワイパ32に追随しない場合に、利用者はワイパ32の押し付け圧力を高くすべきことを認識できる。観察装置1がプレート31に対するワイパ32の相対速度を遅くし、利用者がプレート31に対するワイパ32の押し付け圧力を高くすることにより、インク3の拭き残しをさらに減らすことができる。
【0086】
また、制御部41は、第1判断処理(S126)を実行し、第1判断処理を実行する前に、カメラ33で撮像された画像と基準画像との間のパターンマッチング処理(S141)と、インク3の粘度に応じて、パターンマッチング処理で用いる基準画像を切り換える切り換え処理(S125、S141)と、を実行する。インク3の液体の粘度に応じて、パターンマッチング処理で用いる基準画像を切り換えることにより、インク3がワイパ32に追随しているか否かをインク3の粘度に応じて判断できる。
【0087】
<第2の実施形態>
[プリンタ2の構成]
図7に示されるように、第2の実施形態に係るプリンタ2は、搬送部51と、キャリッジ52と、フラッシング受け部53と、キャップ54と、キャリッジ52に搭載されたヘッド61と、ワイパ62と、カメラ63とを備えている。プリンタ2は、キャリッジ52が水平方向に移動するように、例えば机やラックの上に載置にされる。本実施形態では、プリンタ2の上下方向を上下方向7、キャリッジ52が移動する方向を左右方向9、上下方向7および左右方向9と直交する方向を前後方向8という。
【0088】
プリンタ2の内部には、左右方向9に延伸する2本のガイドレール55、56が位置する。ガイドレール55、56の両端は、それぞれ、プリンタ2の内部で固定されている。ガイドレール55、56の上下方向7の位置は、同じである。キャリッジ52は、左右方向9に移動可能に、ガイドレール55、56の上に載置される。ヘッド61は、キャリッジ52に搭載されている。ヘッド61の下面は、ノズル面64と称される(図9参照)。ヘッド61は、ノズル面64に開口する複数のノズル65を有する。ノズル面64は、第1面の一例である。
【0089】
搬送部51は、複数のローラを含み、シート5を前後方向8に沿った向き(例えば、前向き)に搬送する。図7に示される領域Rは、左右方向9において、搬送部51により搬送されるシート5が通過する領域である。フラッシング受け部53は、左右方向9において、領域Rの左に位置し、例えば、インクを吸収するスポンジ(図示せず)を有する。ワイパ62は、ゴム製の薄板状部材であり、左右方向9において、領域Rの右に位置する。キャップ54は、左右方向9において、ワイパ62の右に位置する。フラッシング受け部53、ワイパ62、およびキャップ54は、上下方向7において、キャリッジ52およびガイドレール55、56の下方に位置する。キャリッジ52は、ヘッド61がフラッシング受け部53の上方に位置する位置(以下、フラッシング位置と称される)と、ヘッド61がキャップ54の上方に位置する位置(以下、待機位置と称される)との間で左右方向9に移動する。
【0090】
カメラ63は、顕微鏡を内蔵したカメラである。カメラ63は、ガイドレール55、56の前方、かつ、第4位置(後述)にあるワイパ62と上下方向7および左右方向9においてほぼ同じ位置に位置する。カメラ63は、ガイドレール55、56の前方からワイパ62およびその近傍を撮像する。ワイパ62が第4位置にあり、ヘッド61が左右方向9に移動するとき、カメラ63は、ヘッド61のノズル面64に付着したインク4をワイパ62が拭き取る過程を前後方向8から撮像する(図9(C)参照)。カメラ63は、撮像部の一例である。
【0091】
図8に示されるように、プリンタ2は、制御部71と、入力部72と、表示部73とを備えている。入力部72は、例えばタッチパネルである。表示部73は、例えば液晶ディスプレイである。入力部72と表示部73とは、プリンタ2の筐体の表面に位置する。制御部71は、CPU74と、メモリ75とを含んでいる。メモリ75は、例えばROMやRAMなどを含んでいる。メモリ75は、制御プログラム76を記憶している。CPU74とメモリ75は、プリンタ2の筐体内に位置する。入力部72と、表示部73と、CPU74と、メモリ75とは、プリンタ2内のバス77に接続されている。バス77には、搬送部51、キャリッジ52、ヘッド61、カメラ63、移動機構81、昇降機構82、吸引ポンプ83なども接続されている。
【0092】
CPU74は、メモリ75に記憶された制御プログラム76を実行することにより、メンテナンス処理(図10)およびプリント処理(図14)を実行する。CPU74とメモリ75とは、制御部71として機能する。制御部71は、コンピュータの一例である。制御プログラム76は、プログラムの一例である。
【0093】
図9に示されるように、移動機構81は、ヘッド61を覆わない第1位置と、ヘッド61を覆う第2位置との間でキャップ54を上下方向7に移動させる。図9(B)および図9(C)に示されるキャップ54の位置は第1位置であり、図9(A)に示されるキャップ54の位置は第2位置である。
【0094】
昇降機構82は、第3位置と、第3位置より高い第4位置との間でワイパ62を昇降させる。図9(A)および図9(B)に示されるワイパ62の位置は第3位置であり、図9(C)に示されるワイパ62の位置は第4位置である。第4位置に位置するワイパ62の上端は、上下方向7において、ヘッド61のノズル面64に近い位置に位置する。
【0095】
キャップ54は、排出口57を有する。排出口57は、キャップ54内のインクなどを排出するためのものである。吸引ポンプ83の一端(吸引口)は、チューブによりキャップ54の排出口57に連結されている。吸引ポンプ83の他端(排出口)は、別のチューブにより廃液槽58に接続されている。
【0096】
プリンタ2は、図示しないインク貯留部(例えば、インクカートリッジやインクタンク)を備えている。搬送部51は、制御部71からの制御に従い、シート5を前後方向8に沿って所定位置まで搬送する。キャリッジ52は、制御部71からの制御に従い、左右方向9に移動する。キャリッジ52が移動する間に、インク貯留部に貯留されたインクが、ヘッド61のノズル65から吐出される。これにより、ヘッド61の下方に位置するシート5に画像が記録される。次に、搬送部51は、制御部71からの制御に従い、シート5を前後方向8に沿って所定量だけ搬送する。プリンタ2は、シート5の搬送とインクの吐出とを交互に行うことにより、シート5に画像を記録する。
【0097】
[メンテナンス処理]
制御部71は、必要なタイミングで、図10に示されるメンテナンス処理を実行する。制御部71は、例えば、入力部72を経由して利用者から指示を受けたことに応じて、メンテナンス処理を実行する。メンテナンス処理の実行前の状態では、図9(A)に示されるように、キャリッジ52は待機位置に、ワイパ62は第3位置に、キャップ54は第2位置にそれぞれ位置する。
【0098】
制御部71は、メンテナンス処理の先頭において、パージ処理を実行する(S211)。制御部71は、S211において、キャップ54がヘッド61のノズル面64を覆う状態(図9(A)に示される状態)で、吸引ポンプ83を駆動する。これにより、ヘッド61のノズル65付近のインクやゴミなどは、吸引ポンプ83により吸引される。吸引ポンプ83により吸引されたインクやゴミなどは、廃液槽58に貯留される。吸引ポンプ83は、吸引機構の一例である。
【0099】
次に、制御部71は、アンキャッピング状態の空吸引処理を実行する(S212)。図9(B)に示されるように、制御部71は、S212において、移動機構81を駆動して、キャップ54を第2位置から第1位置に下降させて、キャップ54がヘッド61のノズル面64を覆わない状態とし、その状態で吸引ポンプ83を駆動する。制御部41がS211およびS212を実行した後、ヘッド61のノズル面64にはインク4が付着する(図9(B)参照)。S212は、空吸引処理の一例である。
【0100】
次に、制御部71は、カメラ63に撮像を開始させる(S213)。制御部71は、S213においてカメラ63に対して撮像開始信号を出力し、カメラ63は、撮像開始信号を受けた以降、ワイパ62およびその近傍を撮像する。S213は、第1撮像開始処理の一例である。
【0101】
次に、制御部71は、ワイピング処理を実行する(S214)。図9(C)に示されるように、制御部71は、S214において、まず、昇降機構82を駆動して、ワイパ32を第3位置から第4位置に上昇させる。次に、制御部71は、キャリッジ52をワイパ32の左の位置まで移動させる。このとき、ワイパ32は、ヘッド61に対して相対移動し、ノズル面64に付着したインク4を拭き取る。次に、制御部71は、昇降機構82を駆動して、ワイパ32を第4位置から第3位置に下降させる。
【0102】
次に、制御部71は、カメラ63に撮像を終了させる(S215)。制御部71は、S215においてカメラ63に対して撮像終了信号を出力し、カメラ63は、撮像終了信号を受けたことに応じてワイパ62およびその近傍の撮像を終了する。S215は、第1撮像終了処理の一例である。このようにカメラ63は、ヘッド61のノズル面64に付着したインク4をワイパ62が拭き取る過程を拭き取りの最初から最後まで撮像する。
【0103】
次に、制御部71は、フラッシング処理を実行する(S216)。制御部71は、S216において、キャリッジ52をフラッシング位置まで左向きにさらに移動させ、フラッシング位置でヘッド61のノズル65からインクを強制的に吐出させる。ヘッド61のノズル65から吐出されたインクは、フラッシング受け部53に吸収される。
【0104】
次に、制御部71は、キャッピング処理を実行する(S217)。制御部71は、S217において、キャリッジ52を初期位置まで移動させ、移動機構81を駆動して、キャップ54を第1位置から第2位置に上昇させる。これにより、キャップ54がヘッド61のノズル面64を覆う状態となる。次に、制御部71は、メンテナンス処理を終了する。
【0105】
なお、図10に示されるメンテナンス処理では、制御部71は、フラッシング処理を実行する前に、カメラ63に撮像を終了させることとした。これに代えて、制御部71は、フラッシング処理を実行している間、または、フラッシング処理を実行した後に、カメラ63に撮像を終了させてもよい。
【0106】
[他のメンテナンス処理]
制御部71は、図10に示されるメンテナンス処理に代えて、図11から図13に示されるメンテナンス処理のいずれかを実行してもよい。図11に示されるメンテナンス処理は、図10に示されるメンテナンス処理において、S214をS221、S224、およびS225に置換し、S222、S223、およびS226からS229を追加したものである。
【0107】
図11に示されるメンテナンス処理では、制御部71は、S224においてワイピング処理を実行する前のS221において、昇降機構82に対してワイパ62の上昇を指示する。制御部71は、S221を実行した後、ワイパ62が上昇するまでS222において待機する。制御部71は、S222においてワイパ62がまだ上昇していないと判断したことに応じて(S222:No)、再びS222へ進む。制御部71は、S222においてワイパ62が上昇中であると判断したことに応じて(S222:Yes)、S213へ進む。次に、制御部71は、カメラ63に撮像を開始させる(S213)。このように制御部71は、昇降機構82がワイパ62を第3位置から第4位置に上昇させている間にカメラ63に撮像を開始させる。この場合のS213は、第2撮像開始処理の一例である。
【0108】
制御部71は、S213を実行した後、ワイパ62が停止するまでS223において待機する。制御部71は、S223においてワイパ62がまだ停止していないと判断したことに応じて(S223:No)、再びS223へ進む。制御部71は、S223においてワイパ62が停止したと判断したことに応じて(S223:Yes)、S224へ進む。制御部71は、S224において、ワイピング処理を実行する。
【0109】
制御部71は、S224においてワイピング処理を実行した後のS225において、昇降機構82に対してワイパ62の下降を指示する。制御部71は、S225を実行した後、ワイパ62が下降するまでS226において待機する。制御部71は、S226においてワイパ62がまだ下降していないと判断したことに応じて(S226:No)、再びS226へ進む。制御部71は、S226においてワイパ62が下降中であると判断したことに応じて(S226:Yes)、S215へ進む。次に、制御部71は、カメラ63に撮像を終了させる(S215)。このように制御部71は、昇降機構82がワイパ62を第4位置から第3位置に下降させている間にカメラ63に撮像を終了させる。この場合のS215は、第2撮像終了処理の一例である。
【0110】
制御部71は、S215を実行した後、S216およびS217と、S227からS229とを並行して実行する。制御部71は、S227において、カメラ63による撮像画像と、予め用意された基準画像との間でパターンマッチング処理を実行する(S227)。次に、制御部71は、S227におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、インク4がワイパ62に追随しているか否かを判断する(S228)。S228は、第1判断処理の一例である。
【0111】
制御部71は、インク4がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて(S228:No)、S229へ進む。この場合、制御部71は、ワイパ62が寿命に到達したことを報知する(S229)。制御部71は、S229において、例えば、ワイパ62が寿命に到達したことを表示部73に表示させる。これに代えて、制御部71は、例えば、プリンタ2に設けられたスピーカから音を出すなどにより、ワイパ62が寿命に到達したことを報知してもよい。表示部73およびスピーカは、報知部の一例である。S229は、報知処理の一例である。
【0112】
制御部71は、S229を実行した後、図11に示されるメンテナンス処理を終了する。制御部71は、S228においてインク4がワイパ32に追随していると判断したことに応じて(S228:Yes)、S229を実行することなく、図11に示されるメンテナンス処理を終了する。
【0113】
図12に示されるメンテナンス処理は、図11に示されるメンテナンス処理において、S229をS231に置換したものである。図12に示されるメンテナンス処理では、制御部71は、S228でインク4がワイパ62に追随していないと判断したことに応じて(S228:No)、S231へ進む。この場合、制御部71は、キャリッジ52の移動速度を遅くする(S231)。キャリッジ52の移動速度を遅くすると、インク4はワイパ62に追随しやすくなる。制御部71は、S231を実行した後、図12に示されるメンテナンス処理を終了する。S231は、第2速度低下処理の一例である。
【0114】
図13に示されるメンテナンス処理は、図11に示されるメンテナンス処理において、S229をS241からS243に置換したものである。図13に示されるメンテナンス処理では、制御部71は、S228でインク4がワイパ62に追随していないと判断したことに応じて(S228:No)、S241へ進む。この場合、制御部71は、延命指示が行われているか否かを判断する(S241)。制御部71は、S241において、入力部72を経由して利用者から延命指示が既に入力されているか否かに応じて、延命指示が行われているか否かを判断する。
【0115】
制御部71は、延命指示が行われていると判断したことに応じて(S241:Yes)、S242へ進む。この場合、制御部71は、キャリッジ52の移動速度を遅くする(S242)。制御部71は、S241において延命指示が行われていないと判断したことに応じて(S241:No)、S243へ進む。この場合、制御部71は、ワイパ62が寿命に到達したことを報知する(S243)。制御部71は、S242またはS243を実行した後、図13に示されるメンテナンス処理を終了する。
【0116】
[印刷処理]
制御部71は、利用者からの指示に応じて、図14に示される印刷処理を実行する。制御部71は、印刷処理の先頭において、印刷ジョブを受信するまでS311において待機する。より詳細には、制御部71は、S311において、入力部72を経由して印刷ジョブの実行を指示されたか否かに基づき、印刷ジョブを受信したか否かを判断する。制御部71は、印刷ジョブを受信していないと判断したことに応じて(S311:No)、再びS311を実行する。制御部41は、S311において印刷ジョブを受信したと判断したことに応じて(S311:Yes)、S312へ進む。
【0117】
次に、制御部71は、印刷を開始する(S312)。制御部71は、S312を実行した以降、搬送部51にシート5を前後方向8に沿って搬送させ、キャリッジ52を左右方向9に移動させ、ヘッド61のノズル65からインクを吐出させる。
【0118】
次に、制御部71は、ジャムが発生したか否かを判断する(S313)。制御部71は、S313において、例えば、キャリッジ52の位置を示すセンサ(図示せず)の出力信号に応じて、キャリッジ52が移動しているか否かを検知し、その結果に応じてジャムが発生したか否かを判断する。制御部71は、ジャムが発生していないと判断したことに応じて(S313:No)、S314へ進む。
【0119】
この場合、制御部71は、印刷を終了するか否かを判断する(S314)。制御部71は、S314において、例えば、印刷ジョブの印刷データが残っているか否かに応じて、印刷を終了するか否かを判断する。制御部71は、印刷を終了しないと判断したことに応じて(S314:No)、S313へ進む。この場合、制御部71は、再びS313へ進み、S312で開始した印刷を継続する。制御部71は、S314で印刷を終了すると判断したことに応じて(S314:Yes)、印刷処理を終了する。
【0120】
制御部71は、S313でジャムが発生したと判断したことに応じて(S313:Yes)、S321へ進む。この場合、制御部71は、タイマを起動する(S321)。制御部71は、S321を実行した後、ヘッド61がホームポジションに移動可能になるまでS322で待機する。より詳細には、制御部71は、S322において、ヘッド61がホームポジションに移動可能であるか否かを判断する。制御部71は、ヘッド61がホームポジションに移動可能でないと判断したことに応じて(S322:No)、再びS322へ進む。制御部71は、ヘッド61がホームポジションに移動可能であると判断したことに応じて(S322:Yes)、S323へ進む。
【0121】
次に、制御部71は、S321で起動したタイマを終了する(S323)。これにより、ヘッド61がホームポジションに移動可能となるまでの時間が取得される。次に、制御部71は、インクの種類を取得する(S324)。制御部71は、S324において、例えば、「インクの種類を入力して下さい」というメッセージを表示部73に表示させ、入力部72を経由して入力されたインクの種類を取得する。
【0122】
次に、制御部71は、S323で取得された時間と、S324で取得されたインクの種類とに応じて、キャリッジ52の移動速度を設定する(S325)。次に、制御部71は、計測された時間とインクの種類とに応じて、ワイパ62の押し付け圧力を上げることを促す表示を表示部73に行わせる(S326)。制御部71は、S326において、例えば、「ワイパの押し付け圧力を上げる変更を行って下さい。」というメッセージを表示部73に表示させる。利用者は、表示部73に表示されたメッセージを視て、ワイパ62の押し付け圧力を上げる変更を行う。利用者は、例えば、ワイパ62の支持角度を大きくする変更、あるいは、ヘッド61とワイパ62との距離を短くする変更などを行う。
【0123】
次に、制御部71は、カメラ63に撮像を開始させる(S327)。制御部71がS327を実行した後、カメラ63はワイパ62およびその付近を撮像する。次に、制御部71は、ワイピング処理を実行する(S328)。制御部71は、S328において、昇降機構82を駆動して、ワイパ62を第3位置から第4位置に上昇させ、キャリッジ52を所定時間だけ駆動して、ヘッド61を初期位置から左向きに所定量だけ移動させ、ヘッド61のノズル面64に付着したインク4をワイパ62に拭き取らせる。その後、制御部71は、キャリッジ52を所定時間だけ駆動して、ヘッド61を初期位置に向けて右向きに所定量だけ移動させる。
【0124】
次に、制御部71は、カメラ63に撮像を終了させる(S329)。制御部71がS329を実行したときに、カメラ63はワイパ62およびその付近の撮像を終了する。このようにカメラ63は、ノズル面64に付着したインク4をワイパ62が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像する。
【0125】
次に、制御部71は、カメラ63による撮像画像と、予め用意された基準画像との間でパターンマッチング処理を実行する(S330)。基準画像は、インク4がワイパ62に追随して拭き取られる様子を事前に撮像した画像である。
【0126】
次に、制御部71は、S330におけるパターンマッチング処理の結果に基づき、インク4がワイパ62に追随しているか否かを判断する(S331)。制御部71は、S331において、2枚の画像がマッチングしていることに応じて、インク4がワイパ62に追随していると判断する。
【0127】
制御部71は、インク4がワイパ62に追随していないと判断したことに応じて(S331:No)、S331へ進む。この場合、制御部71は、図10から図13に示されるメンテナンス処理のいずれかを実行する(S332)。次に、制御部71は、印刷処理を終了する。制御部71は、S330においてインク4がワイパ62に追随していると判断したことに応じて(S331:Yes)、S332を実行することなく、印刷処理を終了する。
【0128】
[第2実施形態の作用効果]
本実施形態に係るプリンタ2(印刷装置)は、インク4が付着するノズル面64(第1面)と、インク4を吐出するノズル65とを有するヘッド61と、ヘッド61に対して相対移動し、ノズル面64に付着したインク4を拭き取るワイパ62と、ノズル面64に付着したインク4をワイパ62が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像するカメラ63(撮像部)とを備えている。
【0129】
したがって、プリンタ2によれば、ヘッド61のノズル面64に付着したインク4をワイパ62が拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像することにより、カメラ63で撮像された画像に基づき、拭き取り中のインク4の様子を詳細に知ることができる。
【0130】
また、プリンタ2は、制御部71と、排出口57を有するキャップ54と、排出口57に連結された吸引ポンプ83(吸引機構)と、ヘッド61を覆わない第1位置と、ヘッド61を覆う第2位置との間でキャップ54を移動させる移動機構81とを備えている。制御部71は、キャップ54を第1位置に移動して、吸引ポンプ83を駆動する空吸引処理(S212)を実行した後に、ヘッド61に対してワイパ62を相対移動して、ヘッド61のノズル面64に付着したインク4をワイパ62に拭き取らせるワイピング処理(S214)を実行し、制御部71は、空吸引処理を実行した後にカメラ63に撮像を開始させる第1撮像開始処理(図10のS213)を実行する。空吸引処理の後に撮像を開始することにより、ワイパが液体を拭き取る過程を最初から正しく撮像できる。
【0131】
また、制御部71は、ワイピング処理を実行した後に、ヘッド61のノズル65からインク3を吐出させるフラッシング処理(S216)を実行する。制御部71は、フラッシング処理を実行する前、フラッシング処理を実行している間、またはフラッシング処理を実行した後にカメラ63に撮像を終了させる第1撮像終了処理(図10のS215)を実行する。フラッシング処理の実行前、フラッシング処理が行われている間、またはフラッシング処理の後に撮像を終了することにより、ワイパ62がインク4を拭き取る過程を最後まで撮像できる。
【0132】
また、プリンタ2は、第3位置と、第3位置より高い第4位置との間でワイパ62を昇降させる昇降機構82を備えている。制御部71は、昇降機構82がワイパ62を第3位置から第4位置に上昇させている間にカメラ63に撮像を開始させる第2撮像開始処理(図11から図13のS213)を実行する。ワイパ62が上昇している間に撮像を開始することにより、好適なタイミングで撮像を開始し、撮像時間を短縮できる。
【0133】
また、制御部71は、昇降機構82がワイパ62を第4位置から第3位置に下降させている間にカメラ63に撮像を終了させる第2撮像終了処理(図11から図13のS215)を実行する。ワイパ62が下降している間に撮像を終了することにより、好適なタイミングで撮像を終了し、撮像時間を短縮できる。
【0134】
また、プリンタ2は、表示部73(報知部)を備えている。制御部71は、カメラ63で撮像された画像に基づき、インク4がワイパ62に追随しているか否かを判断する第1判断処理(S227)と、インク4がワイパ62に追随していないと判断したことに応じて、ワイパ62の寿命に到達したことを表示部73に表示させる報知処理(S228)と、を実行する。したがって、インク4がワイパ62に追随しない場合に、利用者はワイパ62の寿命に到達したことを認識できる。
【0135】
また、プリンタ2は、ヘッド61を搭載して移動するキャリッジ52を備えている。制御部71は、カメラ63で撮像された画像に基づき、第1判断処理(S227)と、インク4がワイパ62に追随していないと判断したことに応じて、キャリッジ52の移動速度を遅くする第2速度低下処理(S231)と、を実行する。したがって、インク4がワイパ62に追随しない場合に、キャリッジ52の移動速度を遅くすることにより、インク4の拭き残しを減らすことができる。
【0136】
<第1の実施形態の変形例>
第1の実施形態に係る観察装置1では、制御部41は、図3に示されるメイン処理の先頭において、例えば利用者からの入力に基づき、プレート31上のインク3がラテックス系インクであるか否かを判断し、その判断結果に基づき、第1観察処理および第2観察処理のうちいずれを実行するかを切り替えることとした。観察装置において第1観察処理および第2観察処理のうちいずれを実行するかを切り換える方法は、これに限られない。第1実施形態の第1および第2変形例に係る観察装置では、制御部41は、利用者にインク3の種類(具体的には、インクの型番)を問い合わせ、利用者から入力されたインクの種類に応じて、第1観察処理および第2観察処理のうちいずれを実行するか切り替える。
【0137】
第1の実施形態の第1変形例に係る観察装置では、制御部41は、図15に示されるメイン処理を実行する。第1変形例に係る観察装置では、メモリ45に、図16に示される組成テーブル91が記憶されている。組成テーブル91は、インクの型番と、当該型番のインクに含有される樹脂微粒子の、色材の固形分に対する比率(以下、単に「比率」と称される)とを対応づけて記憶している。図16に示される例では、型番I1113のインクに含有される樹脂微粒子の、色材の固形分に対する比率は1.96である。
【0138】
第1変形例に係る観察装置では、制御部41は、図15に示されるメイン処理の先頭において、インク3の型番を取得する(S411)。制御部41は、S411において、例えば、「インクの型番を入力して下さい。」というメッセージを表示部43に表示させ、入力部42から入力されたインク3の型番を取得する。
【0139】
次に、制御部41は、メモリ45に記憶された組成テーブル91から、S411で取得した型番に対応する比率を読み出す(S412)。制御部41は、例えば、S411において型番I1113を取得した場合、S412において組成テーブル91から比率1.96を読み出す。
【0140】
次に、制御部41は、S412で読み出した比率が2未満であるか否かを判断する(S413)。制御部41は、比率が2未満であると判断したことに応じて(S413:Yes)、S112へ進み、S112において図4に示される第1観察処理を実行する。制御部41は、S413において比率が2未満でない(2以上である)と判断したことに応じて(S413:No)、S113へ進み、S113において図5に示される第2観察処理を実行する。なお、第1観察処理および第2観察処理は、第1の実施形態で説明したものと同じである。S412は、第2判断処理の一例である。値2は、所定量の一例である。制御部41は、S112において図6に示される第1観察処理を実行してもよい。
【0141】
制御部41は、第1観察処理において、カメラ33で撮像された画像に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断する第1判断処理(S126)を実行し、第1判断処理においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて(S126:No)、プレート31に対するワイパ32の相対速度を遅くする第1速度低下処理(S129)を実行する。また、制御部41は、第2観察処理において、第1判断処理(S126)を実行し、第1判断処理においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて(S126:No)、第1速度低下処理(S129)と、ワイパ32の押し付け圧力を高くすることを促す表示を表示部43に行わせる促進表示処理(S142)と、を実行する。
【0142】
樹脂微粒子、および色材の固形分は、共にインクの粘度を高くする材料である。上述されたように、本発明の実施形態で使用されるインクでは、インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)は、例えば、0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であり、インク全量における色材の固形分含有量は、例えば、0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内である。インク全量における樹脂微粒子の含有量(R)が0.1wt%以上30wt%以下の範囲内であり、インク全量におけるインク全量における色材の固形分含有量が0.1wt%以上20.0wt%以下の範囲内にあるときに、比率(樹脂微粒子の、色材の固形分に対する比率)が所定量(ここでは、2)未満でない場合は、インクの粘度が高い場合に該当する。このような理由により、制御部41は、S413において比率が2未満であると判断したことに応じて第1観察処理を実行し、S413において比率2が2未満でないと判断したことに応じて第2観察処理を実行する。
【0143】
なお、制御部41は、S411で取得した型番が組成テーブル91に含まれていない場合には、拭き残しを減らすために、以下に示されるように第2観察処理を実行する。図15に示される組成テーブル91は、インクの型番「その他」と、比率「3」とを対応づけて記憶している。制御部41は、S411で取得した型番が組成テーブル91に含まれていない場合、S412において、組成テーブル91からインクの型番「その他」に対応する比率「3」を読み出す。次に、制御部41は、S413において、比率が2未満であるか否かを判断する。制御部41は、S413において比率が2未満でないと判断し、S113において第2観察処理を実行する。
【0144】
このように第1変形例に係る観察装置では、制御部41は、インク3に含有される樹脂微粒子の、色材の固形分に対する比率が所定量未満であるか否かを判断する第2判断処理(S412)と、カメラ33で撮像された画像に基づき、インク3がワイパ32に追随しているか否かを判断する第1判断処理(S126)とを実行し、第2判断処理において比率が所定量未満であると判断し、かつ、第1判断処理においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、第1速度低下処理(S129)を実行し、第2判断処理において比率が所定量未満でないと判断し、かつ、第1判断処理においてインク3がワイパ32に追随していないと判断したことに応じて、第1速度低下処理(S129)と促進表示処理(S142)とを実行する。したがって、インク3がワイパ32に追随しない場合に、インク3に含有される樹脂微粒子の、色材の固形分に対する比率に応じて、第1速度低下処理を実行するか、第1速度低下処理と促進表示処理(S142)の両方を実行するかを切り換えできる。
【0145】
観察装置1は、プレート31の上面34に所定量のインク3が付着した後、すぐに図3に示されるメイン処理を実行してもよく、あるいは、インク3の付着後、所定の待ち時間が経過した後に、メイン処理を実行してもよい。このような待ち時間を設けると、プレート31の上面34に付着したインク3は乾燥するが、インク3の乾燥が進んだ状態で制御部41がメイン処理を実行することにより、インク3の乾燥が進んだ状態において、プレート31の移動速度やワイパ32のプレート31に対する押し付け圧力を変更し、インク3の乾燥が進んだ状態でもワイパ32によりインク3を拭き取り可能な条件を調整できる。
【0146】
例えば、第2の実施形態に係るプリンタ2において、印刷中にジャムが発生したときに、キャップ54の位置によっては、ヘッド61がキャップ54の位置まで戻れないことがある。また、このとき、ヘッド61のノズル面64にインクが付着していることがある。ヘッド61がキャップ54の位置まで戻れない場合、ヘッド61のノズル面64に付着したインクは、時間の経過と共に徐々に乾燥し、ワイパ32により拭き取ることが困難になる。そこで、印刷中にジャムが発生したときを想定して、インクの乾燥が進んだ状態でも、ワイパ32によりインクを拭き取れるように、各種の条件に調整しておくことが好ましい。第1の実施形態の第2変形例に係る観察装置は、このような調整を行うためのものである。
【0147】
第1の実施形態の第2変形例に係る観察装置では、制御部41は、図17に示されるメイン処理を実行する。第2変形例に係る観察装置では、メモリ45に、図18に示される粘度テーブル92が記憶されている。メモリ45には、プレート31の上面34にインク3が付着した後の経過時間(以下、単に「経過時間」と称される)に応じて、複数の粘度テーブル92が記憶されている。各粘度テーブル92は、インクの型番と、当該型番のインクの経過時間後の粘度とを対応づけて記憶している。粘度の単位は、mPa・sである。図18に示される例では、型番I2002のインクの2時間経過後の粘度は311mPa・sである。
【0148】
第2変形例に係る観察装置では、制御部41は、図17に示されるメイン処理の先頭において、インク3の型番を取得する(S411)。図17に示されるS411において、制御部41は、図15に示されるS411と同じ処理を実行する。
【0149】
次に、制御部41は、経過時間(プレート31の上面34にインク3が付着した後の経過時間)を取得する(S421)。制御部41は、S421において、例えば、「インクが付着した後の経過時間を入力して下さい。」というメッセージを表示部43に表示させ、入力部42から入力された経過時間を取得する。
【0150】
次に、制御部41は、S421で取得した経過時間に対応する粘度テーブル92から、S411で取得した型番に対応する粘度を読み出す(S422)。制御部41は、S422において、まず、メモリ45に記憶された複数の粘度テーブル92の中から、S421で取得した経過時間に基づき、1個の粘度テーブル92を選択する。制御部41は、例えば、S421で取得した経過時間が5分以内であれば、経過時間0の粘度テーブル92を選択し、S421で取得した経過時間が1時間半以上かつ2時間半以内であれば、経過時間2時間の粘度テーブル92を選択する。次に、制御部41は、選択した粘度テーブル92から、S411で取得した型番に対応した粘度を読み出す。制御部41は、例えば、S411において型番I2002を取得し、S421において経過時間1時間40分を取得した場合、S422において経過時間2時間の粘度テーブル92から粘度311mPa・sを読み出す。
【0151】
次に、制御部41は、S422で読み出した粘度が300mPa・s未満であるか否かを判断する(S423)。制御部41は、粘度が300mPa・s未満であると判断したことに応じて(S423:Yes)、S112へ進み、S112において図4に示される第1観察処理を実行する。制御部41は、粘度が300mPa・s未満でない(300mPa・s以上である)と判断したことに応じて(S423:No)、S113へ進み、S113において図5に示される第2観察処理を実行する。なお、第1観察処理および第2観察処理は、第1の実施形態で説明したものと同じである。制御部41は、S112において図6に示される第1観察処理を実行してもよい。
【0152】
なお、メモリ45に記憶される粘度テーブル92の個数は、2個以上であれば任意でよい。粘度テーブル92の個数は、3個でも、4個でも、5個でも、6個以上でもよい。また、以上の説明では、メモリ45には、経過時間に応じた複数の粘度テーブル92が記憶されることとしたが、粘度テーブル92の形態はこれに限られない。粘度テーブル92は、インクの型番および経過時間と粘度と対応づけて記憶するマトリクス状のテーブルであってもよい。
【0153】
[変形例]
以上に述べた実施形態に係る観察装置1およびプリンタ2については、各種の変形例を構成できる。例えば、変形例に係る観察装置およびプリンタでは、ワイパの材質は、インクを拭き取り可能である限り任意でよく、カメラの種類も任意でよい。変形例に係る観察装置では、ロボシリンダ10以外の従来公知の移動機構を用いてプレート31を移動してもよい。変形例に係る観察装置では、ワイパ32は、上記3つの方法以外の方法で、プレート31に対する押し付け圧力を変更可能であってもよい。変形例に係る観察装置では、プレート31が固定されており、ワイパ32とカメラ33とが相対的な位置関係を変更することなく左右方向9に移動してもよい。
【0154】
変形例に係る観察装置およびプリンタでは、カメラの撮像方向は、必ずしもプレートまたはヘッドの移動方向と直交する方向である必要はなく、プレートまたはヘッドの移動方向と交差する方向であればよい。変形例に係る観察装置およびプリンタでは、制御部は、インクをワイパが拭き取る過程を拭き取りの開始から終了まで撮像できる限り、上述したタイミング以外のタイミングで撮像を開始または終了してもよい。変形例に係る観察装置およびプリンタでは、制御部は、パターンマッチング処理以外の処理により、インクがワイパに追随しているか否かを判断してもよい。変形例に係るプリンタは、昇降機構82に代えて、第3位置と、第3位置より高い第4位置との間でワイパを回転させる回転機構を備えていてもよい。変形例に係る印刷装置は、印刷機能以外にファクシミリ機能やスキャナ機能などを有する、いわゆる複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0155】
1・・・観察装置
2・・・プリンタ(印刷装置)
3、4・・・インク(液体)
8・・・前後方向(第2方向)
9・・・左右方向(第1方向)
10・・・ロボシリンダ
14・・・スライダ(台)
25・・・支持部材
26・・・バネ
31・・・プレート(第1部材)
32、62・・・ワイパ
33、63・・・カメラ(撮像部)
34・・・上面(第1面)
35・・・撥水膜
40・・・制御装置(コンピュータ)
41、71・・・制御部(コンピュータ)
46、76・・・制御プログラム(プログラム)
52・・・キャリッジ
54・・・キャップ
57・・・排出口
61・・・ヘッド
64・・・ノズル面(第1面)
65・・・ノズル
73・・・表示部(報知部)
81・・・移動機構
82・・・昇降機構
83・・・吸引ポンプ(吸引機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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