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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168572
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/18 20060101AFI20241128BHJP
   H01H 33/10 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01H73/18 B
H01H33/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085373
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 昇悟
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 康資
【テーマコード(参考)】
5G027
5G030
【Fターム(参考)】
5G027AA03
5G027BB07
5G027BC04
5G027BC11
5G027BC12
5G030DB01
5G030DB04
5G030DB06
5G030DD02
5G030DE04
(57)【要約】
【課題】消弧板と側板を備えた消弧装置を有する回路遮断器において、消弧装置の側板の絶縁性能が低下して、消弧板同士が導通してしまうことを抑制できるようにすること。
【解決手段】可動接点111を備えた可動接触子11と、一方側に固定接点121を備えるとともに固定接点よりも後側となる他方側に電線固定部122を備えた固定接触子12と、固定接点から可動接点が離れる際に生じるアークを消弧可能な消弧装置13と、消弧装置が収納されるケースと、ケースを覆うカバーと、を備えた回路遮断器であって、消弧装置は、複数枚の消弧板と、消弧板を固定するために設けた固定孔を用いて、消弧板を上下方向に並べた状態で左右方向から挟み込む2つの側板と、を備え、側板は、固定孔よりも後側であって側板の後端における下端の高さと上端の高さとの間の高さに、通気可能な穴部132bが設けられている構成とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動接点を備えた可動接触子と、
一方側に固定接点を備えるとともに固定接点よりも後側となる他方側に電線固定部を備えた固定接触子と、
固定接点から可動接点が離れる際に生じるアークを消弧可能な消弧装置と、
消弧装置が収納されるケースと、
ケースを覆うカバーと、
を備えた回路遮断器であって、
消弧装置は、
複数枚の消弧板と、
消弧板を固定するために設けた固定孔を用いて、消弧板を上下方向に並べた状態で左右方向から挟み込む2つの側板と、
を備え、
側板は、固定孔よりも後側であって側板の後端における下端の高さと上端の高さとの間の高さに、通気可能な穴部が設けられている回路遮断器。
【請求項2】
穴部と、消弧板と消弧板の間の空間が、左右方向に隣り合う請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項3】
側板は、後側の下部がケースと当接し、後側の上部がカバーと当接する請求項1又は2に記載の回路遮断器。
【請求項4】
可動接触子を動作させ、固定接点と可動接点を接触させる若しくは離すクロスバと、
ハンドルを操作することでクロスバを移動させることが可能な機構であるクロスバ操作機構と、
を備え、
クロスバ操作機構内へのアークガスの侵入を防ぐことが可能なバリア部材を消弧板の上方に備えた請求項1に記載の回路遮断器。
【請求項5】
バリア部材は、消弧板の上方で前後方向に延びる水平部と、水平部の後側の部分から上方に突出する後側垂直部と、
を少なくとも備えた請求項4に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、配線用遮断器において、固定接触子の固定接点から可動接触子の可動接点が離れる際に発生するアークを消弧するために消弧装置を用いることが知られている。消弧装置は、複数枚の消弧板と、消弧板を左右から挟むように固定する側板と、を備える構成とするのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-201171号公報
【0004】
ところで、側板は絶縁部材で構成されているが、側板がアークもしくはアークガスに曝されることで、部分的に絶縁性能が低下することがある。この場合、側板を介して消弧板同士が導通してしまうおそれがあった。特に、側板の中でも固定接点よりも離れた位置において、側板の絶縁性能が低下する可能性が高かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、消弧板と側板を備えた消弧装置を有する回路遮断器において、消弧装置の側板の絶縁性能が低下して、消弧板同士が導通してしまうことを抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、可動接点を備えた可動接触子と、一方側に固定接点を備えるとともに固定接点よりも後側となる他方側に電線固定部を備えた固定接触子と、固定接点から可動接点が離れる際に生じるアークを消弧可能な消弧装置と、消弧装置が収納されるケースと、ケースを覆うカバーと、を備えた回路遮断器であって、消弧装置は、複数枚の消弧板と、消弧板を固定するために設けた固定孔を用いて、消弧板を上下方向に並べた状態で左右方向から挟み込む2つの側板と、を備え、側板は、固定孔よりも後側であって側板の後端における下端の高さと上端の高さとの間の高さに、通気可能な穴部が設けられている回路遮断器とする。
【0007】
また、穴部と、消弧板と消弧板の間の空間が、左右方向に隣り合う構成とすることが好ましい。
【0008】
また、側板は、後側の下部がケースと当接し、後側の上部がカバーと当接する構成とすることが好ましい。
【0009】
また、可動接触子を動作させ、固定接点と可動接点を接触させる若しくは離すクロスバと、ハンドルを操作することでクロスバを移動させることが可能な機構であるクロスバ操作機構と、を備え、クロスバ操作機構内へのアークガスの侵入を防ぐことが可能なバリア部材を消弧板の上方に備えた構成とすることが好ましい。
【0010】
また、バリア部材は、消弧板の上方で前後方向に延びる水平部と、水平部の後側の部分から上方に突出する後側垂直部と、を少なくとも備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、消弧板と側板を備えた消弧装置を有する回路遮断器において、消弧装置の側板の絶縁性能が低下して、消弧板同士が導通してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における回路遮断器の斜視図である。
図2図1に示す回路遮断器の分解斜視図である。
図3】可動接触子と固定接触子が通電可能な状態の例を表す図である。
図4】可動接触子と固定接触子が通電不能な状態の例を表す図である。
図5図1のV-V断面図である。
図6図5のA領域の部分拡大図である。
図7図1のVII-VII断面図である。
図8図7のB領域の部分拡大図である。
図9】実施形態の消弧装置の斜視図である。
図10図9に示す消弧装置の分解斜視図である。
図11図9に示す消弧装置の側面図である。
図12図11に示す例とは異なる形態の穴部を備えた消弧装置の例を四つ示した図である。ただし(a)は下部が開放するように切り欠いて穴部を設けた例であり、(b)は上部が開放するように切り欠いて穴部を設けた例であり、(c)はトンネル状の穴部を設けた例であり、(d)は後部が開放するように切り欠いて穴部を設けた例である。
図13】バリア部材を取り付けた消弧装置の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の回路遮断器1は、可動接点111を備えた可動接触子11と、一方側に固定接点121を備えるとともに固定接点121よりも後側となる他方側に電線固定部122を備えた固定接触子12と、固定接点121から可動接点111が離れる際に生じるアークを消弧可能な消弧装置13と、消弧装置13が収納されるケース14と、ケース14を覆うカバー15と、を備えている。この回路遮断器1の消弧装置13は、複数枚の消弧板131と、消弧板131を固定するために設けた固定孔132aを用いて、消弧板131を上下方向に並べた状態で左右方向から挟み込む2つの側板132と、を備えている。また、側板132は、固定孔132aよりも後側であって側板132の後端における下端の高さと上端の高さとの間の高さに、通気可能な穴部132bが設けられている。このため、消弧板131と側板132を備えた消弧装置13を有する回路遮断器1において、消弧装置13の側板132の絶縁性能が低下して、消弧板131同士が導通してしまうことを抑制できる。
【0014】
ここで、回路遮断器1の概略について説明をする。図1及び図2に示すことから理解されるように、回路遮断器1はケース14とカバー15で概略の外形が構成されている。回路遮断器1には固定接点121と電線固定部122を備えた固定接触子12を備えている(図3及び図4参照)。固定接触子12の一方側に固定接点121が備えられており、他方側に電線を固定するための電線固定部122が備えられている。固定接点121は、固定接触子12の一番端に位置するように設けられてもよいが、固定接触子12にはアークを引き延ばすためのアークランナを備えるようにしてもよい。固定接点121とは反対側に設けられる電線固定部122は、電線若しくは電線に取り付けられた圧着端子をネジ固定可能な構成としてもよい。いわゆるネジ式ある。また、電線固定部122は、電線若しくは圧着端子をそのまま接続可能な構成としてもよい。いわゆる速結式である。また、電線固定部122は、バー部材にプラグイン接続可能な構成であってもよい。いわゆるプラグイン式である。
【0015】
また、回路遮断器1には可動接点111を備えた可動接触子11を備えている(図3及び図4参照)。可動接触子11は、一方側に可動接点111、他方側に電線固定部が接続される電路部材が備えられる。回路遮断器1は固定接触子12に備えられた固定接点121と、可動接触子11に備えられた可動接点111が接触されている状態(図3参照)では、電気を通すことを可能とするが、固定接点121と可動接点111が離れた状態(図4参照)とすることで、電気が通らない状態とすることができる。
【0016】
回路遮断器1は、電気が流れている間に特定の不具合(漏電など)が生じた場合には、可動接点111を動かして、可動接点111が固定接点121から離れるようにする。また、ハンドル171を操作することで、可動接点111が固定接点121に対して接触した状態と離れた状態を切り替えることができる。このようなことを可能とするために、回路遮断器1にはクロスバ16と、クロスバ16を動かすことが可能なクロスバ操作機構17を備えている。
【0017】
クロスバ16は上下移動が可能なものであり、可動接触子11を動かすように、可動接触子11の可動接点111側に対して力を加えることができる。また、可動接触子11の下方にはバネ18が設けられており、可動接触子11の電線固定部が接続される電路部材側に対して力を加えることができる。
【0018】
クロスバ16は、可動接触子11の下方に設けられたバネ18と共に可動接触子11に力を与え、可動接点111の移動に利用される。クロスバ16が上側に位置するとき、可動接点111と固定接点121は離れた状態となり、クロスバ16が下側に位置するとき、可動接点111と固定接点121は接触した状態となる(図3及び図4参照)。
【0019】
実施形態の回路遮断器1は、クロスバ16を上下方向に移動可能とするために、クロスバ操作機構17を備えている。クロスバ操作機構17は複数の部材が組み合わされて特定の動きを可能とするように構成されており、ハンドル171をオン状態にした場合、可動接点111と固定接点121が接触状態となるようにクロスバ16を押し下げることができる。一方で、ハンドル171をオフ状態とした場合、クロスバ16を押し下げる力が解除され、クロスバ16は上方へ移動する。このため、可動接点111と固定接点121は離れた状態となる。
【0020】
固定接点121と可動接点111を通じて電気が流れている状態で、可動接点111を固定接点121から離そうとすると、固定接点121と可動接点111の間にアークが生じる。このアークを迅速に消弧することを目的として、固定接点121に隣接するように消弧装置13が配置される(図4から図8参照)。
【0021】
図9に示すことから理解されるように、消弧装置13には、複数の消弧板131が備えられている。実施形態における消弧板131は金属を用いて構成されている。また、消弧板131は、それぞれ間隔をあけるように配置されており、消弧板131の間の空間をアークガスが通過することができる。アークガスは、ケース14などに設けられた排気口(図示せず)を通じて回路遮断器1の外に排出できるように構成されている。なお、実施形態の消弧板131は、可動接触子11が通過する経路を確保するために切り欠き部131aが設けられている。可動接触子11の可動接点111を有する側の端部は、この切り欠き部131aを通過するようにして移動する。
【0022】
消弧板131同士が間隔をあけて配置できるようにするため、消弧装置13には側板132を備えている。図9及び図10に示すことから理解されるように、側板132は消弧板131を左右方向から挟むように配置されるものであり、絶縁性を有する構成とされている。したがって、側板132に支えられた消弧板131間については、通常、電気が流れない。
【0023】
実施形態の側板132は、消弧板131を固定するために用いる固定孔132aが上下方向に並ぶように構成されている。この固定孔132aに消弧板131の一部を差し込むようにすることで、各々の消弧板131を固定する。消弧装置13を取り付けた状態において、この固定孔132aは、固定接点121より上方に位置する。なお、図10に示す例の側板132では、固定孔132aが、互いに間隔をあけて、四つ並んでいる。
【0024】
また、消弧板131は、固定孔132aよりも固定接触子12の電線固定部122側の方向に延びるように固定される。このような構成とすることで、消弧板131の間を通して、発生したアークを固定接触子12の電線固定部122の方向へ(後側へ)移動させることができる。
【0025】
この際、側板132の消弧板131間を通るアークもしくはアークガスの影響により絶縁性能が劣化することがある。この場合、消弧板131同士が導通する状態となってしまう。このような事態が発生することを抑制するため、本発明では、側板132の固定孔132aよりも固定接触子12の電線固定部122側(後側)に通気可能な穴部132bを設ける(図11参照)。この穴部132bは、側板132の後端における下端の高さと、側板132の後側における上端の高さとの間の高さに配置する。穴部132bのサイズや形状などについては、側板132の絶縁性能の低下に起因する消弧板131間の導通を抑制できるものであれば、いかなる態様であってもよい。例えば、側板132の端部から離れた位置にトンネル状に形成された穴部132bであってもよいし、側板132を切り欠いたように形成された穴部132bであってもよい(図12参照)。ただし、消弧板131の後端部の近傍において、消弧板131間の空間を開放するように構成するのが好ましい。また、穴部132bと、消弧板131と消弧板131の間の空間が、左右方向に隣り合う構成とするのが好ましい。このようにすれば、アークガスに晒される側板132の面積を抑制することが可能となる。
【0026】
このようなことを効果的に行うためにも、少なくとも一つ以上の消弧板131について、その上下に位置する空間(消弧板131と消弧板131の間の空間)がそれぞれ、穴部132bと、左右方向に隣り合う構成とするのが好ましい。特に、複数の消弧板131について、その上下に位置する空間がそれぞれ、穴部132bと、左右方向に隣り合う構成とするのが好ましい。これらの空間と左右方向に隣り合う穴部132bは、一つの側板132に対して複数設けてもよいが、一つの側板132に設けた一つの穴部132bが、消弧板131の上下に位置する空間と、左右方向に隣り合う構成とするようにしてもよい。
【0027】
穴部132bの上下方向の長さは消弧板131同士の上下間隔(対向する面どうしの間隔)より長く構成するのが好ましいが、この上下間隔の1.5倍以上とするのが好ましい。この上下間隔の2倍以上とするのが更に好ましい。また、消弧装置13の一方の側板132に備えられた穴部132bと他方の側板132に備えられた穴部132bが対向するように構成するのが好ましい。
【0028】
ところで、消弧装置13は、ケース14に収納されるが、定められた位置に収納されなかった場合、本来の機能を果たさないおそれがある。そこで、定められた位置に収納されるように、実施形態の消弧装置13の側板132には、カバー15と当接するカバー当接部132fとケース14と当接するケース当接部132gを設けている。図6に示す例では、カバー当接部132fは側板132における後側の上部であり、ケース当接部132gは側板132における後側の下部である。これらの記載から理解されるように、側板132は、後側の下部がケース14と当接し、後側の上部がカバー15と当接する構成とするのが好ましい。
【0029】
実施形態の回路遮断器1はバリア部材21を備えている。バリア部材21は必須の構成ではないが、回路遮断器1の定格容量を高める場合など、消弧装置13のアークを消弧する性能を向上させる場合や、クロスバ操作機構17の内部へのアークガスの侵入を防ぐ場合などには設けるほうがよい。
【0030】
バリア部材21は、消弧装置13に固定するようにしてもよい。図13に示す例では、クロスバ操作機構17の内部へのアークガスの侵入を妨げ、消弧性能を向上させるために、側板132にバリア部材21を固定できるようにしている。より詳しくは、図13に示す例の側板132では、バリア部材21を取り付けるために用いるバリア部材取り付け孔132cを固定孔132aより上方に設けられている。ただし、バリア部材21の構成などによっては、バリア部材取り付け孔132cを設けない構成とすることも可能である。また、消弧装置13以外にバリア部材21を固定するようにしてもよい。例えば、ケース14などにバリア部材21を固定するようにしてもよい。
【0031】
図13に示す例では、アークもしくはアークガスが前方に移動することを抑制することを意図した平板状のバリア部材21であるが、バリア部材21は、このような形態に限る必要はない。例えば、アークもしくはアークガスが前方に移動することを抑制することを意図した構成としてもよい。
【0032】
図3に示す例では、消弧装置13の真上において、クロスバ操作機構17に開口171が設けられている。この開口171は、クロスバ操作機構17のハンドル171に付勢するためのバネ部材などを係止するためのものであったり、部材の重量削減のためのものであったりする。このような位置に存在する開口171からクロスバ操作機構17の内部にアークガスが侵入することを抑制することができるようにバリア部材21を形成することが考えられる。この場合、バリア部材21は、その上端が開口171よりも上方に位置するように構成するのが好ましい。
【0033】
また、図3に示す例では、クロスバ操作機構17は、消弧装置13よりも前側に開口172が設けられている。この開口172は、クロスバ16が上方向へ移動する際にクロスバ16の一部がクロスバ操作機構17の内部へ侵入することができるようにするために設けたものである。このような位置に存在する開口172からクロスバ操作機構17の内部にアークガスが侵入することを抑制することができるようにバリア部材21を形成することが考えられる。この場合、消弧装置13よりも前側に位置するバリア部材21の下端は、オン状態(クロスバ16が下方に位置している状態)におけるクロスバ16の上方端部よりも下方に位置するように構成するのが好ましい。
【0034】
図2から図4に示す例では、バリア部材21は前側垂直部21bと後側垂直部21cとそれらを繋ぐ水平部21aを備えた構成としており、バリア部材21の水平部21aが消弧装置13の上方を覆い、前側垂直部21bが、消弧装置13よりも前側において、水平部21aから下方に延びるように構成し、後側垂直部21cが、消弧装置13の真上において、クロスバ操作機構17に設けられた開口171と対向するように位置するように構成されている。
【0035】
ただし、バリア部材21は、これらの開口すべてに対応するように構成する必要はない。例えば、水平部21aと前側垂直部21bだけを設けた構成としてもよいし、水平部21aと後側垂直部21cだけを設けた構成としてもよい。ただし、バリア部材21は、消弧板131の上方で前後方向に延びる水平部21aと、水平部21aの後側の部分から上方に突出する後側垂直部21cと、を備えた構成とするのが好ましい。水平部21aと後側垂直部21cからなる側面視L字状の部分でアークガスの影響を受けにくくすることができる。特に、水平部21aをクロスバ操作機構17の近くまでの延ばすのが好ましい。
【0036】
また、水平部21aの前側の部分から下方に突出する前側垂直部21bを備えた構成とするのが好ましい。特に、水平部21aが、消弧装置13の側板132より前側に突出するように構成され、水平部21aの前側の部分から下方に突出する前側垂直部21bを備えた構成とするのが好ましい。図3に示す例では、水平部21aと、後側垂直部21cと、前側垂直部21bと、を備える構成である。このようにして、アークガスが上方及び前方に移動することを抑制できるようにするのが好ましい。もちろん、これらの開口以外からクロスバ操作機構17の内部にアークガスが侵入することを抑制できるように構成してもよい。
【0037】
いずれにせよ、可動接触子11を動作させ、固定接点121と可動接点111を接触させる若しくは離すクロスバ16と、ハンドル171を操作することでクロスバ16を移動させることが可能な機構であるクロスバ操作機構17と、を備え、クロスバ操作機構17内へのアークガスの侵入を防ぐことが可能なバリア部材21を備えた構成とするのが好ましい。また、このバリア部材21を消弧板131の上方に備えた回路遮断器1とするのが更に好ましい。
【0038】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 回路遮断器
11 可動接触子
12 固定接触子
13 消弧装置
14 ケース
15 カバー
16 クロスバ
17 クロスバ操作機構
21 バリア部材
21a 水平部
21c 後側垂直部
111 可動接点
121 固定接点
131 消弧板
132 側板
132a 固定孔
132b 穴部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13