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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168595
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/52 20230101AFI20241128BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20241128BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20241128BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N23/52
H04N23/68
G03B17/55
G03B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085414
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 英明
【テーマコード(参考)】
2H104
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H104CC00
2K005AA20
2K005CA02
2K005CA03
2K005CA24
2K005CA40
2K005CA44
2K005CA53
5C122DA01
5C122EA03
5C122EA41
5C122FB23
5C122FC00
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5C122GF04
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】光軸方向と垂直な方向に移動可能な撮像素子の放熱性を高めた撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(100)は、撮像素子(115)を保持する可動部(114)と、可動部を光軸方向と垂直な方向に移動可能に支持する固定部(113)と、可動部からの熱を放熱する第1熱伝導部材(126)とを有し、可動部は、規制部材(123)を有し、固定部は、規制部材が当接することにより可動部の移動を規制するための当接部(113b)を有し、第1熱伝導部材は、規制部材を介して可動部からの熱を放熱する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を保持する可動部と、
前記可動部を光軸方向と垂直な方向に移動可能に支持する固定部と、
前記可動部からの熱を放熱する第1熱伝導部材とを有し、
前記可動部は、規制部材を有し、
前記固定部は、前記規制部材が当接することにより前記可動部の移動を規制するための当接部を有し、
前記第1熱伝導部材は、前記規制部材を介して前記可動部からの前記熱を放熱することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記可動部の前記移動を規制するために前記当接部に当接する規制部と、前記規制部から前記光軸方向に延伸した放熱部とを有し、
前記第1熱伝導部材は、前記放熱部を介して前記可動部からの前記熱を放熱することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光軸方向から見た場合、前記放熱部の断面積は、前記規制部の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
放熱板金を更に有し、
前記第1熱伝導部材は、前記可動部からの前記熱を前記放熱板に放熱することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1熱伝導部材は、前記可動部からの前記熱を前記固定部に放熱することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記固定部に形成された穴部であり、
前記穴部には、前記規制部材が挿通されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記当接部には、緩衝部材が設けられており、
前記規制部材は、前記緩衝部材を介して前記当接部に当接可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記緩衝部材は、前記可動部からの熱を放熱する第2熱伝導部材であり、
前記規制部材は、前記撮像装置の電源がオフされた状態において、前記緩衝部材に当接することを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記光軸方向から見た場合、前記規制部材は、前記撮像素子の投影領域の範囲内に配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像素子と前記規制部材とは、前記撮像素子からの熱が前記規制部材へ放熱されるように熱的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
弾性を有し、前記撮像素子と前記規制部材とを接続する第3熱伝導部材を更に有することを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1熱伝導部材は、屈曲性を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1熱伝導部材は、第1方向に沿って配置された第1屈曲部と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って配置された第2屈曲部とを有することを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部の幅または長さの少なくとも一方は、互いに異なることを特徴とする請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1熱伝導部材は、グラファイトシートであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記可動部は、前記光軸方向と垂直な前記方向に移動することで像ブレ補正を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置には、撮像レンズを介して取り込んだ被写体像をデジタル画像に変換するための撮像素子が設けられている。このような撮像素子においては、駆動時に熱が発生し、その発熱量によっては画像に対するノイズが発生して、画質の低下の要因となり得るため、撮像素子で発生する熱の放熱性を確保する必要がある。特許文献1には、撮像素子が搭載された基板の背面に熱伝導部材を配置し、ローリング補正の回転軸に熱を伝えることで放熱性を高めた撮像装置が開示されている。一方、近年、画質の向上を図るために撮像素子を撮像光学系の光軸と直交する方向に方向へ移動させて像ブレ補正を行う撮像装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-20466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された構成では、撮像素子を撮像光学系の光軸方向と垂直な方向に移動させて像ブレ補正を行う場合、撮像素子からの熱の放熱性を高めることができない。
【0005】
そこで本発明は、光軸方向と垂直な方向に移動可能な撮像素子の放熱性を高めた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮像素子を保持する可動部と、前記可動部を光軸方向と垂直な方向に移動可能に支持する固定部と、前記可動部からの熱を放熱する第1熱伝導部材とを有し、前記可動部は、規制部材を有し、前記固定部は、前記規制部材が当接することにより前記可動部の移動を規制するための当接部を有し、前記第1熱伝導部材は、前記規制部材を介して前記可動部からの前記熱を放熱する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光軸方向と垂直な方向に移動可能な撮像素子の放熱性を高めた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】各実施形態における撮像装置の分解斜視図である。
図2】第1実施形態における撮像素子部の分解斜視図である。
図3】第1実施形態における撮像素子部の構成図である。
図4】第1実施形態における可動部に関する規制部の構成図である。
図5】第1実施形態における熱伝導シートの変形例である。
図6】第2実施形態における撮像素子部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態におけるデジタルカメラ(撮像装置)100について説明する。図1は、背面から見たデジタルカメラ100の分解斜視図である。図1に示されるように、デジタルカメラ100は、リアカバー101、フロントベース102、トップカバー103、ボトムカバー104、およびサイドカバー105を有する。デジタルカメラ100の内部には、像ブレ補正機構を有する撮像素子部106、メイン基板107、シャッター108、ファインダー109、およびシャーシ(放熱板金)110が配置されている。なお本実施形態において、デジタルカメラ100には、光学系(撮像光学系)を有するレンズ装置が着脱可能である。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、カメラ本体とレンズ装置とが一体的に構成された撮像装置にも適用可能である。
【0012】
撮像素子部106は、撮像素子115を保持する可動部114と、可動部114を光軸方向(Z方向)と垂直な方向(YY平面内における任意の方向)に移動可能に支持する固定部113とを有する。このような構成により、可動部114は、固定部113に対して光軸方向と垂直な方向に移動することで像ブレ補正を行う。
【0013】
フロントベース102は、例えばマグネシウムダイキャストや樹脂で形成されている。メイン基板107は、多層基板で構成され、両面に電子部品が実装されている。メイン基板107は、フロントベース102と金属製のシャーシ110にビス固定される。メイン基板107には、撮像信号などを制御する制御IC107a、外部記録媒体を収納する記録媒体用コネクタ107b、および外部機器との接続ケーブルを接続するための外部通信端子107cが実装されている。外部通信端子107cは、端子カバー105aで覆われている。
【0014】
撮像素子部106は、デジタルカメラ100の中でも特に消費電力が大きく発熱量も多く、温度上昇が激しい部材である。デジタルカメラ100の撮影時間は、各部材の動作保証温度によって制限される。撮影時間を極力長く維持するには、発熱源である撮像素子部106の熱を逃がし動作保証温度を超えないように対策する必要がある。撮像素子部106は、フロントベース102にビス固定されている。また後述の熱伝導シート(第1熱伝導部材)126とシャーシ110と接続することによって撮像素子部106の熱をフロントベース102やシャーシ110へ逃がすように構成されている。
【0015】
次に、図2および図3(a)、(b)を参照して、撮像素子部106について詳述する。図2は、背面側から見た撮像素子部106の分解斜視図である。図3(a)、(b)は撮像素子部106の構成図であり、図3(a)は撮像素子部106の背面図、図3(b)は図3(a)中の線A-Aに沿った部分断面図をそれぞれ示す。
【0016】
可動部114は、撮像素子115が実装された撮像基板116、および撮像基板116を接着固定しているセンサーホルダ(センサープレート)117などを有する。センサーホルダ117は、3か所のコイル部117aにおいて、可動部114を駆動するためのコイル120およびホール素子を保持している。固定部113は、コイル部117aに対向する磁石部113aにおいて3つの磁石118を保持している。可動部114は、磁石118により吸着保持されている。センサーホルダ117に設けられたボール保持部117bには、ボールが入れられている。可動部114と固定部113との間の距離は、ボールにより一定に保たれ、摩擦の影響を受けないように保持されている。コイル部117aの通電量を変化させることで、可動部114を移動させることができる。デジタルカメラ100本体のブレを打ち消す方向に可動部114を動かすことにより、手振れ補正を行うことができる。
【0017】
撮像素子115は、セラミックからなるリッド115aにセンサーチップ115bが接着され、ワイヤボンディングでリッド115aに設けられた配線に電気的に接続された状態で、ガラス115cで封止されている。撮像素子115は、撮像基板116に実装され、撮像基板116とセンサーホルダ117は接着剤119で接着固定されている。接着剤119は、撮像基板116とセンサーホルダ117を跨ぐように塗布され、紫外線を照射することにより硬化される。撮像基板116の撮像素子115の裏面には、撮像回路のコンデンサや抵抗、レギュレータなどの素子116bが実装されている。
【0018】
撮像基板116とメイン基板107との電気的な接続は、撮像フレキシブル配線板111を用いて行われる。撮像フレキシブル配線板111は、撮像素子115から出力された撮像信号および撮像素子115の駆動に必要な制御信号を、メイン基板上の制御IC107aへ伝達する。また撮像フレキシブル配線板111は、撮像素子115を駆動するための電源を供給する。撮像基板116と撮像フレキシブル配線板111との接続は、基板間コネクタを用いて行われる。基板間コネクタのリセプタクル側とプラグ側が嵌合して、電気的な接続が行われる。
【0019】
撮像フレキシブル配線板111は、撮像フレキシブル配線板111をUターンさせるUターン部111aを有する。Uターン部111aで可動部114が移動した際のずれを吸収し、撮像フレキシブル配線板111のコシにより可動部114の動きが妨げられるのを防ぐことができる。またUターン部111aは、撮像フレキシブル配線板111内の配線の破断を抑制することができる。撮像フレキシブル配線板111は、片面のフレキシブル配線板である。このような構成により、両面のフレキシブル配線板に比べて、銅箔とカバーレイを減らすことができ、撮像フレキシブル配線板111のコシを減らすことが可能である。これにより、可動部114を動かしたときの負荷を低減できるとともに、繰り返し屈曲された場合の耐久性を上げることができる。
【0020】
放熱板121は、センサーホルダ117にビス125で固定されている。放熱板121は延長部121aを有し、撮像基板116との間に熱伝導ゴム(弾性を有する第3熱伝導部材)122が配置されている。放熱板121には、規制シャフト123がかしめられている。放熱板121および規制シャフト123は、アルミまたは銅などの熱伝導率の高い材料からなる。規制シャフト123は、固定部113に形成された規制穴(当接部、穴部)113bに挿通されている。可動部114は、規制位置まで移動すると、規制シャフト123の規制部123bが規制穴113bに当接し、可動部114の移動が規制される。このように固定部113の規制穴113bは、規制シャフト123が当接することにより可動部114の移動を規制する。熱伝導シート126は、規制シャフト123を介して可動部114からの熱を放熱する。
【0021】
規制シャフト123の規制部123bと固定部113の規制穴113bとの間には、緩衝部材(第2熱伝導部材)124が配置されている。すなわち規制穴113bには緩衝部材124が設けられており、規制シャフト123は、緩衝部材124を介して規制穴113bに当接可能である。
【0022】
127は固定部カバーである。規制シャフト123は、シャーシ110に設けられた穴110aに挿通されている。規制シャフト123の先端には、シャフト径よりも拡大されたフランジ部(放熱部)123aが設けられており、可動部114からの熱を放熱する熱伝導シート126が貼り付けられている。フランジ部123aは、規制部123bから光軸方向に延伸して設けられており、熱伝導シート126は、フランジ部123aを介して可動部114からの熱を放熱する。また本実施形態において、光軸方向(Z方向)から見た場合(XY断面において)、フランジ部123aの断面積は、規制部123bの断面積よりも大きい。
【0023】
熱伝導シート126の他端は、シャーシ110に貼り付けられており、規制シャフト123とシャーシ110とが熱的に接続されている。フランジ部123aは、円形に限定されるものではなく、矩形など熱伝導シート126の貼りやすい他の形状であってもよい。熱伝導シート128は、シャーシ110とフロントベース102と固定部113に貼り付けられている。また本実施形態において、光軸方向から見た場合、規制シャフト123は、撮像素子115の投影領域の範囲内に配置されている。
【0024】
次に、撮像素子115で発生した熱の放熱経路について説明する。撮像素子115の熱は、撮像基板116に伝わる。撮像基板116の熱は、熱伝導ゴム122を介して放熱板121へ伝わる。更にこの熱は、放熱板121に設けられた規制シャフト123、および熱伝導シート126の順に伝わり、シャーシ110へ熱を逃がすことができる。シャーシ110は、アルミからなり、撮像素子115周辺の金属部品と比較して大きな板金であり熱容量がある。そのため撮像素子115の熱をシャーシ110に伝えることにより、撮像素子115の温度をより下げることができる。
【0025】
撮像基板116は、センサーホルダ117に当接しており、また接着剤119により接着されているためセンサープレートへ熱が伝わる。センサーホルダ117と放熱板121とはビス固定されているため、熱伝導ゴム122経由に加えてセンサープレート経由でも放熱板121に熱が伝わるように構成されている。熱伝導ゴム122を配置する位置を撮像基板116上の特に高温になっている箇所にすることにより、さらに放熱効果を高めることができる。例えば、センサーチップ115b内には、発熱する回路部が形成されている。その回路部の直下に熱伝導ゴム122を配置することで、放熱のロスを減らすことができ、より効率的に熱を逃がすことができる。なお、熱伝導ゴム122に代えて、スポンジなどの弾性部材にグラファイトシートを巻き付けた部材を用いてもよい。
【0026】
固定部113は、フロントベース102にビス固定されている。撮像素子115の熱は、フロントベース102側へも放熱される。また、熱伝導シート128は、シャーシ110の熱を更にフロントベース102へと拡散させる役割を有する。
【0027】
次に、図4(a)、(b)を参照して、可動部114の移動規制の構造について説明する。図4(a)、(b)は可動部114に関する規制部の構成図であり、図4(a)は可動部114の中央の規制シャフト123による規制部の断面図、図4(b)は可動部114の外側の規制部の断面図をそれぞれ示す。可動部114は、XY方向、および光学系(撮像光学系)の光軸(光軸方向)であるZ軸(Z方向)に対して回転方向への移動を行う。可動部114の移動規制は、可動部114の中央と可動部114の外側の2つの領域で行われる。中央の規制部は主にXY方向の規制を行い、外側の規制部ではXY移動の規制に加えて撮像装置の光軸であるZ軸に対する回転規制を行う。
【0028】
まず、可動部114の中央の規制部は、規制シャフト123の規制部123bが規制穴113bに当接することにより移動規制を行う。規制シャフト123の規制部123bと固定部113の規制穴113bとの間には、緩衝部材124が配置されている。デジタルカメラ100に電源がオンの状態において、可動部114は、撮像素子115の画角中心が光軸中心と一致するように駆動される。デジタルカメラ100の電源をオフにすると、可動部114の駆動が行われなくなる。このとき可動部114は、自重により規制シャフト123が緩衝部材124に当接した状態となる。緩衝部材124として熱伝導ゴムなどの熱伝導率の高い部材を用いることで、可動部114を駆動しない状態では、規制シャフト123から固定部113への放熱させることができる。そのため、デジタルカメラ100の電源をオフにした状態において撮像素子115の熱をより効率的に低下させることができる。
【0029】
次に、可動部114の外側での規制について説明する。固定部113の4隅に設けられた固定側規制部材112とセンサーホルダ117の可動側規制部117cとが当接することで行われる。固定側規制部材112は、シャフトまたは板金にゴムなどの緩衝部材124が取り付けられている。
【0030】
可動部114を光軸であるZ軸を中心に回転方向に駆動させた場合、可動部114の移動距離は中心からの距離が離れている部位ほど大きくなる。回転方向の移動規制を精度よく行うには規制部を用いることが好ましい。
【0031】
可動部114から可動部114以外へグラファイトシートなどの屈曲性を有する熱伝導シート126でつなぐ場合、破断などが起こらないように移動量を考慮して長さを決める必要がある。本実施形態では、可動部114の駆動時の比較的移動量の少ない中央の規制部材を放熱経路として使用している。このため、可動部とシャーシ110をつなぐ熱伝導シート126の長さを短くすることができる。その結果、放熱経路を短縮することができ、放熱性能を向上させることが可能となる。また、中央の規制部は熱源である撮像素子115とも近い距離となる。規制シャフト123を撮像素子115の投影上(投影領域内)に配置することにより、経路が短く効率的な排熱が可能となる。
【0032】
次に、規制シャフト123とシャーシ110とを熱的に接続している熱伝導シート126について説明する。熱伝導シート126は、2つの規制シャフト123からそれぞれX方向およびY方向のそれぞれにおける両側に合計4方向に延長した形状を有し、規制シャフト123とシャーシ110に粘着テープにより貼り付けられている。熱伝導シート126は、可動部114の動きに追従できるように、X方向(第1方向)の屈曲部(第1屈曲部)126aおよびY方向(第1方向とは異なる第2方向)の屈曲部(第2屈曲部)126bを有する。各屈曲部は、規制シャフト123と規制穴113bとの間の距離S1、S2が変化しても破断しない程度の長さを有する。
【0033】
また本実施形態において、可動部114のXY方向の負荷に応じて、X方向の屈曲部126aの幅W1またはY方向の屈曲部126bの幅W2の少なくとも一方を変化させてもよい。Y方向の屈曲部126bは、延伸方向が撮像フレキシブル配線板111と同じであり、駆動時の負荷が大きくなる。Y方向の屈曲部126bの幅W2を細めると、負荷を減らすことできる。一方、X方向の屈曲部126aは、延伸方向が撮像フレキシブル配線板111と重なっていないため幅W1を増やすことにより、放熱性能を維持させることができる。このように熱伝導シート126の幅または長さの少なくとも一方を調整することにより、可動部114の制御性と放熱性とを両立させることが可能となる。
【0034】
また、可動部114が回転方向に移動する場合、光軸中心と規制シャフト123の距離とが近ければ熱伝導シート126の屈曲する量が少なく、逆に離れると大きくなる。そのため、光軸中心と規制シャフト123との距離に応じて熱伝導シート126の長さを調整することで、熱伝導シート126の破断を抑制することができる。
【0035】
図5(a)、(b)を参照して、熱伝導シート126の変形例を説明する。図5(a)、(b)は熱伝導シート126の変形例であり、図5(a)は熱伝導シート126の変形例を示す断面図、図5(b)は背面斜視図である。熱伝導シート126の形状は、図5(a)、(b)に示されるような屈曲部126cを内側に曲げた形状でもよい。このような形状にすることで、熱伝導シート126の屈曲部のZ方向の膨らみを軽減することができ省スペース化が可能となる。
【0036】
熱伝導シート126の放熱効果をさらに高めるため、熱伝導シート126を複数枚重ねる構成、または延伸部の数を増やす構成などを採用してもよい。また、熱伝導シート126は、シート部材に限定されるものではなく、可動部114の駆動に大きな影響を与えなければ、熱伝導率の高い弾性部材で接続してもよい。また、本実施形態における中央部の可動部114の規制構造は、規制シャフト123と規制穴113bとにより行われるが、シャフトと穴との関係に限定されるものではなく、可動部114の移動を規制しつつ熱を輸送できる他の構成でもよい。
【0037】
本実施形態によれば、熱経路として撮像素子部106の中央の規制シャフト123を用いることにより、効率的な撮像素子115の排熱が可能となる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、図6(a)、(b)を参照して、本発明の第2実施形態ついて説明する。本実施形態では、第1実施形態の可動部114の放熱先をシャーシ(放熱板金)110から固定部113へ変更している。本実施形態におけるその他の基本構成は、第1実施形態と同じであるため、共通の説明については、同じ符号を用いて、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図6(a)、(b)は本実施形態における撮像素子部106の構成図であり、図6(a)は撮像素子部106の背面斜視図、図6(b)は撮像素子部106の断面図をそれぞれ示す。規制シャフト(規制部材)201の長さは、第1実施形態よりも短い。熱伝導シート(第1熱伝導部材)200は、規制シャフト201と規制穴113bの周辺の固定部113との間を熱的に接続するように貼り付けられている。熱伝導シート200は、撮像フレキシブル配線板111と接触しないように、延長部200aが3方向への延伸されている。
【0040】
可動部114の熱は、規制シャフト201および熱伝導シート200を経由して、固定部113の金属板金へ伝えられる。固定部113へ伝えられた熱は、フロントベース102とのビス固定部からフロントベース102へ伝熱される。また固定部113とフロントベース102およびトップカバーをつなぐ熱伝導シート200を設けて、熱を逃がすことができる。このように本実施形態において、シャーシ110がメイン基板107上のICの熱により高温になる構成の場合、メイン基板107の熱が撮像素子部106へ伝わるのを抑制することができる。
【0041】
各実施形態によれば、光軸方向と垂直な方向に移動可能な撮像素子の放熱性を高めた撮像装置を提供することができる。
【0042】
各実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0043】
(構成1)
撮像素子を保持する可動部と、
前記可動部を光軸方向と垂直な方向に移動可能に支持する固定部と、
前記可動部からの熱を放熱する第1熱伝導部材とを有し、
前記可動部は、規制部材を有し、
前記固定部は、前記規制部材が当接することにより前記可動部の移動を規制するための当接部を有し、
前記第1熱伝導部材は、前記規制部材を介して前記可動部からの前記熱を放熱することを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記規制部材は、前記可動部の前記移動を規制するために前記当接部に当接する規制部と、前記規制部から前記光軸方向に延伸した放熱部とを有し、
前記第1熱伝導部材は、前記放熱部を介して前記可動部からの前記熱を放熱することを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記光軸方向から見た場合、前記放熱部の断面積は、前記規制部の断面積よりも大きいことを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成4)
放熱板金を更に有し、
前記第1熱伝導部材は、前記可動部からの前記熱を前記放熱板に放熱することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
(構成5)
前記第1熱伝導部材は、前記可動部からの前記熱を前記固定部に放熱することを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
(構成6)
前記当接部は、前記固定部に形成された穴部であり、
前記穴部には、前記規制部材が挿通されていることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の撮像装置。
(構成7)
前記当接部には、緩衝部材が設けられており、
前記規制部材は、前記緩衝部材を介して前記当接部に当接可能であることを特徴とする構成1乃至6のいずれかに記載の撮像装置。
(構成8)
前記緩衝部材は、前記可動部からの熱を放熱する第2熱伝導部材であり、
前記規制部材は、前記撮像装置の電源がオフされた状態において、前記緩衝部材に当接することを特徴とする構成7に記載の撮像装置。
(構成9)
前記光軸方向から見た場合、前記規制部材は、前記撮像素子の投影領域の範囲内に配置されていることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
(構成10)
前記撮像素子と前記規制部材とは、前記撮像素子からの熱が前記規制部材へ放熱されるように熱的に接続されていることを特徴とする構成1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
(構成11)
弾性を有し、前記撮像素子と前記規制部材とを接続する第3熱伝導部材を更に有することを特徴とする構成10に記載の撮像装置。
(構成12)
前記第1熱伝導部材は、屈曲性を有することを特徴とする構成1乃至11のいずれかに記載の撮像装置。
(構成13)
前記第1熱伝導部材は、第1方向に沿って配置された第1屈曲部と、前記第1方向とは異なる第2方向に沿って配置された第2屈曲部とを有することを特徴とする構成12に記載の撮像装置。
(構成14)
前記第1屈曲部と前記第2屈曲部の幅または長さの少なくとも一方は、互いに異なることを特徴とする構成13に記載の撮像装置。
(構成15)
前記第1熱伝導部材は、グラファイトシートであることを特徴とする構成1乃至14のいずれかに記載の撮像装置。
(構成16)
前記可動部は、前記光軸方向と垂直な前記方向に移動することで像ブレ補正を行うことを特徴とする構成1乃至15のいずれかに記載の撮像装置。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
100 デジタルカメラ(撮像装置)
113 固定部
113b 規制穴(当接部)
114 可動部
115 撮像素子
123、201 規制シャフト(規制部材)
126、200 熱伝導シート(第1熱伝導部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6