(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168599
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241128BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
G01N21/27 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085422
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】305053721
【氏名又は名称】有限会社 ライブエイド
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】中田 修
(72)【発明者】
【氏名】室石 和宏
【テーマコード(参考)】
2G059
4C117
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059AA06
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE02
2G059EE13
2G059GG02
2G059HH02
2G059KK01
4C117XB02
4C117XD05
4C117XD17
4C117XE36
4C117XG03
4C117XG12
4C117XG18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被測定者のカロテノイド値を精度良く測定できる装置を提供する。
【解決手段】測定装置1は、被測定者の皮膚にカロテノイドの吸収帯の波長の測定光を照射するLED34と、測定光と波長が近い光を基準光として照射するLED35と、測定光と基準光の被測定者の皮膚での反射光を受光する受光センサ36とを備える測定部30と、受光した測定光の強度を受光した基準光の強度で補正し、被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算する演算部14と、演算部14で得られたカロテノイド値に関するデータを画面表示するタッチパネルモニタ12とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定者の皮膚にカロテノイドの吸収帯の波長の測定光を照射する第1の光源と、緑色から黄色に対応する波長の基準光を照射する第2の光源と、前記測定光と前記基準光の前記被測定者の皮膚での反射光を受光する受光部とを備える測定部と、
受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算する演算部と、
前記演算部で得られた前記カロテノイド値に関するデータを画面表示する画面表示部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記第1の光源は青色光を出力し、前記第2の光源は緑色光を出力する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1の光源は青緑色光を出力し、前記第2の光源は黄色光を出力する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記測定部は、第1の測定部と第2の測定部を備え、
前記第1の測定部の前記第1の光源は青色光を出力し、前記第2の光源は緑色光を出力し、
前記第2の測定部の前記第1の光源は青緑色光を出力し、前記第2の光源は黄色光を出力する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
カロテノイド値と野菜摂取度の指標値との関係を示すテーブルを記憶したテーブル記憶部を備え、
前記演算部は、前記演算部にて求めたカロテノイド値に対応する野菜摂取度の指標値を、前記テーブル記憶部のテーブルに基づいて求め、
前記画面表示部は、前記カロテノイド値に関するデータとして前記演算部で求めた野菜摂取度の指標値を表示する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項6】
前記テーブルは、被測定者の年齢とカロテノイド値と野菜摂取度の指標値との関係を示すテーブルである請求項5に記載の測定装置。
【請求項7】
前記画面表示部は、前記野菜摂取度の指標値とともに、被測定者へのアドバイスを表示する請求項5に記載の測定装置。
【請求項8】
前記画面表示部で表示されたデータを印刷する印刷部をさらに備える、請求項5に記載の測定装置。
【請求項9】
前記演算部にて求めたカロテノイド値に関するデータを被測定者の識別情報に対応付けて記憶する測定結果記憶部を備え、
前記画面表示部は、被測定者の過去の前記カロテノイド値に関するデータを前記測定結果記憶部から読み出して表示する請求項1に記載の測定装置。
【請求項10】
測定装置によって被測定者のカロテノイド値に関するデータを測定する方法であって、
前記測定装置は、カロテノイドの吸収帯の波長の測定光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、
前記測定装置は、緑色から黄色に対応する波長の基準光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、
前記測定装置は、受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算するステップと、
前記測定装置は、前記カロテノイド値に関するデータを画面表示するステップと、
を備える測定方法。
【請求項11】
被測定者のカロテノイド値に関するデータを測定するためのプログラムであって、コンピュータに、
カロテノイドの吸収帯の波長の測定光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、
緑色から黄色の波長に対応する基準光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、
受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算するステップと、
前記カロテノイド値に関するデータを画面表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定者のカロテノイド値を測定する測定装置、測定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
野菜に多く含まれているカロテノイド類の生理作用は多岐にわたり、必須栄養素であるビタミンAの前駆体となるほか、近年ではがんや心臓病の予防効果も報告されている。このように、カロテノイド類を摂取することは健康に大きく貢献できると考えられ、野菜の摂取は健康意識の向上に大きな役割があると考えられる。カロテノイド類に注目して、その摂取量を客観的に把握できることは、人々の健康への意識づけに大きく貢献できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、非侵襲性であり、簡便に体内のカロテノイド量を推定できる装置が開示されている。その方法として、青色光及び赤色光を含む光源を組織の局所領域に照射し、反射分光法を用いてカロテノイド類のレベルを定量的に測定している。具体的には、カロテノイドの吸収帯として青色の光を用い、組織状態を同定するために赤色の光を用いている。そして、青色及び赤色スペクトル領域における吸収間の相違として局所領域におけるカロテノイドレベルを測定している。
【0005】
しかし、組織状態を同定するために赤色の光を用いると精度の低下を招く可能性がある。本発明は、被測定者のカロテノイド値を精度良く測定できる装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の測定装置は、被測定者の皮膚にカロテノイドの吸収帯の波長の測定光を照射する第1の光源と、緑色から黄色に対応する波長の基準光を照射する第2の光源と、前記測定光と前記基準光の前記被測定者の皮膚での反射光を受光する受光部とを備える測定部と、受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算する演算部と、前記演算部で得られた前記カロテノイド値に関するデータを画面表示する画面表示部とを備える。
【0007】
本発明によれば、基準光として緑色から黄色に対応する波長の光を用いることにより、ヘモグロビンの吸収スペクトルが大きい波長を避け、適切な補正を行うことができる。なお、測定光と基準光の波長の例としては、測定光が青色の波長の光に対し、基準光は緑色の波長の光である。また、別の例としては、測定光が青緑色の波長の光に対し、基準光は黄色の波長の光である。
【0008】
本発明の測定装置において、前記測定部は、第1の測定部と第2の測定部を備え、前記第1の測定部の前記第1の光源は青色光を出力し、前記第2の光源は緑色光を出力し、前記第2の測定部の前記第1の光源は青緑色光を出力し、前記第2の光源は黄色光を出力してもよい。この構成により、幅広い種類のカロテノイドの値を推定し、野菜摂取度を測定することができる。
【0009】
本発明の測定装置は、カロテノイド値と野菜摂取度の指標値との関係を示すテーブルを記憶したテーブル記憶部を備え、前記演算部は、前記演算部にて求めたカロテノイド値に対応する野菜摂取度の指標値を求め、前記画面表示部は、前記カロテノイド値に関するデータとして野菜摂取度の指標を表示してもよい。このように野菜摂取度の指標値として表示されることにより、被測定者は野菜摂取が足りているのか不足しているのか、不足している場合にはその程度を容易に把握できる。
【0010】
本発明の測定装置において、前記テーブルは、被測定者の年齢とカロテノイド値と野菜摂取度の指標値との関係を示すテーブルであってもよい。これにより、野菜摂取度の指標値を精度良く求めることができる。
【0011】
本発明の測定装置において、前記画面表示部は、前記野菜摂取度の指標とともに、被測定者へのアドバイスを表示してもよい。この構成により、被測定者は、自身のカロテノイド値に対応するアドバイスを得ることができる。
【0012】
本発明の測定装置は、前記画面表示部で表示されたデータを印刷する印刷部をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明の測定装置は、前記演算部にて求めたカロテノイド値に関するデータを被測定者の識別情報に対応付けて記憶する測定結果記憶部を備え、前記画面表示部は、被測定者の過去の前記カロテノイド値に関するデータを前記測定結果記憶部から読み出して表示してもよい。
【0014】
本発明の測定方法は、測定装置によって被測定者のカロテノイド値に関するデータを測定する方法であって、前記測定装置は、カロテノイドの吸収帯の波長の測定光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、前記測定装置は、緑色から黄色に対応する波長の基準光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、前記測定装置は、受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算するステップと、前記測定装置は、前記カロテノイド値に関するデータを画面表示するステップとを備える。
【0015】
本発明のプログラムは、被測定者のカロテノイド値に関するデータを測定するためのプログラムであって、コンピュータに、カロテノイドの吸収帯の波長の測定光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、緑色から黄色に対応する波長の基準光を被測定者の皮膚に照射し、前記被測定者の皮膚での反射光を受光するステップと、受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算するステップと、前記カロテノイド値に関するデータを画面表示するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、精度良くカロテノイド値に関するデータを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】(a)本実施の形態の指センサの構成を示す上面図である。(b)本実施の形態の指センサの構成を示す側面図である。
【
図3】本実施の形態の測定装置の機能を説明するための図である。
【
図4】タッチパネルモニタの表示例を示す図である。
【
図6】本実施の形態の測定手順を示すフローチャートである。
【
図7】本実施の形態の測定装置を用いた実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0019】
本発明の実施の形態の測定装置は、非侵襲的に測定者のカロテノイド値を測定する装置である。本測定装置は、エステサロン、リラクゼーションルーム、温浴施設、フィットネスクラブ、薬局店頭等、様々な施設において設置されると想定され、来客の健康意識を高め、ひいては各施設で扱っている商品やサービスなどについて販売促進効果も高められると考えられる。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態の測定装置1の外観を示す図である。測定装置1は、測定装置1の本体10と、被測定者の手のひらを置いて測定を行う測定部30とを備えている。本体10と測定部30とは通信が可能である。測定部30は、本体10から測定開始の信号を受信し、測定データを本体10に送信する。
【0021】
本体10は、筐体11と、タッチパネルモニタ12と、印刷部13とを備えている。筐体11の内部に測定装置1の処理を行う演算部や記憶部を備えている。タッチパネルモニタ12には、測定開始や終了、出力ボタンなどが表示され、被測定者はタッチすることで測定装置1に指示を与えることができる。印刷部13からは測定結果が表示された結果用紙が出力される。結果用紙に使用される用紙は、感熱ロール紙であってよい。
【0022】
測定部30は、被測定者が手のひらを置くセンサボディ31と、2つのセンサ部32を備えている。センサボディ31は、センサ部32に指先を入れたとき、手のひらを安定させるための台座であり、人の手のひら程度の大きさであることが望ましい。センサボディ31には、手のひらの図柄33が描かれている。被測定者が右利きであることを想定し、手のひらの図柄33は左手である。被測定者が図柄33に合わせて手をおくことで、指を適切にセンサ部32に入れることができる。図柄33に描かれているように、2つのセンサ部32には、人差し指および薬指を入れることを想定しているが、センサ部32は他の指であっても測定を行うことができる。
【0023】
図2(a)は、センサ部32の構成を上方から見た断面図であり、
図2(b)は、水平方向から見た断面図である。2つのセンサ部32の構成は使用しているLEDの波長を除けば同じである。センサ部32は、センサボディ31の下側に被測定者の指腹に向けて光を照射する2つのLED34、35と、指腹からの反射光を受光する受光センサ36とを備える。具体的には、LED34、35は、センサボディ31に設けられた開口37を通じて指先の腹に照射できるような角度で設置されており、受光センサ36は、照射された光が指先の腹で反射し、その反射光を受光できるような角度で設置されている。LED34とLED35は隣接して配置され、被測定者の所定のターゲットの位置に向けられている。これにより、測定光と基準光の反射光はほぼ同じ経路を通って受光センサ36に入る。
【0024】
人差し指用のセンサ部32のLED34は測定光として青色に対応する波長の光を出力し、LED35は基準光として緑色に対応する波長の光を出力する。具体的には、LED34は、460nmをピークとする波長の光、LED35は520nmをピークとする波長の光を出力する。460nmをピークとする波長の光は、β-カロテンの吸光度に対応する波長である。
【0025】
薬指用のセンサ部32のLED34は測定光として青緑色に対応する波長の光を出力し、LED35は基準光として黄色に対応する波長の光を出力する。具体的には、LED34は、505nmをピークとする波長の光、LED35は590nmをピークとする波長の光を出力する。505nmをピークとする波長の光は、リコピンの吸光度に対応する波長である。
【0026】
図3は、本実施の形態の測定装置1の機能を説明するための図である。本体10は、タッチパネルモニタ12と、印刷部13と、演算部14と、記憶部15と、通信部16とを備えている。測定部30は、センサ部32を構成するLED34、LED35、受光センサ36と、通信部38とを備えている。通信部38は、有線で通信を行ってもよいし無線で通信を行ってもよい。
【0027】
演算部14は、測定部30から送信された測定結果のデータに基づいて被測定者のカロテノイド値を演算する。具体的には、演算部14は、基準光の受光強度に対する測定光の受光強度を求めカロテノイド値を演算する。基準光に対する強度を求めるのは、被測定者の指の置き方により測定光の当たり方が変わって、その反射光の強度に影響を及ぼすことがあるので、この影響を除去するためである。
【0028】
また、演算部14は、カロテノイド値に基づいて野菜摂取度の指標値を求める。本実施の形態では、野菜摂取度の指標値を「ベジミル値」と呼ぶ。ベジミル値は、1日に必要とされる350gの野菜を摂取している場合を60とし、0~100で表される指標値である。記憶部15には、カロテノイド値とベジミル値との関係をあらかじめ記憶したテーブルが記憶されている。演算部14は、記憶部15からテーブルを読み出し、被測定者のカロテノイド値に対応するベジミル値を決定する。
【0029】
タッチパネルモニタ12は、測定方法の誘導や測定結果などを測定者に向けて表示する。測定方法の誘導とは、測定の開始を促すこと、センサ部32に指先をセットすること、所定の時間待機することなどである。また、タッチパネルモニタ12は、演算部14で得られたベジミル値を表示する。この際、被測定者に対するアドバイスを表示してもよい。
【0030】
図4は、タッチパネルモニタ12の表示例を示す図である。測定開始前の待機状態においては、
図4の上段に示すように、タッチパネルモニタ12は上方に「あなたの野菜摂取度を測定します」と表示すると共に、スタートボタンを表示する。被測定者がセンサ部32に指を入れ、スタートボタンを選択することで測定が開始される。画面はタッチセンサであり、測定者は「スタート」と表示された部分を触れることで測定開始できる。
【0031】
測定が開始すると、
図4の中段に示すように、タッチパネルモニタ12は「測定中です」と表示し、被測定者にそのままの状態で待つように求める。測定が終了すると、タッチパネルモニタ12は、
図4の下段に示す画面を表示する。画面の上方に「あなたの測定結果です」と表示され、画面に測定者の測定結果が表示される。画面には、被測定者のベジミル値が表示されるとともに、ベジミル値のランクが表示される。本測定装置1は、このランクを「ベジ健康度」と呼んでいる。ベジ健康度のランクはA~Eの5段階である。
図4に示す例では、C~Eランクまで着色されている。これにより、被測定者のベジミル値がCランクであることを示している。結果表示画面の下方の領域には、詳細は印刷して出力されることが表示されている。
【0032】
印刷部13は、被測定者の測定結果に関するデータを出力する。
図5は、印刷結果の一例を示す図である。
図5に示すように、印刷結果には、測定年月日、ベジミル値、ベジミル値のランクが表示される。また、印刷結果には、総合評価のコメント41と、管理栄養士によるアドバイス42が含まれる。この構成により、測定者は自身のデータを客観的に把握でき、また、今後の食習慣などに対策または維持する目標を立てることができる。
【0033】
図6は、本実施の形態の測定装置1による測定の流れを示すフローチャートである。測定者によりスタートボタンが選択されることで、測定開始する。本体10は、スタートボタンが選択されると、測定部30に対して測定開始を指示する信号を送信する。
【0034】
測定部30は、人差し指のセンサ部32に挿入された測定者の指先に、LED34から青色の測定光を照射する(S10)。照射された光の反射光は、受光センサ36で受光する(S11)。次に、LED35から緑色の基準光を照射し(S10)、その反射光を受光センサ36で受光する(S11)。同様に、薬指のセンサ部32においても測定光と基準光の発光と受光を繰り返す。薬指のセンサ部32では、測定光として青緑色の光を照射し、基準光として黄色の光を照射する。2つのセンサ部32は基準光として緑色から黄色の波長に対応する光を用いているので、血中のヘモグロビンの影響を受けにくい。
【0035】
測定部30は、受光センサで受光した測定結果のデータを本体10に送信する。本体10の演算部14は、測定結果のデータを元に、被測定者のカロテノイド値を測定する(S12)。演算部14は、さらに得られたカロテノイド値に基づいて、ベジミル値を算出する(S13)。本体10は、演算により得られたベジミル値をタッチパネルモニタ12にて表示すると共に(S14)、印刷部13から印刷する(S15)。以上で、測定処理が終了する。
【0036】
以上、本実施の形態の測定装置1及び測定方法について説明したが、上記した測定装置1の演算部14は、上記した機能を実現するモジュールを有するプログラムをRAMまたはROMに格納しておき、CPUによって当該プログラムを実行することによって実現してもよい。このようなプログラムも本発明の範囲に含まれる。
【0037】
本実施の形態の測定装置1において、人差し指のセンサ部32は、測定する測定光として青色の波長(460nm)の光を用い、基準光として緑色の波長(520nm)の光を用いている。その差は60nmであり、波長が近いので、LED34,35による発光から受光センサ36による受光までの経路は近似する。また、薬指のセンサ部32は、測定する測定光として青緑色の波長(505nm)の光を用い、基準光として黄色の波長(590nm)の光を用いている。その差は85nmであり、波長が近いので、LED34,35による発光から受光センサ36による受光までの経路は近似する。このように測定光に近い波長の基準光を用いることにより、測定光の強度のデータを補正する精度が高くなる。
【0038】
従来は、特許文献1に示されるように赤色の波長の光を基準光としていたが、赤色(700nm)を用いた場合、カロテノイドの測定光との波長の差は約200nmとなり、人の生体組織中で屈折する際の経路が大きく異なるため、精度に影響を及ぼすものと思われる。
【0039】
カロテノイドは、ヒトの表皮に蓄積するといわれている。そのため、カロテノイド類を測定するためには、ヒトの表皮部を測定すればよく、血管内まで検討する必要はないと考えられる。従来技術は赤色光を使用することでカロテノイド類を測定しているが(特許文献1)、赤色光は、真皮や血管内まで透過し、赤色波長を反射する。しかし、カロテノイドに注目するのであれば、赤色光である必要はない。
【0040】
本実施の形態の測定装置1は、青色(460nm)~黄色(590nm)の波長の光を用いているので、血液の影響を受けることはほぼなく、測定時に血管を圧迫して血流を制限する必要がない。本実施の形態の測定装置1は、センサ部32は自然な圧力で指に接触するので、被測定者に対する負担がない。
【0041】
以上、本発明の測定装置について実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明の測定装置は上記した実施の形態に限定されるものではない。
上記した実施の形態では、カロテノイド値とベジミル値の関係を表すテーブルを記憶している例について説明したが、このテーブルは年齢のパラメータを含んでもよい。この場合、測定装置1のタッチパネルモニタ12から年齢を入力させ、入力された年齢のデータも踏まえてベジミル値を求める。年齢によって、角質の厚さは異なり、指先のカロテノイド値の測定に影響があることが考えられる。年齢のパラメータを含むテーブルを用いることで、ベジミル値を精度良く求めることができる。
【0042】
測定装置1は、記憶部15に測定データを記憶してもよい。測定装置1を複数の被測定者が利用する場合には、被測定者の識別番号に対応付けて測定データを蓄積していく。これにより、例えば、初めて本測定装置を利用した測定者は、測定後、所定の期間野菜摂取量を増やすように食生活などを改善する。期間経過後、再度本測定装置を利用したとき、記憶部に記憶された前回の結果と、今回測定した結果を比較して、どの程度べジミル値等が変化したかを客観的に把握することができる。この構成とすることにより、測定者の健康意識を高めることが期待できる。
【0043】
測定部30は、脈波を測定できる脈波センサを備え、脈波センサによって測定した脈波のデータをベジミル値とともに表示することとしてもよい。
【実施例0044】
次に、本実施の形態の測定装置を用いて実験を行った結果を示す。実験では、年代、性別の異なる10名の被験者に、本実施の形態の測定装置でベジミル値を測定してもらうと共に、血液検査を行ってカロテノイド値の血中濃度を測定した。なお、カロテノイド値は、α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、リコピン、β-クリプトキサンチンの合計値である。
【0045】
図7は、横軸を血中濃度、縦軸をベジミル値としたグラフに、測定結果をプロットしたものである。
図7に示すように、ベジミル値とカロテノイド値の血中濃度には相関関係が見られた。したがって、本実施の形態の測定装置および測定方法により、精度良くカロテノイド値に関するデータを測定できる。
被測定者の皮膚にカロテノイドの吸収帯の波長の測定光を照射する第1の光源と、緑色から黄色に対応する波長の基準光を照射する第2の光源と、前記測定光と前記基準光の前記被測定者の皮膚での反射光を受光する受光部とを備える測定部と、
受光した前記測定光の強度を受光した前記基準光の強度で補正し、前記被測定者のカロテノイド値に関するデータを演算する演算部と、
前記演算部で得られた前記カロテノイド値に関するデータを画面表示する画面表示部と、
を備え、
前記第1の光源と前記第2の光源は隣接し、かつ、被測定者の皮膚の所定のターゲット位置を照射するように設置されている測定装置。