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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168600
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241128BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20241128BHJP
   B60R 11/02 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
G09F9/00 313
G09F9/00 350Z
G02B5/00 B
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085423
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昭斗
【テーマコード(参考)】
2H042
3D020
5G435
【Fターム(参考)】
2H042AA10
2H042AA26
3D020BA04
3D020BC03
5G435AA01
5G435AA17
5G435BB05
5G435BB12
5G435DD11
5G435EE03
5G435EE13
5G435FF02
5G435FF14
5G435GG17
5G435GG43
5G435HH02
5G435HH05
5G435HH18
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】ポストカードの発生を抑圧して、表示品位の低下を防止する。
【解決手段】情報を表示する表示部2と、表示部2の前面に配置され、表示部2の表示画面を目視可能に、表示部2の出射光を透過する加飾部3とを備え、表示部2と加飾部3との間には、表示部2の非表示領域22に対応する部位に、非表示領域22と表示部2の表示領域21との境界24を跨ぐように、斜め入射光の透過を抑制する視野角特性補正部材6が設けられた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示する表示部と、
前記表示部の前面に配置され、前記表示部の表示画面を目視可能に、前記表示部の出射光を透過する加飾部とを備え、
前記表示部と前記加飾部との間には、前記表示部の非表示領域に対応する部位に、前記非表示領域と前記表示部の表示領域との境界を跨ぐように、斜め入射光の透過を抑制する視野角特性補正部材が設けられた
表示装置。
【請求項2】
前記加飾部が、ヘアラインの印刷模様を少なくとも備え、
前記視野角特性補正部材が、少なくとも前記ヘアラインの延長方向に延長する前記表示部の外形形状の対向する1対の辺に沿って設けられた
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、
オプティカルボンディング層を介して前記加飾部に配置された
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記オプティカルボンディング層が、前記表示部と前記加飾部との間に配置されたメインオプティカルボンディング層と、前記視野角特性補正部材と前記表示部との間に配置されたサブオプティカルボンディング層とである
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記オプティカルボンディング層が液状光学樹脂により形成された
請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、例えば車両のインストルメントパネルに配置して車両情報を表示する表示装置に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、インストルメントパネルとのデザインの調和を図る工夫が提案されている(特許文献1)。
この表示装置は、画像表示パネルの前面がスクリーンで覆われる。このスクリーンには、例えばインストルメントパネルと同様の印刷模様(例えば木目模様)の印刷が施され、さらに画像表示パネルの表示画面を目視可能に画像表示パネルの出射光を透過する微細孔が多数設けられる。これによりこの表示装置は、画像表示パネルの点灯時、スクリーンの微細孔を介して画像表示パネルの表示を視聴することができ、画像表示パネルの消灯時、スクリーンの印刷模様により画像表示パネルを覆い隠して、インストルメントパネルとの間でデザインの調和を図ることができる。
さらにこの表示装置は、スクリーンと画像表示パネルとの間に、スモーク板(透光率の低い部材)を配置し、これにより外来光の反射を抑圧して画像表示パネルのコントラストを向上させ、さらには画像表示パネルの消灯時、画像表示パネルを目立たなくして印刷模様が目立つようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-331132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの表示装置は、斜め方向から表示画面を目視すると、ポストカードが発生し、これにより表示品位が低下する問題がある。
ここでポストカードは、図1に示すように、画像表示パネルの外形枠形状が視認されてしまう現象であり、画像表示パネルからの迷光がスクリーンを透過して出射されることによるものである。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、ポストカードの発生を低減して、表示品位の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
係る課題を解決するため、請求項1の発明は、
情報を表示する表示部と、
前記表示部の前面に配置され、前記表示部の表示画面を目視可能に、前記表示部の出射光を透過する加飾部とを備え、
前記表示部と前記加飾部との間には、前記表示部の非表示領域に対応する部位に、前記非表示領域と前記表示部の表示領域との境界を跨ぐように、斜め入射光の透過を抑制する視野角特性補正部材が設けられた。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、
前記加飾部が、ヘアラインの印刷模様を少なくとも備え、
前記視野角特性補正部材が、少なくとも前記ヘアラインの延長方向に延長する前記表示部の外形形状の対向する1対の辺に沿って設けられた。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1の構成において、
前記表示部は、
オプティカルボンディング層を介して前記加飾部に配置された。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3の構成において、
前記オプティカルボンディング層が、前記表示部と前記加飾部との間に配置されたメインオプティカルボンディング層と、前記視野角特性補正部材と前記表示部との間に配置されたサブオプティカルボンディング層とである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4の構成において、
前記オプティカルボンディング層が液状光学樹脂により形成された。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、視野角特性補正部材により斜め光の出射が抑圧されることにより、ポストカードの発生を抑圧して、表示品位の低下を防止することができる。
また請求項2の発明によれば、ポストカードにおける多段的な減光を目立ちにくくすることができ、表示品位の低下を十分に防止することができる。
また請求項3の発明によれば、視野角特性補正部材及び表示部による外来光の反射を低減させることができ、外来光による表示品位の低下を防止し、一段と表示品位の低下を防止することができる。
また請求項4の発明によれば、表示部と加飾部、視野角特性補正部材と表示部とを接着できることにより、構成を簡略化して表示品位の低下を防止することができる。
また請求項5の発明によれば、液状光学樹脂の選定により視野角特性補正部材によって液状光学樹脂の流出を防止することができ、接着工程を簡略化して表示品位の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ポストカードの説明に供する平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
図3】スクリーンを示す断面図である。
図4】視野角特性補正部材を示す模式図である。
図5】視野角特性補正部材の配置例を示す平面図である。
図6図5とは異なる配置例を示す平面図である。
図7図5及び図6とは異なる配置例を示す平面図である。
図8】表示装置の所要部を示す平面図であって、ポストカードの低減の説明に供する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1実施形態〕
図2は、本発明の第1実施形態に係る表示装置を示す断面図である。
この表示装置は、車両のインストルメントパネルに配置して車両情報(所定の情報)を表示する。
この表示装置1は、表示部としての画像表示部2、加飾部としてのスクリーン3、オプティカルボンディング層5、視野角特性補正部材6、配線基板7、ケース8を備える。
ここでこの実施形態において、画像表示部2は、液晶表示パネルによる画像表示パネルが適用されるものの、有機EL(Electro Luminescence)による画像表示パネルを適用するようにしてもよく、プロジェクターの投影ユニットを適用するようにしてもよい。
スクリーン3は、ケース8の開口端を塞ぐように配置されて、この画像表示部2の前面に配置される。スクリーン3は、画像表示部2の表示画面を目視可能に、画像表示部2の出射光を透過する微細孔を多数備え、印刷模様の印刷面を備える。
ここでこの印刷模様は、木目調、金属調などの印刷模様を適用することができ、この実施形態では、木目調、金属調により水平方向に延長する線状模様(筋状模様)であるヘアライン(金属調ヘアライン)が適用される。
より具体的に、図3に示すように、スクリーン3は、光透過基材31と、加飾層である印刷層32と、ハードコート層33とを備える。
光透過基材31は、例えばPMMA(Poly Methyl Methacrylate)、ソーダライムガラスからなる透明材料からなる板状部材である。
印刷層32は、この光透過基材31への印刷模様の印刷により形成される。
ハードコート層33は、擦傷性に優れるシリカ等を含有した透明シート材が適用されるものの、実用上十分な場合には省略するようにしてもよい。
なおこの実施形態において、スクリーン3は、平板形状により形成されているものの、スクリーン3の形状は、立体や曲面、異形形状としてもよい。
【0014】
視野角特性補正部材6は、画像表示部2とスクリーン3との間に配置され、斜め入射光の透過を抑制する。
図4に拡大して模式的に示すように、この実施形態において、視野角特性補正部材6は、ポリカーボネート等の透明部材にシリコーンゴム等からなる微細な平板形状の部材を配置することにより、画像表示部2の出射光L1を透過する透光部61と画像表示部2の出射光L1を遮光する遮光部62とを順次交互に並列して形成され、これによりこの透光部61及び遮光部62の繰り返し方向について、入射光L1から入射角の大きな成分を抑圧して出射光L2を出射する。要は、視野角特性補正部材6は、特定の入射角よりも大きい角度で入射した光を遮光(吸収)する遮光部62と当該特定の入射角以下の角度で入射した光を透過させる透光部61とを順次交互に並列して形成されていればよい。
なお視野角特性補正部材6は、透光部61、遮光部62を四角柱形状により作成し、市松模様に配置するようにしてもよい。
なお視野角特性補正部材6は、斜め入射光の透過を抑制する視野角特性を有するルーバー等の光学シート材を広く適用することができる。
【0015】
視野角特性補正部材6は、図5に示すように、画像表示部2の非表示領域(コンテンツを表示しない領域)22に対応する部位に、非表示領域22と画像表示部2の表示領域(コンテンツを表示する領域)21との境界24を跨ぐように(略枠状に)配置される。
ポストカードは、斜め方向から表示画面を目視して表示部の外形枠形状が視認されてしまう現象であることにより、非表示領域22と表示領域21との境界24を跨ぐように視野角特性補正部材6を配置して斜め出射光を抑圧すれば、視野角特性補正部材6の配設位置に対応する画像表示部2の部位で視野角が制限されることでポストカードを低減することができ、これにより表示品位の低下を防止することができる。
【0016】
なおポストカードを十分に低減するためには、図5に示すように、表示領域21を囲むように視野角特性補正部材6を配置することが望ましい。しかしながらスクリーン3の印刷模様が、ヘアラインの印刷模様である場合、視野角特性補正部材6が、少なくともこの印刷模様におけるヘアラインの延長方向に延長する画像表示部2の外形形状の対向する1対の辺(上下の長辺)に沿って設けることにより、ポストカードにおける多段的な減光を目立ちにくくすることができ、表示品位の低下を十分に防止することができる。
【0017】
これにより実用上十分な場合には、図5との対比により図6に示すように、対向する2つの長辺と1辺の短辺のみに(略コの字状に)配置するようにしてもよく、図7に示すように対向する2つの長辺のみに配置するようにしてもよい。
なおスクリーン3の印刷模様が、杢目年輪模様のヘアラインの印刷模様である場合、この杢目年輪模様の年輪の半径方向について斜め入射光を抑圧するように視野角特性補正部材6における繰り返し方向を設定する等、視野角特性補正部材6の特性を意匠に沿った特性に設定するようにしてもよい。
【0018】
オプティカルボンディング層5は、画像表示部2、スクリーン3、視野角特性補正部材6間の空隙を埋め、さらに画像表示部2をスクリーン3に保持するために設けられる。
オプティカルボンディング層5は、OCR(Optical Clear Resin)、シリコン製のゲル状の光学弾性樹脂等の液状光学樹脂を適用することができる。
表示装置1は、このオプティカルボンディング層5により、視野角特性補正部材6及び画像表示部2による外来光の反射を低減させることができ、外来光による表示品位の低下を防止して一段と表示品位の低下を防止することができる。
【0019】
表示装置1は、スクリーン3に視野角特性補正部材6を配置した後、液状光学樹脂を塗工して画像表示部2を配置することにより、画像表示部2、スクリーン3、視野角特性補正部材6が一体化される。表示装置1は、この塗工時、視野角特性補正部材6により液状光学樹脂の流出を防止することができ、接着工程を簡略化することができる。
【0020】
なおこれらによりオプティカルボンディング層5は、画像表示部2とスクリーン3との間に配置されたメインオプティカルボンディング層5M(図2)と、視野角特性補正部材6と画像表示部2との間に配置されたサブオプティカルボンディング層5S(図2)とにより形成されることになり、画像表示部2とスクリーン3、視野角特性補正部材6と画像表示部2とをまとめて接着することができ、構成を簡略化することができる。
なおオプティカルボンディング層5は、OCA等のシート材を適用するようにしてもよく、OCR(Optical Clear Resin)、シリコン製のゲル状の光学弾性樹脂等の液状光学樹脂とOCA等のシート材とを組み合わせて適用するようにしてもよい。
【0021】
配線基板7には、画像表示部2の駆動回路、車両情報を取得するインターフェース等が設けられる。
ケース8は、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂等の成形樹脂により形成され、画像表示部2、スクリーン3、配線基板7等を収納して保護する。
【0022】
図8は、図1との対比により、表示装置1におけるポストカードの低減例の説明に供する平面図である。この実施形態によれば、斜め方向への漏れ光が減少することにより、表示部の外形枠形状に係る輝度レベルを低減して表示部の外形枠形状を視認し難くすることができる。またさらにポストカードにおける多段的な減光を目立ちにくくすることができ、これによっても表示部の外形枠形状を視認し難くすることができる。
【0023】
以上の構成によれば、表示部の非表示領域に、非表示領域と表示領域との境界を跨ぐように、斜め入射光の透過を抑制する視野角特性補正部材を設けることにより、視野角特性補正部材により斜め光の出射が抑圧されることにより、ポストカードの発生を抑圧して、表示品位の低下を防止することができる。
【0024】
またさらにヘアラインの印刷模様に適用して、少なくともヘアラインの延長方向に延長する画像表示パネルの外形形状の対向する1対の辺に沿って視野角特性補正部材を設けることにより、ポストカードにおける多段的な減光を目立ちにくくすることができ、表示品位の低下を一段と防止することができる。
【0025】
またさらにオプティカルボンディング層を介して加飾部に表示部を配置することにより、視野角特性補正部材及び表示部による外来光の反射を低減させることができ、外来光による表示品位の低下を防止し、一段と表示品位の低下を防止することができる。
【0026】
またさらにオプティカルボンディング層を表示部と加飾部との間のメインオプティカルボンディング層と、視野角特性補正部材と表示部との間のサブオプティカルボンディング層とすることにより、表示部と加飾部、視野角特性補正部材と表示部とを接着することができる。
【0027】
またさらにオプティカルボンディング層を液状光学樹脂により形成することにより、視野角特性補正部材によって液状光学樹脂の流出を防止することができ、接着工程を簡略化して表示品位の低下を防止することができる。
【0028】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 表示装置
2 画像表示部(表示部)
3 スクリーン(加飾部)
5 オプティカルボンディング層
5M メインオプティカルボンディング層
5S サブオプティカルボンディング層
6 視野角特性補正部材
7 配線基板
8 ケース
21 表示領域
22 非表示領域
24 境界
31 光透過基材
32 印刷層
33 ハードコート層
61 透光部
62 遮光部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8