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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168601
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】定電圧生成回路
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/24 20060101AFI20241128BHJP
   H03F 1/30 20060101ALI20241128BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G05F3/24 B
H03F1/30 210
H01L27/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085426
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安坂 信
【テーマコード(参考)】
5F038
5H420
5J500
【Fターム(参考)】
5F038BB04
5F038EZ20
5H420NA27
5H420NB02
5H420NB12
5H420NB22
5H420NB25
5H420NC02
5H420NC16
5H420NC17
5H420NC26
5H420NE23
5J500AA01
5J500AA58
5J500AC02
5J500AC14
5J500AC33
5J500AF07
5J500AF08
5J500AH14
5J500AH15
5J500AH25
5J500AK09
5J500AM02
5J500AM13
5J500AT01
5J500AT04
5J500NC01
5J500NF05
(57)【要約】
【課題】出力精度の高い定電圧生成回路を提供する。
【解決手段】定電圧生成回路1は、デプレッション型の第1トランジスタM1と、第2トランジスタM2(例えばエンハンスメント型)と、第1トランジスタM1のゲート・ソース間に接続される第1抵抗R1と、第2トランジスタM2に接続されて第1抵抗R1に流れる電流I(=Vgs1/R1)と同値の電流Iが流される第2抵抗R2と、を備える。定電圧生成回路1は、第2トランジスタM2の制御電極と第1主電極との間における電極間電圧Vgs2と第2抵抗R2の両端間電圧V(=Vgs1×(R2/R1))とが足し合わされた電圧又はこれに応じた電圧を出力電圧VOUTとして出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デプレッション型の第1トランジスタと、
第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続される第1抵抗と、
前記第2トランジスタに接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流されるように構成された第2抵抗と、
を備え、
前記第2トランジスタの制御電極と第1主電極との間における電極間電圧と前記第2抵抗の両端間電圧が足し合わされた電圧又はこれに応じた電圧を出力電圧として出力する、定電圧生成回路。
【請求項2】
前記第2トランジスタは、エンハンスメント型、前記第1トランジスタとは異なる導電型の不純物がゲートに注入されたデプレッション型、又は、バイポーラ型のトランジスタである、請求項1に記載の定電圧生成回路。
【請求項3】
前記第1抵抗と前記第2抵抗は、同じ温度特性を持つ、請求項1に記載の定電圧生成回路。
【請求項4】
前記第1トランジスタのドレインは、入力電圧の印加端に接続され、
前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、
前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、
前記第2抵抗の第2端は、基準電位端に接続され、
前記第1トランジスタのゲートと、前記第1抵抗の第2端と、前記第2トランジスタの第2主電極は、直接的に又は電圧フォロワを介して前記出力電圧の印加端に接続され、
前記第2トランジスタの制御電極は、直接的に又は抵抗分圧器を介して前記出力電圧の印加端に接続される、請求項1に記載の定電圧生成回路。
【請求項5】
前記第1トランジスタのドレインは、カレントミラーの入力端に接続され、
前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、
前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、
前記第1トランジスタのゲートと前記第1抵抗及び前記第2抵抗それぞれの第2端は、基準電位端に接続され、
前記カレントミラーの出力端と前記第2トランジスタの第2主電極は、直接的に又は電圧フォロワを介して前記出力電圧の印加端に接続され、
前記第2トランジスタの制御電極は、直接的に又は抵抗分圧器を介して前記出力電圧の印加端に接続される、請求項1に記載の定電圧生成回路。
【請求項6】
前記電圧フォロワは、第1主電極が前記出力電圧の印加端に接続されて第2主電極が前記入力電圧の印加端に接続されて制御電極が前記第2トランジスタの第2主電極に接続される第3トランジスタを含む、請求項4に記載の定電圧生成回路。
【請求項7】
前記電圧フォロワは、第1主電極が前記出力電圧の印加端に接続されて第2主電極が入力電圧の印加端に接続されて制御電極が前記第2トランジスタの第2主電極に接続される第3トランジスタを含む、請求項5に記載の定電圧生成回路。
【請求項8】
前記第3トランジスタは、デプレッション型、エンハンスメント型、又は、バイポーラ型である、請求項6に記載の定電圧生成回路。
【請求項9】
前記電圧フォロワは、Pチャネル型又はpnp型の第3トランジスタ及び第4トランジスタを含み、
前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタそれぞれの第1主電極は、前記入力電圧の印加端に接続され、前記第3トランジスタの第2主電極は、前記出力電圧の印加端に接続され、前記第4トランジスタの第2主電極は、前記第3トランジスタの制御電極に接続され、前記第4トランジスタの制御電極は、前記第2トランジスタの第2主電極に接続される、請求項4に記載の定電圧生成回路。
【請求項10】
前記出力電圧は、温度の二次関数として表され、
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記二次関数における二次の係数が0となるようにそれぞれの素子サイズが調整され、
前記第1抵抗及び前記第2抵抗は、前記二次関数における一次の係数が0となるようにそれぞれの抵抗値が調整される、請求項1~9のいずれか一項に記載の定電圧生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定電圧生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定電圧生成回路の一種として、デプレッション型NMOSFET[metal oxide semiconductor field effect transistor]とエンハンスメント型NMOSFETを組み合わせたED型定電圧源が広く一般に知られている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、本願出願人により提案される特許文献1及び2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/172001号
【特許文献2】国際公開第2021/241257号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の定電圧生成回路では、出力精度を向上する余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、本開示に係る定電圧生成回路は、デプレッション型の第1トランジスタと、第2トランジスタと、前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続される第1抵抗と、前記第2トランジスタに接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流されるように構成された第2抵抗と、を備え、前記第2トランジスタの制御電極と第1主電極との間における電極間電圧と前記第2抵抗の両端間電圧が足し合わされた電圧又はこれに応じた電圧を出力電圧として出力する。
【0007】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、出力精度の高い定電圧生成回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、定電圧生成回路の比較例を示す図である。
図2図2は、比較例における出力電圧の温度特性を示す図である。
図3図3は、定電圧生成回路の第1実施形態を示す図である。
図4図4は、第1実施形態における出力電圧の温度特性を示す図である。
図5図5は、定電圧生成回路の第2実施形態を示す図である。
図6図6は、定電圧生成回路の第3実施形態を示す図である。
図7図7は、定電圧生成回路の第4実施形態を示す図である。
図8図8は、定電圧生成回路の第5実施形態を示す図である。
図9図9は、定電圧生成回路の第6実施形態を示す図である。
図10図10は、定電圧生成回路の第7実施形態を示す図である。
図11図11は、定電圧生成回路の第8実施形態を示す図である。
図12図12は、定電圧生成回路の第9実施形態を示す図である。
図13図13は、定電圧生成回路の第10実施形態を示す図である。
図14図14は、定電圧生成回路の第11実施形態を示す図である。
図15図15は、定電圧生成回路の第12実施形態を示す図である。
図16図16は、定電圧生成回路の第13実施形態を示す図である。
図17図17は、定電圧生成回路の第14実施形態を示す図である。
図18図18は、定電圧生成回路の第15実施形態を示す図である。
図19図19は、定電圧生成回路の第16実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<比較例>
図1は、定電圧生成回路の比較例(後出の実施形態と対比される基本構成)を示す図である。本比較例の定電圧生成回路1は、いわゆるED型基準電圧源である。本図に即して述べると、定電圧生成回路1は、トランジスタM1(例えばデプレッション型NMOSFET)と、トランジスタM2(例えばエンハンスメント型NMOSFET)とを備える。
【0011】
なお、デプレッション型とは、ゲート・ソース間電圧が0Vであってもドレイン電流が流れるものを指す。一方、エンハンスメント型とは、ゲート・ソース間電圧が0Vであるときにはドレイン電流が流れないものを指す。
【0012】
トランジスタM1のドレインは、入力電圧VIN(例えば5V)の印加端に接続されている。トランジスタM2のソース及びバックゲートは、接地端(=基準電位端)に接続されている。トランジスタM1のゲート、ソース及びバックゲート、並びに、トランジスタM2のゲート及びドレインは、いずれも出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0013】
本比較例の定電圧生成回路1では、トランジスタM1のゲートとソースとの間が短絡されている。そのため、トランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgs1は0Vである。従って、トランジスタM1は、一定のドレイン電流を生成する定電流源として機能する。すなわち、トランジスタM2には、一定のバイアス電流(=トランジスタM1のドレイン電流)が流れる。その結果、トランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2に相当する一定の出力電圧VOUTが生成される。
【0014】
<出力電圧VOUTの温度特性に関する考察>
ところで、飽和領域で動作するトランジスタM1及びM2それぞれに流れる電流I1及びI2は、次の(1a)式及び(1b)式で表される。
【0015】
【数1】
【0016】
なお、上記の(1a)式及び(1b)式において、μ1及びμ2は、トランジスタM1及びM2それぞれのキャリア移動度である。Coxは、トランジスタM1及びM2それぞれの酸化膜容量である。W1及びW2は、トランジスタM1及びM2それぞれのゲート幅である。L1及びL2は、トランジスタM1及びM2それぞれのゲート長である。Vth1及びVth2は、トランジスタM1及びM2それぞれの閾値電圧である。
【0017】
定電圧生成回路1では、I1=I2が成り立つ。そのため、出力電圧VOUTは、次の(2)式で表される。
【0018】
【数2】
【0019】
なお、デプレッション型であるトランジスタM1の閾値電圧Vth1は負値となる。従って、先出の(2)式は次の(3)式で表される。
【0020】
【数3】
【0021】
そのため、トランジスタM1及びM2それぞれのW/Lが適切に設計されることにより閾値電圧Vth1及びVth2の温度特性が相殺され得る。
【0022】
図2は、比較例における出力電圧VOUTの温度特性を示す図である。
【0023】
定電圧生成回路1で生成される出力電圧VOUTは、本図の左側で示されるように、定電圧生成回路1の動作温度範囲内において、温度Tに依ることなく常に一定値であることが理想的である。
【0024】
しかしながら、実際の出力電圧VOUTは、本図の中央(=左図の拡大図に相当)で示されるように、二次の温度特性(いわゆる山型又はお椀型の温度特性)を持つ。これは、実際の素子が持つリーク電流等の影響によるものと考えられる。すなわち、出力電圧VOUTの温度特性は、使用プロセス及び素子のサイズなどに応じて変わる。
【0025】
なお、比較例の定電圧生成回路1では、一般に出力電圧VOUTが持つ一次の温度特性のフラット化を優先してトランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズが決定される。そのため、上記したように、出力電圧VOUTが持つ二次の温度特性をキャンセルすることが難しい。
【0026】
従前のアプリケーションでは、出力電圧VOUTに二次の温度特性が残った状態であっても特段問題がなかった。しかしながら、近年、半導体装置に求められる特性が高精度化しており、二次の温度特性についても改善の必要性が高まっている。
【0027】
ただし、出力電圧VOUTが持つ二次の温度特性をキャンセルするようにトランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズが決定されると、本図の右側で示されるように、一次の温度特性が悪化する。その結果、出力電圧VOUTが温度Tに応じて大きく変動してしまうおそれがある。
【0028】
以下では、上記の考察に鑑み、出力電圧VOUTの温度特性を改善することのできる実施形態が提案される。
【0029】
<第1実施形態>
図3は、定電圧生成回路1の第1実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の比較例(図1)を基本としつつ、抵抗R1及びR2をさらに備える。
【0030】
トランジスタM1のドレインは、入力電圧VINの印加端に接続されている。トランジスタM1のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R1の第1端に接続されている。トランジスタM2のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R2の第1端に接続されている。抵抗R2の第2端は、接地端に接続されている。トランジスタM1のゲート、トランジスタM2のゲート及びドレイン、並びに、抵抗R1の第2端は、いずれも出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0031】
このように、抵抗R1は、トランジスタM1のゲート・ソース間に接続されている。また、抵抗R2は、トランジスタM2のソース(=第1主電極に相当)と接地端との間に接続されている。すなわち、抵抗R1及びR2は、入力電圧VINの印加端と接地端との間に直列接続されている。そのため、抵抗R2には、抵抗R1に流れる電流I(=Vgs1/R1)と同値の電流Iが流れる。従って、抵抗R2には、電流Iに応じた両端間電圧V(=Vgs1×(R2/R1))が発生する。
【0032】
また、トランジスタM1のゲートと、抵抗R1の第2端と、トランジスタM2のドレインは、直接的に出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0033】
さらに、トランジスタM2のゲートは、直接的に出力電圧VOUTの印加端に接続されている。従って、定電圧生成回路1は、トランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2と抵抗R2の両端間電圧Vとが足し合わされた電圧を出力電圧VOUT(=Vgs2+Vgs1×(R2/R1))として出力する。
【0034】
なお、抵抗R1及びR2は、同じ温度特性を持つ素子であってもよい。例えば、抵抗R1及びR2は、いずれも負の温度特性を持つポリシリコン抵抗であってもよい。また、例えば、抵抗R1及びR2は、いずれも正の温度特性を持つ拡散抵抗であってもよい。
【0035】
図4は、第1実施形態における出力電圧VOUTの温度特性を示す図である。本図の左上で示されるように、エンハンスメント型であるトランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2は、負の温度特性を持つ。すなわち、ゲート・ソース間電圧Vgs2は、温度Tが高いほど低下する。
【0036】
一方、本図の左下(一点鎖線)で示されるように、デプレッション型であるトランジスタM1のゲート・ソース間電圧Vgs1は、正の温度特性を持つ。すなわち、ゲート・ソース間電圧Vgs1は、温度Tが高いほど上昇する。従って、本図の左下(実線)で示されるように、抵抗R2の両端間電圧V(=Vgs1×(R2/R1))も正の温度特性を持つ。すなわち、両端間電圧Vは、温度Tが高いほど上昇する。
【0037】
そのため、トランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が適宜調整されることにより、出力電圧VOUTの温度特性は、先出の比較例(破線)と比べてフラットに近付けられる。
【0038】
調整処理の一例では、まず第1ステップとして、ゲート・ソース間電圧Vgs1及びVgs2それぞれが持つ二次の温度特性が相殺されるようにトランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズ(延いては素子サイズ比)が決定されてもよい。例えば、出力電圧VOUTが温度Tの二次関数f(T)=ax+bx+cとして表される場合、トランジスタM1及びM2は、二次関数f(T)における二次の係数aが0となるようにそれぞれの素子サイズが調整されてもよい。
【0039】
その状態でトランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2と抵抗R2の両端間電圧Vが単純に足し合わされると、ゲート・ソース間電圧Vgs1及びVgs2それぞれが持つ一次の温度特性が残り得る。
【0040】
そこで、続く第2ステップとして、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値(延いては抵抗比)が調整されてもよい。例えば、抵抗R1及びR2は、二次関数f(T)における一次の係数bが0となるようにそれぞれの抵抗値が調整されてもよい。
【0041】
より具体的に述べると、例えば、出力電圧VOUTに負の温度特性が残っている場合には、R2>R1となるように抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が調整されてもよい。このような調整によれば、ゲート・ソース間電圧Vgs1の温度特性(正)がゲート・ソース間電圧Vgs2の温度特性(負)よりも優勢となる。従って、出力電圧VOUTの温度特性がフラットに近付けられる。
【0042】
なお、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が調整されると、第1ステップで相殺された二次の温度特性がずれる可能性もある。そこで、第3ステップとして、トランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズが微調整されてもよい。
【0043】
上記一連の調整処理により、本図右側で示されるように、温度特性がフラットに近い高精度の出力電圧VOUTが生成され得る。
【0044】
<第2実施形態>
図5は、定電圧生成回路1の第2実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第1実施形態(図3)を基本としつつ、トランジスタM3(例えばデプレッション型NMOSFET)と、抵抗R3と、をさらに備える。
【0045】
トランジスタM1及びM3それぞれのドレインは、いずれも入力電圧VINの印加端に接続されている。トランジスタM1のソース及びバックゲートは、抵抗R1の第1端に接続されている。トランジスタM2のソース及びバックゲートは、抵抗R2の第1端に接続されている。トランジスタM1のゲート、トランジスタM2のドレイン、及び、抵抗R1の第2端は、いずれもトランジスタM3のゲートに接続されている。トランジスタM2のゲート、トランジスタM3のソース及びバックゲート、並びに、抵抗R3の第1端は、いずれも出力電圧VOUTの印加端に接続されている。抵抗R2及びR3それぞれの第2端は、いずれも接地端に接続されている。
【0046】
このように接続されたトランジスタM3は、電圧フォロワVF(本図ではソースフォロワ)として機能する。すなわち、本実施形態の定電圧生成回路1において、トランジスタM1のゲートと、抵抗R1の第2端と、トランジスタM2のドレインは、電圧フォロワVFを介して出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0047】
なお、電圧フォロワVFが導入されても、出力電圧VOUTは、先の第1実施形態(図3)と同じく、トランジスタM2のゲート・ソース間電圧Vgs2と抵抗R2の両端間電圧Vが足し合わされた電圧(=Vgs2+Vgs1×(R2/R1))となる。
【0048】
本実施形態によれば、出力電圧VOUTの温度特性に影響を及ぼすことなく、定電圧生成回路1の電流能力が高められる。なお、トランジスタM3としては、トランジスタM1及びM2よりも大きい電流能力を備えた素子を採用することが望ましい。
【0049】
また、トランジスタM2のゲートは、直接的に出力電圧VOUTの印加端に接続されている。従って、出力電圧VOUTが一定になるようにトランジスタM2に負帰還制御が掛かるようになる。なお、抵抗R3は、リーク電流吸収素子として機能する。ただし、出力電圧VOUTの印加端に別途の負荷が接続される場合には、抵抗R3が省略され得る。
【0050】
また、電圧フォロワVFの構成要素としてデプレッション型NMOSFETを用いた構成であれば、入力電圧VINの投入直後から出力電圧VOUTを入力電圧VINに追従して出力することが可能となる。
【0051】
<第3実施形態>
図6は、定電圧生成回路1の第3実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第2実施形態(図5)を基本としつつ、トランジスタM3に代えてトランジスタM3’(例えばエンハンスメント型NMOSFET)を備える。
【0052】
このような構成でも定電圧生成回路1の電流能力が高められる。ただし、先出の第2実施形態(図5)と比べて動作電圧範囲がやや狭くなる点に留意が必要である。
【0053】
なお、改めて図示はされないが、トランジスタM3及びM3’は、バイポーラ型のnpnトランジスタに置き換えられてもよい。ただし、バイポーラ型のトランジスタにはベース電流が流れるので、出力電圧VOUTの温度特性がずれ得る。その場合には、トランジスタM1及びM2それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R1及びR2それぞれの抵抗値が適宜調整されてもよい。
【0054】
また、電圧フォロワVFは、PMOSFET[P-channel type MOSFET]又はpnpトランジスタでも形成され得る(後出の第9及び第10実施形態にて詳述)。
【0055】
なお、トランジスタのゲート及びベースは、それぞれトランジスタの制御電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。また、トランジスタのソース及びエミッタは、それぞれトランジスタの第1主電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。また、トランジスタのドレイン及びコレクタは、それぞれトランジスタの第2主電極に相当するものとして相互に読み替え可能である。
【0056】
<第4実施形態>
図7は、定電圧生成回路1の第4実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第2実施形態(図5)を基本としつつ、抵抗R4をさらに備える。
【0057】
抵抗R4の第1端は、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。抵抗R4の第2端及び抵抗R3の第1端は、トランジスタM2のゲートに接続されている。抵抗R3の第2端は、接地端に接続されている。このように接続された抵抗R3及びR4は、出力電圧VOUTを分圧してトランジスタM2のゲートに印加する抵抗分圧器として機能する。
【0058】
すなわち、本実施形態の定電圧生成回路1では、トランジスタM2のゲートが抵抗分圧器を介して出力電圧VOUTの印加端に接続されている。このような構成であれば、抵抗R3及びR4それぞれの抵抗値(延いては抵抗分圧器の分圧比)が適宜調整されることにより、任意の出力電圧VOUT(={Vgs2+Vgs1×(R2/R1)}×{(R3+R4)/R3})が生成される。
【0059】
なお、電圧フォロワVFは、デプレッション型NMOSFETに限らず、エンハンスメント型NMOSFET又はバイポーラ型のnpnトランジスタによって形成され得る。
【0060】
<第5実施形態>
図8は、定電圧生成回路1の第5実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、トランジスタM11(例えばデプレッション型NMOSFET)と、トランジスタM12(例えばエンハンスメント型NMOSFET)と、トランジスタM13及びM14(例えばそれぞれPMOSFET)と、抵抗R11及びR12と、を備える。
【0061】
なお、トランジスタM11及びM12それぞれのゲート・ソース間電圧Vgs11及びVgs12は、互いに異なる温度特性を持つ。例えば、デプレッション型であるトランジスタM11のゲート・ソース間電圧Vgs11は、正の温度特性を持つ。一方、エンハンスメント型であるトランジスタM12のゲート・ソース間電圧Vgs12は、負の温度特性を持つ。この点については、先出のトランジスタM1及びM2と同様である。
【0062】
また、抵抗R11及びR12は、同じ温度特性を持つ素子であってもよい。例えば、抵抗R11及びR12は、いずれも負の温度特性を持つポリシリコン抵抗であってもよい。また、例えば、抵抗R11及びR12は、いずれも正の温度特性を持つ拡散抵抗であってもよい。この点については、先出の抵抗R1及びR2と同様である。
【0063】
トランジスタM11のドレインは、トランジスタM13のドレイン(=カレントミラーCMの入力端)に接続されている。トランジスタM11のソース及びバックゲートは、抵抗R11の第1端に接続されている。トランジスタM11のゲート、及び、抵抗R11の第2端は、いずれも接地端(=基準電位端)に接続されている。
【0064】
トランジスタM13及びM14それぞれのソース及びバックゲートは、入力電圧VINの印加端に接続されている。トランジスタM13及びM14それぞれのゲートは、トランジスタM13のドレインに接続されている。トランジスタM14のドレイン(=カレントミラーCMの出力端)並びにトランジスタM12のドレイン及びゲートは、出力電圧VOUTの出力端に接続されている。トランジスタM12のソース及びバックゲートは、抵抗R12の第1端に接続されている。抵抗R12の第2端は、接地端に接続されている。
【0065】
このように接続されたトランジスタM13及びM14は、カレントミラーCMを形成する。カレントミラーCMは、トランジスタM13のドレイン電流をトランジスタM14のドレイン電流としてミラーする。そのため、抵抗R12には、抵抗R11に流れる電流I(=Vgs11/R11)と同値の電流Iが流れる。従って、抵抗R12には、電流Iに応じた両端間電圧V(=Vgs11×(R12/R11))が発生する。
【0066】
また、本実施形態の定電圧生成回路1において、トランジスタM12のゲートは、直接的に出力電圧VOUTの印加端に接続されている。従って、定電圧生成回路1は、トランジスタM12のゲート・ソース間電圧Vgs12と抵抗R12の両端間電圧Vが足し合わされた電圧を出力電圧VOUT(=Vgs12+Vgs11×(R12/R11))として出力する。
【0067】
そのため、トランジスタM11及びM12それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R11及びR12それぞれの抵抗値が適宜調整されることにより、出力電圧VOUTの温度特性がフラットに近付けられる。
【0068】
すなわち、抵抗R11に流れる電流IをカレントミラーCM経由で抵抗R12に供給する回路形式であっても、先出の第1実施形態(図3)と同様の効果が享受され得る。
【0069】
また、カレントミラーCMは、PMOSFETに限らず、バイポーラ型のpnp型トランジスタによって形成されてもよい。
【0070】
<第6実施形態>
図9は、定電圧生成回路1の第6実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第5実施形態(図8)を基本としつつ、トランジスタM15(例えばデプレッション型NMOSFET)と、抵抗R13と、をさらに備える。
【0071】
トランジスタM15のドレインは、入力電圧VINの印加端に接続されている。トランジスタM15のゲートは、トランジスタM12及びM14それぞれのドレインに接続されている。トランジスタM12のゲート、トランジスタM15のソース及びバックゲート、並びに、抵抗R13の第1端は、いずれも出力電圧VOUTの印加端に接続されている。抵抗R13の第2端は、接地端に接続されている。
【0072】
このように接続されたトランジスタM15は、電圧フォロワVF(本図ではソースフォロワ)として機能する。つまり、トランジスタM12及びM14それぞれのドレインは、電圧フォロワVFを介して出力電圧VOUTの印加端に接続されている。
【0073】
なお、電圧フォロワVFが導入されても、出力電圧VOUTは、第5実施形態(図8)と同様、トランジスタM12のゲート・ソース間電圧Vgs12と抵抗R12の両端間電圧Vが足し合わされた電圧(=Vgs12+Vgs11×(R12/R11))となる。
【0074】
本実施形態によれば、出力電圧VOUTの温度特性に影響を及ぼすことなく、定電圧生成回路1の電流能力が高められる。なお、トランジスタM15としては、トランジスタM11及びM12よりも大きい電流能力を備えた素子を採用することが望ましい。
【0075】
また、トランジスタM12のゲートは、直接的に出力電圧VOUTの印加端に接続されている。従って、出力電圧VOUTが一定になるようにトランジスタM12に負帰還制御が掛かる。なお、抵抗R13は、リーク電流吸収素子として機能する。ただし、出力電圧VOUTの印加端に別途の負荷が接続される場合には、抵抗R13が省略され得る。
【0076】
また、電圧フォロワVFの構成要素としてデプレッション型NMOSFETを用いた構成であれば、入力電圧VINの投入直後から出力電圧VOUTを入力電圧VINに追従して出力することが可能となる。
【0077】
<第7実施形態>
図10は、定電圧生成回路1の第7実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第6実施形態(図9)を基本としつつ、トランジスタM15に代えてトランジスタM15’(例えばエンハンスメント型NMOSFET)を備える。
【0078】
このような構成でも定電圧生成回路1の電流能力が高められる。ただし、先出の第6実施形態(図9)と比べて動作電圧範囲がやや狭くなる点に留意が必要である。
【0079】
なお、改めて図示はされないが、トランジスタM15及びM15’は、バイポーラ型のnpnトランジスタに置き換えられてもよい。ただし、バイポーラ型のトランジスタにはベース電流が流れるので、出力電圧VOUTの温度特性がずれ得る。その場合には、トランジスタM11及びM12それぞれの素子サイズ、並びに、抵抗R11及びR12それぞれの抵抗値が適宜調整されてもよい。
【0080】
また、電圧フォロワVFは、PMOSFET又はpnpトランジスタでも形成され得る(後出の第9実施形態にて詳述)。
【0081】
<第8実施形態>
図11は、定電圧生成回路1の第8実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第6実施形態(図9)を基本としつつ、抵抗R14をさらに備える。
【0082】
抵抗R14の第1端は、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。抵抗R14の第2端及び抵抗R13の第1端は、トランジスタM12のゲートに接続されている。抵抗R13の第2端は、接地端に接続されている。このように接続された抵抗R13及びR14は、出力電圧VOUTを分圧してトランジスタM12のゲートに印加する抵抗分圧器として機能する。
【0083】
すなわち、本実施形態の定電圧生成回路1では、トランジスタM12のゲートが抵抗分圧器を介して出力電圧VOUTの印加端に接続されている。このような構成であれば、抵抗R13及びR14それぞれの抵抗値(延いては、抵抗分圧器の分圧比)が適宜調整されることにより、任意の出力電圧VOUT(={Vgs12+Vgs11×(R12/R11)}×{(R13+R14)/R13})が生成される。
【0084】
また、電圧フォロワVFは、デプレッション型NMOSFETに限らず、エンハンスメント型NMOSFET又はバイポーラ型のnpnトランジスタによって形成され得る。
【0085】
また、電圧フォロワVFは、PMOSFET又はpnpトランジスタでも形成され得る(後出の第10実施形態にて詳述)。
【0086】
<第9実施形態>
図12は、定電圧生成回路1の第9実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第6実施形態(図9)を基本としつつ、トランジスタM15に代えてトランジスタM15”(例えばPMOSFET)を備える。また、この素子変更に伴い、本実施形態の定電圧生成回路1は、トランジスタM16(例えばPMOSFET)と、抵抗R15をさらに備える。
【0087】
トランジスタM15”及びM16それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも入力電圧VINの印加端に接続されている。トランジスタM15”のゲートは、トランジスタM16のドレインと抵抗R15の第1端に接続されている。抵抗R15の第2端は、接地端に接続されている。トランジスタM16のゲートは、トランジスタM12及びM14のドレインに接続されている。トランジスタM15”のドレインは、出力電圧VOUTの印加端に接続されている。このように接続されたトランジスタM15”及びM16と抵抗R15は、定電圧生成回路1の電流能力を高めるための電圧フォロワVFとして機能する。特に、トランジスタM16及び抵抗R15は、論理反転回路として理解され得る。なお、抵抗R15は、電流源などの能動負荷に置換されてもよい。
【0088】
このように、電圧フォロワVFの構成要素としてPMOSFETが用いられる構成であれば、電圧フォロワVFの構成要素としてエンハンスメント型のNMOSFETが用いられる構成(第7実施形態(図10))と比べて、入力電圧VINがより低い状態(=VIN-VOUTが小さい状態)から動作することが可能となる。特に、出力電圧VOUTの出力目標値が高いときには有効であると言える。
【0089】
なお、本実施形態では、第6実施形態(図9)が基本とされているが、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、電圧フォロワVFがPMOSFETで形成されてもよい。
【0090】
<第10実施形態>
図13は、定電圧生成回路1の第10実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先の第9実施形態(図12)を基本としつつ、抵抗R14をさらに備える。
【0091】
本実施形態によれば、先の第8実施形態(図11)と同じく、抵抗R13及びR14それぞれの抵抗値(延いては抵抗分圧器の分圧比)が適宜調整されることにより、任意の出力電圧VOUT(={Vgs12+Vgs11×(R12/R11)}×{(R13+R14)/R13})が生成される。
【0092】
<第11実施形態>
図14は、定電圧生成回路1の第11実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第1実施形態(図3)を基本としつつ、トランジスタM2に代えてトランジスタM2’(例えばP+ゲートのデプレッション型NMOSFET)を備える。
【0093】
先出のトランジスタM1は、n型不純物がゲートに注入された一般的なデプレッション型(N+ゲート)である。なお、トランジスタM1のオン閾値電圧は、負電圧(-0.5V程度)となる。一方、トランジスタM2’は、p型不純物がゲートに注入されたデプレッション型(P+ゲート)である。なお、トランジスタM2’のオン閾値電圧は、正電圧(+0.6V程度)に設計され得る。従って、トランジスタM2’は、エンハンスメント型のトランジスタM2を代替することができる。
【0094】
トランジスタM1及びM2’は、それぞれのデバイス構造(特にゲートよりも下層の部分)が共通となる。従って、本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第1実施形態(図3)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0095】
<第12実施形態>
図15は、定電圧生成回路1の第12実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第2実施形態(図5)を基本としつつ、トランジスタM2に代えてトランジスタM2’を備える。本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第2実施形態(図5)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0096】
<第13実施形態>
図16は、定電圧生成回路1の第13実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第4実施形態(図7)を基本としつつ、トランジスタM2に代えてトランジスタM2’を備える。本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第4実施形態(図7)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0097】
<第14実施形態>
図17は、定電圧生成回路1の第14実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第5実施形態(図8)を基本としつつ、トランジスタM12に代えてトランジスタM12’を備える。
【0098】
先出のトランジスタM11は、n型不純物がゲートに注入された一般的なデプレッション型(N+ゲート)である。トランジスタM11のオン閾値電圧は、負電圧(-0.5V程度)となる。一方、トランジスタM12’は、p型不純物がゲートに注入されたデプレッション型(P+ゲート)である。なお、トランジスタM12’のオン閾値電圧は、正電圧(+0.6V程度)に設計され得る。従って、トランジスタM12’は、エンハンスメント型のトランジスタM12を代替することができる。
【0099】
トランジスタM11及びM12’は、それぞれのデバイス構造(特に、ゲートよりも下層の部分)が共通となる。従って、本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第5実施形態(図8)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0100】
<第15実施形態>
図18は、定電圧生成回路1の第15実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第6実施形態(図9)を基本としつつ、トランジスタM12に代えてトランジスタM12’を備える。本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第6実施形態(図9)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0101】
<第16実施形態>
図19は、定電圧生成回路1の第16実施形態を示す図である。本実施形態の定電圧生成回路1は、先出の第7実施形態(図10)を基本としつつトランジスタM12に代えてトランジスタM12’を備える。本実施形態の定電圧生成回路1であれば、先出の第7実施形態(図10)と比べて、出力電圧VOUTが製造ばらつきの影響を受け難くなる。
【0102】
なお、トランジスタM2及びM12は、それぞれ、バイポーラ型のnpnトランジスタに置換されてもよい。
【0103】
<実施形態の組み合わせ>
なお、上記した第1~第16実施形態の回路構成は、矛盾の無い範囲で任意に組み合わされてもよい。
【0104】
<付記>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べられる。
【0105】
例えば、本開示に係る定電圧生成回路は、デプレッション型の第1トランジスタと、第2トランジスタと、前記第1トランジスタのゲート・ソース間に接続される第1抵抗と、前記第2トランジスタに接続されて前記第1抵抗に流れる電流と同値の電流が流されるように構成された第2抵抗と、を備え、前記第2トランジスタの制御電極と第1主電極との間における電極間電圧と前記第2抵抗の両端間電圧が足し合わされた電圧又はこれに応じた電圧を出力電圧として出力する構成(第1の構成)とされている。
【0106】
なお、上記第1の構成による定電圧生成回路において、前記第2トランジスタは、エンハンスメント型、前記第1トランジスタとは異なる導電型の不純物がゲートに注入されたデプレッション型、又は、バイポーラ型のトランジスタである構成(第2の構成)とされてもよい。
【0107】
また、上記第1又は第2の構成による定電圧生成回路において、前記第1抵抗と前記第2抵抗は、同じ温度特性を持つ構成(第3の構成)とされてもよい。
【0108】
上記第1~第3いずれかの構成による定電圧生成回路において、前記第1トランジスタのドレインは、入力電圧の印加端に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、前記第2抵抗の第2端は、基準電位端に接続され、前記第1トランジスタのゲートと、前記第1抵抗の第2端と、前記第2トランジスタの第2主電極は、直接的に又は電圧フォロワを介して前記出力電圧の印加端に接続され、前記第2トランジスタの制御電極は、直接的に又は抵抗分圧器を介して前記出力電圧の印加端に接続される構成(第4の構成)とされてもよい。
【0109】
また、上記第1~第3いずれかの構成による定電圧生成回路において、前記第1トランジスタのドレインは、カレントミラーの入力端に接続され、前記第1トランジスタのソースは、前記第1抵抗の第1端に接続され、前記第2トランジスタの第1主電極は、前記第2抵抗の第1端に接続され、前記第1トランジスタのゲートと前記第1抵抗及び前記第2抵抗それぞれの第2端は、基準電位端に接続され、前記カレントミラーの出力端と前記第2トランジスタの第2主電極は、直接的に又は電圧フォロワを介して前記出力電圧の印加端に接続され、前記第2トランジスタの制御電極は、直接的に又は抵抗分圧器を介して前記出力電圧の印加端に接続される構成(第5の構成)とされてもよい。
【0110】
また、上記第4の構成による定電圧生成回路において、前記電圧フォロワは、第1主電極が前記出力電圧の印加端に接続されて第2主電極が前記入力電圧の印加端に接続されて制御電極が前記第2トランジスタの第2主電極に接続される第3トランジスタを含む構成(第6の構成)とされてもよい。
【0111】
また、上記第5の構成による定電圧生成回路において、前記電圧フォロワは、第1主電極が前記出力電圧の印加端に接続されて第2主電極が入力電圧の印加端に接続されて制御電極が前記第2トランジスタの第2主電極に接続される第3トランジスタを含む構成(第7の構成)とされてもよい。
【0112】
また、上記第6又は第7の構成による定電圧生成回路において、前記第3トランジスタは、デプレッション型、エンハンスメント型、又は、バイポーラ型である構成(第8の構成)とされてもよい。
【0113】
上記第4又は第5の構成による定電圧生成回路において、前記電圧フォロワは、Pチャネル型又はpnp型の第3トランジスタ及び第4トランジスタを含み、前記第3トランジスタ及び前記第4トランジスタそれぞれの第1主電極は、前記入力電圧の印加端に接続され、前記第3トランジスタの第2主電極は、前記出力電圧の印加端に接続され、前記第4トランジスタの第2主電極は、前記第3トランジスタの制御電極に接続され、前記第4トランジスタの制御電極は、前記第2トランジスタの第2主電極に接続される構成(第9の構成)とされてもよい。
【0114】
上記第1~第9いずれかの構成による定電圧生成回路において、前記出力電圧は、温度の二次関数として表され、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタは、前記二次関数における二次の係数が0となるようにそれぞれの素子サイズが調整され、前記第1抵抗及び前記第2抵抗は、前記二次関数における一次の係数が0となるようにそれぞれの抵抗値が調整される構成(第10の構成)とされてもよい。
【0115】
<その他>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0116】
1 定電圧生成回路
CM カレントミラー
M1 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M2 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M2’ トランジスタ(デプレッション型NMOSFET、P+ゲート)
M3 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M3’ トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M11 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M12 トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M12’ トランジスタ(デプレッション型NMOSFET、P+ゲート)
M13 トランジスタ(PMOSFET)
M14 トランジスタ(PMOSFET)
M15 トランジスタ(デプレッション型NMOSFET)
M15’ トランジスタ(エンハンスメント型NMOSFET)
M15” トランジスタ(PMOSFET)
M16 トランジスタ(PMOSFET)
R1、R2、R3、R4 抵抗
R11、R12、R13、R14、R15 抵抗
VF 電圧フォロワ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19