(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168602
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】カップホルダ
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20241128BHJP
B60R 7/04 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
B60N3/10 A
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085427
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八田 正徳
(72)【発明者】
【氏名】釜我 純子
(72)【発明者】
【氏名】小出 雄三
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088LA03
3B088LA04
3B088LB01
3D022CA07
3D022CA16
3D022CB01
3D022CC19
3D022CD03
3D022CD19
3D022CD21
(57)【要約】
【課題】飲物容器の収容部内への出し入れをサポートが阻害することを抑制する。
【解決手段】カップホルダは、飲物容器が入る収容部14と、保持装置30を備える。保持装置30は、サポート34とハウジング32を含む。サポート34は、収容部14の側壁24にある孔から収容部14内に突出し、弾性部材36で収容部14内に向かって付勢され、先端部41に飲物容器が接することで弾性部材36の付勢力に抗って移動可能である。ハウジング32は、サポート34を支持する2つの側板62を有する。サポート34は、ハウジング32の2つの側板62の間に配置され、2つの側板62に対向する両端部の上下に、上側軸45Uと下側軸45Lを有する。ハウジング32は、2つの側板62のそれぞれに、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lを受け入れてサポート34の軌道を形成する上側溝65Uと下側溝65Lを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲物容器が収容される収容部と、前記収容部内に前記飲物容器を保持させる保持装置と、を備えるカップホルダであって、
前記保持装置は、
前記収容部の側壁に設けられた孔から前記収容部内に突出し、弾性部材により前記収容部内に向かって付勢されて、先端部に前記飲物容器の側部が接することで前記弾性部材の付勢力に抗って移動可能であるサポートと、
前記弾性部材が内部に配置されて、前記サポートを移動可能に支持する2つの側板を有するハウジングと、を含み、
前記サポートは、前記ハウジングの2つの前記側板の間に配置されて、2つの前記側板に対向する両端部の上下に、上側軸と下側軸を有し、
前記ハウジングは、2つの前記側板のそれぞれに、前記サポートの上側軸と下側軸を受け入れて前記サポートの軌道を形成する上側溝と下側溝を有する、
ことを特徴とするカップホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のカップホルダであって、
前記サポートが前記収容部に向かう方向を前方とし、前記サポートが前記収容部から引っ込む方向を後方とした際に、前記ハウジングの上側溝と下側溝は、前方から後方に向かって互いに近づくように円弧状に延びている、
ことを特徴とするカップホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載のカップホルダであって、
前記ハウジングの上側溝は、前方から後方に向かう円弧上の溝経路の中間部に、上側に凹んだ凹み部を有する、
ことを特徴とするカップホルダ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のカップホルダであって、
前記サポートは、前記サポートに対する前記飲物容器の接した方に応じて、前記サポートの先端部が下を向く下向き回転、前記サポートの先端部が上を向く上向き回転、及び前記サポートが後退する後退動作が可能なように構成される、
ことを特徴とするカップホルダ。
【請求項5】
請求項4に記載のカップホルダであって、
前記弾性部材は、1つのコイルばねであり、
前記コイルばねは、前記サポートを前記収容部内に向かって付勢するとともに、前記サポートが前記下向き回転した際に前記サポートの先端部を上方向に付勢し、前記サポートが前記上向き回転した際に前記サポートの先端部を下方向に付勢する、
ことを特徴とするカップホルダ。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つに記載のカップホルダであって、
前記サポートの先端部は、側面視で、角丸の略三角形状を有する、
ことを特徴とするカップホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器を収容するためのカップホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車両の室内には、飲料容器を収容するカップホルダが設けられている。
【0003】
カップホルダには、飲物容器が収容される収容部と、収容部内に飲物容器を保持させるサポート(フラップとも言う)を備えるものがある(例えば特許文献1参照)。サポートは、収容部の側壁にある孔から収容部内に突出し、弾性部材により収容部内に向かって付勢されている。飲物容器が収容部内に入れられた際に、サポートが弾性部材の付勢力により飲物容器の側面を押して、飲物容器の反対側の側面を収容部の内壁に押し付けることで、飲物容器が収容部内に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカップホルダは、サポートの動きの自由度が少ないため、サポートが飲物容器の収容部内への出し入れを邪魔してしまう問題が生じ得る。
【0006】
本発明の目的は、飲物容器の収容部内への出し入れをサポートが阻害することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るカップホルダは、飲物容器が収容される収容部と、前記収容部内に前記飲物容器を保持させる保持装置と、を備えるカップホルダであって、前記保持装置は、前記収容部の側壁に設けられた孔から前記収容部内に突出し、弾性部材により前記収容部内に向かって付勢されて、先端部に前記飲物容器の側部が接することで前記弾性部材の付勢力に抗って移動可能であるサポートと、前記弾性部材が内部に配置されて、前記サポートを移動可能に支持する2つの側板を有するハウジングと、を含み、前記サポートは、前記ハウジングの2つの前記側板の間に配置されて、2つの前記側板に対向する両端部の上下に、上側軸と下側軸を有し、前記ハウジングは、2つの前記側板のそれぞれに、前記サポートの上側軸と下側軸を受け入れて前記サポートの軌道を形成する上側溝と下側溝を有する、ことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、サポートが、ハウジングの上側溝と下側溝に沿って大きく移動できるため、飲物容器の収容部内への出し入れをサポートが阻害することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明に係るカップホルダにおいて、前記サポートが前記収容部に向かう方向を前方とし、前記サポートが前記収容部から引っ込む方向を後方とした際に、前記ハウジングの上側溝と下側溝は、前方から後方に向かって互いに近づくように円弧状に延びている、としてもよい。
【0010】
この構成によれば、サポートがハウジングの上側溝と下側溝に沿って移動することで、サポートは、先端部が下を向く下向き回転、先端部が上を向く上向き回転、及びサポートが後退する後退動作を行うことができる。
【0011】
本発明に係るカップホルダにおいて、前記ハウジングの上側溝は、前方から後方に向かう円弧上の溝経路の中間部に、上側に凹んだ凹み部を有する、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、サポートが後退動作して、サポートの上側軸がハウジングの上側溝の凹み部に達した際に、その凹み部でサポートの上側軸の後退移動が規制され、規制された上側軸を中心にサポートが回転し始める。そして、サポートに、飲物容器から後方に向かう力がさらに加わると、サポートの上側軸が凹み部を乗り越えて、サポートは上向き回転することができる。これにより、サポートの先端部が収容部内へ突出する量を低減、或いは、無くすことができる。
【0013】
すなわち、一般的に、ハウジングの上側溝と下側溝が、前方から後方に向かって互いに近づくように延びている(後方で上側溝と下側溝の間隔が狭くなっている)場合には、サポートが後退動作した際に、サポートの上側軸と下側軸が、ハウジングの上側溝と下側溝の間隔が狭くなった部分に達すると、サポートのさらなる後退動作ができなくなり、サポートの先端部が収容部内へ大きく突出したままとなってしまう。しかし、上記構成によれば、上側溝に凹み部があるため、凹み部により、サポートの後退動作が上向き回転に変換されて、サポートをさらにハウジング内に引き込むことができる。よって、サポートの先端部が収容部内へ突出する量を低減、或いは、無くすことができる。
【0014】
また、本発明に係るカップホルダにおいて、前記サポートは、前記サポートに対する前記飲物容器の接した方に応じて、前記サポートの先端部が下を向く下向き回転、前記サポートの先端部が上を向く上向き回転、及び前記サポートが後退する後退動作が可能なように構成される、としてもよい。
【0015】
また、本発明に係るカップホルダにおいて、前記弾性部材は、1つのコイルばねであり、前記コイルばねは、前記サポートを前記収容部内に向かって付勢するとともに、前記サポートが前記下向き回転した際に前記サポートの先端部を上方向に付勢し、前記サポートが前記上向き回転した際に前記サポートの先端部を下方向に付勢する、としてもよい。
【0016】
また、本発明に係るカップホルダにおいて、前記サポートの先端部は、側面視で、角丸の略三角形状を有する、としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、飲物容器の収容部内への出し入れをサポートが阻害することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】カップホルダ10の別の斜視図であり、サポート34が上向き回転した状態を示す。
【
図4】保持装置30の内部の一部を示す斜視図である。
【
図5】(A)はサポート34の平面図であり、(B)はサポート34の側面図である。
【
図6】ハウジングの側板62の構造を、ハウジングの側板62より内側にあるリブ68とともに示す図である。
【
図7】サポート34の状態を説明するための図である。
【
図8】サポート34の状態を説明するための図である。
【
図9】サポート34の状態を説明するための図である。
【
図10】(A)は、収容部14に飲物容器100aが入った状態を示す図であり、(B)は、収容部14から飲物容器100aが取り出される状態を示す図である。
【
図11】(A)は、収容部14に飲物容器100bが入った状態を示す図であり、(B)は、収容部14から飲物容器100bが取り出される状態を示す図である。
【
図12】車室内のカップホルダ10の位置を説明するための図である。
【
図13】車室内のカップホルダ10の位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
以下の説明において、サポート34が飲物容器の収容部14に向かう方向を前方とし、サポート34が収容部14から引っ込む方向を後方と言う。また、前後方向に直交する方向を、左右方向とする。また、前後方向と左右方向からなる平面に直交する方向を、上下方向とする。以下で説明する
図1~4には、前後、左右、及び上下方向が矢印で示されている。
【0021】
図1は、カップホルダ10の斜視図であり、サポート34が初期姿勢である状態を示す。
図2は、カップホルダ10の別の斜視図であり、サポート34が上向き回転した状態を示す。なお、
図2では、カップホルダ10の下部が省略されている。カップホルダ10は、自動車の室内に設置されるものである。
【0022】
<収容容器>
カップホルダ10は、収容容器12と保持装置30を備える。収容容器12は、収容部14と、縁16と、天板18を備える。収容部14は、飲物容器が収容される部分である。飲物容器は、例えばカップ状の容器、ペットボトル、飲料缶等である。縁16は、収容部14の上端部の周囲に設けられている。天板18は、収容部14の後方上端部から後方に延びている。天板18の下に、保持装置30が配置されている。
【0023】
カップホルダ10は、カップホルダ10を車室内に取り付けるための2つのガイド20を備える。2つのガイド20は、収容容器12の左右の上端部に設けられており、前後方向に延びている。なお、カップホルダ10の車両に対する取り付け形態については後述する。
【0024】
収容部14は、有底凹部である。収容部14は、平面視で角丸の略正方形状の外郭を有している。収容部14は、前後左右の壁を形成する側壁24と、底壁26を備える。後方の側壁24の上部には、孔28が設けられている。サポート34は、孔28を通して収容部14内に突出している。
【0025】
<保持装置>
図3は、保持装置30の斜視図である。
図3では、内部に配置されたコイルばね36(
図4参照)が省略されている。
図4は、保持装置30の内部の一部を示す斜視図である。保持装置30は、収容部14内に飲物容器を保持させるための保持機構を有する。具体的には、保持装置30は、サポート34とハウジング32を備える。保持装置30は、略左右対称の形状を有している。少なくとも以下で説明するサポート34とハウジング32の左右の部材又は部分については、特に断りがない限り、左右対称の形状を有している。
【0026】
<サポート>
図5(A)はサポート34の平面図であり、
図5(B)はサポート34の側面図である。サポート34は、先端部41と、左右のそれぞれに設けられた上側軸45U及び下側軸45Lと、左右のそれぞれに設けられた押し当て部48U,48Lを備える。
【0027】
先端部41は、サポート34の初期姿勢で、収容部14内に突出する部分である。先端部41は、側面視(
図5(B)参照)で角丸の略三角形状を有している。先端部41は、平面視(
図5(A)参照)で、左右(
図5(A)の上下)の中央部に、飲物容器の側面に接し得る凹み部42を有している。先端部41は、
図4に示すように、中空構造を有しており、内面に、後方に突出する突出部50と、溝52を有する。突出部50は、コイルばね36の前端の内側部分に入り込んでおり、溝52は、コイルばね36の前端下部を受け入れている。なお、コイルばね36(圧縮コイルばね)は、弾性部材の一例である。
【0028】
サポート34の左右の上側軸45U及び下側軸45L(
図5参照)は、先端部41の後方に位置しており、左右外方に突出するように設けられている。サポート34は、
図3に示すように、ハウジング32の2つの側板62の間に配置されている。左側の上側軸45U及び下側軸45Lはそれぞれ、左側の側板62の上側溝65U及び下側溝65Lに入り込んでおり、右側の上側軸45U及び下側軸45L(
図3では不図示)はそれぞれ、右側の側板62の上側溝65U及び下側溝65L(
図3では下側溝65Lは不図示)に入り込んでいる。すなわち、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lは、ハウジング32の2つの側板62に対向する、サポート34の両端部の上下に位置している。サポート34は、左右において、上側軸45Uと下側軸45Lが上側溝65Uと下側溝65Lに沿って移動することで、ハウジング32に対して移動可能である。
【0029】
サポート34の左右の押し当て部48U,48L(
図5参照)は、先端部41の後方であって、上側軸45U及び下側軸45Lよりも少し前側の上下に位置している。押し当て部48U,48Lは、サポート34の前方移動のストッパとして機能する部分であり、サポート34の初期姿勢でクッション80(
図3参照)を介して、収容部14の後方の側壁外面に接する部分である。
【0030】
図2において、破線で示すように、2つのクッション80が、収容部14の後方の側壁24の外面に取り付けられている。なお、
図2では、実際には、クッション80は見えないはずであるが、同図ではクッション80の概略的な位置が破線で示されている。2つのクッション80は、サポート34の左右両側に取り付けられている。サポート34は、左右のそれぞれで、押し当て部48U,48Lがクッション80に当たることで、サポート34の前方移動が規制される。クッション80があることで、サポート34が後方に移動した後、コイルばね36の付勢力で前方に戻った際に、サポート34の左右の押し当て部48U,48Lが、収容部14の側壁24に接触することで発生する音を抑制することができる。
【0031】
<ハウジング>
ハウジング32は、
図3に示すように、下部構造体60、2つの側板62、及び1つの後板64を備える。ハウジング32の上側は、開口しており、そこには収容容器12(
図1参照)の天板18が配置される。ハウジング32の下部構造体60より上の前側も、開口しており、そこから、サポート34の先端部41が突出している。
【0032】
ハウジング32は、2つの側板62と1つの後板64で囲まれた内部空間を有する。ハウジング32の内部空間は、サポート34が下向き回転(
図7(B)参照)又は上向き回転(
図7(C)参照)した際に、サポート34のほぼ全体がその空間内に収まる程度の容積を有している。また、ハウジング32の内部空間には、
図4に示すように、コイルばね36が配置されている。
【0033】
ハウジング32は、
図3に示すように、2つの側板62のそれぞれに、上側溝65U及び下側溝65Lを備える。なお、
図3では、右側の側板62における、上側溝65Uの一部と、下側溝65Lが見えていない状態である。上側溝65U及び下側溝65Lは、貫通孔の形態で設けられている。ハウジング32の左右のそれぞれにおいて、上側溝65U及び下側溝65Lは、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lを受け入れて、サポート34が移動するための軌道を形成している。2つの側板62は、サポート34を移動可能に支持している。
【0034】
図6は、ハウジングの側板62を、ハウジングの側板62より内側にあるリブ68(後板64に設けられたリブ68、
図3参照)とともに示す図である。
図6に示すように、側板62の上側溝65U及び下側溝65Lは、前方から後方(
図6の左から右)に向かって互いに近づくように円弧状に延びている。また、側板62の上側溝65Uは、前方から後方に向かう円弧上の溝経路の中間部に、上側に凹んだ凹み部66を有している。凹み部66は、円弧状に凹む部分である。凹み部66は、
図8,9を用いて後述するように、サポート34の後退動作を上向き回転に変換させるための動作変換部として機能する。
【0035】
ハウジング32は、
図3に示すように、ハウジング32の内部空間に後板64から突出する2つのリブ68を備える。なお、
図3には、2つのリブ68のそれぞれの一部しか見えていないが、2つのリブ68の形状は同じであり、リブ68の側面形状は
図6に示されている。リブ68は、略板状であり、上下方向に延びている。2つのリブ68は、コイルばねが係合される突出部70(
図3参照)の左右に設けられている。2つのリブ68は、サポート34が下向き回転(
図7(B)参照)または上向き回転(
図7(C)参照)した際に、サポート34のストッパとして機能する。
【0036】
また、ハウジング32は、
図3に示すように、ハウジング32の内部空間に後板64から突出する突出部70を備える。突出部70は、略円錐台状を有している。突出部70は、後板64の左右方向の中央部に位置しており、後板64の外面に現れる凹み部72(
図4参照)の反対側(ハウジング32の内側)に設けられている。突出部70は、コイルばね36の後端の内側部分に入り込んでいる(不図示)。
【0037】
コイルばね36は、前端がサポート34の突出部50及び溝52に係合されており、後端がハウジング32の突出部70に係合されている。コイルばね36は、ハウジング32の後板64に対して、サポート34を収容部14(
図1参照)に向かって付勢している。
【0038】
<カップホルダ>
カップホルダ10は、
図1に示すように、保持装置30が、収容容器12の天板18の下に組み付けられて構成される。サポート34の先端部41が収容部14の孔28から突出するように、保持装置30が、収容容器12に組み付けられている。
【0039】
<サポートの状態>
サポート34は、先端部41に飲物容器が接することで、コイルばね36の付勢力に抗って移動可能に構成されている。サポート34は、
図7~9に示すように、初期姿勢、下向き回転、上向き回転、及び後退の状態をとることができる。
【0040】
<初期姿勢>
初期姿勢(
図7(A)参照)は、サポート34の先端部41に、物(飲物容器等)が接していない状態である。この状態では、コイルばね36がサポート34の先端部41を収容部14に向かって付勢しており、サポート34の左右の押し当て部48U,48Lが左右のクッション80(
図2参照)を介して収容部14の後方の側壁外面に接して、サポート34の前方移動が規制されている。なお、サポート34の前方移動の規制は、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lのそれぞれを、ハウジング32の上側溝65Uと下側溝65Lの前端に当てることで実現されてもよい。
【0041】
<下向き回転>
下向き回転(
図7(B)参照)は、サポート34の先端部41に、物(飲物容器等)が接することで下向きの荷重が印加されて、サポート34がコイルばね36の付勢力に抗って回転した状態である。下向き回転では、サポート34の上側軸45Uが上側溝65Uの前端付近に維持された状態で、サポート34の下側軸45Lが下側溝65Lの後端付近まで移動して、サポート34の先端部41が下を向くことになる。
【0042】
下向き回転した状態では、サポート34の後方下部が2つのリブ68の下部に接するとともに、サポート34の後方上部が天板18に接することで、サポート34の更なる回転が規制されている。下向き回転した状態では、コイルばね36が、サポート34の先端部41を収容部14内に向かって付勢するとともに、サポート34の先端部41を上方向に付勢して、サポート34を初期姿勢に復帰させようとしている。サポート34の先端部41に対する荷重が解かれた際に、サポート34は、下向き回転から初期姿勢に戻ることになる。
【0043】
なお、下向き回転した状態での更なる回転の規制に関し、天板18による規制は省かれてもよい。また、設計時にリブ68の高さを調整することで、下向き回転後における、サポート34の先端部41の収容部14内への突出量を調整することができる。これにより、サポート34の先端部41を収容部14内に若干、突出させたり、完全に引っ込めたりする設計が可能である。また、サポート34の下向き回転の規制は、サポート34の上側軸45Uを上側溝65Uの前端に当てるとともに、サポート34の下側軸45Lを下側溝65Lの後端に当てることで実現されてもよい。
【0044】
<上向き回転>
上向き回転(
図7(C)参照)は、サポート34の先端部41に、物(飲物容器等)が接することで上向きの荷重が印加されて、サポート34がコイルばね36の付勢力に抗って回転した状態である。上向き回転では、サポート34の下側軸45Lが下側溝65Lの前端付近に維持された状態で、サポート34の上側軸45Uが上側溝65Uの後端付近まで移動して、サポート34の先端部41が上を向くことになる。
【0045】
上向き回転した状態では、サポート34の後方上部が2つのリブ68の上部に接するとともに、サポート34の前方上部が天板18に接することで、サポート34の更なる回転が規制されている。上向き回転した状態では、コイルばね36が、サポート34の先端部41を収容部14内に向かって付勢するとともに、サポート34の先端部41を下方向に付勢して、サポート34を初期姿勢に復帰させようとしている。サポート34の先端部41に対する荷重が解かれた際、サポート34は、上向き回転から初期姿勢に戻ることになる。
【0046】
なお、上向き回転した状態での更なる回転の規制に関し、天板18による規制は省かれてもよい。また、設計時にリブ68の高さを調整することで、上向き回転後における、サポート34の先端部41の収容部14内への突出量を調整することができる。これにより、サポート34の先端部41を収容部14内に若干、突出させたり、完全に引っ込めたりする設計が可能である。また、サポート34の上向き回転の規制は、サポート34の下側軸45Lを下側溝65Lの前端に当てるとともに、サポート34の上側軸45Uを上側溝65Uの後端に当てることで実現されてもよい。
【0047】
<後退>
後退(
図8参照)は、サポート34の先端部41に、物(飲物容器等)が接することで後方への荷重が印加されて、サポート34がコイルばねの付勢力に抗って後ろに移動した状態である。後退では、
図8(A),(B)に示すように、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lのそれぞれが、上側溝65Uと下側溝65Lに沿って後方に移動することなる。この時、上側軸45Uと下側軸45Lは、それらの位置が上側溝65Uと下側溝65Lによって上下にぶれないように規制された状態で、移動する。そして、
図8(C)に示すように、サポート34の上側軸45Uがハウジング32の上側溝65Uの凹み部66に達した際に、その凹み部66でサポート34の上側軸45Uの後退移動が規制され、規制された上側軸45Uを中心にサポート34が回転し始める。サポート34の上側軸45Uが凹み部66に達した位置が、サポート34の後退移動の最大位置である。
【0048】
そして、
図9(A)に示すように、サポート34に、後方に向かう荷重がさらに加わると、サポート34の上側軸45Uが凹み部66を乗り越えて、サポート34は上向き回転することができる。後退移動が上向き回転に変換されると、
図9(B)に示すように、サポート34の下側軸45Lは下側溝65Lの前端付近まで戻っていき、サポート34の上側軸45Uは上側溝65Uの後端付近にまで移動する。これにより、サポート34は、
図7(C)に示すように、上向き回転した状態になる。このように、凹み部66は、サポート34の後退動作を上向き回転に変換させるための動作変換部として機能する。これにより、サポート34が後退した際に、サポート34の先端部41が収容部14内へ突出する量を低減、或いは、無くすことができる。
【0049】
すなわち、一般的に、ハウジング32の上側溝65Uと下側溝65Lが、前方から後方に向かって互いに近づくように延びている(後方で上側溝65Uと下側溝65Lの間隔が狭くなっている)場合には、サポート34が後退動作した際に、サポート34の上側軸45Uと下側軸45Lのそれぞれが、ハウジング32の上側溝65Uと下側溝65Lの間隔が狭くなった部分に達すると、サポート34のさらなる後退動作ができなくなり、サポート34の先端部41が収容部14内へ大きく突出したままとなってしまう。しかし、この実施形態によれば、上側溝65Uに凹み部66があるため、凹み部66により、サポート34の後退動作が上向き回転に変換されて、サポート34をさらにハウジング32内に引き込むことができる。よって、サポート34の先端部41が収容部14内へ突出する量を低減、或いは、無くすことができる。
【0050】
<飲物容器の出し入れと保持>
図10は、くびれのあるペットボルト(飲物容器100aと言う)に関する図であり、(A)は、飲物容器100aが収容部14に入った状態を示す図であり、(B)は、収容部14から飲物容器100aが取り出される状態を示す図である。
【0051】
また、
図11は、別のペットボルト(飲物容器100bと言う)に関する図であり、(A)は、飲物容器100bが収容部14に入った状態を示す図であり、(B)は、収容部14から飲物容器100bが取り出される状態を示す図である。なお、
図10,11のペットボトルは、飲物容器の例示であって、飲物容器の種類、形状等は限定されない。
【0052】
飲物容器が収容部14に入れられる際、飲物容器の底部または側部が、サポート34(
図7(B)参照)の先端部41の上面を押すため、サポート34は下向き回転する。この時、サポート34の全体、又は、ほぼ全体がハウジング32内に引き込まれるので、飲物容器を収容部14内にスムーズに入れることができる。
【0053】
飲物容器が収容部14に入った後は、サポート34が少し後退した状態となり、サポート34がコイルばね36の付勢力により飲物容器の側面を押して、飲物容器の反対側の側面を収容部14の側壁に押し付けることで、収容部14内に飲物容器を保持することができる。
【0054】
なお、飲物容器のサイズや形状に応じて、サポート34の飲物容器の保持姿勢は変化する。例えば、
図10(A)に示すように、くびれのある飲物容器100aが収容部14内に入れられた際には、サポート34は少し、上向き回転した状態となり、サポート34の先端部が、飲物容器100aのくびれによる盛り上がり部を上から押すようにして、収容部14内に飲物容器100aを保持する。また、例えば、
図11(A)に示すように、径方向の寸法が大きい飲物容器100bが収容部14内に入れられた際には、サポート34が下向き回転したままとなり、この状態で、サポート34の先端部が、収容部14内に飲物容器100bを保持する。
【0055】
飲物容器が収容部14から取り出される際には、飲物容器の側部が、サポート34(
図7(C)参照)の先端部41を上に引き上げるため、サポート34は上向き回転する。この時、サポート34の全体、又は、ほぼ全体がハウジング32内に引き込まれるので、飲物容器を収容部14からスムーズに取り出すことができる。
【0056】
ここで、飲物容器が収容部14から取り出される際に、飲物容器の側部により、サポート34が後退する場合がある。例えば、
図10(B)に示すように、くびれのある飲物容器100aが収容部14から取り出される際には、飲物容器100aが斜め後方に向かって引き上げられることで、飲物容器100aの側部が、サポート34を後退させることがある。また、例えば、
図10(B)に示すように、下部に凹みがある飲物容器100bが収容部14から取り出される際にも、飲物容器100bの側部が、サポート34を後退させることがある。しかし、このような場合であっても、
図8,9を用いて説明したように、ハウジング32の凹み部66により、サポート34の後退動作が上向き回転に変換されるため、サポート34の全体、又は、ほぼ全体をハウジング32内に引き込むことができる(
図7(C)参照)。よって、飲物容器100a、100bを収容部14からスムーズに取り出すことができる。飲物容器100a、100bが、サポート34に引っ掛かることを抑制することができる。
【0057】
以上で説明したカップホルダ10によれば、サポート34が、収容部14内に向かって大きく突出するため、様々な形状やサイズの飲物容器を収容部14内に保持することができる。また、サポート34は、ハウジング32の上側溝65Uと下側溝65Lに沿って大きく移動できる(サポート34がハウジング32内に大きく引き込まれる)ため、飲物容器を収容部14内に出し入れする際に、飲物容器がサポート34に引っ掛かることを抑制することができる。飲物容器の収容部14内への出し入れをサポート34が阻害する(邪魔する)ことを抑制することができる。
【0058】
また、サポート34の初期姿勢において、
図1に示すように、収容部14の側壁24の孔28はサポート34が占めているため、サポート34と収容部14の側壁24の間に隙間が生じにくい構造となっている。また、サポート34が上向き回転した状態においても、
図2に示すように、孔28はサポート34が占めており、サポート34の先端部41の下面が収容部14の側壁24と連続性を有するように壁を形成することになる。同様に、サポート34が下向き回転した状態においても、
図7(B)に示すように、収容部14の側壁24の孔はサポート34が占めており、サポート34の先端部41の上面が収容部14の側壁24と連続性を有するように壁を形成することになる。
【0059】
従って、サポート34と収容部14の側壁24の間の隙間から、硬貨等の小さい物がハウジング32内に入りこむことを抑制することができる。また、ユーザが指でサポート34を操作した場合であっても、ユーザの指がその隙間に挟まれるリスクを低減することができる。また、隙間が生じにくい構造と、サポート34の先端部41の上下面と収容部14の側壁24の連続性が現れる壁構造から、本実施形態のカップホルダ10は、意匠性においても優れている。
【0060】
<カップホルダの搭載例>
図12,13は、車両の室内のカップホルダ10の位置を説明するための図である。
図12(A)に示すように、カップホルダ10は、車室内の運転席と助手席の間に配置されたコンソールボックス210の中に配置されている。なお、以下の説明では、前後左右は、車両における方向を意味するものとする。車両の左右方向は
図12(A)の紙面を突き抜ける方向に対応し、車両の前方は
図12(A)の左側に対応し、車両の後方は
図12(A)の右側に対応する。
【0061】
車両には、運転席と助手席の間に、前側から後側に向かって、前側カップホルダ200、シフトノブ204、及びコンソールボックス210が配置されている。前側カップホルダ200とシフトノブ204の下には、構造物202が配置されている。前側カップホルダ200は、以上で説明したカップホルダ10とは別のものである。しかし、前側カップホルダ200の位置に、以上で説明したカップホルダ10を配置してもよい。
【0062】
コンソールボックス210は、ボックス本体212と、コンソールドア214(アームレスト)を備える。ボックス本体212は、内側上部の左右側面に、前後方向に延びるレール216を備える。
【0063】
カップホルダ10は、ボックス本体212内に位置しており、レール216に支持されている。すなわち、レール216は、カップホルダ10の左右のガイド20(
図1参照)を支持するものであり、カップホルダ10は、レール216に沿って前後方向に移動できるように構成される。
【0064】
例えば、レール216は、ボックス本体212の内側左右において、側面から突出して前後方向に延びる2本の突出部(リブ)であってよい。この場合、カップホルダ10は、左右において、ガイド20がレール216としての2本の突出部(リブ)の間に配置されて、レール216(突出部)により支持される。また、例えば、レール216は、ボックス本体212の内側左右において、側面に形成されて前後方向に延びる溝であってよい。この場合、カップホルダ10は、左右において、ガイド20がレール216としての溝の中に配置されて、レール216(溝)により支持される。
【0065】
なお、
図12,
図13には、レール216がボックス本体212の後部まで延びて描かれているが、
図13(B)を用いて説明するように、カップホルダ10をボックス本体212の後部でレール216から取り外すために、レール216はボックス本体212の前部から中央部までの領域に設けられてもよい(ボックス本体212の後部には、レール216が存在しなくてもよい)。
【0066】
図12,
図13には、カップホルダ10の4つの位置形態が示されている。
図12(A)は、1つ目の位置形態を示している。この形態では、コンソールドア214が閉じられており、カップホルダ10は前後方向のどこに位置してもよい形態である。
【0067】
図12(B)は、2つ目の位置形態を示している。この形態では、コンソールドア214を後方にスライドして、カップホルダ10をボックス本体212の前部に移動して、カップホルダ10を使用する形態である。
図12(B)には、カップホルダ10に、カップ状の飲物容器100cを入れた例が示されている。
【0068】
図13(A)は、3つ目の位置形態を示している。この形態では、コンソールドア214を後方にスライドして、カップホルダ10をボックス本体212の中央部に移動して、背の高い飲物容器(ペットボトル等)をボックス本体の前部に入れる形態である。
【0069】
図13(B)は、4つ目の位置形態を示している。この形態は、ボックス本体212からカップホルダ10を取り外す形態である。この形態では、例えば、コンソールドア214をボックス本体212の上から取り除いて(コンソールドア214を取り外す、又は、コンソールドア214を後方で回動させて)、カップホルダ10をボックス本体212の後部に移動させた後、カップホルダ10をレール216から取り外すことになる。この形態によれば、ボックス本体212の収容スペースを拡大することができる。
【0070】
なお、以上で説明したカップホルダ10の配置は一例であり、カップホルダ10は、自動車などの車両における室内の様々な場所に配置することができる。また、以上の実施形態では、カップホルダ10を車両に適用したが、カップホルダ10は、これに限らず、飛行機、船、電車等の他の乗物に適用されてもよい。また、カップホルダ10は、劇場、映画館、会議室などの施設に配置されるシート等に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 カップホルダ、12 収容容器、14 収容部、16 縁、18 天板、20 ガイド、24 側壁、26 底壁、28 孔、30 保持装置、32 ハウジング、34 サポート、36 コイルばね(弾性部材,圧縮コイルばね)、41 先端部、42 凹み部、45U 上側軸、45L 下側軸、48U,48L 押し当て部、50 突出部、52 溝、60 下部構造体、62 側板、64 後板、65U 上側溝、65L 下側溝、66 凹み部、68 リブ、70 突出部、72 凹み部、80 クッション、100a,100b,100c 飲物容器、200 前側カップホルダ、202 構造物、204 シフトノブ、210 コンソールボックス、212 ボックス本体、214 コンソールドア、216 レール。