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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168618
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】糸処理装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/04 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B65H67/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085454
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】上田 健一
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA03
3F112CA03
3F112EA06
3F112EB02
3F112ED02
3F112FB01
3F112GE01
3F112HA08
(57)【要約】
【課題】複数の糸処理ユニットと、複数の糸処理ユニットのいずれかに対して選択的に作業を行う作業台車との位置関係を簡単に調整する。
【解決手段】玉揚装置3は、複数の巻取ユニット2のいずれかに対して選択的に作業を行う装置本体100と、複数の巻取ユニット2にわたって左右方向に延びたレール99a、99bに左右方向に移動可能に支持された走行部101と、装置本体100が取り付けられ、走行部101の下端部に取り付けられた揺動部102と、を有する。揺動部102は、走行部101に、左右方向に延びた揺動軸123を中心に揺動可能に支持されている。揺動部102は、ボルト155a~155cによって、揺動範囲の任意の位置で固定することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ複数の糸処理ユニットと、
前記複数の糸処理ユニットにわたって前記第1方向に延びたレールと、
前記レールに沿って前記第1方向に移動可能に構成され、前記複数の糸処理ユニットのいずれかに対して選択的に作業を行う作業台車と、を備え、
前記作業台車は、
前記作業を行う装置本体と、
前記レールに前記第1方向に移動可能に支持された走行部と、
前記装置本体が取り付けられ、前記第1方向と直交する第2方向において前記走行部よりも前記レールから離れた部分を有し、前記走行部に前記第1方向に延びた揺動軸を中心に揺動可能に支持された揺動部と、
前記走行部に対して、前記揺動部を揺動範囲の任意の位置に固定する固定部と、を有することを特徴とする糸処理装置。
【請求項2】
前記走行部が、前記第2方向、並びに、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に延びた第1固定部、を有し、
前記揺動部が、前記第2方向及び前記第3方向に延び、前記第1方向に前記第1固定部と重なる第2固定部、を有し、
前記第1固定部及び前記第2固定部のうち一方の固定部に、当該固定部を前記第1方向に貫通するとともに前記第2方向に延びた第1孔が形成され、
前記第1固定部及び前記第2固定部のうち他方の固定部に、当該固定部を前記第1方向に貫通し、前記第1固定孔と前記第1方向に重なる円形の第2固定孔が形成され、
前記固定部は、前記第1固定孔と前記第2固定孔とに挿通されたボルトであることを特徴とする請求項1に記載の糸処理装置。
【請求項3】
前記第2方向が上下方向であり、
前記レールが、前記複数の糸処理ユニットよりも上方に位置し、
前記揺動部が前記走行部よりも下方に位置する部分を有し、
前記揺動部の揺動範囲の位置によらず、前記装置本体と前記揺動部とにより構成される構造体の重心が、前記揺動軸に対して、前記第3方向の同じ側にずれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の糸処理装置。
【請求項4】
前記走行部が、前記第1方向、並びに、前記第1方向及び上下方向のいずれともと直交する第3方向に延びた第1突当部、を有し、
前記揺動部が、前記第1方向及び前記第3方向に延びた第2突当部を有し、
前記第2突当部は、前記第1突当部よりも下方に位置し、前記第1突当部と上下方向に重なり、
前記第3方向において、前記第1突当部及び前記第2突当部が、前記揺動部の揺動範囲の位置によらず、前記揺動軸に対して、前記構造体の重心と反対側に位置する部分を有することを特徴とする請求項3に記載の糸処理装置。
【請求項5】
前記第1突当部と前記第2突当部との隙間の大きさを変更するジャッキ部材、を備え、
前記第3方向において、前記ジャッキ部材が、前記揺動部の揺動範囲内のいずれの位置においても、前記揺動軸に対して、前記構造体の重心と反対側に位置していることを特徴とする請求項4に記載の糸処理装置。
【請求項6】
前記揺動部が、
前記走行部に前記揺動軸を中心に揺動可能に支持され、前記固定部によって前記走行部に固定された第1フレーム部と、
前記第2方向において前記第1フレーム部よりも前記レールから離れた部分を有し、前記第1フレーム部に固定され、前記装置本体の少なくとも一部が取り付けられた第2フレーム部と、を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の糸処理装置。
【請求項7】
前記第2方向が上下方向であり、
前記レールが、前記複数の糸処理ユニットよりも上方に位置し、
前記糸処理ユニットが、
載置された給糸ボビンから糸を引き出して解舒することができる給糸部と、
前記給糸部よりも上方に位置し、給糸部から解舒された糸を一時的に貯留する糸貯留部と、
前記糸貯留部よりも上方に位置し、前記糸貯留部に貯留された糸を巻き取る巻取部と、を有し、
前記作業台車は、
前記巻取部及び前記糸貯留部に対する作業を行うものであり、前記糸貯留部と同じ高さに位置する部分を有することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の糸処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
糸処理装置として、特許文献1には糸巻取装置が記載されている。特許文献1に記載の糸巻取装置は、配列方向に並んだ複数の巻取ユニットと、複数の巻取ユニットに共通の玉揚装置とを有する。巻取ユニットは給糸ボビンから解舒される糸を巻取管に巻き取ってパッケージを形成する。玉揚装置は、配列方向に延びたレールに支持され、レールから下方に延びている。そして、玉揚装置は、レールに沿って、糸の巻き取りが完了した巻取ユニットの前方の位置まで配列方向に移動し、この巻取ユニットから巻き取りが完了したパッケージを玉揚げするとともに、空の巻取管をセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-65659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載の糸巻取装置においては、玉揚装置において上記作業を行うために、巻取ユニットと玉揚装置とが適切な位置関係となっていることが必要である。一方で、特許文献1に記載の糸巻取装置においては、玉揚装置を支持するレールの傾き、玉揚装置の重みによるレールのたわみなどの影響により、巻取ユニットと玉揚装置との位置関係がずれてしまう虞がある。特許文献1の糸巻取装置では、玉揚装置がレールから下方に延びているため、巻取ユニットと、玉揚装置のレールから遠い下側の部分との位置関係が特に大きくずれやすい。
【0005】
このとき、レールの傾きなどを調整することによって巻取ユニットと玉揚装置との位置関係を調整することが考えられる。しかしながら、この場合には、レールから玉揚装置を一旦取り外したうえでレールの傾きの調整を行い、玉揚装置をレールに取り付けて巻取ユニットと玉揚装置との位置関係を確認するという作業を繰り返し行う必要があり、作業が煩雑になる。
【0006】
本発明の目的は、複数の糸処理ユニットと、糸処理ユニットに対する作業を行う作業台車との位置関係を簡単に調整することが可能な糸処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の糸処理装置は、第1方向に並ぶ複数の糸処理ユニットと、前記複数の糸処理ユニットにわたって前記第1方向に延びたレールと、前記レールに沿って前記第1方向に移動可能に構成され、前記複数の糸処理ユニットのいずれかに対して選択的に作業を行う作業台車と、を備え、前記作業台車は、前記作業を行う装置本体と、前記レールに前記第1方向に移動可能に支持された走行部と、前記装置本体が取り付けられ、前記第1方向と直交する第2方向において前記走行部よりも前記レールから離れた部分を有し、前記走行部に前記第1方向に延びた揺動軸を中心に揺動可能に支持された揺動部と、前記走行部に対して、前記揺動部を揺動範囲の任意の位置に固定する固定部と、を有する。
【0008】
本発明によると、作業台車の揺動部を、揺動軸を中心に揺動させることによって、作業台車の位置(装置本体の位置)を簡単に調整することができる。
【0009】
また、本発明の糸処理装置は、前記走行部が、前記第2方向、並びに、前記第1方向及び前記第2方向のいずれとも直交する第3方向に延びた第1固定部、を有し、前記揺動部が、前記第2方向及び前記第3方向に延び、前記第1方向に前記第1固定部と重なる第2固定部、を有し、前記第1固定部及び前記第2固定部のうち一方の固定部に、当該固定部を前記第1方向に貫通するとともに前記第2方向に延びた第1孔が形成され、前記第1固定部及び前記第2固定部のうち他方の固定部に、当該固定部を前記第1方向に貫通し、前記第1固定孔と前記第1方向に重なる円形の第2孔が形成され、前記固定部は、前記第1固定孔と前記第2固定孔とに挿通されたボルトである。
【0010】
本発明によると、第1孔と第2孔とに挿通されたボルトで第1固定部と第2固定部とを固定することによって、走行部と揺動部とを固定することができる。
【0011】
また、本発明の糸処理装置は、前記第2方向が上下方向であり、前記レールが、前記複数の糸処理ユニットよりも上方に位置し、前記揺動部が前記走行部よりも下方に位置する部分を有し、前記揺動部の揺動範囲の位置によらず、前記装置本体と前記揺動部とにより構成される構造体の重心が、前記揺動軸に対して、前記第3方向の同じ側にずれている。
【0012】
本発明によると、揺動部の揺動範囲の位置によらず、揺動軸に対して、上記構造体の重心が揺動軸に対して第3方向の同じ側にずれている。そのため、上記構造体の重みにより、上記構造体には、揺動部の揺動範囲の位置によらず、揺動軸を中心に同じ方向に揺動させようとするモーメントが生じる。したがって、揺動部の位置を調整する際には、揺動部の揺動範囲の位置によらず、上記構造体に、構造体の重みによるモーメントと反対方向のモーメントを生じさせるような力を加えればよい。これにより、揺動部の位置を調整する作業を簡単にすることができる。
【0013】
また、本発明の糸処理装置は、前記走行部が、前記第1方向、並びに、前記第1方向及び上下方向のいずれともと直交する第3方向に延びた第1突当部、を有し、前記揺動部が、前記第1方向及び前記第3方向に延びた第2突当部を有し、前記第2突当部は、前記第1突当部よりも下方に位置し、前記第1突当部と上下方向に重なり、前記第3方向において、前記第1突当部及び前記第2突当部が、前記揺動部の揺動範囲の位置によらず、前記揺動軸に対して、前記構造体の重心と反対側に位置する部分を有する。
【0014】
本発明によると、第2突当部が第1突当部の下方に第1突当部と重なるように配置され、第3方向において、第1突当部及び第2突当部が、揺動部の揺動範囲の位置によらず、揺動軸に対して、装置本体と揺動部とにより構成される構造体の重心と反対側に位置する部分を有する。そのため、上記構造体の重みにより、上記構造体には、揺動部の揺動範囲の位置によらず、揺動軸を中心に第2突当部を第1突当部に近づける方向に揺動させようとするモーメントが生じる。
【0015】
したがって、揺動部の位置を調整する際には、揺動部の揺動範囲の位置によらず、上記構造体に、揺動軸を中心に第2突当部を第1突当部から離れる方向に揺動させようとするモーメントを生じさせるような力を加えればよい。また、揺動部が第2突当部を有し、上記構造体の重みにより、上記構造体に、揺動部の揺動範囲の位置によらず、第2突当部を第1突当部に近づける方向に揺動させようとするモーメントが生じるため、揺動部の位置を調整する際に、構造体を支持していなくても、揺動部は、第2突当部が第1突当部に突き当たるまでしか揺動しない。これらのことから、揺動部の位置を調整する作業を簡単にすることができる。
【0016】
また、本発明の糸処理装置は、前記第1突当部と前記第2突当部との隙間の大きさを変更するジャッキ部材、を備え、前記第3方向において、前記ジャッキ部材が、前記揺動部の揺動範囲内のいずれの位置においても、前記揺動軸に対して、前記構造体の重心と反対側に位置している。
【0017】
上述したように、上記構造体の重みにより、上記構造体には、揺動部の揺動範囲の位置によらず、揺動軸を中心に第2突当部を第1突当部に近づける方向に揺動させようとするモーメントが生じる。この状態で、ジャッキ部材により第1突当部と第2押突当部との隙間を大きくすると、上記構造体は、上記構造体の重みによるモーメントに逆らって第1突当部と第2突当部とが離れる方向に揺動する。また、ジャッキ部材により第1突当部と第2押突当部との隙間を小さくすると、上記構造体は、上記構造体の重みによるモーメントによって第1突当部と第2突当部とが近づく方向に揺動する。
【0018】
したがって、本発明では、ジャッキ部材により第1突当部と第2突当部との隙間を調整するだけで、上記構造体をどちら方向にも揺動させることができ、上記構造体の位置を調整する作業を簡単に行うことができる。
【0019】
また、本発明の糸処理装置は、前記揺動部が、前記走行部に前記揺動軸を中心に揺動可能に支持され、前記固定部によって前記走行部に固定された第1フレーム部と、前記第2方向において前記第1フレーム部よりも前記レールから離れた部分を有し、前記第1フレーム部に固定され、前記装置本体の少なくとも一部が取り付けられた第2フレーム部と、を有する。
【0020】
揺動部の上下方向の長さが長い場合、揺動部を、第1フレーム部と、第2方向において第1フレーム部よりもレールから離れた第2フレーム部とを有する第2方向に分割可能なものとする場合がある。この場合、第1フレーム部に第2フレーム部を固定する際に第1フレームと第2フレームとの間にずれが生じ、その結果、揺動部に取り付けられる装置本体にもずれが生じることがある。本発明では、このようなずれがある場合でも、揺動部を、揺動軸を中心に揺動させることによって、作業台車の位置(装置本体の位置)を調整することができる。
【0021】
また、本発明の糸処理装置は、前記第2方向が上下方向であり、前記レールが、前記複数の糸処理ユニットよりも上方に位置し、前記糸処理ユニットが、載置された給糸ボビンから糸を引き出して解舒することができる給糸部と、前記給糸部よりも上方に位置し、給糸から解舒された糸を一時的に貯留する糸貯留部と、前記糸貯留部よりも上方に位置し、前記糸貯留部に貯留された糸を巻き取る巻取部と、を有し、前記作業台車は、前記巻取部及び前記糸貯留部に対する作業を行うものであり、前記糸貯留部と同じ高さに位置する部分を有する。
【0022】
作業台車が、巻取部よりも下方に位置する糸貯留部に対する作業を行うものであり、糸貯留部と同じ高さに位置する部分を有する場合、作業台車の糸貯留部と同じ高さに位置する部分は、レールから大きく離れている。そのため、レールの傾き、たわみなどによる作業台車の糸貯留部と同じ高さに位置する部分の位置のずれは大きなものとなる。本発明では、揺動部を、揺動軸を中心に揺動させることによって、レールから大きく離れた、作業台車の糸貯留部と同じ高さに位置する部分の位置を調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、作業台車が取り付けられた揺動部を、揺動軸を中心に揺動させることによって、作業台車の位置を簡単に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る自動ワインダの正面図である。
図2】巻取ユニット側から見た玉揚装置の図である。
図3図2の一部を拡大した図である。
図4】左側から見た玉揚装置の図である。
図5】(a)は図4の一部を拡大した図であり、(b)は右側から見た玉揚装置の(a)に対応する部分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0026】
[自動ワインダ]
図1は、本実施形態に係る自動ワインダの正面図である。図1に示すように、自動ワインダ1(本発明の糸処理装置)は、所定の配列方向(図1の左右方向、本発明の第1方向)に配列された複数の巻取ユニット2(本発明の糸処理ユニット)と、玉揚装置3(本発明の作業台車)と、給糸ボビンBを供給するボビン供給装置4と、機台制御装置5とを備えている。なお、本実施形態の自動ワインダ1では、図1の左右方向を「左右方向」、図1の上下方向を「上下方向」(本発明の「第2方向」)、図1の紙面垂直方向を「前後方向」(本発明の第3方向)と定義する。また、前後方向について、図1の紙面垂直方向の手前側を「前方」、図1の紙面垂直方向の奥側を「後方」と定義する。
【0027】
巻取ユニット2は、給糸ボビンBから解舒される糸Yを巻取管Qに巻き取ってパッケージPを形成する。玉揚装置3は、複数の巻取ユニット2にわたって左右方向に延びた2本のレール99a、99bに沿って左右方向に移動可能に構成されている。玉揚装置3は、レール99a、99bに沿って各巻取ユニット2と対向する位置まで左右方向に移動し、巻取ユニット2に対する作業を行う。ボビン供給装置4は、給糸ボビンBを搬送トレイTに載せ、搬送トレイTに支持された給糸ボビンBを各巻取ユニット2の下部に供給する。機台制御装置5は、各巻取ユニット2、玉揚装置3及びボビン供給装置4の動作を制御する。オペレータは、機台制御装置5を適宜操作することにより、複数の巻取ユニット2を集中的に管理することができる。
【0028】
[巻取ユニット]
図1に示すように、巻取ユニット2は、給糸部10と、糸処理部20と、糸貯留部30と、巻取部40とを備える。給糸部10、糸処理部20、糸貯留部30、及び、巻取部40は、この順に下から上へ並んで配置されている。給糸部10は、搬送トレイTによって起立状態で保持された給糸ボビンB(載置された給糸ボビンB)に巻かれた糸Yを引き出して解舒しながら供給する。糸処理部20は、給糸部10から供給された糸Yに対するテンションの付与、糸Yが分断されたときの糸継などの処理を行う。糸貯留部30は、給糸部10において給糸ボビンBから解舒されて糸処理部20を通過した糸Yを一時的に貯留する。巻取部40は、糸貯留部30からの糸Yを綾振りドラム42によりトラバースしながら巻取管Qに巻き取ってパッケージPを形成する。なお、給糸部10、糸処理部20、糸貯留部30、及び、巻取部40の構成、動作等は、例えば、特開2018-65659号公報に記載されているものと同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
【0029】
[玉揚装置]
次に、玉揚装置3について説明する。図2は、玉揚装置3を巻取ユニット2側(後側)から見た図である。このため、図2における左右方向は、図1における左右方向とは逆となる。図3は、図2の一部を拡大した図である。図4は、左側から見た玉揚装置3の図である。図5(a)は、図4の一部を拡大した図である。図5(b)は右側から見た玉揚装置3の図5(a)に対応する部分の図である。
【0030】
(レール)
ここで、玉揚装置3の構造について説明する前に、玉揚装置3を支持するレール99a、99bについて説明する。上述したように、レール99a、99bは、複数の巻取ユニット2にわたって左右方向に延びている。また、レール99aとレール99bとは前後方向に間隔をあけて配置され、レール99bがレール99aよりも後方に位置する。
【0031】
レール99aは板状の部材が折り曲げられて形成されたものであり、鉛直部99a1と、下部分99a2と、上部分99a3とを有する。鉛直部99a1は、左右方向及び上下方向に延びている。下部分99a2は鉛直部99a1の下端部から後方に延びている。上部分99a3は鉛直部99a1の上端部から後方に延びている。
【0032】
レール99bは板状の部材が折り曲げられて形成されたものであり、鉛直部99b1と、下部分99b2と、上部分99b3とを有する。鉛直部99b1は、左右方向及び上下方向に延び、レール99aの鉛直部99a1と前後方向に対向している。下部分99b2は鉛直部99b1の下端部から前方に延びている。上部分99b3は鉛直部99b1の上端部から前方に延びている。
【0033】
また、レール99aとレール99bとは、複数の連結部材98によって連結されている。複数の連結部材98は、それぞれが前後方向に延びており、左右方向に間隔をあけて配置されている。連結部材98の前端部は、レール99aの上部分99a3の上面に固定されている。連結部材98の後端部は、レール99bの上部分99b3の上面に固定されている。
【0034】
玉揚装置3は、装置本体100と、走行部101と、揺動部102とを有する。
【0035】
(装置本体)
装置本体100は、巻取ユニット2に対する作業を行う部分である。本実施形態における巻取ユニット2に対する作業とは、糸Yの巻取りが完了した巻取ユニット2において巻取りが完了したパッケージPを玉揚げする玉揚げ作業、巻取ユニット2と協働して巻取部40で巻き取る糸Yの種類を変更する仕掛け替え作業、パッケージPと糸貯留部30との間で糸Yが切れたときに糸継ぎを行う上糸切れ作業などである。
【0036】
装置本体100は、クランプカッター51、引出しアーム52、チャッカー53、クレードルオープナー54、サクションマウス55、種糸供給部70等を有する。
【0037】
クランプカッター51は、糸Yを切断する不図示のカッターと、糸Yを保持する不図示のクランプとを有する。クランプカッター51は、引出しアーム52の先端部に取り付けられている。引出しアーム52は、伸縮可能に構成されているとともに、前後方向に揺動可能に構成されている。伸縮可能且つ揺動可能に構成された引出しアーム52の先端部に取り付けられたクランプカッター51により、巻取部40のすぐ下方にある糸Yを保持しにいったり、保持している糸Yを巻取管Qの側方に移動させたりすることが可能となっている。
【0038】
チャッカー53は、左右方向に延びる軸57に回動自在に取り付けられており、軸57周りに上下に旋回する。チャッカー53は、その先端部に巻取管Qを把持するチャック部53aを備えている。チャッカー53は、自動ワインダ1の上方に位置する不図示のストッカーから空の巻取管Qを1つ取り出してチャック部53aで把持した後、下方に旋回することで、巻取部40において巻取管Qを保持するためのクレードル41(図4参照)に、巻取管Qをセットする。
【0039】
クレードルオープナー54は、クレードル41に設けられた不図示のクレードルレバーを操作するためのものである。クレードルレバーが操作されると、クレードル41からの巻取りが完了したパッケージPの取り外しや、クレードル41への空の巻取管Qの装着が可能となる。
【0040】
サクションマウス55は、パッケージPと略同じ高さに設けられており、左右方向に延びる吸引口55aを前方に有している。また、サクションマウス55は、前後方向に移動可能に構成されている。吸引口55aがパッケージPに近接する近接位置までサクションマウス55を移動させたうえで、不図示の負圧源によって吸引口55aに負圧を発生させることで、吸引口55aで糸Yを吸引保持することができる。なお、サクションマウス55の右端部のすぐ下方には、糸Yを切断するためのマウスカッター61が設けられている。
【0041】
種糸供給部70は、種糸ボビン71、種糸渡しレバー72、種糸用クランプカッター73、ヤーントラップ74等を有する。種糸ボビン71は、種糸Yが巻き付けられたボビンであり、支持軸75によって回転自在に支持されている。種糸渡しレバー72は、不図示の種糸渡しモータによって支軸72a周りに水平に回転可能に構成されている。種糸渡しレバー72の先端部には、糸Yを引っ掛けて引き出すために糸Yが入る不図示のスリットが形成されている。また、種糸渡しレバー72の先端部には、種糸用ガイド77が固定されている。種糸用ガイド77は、種糸渡しレバー72の上方に間隔を空けて配置されており、種糸渡しレバー72と一体的に水平回転する。種糸用ガイド77は、糸Yを引っ掛けて引き出すための不図示の切欠スリットを有する。種糸渡しレバー72は、揺動部102内に退避している待機位置と、揺動部102から巻取ユニット2側に突出し、種糸Yをクランプカッター51によって保持可能な位置に引き出す引出し位置との間で移動可能に構成されている。
【0042】
種糸用クランプカッター73は、待機位置にある種糸用ガイド77のやや上方に配置されている。種糸用クランプカッター73は、種糸Yを切断する不図示のカッターと、種糸Yを保持する不図示のクランプとを有する。種糸用クランプカッター73のカッター及びクランプは、エアシリンダ等の適宜の駆動源によって駆動される。種糸ボビン71から引き出された種糸Yは、上述の種糸渡しレバー72のスリット及び種糸用ガイド77の切欠スリットを通って、種糸用クランプカッター73に導かれる。ヤーントラップ74は、種糸用クランプカッター73に近接して配置されており、糸Yを吸い込むことのできる吸引機能を有する。
【0043】
さらに、玉揚装置3は、パッケージPと糸貯留部30との間で糸Yが分断されている場合に、パッケージP側の糸Yを糸貯留部30の不図示の糸通しノズルの吸引部に導くために、糸寄せレバー62、固定ガイド64、糸渡しレバー65、糸飛ばしレバー67を有している。
【0044】
糸寄せレバー62は、サクションマウス55のやや上方に設けられており、支軸62a周りに水平に回転可能に構成されている。糸寄せレバー62は、その先端部に糸Yを引っ掛けて回転することにより、糸Yを移動させることができる。糸寄せレバー62は、主に、糸Yを巻取管Qに固定する際やバンチ巻きを形成する際に用いられる。
【0045】
固定ガイド64は、サクションマウス55の下方に設けられている。固定ガイド64の左下端部には凹状の係止部64aが形成されており、この係止部64aに糸Yを係止させることができる。また、固定ガイド64には、前方に延びる不図示の突出部が設けられている。係止部64aや突出部に糸Yが係止されることで、糸Yの糸道を規定することができる。
【0046】
糸渡しレバー65は、固定ガイド64のすぐ前方に設けられており、支軸65a周りに上下に回転可能に構成されている。糸渡しレバー65は、先端部に糸Yを引っ掛けて移動させるための引掛け部65bを有しており、糸渡しレバー65が後方から見て反時計回りに回転することによって、糸Yを引掛け部65bに引っ掛けることができる。また、糸渡しレバー65の先端部と基端部との間には、後方から見て右側に湾曲状の凹部65cが形成されており、後方から見て左側に湾曲状の凸部65dが形成されている。
【0047】
糸飛ばしレバー67は、支軸67a周りに上下に回転可能に構成されている。糸飛ばしレバー67は、玉揚装置3の最下端部に設けられており、その先端部には糸Yを拾うための糸拾い部67bが設けられている。糸飛ばしレバー67は、糸渡しレバー65によって下方に移動させられた糸Yを糸拾い部67bで拾い、この糸Yを糸貯留部30の不図示の糸通しノズルの吸引部に導く。
【0048】
なお、装置本体100において玉揚げ作業、仕掛け替え作業及び上糸切れ作業を行うときの装置本体100の各部分の動作は、例えば、特開2018-65659号公報に記載されているのと同様であるため、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。また、装置本体100は、玉揚げ作業、仕掛け替え作業及び上糸切れ作業を行うことが可能な別の構成のものであってもよい。また、装置本体100は、玉揚げ作業、仕掛け替え作業及び上糸切れ作業のうち、1つ又は2つの作業のみを行うことができるものであってもよい。また、装置本体100は、玉揚げ作業、仕掛け替え作業及び上糸切れ作業以外の作業を行うことができるものであってもよい。
【0049】
(走行部)
走行部101は、略直方体状に構成されている。走行部101は、2本のレール99a、99bに沿って左右方向に移動可能に支持されている。より詳細に説明すると、走行部101の前端部には、前後方向に延び、左右方向に間隔をあけて配置された2つの軸111aが設けられ、各軸111aに車輪111が回転可能に支持されている。走行部101の後端部にも、前後方向に延び、左右方向に間隔をあけて配置された2つの軸111aが設けられ、各軸111aに車輪111が回転可能に支持されている。走行部101の前端部に設けられた2つの車輪111は、前側のレール99aの下部分99a2の上面に配置されている。走行部101の後端部に設けられた2つの車輪111は、後側のレール99bの下部分99b2の上面に配置されている。これら4つの車輪111は、不図示のモータに接続されており、このモータを駆動させると、4つの車輪111が回転して、下部分99a2、99b2の上面を左右方向に移動する。これにより、走行部101がレール99a、99bに沿って左右方向に移動する。
【0050】
また、走行部101の前端部には、前後方向に延び、左右方向に間隔をあけて配置された2つの軸112aが設けられ、各軸112aにローラ112が回転可能に支持されている。走行部101の後端部にも、前後方向に延び、左右方向に間隔をあけて配置された2つの軸112aが設けられ、各軸112aにローラ112が回転可能に支持されている。走行部101の前端部に設けられた2つのローラ112は、前側のレール99aの下部分99a2の下面に接触している。走行部101の後端部に設けられた2つのローラ112は、後側のレール99bの下部分99b2の下面に接触している。上記のように走行部101がレール99a、99bに沿って左右方向に移動すると、これら4つのローラ112が従動回転する。そして、本実施形態では、このように、車輪111が下部分99a2、99b2の上面に配置され、ローラ112が下部分99a2、99b2の下面に接触していることにより、下部分99a2、99b2が、車輪111とローラ112とによって上下方向から挟まれている。これにより、走行部101が上方へ浮き上がるのが抑えられる。そのため、走行部101がレール99a、99bから外れにくい。
【0051】
また、走行部101は、下端部における左端部及び右端部に、それぞれ、取付部材120、130を有する。
【0052】
取付部材120は、前後方向から見て略L字状に構成され、上下方向及び前後方向に延びた鉛直部121(本発明の「第1固定部」)と、鉛直部121の上端部から左方に延びた水平部122(本発明の「第1突当部」)とを有する。
【0053】
図5(a)に示すように、鉛直部121の左端面の前端部には、左右方向に延びる揺動軸123が設けられている。また、鉛直部121には、3つの固定孔124a~124cが形成されている。固定孔124a~124cはいずれも、左右方向に鉛直部121を貫通する円形の貫通孔である。3つの固定孔124a~124cは、前後方向に間隔をあけて配置され、固定孔124aが揺動軸123よりも後方に位置し、固定孔124bが固定孔124aよりも後方に位置し、固定孔124cが固定孔124bよりも後方に位置する。
【0054】
取付部材130は、前後方向から見て略L字状に構成され、上下方向及び前後方向に延びた鉛直部131(本発明の「第1固定部」)と、鉛直部131の上端部から右方に延びた水平部132(本発明の「第1突当部」)とを有する。
【0055】
図5(b)に示すように、鉛直部131の右端面の後端部には、左右方向に延びる揺動軸133が設けられている。揺動軸133は、左右方向に揺動軸123と重なる。また、鉛直部131には、3つの固定孔134a~134cが形成されている。固定孔134a~134cはいずれも、左右方向に鉛直部131を貫通する円形の貫通孔である。3つの固定孔134a~134cは、前後方向に間隔をあけて配置され、固定孔134aが揺動軸133よりも後方に位置し、固定孔134bが固定孔134aよりも後方に位置し、固定孔134cが固定孔134bよりも後方に位置する。
【0056】
揺動部102は、装置本体100が取り付けられる部分であり、上下方向に延びている。揺動部102は、第1フレーム部102aと第2フレーム部102bとを有する。ここで、図2では、装置本体100のうち、糸飛ばしレバー67の以外の部分が、第1フレーム部102aに、直接あるいは不図示の取付部材を介して取り付けられている。また、糸飛ばしレバー67が第2フレーム部102bに取り付けられている。ただし、装置本体100の各部分が第1フレーム部102a及び第2フレーム部102bのどちらに取り付けられているかはこれには限られない。
【0057】
第1フレーム部102aは、2つの板状部140、150を有する。板状部140と板状部150とは、左右方向に間隔をあけて配置され、板状部150が板状部140よりも右側に位置している。
【0058】
板状部140は、前後方向から見て略L字状に構成されており、上下方向及び前後方向に延びた鉛直部141と、鉛直部141の上端部から左方に延びた水平部142(本発明の第2突当部)とを有する。
【0059】
鉛直部141の上端部近傍の部分(本発明の第2固定部)は、取付部材120の鉛直部121の左側に位置し、鉛直部121と左右方向に重なっている。また、鉛直部141の上端部近傍の部分には、支持孔143が形成されている。支持孔143は、鉛直部141を左右方向に貫通する円形の貫通孔である。支持孔143には、揺動軸123が挿通されている。これにより、板状部140が揺動軸123を中心に揺動可能に支持されている。
【0060】
また、鉛直部141の上端部近傍の部分には、3つの固定孔144a~144cが形成されている。3つの固定孔144a~144cは、3つの固定孔124a~124cに対応して設けられたものである。固定孔144a~144cは、鉛直部141を左右方向に貫通しており、それぞれ、固定孔124a~124cと左右方向に重なっている。また、固定孔144a~144cは、上下方向に延びた長孔である。また、固定孔144bは固定孔144aよりも上下方向の長さが長く、固定孔144cは固定孔144bよりも上下方向の長さが長い。すなわち、固定孔144a~144cは、揺動軸123から離れているものほど上下方向の長さが長い。
【0061】
そして、取付部材120の固定孔124aと板状部140の固定孔144aとに挿通されたボルト145aと、取付部材120の固定孔124bと板状部140の固定孔144bとに挿通されたボルト145bと、取付部材120の固定孔124cと板状部140の固定孔144cとに挿通されたボルト145cとによって、取付部材120と板状部140とが固定される。
【0062】
また、ボルト145a~145cを緩めた状態では、板状部140を、揺動軸123を中心に揺動させることができる。そして、板状部140を、揺動軸123を中心に揺動させると、固定孔144a~144cの固定孔124a~124cと左右方向に重なる部分が変化する。これにより、板状部140を、揺動範囲の任意の位置に位置させた状態で、ボルト145a~145cにより板状部140を取付部材120に固定することができる。ここで、板状部140の揺動範囲は、緩めたボルト145a~145cが固定孔124a~124c及び固定孔144a~144cに挿通された状態での、板状部140の揺動範囲である。
【0063】
水平部142は、取付部材120の水平部122の下方に位置し、水平部122と上下方向に重なっている。また、図4図5(a)に示すように、水平部142の、揺動軸123よりも後方に位置する部分にはジャッキ部材146が設けられている。ジャッキ部材146は、上下方向に移動させることができるとともに、上下方向の任意の位置で水平部142に固定することができるようになっている。例えば、ジャッキ部材146は、水平部142を上下方向に貫通するネジ孔に挿通されたボルトによって構成されている。また、ジャッキ部材146は上下方向の移動範囲の少なくとも一部の範囲に位置している状態で、水平部142よりも上方に突出する。そして、水平部142よりも上方に突出したジャッキ部材146の上端部が、取付部材120の水平部122の下面に接触する。この状態では、ジャッキ部材146により、板状部140の水平部142と取付部材120の水平部122との隙間が広げられる。また、このとき、ジャッキ部材146がより上方に位置していてジャッキ部材146の水平部142からの突出量が大きいときほど、この隙間が大きく広げられる。
【0064】
板状部150は、前後方向から見て略L字状に構成されており、上下方向及び前後方向に延びた鉛直部151と、鉛直部151の上端部から右方に延びた水平部152(本発明の第2突当部)とを有する。
【0065】
鉛直部151の上端部近傍の部分(本発明の「第2固定部」)は、取付部材130の鉛直部131の右側に位置し、鉛直部131と左右方向に重なっている。また、鉛直部151の上端部近傍の部分には、支持孔153が形成されている。支持孔153は、鉛直部151を左右方向に貫通する円形の貫通孔である。支持孔153には、揺動軸133が挿通されている。これにより、板状部150が揺動軸133を中心に揺動可能に支持されている。
【0066】
また、鉛直部151の上端部近傍の部分には、3つの固定孔154a~154cが形成されている。3つの固定孔154a~154cは、3つの固定孔134a~134cに対応して設けられたものである。固定孔154a~154cは、鉛直部151を左右方向に貫通しており、それぞれ、固定孔134a~134cと左右方向に重なっている。また、固定孔154a~154cは、上下方向に延びた長孔である。また、固定孔154bは固定孔154aよりも上下方向の長さが長く、固定孔154cは固定孔154bよりも上下方向の長さが長い。すなわち、固定孔154a~154cは、揺動軸133から離れているものほど上下方向の長さが長い。
【0067】
そして、取付部材130の固定孔134aと板状部150の固定孔154aとに挿通されたボルト155aと、取付部材130の固定孔134bと板状部150の固定孔154bとに挿通されたボルト155bと、取付部材130の固定孔134cと板状部150の固定孔154cとに挿通されたボルト155cとによって、取付部材130と板状部150とが固定される。
【0068】
また、ボルト155a~155cを緩めた状態で、板状部150を、揺動軸133を中心に揺動させることができる。板状部150を、揺動軸133を中心に揺動させると、固定孔154a~154cの固定孔134a~134cと左右方向に重なる部分が変化する。これにより、板状部150を、揺動範囲の任意の位置に位置させた状態で、ボルト155a~155cにより板状部150を取付部材130に固定することができる。ここで、板状部150の揺動範囲は、緩めたボルト155a~155cが固定孔134a~134c及び固定孔154a~154cに挿通された状態での、板状部150の揺動範囲である。
【0069】
水平部152は、取付部材130の水平部132の下方に位置し、水平部132と上下方向に重なっている。また、図5(b)に示すように、水平部152の、揺動軸133よりも後方に位置する部分にはジャッキ部材156が設けられている。ジャッキ部材156は、ジャッキ部材146と同様のものであり、ジャッキ部材156が水平部152よりも上方に突出している状態で、ジャッキ部材156の上端部が取付部材130の水平部132の下面に接触し、板状部150の水平部152と取付部材130の水平部132との隙間が広げられる。また、このとき、ジャッキ部材156がより上方に位置していてジャッキ部材156の水平部152からの突出量が大きいときほど、この隙間が大きく広げられる。
【0070】
また、板状部140の左端面は、カバー160aによって覆われている。また、板状部150の右端面は、カバー160bによって覆われている。また、板状部140の上前端部と板状部150の上前端部とは、左右方向に延びる連結部材161によって連結されている。また、板状部140の上後端部と板状部150の上後端部とは、左右方向に延びる連結部材162によって連結されている。なお、図2図3では、カバー160a、160b及び連結部材162の外形を二点鎖線で示し、図4図5(a)、(b)では、カバー160a、160bの図示を省略している。また、揺動部102は、連結部材161、162以外にも板状部140と板状部150とを連結する部材を有していてもよい。
【0071】
第2フレーム部102bは、第1フレーム部102aの下端部に取り付けられている。具体的には、第2フレーム部102bは、板状部140、150の下端部に不図示のボルトなどによって固定されている。また、装置本体100は、左右方向において、板状部140と板状部150との間に位置し、上述したように、上下方向において第1フレーム部102aと第2フレーム部102bとにわたって配置されている。
【0072】
ここで、本実施形態では、上述したように、板状部140を、揺動軸123を中心に揺動させるとともに、板状部150を、揺動軸133を中心に揺動させることによって、揺動部102を、揺動軸123、133を中心に揺動させることができる。また、本実施形態では、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、ジャッキ部材146、156が、揺動軸123、133よりも後方に位置している。一方で、本実施形態では、図4に示すように、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、揺動部102とこれに取り付けられた装置本体100とによって構成される構造体180の重心Gが、揺動軸123、133に対して下方且つ前方(前後方向における同じ側)に位置する。これにより、前後方向において、ジャッキ部材146、156、水平部142、152のジャッキ部材146、156が取り付けられた部分、及び、水平部122、132のジャッキ部材146、156の上端部が接触する部分は、いずれも、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、揺動軸123、133に対して、重心Gと反対側に位置する。
【0073】
また、図1図4図5(a)、(b)に示すように、揺動部102は、前側のレール99aよりも前方まで延びている。そして、揺動部102の上面の、前側のレール99aよりも前方に位置する部分には、玉揚装置3の位置を検出するための位置検出センサ170が設けられている。一方、前側のレール99aの鉛直部99a1には、複数の位置決め孔171が形成されている。複数の位置決め孔171は、レール99aの鉛直部99a1の、玉揚装置3が各巻取ユニット2に対して作業を行うために停止する位置に位置している状態で、位置検出センサ170と対向する位置に形成されている。そして、位置検出センサ170により位置決め孔171が検出されたことに基づいて、走行部101を停止させることによって、玉揚装置3を巻取ユニット2に対して作業を行うため位置で停止させることができる。
【0074】
なお、位置検出センサ170により位置決め孔171が検出されたことに基づいて、走行部101を停止させる動作については、例えば、特開2022-177371号公報に記載されているものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0075】
(玉揚装置の位置調整方法)
次に、玉揚装置3の位置の調整方法について説明する。
【0076】
本実施形態では、板状部140、150を、それぞれ、揺動軸123、133を中心に揺動させることによって、上記構造体180を、揺動軸123、133を中心に揺動させることができる。そして、構造体180を揺動させることによって、玉揚装置3(装置本体100)の前後方向の位置を調整することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上述したように、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、ジャッキ部材146、156が揺動軸123、133よりも後方に位置し、構造体180の重心Gが揺動軸123、133よりも前方に位置する。そのため、構造体180には、自身の重みにより、揺動軸123、133を中心に、板状部140、150の水平部142、152を、取付部材120、130の水平部122、132に近づける方向に揺動させようとするモーメントが生じる。
【0078】
したがって、ボルト145a~145c、155a~155cを緩め、外力を加えなければ、構造体180は、構造体180の重みによるモーメントによって、板状部140の水平部142又はジャッキ部材146が取付部材120の水平部122に突き当たり、板状部150の水平部152又はジャッキ部材156が、取付部材130の水平部132に突き当たるまで揺動する。
【0079】
そして、ボルト145a~145c、155a~155cを緩めた状態で、ジャッキ部材146により取付部材120の水平部122と板状部140の水平部142との隙間を大きくし、ジャッキ部材156により取付部材130の水平部132と板状部150の水平部152との隙間を大きくすると、構造体180は、構造体180の重みによるモーメントに逆らって、水平部142が水平部122から離れ、水平部152が水平部132から離れる方向に揺動する。これにより、装置本体100の位置がより前方の位置となり、装置本体100が巻取ユニット2から離れる。
【0080】
また、ボルト145a~145c、155a~155cを緩めた状態で、ジャッキ部材146により取付部材120の水平部122と板状部140の水平部142との隙間を小さくし、ジャッキ部材156により取付部材130の水平部132と板状部150の水平部152との隙間を小さくすると、構造体180は、構造体の重みによるモーメントによって、水平部142が水平部122とが近づき、水平部152が水平部132に近づく方向に揺動する。これにより、装置本体100の位置がより後方の位置となり、装置本体100が巻取ユニット2に近づく。
【0081】
玉揚装置3の位置を調整するときには、装置本体100あるいは揺動部102の所定の部分と、巻取ユニット2の所定の部分との距離を測定する。
【0082】
そして、上記距離が所望の範囲よりも短い場合には、ボルト145a~145c、155a~155cを緩め、ジャッキ部材146により水平部122と水平部142との隙間を大きくし、ジャッキ部材156により水平部132と水平部152との隙間を大きくすることによって、上記距離がより長くなるように構造体180を揺動させる。
【0083】
一方、上記距離が所望の範囲よりも長い場合には、ボルト145a~145c、155a~155cを緩め、ジャッキ部材146により水平部122と水平部142との隙間を小さくし、ジャッキ部材156により水平部132と水平部152との隙間を小さくすることによって、上記距離がより短くなるように構造体180を揺動させる。
【0084】
以下、上記距離が所望の範囲内に収まるまで、上記距離の測定と、ジャッキ部材146、156による上記隙間の調整とを繰り返す。これにより、玉揚装置3(装置本体100)の位置を所望の位置に調整することができる。そして、玉揚装置3(装置本体100)の位置を所望の位置に調整したのちに、ボルト145a~145c、155a~155cを締めて、揺動部102(構造体180)を走行部101に固定する。
【0085】
また、このとき、ジャッキ部材146による水平部122と水平部142との隙間の調整と、ジャッキ部材156による水平部132と水平部152との隙間の調整とを個別に行うことによって、玉揚装置3の左右方向の傾きも調整することができる。
【0086】
(効果)
本実施形態では、玉揚装置3の装置本体100が取り付けられた揺動部102を、揺動軸123、133を中心に揺動させることによって、玉揚装置3の装置本体100の位置を簡単に調整することができる。
【0087】
また、本実施形態では、鉛直部121に形成された固定孔124a~124cと、鉛直部141に形成された固定孔144a~144cとに挿通されたボルト145a~145cによって、取付部材120と板状部140とを固定する。また、鉛直部131に形成された固定孔134a~134cと、鉛直部151に形成された固定孔154a~154cとに挿通されたボルト155a~155cによって、取付部材130と板状部150とを固定する。これにより、走行部101と揺動部102とを固定することができる。また、固定孔144a~144cを上下方向の延びた長孔とすることにより、板状部140を、揺動軸123を中心に揺動させても、固定孔124a~124cと固定孔144a~144cとが左右方向に重なり、ボルト145a~145cを挿通することができるようにすることができる。同様に、固定孔154a~154cを上下方向の延びた長孔とすることにより、板状部150を、揺動軸133を中心に揺動させても、固定孔134a~134cと固定孔154a~154cとが左右方向に重なり、ボルト155a~155cを挿通することができるようにすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、構造体180の重心Gが、揺動軸123,133に対して前側にずれている。そのため、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、構造体180には、構造体180の重みにより、揺動軸123、133を中心に、構造体180を同じ方向に揺動させようとするモーメントが生じる。
【0089】
したがって、揺動部102の位置を調整する際には、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、構造体180に、構造体180の重みによるモーメントと反対方向のモーメントを生じさせるような力を加えればよい。これにより、揺動部102の位置を調整する作業を簡単にすることができる。
【0090】
また、本実施形態では、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、水平部122、132のジャッキ部材146、156の上端部が接触する部分、及び、水平部142、152のジャッキ部材146、156が設けられた部分が、揺動軸123、133よりも後方に位置しているのに対して、構造体180の重心Gが揺動軸123、133よりも前方に位置している。したがって、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、構造体180には、板状部140、150の水平部142、152を、取付部材120、130の水平部122、132に近づく方向に揺動させようとするモーメントが生じる。
【0091】
したがって、揺動部102の位置を調整する際には、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、構造体180を、揺動軸123、133を中心に水平部142、152を水平部122、132から離れる方向に揺動させようとするモーメントを構造体180に生じさせるような力を加えればよい。また、構造体180に、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、水平部142、152を水平部122、132に近づける方向に揺動させようとするモーメントが生じるため、揺動部102の位置を調整する際に、構造体180を支持していなくても、揺動部102は、水平部142、152又はジャッキ部材146、156が水平部122、132に突き当たるまでしか揺動しない。これらのことから、揺動部102の位置を調整する作業を簡単にすることができる。
【0092】
なお、本実施形態では、ジャッキ部材146が水平部122と水平部142との隙間を広げようとする力、及び、ジャッキ部材156が水平部132と水平部152との隙間を広げようとする力が、水平部142、152を水平部122、132から離れる方向に揺動させようとするモーメントを生じさせるような力、すなわち、構造体180の重みによるモーメントと反対方向のモーメントを生じさせるような力である。
【0093】
また、本実施形態では、前後方向において、揺動部102の揺動範囲の位置によらず、ジャッキ部材146、156が、揺動軸123、133に対して、重心Gと反対側に位置する。したがって、ジャッキ部材146、156を下方に移動させて、板状部140、150の水平部142、152と、取付部材120、130の水平部122、132との隙間を小さくすると、構造体180が、構造体180の重みによるモーメントによって、揺動軸123、133を中心に、板状部140、150の水平部142、152が、取付部材120、130の水平部122、132に近づく方向に揺動し、上記隙間が小さくなる。
【0094】
一方、ジャッキ部材146、156を上方に移動させて、板状部140、150の水平部142、152と、取付部材120、130の水平部122、132との隙間を大きくすると、構造体180が、構造体180の重みによる記モーメントに逆らって、揺動軸123、133を中心に、板状部140、150の水平部142、152が、取付部材120、130の水平部122、132から離れる方向に揺動し、上記隙間が大きくなる。
【0095】
これにより、構造体180の位置を調整する際に、構造体180を揺動させる方向によらず、ジャッキ部材146、156を上下方向に移動させるだけで、構造体180を揺動させることができる。したがって、構造体180の位置の調整を容易に行うことができる。
【0096】
また、本実施形態では、揺動部102の上下方向の長さが長いのに対して、揺動部102を、第1フレーム部102aと、第1フレーム部102aよりも下方に位置する(レール99a、99bから離れた)第2フレーム部102bとを有する、上下方向に分割可能なものとしている。これにより、玉揚装置3の設置時に、走行部101に第1フレーム部102aを取り付けた後に、第1フレーム部102aに第2フレーム部102bを取り付けることが可能であり、玉揚装置3の設置作業を容易にすることができる。
【0097】
ただし、この場合、第1フレーム部102aに第2フレーム部102bを取り付ける際に第1フレーム部102aと第2フレーム部102bとずれが生じ、その結果、揺動部102に取り付けられる装置本体100にもずれが生じることがある。本実施形態では、第1フレーム部201aと第2フレーム部201bとにずれがある場合でも、揺動部102を、揺動軸123、133を中心に揺動させることによって、玉揚装置3の装置本体100の位置を調整することができる。
【0098】
また、玉揚装置3が、巻取部40よりも下方に位置する糸貯留部30に対する作業を行うものであり、糸貯留部30と同じ高さに位置する部分を有する場合、玉揚装置3の糸貯留部30と同じ高さに位置する部分は、レール99a、99bからある程度大きく離れている。そのため、レール99a、99bの傾き、たわみなどによる玉揚装置3の糸貯留部30と同じ高さに位置する部分の位置のずれが、ある程度大きなものとなることがある。本実施形態では、揺動部102を、揺動軸123、133を中心に揺動させることによって、レール99a、99bからある程度大きく離れた、玉揚装置3の糸貯留部30と同じ高さに位置する部分の位置を調整することができる。
【0099】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0100】
上述の実施形態では、ジャッキ部材146により取付部材120の水平部122と板状部140の水平部142との隙間を変更することができ、ジャッキ部材156により取付部材130の水平部132と板状部150の水平部152との隙間を変更することができるようになっている。また、前後方向において、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、ジャッキ部材146、156、水平部142、152のジャッキ部材146、156が設けられた部分、及び、水平部122、132のジャッキ部材146、156が接触する部分が、揺動軸123、133に対して、構造体180の重心Gと反対側に位置している。しかしながら、これには限られない。
【0101】
例えば、ジャッキ部材は、水平部122、132に設けられ、水平部122、132から下方への突出量が変更可能となっていることによって、水平部122と水平部142との隙間及び水平部132と水平部152との隙間を変更可能なものであってもよい。あるいは、ジャッキ部材は、水平部142、152あるいは水平部122、132からの突出量を変更する以外の構成によって、水平部122と水平部142との隙間及び水平部132と水平部152との隙間を変更可能なものであってもよい。
【0102】
あるいは、ジャッキ部材146、156はなくてもよい。この場合には、ボルト145a~145c、155a~155cを緩めると、構造体180が、構造体180の重みによるモーメントによって、水平部142、152が水平部122、132に突き当たるまで揺動する。そして、構造体180の位置を調整するときには、例えば、オペレータが、構造体180に、水平部142、152を水平部122、132から離す方向のモーメントを生じさせるような力を加えることによって、構造体180を所望の位置まで揺動させる。そして、この状態で、ボルト145a~145c、155a~155cによって、鉛直部141、151を鉛直部121、131に固定する。
【0103】
さらに、取付部材120、130の水平部122、132及び板状部140、150の水平部142、152がなくてもよい。この場合には、オペレータは、構造体180を所望の位置まで揺動させ、その位置で構造体180を支持しつつ、ボルト145a~145cにより板状部140を取付部材120に固定し、ボルト155a~155cにより板状部150を取付部材130に固定する。
【0104】
また、例えば、揺動部102の揺動範囲内の位置によらず、揺動軸123、133が、ジャッキ部材146、156及び構造体180の重心Gよりも後方に位置していてもよい。この場合には、構造体180の重みにより、構造体180には、水平部142が水平部122から離れ、水平部152が水平部132から離れる方向のモーメントが発生する。したがって、この場合には、例えば、オペレータが、ジャッキ部材146、156の位置を調整したうえで、構造体180を押し上げるなどして、ジャッキ部材146、156の上端が水平部122、132に突き当たるまで、構造体180を揺動させる。そして、オペレータは、この状態で、ボルト145a~145cにより板状部140を取付部材120に固定し、ボルト155a~155cにより板状部150を取付部材130に固定する。
【0105】
また、揺動軸123、133と、ジャッキ部材146、156と、構造体180の重心の前後方向の位置関係は以上に説明したものと異なっていてもよい。例えば、揺動部102の揺動範囲内の位置によって上記前後方向における位置関係が異なっていてもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、取付部材120に形成された固定孔124a~124cが円形の孔であり、板状部140に形成された固定孔144a~144cが上下方向に延びた長孔である。また、上述の実施形態では、取付部材130に形成された固定孔134a~134cが円形の孔であり、板状部150に形成された固定孔154a~154cが上下方向に延びた長孔である。しかしながら、これには限られない。
【0107】
例えば、固定孔124a~124cが上下方向に延びた長孔であり、固定孔144a~144cが円形の孔であってもよい。また、固定孔134a~134cが上下方向に延びた長孔であり、固定孔154a~154cが円形の孔であってもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、走行部101を構成する取付部材120、130が鉛直部121、131を有し、揺動部102を構成する板状部140、150が鉛直部141、151を有する。そして、鉛直部121に形成された固定孔124a~124cと、鉛直部141に形成された固定孔144a~144cとに挿通されたボルト145a~145cによって、取付部材120と板状部140とを固定する。また、鉛直部131に形成された固定孔134a~134cと、鉛直部151に形成された固定孔154a~154cとに挿通されたボルト155a~155cによって、取付部材130と板状部150とを固定する。しかしながら、これには限られない。上記とは別の構成の固定部によって揺動部102を走行部101に固定してもよい。
【0109】
また、上述の実施形態では、揺動部102が、第1フレーム部102aと、第1フレーム部102aに固定された第2フレーム部102bとを有する上下に分割可能なものであったが、これには限られない。揺動部102が上下方向に分割できない構造であってもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、玉揚装置3が、巻取部40、及び、巻取部40よりも下方に配置された糸貯留部30に対する作業を行うものであり、糸貯留部30と同じ高さに位置する部分を有していたが、これには限られない。例えば、玉揚装置3が、巻取部40に対する作業を行い、且つ、糸貯留部30に対する作業を行わないものであり、玉揚装置3全体が、糸貯留部30よりも上方に位置していてもよい。
【0111】
また、上述の実施形態では、レール99a、99bが複数の巻取ユニット2よりも上方に位置し、玉揚装置3がレール99a、99bよりも下方に位置する部分を有していたが、これには限られない。例えば、レールが複数の巻取ユニット2が設置されているのと同じ面上に配置され、玉揚装置が、レールよりも上方に位置する部分を有していてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態は、複数の巻取ユニット2と玉揚装置3とを備えた自動ワインダに本発明を適用した例であるが、これには限られない。糸処理装置を構成する複数の糸処理ユニットは巻取ユニット以外のものであってもよい。糸処理装置を構成する作業台車は、玉揚装置以外のものであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1:自動ワインダ
2:巻取ユニット
3:玉揚装置
99a、99b:レール
100:装置本体
101:走行部
102:揺動部
102a:第1フレーム部
102b:第2フレーム部
121、131:鉛直部
122、132:水平部
123、133:揺動軸
124a~124c、134a~134c:固定孔
141、151:鉛直部
142、152:水平部
144a~144c、154a~154c:固定孔
145a~145c、155a~155c:ボルト
146、156:ジャッキ部材
図1
図2
図3
図4
図5