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特開2024-168624撮像装置及びその制御方法とプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168624
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】撮像装置及びその制御方法とプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/63 20230101AFI20241128BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241128BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241128BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20241128BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N23/63 300
H04N23/60 500
G03B15/00 Q
G02B7/28 N
G03B7/091
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085462
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】杉本 俊彦
【テーマコード(参考)】
2H002
2H151
5C122
【Fターム(参考)】
2H002GA05
2H002GA16
2H151DA15
2H151DA19
5C122FB05
5C122FC06
5C122FD01
5C122FD07
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK28
5C122FK37
5C122FK41
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB09
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】顔及び顔以外の体部位を含む品質の高い撮影画像を複数の人物ごとに偏り無く取得する。
【解決手段】撮像装置100は、撮影対象となる複数の被写体を登録する撮れ高テーブルと、撮像素子107により取得された撮影画像から取れ高テーブルに登録されている被写体を検出する被写体検出部140と、被写体検出部140により検出される被写体の状態を評価するための評価基準が設定される評価項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3と、被写体検出部140により検出された被写体の顔および顔以外の体部位を評価基準に照らし合わせることにより撮影画像の品質を表す評価値(撮れ高)を撮れ高テーブルに登録された被写体ごとに求める制御部121を備える。制御部121は、得られた評価値を撮れ高テーブルに登録された被写体ごとに表示部131に表示する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
撮影対象となる複数の被写体を登録する登録手段と、
前記撮像手段により取得された撮影画像から前記登録手段に登録されている被写体を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される被写体の状態を評価するための評価基準を設定する設定手段と、
前記検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせることにより、前記撮影画像の品質を表す評価値を前記複数の被写体ごとに求める評価手段と、
前記複数の被写体ごとの前記評価値の和を表示装置に表示する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像手段と、
複数の被写体を登録する登録手段と、
前記撮像手段により取得される画像から前記登録手段に登録されている被写体を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出される被写体の状態を評価するための評価基準を設定する設定手段と、
前記画像としての撮影画像から前記検出手段により検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせることにより、前記撮影画像の品質を表す評価値を前記複数の被写体ごとに求める評価手段と、
前記評価値と前記評価基準の少なくとも一方を用いて前記撮像手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記評価基準には、前記撮影画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記評価基準には更に、前記撮影画像における被写体の合焦状態と前記撮影画像における被写体の撮影サイズの少なくとも一方が定義されていることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記評価基準として、前記合焦状態と、前記顔および顔以外の体部位と、前記撮影サイズとが定義されると共に、前記合焦状態と、前記顔および顔以外の体部位と、前記撮影サイズのそれぞれに重みが定義され、
前記評価手段は、前記合焦状態、前記体部位および前記撮影サイズのそれぞれについてランク分けされた点数が定義されたテーブルを保持し、
前記評価値は、前記合焦状態、前記体部位および前記撮影サイズのそれぞれについて前記撮影画像ごとに前記テーブルから求められた点数に対して対応する前記重みを乗算して得られる値の和で求められることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮影画像から予め設定された所定数以上の被写体が検出され、且つ、当該被写体のサイズまたは当該被写体の顔のサイズが所定サイズ以下である場合、前記評価手段は、前記評価基準として前記撮影画像における被写体の撮影サイズが定義されている場合であっても、前記評価値を演算しないことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記評価値の和が最も小さい被写体が撮影されるように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記評価値の和が小さい被写体から順に撮影対象を切り換えながら前記撮像手段による連続撮影を行うことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記評価基準には前記画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されており、
前記検出手段は、前記画像としてのライブビュー画像における被写体が前記複数の被写体のいずれかである場合に当該被写体の体部位を検出し、
前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記検出手段により検出された体部位が前記評価基準に定義された体部位の条件を満たす被写体の撮影画像を取得するように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記評価基準には前記画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されており、
前記検出手段は、前記複数の被写体のそれぞれについて前記画像としてのライブビュー画像から前記評価基準に定義されている体部位を検出し、
前記制御手段は、前記ライブビュー画像に前記複数の被写体のうちの2人以上が写っている場合に、前記2人以上の被写体のそれぞれについて検出された体部位の数を前記検出手段により検出された全ての体部位の数で除した値の大きい被写体から優先的にピントを合わせるよう前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記画像としてのライブビュー画像において、前記複数の被写体のいずれかに隣接して前記登録手段に登録されていない被写体が検出された場合に、当該隣接している被写体に同時にピントが合うように前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記検出手段が前記画像としてのライブビュー画像において規則的に整列して撮影画角の全域を移動する複数の被写体を検出した場合に、前記登録手段に登録されている被写体に対して前記評価値の和の小さい順にまたは至近判定された順にピントを合わせるよう前記撮像手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮像装置の制御方法であって、
複数の被写体を登録手段に登録するステップと、
前記撮像装置が備える撮像手段により取得される撮影画像における被写体の状態を評価するための評価基準を設定するステップと、
前記撮影画像から前記登録手段に登録された被写体を検出するステップと、
前記検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせて前記撮影画像の品質を表す評価値を前記登録された被写体ごとに求めるステップと、
前記登録された被写体ごとの前記評価値の和を表示手段に表示するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項14】
撮像装置の制御方法であって、
複数の被写体を登録手段に登録するステップと、
前記撮像装置が備える撮像手段により取得される画像における被写体の状態を評価するための評価基準を設定するステップと、
前記画像から前記登録手段に登録された被写体を検出するステップと、
前記画像としての撮影画像から検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせて前記撮影画像の品質を表す評価値を前記登録された被写体ごとに求めるステップと、
前記評価値と前記評価基準の少なくとも一方を用いて前記撮像手段を制御するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1又は2に記載の撮像装置の前記登録手段、前記検出手段、前記設定手段、前記評価手段および前記制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法とプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の状態を検出し、被写体が所定の状態になったときに撮影を行い、撮影回数をカウントする撮影装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された撮像装置は、被写体の笑顔を検出したときに自動的に撮影を行う。この撮像装置は、笑顔の被写体を捉えた笑顔画像の撮影画像数が基準数に到達すると、それ以降は、被写体の笑顔以外の表情(泣き顔、困り顔等)又は動作(ジェスチャー)が検出されたときに自動的に撮影を行う。
【0003】
また、特許文献2に開示された撮像装置は、撮影画像を取得すると、撮影画像内の被写体認識処理を行い、被写体の状態が予め設定された特定の状態であるか否かを判断し、特定の状態であると判断した被写体の撮影回数をインクリメントして記憶する。これにより、撮影者は、複数の被写体の撮影中に、被写体ごとに特定の状態で撮影された撮影回数を容易に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-273281号公報
【特許文献2】特開2009-290819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮影者は、人物の顔だけでなく、人物の手足や半身、全身といった顔以外の体部位が顔と共に撮影されている撮影画像を求める場合が多々ある。例えば、運動会等の学校行事において児童の演技や競技を撮影する場合、児童の顔だけでなく、手足の動きや仕草、体全体の動き等もわかる画像が撮影されていることが望まれることが多い。
【0006】
この場合、人物の顔と共に人物の顔以外の情報が同時に撮影されていることが、撮影画像の品質を評価する上で重要となる。つまり、撮影画像の品質評価には、人物の顔に加えて、顔以外の情報を含める必要がある。また、被写体が所望される状態で撮影された撮影画像を複数の人物ごとに均等に取得することが望ましい。そのため、人物ごとに取得された撮影画像の品質を撮影中に容易に把握することができれば、撮影者は品質の高い撮影画像を取得することができていない人物を優先的に撮影することが可能となる。
【0007】
このような要求に対して、特許文献1に記載された撮像装置では、検出されるジェスチャーは、あくび、くしゃみ、ウインク等の顔の動作に限られている。また、特許文献2は、予め規定された条件に合致するか否かの判断に従って撮影回数を加算しているが、撮影画像の品質評価については言及していない。
【0008】
本発明は、顔及び顔以外の体部位を含む品質の高い撮影画像を複数の人物ごとに偏り無く取得することを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る撮像装置は、撮像手段と、撮影対象となる複数の被写体を登録する登録手段と、前記撮像手段により取得された撮影画像から前記登録手段に登録されている被写体を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される被写体の状態を評価するための評価基準を設定する設定手段と、前記検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせることにより、前記撮影画像の品質を表す評価値を前記複数の被写体ごとに求める評価手段と、前記複数の被写体ごとの前記評価値の和を表示装置に表示する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、顔及び顔以外の体部位を含む品質の高い撮影画像を複数の人物ごとに偏り無く取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
図2】撮像装置が備える撮像素子の画像配列を説明する正面図である。
図3】1つの撮像画素の正面図と、正面図中の矢視a-aでの断面図である。
図4】撮像光学系の射出瞳と撮像画素の光電変換部との関係を示す断面図である。
図5】撮像素子による瞳分割を説明する図である。
図6】デフォーカス量と焦点検出信号の位相差の関係を説明する模式図である。
図7】撮像素子が焦点検出信号を取得する焦点検出領域を説明する模式図である。
図8】撮像装置での撮影動作のフローチャートである。
図9】S806の撮像処理の詳細を示すフローチャートである。
図10】被写体ごとの総撮れ高を示す撮れ高テーブルの一例を示す図である。
図11】評価項目定義テーブル及び評価点定義テーブルの一例を示す図である。
図12】評価点定義テーブル1で設定される被写体の体部位を説明する図である。
図13】撮影シーンの一例を示す図である。
図14】撮れ高テーブルの表示例を示す図である。
図15】S804の被写体追従AF処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係る撮像装置100の概略構成を示す図である。撮像装置100は、具体的にはデジタルカメラであるが、これに限られず、デジタルビデオカメラであってもよいし、撮像機能と撮影画像の解析を行う機能を備えているスマートフォン等の携帯型端末(電子機器)であってもよい。
【0014】
撮像装置100は、第1レンズ群101、絞り102、第2レンズ群103、第3レンズ群105、光学ローパスフィルタ106、ズームアクチュエータ111、絞りアクチュエータ112及びフォーカスアクチュエータ114を備える。撮像装置100はまた、フォーカス駆動回路126、絞り駆動回路128、ストロボ装置115、AF補助光発光部116、ストロボ制御回路122、補助光駆動回路123、制御部121、撮像素子107及び撮像素子駆動回路124を備える。撮像装置100は更に、シャッタ108、画像処理部125、表示部131、操作スイッチ群132、フラッシュメモリ133、被写体検出部140、記憶部141、姿勢取得部142及び外部装置インタフェース部143を備える。
【0015】
第1レンズ群101、絞り102、第2レンズ群103、第3レンズ群105及び光学ローパスフィルタ106は、撮像光学系を構成する。撮像光学系のうち最も被写体側(前側)に配置された第1レンズ群101は、光軸方向に移動可能に保持されている。絞り102の開口径を調節することにより撮像素子107へ入射する光量を調整することができる。第2レンズ群103は、絞り102と一体となって光軸方向に移動し、光軸方向に移動する第1レンズ群101と共に変倍動作(ズーム動作)を行う。第3レンズ群105は、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズである。光学ローパスフィルタ106は、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。
【0016】
ズームアクチュエータ111は、カム筒(不図示)を光軸まわりに(光軸を中心として)回転させることにより、カム筒に設けられたカムによって第1レンズ群101と第2レンズ群103を光軸方向に移動させることにより変倍動作を行う。絞りアクチュエータ112は、絞り102が備える複数の遮光羽根(不図示)を開閉方向に駆動することにより、撮像素子107へ入射する光量を調節する。フォーカスアクチュエータ114は、第3レンズ群105を光軸方向に移動させて、被写体に対する合焦動作(ピント合わせ)を行う。
【0017】
フォーカス駆動回路126は、制御部121からの制御信号に従ってフォーカスアクチュエータ114を駆動し、第3レンズ群105を光軸方向に移動させる。これにより所定の被写体に対する合焦動作が行われる。絞り駆動回路128は、制御部121からの制御信号に従って絞りアクチュエータ112を駆動し、これにより絞り102の開口径が調節される。ズーム駆動回路129は、撮影者(ユーザ)のズーム操作に従ってズームアクチュエータ111を駆動する。本実施形態では、撮像光学系、各アクチュエータ及び各駆動回路は、撮像素子107を装備した撮像装置100の本体部と一体に設けられているものとするが、これに限られず、撮像装置100の本体部に対して着脱可能な交換レンズとして構成されていてもよい。
【0018】
ストロボ装置115は、キセノン管やLED等の発光素子を有し、被写体に光を照射する。AF補助光発光部116は、LED等の発光素子を有し、所定の開口パターンを有するマスクの像を投光レンズを介して被写体に投射することで、暗い被写体又は低コントラストの被写体に対する焦点検出性能を向上させる。ストロボ制御回路122は、静止画撮影のための露光タイミングに同期させてストロボ装置115を発光させる制御を行う。補助光駆動回路123は、焦点検出動作に同期させてAF補助光発光部116を発光させる制御を行う。
【0019】
制御部121は、CPU、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ及び通信インタフェース回路等を有し、ROMに記憶された各種プログラムをRAMに展開することにより、撮像装置100を構成する各部の動作を統括的に制御する。撮像素子107は、撮像光学系により形成される被写体像を光電変換する複数の画素を含む二次元CMOSフォトセンサとその周辺回路で構成されており、撮像光学系の結像面に配置されている。撮像素子駆動回路124は、制御部121からの指令を受けて撮像素子107の動作を制御する。これにより、撮像素子107は、光電変換により生成されたアナログ信号をA/D変換し、生成されたデジタル信号(画像データ)を制御部121へ送信する。
【0020】
シャッタ108は、フォーカルプレーンシャッタとシャッタ駆動回路を備え、シャッタ駆動回路が制御部121からの制御信号に従ってフォーカルプレーンシャッタを駆動する。フォーカルプレーンシャッタは、撮像素子107からの信号の読み出し中は撮像素子107を遮光する。撮像素子107に対する露光中にはフォーカルプレーンシャッタが開かれて、撮像素子107へ入射光が導かれる。
【0021】
画像処理部125は、制御部121内のRAMに蓄積された画像データに対して所定の画像処理を行う。画像処理部125が実行する画像処理としては、ホワイトバランス調整処理、色補間(デモザイク)処理、ガンマ補正処理等の、所謂、現像処理が挙げられ、この他にも信号形式変換処理やスケーリング処理等があるが、これらに限定されるものではない。画像処理部125は更に、各被写体の体部位(関節を含む)の位置、固有物体の位置や大きさ情報、被写体の重心、顔や瞳の位置情報等を画像から検出し、検出された各種の情報を画像データと共に制御部121内のRAMに保存する。なお、画像処理部125が検出した各種の情報を画像処理(例えば、ホワイトバランス調整処理等)に利用するようにしてもよい。
【0022】
表示部131は、液晶パネル等の表示装置を有しており、撮像装置100の撮影モードに関する情報、ライブビュー映像、確認用の撮影画像、焦点検出領域の指標や合焦画像等を表示する。操作スイッチ群132は、電源スイッチやレリーズスイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等を含み、撮影者により操作される。なお、表示部131の表示装置にはタッチパネルが重畳配置されており、撮影者はタッチパネルに対するタッチ操作によって各種の操作を行うことが可能となっている。フラッシュメモリ133は、撮像装置100に対して着脱可能な記録媒体であり、撮影画像を記録する。
【0023】
被写体検出部140は、機械学習により生成される辞書データに基づいて、ライブビュー画像(以下「LV画像」と記す)から被写体を検出する(後述するS804(被写体追従AF処理)についての説明参照)。また、被写体検出部140は、撮影画像(後述するS905でフラッシュメモリ133に記憶される画像)からの被写体検出も行う。被写体検出部140は、例えば、機械学習されたそれぞれが異なるCNN(コンボリューショナル・ニューラル・ネットワーク)により構成され、撮影画像に含まれる被写体の位置等を推定する。被写体検出部140は、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)やCNNによる推定処理に特化した回路で実現されてもよい。
【0024】
なお、CNNの機械学習は任意の手法で行われる。例えば、サーバ等の所定のコンピュータがCNNの機械学習を行い、撮像装置100が学習済みのCNNを所定のコンピュータから取得する構成であってもよい。また、所定のコンピュータが学習用画像データを入力とし、学習用画像データに対応する被写体の位置等を教師データとした教師あり学習を行うことでCNNの学習が行われて、学習済みのCNNが生成されてもよい。CNNの学習は、撮像装置100で行われてもよい。
【0025】
本実施形態では、被写体検出部140は、被写体としての人物の検出と、人物の顔や瞳、手、足、胴体等の体部位の検出を行う。検出対象とする体部位の例については後述する。被写体検出部140は、撮影画像の画像データと辞書データとに基づいて、撮影画像中の被写体位置(人物位置)を推定する。人物全体を検出するための辞書データと人物の顔等の体部位を検出するための辞書データとは、個別に記憶部141に記憶されていてもよい。
【0026】
また、被写体検出部140は、被写体ごとの辞書データを順次切り替えながら被写体検出を行う。辞書データとは、被写体の特徴が登録されたデータである。被写体ごとの辞書データは記憶部141に記憶されている。制御部121は、複数の辞書データの中からどの辞書データを用いて被写体検出を行うかを、事前に設定された被写体の優先度や撮像装置100の設定に基づいて決定する。
【0027】
なお、被写体検出部140は、被写体位置に限らず、サイズや信頼度等を推定して、推定した情報を出力してもよいし、他の情報を出力してもよい。また、被写体検出部140は、事前に顔が登録された個人を特定すること(個人認証)を行うことで被写体を検出するものであってもよい。その場合、撮像装置100には認証画像登録モード(顔登録モード)が設けられ、認証画像登録モードでは、登録される人物の少なくとも顔の特徴量を示す特徴情報が辞書データに登録される。個人認証では、先ず、撮影画像に存在する人物の顔及びその器官検出(例えば、目及び口等の器官検出)を行って人物の顔の特徴量が抽出され、予め辞書データに登録されている顔の特徴量との類似度が演算される。そして、得られた類似度が所定の閾値以上である場合に、撮影画像に存在する人物の顔が辞書データに登録された人物の顔であると判定される。
【0028】
また、被写体検出部140は、複数の種類の被写体を検出してもよい。この場合、被写体検出部104は、種類ごとの辞書データを用いる。各辞書データには、例えば、被写体として、人物を検出するための辞書データ、動物を検出するための辞書データ、乗物を検出するための辞書データ、ボールやグローブ、バット等の道具を検出するための辞書データ等がある。
【0029】
記憶部141には、前述したように被写体ごとの辞書データと、被写体認証を行うための被写体認証画像が格納されている。また、記憶部141には、撮影画像の品質評価を行う際に参照される評価項目定義テーブル及び点数定義テーブルと、登録された被写体ごとの撮影画像の品質評価結果を表す撮れ高テーブルが記憶されている。これら各種テーブルの詳細については後述する。
【0030】
姿勢取得部142は、被写体検出部140が検出した複数の被写体それぞれの姿勢を推定し、姿勢情報を取得する。前述したように、被写体検出部140はLV画像及び撮影画像からの被写体検出を行うため、姿勢取得部142もまたLV画像及び撮影画像から被写体の姿勢情報を取得する。
【0031】
姿勢取得部142が取得すべき姿勢情報の内容は、被写体の種類に応じて設定されるが、本実施形態では、人物を被写体として、姿勢取得部142は被写体の複数の体部位の位置を取得するものとする。姿勢取得部142が取得する被写体の体部位については、図12等を参照して後述する。なお、姿勢の推定方法は特に限定されるものではなく、例えば、Cao,Zheらによる下記文献に記載された方法を用いることができる。
【0032】
Cao, Zhe, et al., "Realtime multi-person 2d pose estimation using part affinity fields.", Proceedings of the IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, 2017.
【0033】
外部装置インタフェース部143は、外部機器を撮像装置100と接続して情報のやり取りを行う。外部装置としては、スマートフォンや外部モニタ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。撮像装置100と外部装置との通信接続は、USB等の有線接続であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の無線信接続であってもよい。撮像装置100は、撮像装置100と接続された外部装置に記憶された被写体認証画像や後述する評価項目定義テーブル及び点数定義テーブルを、必要に応じて外部装置から取得するように構成されていてもよい。
【0034】
次に、図2乃至図7を参照して、撮像素子107の構成と撮像素子107による焦点検出について説明する。図2は、撮像素子107の画像配列を説明する正面図であり、撮像素子107のうち4画素列×4画素行の範囲の画素配列を光軸方向(z方向)の被写体側から見て示している。1つの画素ユニット200は、2行×2列に配置された4つの撮像画素を有する。1つの画素ユニット200は、左上にR(赤)の分光感度を有する撮像画素(R画素200R)を、右上と左下にG(緑)の分光感度を有する撮像画素(G画素200G)を、右下にB(青)の分光感度を有する撮像画素(B画素200B)を有する。各撮像画素は、水平方向(x方向)に分割された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202を有する。
【0035】
本実施形態では、撮像素子107における撮像画素の画素ピッチPは4μm、撮像画素数Nは、水平(x)×垂直(y)=5575列×3725行=約2075万画素、となっている。また、焦点検出画素の画素ピッチPAFは2μm、焦点検出画素数NAFは、水平×垂直=11150列×3725行=約4150万画素、となっている。但し、撮像素子107のこのような撮像画素数や配置、各撮像画素は一例である。例えば、図2の構成では、各撮像画素は、水平方向に2分割されているが、垂直方向に2分割されていてもよい。また、撮像素子107は、各撮像画素が第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素202を有するが、撮像画素と第1及び第2焦点検出画素とを別々の画素で備えていてもよい。例えば、複数の撮像画素の中に第1及び第2焦点検出画素が離散的に配置されていてもよい。
【0036】
図3(a)は、撮像素子107を光軸方向の被写体側から見た場合の1つの撮像画素(R画素200R、G画素200G及びB画素200Bのどれであってもよい)を示す図である。図3(b)は、図3(a)中に示す矢視a-aでの断面図である。
【0037】
1つの撮像画素は、入射光を集光するための1つのマイクロレンズ305を有する。また、1つの撮像画素は、x方向にN分割(本実施形態では2分割)された光電変換部301,302を有する。光電変換部301,302はそれぞれ、第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素202に相当する。光電変換部301,302の重心はそれぞれ、マイクロレンズ305の光軸に対して、-x側と+x側に偏心している。
【0038】
撮像画素では、マイクロレンズ305と光電変換部301,302との間にRGBのいずれかの色のカラーフィルタ306が設けられている。なお、光電変換部ごとにカラーフィルタの分光透過率を変えてもよいし、カラーフィルタを省略してもよい。撮像光学系から撮像画素に入射した光は、マイクロレンズ305により集光され、カラーフィルタ306で分光された後に光電変換部301,302で受光され、光電変換部301,302において光電変換されて、アナログ信号が生成される。
【0039】
図4は、撮像光学系の射出瞳と撮像画素の光電変換部301,302との関係を図3(a)中に示す矢視b-bでの断面図を用いて表した模式図である。なお、図4中の矢視b-bでの断面図と図3(b)の矢視a-aでの断面図とではx方向とy方向が逆となる。
【0040】
射出瞳のうち+X側に重心が偏心した第1瞳領域501は、マイクロレンズ305によって、撮像画素のうち-x側の光電変換部301の受光面と概ね共役な関係とされる領域である。第1瞳領域501を通過した光束は、光電変換部301(=第1焦点検出画素201)により受光される。また、射出瞳のうち-X側に重心が偏心した第2瞳領域502は、マイクロレンズ305によって、撮像画素のうち+x側の光電変換部302の受光面と概ね共役な関係とされる領域である。第2瞳領域502を通過した光束は、光電変換部302(=第2焦点検出画素202)により受光される。撮像画素全体で受光可能な瞳領域は、光電変換部301,302(第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素202)を合わせた瞳領域500で示される。
【0041】
図5は、撮像素子107による瞳分割を説明する図である。第1瞳領域501と第2瞳領域502をそれぞれ通過した光束は、撮像素子107の各撮像画素にそれぞれ異なる角度で入射し、2分割された第1焦点検出画素201及び第2焦点検出画素202で受光される。本実施形態では、撮像素子107の複数の第1焦点検出画素201からの出力信号が集められて第1焦点検出信号が生成されると共に、複数の第2焦点検出画素202からの出力信号が集められて第2焦点検出信号が生成される。そして、複数の第1焦点検出画素201からの出力信号と複数の第2焦点検出画素202からの出力信号とが加算されて、撮像画素信号が生成される。また、複数の撮像画素からの撮像画素信号が合成されて、有効画素数Nに相当する解像度の画像を生成するための撮像信号が生成される。
【0042】
図6は、撮像光学系のデフォーカス量と撮像素子107で生成される第1焦点検出信号及び第2焦点検出信号の位相差(像ずれ量)との関係を説明する模式図である。図4及び図5を参照して説明したように、撮像光学系の射出瞳は第1瞳領域501と第2瞳領域502に2分割されている。デフォーカス量は、被写体610,620からの入射光束の結像位置Cから撮像素子107の撮像面600までの距離の大きさの絶対値|d|で表される。結像位置Cが撮像面600よりも被写体側にある前ピン状態は負符号(-)で表され、結像位置Cが撮像面600より被写体とは反対側にある後ピン状態は正符号(+)で表されるように定義される。結像位置Cが撮像面600にある合焦状態では、d=0、となる。図6の例では、撮像光学系は、被写体610に対して合焦状態(d=0)にあり、被写体620に対して前ピン状態(d<0)にある。前ピン状態(d<0)と後ピン状態(d>0)を合わせてデフォーカス状態(|d|>0)と言う。
【0043】
前ピン状態(d<0)では、被写体620からの光束のうち第1瞳領域501(第2瞳領域502)を通過した光束は、一旦集光した後、光束の重心位置G1(G2)を中心として幅Γ1(Γ2)に広がり、撮像面600上でボケ像(ぼやけた像)を形成する。このボケ像は、撮像素子107の第1焦点検出画素201(第2焦点検出画素202)により受光され、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)が生成される。つまり、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)は、撮像面600上での光束の重心位置G1(G2)において被写体620がボケ幅Γ1(Γ2)だけぼやけた被写体像を表す信号となる。
【0044】
このとき、被写体像のボケ幅Γ1(Γ2)は、デフォーカス量|d|の大きさの増加に概ね比例して増加する。同様に、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量p(=光束の重心位置の差G1-G2)の大きさ(|p|)も、デフォーカス量|d|の大きさの増加に概ね比例して増加する。後ピン状態(d>0)では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ方向が前ピン状態とは逆になるが、前ピン状態(d<0)と同様のことが言える。
【0045】
即ち、デフォーカス量|d|の大きさの増加に伴って、第1及び第2焦点検出信号間の像ずれ量の大きさが増加する。本実施形態では、撮像素子107を用いて得られた第1及び第2焦点検出信号間の像ずれ量からデフォーカス量を演算する撮像面位相差検出方式の焦点検出が行われる。
【0046】
図7は、撮像素子107において第1及び第2焦点検出信号を取得する焦点検出領域を説明する模式図である。図7中、A(n,m)は、撮像素子107の有効画素領域700に設定された複数(n,m=1,2,3でx方向及びy方向に3つずつの計9つ)の焦点検出領域のうちx方向でn番目、y方向でm番目の焦点検出領域を示している。焦点検出領域A(n,m)に含まれる複数の第1及び第2焦点検出画素201,202(図7に不図示)からの出力信号から第1及び第2焦点検出信号が生成される。図7中、I(n,m)は、表示部131において焦点検出領域A(n,m)の位置を表示する指標を示す。
【0047】
なお、図7に示した9つの焦点検出領域A(n,m)(n,m=1,2,3)は一例であって、焦点検出領域A(n,m)の数、位置及びサイズは限定されない。例えば、撮影者が指定した位置や被写体検出部140により検出された被写体位置を中心とした所定の範囲に少なくとも1つの焦点検出領域を設定してもよい。本実施形態では、後述するデフォーカスマップの取得に際して、高い分解能で焦点検出結果が得られるように焦点検出領域が配置される。例えば、撮像素子107には、水平120分割、垂直80分割で計9600点の焦点検出領域が配置される。
【0048】
上記構成は、以下の第1実施形態及び第2実施形態において共通している。
【0049】
<第1実施形態>
次に、撮像装置100による撮影動作、即ち、撮像装置100の表示部131にLV画像を表示し、静止画像を取得するための露光を経て撮影画像を記憶するまでの一連の動作、について説明する。
【0050】
図8は、撮像装置100での撮影動作のフローチャートである。本フローチャートにS番号で示す各処理(ステップ)は、制御部121においてCPUがROMに格納された所定のプログラムをRAMに展開して、撮像装置100を構成する各部(各ブロック)の動作を統括的に制御することによって実現される。制御部121は、撮像装置100の電源スイッチがオンになったことを検出すると、撮像装置100の初期化を行い、初期化が完了するとS801の処理を開始する。
【0051】
S801で制御部121は、撮像素子107の駆動信号を撮像素子駆動回路124に送る。これにより撮像素子107が駆動を開始し、制御部121は撮像素子107から撮像信号を取得する。具体的には、制御部121は、図7に示した各焦点検出領域に含まれる複数の第1及び第2焦点検出画素から第1及び第2焦点検出信号を取得する。また、制御部121は、撮像素子107の全有効画素の第1及び第2焦点検出信号を加算して画像信号を生成し、画像信号に対する画像処理を画像処理部125に行わせて、画像処理部125から画像データを取得する。なお、撮像画素と第1及び第2焦点検出画素とが別々に設けられている場合、制御部121は、焦点検出用画素に対する補完処理を行って画像データを取得する。
【0052】
S802で制御部121は、S801で得られた画像データからLV画像を画像処理部125に生成させ、生成されたLV画像を表示部131に表示する。LV画像は表示部131の解像度に合わせた縮小画像であり、撮影者はLV画像を見ながら撮影構図や露出条件等を調整することが可能になる。制御部121は、LV画像が表示部131に表示される際に、画像データから得られた測光値に基づいて露出調整を行う。露出調整は、適宜、露光時間や絞り102の開口量、撮像素子107からの出力に対するゲイン調整を行うことにより実現される。
【0053】
S803で制御部121は、操作スイッチ群132に含まれるレリーズスイッチの半押し操作によって撮像準備を開始を指示するスイッチSW1がオンしたか否かを判定する。制御部121は、スイッチSW1はオンしていないと判定した場合(S803でNo)、スイッチSW1がオンになるタイミングを監視するため、S803の処理を繰り返す。一方、制御部121は、スイッチSW1がオンしたと判定した場合(S803でYes)、S804の処理を実行する。
【0054】
S804で制御部121は、被写体追従AF処理を行う。被写体追従AF処理では、得られた撮像信号及び焦点検出信号を用いた被写体領域の検出及び焦点検出領域の設定と焦点検出処理から実際の露光までのタイムラグの影響を抑制するための予測AF処理等が行われる。なお、S804の処理の詳細については後述する。
【0055】
S805で制御部121は、レリーズスイッチの全押し操作によって、撮像処理の開始を指示するスイッチSW2がオンしたか否かを判定する。制御部121は、SW2はオンしていないと判定した場合(S805でNo)、S803の処理を実行し、SW2がオンしたと判定した場合(S805でYes)、S806の処理を実行する。
【0056】
S806で制御部121は、撮像処理(撮像素子107による静止画像を取得するための露光から画像データの記憶までの一連の処理)を実行する。なお、S806の処理の詳細については後述する。
【0057】
S807で制御部121は、操作スイッチ群132に含まれる電源スイッチがオフになったか否かを判定する。制御部121は、電源スイッチがオンのままであると判定した場合(S807でNo)、S803の処理を実行し、電源スイッチがオフになったと判定した場合(S807でYes)、本処理を終了させる。なお、第1実施形態では、S803でSW1のオンが検出された後に被写体追従AF処理を行うようにしたが、SW1がオンされる前の状態で被写体追従AF処理を行ってもよい。
【0058】
次に、S806の撮像処理の詳細について説明する。図9は、S806の撮像処理の詳細を示すフローチャートである。
【0059】
S901で制御部121は、シャッタ速度や絞り値、ISO感度等の条件を決定して、露出制御を行う。露出制御は、LV画像データから取得した輝度情報を用いて行うことができる。制御部121は、決定した絞り値を絞り駆動回路128に送信して絞り102を駆動させる。また、制御部121は、決定したシャッタ速度をシャッタ108に送信してフォーカルプレーンシャッタを開く動作を行う。更に制御部121は、撮像素子駆動回路124を介して、露光期間の間、撮像素子107に電荷蓄積を行わせる。
【0060】
S902で制御部121は、撮像素子107の全画素からの撮像信号の読み出し(静止画の読み出し)を撮像素子駆動回路124に行わせる。また、制御部121は、撮像素子107内の焦点検出領域からの第1及び第2焦点検出信号のうち一方の読み出しを撮像素子駆動回路124に行わせる。ここで読み出された第1焦点検出信号又は第2焦点検出信号は、後に撮影画像を再生した際に合焦状態の検出に用いられる。なお、第1及び第2焦点検出信号のうち一方の焦点検出信号を撮像信号から差し引くことにより、他方の焦点検出信号を取得することができる。
【0061】
S903で制御部121は、S902で撮像素子107から読み出されてA/D変換された撮像データに対する欠陥画素補正処理を画像処理部125に行わせる。
【0062】
S904で制御部121は、S903での欠陥画素の補正処理後の撮像データに対するデモザイク(色補間)処理やホワイトバランス処理、γ補正(階調補正)処理、色変換処理及びエッジ強調処理等の画像処理や符号化処理を画像処理部125に行わせる。
【0063】
S905で制御部121は、S904での画像処理や符号化処理が行われることにより得られた撮影画像の画像データを画像データファイルとしてフラッシュメモリ133に記憶する。撮影画像の画像データファイルには、画像データ本体と、S902で取得した第1焦点検出信号又は第2焦点検出信号が含まれる。
【0064】
S906で制御部121は、S905で記憶した撮影画像に対応付けて、撮像装置100の特性情報をフラッシュメモリ133に記憶する。撮像装置100の特性情報は、例えば以下の第1乃至第6の情報を含む。第1の情報は、撮像条件(絞り値、シャッタ速度、ISO感度等)である。第2の情報は、画像処理部125が行った画像処理に関する情報である。第3の情報は、撮像素子107の撮像画素及び焦点検出画素の受光感度分布に関する情報である。この第3の情報は、撮像素子107から光軸上の距離(位置)に応じた撮像素子107の感度の情報である。第3の情報は、マイクロレンズ305と光電変換部301,302に依存するため、これらに関する情報であってもよいし、光の入射角度に対する感度の変化の情報であってもよい。第4の情報は、撮像装置100内での撮影光束のケラレに関する情報である。第5の情報は、撮像装置100における撮像光学系の取付面から撮像素子107までの距離の情報である。第6の情報は、撮像装置100の製造誤差に関する情報である。
【0065】
S907で制御部121は、S905で記憶した画像データに対応付けて、撮像光学系の特性情報としての撮影レンズ特性情報をフラッシュメモリ133に記憶する。撮影レンズ特性情報は、例えば、射出瞳に関する情報、光束を蹴る鏡筒等の枠に関する情報、撮像時の焦点距離やF値の情報、撮像光学系の収差に関する情報、撮像光学系の製造誤差に関する情報及び撮像時の第3レンズ群105の位置(被写体距離)の情報を含む。
【0066】
S908で制御部121は、S905で記憶した画像データに関する情報(画像関連情報)をフラッシュメモリ133に記憶する。画像関連情報は、例えば、撮像前の焦点検出動作に関する情報、被写体の移動に関する情報、焦点検出精度に関する情報(デフォーカスマップ)を含む。また、S908で制御部121は、撮影画像の品質評価(後述する撮れ高の演算)を行い、得られた結果で後述する撮れ高テーブルを更新し、記憶する。
【0067】
S909で制御部121は、表示部131にて撮影画像のプレビュー表示を行う。これにより、撮影者は撮影画像を簡易的に確認することができる。制御部121は、S909の処理を終えると、本サブルーチンを終了してS807の処理を実行する。
【0068】
次に、撮像装置100において、S905で記憶した撮影画像の品質(以下「撮影品質」という)を予め設定した撮影方針に基づいて自動評価し、評価結果を表示部131に表示する制御について説明する。撮影品質の評価結果は、撮影品質を数値化した評価値(以下「撮れ高」という)で表され、得られた撮れ高で撮れ高テーブルの内容が更新される。
【0069】
撮影者は、撮影対象としている被写体(人物)を撮影する前に、被写体の画像認証を可能とするための認証画像を撮像装置100に登録する。例えば、フラッシュメモリ133には、撮影対象としている被写体の顔(及び必要に応じて上半身または体全体)が撮影された画像が記憶されているものとする。この場合、撮影者は、操作スイッチ群132を操作して撮像装置100を認証画像登録モードにして、撮影対象としている被写体の画像を指定し、認証画像として登録する。なお、認証画像登録モードにおいて、登録したい被写体を撮影し、得られた撮影画像を認証画像として登録するようにしてもよい。
【0070】
図10は、被写体ごとの総撮れ高及び評価項目(詳細は後述する)ごとの得点数を示す撮れ高テーブルの一例を示す図である。撮れ高テーブルは、フラッシュメモリ133に記憶されており、被写体の認証画像(顔画像データ)を保持すると共に総撮れ高を保持する。詳細は後述するが、撮影画像ごとに撮れ高が演算され、得られた撮れ高を対応する被写体ごとに加算することにより、被写体ごとの総取れ高が求められる。
【0071】
図10の撮れ高テーブルには、前述の認証画像の登録手法を用いて、3人の人物が撮影対象である被写体として登録された例が示されている。撮れ高テーブルは、登録された被写体を一意に特定する値(図10では、A,B,C)と、被写体の登録に用いられた認証画像を含む。撮れ高テーブルにおける「ピント」、「見切れ」及び「サイズ」はそれぞれ、図11を参照して後述する「項目2」、「項目1」及び「項目3」に対応する。
【0072】
撮れ高テーブルが作成済みである場合には、被写体を追加登録することができ、また、撮れ高テーブルの数値データをリセットしたり撮れ高テーブルを削除したりすることもできる。撮れ高テーブルは、事前登録されていない被写体が撮影画像から発見された場合に、その被写体の撮影画像を用いて自動的に登録されるように構成されていてもよい。撮れ高テーブルは、外部装置インタフェース部143を介して接続されたスマートフォン等の外部装置に記憶されていてもよいし、フラッシュメモリ133に記憶されていてもよい。
【0073】
続いて、撮影者は、撮影対象としている被写体(人物)を撮影する前に、撮影方針を設定する。第1実施形態では、撮影画像(S905で記憶された画像)を評価し、その結果を撮れ高として求めるため、撮影方針を設定することは、言い替えれば、撮影画像を評価するための基準を設定することである。
【0074】
図11(a)は、評価項目定義テーブルの一例を示す図である。図11(b)~(d)は、評価項目定義テーブルにある評価項目ごとの点数を定義するための点数定義テーブル1~3の一例を示す図である。
【0075】
撮影方針は、撮影画像の撮影品質を自動評価するための評価項目、各評価項目の重み付け、各評価項目での点数を用いて設定される。第1実施形態では、撮影者は、評価項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3を用いて撮影方針を設定する。
【0076】
撮影者は、操作スイッチ群132を操作して、撮像装置100を撮影方針設定モードにする。図11(b)~(d)の点数定義テーブル1,2,3は、図11(a)の評価項目定義テーブルにある項目1~3についての詳細な設定を行うための補助的役割を担う。評価項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3は、撮像装置100の記憶部141に保持されるが、これに限らず、フラッシュメモリ133や外部装置インタフェース部143を介して接続された外部装置に保持されてもよい。
【0077】
評価項目定義テーブルには、撮影画像の品質として重要視する3つの評価項目1~3と、評価項目1~3のうち撮影者がどの評価項目を重要視するかを示す重みが数値で設定される。評価項目定義テーブルには、「項目1」として合焦状態(ピント・ボケ)が、「項目2」として被写体の見切れ状態や被り状態(遮蔽状態)が、「項目3」として被写体の撮影サイズが、取り上げられており、項目1~3の重みがそれぞれ6,3,1に設定されている。これは、撮影者が、合焦状態を最も重要視しており、その次に被写体の見切れや被りがないことが重要視していることを表している。
【0078】
撮影者は、評価項目定義テーブルの重みの値を所定の値に設定することで、所望する撮影方針を設定することができる。2つ以上の項目が定義されている場合には重み付けが行われ、3つ以上の項目が定義されている場合には、少なくとも2つに同じ重み付けが設定されても構わない。
【0079】
図11(b)の点数定義テーブル1には、被写体の複数の体部位のうち撮影画像に写っていることが重要とされる体部位が設定される。先ず、体部位について説明する。
【0080】
図12は、点数定義テーブル1において設定される被写体の体部位(体の関節を含む)を説明する図である。図12において、「NH」は頭頂部(顔)、「NA」は腕(肘)、「NB」は首/肩、「ND」は手、「NC」は腰(脚の付け根)、「NL」は脚(膝)、「NF」は足を表している。点数定義テーブル1には、これらの体部位に対して、撮影画像に写っていることが望ましい順位が、3つの優先度により設定されている。撮影者は、撮影されていることが必要(優先度:高)か、任意(優先度:中)か、不要(優先度:低)かを、各体部位について「○(優先度:高)」、「△(優先度:中)」、「×(優先度:低)」で点数定義テーブル1において設定している。
【0081】
体部位によって設定可能な優先度は異なり、また、設定可能な優先度の情報も点数定義テーブル1に保持されている。ここでは、頭頂部、首/肩、腕、手、腰、脚及び上半身については「×」を選択することはできなくなっている。このような設定は必須ではない。但し、少なくとも頭頂部(顔)が撮影画像に写っていることは重要であり、よって、頭頂部(顔)については、常に優先度は「高」に設定されるようになっていてもよい。
【0082】
図11(b)の点数定義テーブル1では、全身、腰、脚及び足が「△」でそれ以外は「○」に設定されている。これは、撮影者が、被写体の全身が写っていることは任意であるが、少なくとも上半身(手、腕、頭頂部)が撮影されていることを重要視していることを示している。なお、図11(b)の点数定義テーブル1は、図12に示される体部位の全てについて優先度を設定するよう構成されているが、体部位の一部のみに優先度を設定可能な構成であってもよい。
【0083】
図13(a)は、撮影画像の一例を示す図であり、被写体の脚(NL)、腰(NC)及び足(NF)が遮蔽物1310で隠れている。姿勢取得部142によって、全身、腰(NC)、脚(NL)及び足(NF)が写っていなくとも、図11(b)の点数定義テーブル1に設定された条件は満たされていると判断される。なお、姿勢取得部142は、例えば、Cao,Zheらによる前掲の文献等に記載されている公知の姿勢推定の方法を用いて、撮影画像から図12に示される人の体部位の位置と体部位間の連結状態の情報を認識して取得することができる。
【0084】
図13(b)は、撮影画像の別の例を示す図であり、被写体の腰(NC)、脚(NL)、腰(NC)及び足(NF)に加えて、腕(NA)及び手(ND)が遮蔽物1320(又は他の被写体)で隠れている。この場合、姿勢取得部142は、撮影画像に写っていることが必要とされている首/肩(NB)や腕(NA)、手(ND)を取得することができないため、図11(b)の点数定義テーブル1に設定された条件は満たされていないと判断される。なお、遮蔽物1310,1320は、他の人物等であってもよい。
【0085】
項目2の点数は、点数定義テーブル1で設定した条件を、満たしていれば「1」、満たしていなければ点数は「0」となる。よって、項目2の点数は図13(a)の撮影画像で「1」、図13(b)の撮影画像で「ゼロ(0)」となる。
【0086】
なお、点数定義テーブル1の体部位の「全身」を「○(優先度:高)」に設定した場合には、他の体部位についても自動的に「○」が設定されるようになっていてもよい。点数定義テーブル1及び図12では、体部位として、頭頂部、首/肩、肘、手、腰、膝、足の位置を取得する例を示しているが、体部位の位置はこれらの一部でもよいし、別の位置を取得してもよい。また、体部位の位置だけでなく、体部位同士を結ぶ軸等の情報を用いてもよく、被写体のどの部位が撮影されているかを取得可能な情報であれば、姿勢情報として用いることができる。
【0087】
図11(c)の点数定義テーブル2には、合焦具合(ピントの合い具合)に対する点数、つまり、項目1の点数が定義される。合焦具合としてボケ量(ぼやけの程度)が「小」、「中」、「大」の3つにランク分けされており、各ランクについてボケ量と点数が定義されている。ボケ量は、S902で読み出されてS905でフラッシュメモリ133に記憶された第1焦点検出信号又は第2焦点検出信号を用いて決定することができる。或いは、撮影時に記憶された撮像装置100の特性情報に含まれる許容錯乱円径やF値に等によって規格化されたデフォーカス量を用いることができる。
【0088】
図11(c)の点数定義テーブル2では、ボケの程度「小」はボケ量が4以下で点数が「1」、ボケの程度「中」はボケ量を4超10以下で点数が「0.5」、ボケの程度「大」はボケ量が10超で点数が「ゼロ(0)」、に設定されている。つまり、ボケ量が小さいほど点数は大きな値に設定される。
【0089】
図11(d)の点数定義テーブル3では、撮影画像中の被写体のサイズが画角比率に応じてランク分けされ、各ランクに点数が設定されている。つまり、点数定義テーブル3には、項目3の点数がランクごとに定義される。
【0090】
画角比率として、ここでは、被写体の撮影サイズ(画像領域)の縦方向の画角に対する割合(パーセンテージ)が用いられるものとする。被写体の撮影サイズは、撮影画像中の被写体の体部位を検出して演算することができる。撮像装置100を通常の横姿勢ではなく縦姿勢にして撮像を行う場合、撮像装置100で縦撮影を検知して、横撮影とは異なる画角を基準画角とすればよい。図11(d)の点数定義テーブル3では、撮影サイズ「大」は被写体の画角比率が50%以上の場合でその点数は「1」、撮影サイズ「中」は被写体の画角比率が30%以上50%未満の場合で点数は「0.5」に設定されている。また、撮影サイズ「小」は被写体の画角比率が30%未満の場合で点数が「ゼロ(0)」に設定されている。
【0091】
評価項目定義テーブルの項目1~3に定義された重みと点数定義テーブル1~3の点数を用いて、撮れ高テーブルに登録された被写体ごと且つ撮影画像ごとに、撮れ高Tpが、例えば、各点数に各重みを乗算して得られる値の和として下記式1により求められる。下記式1において、f1,f2,f3はそれぞれ項目1,2,3での得点であり、w1,w2,w3はそれぞれ項目1,2,3の重みである。
【0092】
【数1】
【0093】
なお、図11に示した項目定義テーブルと点数定義テーブル1~3に示したランクや数値は一例であって、他のランクや数値を用いても構わない。項目定義テーブルと点数定義テーブル1~3の設定は、撮れ高テーブルに登録されている被写体A~Cについて、同じ(一括設定が可能)であってもよいし、異なっていても(被写体ごとに個別に設定可能でも)よい。
【0094】
撮像装置100による撮影中には、LV画像(又は撮影画像のプレビュー画像)と共に撮れ高テーブル(図10参照)が表示部131に表示される。
【0095】
図14は、表示部131においてLV画像に撮れ高テーブル1400が重畳表示されている状態の一例を示す図である。なお、ここでは、図14のLV画像内の撮れ高テーブル1400についてのみ説明し、LV画像内の被写体B,Cについては後述する。
【0096】
撮れ高テーブル1400は、総撮れ高の小さい被写体の順に表示される。各被写体の総撮れ高は、各被写体の撮影画像ごとに求められた撮れ高の和で表される。撮れ高テーブルにおける項目1~3の値は、全画像での合計点数を表している。
【0097】
例えば、撮れ高テーブル1400において、被写体A~Cのそれぞれで、撮影画像数は3枚であるとする。被写体Bについては、全ての撮影画像において項目1~3の点数が「1」であったことが示されている。被写体Aについては、例えば、項目3では全ての撮影画像で1点であったが、項目2と項目1ではそれぞれ1点の撮影画像が2枚(又は1点の撮影画像が1枚で0.5点の撮影画像が2枚)であったことが示されてる。被写体Cについては、例えば、項目2では1点の撮影画像が1枚で0点の撮影画像が2枚、項目1,3では1点の撮影画像が1枚で0.5点の撮影画像が2枚(又は1点の撮影画像が2枚で0点の撮影画像が1枚)であったことを示している。
【0098】
撮影者は、撮れ高テーブル1400に基づき、総撮れ高が最も小さい被写体Cを主被写体として次に撮影を行い、適宜、撮影対象を総撮れ高の最も小さい被写体へ移すことで、被写体A~Cの総撮れ高の差を小さく抑えた撮影成果を得ることができる。撮影者が総撮れ高の最も小さい被写体をLV画像において把握する手法については後述する。
【0099】
なお、複数の被写体の総撮れ高に差が生じた場合に、常に総撮れ高の小さい被写体を次の主被写体としなければならないというものではない。例えば、総撮れ高が1番目と2番目に小さい被写体間の総撮れ高の差が予め設定された閾値以下であれば、2番目に総取れ高が小さい方の被写体を撮影対象としてもよい。
【0100】
次に、撮影者が手動撮影を行う際に撮像装置100の制御部121がS804で実行する被写体追従AF処理について説明する。図15は、撮像装置100で実行される被写体追従AF処理(S804のサブルーチン)のフローチャートである。
【0101】
S1501で制御部121は、図7を参照して説明した複数の焦点検出領域のそれぞれで得られた第1及び第2焦点検出信号間の像ずれ量を演算し、得られた像ずれ量から焦点検出領域ごとのデフォーカス量を演算する。前述したように、撮像素子107上に水平120分割、垂直80分割の計9600点に焦点検出領域が配置されており、計9600点の焦点検出領域から得られた一群の焦点検出結果をデフォーカスマップと称呼する。
【0102】
S1502では、制御部121からの指令を受けた被写体検出部140が、LV画像(のフレーム)に対する被写体検出処理を行う。ここで、得られたLV画像の状態によっては被写体を検出することができない場合があり、その場合には、被写体検出部140はテンプレートマッチング等の手法を用いた処理を行って被写体の位置を推定する処理が行われる。
【0103】
なお、図14のLV画像に示されるように、被写体検出処理により人物の顔が検出されると、検出された人物の顔に対して枠が描画される。撮影者による手動撮影の場合、撮影者は少なくとも1人の人物の顔が検出されるように撮影方向を変更することが一般的である。よって、以下の説明では、S1502で少なくとも1人の人物が検出されているものとして説明を続ける。
【0104】
S1503では、制御部121からの指令を受けた被写体検出部140が、被写体認証処理としての個人認証処理を行う。個人認証処理は、LV画像に存在する人物の顔が撮れ高テーブルに登録された人物の顔であるか否かを判定することによって行われる。
【0105】
なお、前述したように、S1502において、検出された顔に対して枠が描画される。制御部121は、S1503においてLV画像において検出された顔が撮れ高テーブルに登録されていない顔であれば枠を白色で表示し、撮れ高テーブルに登録されている顔であれば枠をオレンジ色で表示する。こうして、検出された顔に対して描画される枠の色を変えることで、撮影者は検出された顔が撮れ高テーブルに登録されている被写体か否かを区別することができる。
【0106】
S1504では、制御部121からの指令を受けた姿勢取得部142が、被写体検出部140が検出した1又は複数の被写体の姿勢情報を取得する。具体的には、姿勢取得部142は、LV画像中におけるNH(頭頂部)、NA(腕)、NB(首/肩)、ND(手)、NC(腰)、NL(脚)及びNF(足)それぞれの二次元座標(x,y)を取得する。ここで、二次元座標(x,y)の単位はピクセルである。
【0107】
S1504の処理は、次のS1505での主被写体の決定処理を考慮して行われるものであるが、必ずしも必要な処理ではない。これは、前述した点数定義テーブル1は、撮影画像の評価基準として設定されたものであって、LV画像における被写体の状態を評価するために設定されたものではないからである。但し、LV画像から姿勢情報を検出し、取れ高テーブルに登録されたい被写体の中から点数定義テーブル1において優先度が「高」に設定された体部位の全てを満たす被写体を主被写体に設定する制御を取り入れることは、撮れ高の大きい撮影画像の取得に寄与する。
【0108】
S1505で制御部121は、主被写体判定処理、つまり、合焦状態(ピントの合った状態)が保たれるように追尾する対象となる被写体を選択する処理、を行う。S1505では、制御部121は、主被写体として選択した人物の顔に重畳表示する枠の色を、例えば、赤色に変更し、或いは、S1503でオレンジ色に表示された枠を点滅させる等の表示制御を行う。これにより、撮影者は、取れ高テーブルに登録された被写体のうちのどの被写体が主被写体として選択されたかを容易に認識することができる。
【0109】
初回のS1505では、撮れ高テーブルにおいて被写体A~Cそれぞれの総撮れ高はゼロ(0)であるため、被写体A~Cのうちどの人物が主被写体に選択されても構わない。例えば、被写体A~Cのうち、撮れ高が大きくなる可能性が高い人物が主被写体として選択されるようにしてもよい。一例として、S1504で姿勢情報を検出している場合に点数定義テーブル1において優先度が「高」に設定されている体部位の全てを満たしている人物、LV画像内での専有面積が大きい人物、が挙げられる。
【0110】
2回目以降のS1505では、原則として、撮れ高テーブルに登録されている複数の被写体の総撮れ高ができる限り均等になるように主被写体が選択される。つまり、制御部121は、総撮れ高の最も小さい人物を主被写体として選択する。図14に示すLV画像の場合、撮れ高テーブル1400において最も総撮れ高の小さい被写体Cが優先的に主被写体として選択される。
【0111】
S1506で制御部121は、S1505で判定された主被写体に対する焦点検出領域を設定する。第1実施形態では、S1502で人物の顔を検出しているため、また、顔にボケやブレが生じた撮影画像は望ましくないため、本実施形態では、焦点検出領域は人物の顔(頭部)に設定される。図14のLV画像において被写体Cが主被写体に選定されている場合、図7に示した複数の焦点検出領域のうち、被写体Cの頭部を囲むように描画されている枠の内側にある焦点検出領域が選択される。
【0112】
S1507で制御部121は、S1506で設定した焦点検出領域での焦点検出信号を取得し、デフォーカス量を演算する。デフォーカス量は、S1506で設定された焦点検出領域の焦点検出結果に限らず、その周囲の複数の焦点検出領域での焦点検出結果を加えて求めてもよい。なお、制御部121は、S1506で設定された焦点検出領域でのS1501での焦点検出結果を取得するようにしてもよく、その際に、その近傍の焦点検出領域の焦点検出結果を併せて取得するようにしてもよい。
【0113】
S1508で制御部121は、S1507で得られたデフォーカス量と、過去の焦点検出を行ったタイミングの時系列データである複数のデフォーカス量とを用いて、予測AF処理を行う。予測AF制御は、焦点検出タイミングと露光タイミングとの間にタイムラグがある場合に必要となる。予測AF制御では、焦点検出タイミングから所定時間が経過した露光タイミングでの光軸方向における被写体の像面位置を予測する。被写体の像面位置の予測では、過去の被写体の像面位置と時刻の履歴データを用いて多変量解析(例えば最小二乗法)を行って予測曲線の式を求める。求めた予測曲線の式に撮影画像の露光タイミングの予測時刻を代入することで、被写体の像面予測位置を求めることができる。
【0114】
なお、予測AF制御の対象となる被写体は、主被写体だけでなく、検出されている複数の被写体とすることが望ましい。また、S1504で体部位の位置を取得している場合、体部位についての焦点検出結果や体部位の位置の時系列データを用いて被写体の位置を予測してもよく、これにより、被写体の顔(頭部)の位置のみならず、被写体の体部位の位置を予測することができる。更に、被写体の三次元での位置を予測してもよい。例えば、画面上をxy方向、光軸方向をz方向とした場合に、S1502の被写体検出で得られた被写体のxy位置と、S1507で得られたデフォーカス量に基づくz方向位置の時系列データとから、露光タイミングでの被写体の位置を予測してもよい。
【0115】
S1509で制御部121は、焦点調節処理を行う。具体的には、制御部121は、S1505での主被写体判定結果と、S1507で得られたデフォーカス量と、S1508での予測AF処理の結果を用いて、フォーカスレンズの駆動量を演算する。制御部121はフォーカスアクチュエータ114を駆動する制御信号を生成してフォーカスアクチュエータ114へ送信し、フォーカスアクチュエータ114がフォーカスレンズである第3レンズ群105を光軸方向に移動させる。これにより、S1508で求めた被写体の予測位置に焦点を合わせることができる。
【0116】
制御部121は、S1509の処理が終了すると、AF制御のサブルーチンを終了して、S805(図8参照)の処理を実行する。制御部121は、S805でスイッチSW2がオンになったことを検出すると、撮像指令信号を撮像素子駆動回路124へ送り、これによりS806で撮像処理が実行される。制御部121は、S806内のS905で撮影画像(画像データ)をフラッシュメモリ133等に記憶し、S806内のS908において評価項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3に基づく撮影画像の品質評価を行う。制御部121は、得られた評価結果でフラッシュメモリ133に記憶されている撮れ高テーブルの内容を更新する。なお、撮れ高テーブルの更新に伴って、制御部121は、次の撮影候補を選択するが、その詳細については後述する。
【0117】
なお、上記説明では、複数の被写体を撮影することを前提としたが、主被写体が1人である場合にも撮れ高テーブルの利用は有用である。つまり、評価項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3に従う総撮れ高を求めて撮れ高テーブルを参照可能とすることにより、撮影者は被写体を所望の状態でどの程度撮影することができているかを容易に判断することが可能になる。また、上記説明では、被写体の顔の表情を点数化して撮れ高に加えることは行っていないが、顔の表情を評価項目として評価項目定義テーブルに加えると共に、顔の表情に関する点数定義テーブルを設けてもよい。
【0118】
以上の通り、第1実施形態によれば、顔と顔以外の手足や半身、全身等の体部位を含めた撮影画像の撮影品質を考慮して、複数の被写体に対して総撮れ高に大きな偏りが生じないように撮影が行われる。これにより、撮影画像における被写体の見切れや被りの発生を抑制して、顔以外の部位の動きを捉えた高品質な撮影を、複数の被写体に対して偏りなく得ることが可能になる。第1実施形態によれば、例えば、運動会等の学校行事で、被写体の顔以外の動作を含めて、被写体ごとの撮影画像数のばらつきを抑制した平等な撮影が求められる場面で有用な撮影補助手段を提供することが可能となる。
【0119】
ところで、昨今、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ、スマートフォンの普及が進み、撮影後に動画編集ソフトを用いたレタッチやAI技術の活用したコンピューテーショナルフォトグラフィー等を用いた作画が行われる機会が増えている。その際、撮影画像を画像処理して被写体のボケ(ぼやけ)具合や明るさ等を調整することによって被写体を魅力的に見せたり、情景や景色をきらびやかにしたりすることで、写真の魅力や芸術性、付加価値を高めることができる。
【0120】
コンピューテーショナルフォトグラフィーの使われ方としては、画像のボケ方や明るさ、色味の調整が主である。そのため、撮影画像は、被写体の形状を変更することなく加工することができるように撮影されていることが望ましい。逆に言えば、コンピューテーショナルフォトグラフィーでの処理対象とされない例として、被写体の一部が画像の端部で切り取られているような、所謂、見切れ画像や、被写体同士が重なって撮影されている、所謂、被り画像を挙げることができる。つまり、見切れ画像から被写体の全身が写っている画像への加工や被り画像から被りのない画像への加工等の被写体の形状自体を変更するような処理は、コンピューテーショナルフォトグラフィーで行われることは少ない。
【0121】
このように、コンピューテーショナルフォトグラフィーの対象画像としては、全身が撮影されている画像や見切れのない画像、被写体の被りがない撮影画像が望まれる。よって、上記第1実施形態において、以下の2つの条件のうち少なくとも1つを取り入れることにより、撮影後にコンピューテーショナルフォトグラフィーによる作画に好適な撮影画像を効率よく得ることが可能となる。
【0122】
即ち、第1の条件は、撮れ高テーブルにおける「見切れ」(項目定義テーブルにおける項目2)の重みを大きくして、総撮れ高を考慮しながら撮影を行うことである。第2の条件は、点数定義テーブル1~3は、元々、撮影画像の評価に用いられるものであるが、S1504の処理を必須として、点数定義テーブル1に定義された条件を満たす被写体をS1505において主被写体として選定することである。この場合には更に、S1509での焦点調節処理において、S1504での被写体の姿勢情報を利用する。これらの条件の少なくとも1つを用いて撮影を行うことにより、見切れの少ない撮影画像を多く取得することができる。
【0123】
<第2実施形態>
第2実施形態では、被写体の画像認識結果及び総撮れ高に従って撮像装置100が自動撮影を行う際の制御について説明する。なお、第1実施形態と第2実施形態とでは撮像装置100で実行される制御(プログラム)が異なっているため、ここでは、第1実施形態との相違点を中心に説明を行う。
【0124】
撮像装置100は、自動撮影を行う際には、撮れ高テーブルに登録された被写体を撮影画角内において検出することができない場合に被写体探索を行うことができるように、一般的に撮影方向の変更を自動的に変更可能な自動雲台等に取り付けられる。
【0125】
自動撮影を行う場合、撮影者は、撮像装置100の操作スイッチ群132を操作して、撮像装置100を自動撮影モードに設定するか、或いは、外部装置から外部装置インタフェース部143を介して制御部121へ自動撮影の実施を指示する。また、第1実施形態と同様に、撮影者は、撮影方針の設定を事前に行う。自動撮影モードでは図8のフローチャートの処理が自動的に撮影が実行され、自動撮影では撮影者が表示部131を見ていないことが多々ある。そのため、図14に示したようにLV画像に対する撮れ高テーブル1400の重畳表示は必ずしも必要ではなく、撮れ高テーブル1400はフラッシュメモリ133等に保持(記憶)されていればよい。
【0126】
第1実施形態では、項目定義テーブル及び点数定義テーブル1~3は、原則、撮影画像における被写体の状態を評価するために用いたが、第2実施形態では、点数定義テーブル1~3における定義が撮影条件の決定にも用いられる。なお、撮れ高テーブルは、一部の例外除いて、第1実施形態と同様に撮影画像を評価することによって更新される。
【0127】
以下に、自動撮影でのS1502において複数の被写体が同時に検出された場合に実行可能な第1乃至第8の制御について説明する。
【0128】
第1の制御では、制御部121は、S1504で撮影画角内の人物の姿勢情報を検出し、撮れ高テーブルに登録されている全ての被写体について、点数定義テーブル1において優先度が高に設定されている体部位をカウントする。そして、制御部121は、被写体ごとにカウントされた体部位の数を、被写体ごとにカウントされた体部位の合計数で除することにより、被写体ごとの撮影部位率を求める。制御部121は更に、求めた撮影部位率の大きい被写体から優先的に主被写体を選択してピントを合わせるAF動作を行う。なお、第1の制御は、実質的に、撮れ高テーブルに登録されている複数の被写体のうち2人以上がLV画像において被写体として検出される場合に行われる。
【0129】
第2の制御では、S1501で取得したデフォーカスマップを参照して、所定のデフォーカス量の範囲内に複数の被写体が入っていると判定された場合に、複数の被写体にピントが合うようにAF動作を実行する。具体的には、制御部121は、絞り駆動回路128に指令を出して絞りアクチュエータ112を駆動し、絞り102を絞る(F値を大きくする)ように駆動して撮影を行う。これは、撮影後に編集者が画像処理を行うことを想定して、被写界深度を確保しておくためである。このとき、複数の被写体のデフォーカス量の差が所定の範囲を超えている場合は、原則として、制御部121は、撮れ高テーブルを参照して、総撮れ高の小さい被写体から順にピントを合わせるAF動作を行って撮影を行う。一方、撮像装置100でのAF速度を優先するために、フォーカスレンズである第3レンズ群105の駆動方向が一方向の動作となるように、被写体の撮影順序を変更してもよい。
【0130】
第3の制御では、撮れ高テーブルに登録されている各被写体の総撮れ高に関係なく、撮像装置100に最も距離的に近い被写体から優先的にピントを合わせるようにAF動作を行う。第3の制御は、例えば、被写体が奥から手前の方向に近付いてくるシーンを撮影するような状況で、評価項目定義テーブルでの項目3(撮影サイズ)の重みが他の項目1,2よりも大きな値に設定されている場合に適用することが望ましい。
【0131】
第4の制御では、予め設定された所定数以上の被写体が検出され、且つ、被写体サイズや被写体の顔のサイズが所定サイズ以下である場合の撮影画像については、評価項目定義テーブルの項目3(撮影サイズ)の重みの設定値に関係なく、撮れ高を演算しない。この制御は、集合写真のように平等に撮影されることを前提としているものを除外したい場合等に適用することが望ましい。
【0132】
第5の制御では、未登録の被写体が登録済みの被写体に隣接して検出された場合に、両者に対して同時にピントを合わせるように絞り102を駆動して撮影を行う。これは、登録済みの被写体に隣接する被写体は登録済みの被写体の関係者であると推定され、登録済みの被写体と共に主被写体として選択されることが望ましいと判断されるからである。この場合、登録済みの被写体に隣接して検出された未登録の被写体が自動的に撮れ高テーブルに追加登録される構成とすることも望ましい。
【0133】
第6の制御では、総撮れ高が小さい被写体から順に主被写体を切り替えながら、所定の画像数の連続撮影(連写)を行う。これにより、被写体ごとの撮影画像数に偏りが生じるのを抑制することができる。
【0134】
第7の制御では、LV画像において、複数の被写体が規則的に整列して撮影画角の全域を移動するような大きな動きがある場合、撮れ高テーブルに登録されている被写体に対して、総撮れ高の小さい順に、又は、至近判定された順に、ピントを合わせる。このようなAF制御に適した撮影シーンとしては、例えば、運動会での行進の撮影が挙げられる。一方、被写体に大きな動きがない場合には、デフォーカスマップや姿勢取得部142が取得した被写体の体部位の情報を用いて、所定サイズ以上の被写体の交差や遮蔽を判定し、交差や遮蔽が無いタイミングを判定して総撮れ高に従う撮影を行ってもよい。このようなAF制御に適した撮影シーンとしては、例えば、運動会での集団競技の撮影が挙げられる。
【0135】
第8の制御では、姿勢取得部142が取得した被写体の体部位の情報を用いて四肢の位置関係を判定し、手足を動かしていると判定された被写体を優先的にピントを合わせて撮影を行う。このような制御は、静止している被写体よりも動作を行っている被写体を優先して撮影したい場合等で適用されることが望ましい。また、姿勢取得部142が取得した被写体の体部位の情報から、複数の被写体が上下の位置関係にあると判定された場合には、上側の被写体に優先してピントを合わせて撮影を行うことが望ましい。これは、例えば、運動会で数名が行う演技や競技では上側の人物が主役であることが多いからである。
【0136】
このように、第2実施形態によれば、予め撮影方針を設定した自動撮影において、撮影画角内の被写体の状態(撮影シーン)に応じたAF制御や撮影品質の評価を行う。これにより、自動撮影において、予め設定された撮影方針に沿った撮影画像の取得効率を高めることができる。
【0137】
ところで、近年では自動雲台やジンバル等を活用して自動撮影を行う機会が増えている。自動撮影では、見切れや被りが無い状態で撮影できてさえいれば、コンピューテーショナルフォトグラフィー等を活用することで、撮影後に編集者が望む状態へ撮影画像を加工したり編集したりすることができる。このような要望に対して、第2実施形態によれば、自動撮影により見切れや被りのない画像を第1実施形態よりも効率的に取得することができるため、撮影後にコンピューテーショナルフォトグラフィー等を活用したい要望に適う撮影手法を提供することができる。
【0138】
上記実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)撮像手段と、撮影対象となる複数の被写体を登録する登録手段と、前記撮像手段により取得された撮影画像から前記登録手段に登録されている被写体を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される被写体の状態を評価するための評価基準を設定する設定手段と、前記検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせることにより、前記撮影画像の品質を表す評価値を前記複数の被写体ごとに求める評価手段と、前記複数の被写体ごとの前記評価値の和を表示装置に表示する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
(構成2)撮像手段と、複数の被写体を登録する登録手段と、前記撮像手段により取得される画像から前記登録手段に登録されている被写体を検出する検出手段と、前記検出手段により検出される被写体の状態を評価するための評価基準を設定する設定手段と、前記画像としての撮影画像から前記検出手段により検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせることにより、前記撮影画像の品質を表す評価値を前記複数の被写体ごとに求める評価手段と、前記評価値と前記評価基準の少なくとも一方を用いて前記撮像手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
(構成3)前記評価基準には、前記撮影画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されていることを特徴とする構成1又は2に記載の撮像装置。
(構成4)前記評価基準には更に、前記撮影画像における被写体の合焦状態と前記撮影画像における被写体の撮影サイズの少なくとも一方が定義されていることを特徴とする構成3に記載の撮像装置。
(構成5)前記評価基準として、前記合焦状態と、前記顔および顔以外の体部位と、前記撮影サイズとが定義されると共に、前記合焦状態と、前記顔および顔以外の体部位と、前記撮影サイズのそれぞれに重みが定義され、前記評価手段は、前記合焦状態、前記体部位および前記撮影サイズのそれぞれについてランク分けされた点数が定義されたテーブルを保持し、前記評価値は、前記合焦状態、前記体部位および前記撮影サイズのそれぞれについて前記撮影画像ごとに前記テーブルから求められた点数に対して対応する前記重みを乗算して得られる値の和で求められることを特徴とする構成4に記載の撮像装置。
(構成6)前記撮影画像から予め設定された所定数以上の被写体が検出され、且つ、当該被写体のサイズまたは当該被写体の顔のサイズが所定サイズ以下である場合、前記評価手段は、前記評価基準として前記撮影画像における被写体の撮影サイズが定義されている場合であっても、前記評価値を演算しないことを特徴とする構成4又は5に記載の撮像装置。
(構成7)前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記評価値の和が最も小さい被写体が撮影されるように前記撮像手段を制御することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成8)前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記評価値の和が小さい被写体から順に撮影対象を切り換えながら前記撮像手段による連続撮影を行うことを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成9)前記評価基準には前記画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されており、前記検出手段は、前記画像としてのライブビュー画像における被写体が前記複数の被写体のいずれかである場合に当該被写体の体部位を検出し、前記制御手段は、前記複数の被写体のうち前記検出手段により検出された体部位が前記評価基準に定義された体部位の条件を満たす被写体の撮影画像を取得するように前記撮像手段を制御することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成10)前記評価基準には前記画像に写っていることが必要とされる顔および顔以外の体部位が定義されており、前記検出手段は、前記複数の被写体のそれぞれについて前記画像としてのライブビュー画像から前記評価基準に定義されている体部位を検出し、前記制御手段は、前記ライブビュー画像に前記複数の被写体のうちの2人以上が写っている場合に、前記2人以上の被写体のそれぞれについて検出された体部位の数を前記検出手段により検出された全ての体部位の数で除した値の大きい被写体から優先的にピントを合わせるよう前記撮像手段を制御することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成11)前記制御手段は、前記画像としてのライブビュー画像において、前記複数の被写体のいずれかに隣接して前記登録手段に登録されていない被写体が検出された場合に、当該隣接している被写体に同時にピントが合うように前記撮像手段を制御することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成12)前記制御手段は、前記検出手段が前記画像としてのライブビュー画像において規則的に整列して撮影画角の全域を移動する複数の被写体を検出した場合に、前記登録手段に登録されている被写体に対して前記評価値の和の小さい順にまたは至近判定された順にピントを合わせるよう前記撮像手段を制御することを特徴とする構成2に記載の撮像装置。
(構成13)コンピュータを構成1乃至12のいずれか1つに記載の撮像装置の前記登録手段、前記検出手段、前記設定手段、前記評価手段および前記制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
(方法1)撮像装置の制御方法であって、複数の被写体を登録手段に登録するステップと、前記撮像装置が備える撮像手段により取得される撮影画像における被写体の状態を評価するための評価基準を設定するステップと、前記撮影画像から前記登録手段に登録された被写体を検出するステップと、前記検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせて前記撮影画像の品質を表す評価値を前記登録された被写体ごとに求めるステップと、前記登録された被写体ごとの前記評価値の和を表示手段に表示するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
(方法2)撮像装置の制御方法であって、複数の被写体を登録手段に登録するステップと、前記撮像装置が備える撮像手段により取得される画像における被写体の状態を評価するための評価基準を設定するステップと、前記画像から前記登録手段に登録された被写体を検出するステップと、前記画像としての撮影画像から検出された被写体の顔および顔以外の体部位を前記評価基準に照らし合わせて前記撮影画像の品質を表す評価値を前記登録された被写体ごとに求めるステップと、前記評価値と前記評価基準の少なくとも一方を用いて前記撮像手段を制御するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【0139】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。即ち、上記実施形態は、撮影シーンや撮影目的、撮影用途、被写体検出結果等に応じて本発明を実施する代表的な数例を挙げたが、本発明は上記の例に限定されるものではない。また、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0140】
例えば、図11(a)の評価項目定義テーブルでは項目1~3が定義されているが、少なくとも1つの項目が定義されていればよい。これは、項目が1つしか設定されていない場合において、例えば、撮影を続けても総取れ高が大きくならない場合には、撮影者は目的とする撮影画像が得られていないことを認識することができるからである。
【0141】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0142】
100 撮像装置
107 撮像素子
121 制御部
125 画像処理部
131 表示部
140 被写体検出部
141 記憶部
142 姿勢取得部
1400 撮れ高テーブル
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