(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168626
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/364 20150101AFI20241128BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20241128BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01Q5/364
H01Q9/40
H01Q13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085465
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】牛越 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓也
【テーマコード(参考)】
5J045
【Fターム(参考)】
5J045AA03
5J045DA08
5J045LA01
5J045LA03
5J045NA03
(57)【要約】
【課題】部品点数を極力抑制しながら二共振特性に構成できるようにしたアンテナ装置を提供する。
【解決手段】第1導体11は、給電点20から導体地板10の地板面の略鉛直方向に立設されると共に当該立設した端部から前記地板面の延びる方向側に延設され第2周波数帯W2にてモノポールアンテナとして動作する。第2導体12は導体地板10に対向して構成される。第3導体13は、第1導体及び第2導体に連結して一体化して構成されると共に第1導体及び第2導体の間に構成される。エレメント14は、第2導体と導体地板との間を電気的に接続する。第2導体12と導体地板10との間のキャパシタンス成分とエレメント14のインダクタンス成分に基づいて第2周波数帯W2とは異なる第1周波数帯W1にて共振するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電点(20)から導体地板(10)の地板面の略鉛直方向に立設されると共に当該立設した端部から前記地板面の延びる方向側に延設され第2周波数帯(W2)にてモノポールアンテナとして動作する第1導体(11)と、
前記導体地板に対向して構成される第2導体(12)と、
前記第1導体及び前記第2導体に連結して一体化して構成されると共に前記第1導体及び前記第2導体の間に構成される第3導体(13)と、
前記第2導体と前記導体地板との間を電気的に接続するエレメント(14)と、を備え、
前記第2導体と前記導体地板との間のキャパシタンス成分と前記エレメントのインダクタンス成分に基づいて前記第2周波数帯とは異なる第1周波数帯(W1)にて共振するように構成されているアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1導体に連結された整合用の第4導体(16)をさらに備える請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2導体に一体化して連結された固定用導体(17、18)をさらに設ける請求項1又は2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記固定用導体は、前記導体地板には接触しないようにプリント配線基板(100)に固定される請求項3記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、小型低背化を実現しつつ所望の帯域幅の二共振特性を実現したアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1記載の技術は、給電エレメントの側方に間隙を設けて無給電エレメントを配置し電磁界結合して給電し広帯域化を実現している。特許文献1記載の技術によれば、簡易、且つ、低背な構造で水平面全方位において垂直偏波を複数の共振周波数で放射することを可能としている。しかしながら、給電エレメントと無給電エレメントが別体であるため、量産化を想定すると部品点数が多くなり、コスト増加につながるため好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、部品点数を極力抑制しながら二共振特性に構成できるようにしたアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、第1導体は、給電点から導体地板の地板面の略鉛直方向に立設されると共に当該立設した端部から地板面の方向側に延設され第2周波数帯にてモノポールアンテナとして動作する。第2導体は、導体地板に対向して構成される。第3導体は、第1導体及び第2導体に連結して一体化して構成されると共に第1導体及び第2導体の間に構成される。エレメントは、第2導体と導体地板との間を電気的に接続する。第2導体と導体地板との間のキャパシタンス成分とエレメントのインダクタンス成分に基づいて第2周波数帯とは異なる第1周波数帯にて共振するように構成されている。これにより、二共振特性のアンテナ装置について部品点数を極力抑制しながら構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態におけるアンテナ装置の構成を模式的に示す図(平面図、側面図、正面図)
【
図2】第1実施形態におけるアンテナ装置の構造を模式的に示す斜視図
【
図3】第1実施形態におけるアンテナ装置のVSWR特性
【
図4】第1実施形態におけるアンテナ装置の指向性特性
【
図5】第1実施形態において第1周波数帯の特定周波数における電流分布
【
図6】第1実施形態において第1周波数帯の特定周波数における電界分布
【
図7】第1実施形態において第2周波数帯の特定周波数における電流分布
【
図8】第1実施形態において第2周波数帯の特定周波数における電界分布
【
図9】第1実施形態の構造に類似したアンテナ装置の構造の展開図
【
図10】第1実施形態において
図9の構造の成形後の構造図
【
図11】第2実施形態におけるアンテナ装置の構造を模式的に示す図(平面図、側面図、正面図)
【
図12】第2実施形態におけるアンテナ装置の構造を模式的に示す斜視図
【
図13】第2実施形態におけるアンテナ装置のVSWR特性
【
図14】第2実施形態におけるアンテナ装置の指向性特性
【
図15】第2実施形態のアンテナ装置の構造における第3導体の幅の説明図
【
図16】第2実施形態のアンテナ装置の構造において第3導体の幅を変化させたときのVSWR特性の比較図
【
図17】第2実施形態のアンテナ装置の構造において第3導体の幅を変化させたときの指向性特性
【
図18】第2実施形態のアンテナ装置の構造における第3導体の長さの説明図
【
図19】第2実施形態のアンテナ装置の構造において第3導体の長さを変化させたときのVSWR特性の比較図
【
図20】第2実施形態のアンテナ装置の構造において第3導体の長さを変化させたときの指向性特性
【
図21】第3実施形態のアンテナ装置の構造を模式的に示す図(平面図、側面図、正面図)
【
図22】第3実施形態のアンテナ装置の構造を模式的に示す斜視図
【
図23】第1実施形態及び第3実施形態の構造のVSWR特性の比較図
【
図24】第3実施形態のアンテナ装置の構造において第3導体の長さを変化させたときの指向性特性
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、アンテナ装置について幾つかの実施形態を説明する。各実施形態の間で同一機能を奏する部分については同一符号を付して説明を省略することがある。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1から
図10を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示すように、アンテナ装置本体1は、導体地板10、第1導体11、第2導体12、第3導体13、及び、エレメント14を一体に備える。アンテナ装置本体1は、高周波数側の第2周波数帯W2で動作する平面形状のモノポールアンテナと、低周波数側の第1周波数帯W1で動作するゼロ次共振アンテナを接続した構成である。アンテナ装置本体1は、これらの第1周波数帯W1及び第2周波数帯W2で共振する二共振特性を備えており、例えば車両に搭載されると共にWiFi(登録商標)用の無線通信に使用される。
【0009】
導体地板10は、金属性の導板に誘電体を挟んで平板状に構成されたプリント配線基板100の表面に構成されている。導体地板10は、地板として十分に低インピーダンスに構成されている。導体地板10の地板面は図示XY方向に沿って構成されている。アンテナ装置本体1は、導体地板10のZ+方向に位置して構成されている。
【0010】
第1導体11は、給電点20から導体地板10の地板面の略鉛直方向に立設されると共に当該立設した端部11aの屈曲部分から導体地板10の地板面の延びる方向側に平板状に延設されている。第1導体11は、給電点20からz方向に向かう延設面のx方向幅が徐々に端部11aの屈曲部分に至るまで広がるように構成され、そして端部11aからx方向幅を一定にして平板状にy方向に延びて構成されている。
【0011】
図3にVSWR特性を模式的に示すように、第1導体11は、第2周波数帯W2においてモノポールアンテナとして動作するように構成される。
図3に示すように、第2周波数帯W2は、第1周波数帯W1に比較して高い周波数帯であり、第1周波数帯W1に比較してワイドバンドになっている。
【0012】
第2導体12は、導体地板10に対向して構成されており、例えばxy平面に沿った金属平板状の導板により構成されている。第2導体12は、導体地板10と所定の間隔を設けて配置されている。第2導体12のx方向幅は、例えば第1導体11のx方向幅と同一幅に構成されている。第3導体13は、第1導体11及び第2導体12に連結して一体化して構成されると共に第1導体11及び第2導体12の間に配置されている。第3導体13は、第1導体11及び第2導体12よりx方向に幅狭に構成されている。
【0013】
第1導体11のy方向幅と、第2導体のy方向幅との比率は1:4程度に調整されている。第2導体12のx方向幅、y方向幅と第1導体11及び導体地板10の対向幅との間の比率は4:1程度に調整されている。第1導体11と第2導体12との間のy方向ギャップは、第1導体11のy方向幅の4分の1程度に調整されている。第3導体13のx方向幅は、第1導体11及び第2導体12のx方向幅の10分の1程度に調整されている。
【0014】
エレメント14は、第2導体12と導体地板10との間を電気的に接続する。このエレメント14は、第2導体12のx方向幅及びy方向幅よりも狭い導体により構成され、インダクタンス成分を備えた素子(短絡素子とも称される)として構成される。エレメント14は、導体地板10と第2導体12とを電気的に接続するように配置される。
【0015】
図1及び
図2に示す構造を具体例として説明すると、エレメント14は、第2導体12のxy平面方向の中央に一端が接続されると共に、接続端から垂直下方に延設され導体地板10に対し鉛直に接続されている。
【0016】
アンテナ装置本体1は、第2導体12と導体地板10との間のキャパシタンス成分とエレメント14のインダクタンス成分に基づいて第2周波数帯W2とは異なる第1周波数帯W1にて共振するように構成されている。第1周波数帯W1は、第2周波数帯W2より低く設定されている。
図3に示すように、アンテナ装置本体1は、第1周波数帯W1と第2周波数帯W2とで二共振特性を備える。
【0017】
ゼロ次共振を実現するエレメント要素は、第2導体12を主として構成されるが、この構造は、マイクロストリップアンテナの形状と類似している。マイクロストリップアンテナのエレメントは、その一辺が凡そ動作周波数の波長λに対して1/2λの長さに構成されている。
【0018】
これに対し、本実施形態に係るアンテナ装置本体1は、第2導体12と導体地板10との間で対向する空間を利用してキャパシタンス成分を形成している。このため、ゼロ次共振を実現するためのエレメント要素の一辺を1/2λに比較して十分短い長さに構成できる。これにより、xy平面方向に小型化できる。
【0019】
<指向性特性>
図4の上段に水平面指向性、下段に垂直面指向性を示している。左欄の特性は、第1周波数帯W1内のある特定周波数f1における特性を示す。中央の特性は、第2周波数帯W2内の低周波数側の特定周波数f2における特性を示す。右欄の特性は第2周波数帯W2内の高周波数側の特定周波数f3における特性を示す。これらの
図4の上段に示すように、狙いの第1周波数帯W1及び第2周波数帯W2内の何れの周波数帯でも、水平面において無指向性となることを確認できる。
【0020】
<電流分布及び電界分布の説明>
図5、
図6に、第1周波数帯W1の中の特定周波数f1での電流分布、電界分布のシミュレーション結果を示している。また
図7、
図8に、第2周波数帯W2の中の特定周波数f2での電流分布、電界分布を模式的に表している。
【0021】
図5、
図6に第1周波数帯W1の特性を示している。
図5に示すように、短絡素子として機能するエレメント14に電流が流れており、この電流に基づいて電波を大電力で送信できることがわかる。また
図6に示すように、垂直方向(z方向)に電界を大きく生じており、これにより水平面に垂直偏波の特性が得られる。
【0022】
また
図7、
図8に第2周波数帯W2の特性を示している。
図7に示すように、第1導体11がモノポールアンテナとして機能しており第1導体11に電流が大きく流れていることがわかる。また
図8に示すように、垂直方向(z方向)に電界を大きく生じており、これにより水平面に垂直偏波の特性が得られる。
【0023】
<一体化構造例の説明>
図9には、
図1に示したアンテナ装置本体1の要素と同一機能を備える要素に対し100を加入した符号を付してアンテナ装置本体101の展開図として示している。また
図10には、
図1に示したアンテナ装置本体1と機能的に同一部分に同一符号を付して図示している。
【0024】
図9に示すように、y方向一端側(図中左側)にはy方向一端が狭く他端が広くなる形状に成形した第1部材111が構成されている。また、y方向他端側(図中右側)には、矩形状の第2部材112が構成されている。第1部材111と第2部材112との間には第3部材113が連結されている。第3部材113は、第1部材111のx方向幅や第2部材112のx方向幅よりx方向に幅狭に構成されている。
【0025】
第2導体12のx方向中央付近にはy方向に沿って溝部112bが設けられている。また溝部112bの内側には、エレメント14のための一部導体114aが構成されている。製造上では、平板導体を用意し、打抜工程を経て
図9に示す構造を成形する。そして、第1部材111のy方向の所定位置で折り曲げると共に、y方向に延びている一部導体114aをz方向に向けて折り曲げる。そして、プリント配線基板100に半田を用いて固定することで、
図10に示すようなアンテナ装置本体101の構造を得ることができる。
【0026】
発明者らは、このようなアンテナ装置本体101の構造を用いても、前述したアンテナ装置本体1と同様のVSWR特性を得られることを確認している。また、平板導体に溝部112bを形成し、エレメント14を構成する一部導体114aを設け、第2導体12の一部が欠けたとしても、垂直方向(z方向)の電流分布や電界分布に影響を及ぼすものではないことが確認されている。この場合、水平面方向の垂直偏波特性も概ね変化することがないことが確認されている。これにより、一枚の平板導体からアンテナ装置本体1と同様の特性を得られるアンテナ装置本体101を成形でき、実際の量産化を想定した構造で構成できる。
【0027】
<本実施形態の技術的意義のまとめと効果>
本実施形態のアンテナ装置本体1、101によれば、第1導体11~第3導体13、及び、エレメント14(短絡素子)を一体化して構成できる。第2導体12と導体地板10との間のキャパシタンス成分とエレメント14のインダクタンス成分に基づいて第1周波数帯W1にて共振させるようにしているため、第2導体12のxy平面の辺長を短くでき、体格を小さくできる。
【0028】
本実施形態のアンテナ装置本体1、101によれば、高周波数側の広帯域の周波数帯W2で動作する平面形状のモノポールアンテナを給電素子とし、その水平面方向に向けてその側部に低周波数側の周波数帯W1で動作するゼロ次共振エレメントとなる第2導体12を配置し、第3導体13により連結して電気的に接続している。これにより、ゼロ次共振アンテナとモノポールアンテナを共生しながら、それぞれ異なる第1周波数帯W1、第2周波数帯W2の二共振特性にて動作させることができる。
【0029】
本実施形態の構成によれば、低背、且つ、多共振特性を簡易的な構造で実現できる。また水平面に垂直偏波、無指向性、且つ、多共振構造のアンテナ装置本体1、101を実現できる。しかも、アンテナ装置本体1、101の間隙の調整や管理を容易にできる。
【0030】
アンテナ装置本体101は、平板導体を加工成形した第1部材111~第3部材113及び一部導体114を組み立てることで一体化して構成できる。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態について
図11から
図20を参照しながら説明する。
図11及び
図12に示すように、アンテナ装置本体201は、アンテナ装置本体1、101をベースに構成されている。このため、アンテナ装置本体1、101と異なる部分を説明する。アンテナ装置本体201は、第1導体11~第3導体13及びエレメント14と共に第4導体16を備える。
【0032】
第4導体16は、周波数特性の整合用に設けられるもので第1導体11に連結されている。第4導体16は、第1導体11のxy方向の四隅の一つのy方向の端部11bに位置して連結されている。第4導体16は、端部11bから垂直方向(z方向)に延びて導体地板10に接地されている。製造上では、平板導体の第1導体11のx方向端部に位置して第4導体16を一体に設けて平板状に成形し、第4導体16を折曲成形するとよい。この場合、y方向又はx方向に折曲成形するとよい。
【0033】
第4導体16は、第1導体11のx方向幅よりも幅狭に構成されている。アンテナ装置本体201は、第4導体16を連結することで逆F型アンテナとして機能する。アンテナ装置本体201は、整合用の第4導体16を構成することで共振する第1周波数帯W1の帯域幅、第2周波数帯W2の帯域幅を調整できる。
【0034】
図13にVSWR特性を示すように、
図3に示したVSWR特性に比較して、第1周波数帯W1、第2周波数帯W2の中でVSWRを1に近づけるようにより低くでき、より整合性を高めることができる。
図14にアンテナ装置本体201の特定周波数f1~f3における指向性特性を示している。
図4に示した指向性特性と比較しても概ね同様の特性を維持できることを把握できる。
【0035】
アンテナ装置本体201は、第1実施形態のアンテナ装置本体1、101と比較して第4導体16を導体地板10に連結している。アンテナ装置本体201は、導体地板10との間で、給電点20の給電位置とエレメント14の連結位置と第4導体16の連結位置との3点で支持できるようになり、より強固な構造に保持できる。
【0036】
発明者らは、
図11に示したアンテナ装置本体201の構造をベースとし、
図15及び
図16に示すように、第3導体13のx方向の幅Wを、幅Wa<幅Wb<幅Wcのように変化させて特性評価を行っている。
【0037】
第3導体13の幅Wが変化すればVSWR特性も変化する。幅Wが狭くなればなるほど第1周波数帯W1及び第2周波数帯W2の帯域幅は共に狭くなりやすい。第3導体13の幅Wが広くなると、第1周波数帯W1と第2周波数帯W2とを分離する周波数帯ではVSWRの特性変化もなだらかになる。
【0038】
また、幅Wc→幅Waのように幅Wを狭くすれば、第2周波数帯W2の中心周波数を一定に保ちながら、第1周波数帯W1の中心周波数を低くできる。このことから、幅Wを調整することで第1周波数帯W1の帯域幅を調整できる。
図17に第3導体13のx方向幅W=Wcと最も広くしたときの特定周波数f1~f3における指向性特性を示している。前述で示した特性と概ね同様の特性を維持できることを把握できる。
【0039】
また、発明者らは
図11に示したアンテナ装置本体201の構造をベースとし、
図18及び
図19に示すように、第3導体13のy方向長さLを長さLa<長さLb<長さLcのように変化させて特性評価を行っている。なお、
図18に示すように、第2導体12と第3導体13との間には所定幅のギャップGを設けている。
【0040】
第3導体13の長さLが変化してもVSWR特性も変化する。長さLが長くなればなるほど第1周波数帯W1の中心周波数が低くなる。このことから、長さLを調整することで第1周波数帯W1の帯域を調整できる。
図20には、第3導体13のy方向長さL=Lcと最も長くしたときの特定周波数f1~f3における指向性特性を示している。前述で示した特性と概ね同様の特性を維持できることを把握できる。
【0041】
<本実施形態のまとめ>
本実施形態によれば、整合用の第4導体16を設けている。整合用の第4導体16を用いてインピーダンス調整でき低背化を実現できる。しかも、第1実施形態に比較してさらにより強固にアンテナ装置本体201を固定できる。
【0042】
(第3実施形態)
第3実施形態について
図21から
図24を参照しながら説明する。
図21に示したアンテナ装置本体301は、アンテナ装置本体201の構造と共に、固定用の第5導体17及び第6導体18(固定用導体相当)を備える。固定用の第5導体17、第6導体18は、その一端がそれぞれ第3導体13側から離間した第2導体12のy方向端部に結合されている。第5導体17は、第2導体12のy方向端部で、且つ、x方向の一端に位置して結合されており、その結合位置から鉛直方向(z方向)に延設されている。第6導体18は、第2導体12のy方向端部で、且つ、x方向の他端に位置して結合されており、その結合位置から鉛直方向(z方向)に延設されている。
【0043】
第5導体17及び第6導体18は、それぞれ第2導体12に一体化して連結されている。第5導体17及び第6導体18は、導体地板10には接触しないようにプリント配線基板100に固定されている。具体的には、第5導体17及び第6導体18がプリント配線基板100と接触する接触部に位置してスルーホール10a、10bが構成されており、スルーホール10a、10bはプリント配線基板100の導体地板10と分離して構成されている。第5導体17及び第6導体18のx方向幅は、第2導体12のx方向幅よりも幅狭に構成されている。製造上では、平板導体の第2導体12の端部に位置して第5導体17及び第6導体18を一体に設けて平板状に成形し、第5導体17及び第6導体18を折曲成形するとよい。
【0044】
図23にアンテナ装置本体201とアンテナ装置本体301のVSWR特性を比較して示している。アンテナ装置本体301の第1周波数帯W1aの帯域は、アンテナ装置本体201の第1周波数帯W1の帯域に比較して低周波数化している。これは、第5導体17及び第6導体18が、インダクタンス成分を増すインピーダンス素子として機能するためであり、第1周波数帯W1aの帯域を低周波数化するための要素として機能するためである。また
図23に示すように、アンテナ装置本体301の第2周波数帯W2aの帯域幅を、アンテナ装置本体201の第2周波数帯W2の帯域幅に比較して広くすることもできる。
【0045】
図24に示すように、アンテナ装置本体301の構造において第3導体の長さLを長さLcとした場合の指向性特性を示している。水平面方向の指向性特性は、特定周波数f3を除き概ね無指向性となることがわかる。
【0046】
本実施形態のアンテナ装置本体301の構造によれば、インダクタンス成分を増してインピーダンス整合を図ることができ共振周波数を調整できる。つまり、プリント配線基板100に固定するだけではなく、インダクタンス成分を増加させることができ低周波化も実現できる。第5導体17、第6導体18を設けることで構造上の安定化を図ることができる。
【0047】
(他の実施形態)
本開示は、前述実施形態に限られず、以下に示す変形又は拡張が可能である。
前述実施形態のアンテナ装置本体301では、第5導体17及び第6導体18を共に設けた形態を説明したが何れか一方だけ設けても良い。第5導体17及び/又は第6導体18は、第2導体12の矩形状の四隅の一部に結合した形態を示したが、第2導体12の何れの位置に結合して構成してもよい。これにより、アンテナ装置本体301の構造上の安定性を確保できる。しかも、第5導体17及び/又は第6導体18の結合位置を調整することでインダクタンス性を調整でき、共振周波数や帯域幅を調整できる。
【0048】
アンテナ装置本体1、101、201、301は、WiFi(登録商標)の用途に用いることで説明したが、この用途に限られるものではない。アンテナ装置本体1、101、201、301は、二共振特性を必要とするアンテナに適用するのに好適である。また、アンテナ装置本体1、101、201、301は、車両に搭載するものに限られない。
【0049】
本開示は、前述の実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や実施形態に記載された構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0050】
図面中、1、101、201、301はアンテナ装置本体、10は導体地板、11は第1導体、12は第2導体、13は第3導体、14はエレメント、16は第4導体、17は第5導体(固定用導体)、18は第6導体(固定用導体)、100はプリント配線基板、を示す。