IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 何 全政の特許一覧

特開2024-168629動力工具に用いる固定トルクモジュール
<>
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図1
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図2
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図3
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図4
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図5
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図6
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図7a
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図7b
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図8a
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図8b
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図9
  • 特開-動力工具に用いる固定トルクモジュール 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168629
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】動力工具に用いる固定トルクモジュール
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20241128BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B25B21/00 520C
B25F5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085469
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】523193023
【氏名又は名称】何 全政
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】何 全政
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC01
3C064AC08
3C064AC09
3C064BA12
3C064BB30
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA87
3C064CB01
3C064CB11
3C064CB17
3C064CB62
3C064CB74
(57)【要約】      (修正有)
【課題】転および逆転によって異なる大きさのトルクを出力することができるだけでなく、高回転速度を保ち、良好な作業効率を維持し、製造コストの削減を実現する。
【解決手段】動力工具に用いる固定トルクモジュールは環状伝動機構、二つの緩衝ユニット、内部シャフトユニットおよび外部シャフトユニットを備える。環状伝動機構は本体、接続部、中心軸、二つの格納室および二つの打撃ブロックを有する。二つの緩衝ユニットは二つの格納室の一部分を占めて格納室に格納空間を保留するように配置される。内部シャフトユニットは内部円盤体、二つの内部凸状ブロック、軸溝、軸部および嵌合部を有する。環状伝動機構の中心軸は軸溝に差し込まれる。外部シャフトユニットは外部円盤体、二つの外部凸状ブロック、シャフトスリーブ、作動端部、軸孔および嵌合溝を有する。内部シャフトユニットの嵌合部は嵌合溝に嵌まり込む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部を有する動力工具に用いる固定トルクモジュールであって、
環状伝動機構、二つの緩衝ユニット、内部シャフトユニットおよび外部シャフトユニットを備え、
前記環状伝動機構は本体、接続部、中心軸、二つの格納室および二つの打撃ブロックを有し、前記接続部は前記動力工具の前記出力部に接続され、前記本体から伸びて形成され、前記中心軸は前記本体から前記接続部と反対方向に伸びて形成され、二つの前記格納室は前記本体かつ前記中心軸の両側に別々に形成され、二つの前記打撃ブロックは前記本体から伸びて形成され、二つの前記格納室より前記中心軸から離れるように配置され、
二つの前記緩衝ユニットは二つの前記格納室の一部分を占めて前記格納室に格納空間を保留するように配置され、
前記内部シャフトユニットは内部円盤体、二つの内部凸状ブロック、軸溝、軸部および嵌合部を有し、二つの前記内部凸状ブロックは前記内部円盤体から二つの前記格納空間内まで伸びて形成され、前記軸溝は前記内部円盤体の中に形成され、前記環状伝動機構の前記中心軸は前記軸溝に差し込まれ、前記軸部は前記内部円盤体から二つの前記内部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成され、前記嵌合部は前記軸部の末端部に形成され、
前記外部シャフトユニットは外部円盤体、二つの外部凸状ブロック、シャフトスリーブ、作動端部、軸孔および嵌合溝を有し、二つの前記外部凸状ブロックは前記外部円盤体から前記環状伝動機構の前記本体へ伸びて形成され、かつ前記内部円盤体の外側に配置され、前記シャフトスリーブは前記外部円盤体から二つの前記外部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成され、前記作動端部は前記シャフトスリーブの末端部に配置され、前記軸孔は前記外部円盤体から前記シャフトスリーブの内部まで伸びて形成され、前記内部シャフトユニットの前記軸部は前記軸孔に差し込まれ、前記嵌合溝は前記軸孔の内側端部に形成され、前記内部シャフトユニットの前記嵌合部は前記嵌合溝に嵌まり込み、
前記内部円盤体は前記外部円盤体と前記環状伝動機構の前記本体との間に配置され、
前記環状伝動機構が第一方向に向かって回転する際、二つの前記打撃ブロックは二つの前記外部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を前記外部シャフトユニットに伝達し、
前記環状伝動機構が前記第一方向と逆の第二方向に向かって回転する際、二つの前記緩衝ユニットは二つの前記内部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を前記内部シャフトユニットに伝達し、続いて前記嵌合部および前記嵌合溝によって前記内部シャフトユニットに伝達した前記回転力を前記外部シャフトユニットに伝達することを特徴とする動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項2】
前記緩衝ユニットは弾性体および一つ以上の片状弾性部を有し、一つ以上の前記片状弾性部は前記内部凸状ブロックと前記弾性体との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項3】
前記弾性体は天然高分子材料または合成高分子材料から製作されることを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項4】
前記緩衝ユニットはさらにブロックを有し、前記ブロックは前記片状弾性部と前記内部凸状ブロックとの間に位置することを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項5】
前記弾性体および前記片状弾性部は前記内部凸状ブロックに向かって円弧状に突出することを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項6】
前記環状伝動機構の前記接続部は外周縁部の横断面が非円形の柱状軸部からなるか、内周縁部の横断面が非円形の嵌合孔を有することを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項7】
前記内部シャフトユニットの前記軸部は形が中間部から両端部へ漸増するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項8】
前記内部シャフトユニットの前記嵌合部は外周縁部の横断面が非円形であり、
前記外部シャフトユニットの前記嵌合溝は内周縁部の横断面が非円形であることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項9】
前記作動端部の外周縁部または内周縁部は横断面が非円形であることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力工具に関し、詳しくは動力工具に用いる固定トルクモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアツール、電動工具および油圧駆動工具などの動力工具は回転軸に連結されたツールヘッドによってボルトまたはナットなどの部品を締めたり緩めたりする。回転軸を逆転させてナットまたはボルトを緩める場合には、動力工具に大きいトルクを生じることが必要である。ナットまたはボルトを締めるには、回転軸の正転によって生じるトルクを適切な範囲内に制御しなければ、ボルトまたはナットを強く締めたことが原因でボルトまたはナットを破損させるか、着脱が難しくなることがよくある。またタイヤを取り付ける際、複数のナットの締め付けトルクを一致させなければ、応力の大きさが均一ではないため、長期にわたって振動したナットが緩くなりやすくなり、危険を招いてしまう。
【0003】
油圧原理または遊星歯車減速機構によって出力軸トルクを制御するエアツールの場合、構造の高精度加工が求められるため、コストが高い。また回転速度が比較的低いため作業効率があまりよくない。つまり、高速回転を維持したうえで出力トルクの大きさを制御することができ、同時に加工をスムーズにし、製造工ストを削減できる方法を探ることは業界において解決待ちの技術問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は動力工具に適用され、正転および逆転によって異なる大きさのトルクを出力することができる固定トルクモジュールを提供することを主な目的とする。
【0005】
本発明は動力工具に適用され、回転速度および作業効率を高め、製造コストを削減することができる固定トルクモジュールを提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、固定トルクモジュールは動力工具に適用される。動力工具は出力部を有する。固定トルクモジュールは環状伝動機構、二つの緩衝ユニット、内部シャフトユニットおよび外部シャフトユニットを備える。環状伝動機構は本体、接続部、中心軸、二つの格納室および二つの打撃ブロックを有する。接続部は動力工具の出力部に接続され、本体から伸びて形成される。中心軸は本体から接続部と反対方向に伸びて形成される。二つの格納室は本体かつ中心軸の両側に別々に形成される。二つの打撃ブロックは本体から伸びて形成され、二つの格納室より中心軸から離れるように配置される。二つの緩衝ユニットは二つの格納室の一部分を占めて格納室に格納空間を保留するように配置される。内部シャフトユニットは内部円盤体、二つの内部凸状ブロック、軸溝、軸部および嵌合部を有する。二つの内部凸状ブロックは内部円盤体から二つの格納空間内まで伸びて形成される。軸溝は内部円盤体の中に形成される。環状伝動機構の中心軸は軸溝に差し込まれる。軸部は内部円盤体から二つの内部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成される。嵌合部は軸部の末端部に形成される。外部シャフトユニットは外部円盤体、二つの外部凸状ブロック、シャフトスリーブ、作動端部、軸孔および嵌合溝を有する。二つの外部凸状ブロックは外部円盤体から環状伝動機構の本体へ伸びて形成され、かつ内部円盤体の外側に配置される。シャフトスリーブは外部円盤体から二つの外部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成される。作動端部はシャフトスリーブの末端部に配置される。軸孔は外部円盤体からシャフトスリーブの内部まで伸びて形成される。内部シャフトユニットの軸部は軸孔に差し込まれる。嵌合溝は軸孔の内側端部に形成される。内部シャフトユニットの嵌合部は嵌合溝に嵌まり込む。内部円盤体は外部円盤体と環状伝動機構の本体との間に配置される。環状伝動機構が第一方向に向かって回転する際、二つの打撃ブロックは二つの外部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を外部シャフトユニットに伝達する。環状伝動機構が第一方向と逆の第二方向に向かって回転する際、二つの緩衝ユニットは二つの内部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を内部シャフトユニットに伝達し、嵌合部および嵌合溝によって回転力を外部シャフトユニットに伝達する。
【0007】
上述した構造特徴により、固定トルクモジュールが正転したり(第二方向に回転したり)、逆転したり(第一方向に回転したり)すれば、異なる大きさのトルクを出力し、かつ高回転速度および良好な作業効率を維持することができるため、製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールが装着してある動力工具を示す斜視図である。
図2図1中の2-2線に沿った断面図である。
図3】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールが装着してある動力工具を示す分解斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを示す分解斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールの外部シャフトユニットを示す側面図である。
図6】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを示す斜視図である。
図7a】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを逆転させる状態を示す斜視図である。
図7b】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを逆転させる状態を示す斜視図である。
図8a】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを正転させる状態を示す斜視図である。
図8b】本発明の第1実施形態による固定トルクモジュールを正転させる状態を示す斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態による固定トルクモジュールを示す斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態による固定トルクモジュールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による動力工具に用いる固定トルクモジュールを三つの実施形態および図面に基づいて説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1から図4に示すように、本発明の第1実施形態による固定トルクモジュール1は動力工具2内に装着される。動力工具2は動力源が特に限定されず、電気、空気圧または油圧駆動であってもよい。本実施形態において、動力工具2はエアツールである。
【0011】
動力工具2はエアモーター3を介して打撃機構を作動させ、打撃機構によってエアモーター3の回転動力を前方に伝達する。図2において、前方はFで表記される。後方はBで表記される。動力工具2は出力部4を有する。出力部4、即ち打撃機構はエアモーター3の回転動力を伝達する。動力工具2のエアモーター3および打撃機構は本発明の技術特徴ではないため、詳細な説明を省略する。別の実施形態はエアモーター3の出力軸5または別の部品を打撃機構即ち出力部4として使用することができる。
【0012】
固定トルクモジュール1は環状伝動機構10、二つの緩衝ユニット20、内部シャフトユニット30および外部シャフトユニット40を備える。
【0013】
環状伝動機構10は金属加工によって製作され、円柱状の本体11、接続部12、中心軸14、二つの格納室16および二つの打撃ブロック18を有する。接続部12は動力工具2の出力部4に接続され、本体11から後へ伸びて形成される。中心軸14は本体11から前方、即ち接続部12と反対方向に伸びて形成される。二つの格納室16は本体11かつ中心軸14の両側に別々に形成される。二つの打撃ブロック18は本体11から前方に伸びて形成され、二つの格納室16より中心軸14から離れるように配置される。接続部12は柱状軸部121および二つの被衝撃部122を有する。二つの被衝撃部122は柱状軸部121から伸びて形成され、打撃機構の間歇的な敲きに耐えることができる。接続部12は構造が出力部4に対応するように設けられる。言い換えれば、柱状軸部121の外周縁部の断面が非円形であれば、出力部4の回転動力を受けることができる。中心軸14は本体11の回転の中心に位置する。二つの格納室16は形が同じであり、中心軸14に対応する。二つの打撃ブロック18は二つの格納室16の外側に配置され、位置が中心軸14に対応し、形が円弧状であるが、これに限定されない。つまり、格納室16および打撃ブロック18は形が状況によって変わってもよい。
【0014】
二つの緩衝ユニット20は二つの格納室16の一部分を占めて格納室16に格納空間17を保留するように配置され、それぞれ円弧状の弾性体22、二つの片状弾性部24およびブロック26を有する。弾性体22は弾性変形および衝撃吸収ができる天然高分子材料または合成高分子材料、例えばゴムまたはシリコンから製作される。二つの片状弾性部24は金属材料から製作され、弾性体22の凸状側辺221に並列するように連結される。図7bに示すように、弾性体22の凹状側辺222と格納室16の内壁との間に隙間161があるため、弾性体22は大きく変形し、緩衝空間を増加させることができる。二つの片状弾性部24は弾性体22の支えによって緩衝効果を生じることができる。ブロック26は金属材料から製作され、相当な厚みおよび耐衝撃性があるため、二つの片状弾性部24はブロック26によって保護されたうえで連続衝撃を受けて損壊することが起りにくい。
【0015】
内部シャフトユニット30は内部円盤体31、二つの内部凸状ブロック32、軸溝34、軸部35および嵌合部38を有する。二つの内部凸状ブロック32は内部円盤体31の後側から二つの格納空間17の中まで伸びて形成される。軸溝34は内部円盤体31の後側に形成される。環状伝動機構10の中心軸14は軸溝34に差し込まれる。軸部35は内部円盤体31から前方、即ち二つの内部凸状ブロック32と反対方向に伸びて形成される。嵌合部38は軸部35の末端部36に形成される。二つの内部凸状ブロック32は円弧状の細長いブロックであり、二つのブロック26に並んで二つのブロック26を片状弾性部24と内部凸状ブロック32の間に維持する。別の実施形態において、二つの片状弾性部24の厚みが増大すればブロック26の配置を省略し、二つの片状弾性部24を内部凸状ブロック32と弾性体22との間に位置させることができる。弾性体22と片状弾性部24は内部凸状ブロック32に向かって円弧状に突出する。環状伝動機構10の中心軸14は軸溝34に差し込まれて内部シャフトユニット30と環状伝動機構10を同軸に維持し、回転させることができる。軸部35は形が中間部37から両端部へ漸増するため、中間部37をねじって変形させ、一部分の回転トルクを吸収し、十分な構造強度を保つことによって回転力に耐えられず断裂することを避ける。嵌合部38は二つの平坦面39を有する。詳しく言えば、嵌合部38の外周縁部の横断面が非円形であれば、外部シャフトユニット40に回転動力を伝達することができる。
【0016】
外部シャフトユニット40は外部円盤体41、二つの外部凸状ブロック42、シャフトスリーブ44、作動端部46、軸孔47および嵌合溝49を有する。二つの外部凸状ブロック42は外部円盤体41から後方の環状伝動機構10の本体11へ伸びて形成され、かつ内部円盤体31の外側に配置される。シャフトスリーブ44は外部円盤体41から前方、即ち二つの外部凸状ブロック42と反対方向に伸びて形成される。作動端部46はシャフトスリーブ44の末端部45に配置される。軸孔47は外部円盤体41からシャフトスリーブ44の内部まで伸びて形成される。内部シャフトユニット30の軸部35は軸孔47に差し込まれる。嵌合溝49は軸孔47の内側端部48に形成される。内部シャフトユニット30の嵌合部38は嵌合溝49に嵌まり込む。図5に示すように、二つの外部凸状ブロック42は円弧状の細長いブロックである。二つの外部凸状ブロック42および二つの打撃ブロック18は内部シャフトユニット30の外側に交差して配置される。内部シャフトユニット30の軸部35は軸孔47からシャフトスリーブ44に差し込まれる。作動端部46は四角柱状であるが、これに限らず、管状であってもよい。作動端部46の外周縁部の横断面が非円形であれば、作動端部46は回転動力を伝達することができる。作業を進める際、ツールヘッド(図中未表示)例えばソケットレンチを作動端部46に嵌めればナットまたはボルトを回すことができる。図5に示すように、嵌合溝49は内周縁部の形が嵌合部38に対応し、二つの平坦面491を有するため、外部シャフトユニット40は内部シャフトユニット30によって駆動される。別の実施形態において、嵌合溝49の内周縁部の横断面が非円形であるため、外部シャフトユニット40は内部シャフトユニット30の回転力を受けることができる。
【0017】
図2および図6に示すように、内部円盤体31は外部円盤体41と環状伝動機構10の本体11との間に配置される。図7aはユーザーが動力工具2によって出力部4を逆転させる状態を示す斜視図である。ユーザーが動力工具2の出力部4を逆時計回りに回転させて(逆転させて)ナットを緩める際、図7aに示すように、環状伝動機構10は出力部4の駆動力を受けたうえで第一方向D1(即ち逆時計回り)に向かって回転し、二つの打撃ブロック18を二つの外部凸状ブロック42に衝突させて回転力を外部シャフトユニット40に伝達する。二つの打撃ブロック18および二つの外部凸状ブロック42は中心軸14から遠い、即ち力点と支点間の距離が大きいため、比較的大きい回転トルクを生じることができる。図7bに示すように、環状伝動機構10の格納室16の内壁と二つの内部凸状ブロック32との間に隙間があるため、環状伝動機構10の回転力を内部シャフトユニット30に伝達することはない。
【0018】
ユーザーが動力工具2の出力部4を時計回りに回転させて(正転させて)ナットを締める際、図8aに示すように、環状伝動機構10は第一方向D1と逆の第二方向D2(即ち時計回り)に向かって回転し、二つの打撃ブロック18を二つの外部凸状ブロック42から分離させるため、回転力は環状伝動機構10から外部シャフトユニット40に伝わることがない。図8bに示すように、二つの緩衝ユニット20の二つのブロック26を二つの内部凸状ブロック32に衝突させれば、回転力は環状伝動機構10から内部シャフトユニット30に伝わってそののち嵌合部38および嵌合溝49を介して外部シャフトユニット40に伝わる。二つの内部凸状ブロック32は中心軸14に近い、即ち力点と支点間の距離が小さいため、回転トルクが比較的小さい。嵌合部38と嵌合溝49は中心軸14の軸線に近いため、回転トルクを低減させる。緩衝ユニット20の弾性体22および片状弾性部24は環状伝動機構10の回転力を吸収できる。内部シャフトユニット30の軸部35は構造が細長いため、軸部35をねじって変形させてトルクを吸収することができる。上述した構造特徴により、出力した正転トルクを低減させることができる。詳しく言えば、テスト結果により、正転トルクは逆転トルクの1/4まで下がることが判明した。つまり、出力した逆転トルクが400ニュートンメートルであれば、出力した正転トルクが100ニュートンメートルである。正転トルクは顧客のニーズに応じて調整されるため、固定トルクの出力が実現できる。
【0019】
上述をまとめてみると、本発明による固定トルクモジュール1は正転および逆転によって異なる大きさのトルクを出力することができる。外部シャフトユニット40は動力工具2の出力部4とともに回転するため、出力する時の回転速度を降下させず、正転または逆転する時の回転速度を8000から9000rpmの間に保ち、良好な作業効率を維持することができる。油圧機構と比べて付属品の加工精度はそれほど高くないため、加工の簡易化および製造コストの削減が実現できるだけでなく、市場形成力を有する。
【0020】
(第2実施形態)
図9は本発明の第2実施形態による固定トルクモジュール1aを示す斜視図である。第1実施形態との違いは下記のとおりである。第2実施形態において、環状伝動機構10aの接続部12aは異なる動力工具の出力部に対応するための六角形の柱状軸部121aからなる。
【0021】
(第3実施形態)
図10は本発明の第3実施形態による固定トルクモジュール1bを示す斜視図である。第1実施形態との違いは下記のとおりである。第3実施形態において、環状伝動機構10bの接続部12bは異なる動力工具の出力部に対応するための四角形の嵌合孔13bを有する。上述した構造特徴により、市販の動力工具の四角柱状の出力軸に固定トルクモジュール1bと被せることができる。つまり、本発明の応用範囲を増大させることができる。
【0022】
環状伝動機構10の接続部は上述に限定されず、外周縁部の横断面が非円形の柱状軸部であってもよい。嵌合孔は上述に限定されず、内周縁部の横断面が非円形であってもよい。緩衝ユニットは上述に限定されず、作用力が吸収できる部材、例えばスプリングなどであってもよい。
【0023】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0024】
1、1a、1b:固定トルクモジュール
2:動力工具
3:エアモーター
4:出力部
5:出力軸
10、10a、10b:環状伝動機構
11:本体
12、12a、12b:接続部
121、121a:柱状軸部
122:被衝撃部
13b:嵌合孔
14:中心軸
16:格納室
161:隙間
17:格納空間
18:打撃ブロック
20:緩衝ユニット
22:弾性体
221:凸状側辺
222:凹状側辺
24:片状弾性部
26:ブロック
30:内部シャフトユニット
31:内部円盤体
32:内部凸状ブロック
34:軸溝
35:軸部
36:末端部
37:中間部
38:嵌合部
39:平坦面
40:外部シャフトユニット
41:外部円盤体
42:外部凸状ブロック
44:シャフトスリーブ
45:末端部
46:作動端部
47:軸孔
48:内側端部
49:嵌合溝
491:平坦面
B:後方
D1:第一方向
D2:第二方向
F:前方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力部を有する動力工具に用いる固定トルクモジュールであって、
環状伝動機構、二つの緩衝ユニット、内部シャフトユニットおよび外部シャフトユニットを備え、
前記環状伝動機構は本体、接続部、中心軸、二つの格納室および二つの打撃ブロックを有し、前記接続部は前記動力工具の前記出力部に接続され、前記本体から伸びて形成され、前記中心軸は前記本体から前記接続部と反対方向に伸びて形成され、二つの前記格納室は前記本体かつ前記中心軸の両側に別々に形成され、二つの前記打撃ブロックは前記本体から伸びて形成され、二つの前記格納室より前記中心軸から離れるように配置され、
二つの前記緩衝ユニットは二つの前記格納室の一部分を占めて前記格納室に格納空間を保留するように配置され、
前記内部シャフトユニットは内部円盤体、二つの内部凸状ブロック、軸溝、軸部および嵌合部を有し、二つの前記内部凸状ブロックは前記内部円盤体から二つの前記格納空間内まで伸びて形成され、前記軸溝は前記内部円盤体の中に形成され、前記環状伝動機構の前記中心軸は前記軸溝に差し込まれ、前記軸部は前記内部円盤体から二つの前記内部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成され、前記嵌合部は前記軸部の末端部に形成され、
前記外部シャフトユニットは外部円盤体、二つの外部凸状ブロック、シャフトスリーブ、作動端部、軸孔および嵌合溝を有し、二つの前記外部凸状ブロックは前記外部円盤体から前記環状伝動機構の前記本体へ伸びて形成され、かつ前記内部円盤体の外側に配置され、前記シャフトスリーブは前記外部円盤体から二つの前記外部凸状ブロックと反対方向に伸びて形成され、前記作動端部は前記シャフトスリーブの末端部に配置され、前記軸孔は前記外部円盤体から前記シャフトスリーブの内部まで伸びて形成され、前記内部シャフトユニットの前記軸部は前記軸孔に差し込まれ、前記嵌合溝は前記軸孔の内側端部に形成され、前記内部シャフトユニットの前記嵌合部は前記嵌合溝に嵌まり込み、
前記内部円盤体は軸方向において前記外部円盤体と前記環状伝動機構の前記本体との間に配置され、
前記環状伝動機構が第一方向に向かって回転する際、二つの前記打撃ブロックは二つの前記外部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を前記外部シャフトユニットに伝達し、
前記環状伝動機構が前記第一方向と逆の第二方向に向かって回転する際、二つの前記緩衝ユニットは二つの前記内部凸状ブロックに衝突したうえで回転力を前記内部シャフトユニットに伝達し、続いて前記嵌合部および前記嵌合溝によって前記内部シャフトユニットに伝達した前記回転力を前記外部シャフトユニットに伝達することを特徴とする動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項2】
前記緩衝ユニットは弾性体および一つ以上の片状弾性部を有し、一つ以上の前記片状弾性部は前記内部凸状ブロックと前記弾性体との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項3】
前記弾性体は天然高分子材料または合成高分子材料から製作されることを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項4】
前記緩衝ユニットはさらにブロックを有し、前記ブロックは前記片状弾性部と前記内部凸状ブロックとの間に位置することを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項5】
前記弾性体および前記片状弾性部は前記内部凸状ブロックに向かって円弧状に突出することを特徴とする請求項2に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項6】
前記環状伝動機構の前記接続部は外周縁部の横断面が非円形の柱状軸部からなるか、内周縁部の横断面が非円形の嵌合孔を有することを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項7】
前記内部シャフトユニットの前記軸部は形が中間部から両端部へ漸増するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項8】
前記内部シャフトユニットの前記嵌合部は外周縁部の横断面が非円形であり、
前記外部シャフトユニットの前記嵌合溝は内周縁部の横断面が非円形であることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。
【請求項9】
前記作動端部の外周縁部または内周縁部は横断面が非円形であることを特徴とする請求項1に記載の動力工具に用いる固定トルクモジュール。