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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016865
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H01R13/42 E
H01R13/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119130
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】實藤 雄介
(72)【発明者】
【氏名】秋口 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】宍倉 誠司
(72)【発明者】
【氏名】筒井 有機
(72)【発明者】
【氏名】松本 亜美
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087GG15
5E087GG26
5E087RR04
5E087RR25
5E087RR26
(57)【要約】
【課題】リテーナによる、コンタクトピンの十分な抜け止めとコンタクトピンが正規位置まで挿し込まれたか否かの指標としての十分な役割を果たし、かつ、小型化に適したコネクタを提供する。
【解決手段】 このコネクタは、ハウジング20と、リテーナ30と、コンタクトピン40とを備えている。コンタクトピン40は、接点部41を有する。接点部41は、相手コンタクトが挿し込まれる開口411と相手コンタクトと接する接点412を有し、その接点412を取り巻くように筒形に形成されている。リテーナ30はハウジング20に挿し込まれたコンタクトピン40に係合してコンタクト40を抜け止めする。ここで、コンタクトピン40は、リテーナ30と係合して抜け止めされる係合部415を、接点部41の、挿入の向きの途中位置に備えている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入の向きの前端に相手コンタクトが挿し込まれる開口を有するとともに内部に相手コンタクトと接する接点を有し該接点を取り巻くように筒形に形成され挿入の向きに延びた接点部、および該接点部よりも挿入の向きの後方に設けられた、ワイヤと接続されるワイヤ接続部を有するコンタクトピンと、
前記コンタクトピンが挿入されるハウジングと、
前記コンタクトピンの挿入の向きとは交わる向きに前記ハウジングに挿し込まれて該ハウジングに挿入されている該コンタクトピンを抜け止めするリテーナとを備え、
前記コンタクトピンが、前記接点部の、挿入の向きの途中位置に、前記リテーナと係合して抜け止めされる係合部を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記係合部が、前記接点部の筒形の内外に開口した形状を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記接点部が、略矩形の筒形を有し、前記係合部が、該略矩形の互いに接する2辺に跨って筒形の内外に開口した形状を有することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接点部が、略矩形の筒形を有し、前記係合部が、該略矩形の3辺に跨って筒形の内外に開口した形状を有することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記係合部が、前記接点部を貫通した形状を有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに差し込まれたコンタクトピンを抜け止めするリテーナを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、リテーナによりコンタクトピンの抜け止めするタイプのコネクタが知られている。このリテーナは、ハウジングへのコンタクトピンの挿入の向きとは交わる向きからハウジングに挿し込まれてコンタクトピンを抜け止めする。このリテーナには、コンタクトピンの抜け止めの役割のほか、ハウジングから一部が飛び出ていることをもって、コンタクトピンがハウジングに正しい位置まで挿し込まれていないことの指標としての役割を担っている。
【0003】
コンタクトピンは、相手コンタクトと接する接点を有しその接点を取り巻くように筒形に形成された接点部と、ワイヤと接続されるワイヤ接続部とを有し、従来は、接点部の、ワイヤ接続部側の後端の段差にリテーナを係合させることで、抜け止めがなされている。
【0004】
近年の益々の傾向として、このタイプのコネクタにおいても小型化が要求されている。このため、コンタクトピン自体も小型化する必要がある。コンタクトピンが小型化されると、上記の段差として十分な高さの段差が確保できず、抜け止めとして十分な機能を発揮するだけのリテーナとの係合の面積を確保することができないおそれがある。また、このことは、コンタクトピンがハウジングの正しい位置まで挿し込まれているときと、コンタクトピンがハウジングに正しい位置まで挿し込まれていないときの、リテーナの高さ位置の変化が小さく、コンタクトピンが正規位置まで挿し込まれたか否かの指標としての役割が不十分となるおそれがある。
【0005】
特許文献1には、コンタクトピンの挿入方向後方から、細長く後端部がハウジングから突き出て大きく折れ曲がった部材を挿し込み、その前端を上記の段差に突き当てることで、低い段差であってもコンタクトピンが十分に抜け止めされる構造のコネクタが提案されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1の構造では、抜け止めのための大きな部材を必要とし、上記の段差の低いコンタクトピンを採用して小型化を図ることとは矛盾するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-193657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、リテーナによる、コンタクトピンの十分な抜け止めとコンタクトピンが正規位置まで挿し込まれたか否かの指標としての十分な役割を果たし、かつ、小型化に適したコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のコネクタは、
挿入の向きの前端に相手コンタクトが挿し込まれる開口を有するとともに内部に相手コンタクトと接する接点を有し該接点を取り巻くように筒形に形成され挿入の向きに延びた接点部、およびその接点部よりも挿入の向きの後方に設けられた、ワイヤと接続されるワイヤ接続部を有するコンタクトピンと、
コンタクトピンが挿入されるハウジングと、
コンタクトピンの挿入の向きとは交わる向きにハウジングに挿し込まれて、ハウジングに挿入されているコンタクトピンを抜け止めするリテーナとを備え、
コンタクトピンが、上記接点部の、挿入の向きの途中位置に、リテーナと係合して抜け止めされる係合部を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明のコネクタは、リテーナと係合して抜け止めされる係合部を、接点部の、挿入の向きの途中位置に備えている。すなわち、接点部後端の、ワイヤ接続部との限られた段差にリテーナを係合させる必要がない。係合部を接点部の途中位置に備えたことにより、小型の細いコンタクトピンであっても、コンタクトピンの十分な抜け止めとコンタクトピンが正規位置まで挿し込まれたか否かの指標としての十分な役割をリテーナに担わせることができる。これにより、小型化に適したコネクタが実現する。
【0011】
ここで、上記係合部が、上記接点部の筒形の内外に開口した形状を有することが好ましい。
【0012】
係合部を、接点部の筒形の内外に開口した形状とすることにより、コンタクトピンの外形寸法を増大させることなく、係合部を形成することができる。
【0013】
ここで、上記接点部が略矩形の筒形を有し、上記係合部が、略矩形の互いに接する2辺に跨って筒形の内外に開口した形状を有していることが好ましい。
【0014】
あるいは、上記接点部が略矩形の筒形を有し、上記係合部が、略矩形の3辺に跨って筒形の内外に開口した形状を有していてもよい。
【0015】
係合部を、互いに接する2辺あるいは3辺に跨って筒形の内外に開口した形状とすることにより、筒形の内外に開口した1辺のみの穴を係合部とする場合と比べ、コンタクトピンの抜け止めの力を向上させることができる。
【0016】
あるいは、上記係合部が、接点部を貫通した形状を有することも好ましい形状である。
【0017】
係合部を、接点部を貫通した形状とした場合、互いに対面する2辺がコンタクトピンの抜け止めとして作用する。したがって、この場合も、1辺のみの穴を係合部とする場合と比べ、コンタクトピンの抜け止めの力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の本発明によれば、リテーナによる、コンタクトピンの十分な抜け止めとコンタクトピンが正規位置まで挿し込まれたか否かの指標としての十分な役割を果たし、かつ、小型化に適したコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態のコネクタの分解斜視図である。
図2】コンタクトピンの上面図(A)、平面図(B)、底面図(C)、左側面図(D)、および右側面図(E)である。
図3】コンタクトピンの斜視図である。
図4】コンタクトピンがハウジングに、正規の深さよりも手前の途中位置まで挿し込まれた状態におけるコネクタの斜視図(A)、平面図(B)、および側面図(C)である。
図5図4と同じ状態にあるコネクタの断面図である。
図6】コンタクトピンがハウジングに、正規の深さ位置まで挿し込まれた状態におけるコネクタの斜視図(A)、平面図(B)、および側面図(C)である。
図7図6と同じ状態にあるコネクタの断面図である。
図8】本発明の第2実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。
図9図8に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
図10】本発明の第3実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。
図11図10に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
図12】本発明の第4実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。
図13図12に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
図14】本発明の第5実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。
図15図14に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態のコネクタの分解斜視図である。ここで、図1(A)は、コンタクトピンがハウジングに挿し込まれる側から見た分解斜視図、図1(B)は、相手コネクタ(不図示)と向き合う嵌合面側から見た分解斜視図である。
【0022】
このコネクタ10は、ハウジング20と、リテーナ30と、コンタクトピン40とで構成されている。
【0023】
ハウジング20には、コンタクトピン40が挿し込まれる、横向きに開口した挿込穴21が上下2段に多数形成されている。
【0024】
コンタクトピン40は、それら多数の挿込穴21の1つ1つに、矢印Xの向きに挿し込まれるが、ここでは、コンタクトピン40は上段の隅の1つの挿込穴21に挿し込まれる1本のみ示されている。
【0025】
コンタクトピン40の、ハウジング20への挿し込みの向きの後部には、ワイヤ50が接続されている。このワイヤ50は、さらに後方に延びているが、ここでは、コンタクトピン40に接続された前端の部分のみが図示されている。
【0026】
また、ハウジング20には、スリット状に上方に開いた挿込開口22が形成されている。この挿込開口22からは、矢印Zで示す向きに、リテーナ30がハウジング20に挿し込まれる。このリテーナ30には、コンタクトピン40が貫通する貫通穴31が、1列だけ形成されている。この貫通穴31の上下方向の寸法は、コンタクトピン40の、その貫通穴31を貫通した部分の上下寸法よりも大きく、リテーナ30は、コンタクトピン40が貫通穴31を貫通した状態において上下方向に移動可能である。
【0027】
リテーナ30は、コンタクトピン40の挿し込みよりも先に、ハウジング20に、リテーナ30の上面32がハウジング20の上面23よりも突き出た半嵌合位置まで挿し込まれる。そのあと、コンタクトピン40が、ハウジング20の挿込穴21に挿し込まれる。上下2段の挿込穴21に挿し込まれたコンタクトピン40のうちの上段の挿込穴21に挿し込まれたコンタクトピン40は、さらにリテーナ30の貫通孔31を貫通する。下段の挿込穴21に挿し込まれたコンタクトピン40は、リテーナ30の下方を通過する。
【0028】
こうして、全ての挿込穴21にコンタクトピン40が挿し込まれた後、リテーナ30の上面32がハウジング20の上面23と面一となる完全嵌合位置まで、リテーナ30が押し下げられる。これにより、リテーナ30が上下2段の全てのコンタクトピン40に係合し、コンタクトピン40が抜け止めされる。
【0029】
図1(B)には、ハウジング20に形成された嵌合開口25が示されている。これらの嵌合開口25は、図1(A)に示した挿込穴21に繋がっている。このコネクタ10が相手コネクタ(不図示)と組み合うと、相手コネクタが保持している雄型のコンタクトピンが嵌合開口25から挿し込まれて、ハウジング20の内側に配置されているコンタクトピン40と電気的に接触する。
【0030】
図2は、コンタクトピンの上面図(A)、平面図(B)、底面図(C)、左側面図(D)、および右側面図(E)である。ここで、図2(D)-(E)は、図2(A)-(C)と比べ、拡大されている。
【0031】
また、図3は、コンタクトピンの斜視図である。この図3は、図2(A)-(C)と図2(D)-(E)の中間の寸法に拡大されている。
【0032】
このコンタクトピン40は、矢印Xで示す挿入の向きの前方に挿入の向きに延びた接点部41が設けられており、その後方にワイヤ接続部42が設けられている。
【0033】
接点部41は、相手コネクタ(不図示)に備えられている相手コンタクトとの接触を担う部分である。この接点部41は、矢印Xで示す挿入の向きの前端に、雄型の相手コンタクトが挿し込まれる開口411を有するとともに、内部に相手コンタクトと接する接点412を有する。そして、この接点部41は、接点412を取り巻くように略矩形の筒形に形成され挿入の向きに延びた形状を有している。
【0034】
また、この接点部41には、ランス突当部413と治具突当部414が設けられている。
【0035】
ランス突当部413は、このコンタクトピン40がハウジング20に挿入されたときにハウジング20内に形成されているランス24(図7参照)の先端が突き当てられる部分であり、この突き当てにより、コンタクトピン40が抜け止め用として仮係止される。
【0036】
また、治具突当部414は、コンタクトピン40をハウジング20に押し込むときに治具(不図示)を突き当てる部分である。この治具突当部414は、コンタクトピン40をハウジング20に挿入する際にコンタクトピン40が上下反転した向きで誤挿入されることを防止する機能を有する。
【0037】
さらに、この接点部41には、その接点部41の、矢印Xで示す挿入の向きに延びた途中位置に、係合部415が設けられている。この係合部415は、図2(B)、(C)に示すように、接点部41の略矩形の互いに接する2辺に跨って、その略矩形の筒形の内外に開口した形状を有する。ハウジング20に対しリテーナ30が半嵌合位置まで挿し込まれ、このコンタクトピン40がハウジング20に正規の位置まで挿入され、さらにリテーナ30が完全嵌合位置まで挿し込まれると、係合部415にリテーナ30が入り込み、これにより、コンタクトピン40がハウジング20から強固に抜け止めされる。
【0038】
また、ワイヤ接続部42は、芯線圧着部421と外被圧着部422とを有する。このワイヤ接続部42には、ワイヤ50が接続される。このワイヤ50は、導電性の芯線(不図示)と、その芯線を覆う絶縁性の外被とからなる。そして、芯線圧着部421には、ワイヤ50の先端部分の外被が剥がされて剥き出しになった状態の芯線が圧着接続される。また、外被圧着部422には、芯線を覆った状態の外被が圧着される。
【0039】
図4は、コンタクトピンがハウジングに、正規の深さよりも手前の途中位置まで挿し込まれた状態におけるコネクタの斜視図(A)、平面図(B)、および側面図(C)である。
【0040】
また、図5は、図4と同じ状態にあるコネクタの断面図である。この断面図は、図4と比べ、拡大されている。
【0041】
図4図5に示す、コンタクトピン40が正規の深さよりも手前の途中位置まで挿し込まれた状態ではリテーナ30がコンタクトピン40の係合部415に入り込むことができず、リテーナ40の上面32がハウジング20の上面23から突き出た状態にある。これにより、コンタクトピン40が正規の深さ位置まで挿し込まれていないことを認識することができる。誤認識を避けるために、リテーナ30のハウジング20からの突出量が大きいことが好ましい。本実施形態では、コンタクトピン40の接点部41に十分な深さの係合部415が形成されているため、リテーナ30の半嵌合位置と完全嵌合位置との間のストロークを大きくとることができ、これにより、十分な突出量を得て、誤認識を避けることができる。また、半嵌合位置にあるか完全嵌合位置にあるかをさらに分かり易くするために、リテーナ30を、ハウジング20とは異なる、目立つ色とすることが好ましい。
【0042】
図6は、コンタクトピンがハウジングに、正規の深さ位置まで挿し込まれた状態におけるコネクタの斜視図(A)、平面図(B)、および側面図(C)である。
【0043】
また、図7は、図6と同じ状態にあるコネクタの断面図である。この断面図は、図6と比べ、拡大されている。
【0044】
コンタクトピン40が正規の深さ位置まで挿し込まれると、コンタクトピン40の係合部415が、リテーナ30の貫通穴31と重なる。このため、半嵌合位置にあるリテーナ30を完全嵌合位置まで押し下げることができる。リテーナ30を完全嵌合位置まで押し下げると、リテーナ30の貫通穴31の上側の壁部33がコンタクトピン40の係合部415に嵌入し、コンタクトピン40が強固に抜け止めされる。また、完全嵌合位置まで押し下げることにより、リテーナ30の上面31がハウジング20の上面23と面一となる。この面一となったことを確認することにより、コンタクトピン40が正規の深さ位置まで挿し込まれていることが認識される。
【0045】
ここで、ハウジング20の挿込穴21は上下2段に形成されているのに対し、リテーナ30の貫通穴31は、上段の挿込穴21に対応する、上下方向について1段のみ形成されている。下段の挿込穴21に挿し込まれたコンタクトピン40の係合部415には、完全嵌合位置まで押し下げられたリテーナ30の、貫通穴31よりも下側の壁部34が嵌入し、上段の挿入穴21に挿し込まれたコンタクトピン40と同様に、強固に抜け止めされる。
【0046】
以上で第1実施形態のコネクタの説明を終了し、以下、第2実施形態以降の各実施形態について説明する。ただし、以下の各実施形態の説明では、本発明の特徴部分であるコンタクトピンと、そのコンタクトピンとリテーナの係合形態についてのみ、図示および説明する。
【0047】
また、以下の各実施形態の説明にあたっては、上記の第1実施形態における要素と共通する要素には、形状の相違にかかわらず、第1実施形態において用いた符号および名称と同じ符号および名称を用いて説明する。
【0048】
図8は、本発明の第2実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。ここで、図8(A)と図8(B)は、コンタクトピンを互いに異なる視点から眺めたときの斜視図である。
【0049】
この図8に示した第2実施形態のコンタクトピン40は、図2に示した第1実施形態のコンタクトピン40と比べ、外被圧着部422の形状等、いくつかの点で異なるものの、係合部415については、第1実施形態のコンタクトピン40の係合部415の形状をほぼ踏襲している。
【0050】
図9は、図8に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
【0051】
この第2実施形態において、係合部415は、コンタクトピン40の略矩形断面形状の接点部41の、図9(A)に示した断面における下側の辺416と左側の辺417との2辺に跨って形成されている。そして、リテーナ30は、図9(B)に示したように、その2辺に跨って形成されている係合部415に嵌入する。
【0052】
図10は、本発明の第3実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。ここで、図10(A)と図10(B)は、コンタクトピンを互いに異なる視点から眺めたときの斜視図である。
【0053】
この図10に示した第3実施形態のコンタクトピン40は、図8に示した第2実施形態のコンタクトピン40と比べ、係合部415の形成位置が異なっている。
【0054】
図11は、図10に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
【0055】
この第3実施形態において、係合部415は、コンタクトピン40の略矩形断面形状の接点部41の、図11(A)に示した断面における下側の辺416と右側の辺418との2辺に跨って形成されている。そして、リテーナ30は、図11(B)に示したように、その2辺に跨って形成されている係合部415に嵌入する。
【0056】
図12は、本発明の第4実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。ここで、図12(A)と図12(B)は、コンタクトピンを互いに異なる視点から眺めたときの斜視図である。
【0057】
この図12に示した第4実施形態のコンタクトピン40は、図8に示した第2実施形態および図10に示した第3実施形態のコンタクトピン40と比べ、係合部415の形状が異なっている。
【0058】
図13は、図12に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
【0059】
この第4実施形態において、係合部415は、コンタクトピン40の略矩形断面形状の接点部41の、図12(A)に示した断面における左側の辺417と下側の辺416と右側の辺418との3辺に跨って形成されている。そして、リテーナ30は、図13(B)に示したように、その3辺に跨って形成されている係合部415に嵌入する。
【0060】
図14は、本発明の第5実施形態のコネクタに採用されるコンタクトピンの斜視図である。ここで、図14(A)と図14(B)は、コンタクトピンを互いに異なる視点から眺めたときの斜視図である。
【0061】
この図14に示した第5実施形態のコンタクトピン40は、これまでに示した各実施形態のコンタクトピン40と比べ、係合部415の形状が異なっている。
【0062】
図15は、図14に示したコンタクトピンの係合部の部分の断面図(A)と、その係合部にリテーナが嵌入した状態を示した模式図(B)である。
【0063】
この第5実施形態において、係合部415は、コンタクトピン40の略矩形断面形状の接点部41の、図14(A)に示した断面における左側の辺417と右側の辺418との2辺を貫く貫通孔として形成されている。そして、リテーナ30は、図15(B)に示したように、その貫通孔を貫通するようにして係合部415に嵌入する。
【0064】
上記の各実施形態における係合部415は、コンタクトピン40の接点部41の、矢印Xで示す挿し込みの向きの途中位置において、リテーナ30が接点部41の内側にまで嵌入している。このため、リテーナ30の半嵌合位置と完全嵌合位置とのストロークを大きくとることができ、リテーナ30に、コンタクトピン40の十分な抜け止めとコンタクトピン40が正規の位置まで挿し込まれていることの指標としての十分な役割を果たさせることができる。
【0065】
また、上記の各実施形態における係合部415は、複数の辺に跨って形成されている。このため、係合部15が略矩形形状の接点部41の1辺にのみ形成された穴であってリテーナ30がその1辺にのみ接する形状とするよりも、コンタクトピン40がさらに強固に抜け止めされる。
【0066】
なお、ここでは、ハウジング20にコンタクトピン40が上下2段に挿し込まれるタイプのコネクタ10について説明したが、ハウジングに挿し込まれるコンタクトピンの段数は、1段であってもよく、あるいは、3段以上であってもよく、本発明は、様々なタイプのコネクタに適用することができる。
【0067】
また、ここでは、ワイヤ50を圧着接続するタイプのコンタクト40を備えたコネクタについて説明したが、本発明は、コンタクトピンへのワイヤの接続方法を問うものではなく、圧接接続を採用してもよく、あるいは半田接続を採用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 コネクタ
20 ハウジング
21 挿込穴
22 挿込開口
23 ハウジングの上面
24 ランス
25 嵌合開口
30 リテーナ
31 貫通穴
32 リテーナの上面
33 貫通穴の上側の壁部
34 貫通穴よりも下側の壁部
40 コンタクトピン
41 接点部
411 開口
412 接点
413 ランス突当部
414 治具突当部
415 係合部
42 ワイヤ接続部
421 芯線圧着部
422 外被圧着部
50 ワイヤ
図1
図2
図3
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図5
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