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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168663
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/12 20060101AFI20241128BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
D06F39/12 B
D06F39/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085534
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】領家 英之
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA11
3B165AD03
3B165AE02
3B165BA34
3B165BA40
3B165BA69
3B165CA02
3B165CA17
3B165CB01
3B165CB31
3B165DW03
3B165GH03
3B165GH04
3B166AA11
3B166AD03
3B166AE02
3B166BA34
3B166BA40
3B166BA69
3B166CA02
3B166CA17
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC44
3B166DC45
3B166HA01
3B166HA11
3B166HA31
3B166HA53
(57)【要約】
【課題】ユーザが水漏れを気付きやすい洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、給水源に接続される給水部と、給水部からの水を注水する注水部とを有する筐体と、筐体内に設けられており、注水部からの水が注水される洗濯槽と、を備える。筐体は、注水部よりも上流側で漏れた水が洗濯槽の底面に向かって落下するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続される給水部と、前記給水部からの水を注水する注水部とを有する筐体と、
前記筐体内に設けられており、前記注水部からの水が注水される洗濯槽と、を備え、
前記筐体は、前記注水部よりも上流側で漏れた水が前記洗濯槽の底面に向かって落下するように構成されている、洗濯機。
【請求項2】
前記注水部からの水が注水される位置と、前記漏れた水が落下する位置とが相互に異なるように前記筐体が構成されている、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記筐体は、前記洗濯槽の底面の上方に位置する放出口を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記筐体は、
前記給水部に対する前記給水源との接続部から漏れた水を受け、第1の貫通孔を有する第1の受け皿と、
前記第1の貫通孔から落ちる水を受け、前記第1の貫通孔よりも大きく、前記洗濯槽側に水を導く第2の貫通孔を有する第2の受け皿と、
を有する、請求項1に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水が注水される洗濯槽を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機は、水道等の給水源に接続して、洗濯槽への注水を行う。ところで、給水源との接続不良による水漏れや、飛散水の付着といった要因により、本来、水が流れるべきではない部分から、少量の水がしたたり落ちる場合がある。例えば水漏れに関する課題を解決し得る手段が、特許文献1において提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第2562253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗濯機には、ユーザが水漏れに容易に気付きやすくしたいという要望がある。
【0005】
本開示は、ユーザが水漏れを気付きやすい洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る洗濯機は、給水源に接続される給水部と、給水部からの水を注水する注水部とを有する筐体と、筐体内に設けられており、注水部からの水が注水される洗濯槽と、を備え、筐体は、注水部よりも上流側で漏れた水が洗濯槽の底面に向かって落下するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によると、ユーザが水漏れを気付きやすい洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
図2】上蓋を取り外した洗濯機を示す上面図である。
図3】上蓋を取り外した洗濯機を示す斜視図である。
図4】下方から見た筐体上部を示す下面図である。
図5図4の矢符A-Aでの断面近傍を示す斜視図である。
図6図4の矢符A-Aでの断面を示す断面図である。
図7】筐体から抽出した注水板、上面板、およびリードカバーの一部を示す上面図である。
図8】筐体から抽出した上面板およびリードカバーの一部を示す上面図である。
図9】筐体から抽出したリードカバーの一部を示す上面図である。
図10】筐体から抽出したリードカバーの一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本開示の実施の形態に係る洗濯機の外観を示す斜視図である。
【0011】
洗濯機1は、筐体2の上面(筐体上面2a)に洗濯物を投入する投入口(後述する図2参照)を設けた縦型洗濯機である。洗濯機1では、投入口を覆うように上蓋3が設けられている。本実施の形態において、筐体上面2aは、背面側が高く前面(筐体前面2b)側が低くなるように傾斜している。上蓋3は、軸支された背面側の端部を支点にして回動し、開閉する構造とされている。以下では説明のため、洗濯機1について、前面側から見た状態での左右方向を幅方向Xと呼び、前面と背面とで対向する方向を奥行方向Yと呼び、洗濯機1における高さ方向を上下方向Zと呼ぶことがある。
【0012】
筐体上面2aのうち、前面側の端部には、ユーザに操作されるボタンや、選択における条件等を表示する表示部が設けられている。また、筐体上面2aのうち、背面側の端部には、給水源に接続される給水部50(後述する図5参照)の接続部21が設けられている。筐体上面2aには、接続部21の近傍を覆う上面カバー22が設けられており、上面カバー22には、接続部21に応じた開口が形成されている。接続部21は、ホース等に接続される継手とされており、上面カバー22に設けた開口を通じて、筐体2の外部へ突出している。
【0013】
筐体2内には、洗濯物や水が投入される洗濯槽4(後述する図2および図3参照)が設けられている。以下では説明のため、筐体2について、洗濯槽4の上端より上方の部分を筐体上部20と呼び、洗濯槽4が収容されている部分を含む洗濯槽4のそれ以外の部分を筐体下部30と呼ぶことがある。
【0014】
図2は、上蓋を取り外した洗濯機を示す上面図である。図3は、上蓋を取り外した洗濯機を示す斜視図である。なお、図3では、洗濯機1の上部を拡大して示している。
【0015】
図2に示すように、筐体上部20の略中央には、投入口が設けられており、投入口の下方に洗濯槽4が配置されている。投入口は洗濯槽4に臨んでいる。筐体上部20のうち、投入口の背面側に沿う位置には、洗濯槽4に対し、給水部50からの水を注水する注水部23が設けられている。注水部23に設けられた給水口を経由して洗濯槽4に水が供給される。さらに、注水部の側方(図3では、左方)には、筐体2内に入り込んだ水を放出する放出口41が設けられている。
【0016】
図4は、下方から見た筐体上部を示す下面図である。
【0017】
図4では、筐体下部30と分離した筐体上部20を下方から見た状態を示している。筐体上部20には、下面の一部を覆うリードカバー26が取り付けられており、リードカバー26には、放出口41が設けられている。
【0018】
図5は、図4の矢符A-Aでの断面近傍を示す斜視図であって、図6は、図4の矢符A-Aでの断面を示す断面図である。なお、図5および図6では、図面の見易さを考慮して、ハッチングを省略している。
【0019】
洗濯機1では、接続部21において、給水源との接続不良が生じた際、ここから漏れた水が、給水部50の表面を伝って、筐体2内に入り込むことがあった。そこで、本開示の形態に係る洗濯機1には、筐体2内に入り込んだ水を放出するための誘導経路が設けられており、図5および図6では、この誘導経路の要部を示している。本開示の形態では、貫通孔を有する受け皿を複数組み合わせた誘導経路が、筐体2に形成されている。
【0020】
誘導経路では、最初の受け皿が、給水部50に対する給水源との接続部21から漏れた水を受ける。そして、受け皿に溜まった水は、貫通孔を通じて次の受け皿に落下する。これを順次繰り返して、水を洗濯槽4側に導いていき、最後の受け皿に設けた貫通孔(放出口41)から洗濯槽4の底面(洗濯槽底面4a)に落下する。本開示の形態では、3つの受け皿を設けた構成とされており、筐体2のうち、注水部23を構成している注水板24と、上面板25と、リードカバー26とに、それぞれ受け皿が設けられている。注水部23に、槽内に水を給水する給水口が形成されている。
【0021】
次に、注水板24、上面板25、およびリードカバー26の互いの位置関係について、上述した図5および図6と併せて、図7ないし図10を参照して説明する。
【0022】
図7は、筐体から抽出した注水板、上面板、およびリードカバーの一部を示す上面図である。
【0023】
図7では、筐体2から抽出した注水板24、上面板25、およびリードカバー26のうち、誘導経路近傍を拡大して示している。誘導経路に沿う部分では、上方から注水板24、上面板25、リードカバー26の順に配置されている。注水板24に設けた受け皿60は、接続部21の下方に設けられており、接続部21から漏れ、給水部50を伝って落下した水を受け止める。受け皿60の端部には、水を落下させる貫通孔61が設けられており、受け皿60の外縁には、上方へ延伸された給水壁部62が設けられている。受け皿60は、貫通孔61側が低くなるように傾斜しており、受け止めた水が貫通孔61へ導かれる。なお、受け皿60の形状は、これに限定されず、端部以外に貫通孔61を配置した際には、貫通孔61に近づくにつれて低くなるように傾斜していればよい。また、注水板24は、注水部23周辺と受け皿60とを一体に形成した部材とされているが、これに限定されず、それぞれが独立した構造とされていてもよい。
【0024】
図8は、筐体から抽出した上面板およびリードカバーの一部を示す上面図である。
【0025】
図8では、筐体2から抽出した上面板25およびリードカバー26のうち、誘導経路近傍を拡大して示している。上面板25に設けた中継受け皿70は、貫通孔61の下方に設けられており、貫通孔61から落下した水を受け止める。中継受け皿70の端部には、水を落下させる中継貫通孔71が設けられており、中継受け皿70の外縁には、上方へ延伸された中継壁部72が設けられている。
【0026】
図9は、筐体から抽出したリードカバーの一部を示す上面図であって、図10は、筐体から抽出したリードカバーの一部を示す斜視図である。
【0027】
図9および図10では、筐体2から抽出したリードカバー26のうち、誘導経路近傍を拡大して示している。リードカバー26に設けた受け皿40は、中継貫通孔71の下方に設けられており、中継貫通孔71から落下した水を受け止める。受け皿40の端部には、水を落下させる放出口41(貫通孔の一例)が設けられており、受け皿40の外縁には、上方へ延伸された壁部42が設けられている。また、壁部42は、放出口41の周囲を取り囲むように設けられており、リードカバー26の他の部分に広がらないように、受け皿40で受け止めた水を堰き止めている。放出口41は、中継貫通孔71より大きく形成されている。受け皿40に受け止められた水は、放出口41を通じて、洗濯槽底面4aに落下する。このように、複数の受け皿を介して水を導くことで、水を受け止める箇所と水を落下させる場所とを自在に配置することができる。また、排出能力を調整することで、上流側の受け皿でのオーバーフローを抑制することができる。本開示の形態では、筐体2の各部に設けた3つの受け皿によって誘導経路を構成したが、これに限定されず、受け皿の数を適宜変更してもよい。
【0028】
上面板25の下面など、筐体2のうち、リードカバー26に覆われている部分には、洗濯機1で用いられる配線(リード線)を引っ掛ける爪などが設けられていてもよい。この際、配線は、受け皿40の上方を避けるように配置されていることが好ましい。このような配置とすることで、リーク水により配線が濡れることを防止できる。
【0029】
上述したように、筐体2は、注水部23よりも上流側で漏れた水が洗濯槽底面4aに向かって落下するように構成されている。例えば、漏れた水が洗濯槽に導かれたとしても水が洗濯槽の内表面に沿って流れた場合は、ユーザが視認して水漏れを認知しにくい。それに対して、洗濯機1では、漏れた水が洗濯槽底面4aに向かって落下する。このため、漏れた水がユーザに視認されやすい。よって、ユーザによる水漏れの早期認知が可能となり、早期対応をユーザに促すことができる。水漏れの早期認知を促す観点から、漏れた水が洗濯槽底面4aに落下する過程において、壁面等に接触せずに空中を落下するように構成されていることが好ましい。その観点から派、放出口41は、洗濯槽4の底面4aの上方位置していることが好ましい。放出口41の開口方向において、放出口41と底面4aとが直接対向していることが好ましい。
【0030】
また、水漏れの早期認知を促す観点からは、洗濯槽4に注水される水の落下位置と、漏れた水が落下位置とが相互に異なることが好ましい。洗濯や濯ぎのときに洗濯槽4に注水される水の落下位置と、漏れた水の落下位置とが同じである場合は、洗濯等のときに注水された水やその残渣であるのか、漏れた水であるのかの判別が困難となる。
【0031】
それに対して、洗濯機1では、注水部23からの水が注水される位置と、漏れた水が落下する位置とが相互に異なるように筐体2が構成されている。このため、注水される水と、漏れた水との判別が容易である。よって、水漏れを高い確実性で認知し得る。
【0032】
具体的には、本実施形態では、注水部23に形成された給水口とは別に、漏れた水が洗濯槽底面4aに向けて落下する放出口41が設けられていることが好ましい。さらには、注水部23に形成された給水口と、放出口41の位置とが、幅方向(左右方向)において相互に異なっていることが好ましい。洗濯機1の前に立ったユーザの判別性が高まるためである。放出口41は、例えば、注水部23に形成された給水口よりも幅方向における外側に位置していてもよい。
【0033】
放出口41は、給水口よりも流路面積が小さいことが好ましい。漏れた水が放出口41から洗濯槽4内に流れ出る水の視認性が向上し得るためである。例えば、漏れた水の水量が非常に低い場合に、放出口41の流路面積が大きいと、漏れた水が滴下する間隔が長くなりすぎて認知しにくくなる虞がある。一方、放出口41の流路面積が小さい場合は、漏れた水が滴下する間隔を短くし得るため、水の漏れが認知しやすくなる可能性がある。
【0034】
筐体2には、漏れた水の受け皿が設けられていることが好ましい。一旦、受け皿で漏れた水を受けることにより、意図しない部位から水が漏れた場合であっても、受け皿によって漏れた水を確実に受けることができる。本実施形態では、受け皿60と受け皿40とを含む複数の受け皿が設けられており、これら複数の受け皿を経由して漏れた水が洗濯槽4に流れ込む。受け皿60と受け皿40とのうち、受け皿60が上流側(例えば、高い位置)に位置し、受け皿40が下流側(例えば、低い位置)に設けられている。受け皿60には、受け皿60に流れ込んだ水が受け皿40に流れ込む貫通孔61が形成されている。受け皿60の底面は、貫通孔61側に向かって下方に傾斜するように設けられている。このため、受け皿60内に水が留まりにくい。受け皿60に設けられた貫通孔61よりも、受け皿40に設けられた貫通孔41の方が大きい(大面積である)。このため、受け皿60からの水の排出能力よりも、受け皿40からの水の排出能力の方が高い。よって、受け皿40に水が留まることも抑制されているこのように本実施形態では、受け皿40、60に水が留まりにくいため、筐体上部20内における湿度が高まることを抑制し得る。よって、筐体上部20内の電装部品等が水により劣化することを効果的に抑制することができる。
【0035】
受け皿40の貫通孔61の下方に位置する部分と、貫通孔41が設けられた部分とを含む漏れた水が流入する部分は、受け皿40のその他の部分と壁部42によって区画されている。よって、受け皿40のその他の部分(図9においては、壁部42の左側に位置する部分)に水が流入することを抑制することができる。よって、例えば、配線や電装部品を受け皿40のその他の部分に配置することにより、漏れた水と配線や電装部品とが接触することを効果的に抑制することができる。
【0036】
なお、本発明において、「洗濯機」とは、被洗濯物に対して洗濯などの各種処理を行う機器全般を意味する。洗濯機は、被洗濯物の処理としては、例えば、洗いや乾燥、脱臭、除菌等が挙げられる。被洗濯物は、特に限定されない。被洗濯物としては、例えば、布製品が挙げられる。被洗濯物の具体例としては、例えば、衣服な、帽子、手袋などの衣類、靴、カバン、ハンカチ、タオル等の持ち物、カーテン、毛布、タオルケット、布団カバー等の寝具、カーペット、ぬいぐるみ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0037】
1 洗濯機
2 筐体
4 洗濯槽
21 接続部
23 注水部
41 放出口
50 給水部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10