(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168666
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】エンコーダ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20241128BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01D5/244 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085539
(22)【出願日】2023-05-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃
(72)【発明者】
【氏名】山内 芳准
(72)【発明者】
【氏名】栗原 晋
(72)【発明者】
【氏名】木村 藤一郎
(72)【発明者】
【氏名】増永 靖行
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和裕
(72)【発明者】
【氏名】古市 卓也
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA24
2F077CC02
2F077NN04
2F077PP12
2F077PP13
2F077PP14
2F077QQ05
2F077QQ13
2F077QQ15
2F077QQ17
(57)【要約】
【課題】本開示は、発電電力の発生効率を改善するエンコーダを提供する。
【解決手段】回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、前記回転軸における周方向に並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備えるエンコーダ。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、
前記回転軸における周方向に並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備える、
エンコーダ。
【請求項2】
8個の前記第2磁石を備える、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
複数の前記第2磁石のそれぞれは、前記周方向に磁化方向を有する、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項4】
複数の前記第2磁石のそれぞれは、前記回転軸に対する径方向に磁化方向を有する、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項5】
複数の前記第2磁石のそれぞれは、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項6】
複数の前記第2磁石は、前記周方向に磁化方向を有する第1単位磁石、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石及び前記回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石の少なくともいずれか二つを含む、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項7】
複数の前記第2磁石は、前記周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、を含み、
前記第1単位磁石と、前記第2単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項8】
複数の前記第2磁石は、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、前記回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石と、を含み、
前記第2単位磁石と、前記第3単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項9】
前記第1磁石が有する前記回転軸に沿う第1側の第1端面は、前記第2磁石が有する前記第1側の第2端面と、前記回転軸に沿う方向における位置が異なる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項10】
前記第1端面は、前記第2端面より回路基板に近い、
請求項9に記載のエンコーダ。
【請求項11】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に磁気検出素子を備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置に発電素子を備える、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項12】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に磁気検出素子を備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置より外周に発電素子を備える、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのパルスワイヤ(ウィーガンドワイヤ)センサを有するセグメントカウンタと精密位置センサとを同期させるための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリレスエンコーダとして、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子を利用する場合がある。発電素子において、磁界変化を大きくして、発電電力を大きくすることが望まれている。
【0005】
本開示は、発電電力の発生効率を改善するエンコーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、前記回転軸における周方向に並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備えるエンコーダを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のエンコーダによれば、発電電力の発生効率を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータシステムを説明する図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータの構成を説明する図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係るエンコーダにおける発電電力について説明する図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0010】
≪第1実施形態≫
第1実施形態に係るエンコーダについて説明する。第1実施形態に係るエンコーダは、回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、回転軸における周方向に並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備える。
【0011】
<サーボモータシステム>
最初に、本実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータシステムについて説明する。
図1は、本実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12を用いるサーボモータシステム1を説明する図である。
【0012】
サーボモータシステム1は、サーボモータ10と、サーボコントローラ20と、を備える。サーボコントローラ20は、サーボモータ10から回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を取得する。サーボコントローラ20は、取得した位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を用いて、サーボモータ10を制御する。
【0013】
サーボモータ10は、モータ11と、エンコーダ12と、を備える。モータ11は、配線L1を介してサーボコントローラ20と接続する。エンコーダ12は、配線L2を介してサーボコントローラ20と接続する。
【0014】
モータ11は、サーボコントローラ20からの指令に基づいて矢印ARの方向に回転軸11aを回転する。具体的には、モータ11は、サーボコントローラ20から供給される電力に基づいて、矢印ARの方向に回転軸11aを回転する。サーボコントローラ20は、配線L1から制御した電力を供給することにより、モータ11を制御する。モータ11は、例えば、AC(Alternating Current)モータ、DC(Direct Current)モータ等である。
【0015】
エンコーダ12は、磁場の変動を検出して、モータ11の回転軸11a等の対象の位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を検出する。また、エンコーダ12は、検出した位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を、配線L2を介してサーボコントローラ20に出力する。なお、回転軸11aの位置情報とは、例えば、回転軸11aの回転方向の角度である。回転軸11aの回転情報とは、例えば、回転軸11aの回転速度又は回転軸11aが所定の時点から何回転したかを示す回転回数である。
【0016】
<サーボモータ10>
次に、本実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12を用いるサーボモータ10の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12を用いるサーボモータ10の構成を説明する図である。なお、矢印付き線は、電力又は電流の供給の流れを示す。
【0017】
[モータ11]
モータ11は、回転軸11aを回転させる。モータ11は、回転軸11aを支持する軸受、回転軸11aを回転させるためのステータを構成する巻線、鉄芯及びロータを構成する永久磁石等の周知の要素を備えるが、ここでは説明を省略する。モータ11は、回転軸11aのエンコーダ12側に設けられるディスク11dを備える。後述するように、回転軸11aに対称に設けられる磁石12m1と、回転軸11aにおける周方向に並んで設けられる複数の磁石12m2と、がディスク11dの上に取り付けられる。
【0018】
ディスク11dは、回転軸11aに固定される。ディスク11dは、回転軸11aの矢印ARの方向への回転に伴って、回転軸11aと一緒に回転する。ディスク11dのエンコーダ12側の面に、磁石12m1及び複数の磁石12m2が固定される。
【0019】
磁石12m1及び複数の磁石12m2のそれぞれは、ネオジム等により形成される永久磁石である。磁石12m1及び複数の磁石12m2のそれぞれがディスク11dとともに回転すると、エンコーダ12側の磁場が変化する。
【0020】
磁石12m1は、ディスク11dの面に平行な方向に、N極とS極を有するように設けられる。磁石12m1は、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれにより検出される磁場を発生させる。
【0021】
複数の磁石12m2は、発電素子12gに発電させる磁場を発生させる。複数の磁石12m2は、回転軸11aにおける周方向に沿って、ハルバッハ配列で並んでいる。複数の磁石12m2の詳細は後述する。
【0022】
[エンコーダ12]
エンコーダ12について説明する。エンコーダ12は、磁石12m1及び複数の磁石12m2の回転によって変化する磁場によって、回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を検出する。エンコーダ12は、アブソリュートエンコーダである。エンコーダ12は、少なくともマルチターンエンコーダとして動作する。すなわち、エンコーダ12は、回転軸11aが何回転したかを計数する。また、エンコーダ12は、複数の磁石12m2の回転によって変化する磁場によって、エンコーダ12を動作させるために必要な電力を生成する。
【0023】
エンコーダ12は、発電素子12gと、整流回路12aと、安定化電源回路12bと、極性検知回路12dと、を備える。また、エンコーダ12は、駆動回路12e1及び駆動回路12e2と、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2と、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2と、制御回路12pと、記憶部12rと、を備える。さらに、エンコーダ12は、磁石12m1と、複数の磁石12m2と、を備える。なお、整流回路12a及び安定化電源回路12bをまとめて電源回路12nという。また、極性検知回路12d、駆動回路12e1、駆動回路12e2、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2をまとめて回転検知回路12kと呼ぶ。
【0024】
エンコーダ12は、移動による磁束の変化により発電する発電素子12gと、磁場を計測する第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2と、を備える。発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁石12m1及び複数の磁石12m2により生じる磁場の影響を受けやすいように、エンコーダ12のモータ11側に設けられる。
【0025】
[発電素子12g]
発電素子12gは、磁気エネルギーを電気パルスに変換して発電する素子である。発電素子12gは、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子である。発電素子12gは、例えば、環境発電機(EHG:Energy Harvest Generator)であるウィーガントワイヤ(Wiegand wire)である。
【0026】
発電素子12gは、ハードコアと、ハードコアの周りに巻き付けられたソフトレイヤと、を備える。ハードコアは、保磁力の大きな素材により形成される。ソフトレイヤは、保磁力の小さい素材により形成される。発電素子12gは、外部磁場の向きが反転する際に、発電パルスが発生する。
【0027】
例えば、ウィーガントワイヤは、外部磁界が反転する零点近傍で、外部磁束の変化速度に依存せずに電気パルスを発生する。したがって、ウィーガントワイヤは、回転軸11aの回転速度によらずに一定の電力を発生する。ウィーガントワイヤは、低速の回転(移動)による緩やかな磁束変化でも安定した電気パルス(電圧パルス)を発生する。ウィーガントワイヤは、磁場が反転するタイミングで電気パルスが発生する。
【0028】
発電素子12gにおいて、環境発電機を利用することにより、エンコーダ12は、電池又は外部電源が不要である。すなわち、エンコーダ12は、バッテリーレスのエンコーダである。ウィーガントワイヤは、回転軸11aの回転速度によらずに一定の電力を発生すること、特に低速回転でも安定した発電波形が得られることから、バッテリーレスのエンコーダであるエンコーダ12の発電素子12gとして使用するのに適している。
【0029】
なお、発電素子12gは、ウィーガントワイヤに限らず、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子であればよい。
【0030】
発電素子12gは、磁石12m2による磁場により発電する。
【0031】
[第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2]
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁場を検出する。より具体的には、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、後述する磁石12m1による磁場を検出する。
【0032】
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、例えば、ホール素子である。ホール素子は、駆動電流が流れる半導体素子を横切る磁場を検出する。エンコーダ12では、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁石12m1により生じる磁場を主に検出する。第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを構成するホール素子は、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化ガリウム(GaAs)等の半導体素子により構成される。ホール素子は、駆動電流及び駆動電流を横切る磁束密度に比例した電圧を出力する。
【0033】
第1磁気センサ12h1は、磁場の検出信号を信号処理回路12f1に出力する。第1磁気センサ12h1は、駆動回路12e1から定電流Idrが供給される。また、第2磁気センサ12h2は、磁場の検出信号を信号処理回路12f2に出力する。第2磁気センサ12h2は、駆動回路12e2から定電流Idrが供給される。
【0034】
第1磁気センサ12h1には、発電素子12gで生成された電力を、整流回路12aで整流し、更に駆動回路12e1で定電流化された電流(定電流Idr)が供給される。また、第2磁気センサ12h2には、発電素子12gで生成された電力を、整流回路12aで整流し、更に駆動回路12e2で定電流化された電流(定電流Idr)が供給される。
【0035】
なお、エンコーダ12は、2個の磁気センサを備えているが、磁気センサの個数に関しては、2個に限らない。エンコーダ12は、磁気センサを3個以上備えてもよい。また、磁場の測定は磁気を検出可能な素子(磁気検出素子)であれば、ホール素子に限らない。例えば、磁気センサとして、磁気抵抗効果素子等を用いてもよい。
【0036】
エンコーダ12が備える回路構成について、
図3に基づいて説明する。
図3は、本実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12の回路構成を説明する図である。
【0037】
[整流回路12a]
整流回路12aは、発電素子12gが生成した電力を整流して、正の電圧を生成する。整流回路12aは、全波整流回路12a1と、コンデンサ12a2と、を備える。
【0038】
全波整流回路12a1は、発電素子12gが生成した電圧Vgnの正負のパルスを正のパルスに整流する。全波整流回路12a1は、いわゆる、ダイオードブリッジ回路である。例えば、発電素子12gがウィーガントワイヤである場合に、発電素子12gは、正負のパルスを生成する。全波整流回路12a1は、発電素子12gが生成した正負のパルスを、正のパルスに変換する。
【0039】
コンデンサ12a2は、発電素子12gが発電した電力を蓄電する。また、コンデンサ12a2は、全波整流回路12a1が生成した正のパルスを平滑化する。コンデンサ12a2は、全波整流回路12a1の出力端子と、共通電位との間に設けられる。コンデンサ12a2によって正のパルスが平滑化されることにより、整流回路12aから、平滑化された電圧Vrcが出力される。
【0040】
[安定化電源回路12b]
安定化電源回路12bは、整流回路12aから出力された電圧を略一定の電圧にして出力する。安定化電源回路12bは、レギュレータ12b1を備える。レギュレータ12b1は、例えば、LDO(Low Dropout)レギュレータである。
【0041】
安定化電源回路12bは、所定の大きさの電圧が入力されると、略一定の電圧Vddを出力する。
【0042】
[極性検知回路12d]
極性検知回路12dは、発電素子12gが生成した電力の極性を検知する。
図4は、エンコーダ12における極性検知回路12dの回路構成を説明する図である。極性検知回路12dは、比較器12d1と、フィルタ回路12d2と、ダイオード12d3と、を備える。ダイオード12d3は、極性検知回路12dから発電素子12gに電流が流れることを防止する。フィルタ回路12d2は、抵抗12d2aと、コンデンサ12d2bと、を備えるローパスフィルタである。
【0043】
比較器12d1は、電圧Vgnsと基準となる電位(基準電位Vref2)とを比較して、比較結果を制御回路12pに出力する。比較器12d1は、いわゆるコンパレータである。比較器12d1は、差動増幅器12d1aと、抵抗12d1b、抵抗12d1c及び抵抗12d1dと、を備える。差動増幅器12d1aには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。差動増幅器12d1aは、発電素子12gの出力の電圧Vgnをフィルタ回路12d2により平滑化した電圧Vgnsと、電圧Vddを抵抗12d1c及び抵抗12d1dとで分圧して生成した基準電位Vref2とを比較する。そして、差動増幅器12d1aは、比較結果を電圧信号である極性信号Splとして制御回路12pに出力する。抵抗12d1bは帰還抵抗である。
【0044】
[駆動回路12e1及び駆動回路12e2]
駆動回路12e1、駆動回路12e2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2に定電流Idrを供給するいわゆる定電流回路である。駆動回路12e1及び駆動回路12e2のそれぞれは、定電流源として動作する。エンコーダ12は、ホール素子である第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを定電流Idrで駆動する。
【0045】
駆動回路12e1は、駆動電流として定電流がホール素子である第1磁気センサ12h1に流れるように、第1磁気センサ12h1に駆動電力を供給する。また、駆動回路12e2は、駆動電流として定電流がホール素子である第2磁気センサ12h2に流れるように、第2磁気センサ12h2に駆動電力を供給する。
【0046】
図5は、本実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12における駆動回路及び磁気センサの回路構成を説明する図である。なお、駆動回路12e1及び駆動回路12e2は、同じ回路構成を有することから、
図5においては、駆動回路12e1及び駆動回路12e2のそれぞれを駆動回路12eとして説明する。また、
図5においては、ホール素子である第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを、抵抗12ha、抵抗12hb、抵抗12hc及び抵抗12hdを備えるブリッジ回路を用いて、磁気センサ12hとして等価的に示す。
【0047】
駆動回路12eは、トランジスタ12eaと、電流検出用抵抗12ebと、差動増幅器12ecと、を備える。また、駆動回路12eは、抵抗12edと、ツェナーダイオード12eeと、コンデンサ12efと、を備える。
【0048】
トランジスタ12eaは、磁気センサ12hに定電流が流れるように制御される。トランジスタ12eaのゲート端子には、差動増幅器12ecの出力端子が接続される。差動増幅器12ecは、+端子と-端子との間の電位差に基づく電圧を、出力端子から出力する。駆動回路12eは、+端子に入力される電圧と、電流検出用抵抗12ebの抵抗値に基づく一定の電流(定電流Idr)が、トランジスタ12eaのドレインとソースの間に流れるように制御される。
【0049】
磁気センサ12hは、定電流Idrにより駆動され、定電流Idr及び磁気センサ12hを横切る磁束密度に比例する電圧Vh+及び電圧Vh-を出力する。
【0050】
なお、駆動回路12eは、安定化電源回路12bから供給される電圧Vddにより駆動される。
【0051】
[信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2]
信号処理回路12f1、信号処理回路12f2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2からの検出信号を処理して、磁石12m1の磁場の方向を検出する。また、信号処理回路12f1、信号処理回路12f2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2からの検出信号に基づいて、磁石12m1の磁場の強度を制御回路12pに出力する。
図3を用いて、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2について説明する。なお、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2は、同じ回路構成を有することから、
図3においては、信号処理回路12f1を用いて説明する。
【0052】
信号処理回路12f1は、差動増幅器12faと、比較器12fbと、量子化器12fcと、を備える。
【0053】
(差動増幅器12fa)
差動増幅器12faは、磁気センサ12hから出力された電圧Vh+及び電圧Vh-の電位差を増幅した電圧Vdを、比較器12fbに出力する。差動増幅器12faには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。
【0054】
(比較器12fb)
比較器12fbは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdと基準となる電位(基準電位Vref)とを比較して、比較結果を制御回路12pに出力する。比較器12fbは、いわゆるコンパレータである。比較器12fbは、差動増幅器12fb1と、抵抗12fb2、抵抗12fb3及び抵抗12fb4と、を備える。差動増幅器12fb1には、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。差動増幅器12fb1は、差動増幅器12faの出力の電圧Vdと、電圧Vddを抵抗12fb3及び抵抗12fb4とで分圧して生成した基準電位Vrefとを比較して、比較結果を電圧信号である磁極信号Smg1として制御回路12pに出力する。抵抗12fb2は帰還抵抗である。
【0055】
(量子化器12fc)
量子化器12fcは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdを量子化して、量子化した結果を制御回路12pに出力する。量子化器12fcは、いわゆるアナログ/デジタルコンバータ(ADコンバータ)である。量子化器12fcは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdを量子化して、例えば、8ビットのデジタル値を磁場強度信号Dmg1として制御回路12pに出力する。
【0056】
[制御回路12p]
制御回路12pは、極性検知回路12d、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2のそれぞれからの入力に基づいて、モータ11の回転軸11aの回転位置、回転数等の位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を算出する。また、制御回路12pは、検出したモータ11の回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を記録したり、外部の制御システム、例えば、サーボコントローラ20、に伝送したりする。
【0057】
制御回路12pは、例えば、マイコン、ASIC(application specific integrated circuit)等である。また、制御回路12pは、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等でもよい。
【0058】
制御回路12pは、外部に設けられた記憶部12rに接続する。なお、制御回路12pは、外部の記憶部12rに換えて、強誘電体メモリ等の不揮発性のメモリを内部に備えてもよい。
【0059】
制御回路12pは、端子PWR、端子SIG1、端子列SIG1d、端子SIG2、端子列SIG2d及び端子SIG3を少なくとも備える。
【0060】
制御回路12pの端子PWRはプラス側の電源が供給される端子である。端子PWRには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。制御回路12pは、端子PWRに電力が供給されることにより動作する。
【0061】
制御回路12pの端子SIG1、端子SIG2及び端子SIG3のそれぞれは、外部から信号が入力される端子である。制御回路12pの端子列SIG1d及び端子列SIG2dは、外部から複数ビットの信号が入力される端子列である。
【0062】
端子SIG1は、信号処理回路12f1に接続される。端子SIG1から、信号処理回路12f1で検出された検出結果である磁極信号Smg1が入力される。磁極信号Smg1は、第1磁気センサ12h1で検出された磁場の方向を示す信号である。端子SIG2は、信号処理回路12f2に接続される。端子SIG2から、信号処理回路12f2で検出された検出結果である磁極信号Smg2が入力される。磁極信号Smg2は、第2磁気センサ12h2で検出された磁場の方向を示す信号である。
【0063】
端子列SIG1dは、信号処理回路12f1に接続される。端子列SIG1dから、信号処理回路12f1で検出された検出結果である磁場強度信号Dmg1が入力される。磁場強度信号Dmg1は、第1磁気センサ12h1で検出された磁場の強度を示す信号である。端子列SIG2dは、信号処理回路12f2に接続される。端子列SIG2dから、信号処理回路12f2で検出された検出結果である磁場強度信号Dmg2が入力される。磁場強度信号Dmg2は、第2磁気センサ12h2で検出された磁場の強度を示す信号である。
【0064】
端子SIG3は、極性検知回路12dに接続される。端子SIG3から、極性検知回路12dで検出された検出結果である極性信号Splが入力される。極性信号Splは、発電素子12gの発電極性を示す信号である。
【0065】
エンコーダ12は、回転軸11aが何回転したかを計数する。制御回路12pは、磁極信号Smg1及び極性信号Splを用いて、回転軸11aが何回転したかを計数する。また、制御回路12pは、磁極信号Smg1及び極性信号Splを用いて、回転軸11aが一周を90度ごとに分けた領域のどの領域にあるかを検出する。そして、制御回路12pは、回転軸11aが何回転したか計数した結果と回転軸がどの領域にあるかを検出した結果を、記憶部12rに保存する。また、制御回路12pは、最後に検出した磁極信号Smg1、磁極信号Smg2及び極性信号Splを記憶部12rに保存する。
【0066】
また、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2を用いて、回転軸11aの回転角度を求める。例えば、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1と、磁場強度信号Dmg2の比から、逆正接関数を用いて回転軸11aの回転角度を算出する。
【0067】
[記憶部12r]
記憶部12rは、例えば、回転カウント等を保存する。記憶部12rは、例えば、強誘電体メモリである。制御回路12pは、記憶部12rに、回転軸11aが何回転したか示す計数値と、回転軸の位置と、最後に検出した磁極信号Smg1、磁極信号Smg2及び極性信号Splと、を少なくとも保存する。
【0068】
<エンコーダの構成>
エンコーダ12の構成について説明する。
図6から
図9のそれぞれは、第1実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12の構成について説明する図である。
図6は、磁石12m1及び複数の磁石12m2について詳細を説明する斜視図である。
図7は、磁石12m1及び複数の磁石12m2について詳細を説明する平面図である。
図8は、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれについて詳細を説明する平面図である。
図9は、磁石12m1、複数の磁石12m2、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれについて詳細を説明する側面図である。
【0069】
図6において、磁石の極性を示すために、磁束の向きを矢印で示す。また、
図7において、磁石の極性を示すために、N極は「N」、S極は「S」として文字で示す。
【0070】
なお、図面には、説明の便宜のために、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸(XYZ軸)からなる仮想三次元座標系(XYZ直交座標系)が設定される。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合、当該座標軸が紙面に対して手前側に向いていることを表している。また、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合、当該座標軸が紙面に対して手前側とは反対向きに向いていることを表している。
【0071】
ただし、当該座標系は、説明のために定めるものであって、本実施形態に係るエンコーダ等の姿勢について限定するものではない。
【0072】
なお、以下の図面では、Z軸方向は回転軸11aが延びる方向とする。また、X軸方向及びY軸方向のそれぞれはZ軸方向に垂直な方向とする。
【0073】
また、Z軸方向に沿って、対象を+Z側からZ軸の反対向きに見る図を平面図という。Y軸方向に沿って、対象を-Y側からY軸の向きに見る図を側面図という。
【0074】
エンコーダ12は、回転軸11aに対称に設けられる磁石12m1と、回転軸11aにおける周方向に並んで設けられる磁石12m2aから磁石12m2hと、を備える。なお、磁石12m1が第1磁石の一例、磁石12m2aから磁石12m2hのそれぞれが第2磁石の一例である。エンコーダ12は、8個の第2磁石を備える例である。
【0075】
(磁石12m1)
磁石12m1は、円柱形の形状を有する。磁石12m1は、ディスク11dにおけるエンコーダ12側の表面11dSに平行な方向に磁化された磁石である。磁石12m1は、磁石12m2aから磁石12m2hのそれぞれの高さH1より高い高さH2を有する。言い換えると、磁石12m1が有する回転軸に沿う第1側の第1端面は、磁石12m2aから磁石12m2hのそれぞれが有する第1側の第2端面と、回転軸11aに沿う方向における位置が異なる。磁石12m1は、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれに接近するように設けられる。
【0076】
なお、磁石12m1は、円柱形のすべてにおいて、磁化されていなくてもよい。例えば、磁石12m1は、磁石12m1における第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれの近い側が少なくとも磁化していればよい。
【0077】
(磁石12m2aから磁石12m2h)
磁石12m2a、磁石12m2c、磁石12m2e及び磁石12m2gのそれぞれは、直方体状の形状を有する。磁石12m2a、磁石12m2c、磁石12m2e及び磁石12m2gのそれぞれは、ディスク11dにおける表面11dSに平行な方向に磁化され磁石である。磁石12m2aは、
図6において、Y軸方向に沿って、Y軸の向きに磁化される。磁石12m2cは、
図6において、X軸方向に沿って、X軸の向きに磁化される。磁石12m2eは、
図6において、Y軸方向に沿って、Y軸と反対の向きに磁化される。磁石12m2gは、
図6において、X軸方向に沿って、X軸と反対の向きに磁化される。
【0078】
なお、磁石12m2a、磁石12m2c、磁石12m2e及び磁石12m2gのそれぞれは、周方向に磁化方向を有する第1単位磁石の一例である。
【0079】
磁石12m2b、磁石12m2d、磁石12m2f及び磁石12m2hのそれぞれは、円柱状の形状を有する。磁石12m2b、磁石12m2d、磁石12m2f及び磁石12m2hのそれぞれは、ディスク11dにおける表面11dSに垂直な方向に磁化される磁石である。磁石12m2bは、
図6において、Z軸方向に沿って、Z軸の向きに磁化される。磁石12m2dは、
図6において、Z軸方向に沿って、Z軸と反対の向きに磁化される。磁石12m2fは、
図6において、Z軸方向に沿って、Z軸の向きに磁化される。磁石12m2hは、
図6において、Z軸方向に沿って、Z軸と反対の向きに磁化される。
【0080】
なお、磁石12m2b、磁石12m2d、磁石12m2f及び磁石12m2hのそれぞれは、回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石の一例である。
【0081】
磁石12m2aから磁石12m2gは、回転軸11a(軸Ax)に対して周方向に、いわゆる、ハルバッハ配列により並ぶ。言い換えると、周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石とが、周方向に交互に並んで設けられる。
【0082】
(第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2)
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2は、回路基板12jにおけるディスク11d側の面における中心付近に配置される。第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、回路基板12jにおける磁石12m1に対向する領域付近に設けられる。
【0083】
第1磁気センサ12h1は、
図8に示すように、X軸方向の軸における右側を角度0度としたときに、角度180度の位置に設けられる。第2磁気センサ12h2は、
図8に示すように、X軸方向の軸における右側を角度0度としたときに、角度90度の位置に設けられる。
【0084】
第1磁気センサ12h1と第2磁気センサ12h2とが、角度90度ずれた位置に設けられることにより、磁石12m1による磁場を第1磁気センサ12h1と第2磁気センサ12h2により位相をずらして測定できる。磁石12m1による磁場を第1磁気センサ12h1と第2磁気センサ12h2により位相をずらして測定することにより、回転軸11aの回転方向の位置を測定できる。
【0085】
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれの高さを高さh1とすると、磁石12m1の高さH2は、磁石12m1が第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれに接触しない程度に接近するように設定される。
【0086】
(発電素子12g)
発電素子12gは、回路基板12jにおけるディスク11d側の面における外側に配置される。発電素子12gは、回路基板12jにおける磁石12m2aから磁石12m2gに対向する領域(位置)の外側に設けられる。なお、発電素子12gは、磁石12m2aから磁石12m2gに対向する領域(位置)に設けられてもよい。
【0087】
発電素子12gは、
図8に示すように、X軸方向の軸における右側を角度0度としたときに、角度0度の位置に設けられる。
【0088】
発電素子12gの高さh2とすると、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれの高さH1は、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれが発電素子12gに接触しない程度に接近するように設定される。
【0089】
また、回転軸11a(軸Ax)から発電素子12gの半径R2は、回転軸11a(軸Ax)から磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれの半径R1より大きくする。言い換えると、回路基板12jは、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれに対向する位置より外周に発電素子12gを備える。
図10は、第1実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12における発電電力について説明する図である。
【0090】
図10の横軸は、回転軸11aの中心から発電素子12gまでの半径(半径R2)を、回転軸11aの中心から磁石12m2aまでの半径(半径R1)で規格化した半径(R2/R1)を百分率により示す。
図10の縦軸は、発電素子12gを横軸で示す半径の位置に配置したときの発電電力を、磁石12m2aに対向する位置に配置したときの発電電力で規格化した発電電力を百分率により示す。
【0091】
図10に示すように、発電素子12gは、磁石12m2aから磁石12m2gより外側に配置した場合、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれに対向する位置に配置するより発電電力が増加する。一方、1.4倍以上になると、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれにより発生される磁場が小さくなり発電電力が減少する。
【0092】
したがって、例えば、発電素子12gは、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれの回転軸11aからの半径に対して、1倍(100%)以上1.35倍(135%)以下にするとよい。また、発電素子12gは、磁石12m2aから磁石12m2gのそれぞれの回転軸11aからの半径に対して、1.2倍(120%)以上1.35倍(135%)以下にするとよりよい。
【0093】
磁石12m2aから磁石12m2gが、ハルバッハ配列により並ぶことによって、磁石12m2aから磁石12m2gにより発生する磁場を、発電素子12g側に集中して発生させることができる。磁石12m2aから磁石12m2gにより発生する磁場を、発電素子12g側に集中して発生させることにより、発電素子12gにおける発電電力の発生効率を向上できる。
【0094】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係るエンコーダについて説明する。第2実施形態に係るエンコーダは、第1実施形態に係るエンコーダに対して、複数の第2磁石の配置が異なる。
【0095】
<エンコーダの構成>
第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する。
図11から
図14のそれぞれは、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図11は、磁石12m1並びに磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gについて詳細を説明する斜視図である。
図12は、磁石12m1並びに磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gについて詳細を説明する平面図である。
図13は、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれについて詳細を説明する平面図である。
図14は、磁石12m1、磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e、磁石32m2g、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれについて詳細を説明する側面図である。
【0096】
図11において、磁石の極性を示すために、磁束の向きを矢印で示す。また、
図12において、磁石の極性を示すために、N極は「N」、S極は「S」として文字で示す。
【0097】
第2実施形態に係るエンコーダは、回転軸11aに対称に設けられる磁石12m1と、回転軸11aにおける周方向に並んで設けられる磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gと、を備える。なお、磁石12m1が第1磁石の一例、磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gのそれぞれが第2磁石の一例である。
【0098】
磁石12m1は、第1実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12における磁石12m1と同じ構成となることから、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。また、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2についても、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。発電素子12gについて、第1実施形態と方向が異なるだけであることから、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。
【0099】
(磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2g)
磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gのそれぞれは、直方体状の形状を有する。磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gのそれぞれは、ディスク11dにおける表面11dSに平行な方向に磁化される磁石である。磁石32m2aは、
図11において、X軸方向に沿って、X軸の向きに磁化される。磁石32m2cは、
図11において、Y軸方向に沿って、Y軸と反対の向きに磁化される。磁石32m2eは、
図11において、X軸方向に沿って、X軸と反対の向きに磁化される。磁石32m2gは、
図11において、Y軸方向に沿って、Y軸の向きに磁化される。
【0100】
なお、磁石32m2a、磁石32m2c、磁石32m2e及び磁石32m2gのそれぞれは、回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石の一例である。
【0101】
≪第3実施形態≫
第3実施形態に係るエンコーダについて説明する。第3実施形態に係るエンコーダは、第1実施形態及び第2実施形態のそれぞれに係るエンコーダに対して、複数の第2磁石の配置が異なる。
【0102】
<エンコーダの構成>
第3実施形態に係るエンコーダの構成について説明する。
図15から
図17のそれぞれは、第3実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図15は、磁石12m1並びに磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gについて詳細を説明する斜視図である。
図16は、磁石12m1並びに磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gについて詳細を説明する平面図である。
図17は、磁石12m1、磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f、磁石42m2g、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれについて詳細を説明する側面図である。なお、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2は、第2実施形態に係るエンコーダと同じ構成を有することから、詳細については
図13を参照することとする。
【0103】
図15において、磁石の極性を示すために、磁束の向きを矢印で示す。また、
図16において、磁石の極性を示すために、N極は「N」、S極は「S」として文字で示す。
【0104】
第3実施形態に係るエンコーダは、回転軸11aに対称に設けられる磁石12m1と、回転軸11aにおける周方向に並んで設けられる磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gと、を備える。なお、磁石12m1が第1磁石の一例、磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gのそれぞれが第2磁石の一例である。
【0105】
磁石12m1は、第1実施形態に係るエンコーダの一例であるエンコーダ12における磁石12m1と同じ構成となることから、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。また、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2についても、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。発電素子12gについて、第1実施形態と方向が異なるだけであることから、第1実施形態の説明を参照することとして詳細な説明は省略する。
【0106】
(磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2g)
磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gのそれぞれは、直方体状の形状を有する。磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gのそれぞれは、ディスク11dにおける表面11dSに平行な方向に磁化される磁石である。磁石42m2aは、
図15において、X軸方向に沿って、X軸の向きに磁化される。磁石42m2eは、
図15において、X軸方向に沿って、X軸の向きと反対向きに磁化される。
【0107】
磁石42m2bは、
図16において、角度60度の方向に磁化される。磁石42m2bは、N極が磁石12m1側に設けられる。磁石42m2cは、
図16において、角度120度の方向に磁化される。磁石42m2cは、S極が磁石12m1側に設けられる。磁石42m2fは、
図16において、角度240度の方向に磁化される。磁石42m2fは、S極が磁石12m1側に設けられる。磁石42m2gは、
図16において、角度300度の方向に磁化される。磁石42m2gは、N極が磁石12m1側に設けられる。
【0108】
なお、磁石42m2a、磁石42m2b、磁石42m2c、磁石42m2e、磁石42m2f及び磁石42m2gのそれぞれは、回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石の一例である。
【0109】
なお、第2実施形態に係るエンコーダ及び第3実施形態に係るエンコーダのそれぞれは、複数の第2磁石のそれぞれが、回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石であるエンコーダの一例である。第2磁石は、上記の例に限らず、複数の第2磁石のそれぞれは、回転軸に対する周方向に磁化方向を有する第1単位磁石であってもよい(例えば、
図6において、磁石12m2a、磁石12m2c、磁石12m2e及び磁石12m2gのみによる構成)。また、複数の第2磁石のそれぞれは回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石であってもよい(例えば、
図6において、磁石12m2b、磁石12m2d、磁石12m2f及び磁石12m2hのみによる構成)。言い換えると、複数の第2磁石のそれぞれは、周方向に磁化方向を有する第1単位磁石、回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石及び回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石のいずれかであってもよい。
【0110】
また、第2磁石の組み合わせについては、第1実施形態に係るエンコーダの例に限らない。第2磁石は、周方向に磁化方向を有する第1単位磁石、回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石及び回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石の少なくともいずれか二つを含んでいればよい。例えば、第2磁石について、周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石とが、周方向に交互に並んで設けられていてもよい。さらに、回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石とが、周方向に交互に並んで設けられていてもよい。
【0111】
さらに、複数の第2磁石の個数については、上記の例に限らず、2個以上であればよい。また、複数の第2磁石の個数は、偶数個であってもよい。隣り合う二つ第2磁石は、互い異なる向きに磁化しているようにしてもよい。
【0112】
また、本実施形態に係るエンコーダに、シングルターンエンコーダを更に備えてもよい。ディスク11dに、例えば、M系列のパターンとなるようなスリットを備え、本実施形態に係るエンコーダは、スリットに例えば光を照射することにより、円周方向に対して20から24ビット程度の分解能を有する位置検出部を備えてもよい。
【0113】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 サーボモータシステム
10 サーボモータ
11 モータ
11a 回転軸
11d ディスク
12 エンコーダ
12g 発電素子
12h1 第1磁気センサ
12h2 第2磁気センサ
12j 回路基板
12m1、12m2 磁石
12m2a、12m2b、12m2c、12m2d、12m2e、12m2f、12m2g、12m2h 磁石
32m2a、32m2c、32m2e、32m2g 磁石
42m2a、42m2b、42m2c、42m2e、42m2f、42m2g 磁石
20 サーボコントローラ
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、
前記回転軸における周方向にハルバッハ配列により並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備える、
エンコーダ。
【請求項2】
複数の前記第2磁石は、前記周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、を含み、
前記第1単位磁石と、前記第2単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
複数の前記第2磁石は、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、前記回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石と、を含み、
前記第2単位磁石と、前記第3単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記第1磁石が有する前記回転軸に沿う第1側の第1端面は、前記第2磁石が有する前記第1側の第2端面と、前記回転軸に沿う方向における位置が異なる、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項5】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に前記磁気センサを備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置に前記発電素子を備え、
前記第1端面は、前記第2端面より前記回路基板に近い、
請求項4に記載のエンコーダ。
【請求項6】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に前記磁気センサを備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置に前記発電素子を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【請求項7】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に前記磁気センサを備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置より外周に前記発電素子を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエンコーダ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一の態様によれば、回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、前記回転軸における周方向にハルバッハ配列により並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備えるエンコーダを提供する。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、
前記回転軸における周方向にハルバッハ配列により並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備え、
複数の前記第2磁石は、前記周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、を含み、
前記第1単位磁石と、前記第2単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
エンコーダ。
【請求項2】
回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、
前記回転軸における周方向にハルバッハ配列により並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備え、
複数の前記第2磁石は、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、前記回転軸に対する径方向に磁化方向を有する第3単位磁石と、を含み、
前記第2単位磁石と、前記第3単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられる、
エンコーダ。
【請求項3】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に前記磁気センサを備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置に前記発電素子を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項4】
回路基板を備え、
前記回路基板は、前記第1磁石に対向する位置に前記磁気センサを備え、
前記回路基板は、前記第2磁石に対向する位置より外周に前記発電素子を備える、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一の態様によれば、回転軸に対称に設けられ、磁気センサにより検出される第1磁場を発生させる第1磁石と、前記回転軸における周方向にハルバッハ配列により並んで設けられ、発電素子に発電させる第2磁場を発生させる複数の第2磁石と、を備え、複数の前記第2磁石は、前記周方向に磁化方向を有する第1単位磁石と、前記回転軸に沿う方向に磁化方向を有する第2単位磁石と、を含み、前記第1単位磁石と、前記第2単位磁石とが、前記周方向に交互に並んで設けられるエンコーダを提供する。