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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168673
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1334 20060101AFI20241128BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20241128BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G02F1/1334
G02F1/1337 525
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085547
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】初瀬 香純
(72)【発明者】
【氏名】井桁 幸一
(72)【発明者】
【氏名】奥山 健太郎
【テーマコード(参考)】
2H189
2H290
2H391
【Fターム(参考)】
2H189AA04
2H189AA08
2H189BA04
2H189CA08
2H189FA09
2H189FA23
2H189FA56
2H189FA64
2H189HA16
2H189JA04
2H189JA31
2H189LA02
2H189LA05
2H189LA10
2H189LA20
2H189LA22
2H189MA15
2H189NA09
2H290AA85
2H290BB25
2H290BB74
2H290BB82
2H290BF54
2H290CA46
2H290CB01
2H290CB23
2H290DA03
2H391AA23
2H391AA25
2H391AC03
2H391AD53
2H391CB03
2H391FA01
2H391FA02
(57)【要約】
【課題】表示品位を向上させる、表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置の製造方法は、第1透光性基材の上に、複数の第1電極が形成されたアレイ基板を作製する工程と、第1透光性基材と対向する第2透光性基材の上に、第2電極が形成された対向基板を作製する工程と、アレイ基板または対向基板のどちらから一方にシール部を形成する工程と、シール部の内部に光架橋性を有するモノマーと、モノマーの隙間に液晶分子とを含む高分子分散型液晶を滴下する工程と、アレイ基板と対向基板を貼り合わせ、高分子分散型液晶が滴下された液晶層を形成する工程と、第1電極と第2電極との間に電位差が生じるように、第1電極及び第2電極に電圧を加えた状態で、液晶層に紫外線を照射して高分子分散型液晶層を硬化させる工程と、を含み、対向基板を作製する工程では、第2電極から第1電極に向けて突出する、第2電極の突起部が形成される。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1透光性基材の上に、複数の第1電極が形成されたアレイ基板を作製する工程と、
前記第1透光性基材と対向する第2透光性基材の上に、第2電極が形成された対向基板を作製する工程と、
前記アレイ基板または前記対向基板のどちらから一方にシール部を形成する工程と、
前記シール部の内部に光架橋性を有するモノマーと、前記モノマーの隙間に液晶分子とを含む高分子分散型液晶を滴下する工程と、
前記アレイ基板と前記対向基板を貼り合わせ、前記高分子分散型液晶が滴下された液晶層を形成する工程と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電位差が生じるように、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を加えた状態で、前記液晶層に紫外線を照射して前記液晶層を硬化させる工程と、を含み、
前記対向基板を作製する工程では、前記第2電極から前記第1電極に向けて突出する、前記第2電極の突起部が形成される、
表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記対向基板を作製する工程では、複数の前記突起部が、前記第2透光性基材の表面に平行な面において、第1方向に所定の間隔をおいて並べて、前記第1方向と交差する第2方向へ前記突起部が延びて形成されている、
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記対向基板を作製する工程では、前記突起部と、前記第2透光性基材との間に、前記第2透光性基材よりも前記アレイ基板側に突出した樹脂材が形成されている、
請求項1または2に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
第1透光性基材の上に、複数の第1電極が形成されたアレイ基板を作製する工程と、
前記第1透光性基材と対向する第2透光性基材の上に、第2電極が形成された対向基板を作製する工程と、
前記アレイ基板または前記対向基板のどちらから一方にシール部を形成する工程と、
前記シール部の内部に光架橋性を有するモノマーと、前記モノマーの隙間に液晶分子とを含む高分子分散型液晶を滴下する工程と、
前記アレイ基板と前記対向基板を貼り合わせ、前記高分子分散型液晶が滴下された液晶層を形成する工程と、
前記第1電極と前記第2電極との間に電位差が生じるように、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を加えた状態で、前記液晶層に紫外線を照射して前記液晶層を硬化させる工程と、を含み、
前記対向基板を作製する工程では、前記第2透光性基材の表面に平行な面において、第1方向に所定の間隔をおいて、前記第1方向と交差する第2方向に向けて、画素毎に、複数のスリットが前記第2電極に形成されている、
表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記対向基板を作製する工程では、前記第2透光性基材の上に、第3電極と、透光性を有する絶縁膜と、前記第2電極の順で積層され、
前記第3電極は、前記第2電極及び前記スリットに重なり、前記第2電極と同じ電位を有する、
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記アレイ基板を作製する工程と前記対向基板を作製する工程では、
前記第1電極及び前記第2電極の上に、前記液晶層と接する配向膜が形成され、
前記液晶層を硬化させる工程では、前記モノマーが重合して、ポリマーネットワークが網目状に形成され、
前記配向膜は、前記ポリマーネットワークと連結する、
請求項1または4に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1透光性基板と、第1透光性基板と対向して配置される第2透光性基板と、第1透光性基板と第2透光性基板との間に封入される高分子分散型液晶を有する液晶層と、第1透光性基板及び第2透光性基板の少なくとも1つの側面に対向して配置される少なくとも1つの発光部とを備える表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-021974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている表示装置では、モノマーを重合させてポリマーネットワークが形成され、液晶層中には、このポリマーネットワークと、液晶分子とが混在している。
【0005】
配向膜近くの液晶分子と、液晶層の中央部分の液晶分子とでは、挙動が異なることがある。具体的には、液晶層の中央部分の液晶分子の初期配向がばらつくため、画素電極に電圧を印加した場合、液晶分子がランダムな方向に駆動することがある。これにより、画素毎に、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性が異なることがある。画素毎の、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性が異なると、意図しない表示品位を劣化させてしまう可能性がある。
【0006】
本開示の目的は、表示品位を向上させる、表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る表示装置の製造方法は、第1透光性基材の上に、複数の第1電極が形成されたアレイ基板を作製する工程と、前記第1透光性基材と対向する第2透光性基材の上に第2電極が形成された対向基板を作製する工程と、前記アレイ基板または前記対向基板のどちらから一方にシール部を形成する工程と、前記シール部の内部に光架橋性を有するモノマーと、前記モノマーの隙間に液晶分子とを含む高分子分散型液晶を滴下する工程と、前記アレイ基板と前記対向基板を貼り合わせ、前記高分子分散型液晶が滴下された液晶層を形成する工程と、前記第1電極と前記第2電極との間に電位差が生じるように、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を加えた状態で、前記液晶層に紫外線を照射して前記高分子分散型液晶層を硬化させる工程と、を含み、前記対向基板を作製する工程では、前記第2電極から前記第1電極に向けて突出する、前記第2電極の突起部が形成される。
【0008】
本開示の他の態様に係る表示装置の製造方法は、第1透光性基材の上に、複数の第1電極が形成されたアレイ基板を作製する工程と、前記第1透光性基材と対向する第2透光性基材の上に、第2電極が形成された対向基板を作製する工程と、前記アレイ基板または前記対向基板のどちらから一方にシール部を形成する工程と、前記シール部の内部に光架橋性を有するモノマーと、前記モノマーの隙間に液晶分子とを含む高分子分散型液晶を滴下する工程と、前記アレイ基板と前記対向基板を貼り合わせ、前記高分子分散型液晶が滴下された液晶層を形成する工程と、前記第1電極と前記第2電極との間に電位差が生じるように、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を加えた状態で、前記液晶層に紫外線を照射して前記高分子分散型液晶層を硬化させる工程と、を含み、前記対向基板を作製する工程では、前記第2透光性基材の表面に平行な面において、第1方向に所定の間隔をおいて、前記第1方向と交差する第2方向に向けて、画素毎に、複数のスリットが前記第2電極に形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す斜視図である。
図2図2は、実施形態1の表示装置を表すブロック図である。
図3図3は、実施形態1のフィールドシーケンシャル方式において、光源が発光するタイミングを説明するタイミングチャートである。
図4図4は、画素電極への印加電圧と画素の散乱状態との関係を示す説明図である。
図5図5は、図1の表示装置の断面の一例を示す断面図である。
図6図6は、図1の表示装置の平面を示す平面図である。
図7図7は、画素において、走査線、信号線及びスイッチング素子を示す平面図である。
図8図8は、画素において、保持容量層を示す平面図である。
図9図9は、画素において、補助金属層及び開口領域を示す平面図である。
図10図10は、画素において、共通電極を説明するための平面図である。
図11図11は、画素において、画素電極を説明するための平面図である。
図12図12は、図10及び図11のXII-XII’の断面図である。
図13図13は、液晶層において散乱状態を説明するための断面図である。
図14図14は、図14は、実施形態1における表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、液晶層においてモノマーが重合前の状態を示す断面図である。
図16図16は、液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。
図17図17は、実施形態1のマザー基板上に配置された表示パネルを示す配置図である。
図18図18は、比較例に係る液晶層において散乱状態を説明するための断面図である。
図19図19は、実施形態2に係る液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。
図20図20は、実施形態2に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。
図21図21は、実施形態3に係る共通電極を説明するための平面図である。
図22図22は、図21のXXII-XXII’の断面図である。
図23図23は、実施形態3に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。
図24図24は、実施形態4に係る液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。
図25図25は、実施形態4に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
(表示装置1)
図1は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す斜視図である。図2は、図1の表示装置を表すブロック図である。図3は、フィールドシーケンシャル方式において、光源が発光するタイミングを説明するタイミングチャートである。
【0012】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル2と、光源3と、駆動回路4とを有する。ここで、表示パネル2の平面の一方向が第1方向PXとされ、第1方向PXと直交する方向が第2方向PYとされ、PX-PY平面に直交する方向が第3方向PZとされている。
【0013】
表示パネル2は、アレイ基板10と、対向基板20と、液晶層50(図5参照)とを備えている。対向基板20は、アレイ基板10の表面に垂直な方向(図1に示すPZ方向)に対向する。液晶層50には、アレイ基板10と、対向基板20と、シール部18とで、高分子分散型の液晶LCが封止されている。
【0014】
図1に示すように、表示パネル2において、画像を表示可能な表示領域AAと、表示領域AAの外側の周辺領域FRと、がある。表示領域AAには、複数の画素Pixがマトリクス状に配置されている。なお、本開示において、行とは、一方向に配列されるm個の画素Pixを有する画素行をいう。また、列とは、行が配列される方向と直交する方向に配列されるn個の画素Pixを有する画素列をいう。そして、mとnとの値は、垂直方向の表示解像度と水平方向の表示解像度に応じて定まる。また、複数の走査線GLが行毎に配線され、複数の信号線SLが列毎に配線されている。
【0015】
光源3は、複数の発光部31を備えている。図2に示すように、光源制御部32は、駆動回路4に含まれる。なお、光源制御部32は、駆動回路4の回路とは別の回路にしてもよい。発光部31と、光源制御部32とは、アレイ基板10内の配線で電気的に接続されている。
【0016】
図1に示すように、駆動回路4は、アレイ基板10の表面に固定されている。図2に示すように、駆動回路4は、信号処理回路41、画素制御回路42、ゲート駆動回路43、ソース駆動回路44及び共通電位駆動回路45を備えている。アレイ基板10は、対向基板20よりもXY平面の面積が大きく、対向基板20から露出したアレイ基板10の張り出し部分に、駆動回路4が設けられる。
【0017】
信号処理回路41には、外部の上位制御部9の画像出力部91から、フレキシブル基板92を介して、入力信号(RGB信号など)VSが入力される。
【0018】
信号処理回路41は、入力信号解析部411と、記憶部412と、信号調整部413とを備える。入力信号解析部411は、外部から入力された第1入力信号VSに基づいて第2入力信号VCSを生成する。
【0019】
第2入力信号VCSは、第1入力信号VSに基づいて、表示パネル2の各画素Pixにどのような階調値を与えるかを定める信号である。言い換えると、第2入力信号VCSは、各画素Pixの階調値に関する階調情報を含む信号である。
【0020】
信号調整部413は、第2入力信号VCSから第3入力信号VCSAを生成する。信号調整部413は、第3入力信号VCSAを画素制御回路42へ送出し、光源制御信号LCSAを光源制御部32へ送出する。光源制御信号LCSAは、例えば、画素Pixへの入力階調値に応じて設定される発光部31の光量の情報を含む信号である。例えば、暗い画像が表示される場合、発光部31の光量は小さく設定される。明るい画像が表示される場合、発光部31の光量は大きく設定される。
【0021】
そして、画素制御回路42は、第3入力信号VCSAに基づいて水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとを生成する。本実施形態では、フィールドシーケンシャル方式で駆動されるので、水平駆動信号HDSと垂直駆動信号VDSとが発光部31が発光可能な色毎に生成される。
【0022】
ゲート駆動回路43は水平駆動信号HDSに基づいて1垂直走査期間内に表示パネル2の走査線GLを順次選択する。走査線GLの選択の順番は任意である。
【0023】
ソース駆動回路44は垂直駆動信号VDSに基づいて1水平走査期間内に表示パネル2の各信号線SLに各画素Pixの出力階調値に応じた階調信号を供給する。
【0024】
本実施形態において、表示パネル2はアクティブマトリクス型パネルである。このため、平面視で第2方向PYに延在する信号(ソース)線SL及び第1方向PXに延在する走査(ゲート)線GLを有し、信号線SLと走査線GLとの交差部にスイッチング素子Trを有する。
【0025】
スイッチング素子Trとして薄膜トランジスタが用いられる。薄膜トランジスタの例としては、ボトムゲート型トランジスタ又はトップゲート型トランジスタを用いてもよい。スイッチング素子Trとして、シングルゲート薄膜トランジスタを例示するが、ダブルゲートトランジスタでもよい。スイッチング素子Trのソース電極及びドレイン電極のうち一方は信号線SLに接続され、ゲート電極は走査線GLに接続され、ソース電極及びドレイン電極のうち他方は、高分子分散型の液晶LCの容量の一端に接続されている。高分子分散型の液晶LCの容量は、一端がスイッチング素子Trに画素電極PEを介して接続され、他端が共通電極CEを介してコモン電位配線COMLに接続されている。また、画素電極PEと、コモン電位配線COMLに電気的に接続されている保持容量電極IOとの間には、保持容量HCが生じる。画素電極PEは、第1電極であり、共通電極CEは、第2電極である。なお、コモン電位配線COMLは、共通電位駆動回路45より供給される。
【0026】
発光部31は、第1色(例えば、赤色)の発光体33Rと、第2色(例えば、緑色)の発光体33Gと、第3色(例えば、青色)の発光体33Bを備えている。光源制御部32は、光源制御信号LCSAに基づいて、第1色の発光体33R、第2色の発光体33G及び第3色の発光体33Bのそれぞれを時分割で発光するように制御する。このように、第1色の発光体33R、第2色の発光体33G及び第3色の発光体33Bは、フィールドシーケンシャル方式で駆動される。
【0027】
図3に示すように、第1サブフレーム(第1所定時間)RFにおいて、第1色の発光期間RONで第1色の発光体33Rが発光するとともに、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixが光を散乱させて表示する。表示パネル2全体では、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixに、上述した各信号線SLに各画素Pixの出力階調値に応じた階調信号が供給されていれば、第1色の発光期間RONにおいて第1色のみ点灯している。
【0028】
次に、第2サブフレーム(第2所定時間)GFにおいて、第2色の発光期間GONで第2色の発光体33Gが発光するとともに、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixが光を散乱させて表示する。表示パネル2全体では、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixに、上述した各信号線SLに各画素Pixの出力階調値に応じた階調信号が供給されていれば、第2色の発光期間GONにおいて第2色のみ点灯している。
【0029】
さらに、第3サブフレーム(第3所定時間)BFにおいて、第3色の発光期間BONで第3色の発光体33Bが発光するとともに、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixが光を散乱させて表示する。表示パネル2全体では、1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixに、上述した各信号線SLに各画素Pixの出力階調値に応じた階調信号が供給されていれば、第3色の発光期間BONにおいて第3色のみ点灯している。
【0030】
人間の眼には、時間的な分解能の制限があり、残像が発生するので、1フレーム(1F)の期間に3色の合成された画像が認識される。フィールドシーケンシャル方式では、カラーフィルタを不要とすることができ、カラーフィルタでの吸収ロスが低減するので、高い透過率が実現できる。カラーフィルタ方式では、第1色、第2色、第3色毎に画素Pixを分割したサブピクセルで一画素を作るのに対し、フィールドシーケンシャル方式では、このようなサブピクセル分割をしなくてもよい。なお、第4サブフレームをさらに有し、第1色、第2色及び第3色とは異なる第4色を発光するようにしてもよい。
【0031】
図4は、画素電極への印加電圧と画素の散乱状態との関係を示す説明図である。図5は、図1の表示装置の断面の一例を示す断面図である。図6は、図1の表示装置の平面を示す平面図である。図5は、図6のV-V’断面である。
【0032】
1垂直走査期間GateScan内に選択された画素Pixに、上述した各信号線SLに各画素Pixの出力階調値に応じた階調信号が供給されていれば、階調信号に応じて画素電極PEへの印加電圧が変わる。画素電極PEへの印加電圧が変わると、画素電極PEと、共通電極CEとの間の電圧が変化する。そして、図4に示すように、画素電極PEへの印加電圧に応じて、画素Pix毎の液晶層50の散乱状態が制御され、画素Pix内の散乱割合が変化する。
【0033】
図4に示すように、画素電極PEへの印加電圧が飽和電圧Vsat以上となると、画素Pix内の散乱割合の変化が小さくなる。そこで、駆動回路4は、飽和電圧Vsatよりも低い電圧範囲Vdrにおいて、垂直駆動信号VDSに応じた画素電極PEへの印加電圧を変化させる。
【0034】
図5に示すように、表示装置1は、透光性の第1基材25と、表示パネル2と、透光性の第2基材27と、を備える。保護層75は、透光性の第1基材25の一面に設けられている。保護層76は、透光性の第2基材27の一面に設けられている。
【0035】
表示パネル2は、アレイ基板10と、対向基板20と、液晶層50とを備えている。対向基板20は、アレイ基板10の表面に垂直な方向(図1に示すPZ方向)に対向する。液晶層50は、アレイ基板10と、対向基板20と、シール部18とで、後述する高分子分散型の液晶が封止されている。
【0036】
図5及び図6に示すように、アレイ基板10は、第1主面10A、第2主面10B、第1側面10C、第2側面10D、第3側面10E及び第4側面10Fを備える。第1主面10Aと第2主面10Bとは、平行な平面である。また、第1側面10Cと第2側面10Dとは、平行な平面である。第3側面10Eと第4側面10Fとは、平行な平面である。
【0037】
図5及び図6に示すように、対向基板20は、第1主面20A、第2主面20B、第1側面20C、第2側面20D、第3側面20E及び第4側面20Fを備える。第1主面20Aと第2主面20Bとは、平行な平面である。第1側面20Cと第2側面20Dとは、平行な平面である。第3側面20Eと第4側面20Fとは、平行な平面である。
【0038】
図5及び図6に示すように、第1基材25は、第1主面25A、第2主面25B、第1側面25C、第2側面25D、第3側面25E及び第4側面25Fを備える。第1主面25Aと第2主面25Bとは、平行な平面である。第1側面25Cと第2側面25Dとは、平行な平面である。第3側面25Eと第4側面25Fとは、平行な平面である。
【0039】
第1基材25は、対向基板20の第1主面20Aに光学樹脂23を介して、貼り合わされている。第1基材25は、対向基板20の保護基板であり、例えばガラスもしくは透光性の樹脂により形成される。第1基材25がガラス基材で形成される場合、カバーガラスとも呼ばれる。また第1基材25が透光性の樹脂で形成される場合は、可撓性を有していてもよい。なお、アレイ基板10の第1主面10Aに光学樹脂を介して、第1基材25と同じ基材が貼り合わせられてもよい。
【0040】
図5及び図6に示すように、第2基材27は、第1主面27A、第2主面27B、第1側面27C、第2側面27D、第3側面27E及び第4側面27Fを備える。第1主面27Aと第2主面27Bとは、平行な平面である。第1側面27Cと第2側面27Dとは、平行な平面である。第3側面27Eと第4側面27Fとは、平行な平面である。
【0041】
第2基材27は、アレイ基板10の第1主面10Aに光学樹脂26を介して、貼り合わされている。第2基材27は、アレイ基板10の保護基板であり、例えばガラスもしくは透光性の樹脂により形成される。第2基材27がガラス基材で形成される場合、カバーガラスとも呼ばれる。また第2基材27が透光性の樹脂で形成される場合は、可撓性を有していてもよい。
【0042】
図5及び図6に示すように、光源3は、第1基材25の第2側面25Dに対向する。光源3は、サイド光源と呼ばれることもある。図5に示すように、光源3は、第1基材25の第2側面25Dへ光源光を照射する。光源3と対向する第1基材25の第2側面25Dは、光入射面となる。また、光源3と対向する光入射面は、対向基板20の第2側面20D、第2基材27の第2側面27Dであってもよい。
【0043】
光源3は、発光部31と、導光体33Lとを備えている。発光部31は、第1色(例えば、赤色)の発光体33Rと、第2色(例えば、緑色)の発光体33Gと、第3色(例えば、青色)の発光体33Bと、を含む。導光体33Lは、第1色の発光体33R、第2色の発光体33G、及び第3色の発光体33Bで発光した光を第1基材25の第2側面25Dに照射する。導光体33Lは、複数の発光部31の光を同時に受光し、内部で拡散させて、表示パネル2へ放出する。その結果、第1基材25の第2側面25Dに照射される、単位面積当たりの光の分布は、均一化される。
【0044】
また、導光体33Lは第3側面25Eから第4側面25Fにかけて一体的に形成される単一の導光体33Lである。導光体33Lは、第3側面25Eから第4側面25Fにかけて、分割された複数の導光体を並べて構成してもよい。導光体33Lは、第3側面25Eから第4側面25Fにかけて、分割された複数の導光体を並べて、隣り合う導光体同士を連結させる構成であってもよい。
【0045】
発光部31及び導光体33Lは、接着材などで固定され、支持体33Mに組み付けられ、光源モジュールとなっている。支持体33Mは、第1基材25の第1主面25Aに重なるように搭載され、第1基材25に接着材などで固定されている。
【0046】
配線基板93(フレキシブルプリント基板又はPCB基板)は、光源制御部32の集積回路を搭載しており、光源制御部32は、配線基板93(フレキシブルプリント基板又はPCB基板)を介して、光源3に接続されている。配線基板93は、支持体33Mに接着材などで固定されている。
【0047】
図5に示すように、光源3から照射された光源光Lは、第1基材25、アレイ基板10、対向基板20又は第2基材27のいずれかで反射しながら、第2側面20Dから遠ざかる方向(第2方向PY)に伝播する。
【0048】
図5に示すように、第1基材25、アレイ基板10、対向基板20又は第2基材27のいずれかの内部を伝播した光源光Lは、散乱状態となっている液晶がある画素Pixで散乱され、散乱光の入射角が臨界角よりも小さな角度となって、放射光68、68Aがそれぞれ対向基板20の第1主面20A(第1基材25の第1主面25A)、アレイ基板10の第1主面10Aから外部に放射される。対向基板20の第1主面20A、アレイ基板10の第1主面10Aからそれぞれ外部に放射された放射光68、68Aは、観察者に観察される。
【0049】
このため、図6に示すように、複数の発光部31が、表示領域AAの第2方向PYに対応する領域に、所定のピッチで並べられている。
【0050】
図6に示すように、駆動回路4は、ゲート駆動回路43の複数の集積回路、ソース駆動回路44の複数の集積回路を備えている。
【0051】
図7は、画素において、走査線、信号線及びスイッチング素子を示す平面図である。図8は、画素において、保持容量層を示す平面図である。図9は、画素において、補助金属層及び開口領域を示す平面図である。図10は、画素において、共通電極を説明するための平面図である。図11は、図10に示した共通電極に重畳する画素電極を説明するための平面図である。図1図2図10及び図11に示すように、アレイ基板10には、複数の信号線SLと複数の走査線GLとが平面視において格子状に設けられている。言い換えると、アレイ基板10の一方の面には、第1方向PXに間隔をおいて並ぶ複数の信号線と、第2方向PYに間隔をおいて並ぶ複数の走査線と、を備える。
【0052】
図7に示すように、隣り合う走査線GLと隣り合う信号線SLとで囲まれる領域が、画素Pixである。画素Pixには、画素電極PEとスイッチング素子Trとが設けられている。本実施形態において、スイッチング素子Trは、ボトムゲート型の薄膜トランジスタである。スイッチング素子Trは、走査線GLと電気的に接続されているゲート電極GEと平面視において重畳する半導体層SCを有する。
【0053】
図7に示すように、走査線GLは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)等の金属、これらの積層体又はこれらの合金の配線である。信号線SLは、アルミニウム等の金属又は合金の配線である。
【0054】
図7に示すように、半導体層SCは、平面視において、ゲート電極GEからはみ出さないように設けられている。これにより、ゲート電極GE側から半導体層SCに向かう光源光Lが反射され、半導体層SCに光リークが生じにくくなる。
【0055】
図5に示すように、光源3から照射された光源光Lは、第2方向PYを入射方向として、入射してくる。入射方向とは、光源3に最も近い第2側面20Dから、第2側面20Dの対向面である第1側面20Cへ向かう方向である。光源光Lの入射方向が第2方向PYである場合、半導体層SCの第1方向PXの長さが、半導体層SCの第2方向PYの長さよりも小さい。これにより、光源光Lの入射方向に交差する方向の長さが小さくなり、光リークの影響が低減する。
【0056】
図7に示すように、ソース電極SEは、信号線SLと同じ2つの導電体が、信号線SLと同層でかつ信号線と交差する方向に信号線SLから延びている。これにより、信号線SLと電気的に接続するソース電極SEは、平面視において、半導体層SCの一端部と重畳している。
【0057】
図7に示すように、平面視において、隣り合うソース電極SEの導電体の間の位置には、ドレイン電極DEが設けられている。ドレイン電極DEは、平面視において、半導体層SCと重畳している。ソース電極SE及びドレイン電極DEと重畳しない部分は、スイッチング素子Trのチャネルとして機能する。
【0058】
図8に示すように、保持容量電極IOは、走査線GLと信号線SLとに囲まれた領域に透光性導電材料がない領域IOXを有する。保持容量電極IOは、ITO(Indium Tin Oxide)などの透光性導電材料によって形成されている。保持容量電極IOは、第3透光性電極ともいう。保持容量電極IOは、隣り合う画素Pixに跨がって、複数の画素Pixに渡って設けられている。保持容量電極IOは、透光性導電材料がある領域が走査線GL又は信号線SLに重なり、隣の画素Pixに延びている。
【0059】
保持容量電極IOは、走査線GL及び信号線SLに沿って走査線GL及び信号線SLの上方を覆う格子状である。これにより、透光性導電材料がない領域IOXと、画素電極PEとの間の保持容量HCが減少するので、透光性導電材料がない領域IOXの大きさにより保持容量HCが調整される。
【0060】
図9に示すように、走査線GLと信号線SLとに接続されたスイッチング素子Trが設けられ、少なくともスイッチング素子Trは、有機絶縁層である第3絶縁層13で覆われており、第3絶縁層13の上方にはスイッチング素子Trよりも大きな面積の金属層TMがある。これにより、スイッチング素子Trの光リークを抑制することができる。
【0061】
より具体的には、アレイ基板10には、少なくともスイッチング素子Trを覆う有機絶縁層である第3絶縁層13と、第3絶縁層13の上方に重畳して設けられ、スイッチング素子Trよりも大きな面積の金属層TMとがある。走査線GLと信号線SLとに囲まれた領域には、平面視で走査線GL及び信号線SLに重なる第3絶縁層13の厚さよりも厚さが小さい領域がある。このため、平面視でスイッチング素子Trよりも光源3に近い側にある第3絶縁層13の厚みが変化する斜面ができる。図5に示すように、光源3から照射された光源光Lは、第2方向PYを入射方向として、入射してくる。
【0062】
図9に示すように、平面視で、信号線SLに重なる金属層TMの幅は、信号線SLの幅よりも大きい。これにより、信号線SLのエッジで反射する反射光を表示パネル2より放出することを抑制する。ここで、金属層TMの幅及び信号線SLの幅は、信号線SLの延在する方向に交差する方向の長さである。また、走査線GLに重なる金属層TMの幅は、走査線GLの幅よりも大きい。ここで、金属層TMの幅及び走査線GLの幅は、走査線GLの延在する方向に交差する方向の長さである。
【0063】
図10に示すように、共通電極CEの上には、画素Pixを跨いで設けられた複数の突起部61が、第1方向PXに所定の間隔をおいて並べられており、第1方向PXと交差する第2方向PYへ向けて、突起部61が延びて設けられている。
【0064】
図11に示すように、画素電極PEは、画素Pix毎に区画されている。ドレイン電極DEと電気的に接続されるコンタクト電極DEAは、コンタクトホールCHで画素電極PEと電気的に接続されている。
【0065】
次に、表示パネル2を構成するアレイ基板10、対向基板20及び液晶層50について説明する。図12は、図10及び図11のXII-XII’の断面図である。図12では、モノマーが重合した後の状態の液晶層を示す。また、図12では、非散乱状態の液晶層を示している。図13は、液晶層において散乱状態を説明するための断面図である。
【0066】
図12に示すように、アレイ基板10は、第1透光性基材19と画素電極PEと第1配向膜(配向膜)AL1とを有している。画素電極PEの上には、第1配向膜AL1が設けられている。対向基板20は、第2透光性基材29と共通電極CEと第2配向膜(配向膜)AL2とを有している。共通電極CEの表面には、対向基板20側からアレイ基板10側に向けて突出する、複数の突起部61が設けられており、共通電極CEと突起部61の全体を覆うように第2配向膜AL2が設けられている。液晶層50は、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に封止されている。なお、アレイ基板10は、第1透光性基材19の画素電極PE及び第1配向膜(配向膜)AL1が設けられる面とは反対側の面において、例えばガラスで形成された保護部材(図示せず)を有していてもよい。保護部材は、透光性を有していれば、樹脂でもよい。また、対向基板20は、第2透光性基材29の共通電極CE及び第2配向膜(配向膜)AL2が設けられる面とは反対側の面において、例えばガラスで形成された保護部材(図示せず)を有していてもよい。保護部材は、透光性を有していれば、樹脂でもよい。
【0067】
第1透光性基材19及び第2透光性基材29は、例えばガラスやポリエチレンテレフタレートなどの透光性を有する材料で形成されている。画素電極PEと共通電極CEは、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透光性を有する導電材料によって形成されている。第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、液晶層50中の液晶分子52を所定の方向に配向させるものであり、ポリイミドなどの透光性を有する配向膜材料によって形成されている。
【0068】
図12に示すように、第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間には、光架橋性のモノマー51Aと、液晶分子52とを複数含む。モノマー51Aは、所定波長の紫外線を照射による光架橋(重合)反応により、3次元の網目状のポリマーネットワーク51が形成される。これにより、ポリマーネットワーク51の隙間に液晶分子52が分散されたリバースモードの高分子分散型液晶LCを有する液晶層50が形成される。
【0069】
モノマー51Aとして、式(1)に示す光架橋性を有するアクリレート系の材料を用いることができる。式(1)のモノマーは、左右端部にそれぞれ光架橋基としての機能を有するアクリレート基を有している。なお、モノマー51Aとしては、式(1)に示すものに限らず、式(2-1)~式(2-4)に示すアクリレート基や、式(2-5)~式(2-8)に示すマレイミド基のような光架橋性を有する各材料を用いることができる。
【0070】
【化1】
【0071】
【化2】
【0072】
ところで、通常、モノマーを重合させてポリマーネットワークを形成した場合、このポリマーネットワークは、何ら固定されておらず液晶層中を浮遊している。このため、例えば、表示パネルの画面の点押しや落下衝撃などの要因で、液晶層のポリマーネットワークが不可逆的に移動することにより、液晶分子の配向に乱れが生じる可能性がある。このため、表示パネルの画素毎に、むらが発生してコントラストが低下する事態が生じ、表示装置(表示パネル)の耐衝撃性の向上が要望されている。
【0073】
本実施形態では、ポリマーネットワーク51の末端(一部)が、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2に連結されている。このため、ポリマーネットワーク51は、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2を介して、アレイ基板10及び対向基板20に固定される。これにより、液晶層50を含む表示パネル2の耐衝撃性が向上し、信頼性が向上する。なお、ポリマーネットワーク51の末端(一部)は、第1配向膜AL1にのみ連結してもよい。
【0074】
次に、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2について説明する。本実施形態では、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、可視領域で透明な配向膜が望ましくポリイミドによって形成されている。ポリイミドは、ポリアミド酸(ポリアミド酸化合物を含む)を加熱してイミド化することにより得ることができる。このため、液状のポリアミド酸を画素電極PE及び共通電極CEの表面にそれぞれスピンコートなどによって塗布し、これをイミド化することにより第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が形成される。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸化合物(テトラカルボン酸二無水物)とジアミン化合物とを反応させることによって合成することができる。このため、ポリイミドは、式(3)で示すように、テトラカルボン酸二無水物由来の骨格とジアミン化合物由来の骨格とを有して形成される。
【0075】
【化3】
【0076】
この式(3)において、テトラカルボン酸二無水物由来の骨格が有するR1は、例えば、シクロブタン骨格、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、又は鎖式骨格とすることができる。また、ジアミン化合物由来の骨格が有するR2は、例えば、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格、又は鎖式骨格とすることができる。ここで、シクロブタン骨格以外の脂環式骨格としては、例えばシクロへプタン骨格やシクロヘキサン骨格などが例示される。一方、脂環式骨格として、芳香族化合物も使用可能であるが、ポリイミドの着色が少ないものが望ましい。
【0077】
本実施形態では、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の材料(配向膜材料)であるポリイミドは、光架橋基Xを該ポリイミドの側鎖に有する。具体的には、ジアミン化合物由来の骨格を形成する上記したR2にエーテル結合を介して、光架橋基Xが設けられている。また、エーテル結合の代わりにエステル結合を介して光架橋基Xを設けてもよい。すなわち、ポリイミドを構成するジアミン化合物が光架橋基Xを有する。この光架橋基Xは、上記したモノマー51Aの光架橋(重合)反応の際に、モノマー51Aと反応し、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2とポリマーネットワーク51(ポリマー繊維)とをそれぞれ連結する。これにより、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2とポリマーネットワーク51とが強固に連結されるため、液晶層50を含む表示パネル2の耐衝撃性が向上し、信頼性が向上する。
【0078】
光架橋基Xは、式(4)に示すように、例えば、アクリレート基を設けることができる。この場合、式(4)に示すRは、光架橋基が連結される基を意味しているが、上記したエーテル結合又はエステル結合を含むものとする。
【0079】
【化4】
【0080】
この構成では、ジアミン化合物由来の骨格が有するR2にエーテル結合又はエステル結合を介して光架橋基Xを設けておくことにより、該光架橋基Xを含むポリイミドからなる第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2を容易に形成することができ、これら第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2とポリマーネットワーク51との連結を容易に実行することができる。また、光架橋基Xは、ポリイミドの側鎖に設けられているため、ポリマー主鎖に設けられている場合に比べて配向の自由度が高く、ポリマーネットワーク51の形成時に、光架橋基Xと光架橋性のモノマー51Aとの光架橋(重合)反応の効率を高めることができる。
【0081】
また、光架橋基Xは、アクリレート基に限るものではなく、式(5-1)~式(5-5)に示すような、メタクリレート基、桂皮酸基、マレイミド基、フェニルジアジリン、フェニルアジドのうち少なくとも1種をポリイミドの側鎖に設けてもよい。なお、これらの光架橋基Xは、ポリイミドの主鎖に設けてもよいし、側鎖又は主鎖の末端に設けてもよい。
【0082】
【化5】
【0083】
次に、別の構成を有するポリイミドについて説明する。上記には、側鎖に光架橋基Xを有するポリイミドの構成を説明したが、ポリイミドの主鎖に光架橋基を有する構成を採用することもできる。具体的には、式(3)における、テトラカルボン酸二無水物由来の骨格が有するR1に光架橋基として、式(6-1)に示すジアゾ基を有するポリイミドや、式(6-2)に示すベンゾフェノン基を有するポリイミドを採用することができる。この式(6-1)、(6-2)において、Etはエチル基を示す。また、式(6-1)、(6-2)に示す構造式は例示であり、ジアゾ基又はベンゾフェノン基を有するポリイミドであれば、他の構成としてもよい。
【0084】
【化6】
【0085】
この構成では、ポリイミドがそもそも光架橋基として機能する官能基を有するため、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2とポリマーネットワーク51との連結を容易に実行することができる。また、光架橋基はポリイミドの主鎖に設けられているため、ポリマーネットワーク51と連結されると該ポリマーネットワーク51が動きにくくなり、固定化することができる。
【0086】
上記した構成において、ポリマーネットワーク51及び液晶分子52は、それぞれ光学異方性を有している。液晶分子52の配向は、画素電極PEと共通電極CEとの間の電圧差によって制御される。例えば、図12に示すように、画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されていない状態では、ポリマーネットワーク51の光軸Ax1と液晶分子52の光軸Ax2の向きは互いに概ね等しい。液晶分子52の光軸Ax2は、液晶層50のPZ方向(図5)と平行である。またポリマーネットワーク51の光軸Ax1は、電圧の有無に関わらず、液晶層50のPZ方向と平行である。画素電極PEへの印加電圧により、液晶分子52の配向が変化する。液晶分子52の配向が変化することにより、画素Pix(画素電極PE上の領域)を通過する光の散乱の度合いが変化する。
【0087】
また、本実施形態では、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が垂直配向膜であることを考慮して、式(7)に示すポリイミドを用いることが好ましい。式(7)のポリイミドは、側鎖の末端に光架橋基Xであるアクリレート基が設けられているが、このアクリレート基は、エーテル基に鎖式骨格であるR3を介して接続されている。このR3は、長鎖アルキル基((CH2)n;n=1~12)であり、特にn=6~12とし、さらに長鎖アルキル基の密度が高まるほど、液晶分子52のプレチルト角が大きくなりやすくなるため、垂直配向膜とする場合に有効である。
【0088】
【化7】
【0089】
画素電極PEと共通電極CEとの間に電圧が印加されていない状態では、あらゆる方向においてポリマーネットワーク51と液晶分子52との間の屈折率差がゼロになる。このため、液晶層50は、光源光L(図5)を散乱しない非散乱状態となる。液晶層50が光源光Lを散乱しない非散乱状態であると、アレイ基板10の第1主面10Aから対向基板20の第1主面20A側の背景が視認され、対向基板20の第1主面20Aからアレイ基板10の第1主面10A側の背景が視認される。
【0090】
図13に示すように、電圧が印加された画素電極PEと共通電極CEとの間では、液晶分子52の光軸Ax2は、画素電極PEと共通電極CEの突起部61との間に発生する電界Eによって傾くことになる。ポリマーネットワーク51の光軸Ax1は、電界Eによって変化しないため、ポリマーネットワーク51の光軸Ax1と液晶分子52の光軸Ax2の向きは互いに異なる。電圧が印加された画素電極PEがある画素Pixにおいて、光源光Lが散乱される。上述したように散乱された光源光Lの一部がアレイ基板10の第1主面10A又は対向基板20の第1主面20Aから外部に放射された光は、観察者に観察される。
【0091】
電圧が印加されていない画素電極PEがある画素Pixでは、アレイ基板10の第1主面10Aから対向基板20の第1主面20A側の背景が視認され、対向基板20の第1主面20Aからアレイ基板10の第1主面10A側の背景が視認される。そして、本実施形態の表示装置1は、画像出力部91から第1入力信号VSが入力されると、画像が表示される画素Pixの画素電極PEに電圧が印加され、第3入力信号VCSAに基づく画像が背景とともに視認される。このように、高分子分散型液晶LCが散乱状態にあるとき、表示領域において画像が表示される。
【0092】
電圧が印加された画素電極PEがある画素Pixにおいて光源光Lが散乱されて外部に放射された光によって表示された画像は、背景に重なり、表示されることになる。つまり、本実施形態の表示装置1は、放射光68又は放射光68Aと、背景との組み合わせにより、画像を背景に重ね合わせて表示することができる。
【0093】
画素電極PEと共通電極CEとの間に発生する電界Eは、共通電極CEの平坦な表面よりも突起部61の方が、電位が高いため、突起部61に向けて斜め方向に印加される。これにより、電界Eは、液晶分子52の配向方向を制御することができる。
【0094】
(表示装置1の製造方法)
次に、表示装置1の製造方法について説明する。図14は、実施形態1における表示装置の製造方法の一例を示すフローチャートである。図15は、液晶層においてモノマーが重合前の状態を示す断面図である。図16は、液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。図17は、実施形態1のマザー基板上に配置された表示パネルを示す配置図である。
【0095】
図14に示すように、まず、第1透光性基材19の上に、複数の画素電極PEが形成されたアレイ基板10を作製する(S1)。画素電極PEの全面に第1配向膜AL1を積層する。また、第2透光性基材29の上に、共通電極CEが形成された対向基板20を作製する(S2)。共通電極CEの全面に第2配向膜AL2を積層する。
【0096】
製造工程S2において、共通電極CE上に、第1方向PXに所定の間隔を開けて、第2方向PYに延びるように、共通電極CE側から画素電極PE側に突起する複数の突起部61を形成する。突起部61は、例えば、断面形状で三角形状である。突起部61の形状は、特に限定されないが、断面形状で半円形状であってもよいし、台形などであってもよい。
【0097】
次に、製造工程S3からS5において、溶液LC´をシール部18の内部に注入する方法を説明する。方法としては、真空注入方式と滴下注入(ODF)方式がある。真空注入方式では、シール部18に注入口が形成され、シール部18を硬化させた後に注入口から溶液LC´が注入される。ODF方式では、アレイ基板及び対向基板のどちらか一方にシール部18が形成されるとともに、シール部18の内側に溶液LC´が滴下される。本実施形態では、ODF方式を用いた表示装置1の製造方法について説明する。
【0098】
製造工程S1及び製造工程S2の後に、アレイ基板10および対向基板20のどちらか一方に未硬化のシール部18を形成する(S3)。シール部18は、例えばディスペンサを用いて環状に形成することができる。ODF方式では、シール部18に注入口が形成されていないため、シール部18は、切れ目のない連続した環状である。
【0099】
製造工程S3の後に、シール部18の内部に溶液LC´を滴下する(S4)。その後、真空中でアレイ基板10と対向基板20とシール部18により貼り合せる(S5)。これにより、アレイ基板10と、対向基板20およびシール部18によって囲まれた空間に液晶層50が形成される(図5参照)。
【0100】
製造工程S5の後に、シール部18を硬化させる(S6)。まず、シール部18に含まれる未硬化のアクリル樹脂が硬化する温度の熱をシール部18に加える。シール部18に含まれる熱ラジカル重合開始剤の作用により、アクリル樹脂においてラジカル重合が進行する。ラジカル重合の反応速度は速いため、短時間でアクリル樹脂を硬化させることができる。
【0101】
次に、シール部18に含まれる未硬化のエポキシ樹脂が硬化する温度の熱をシール部18に加える。シール部18に含まれる熱硬化剤の作用により、エポキシ樹脂において付加重合が進行する。付加重合の反応速度は、ラジカル重合に比べて遅いため、アクリル樹脂を硬化する処理よりも長時間かけてエポキシ樹脂を硬化させることができる。
【0102】
このとき、図15に示すように、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の表面(液晶層50と接する面)は、配向処理が施されていないため、モノマー51Aが重合前の状態において、モノマー51A及び液晶分子52の配向状態は、それぞれランダムな方向に傾いた状態である。
【0103】
図15に示すように、アレイ基板10と、対向基板20と、シール部18との間には、光架橋性のモノマー51Aと、液晶分子52と、光重合開始剤53とを複数含む溶液LC´が注入されている。
【0104】
光重合開始剤53は、所定波長の紫外線照射により、光を吸収し、ラジカルを発生して溶液LC´中のモノマー51Aの重合を開始させるものである。光重合開始剤53は、使用する紫外線波長に適したものを選択して使用することができ、例えば、以下の中から1つを使用することができる。
【0105】
(±)-カンファーキノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸、2-ベンゾイル安息香酸メチル、4,4´-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´-ジクロロベンゾフェノン、1,4-ジベンゾイルベンゼン、ベンジル、p-アニシル、2-ベンゾイル-2-プロパノール、2-ヒドロキシ-4´-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-メチルプロピオフェノン、1-ベンジルシクロヘキサノール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、o-トシルベンゾイン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2-メチル-4´-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4´-モノホリノブチロフェノン、2-イソニトロソプロピオフェノン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、2,2´-ビス(2-クロロフェニル)-4,4,5,5´-テトラフェニル-1,2´-ビイミダゾール、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸リチウム。
【0106】
製造工程S6の後に、共通電極CE及び画素電極PEに電圧を印加しながら、液晶層50の全面に紫外線UVを照射する(S7)。まず、図16に示すように、共通電極CE及び画素電極PEに電圧を印加させ、画素電極PEから共通電極CEの複数の突起部61へ向けて電界が斜め方向に印加させる。これにより、モノマー51A及び液晶分子52の傾きは、斜め方向の電界方向に影響して傾くため、対向基板20の表面に対してプレチルト角85度~88度となる。なお、電圧の大きさは、画素内で光が散乱し始める低電圧である。
【0107】
次に、図16に示すように、共通電極CE及び画素電極PEに電圧を印加した状態で、液晶層50の全面に対して紫外線UVを照射する。これにより、モノマー51Aは、光架橋(重合)反応により、3次元の網目状のポリマーネットワーク51が形成され、液晶LCが硬化される(図12参照)。
【0108】
ここで、製造工程S7において、図17に示すように、複数の表示パネル2は、マザーガラス1000上にマトリックス状にそれぞれ配列されている。マザーガラス1000は、複数の表示パネル2と、電源部101と、切断線120とを備える。電源部101は、画素電位供給部102と、共通電位供給部103とを有する。電源部101は、各表示パネル2と、各表示パネル2の端子部110から引き出された配線で接続されている。各表示パネル2に対して電圧を印加させることにより、画素電位が、画素電位供給部102から各表示パネル2の画素電極PEに供給される。また、共通電位が、共通電位供給部103から各表示パネル2の共通電極CEに供給される。
【0109】
製造工程S7の後に、マザーガラス1000上の切断線120から表示パネル2がそれぞれマザーガラス1000から切り離される。
【0110】
真空注入方式を用いて溶液LC´をシール部18の内部に注入した場合は、マザーガラス1000から表示パネル2が切り離された後に、表示パネル2毎に、製造工程S7が実施される。表示パネル2毎に電圧を印加する方法としては、検査パットや検査治具に取り付けて実施する方法や、外部電源とリード線で接続して実施する方法がある。
【0111】
図18は、比較例に係る液晶層において散乱状態を説明するための断面図である。図18に示す比較例に係る表示パネル2Aは、図14に示す表示パネル2と比較して、突起部61が共通電極CE上に形成されていない。
【0112】
図18に示すように、比較例に係る表示パネル2Aにおいて、電圧が印加された画素電極PEと共通電極CEとの間では、液晶分子52の光軸Ax2は、画素電極PEと共通電極CEとの間に発生する電界によって傾くことになる。ポリマーネットワーク51の光軸Ax1は、電界によって変化しないため、ポリマーネットワーク51の光軸Ax1と液晶分子52の光軸Ax2の向きは互いに異なる。しかし、液晶層50の中央部分の液晶分子52の初期配向がばらつくため、液晶分子52同士の光軸Ax2の向きが互いに異なることがある。このため、液晶層50内で光が散乱してしまうことがある。
【0113】
これに対して、実施形態1に係る表示パネル2では、表示パネル2の製造時において、共通電極CE上に複数の突起部61を形成し、画素電極PE及び共通電極CEに電圧を印加した状態で、液晶層50の全面に対して紫外線照射をして液晶層50を硬化させている。このため、画素電極PEと共通電極CEとの間に発生した電界Eは、突起部61に向けて斜め方向に印加されるため、電界Eは、液晶分子52の光軸Ax2の向きを意図した向きに制御することができる。
【0114】
これにより、第3方向PZに対して液晶分子52は斜め方向に印加された電界Eに影響されて、液晶分子52全体の光軸Ax2の向きは、ランダムな挙動が抑制された状態で、電界Eにより回転し、アレイ基板10の表面に対してプレチルト角85度~88度が付与され、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性のばらつきが抑制される。
【0115】
(実施形態2)
図19は、実施形態2に係る液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。図20は、実施形態2に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0116】
図19に示すように、実施形態2に係る表示パネル2Bの対向基板20を作製する工程において、第2透光性基材29の上に、複数の樹脂材62と、共通電極CEと、第2配向膜AL2の順で積層されている。共通電極CEには、複数の突起部63が形成されている。樹脂材62は、第3方向PZに対して、突起部63と重なるように形成されている。第2透光性基材29と、突起部63との間に、第2透光性基材29よりもアレイ基板10側に突出して形成されている。
【0117】
樹脂材62は、可撓性を有する樹脂で、例えば、ポリイミド等の樹脂で形成される。樹脂材62は、突起部63の土台として設けられている。樹脂材62は、例えば、断面形状で半円形状である。これにより、共通電極CEの突起部63が湾曲し、電界Eが突起部63に集まりやすくなる。なお、樹脂材62の形状は、特に限定されないが、断面形状で三角形状であってもよいし、台形などであってもよい。
【0118】
図19に示すように、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が生じるように、画素電極PE及び共通電極CEに電圧を加えた状態で、液晶層50に紫外線を照射して液晶層50を硬化させる工程では、電界Eが画素電極PEから突起部63に向け、第3方向PZに対して斜め方向に印加される。これにより、図20に示すように、第3方向PZに対して液晶分子52は斜め方向に印加された電界Eに影響されて、液晶分子52全体の光軸Ax2の向きは、ランダムな挙動が抑制された状態で、電界Eにより回転し、アレイ基板10の表面に対してプレチルト角85度~88度が付与され、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性のばらつきが抑制される。
【0119】
(実施形態3)
図21は、実施形態3に係る共通電極を説明するための平面図である。図22は、実施形態3に係る液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。図23は、実施形態3に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0120】
図21に示すように、実施形態3に係る共通電極CEの上には、画素Pix毎に複数のスリット64が形成されている。スリット64は、第1方向PXに所定の間隔をおいて配置され、第1方向PXと交差する第2方向PYへ向けて、各スリット64が延びて形成されている。スリット64の端部は、走査線GLに接続されている。スリット64の端部は、走査線GLに重なる位置で、共通電極CEの透光性導電材料で閉じられている。スリット64の幅は、例えば、10μmである。なお、スリット64の幅は、3μmから20μmの間が好ましい。
【0121】
図22に示すように、実施形態3に係る表示パネル2Cの対向基板20を作製する工程において、第2透光性基材29の上に、共通電極CEと、第2配向膜AL2の順で積層されている。共通電極CE間には、複数のスリット64が形成されている。第2配向膜AL2は、共通電極CE及びスリット64の表面を覆って形成されている。
【0122】
図22に示すように、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が生じるように、画素電極PE及び共通電極CEに電圧を加えた状態で、液晶層50に紫外線を照射して液晶層50を硬化させる工程では、画素電極PEから共通電極CEへ向けて電界Eが発生すると、スリット64には共通電極CEが設けられていないため、電界Eは、スリット64には印加されない。
【0123】
したがって、電界Eは、画素電極PEからスリット64の両側の共通電極CEに向けて斜め方向に印加される。これにより、図23に示すように、第3方向PZに対して液晶分子52は斜め方向に印加された電界Eに影響されて、液晶分子52全体の光軸Ax2の向きは、ランダムな挙動が抑制された状態で、電界Eにより回転し、アレイ基板10の表面に対してプレチルト角85度~88度が付与され、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性のばらつきが抑制される。
【0124】
(実施形態4)
図24は、実施形態4に係る液晶層において電圧を印加されながら紫外線照射された状態を示す断面図である。図25は、実施形態4に係る液晶層が硬化された状態を示す断面図である。なお、上述した本実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0125】
図24に示すように、実施形態4に係る表示パネル2Dの対向基板20を作製する工程において、第2透光性基材29の上に、第3電極CE1と、透光性を有する絶縁膜65と、共通電極CE、第2配向膜AL2の順で積層されている。共通電極CE間には、複数のスリット64が形成されている。第3電極CE1は、共通電極CEと同じ電位を有している。
【0126】
絶縁膜65は、透光性を有する、有機絶縁材料で形成された有機絶縁膜である。
【0127】
図24に示すように、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差が生じるように、画素電極PE及び共通電極CEに電圧を加えた状態で、液晶層50に紫外線を照射して液晶層50を硬化させる工程では、画素電極PEから共通電極CEへ向けて電界Eが発生すると、スリット64と重なる部分の第3電極CE1を覆っている絶縁膜65により、電界Eは、スリット64には印加されにくいため、共通電極CEは、第3電極CE1よりも、より多くの電界が印加されやすくなる。
【0128】
したがって、電界Eは、画素電極PEからスリット64の両側の共通電極CEに向けて斜め方向に印加される。これにより、図25に示すように、第3方向PZに対して液晶分子52は斜め方向に印加された電界Eに影響されて、液晶分子52全体の光軸Ax2の向きは、ランダムな挙動が抑制された状態で、電界Eにより回転し、アレイ基板10の表面に対してプレチルト角85度~88度が付与され、印加電圧に応じた液晶分子の散乱特性のばらつきが抑制される。なお、表示装置1を駆動する場合は、第3電極CE1にも電圧を供給して駆動してもよい。
【0129】
以上、好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0130】
1 表示装置
2 表示パネル
3 光源
10 アレイ基板(第1透光性基板)
18 シール部
19 第1透光性基材
20 対向基板(第2透光性基板)
29 第2透光性基材
50 液晶層
51 ポリマーネットワーク
51A モノマー
52 液晶分子
AL1 第1配向膜(配向膜)
AL2 第2配向膜(配向膜)
CE 共通電極(第2電極)
CE1 第3電極
PE 画素電極(第1電極)
LC 高分子分散型液晶
61、63 突起部
62 樹脂材
64 スリット
65 絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25