IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オンダ製作所の特許一覧

<>
  • 特開-給水用コンセント 図1
  • 特開-給水用コンセント 図2
  • 特開-給水用コンセント 図3
  • 特開-給水用コンセント 図4
  • 特開-給水用コンセント 図5
  • 特開-給水用コンセント 図6
  • 特開-給水用コンセント 図7
  • 特開-給水用コンセント 図8
  • 特開-給水用コンセント 図9
  • 特開-給水用コンセント 図10
  • 特開-給水用コンセント 図11
  • 特開-給水用コンセント 図12
  • 特開-給水用コンセント 図13
  • 特開-給水用コンセント 図14
  • 特開-給水用コンセント 図15
  • 特開-給水用コンセント 図16
  • 特開-給水用コンセント 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168676
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】給水用コンセント
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/02 20060101AFI20241128BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
E03C1/02
E03C1/042 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085551
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃
(72)【発明者】
【氏名】黒田 峻穂
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AB04
2D060BA10
2D060BB04
2D060BE12
2D060BF01
2D060BF05
(57)【要約】
【課題】バルブユニットの押圧による操作を通じて継手の受水部と送水部との間の開閉を簡単に行うことができる給水用コンセントを提供する。
【解決手段】給水用コンセント11は、本体ボックス14と、継手19と、バルブユニット20と、を備える。継手19は、本体ボックス14の内部に支持される。継手19には、水の供給を受ける受水部22、及び、その水を壁12の表側に向けて送る送水部23が形成される。バルブユニット20は、継手19における受水部22と送水部23との間を開閉する。継手19には、壁12の開口部18に対応する位置で開口するとともに受水部22及び送水部23に繋がるバルブ取付部24が形成される。バルブユニット20は、バルブ取付部24の開口から受水部22と送水部23との間の箇所に至るよう差し込まれることによって継手19に取り付けられる。バルブユニット20は、壁12の表側からの押圧に基づき操作される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ボックスと、継手と、バルブユニットと、を備え、
前記本体ボックスは、壁の裏側であって前記壁の開口部に対応する位置に取り付けることが可能であり、
前記継手は、前記本体ボックスの内部に支持され、
前記継手には、水の供給を受ける受水部、及び、前記受水部が受けた水を前記壁の表側に向けて送る送水部が形成され、
前記バルブユニットは、前記壁の表側からの操作に基づき、前記継手における前記受水部と前記送水部との間を開閉する給水用コンセントにおいて、
前記継手には、前記壁の開口部に対応する位置で開口するとともに前記受水部及び前記送水部に繋がるバルブ取付部が形成され、
前記バルブユニットは、前記バルブ取付部の開口から前記継手における前記受水部と前記送水部との間の箇所に至るよう差し込まれることによって前記継手に取り付けられ、前記壁の表側からの押圧に基づき操作されるものである給水用コンセント。
【請求項2】
前記壁の開口部を前記壁の表側から塞ぐカバーを備え、
前記送水部にはホースを接続するためのカプラーが取り付けられ、
前記カバーには、前記壁の開口部を前記カバーで塞いだとき、前記バルブユニットを通すための第1孔と前記カプラーを通すための第2孔とが形成され、
前記第1孔は、前記バルブユニットを通したとき、そのバルブユニットに対し接することが可能であり、
前記第2孔は、前記壁に対し傾斜するよう前記カバーに形成された斜面に位置しており、
前記カプラーの外周面には、前記斜面に接するよう固定ナットがねじ込まれている請求項1に記載の給水用コンセント。
【請求項3】
前記バルブユニットにおける前記バルブ取付部の開口から露出した箇所には、前記バルブユニットを前記壁の表側からの押圧に基づき操作する操作ボタンが取り付けられ、
前記バルブユニットにおける前記バルブ取付部の開口から露出した箇所には、前記バルブ取付部の開口の中心線に沿って、前記バルブ取付部から離れる方向に突出する爪が形成されており、
前記操作ボタンは、掛け止め部を備えており、前記壁の表側から前記バルブユニットにおける前記バルブ取付部の開口から露出した箇所に対し接近させたとき、前記爪が前記掛け止め部とスナップ係合することにより、前記バルブユニットに取り付けられるものであり、
前記操作ボタンには、前記バルブユニットにおける前記バルブ取付部の開口から露出した箇所に向けて突出するガイドが形成され、
前記ガイドは、前記操作ボタンが前記爪の前記掛け止め部に対するスナップ係合によって前記バルブユニットに取り付けられたとき、前記爪における前記掛け止め部側と反対側に配置されるものである請求項1又は2に記載の給水用コンセント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水用コンセントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、建物の壁には、洗濯機等の機器に対し給水を行う給水用コンセントが取り付けられている。給水用コンセントは、壁の裏側から水の供給を受け、その水を壁の表側に位置する上記機器に送る構造となっている。こうした給水用コンセントは、本体ボックスと、継手と、バルブユニットと、を備えている。
【0003】
本体ボックスは、壁の裏側であって壁の開口部に対応する位置に取り付けられる。継手は、本体ボックスの内部に支持されている。継手には、水の供給を受ける受水部、及び、受水部が受けた水を壁の表側に向けて送る送水部が形成されている。バルブユニットは、壁の表側からの操作に基づき、継手における受水部と送水部との間を開閉する。特許文献1の給水用コンセントでは、バルブユニットとして回転操作されるタイプのものが用いられている。
【0004】
給水用コンセントのバルブユニットは、例えば上記機器の設置や交換の際に操作される。詳しくは、バルブユニットの回転操作を通じて継手の受水部と送水部との間を閉じることにより、送水部からの水の送水を停止した状態で、その送水部に対し上記機器をホース等で繋いだり、上記送水部からホース等で繋がる上記機器を外して新しい上記機器をホース等で送水部に繋いだりする。その後、上記機器をホース等で送水部に繋ぐ。その状態で、バルブユニットの回転操作を通じて継手の受水部と送水部との間を開くことにより、給水用コンセントから上記機器に水を送ることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5961587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の給水用コンセントでは、継手の受水部と送水部との間の開閉を行う際、バルブユニットを回転操作しなければならない。こうしたバルブユニットの回転操作には、ある程度の力が必要になるため、継手の受水部と送水部との間の開閉を簡単に行うことが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する給水用コンセントは、本体ボックスと、継手と、バルブユニットと、を備える。本体ボックスは、壁の裏側であって壁の開口部に対応する位置に取り付けることが可能となっている。継手は、本体ボックスの内部に支持される。継手には、水の供給を受ける受水部、及び、受水部が受けた水を壁の表側に向けて送る送水部が形成される。バルブユニットは、壁の表側からの操作に基づき、継手における受水部と送水部との間を開閉する。上記継手には、壁の開口部に対応する位置で開口するとともに受水部及び送水部に繋がるバルブ取付部が形成される。上記バルブユニットは、バルブ取付部の開口から継手における受水部と送水部との間の箇所に至るよう差し込まれることによって継手に取り付けられる。上記バルブユニットは、壁の表側からの押圧に基づき操作されるものとされる。
【0008】
上記構成によれば、継手における受水部と送水部との間の開閉は、壁の表側からのバルブユニットの押圧に基づく操作を通じて行われる。詳しくは、バルブユニットが継手における受水部と送水部との間を閉じているとき、バルブユニットを壁の表側から押圧することにより、バルブユニットが継手における受水部と送水部との間を開くよう操作される。また、バルブユニットが継手における受水部と送水部との間を開いているとき、バルブユニットを壁の表側から押圧することにより、バルブユニットが継手における受水部と送水部との間を閉じるよう操作される。このように継手の受水部と送水部との間の開閉を行う際には、バルブユニットを壁の表側から押圧するだけでよいため、そのバルブユニットの操作に大きな力が必要になることはない。従って、バルブユニットの押圧による操作を通じて、継手の受水部と送水部との間の開閉を簡単に行うことができる。また、バルブユニットを壁の表側から押圧するとき、その押圧に基づく力が給水用コンセントの継手、詳しくはバルブ取付部に作用する。このように押圧に基づく上記力を継手で受けるため、その力が繰り返し作用することに対する給水用コンセントの耐久性を向上させることができる。
【0009】
上記給水用コンセントは、壁の開口部を壁の表側から塞ぐカバーを備えるものとすることが考えられる。更に、上記送水部にはホースを接続するためのカプラーが取り付けられる。上記カバーには、壁の開口部をカバーで塞いだとき、バルブユニットを通すための第1孔とカプラーを通すための第2孔とが形成される。上記第1孔は、バルブユニットを通したとき、そのバルブユニットに対し接することが可能とされる。上記第2孔は、壁に対し傾斜するようカバーに形成された斜面に位置するものとされる。上記カプラーの外周面には、上記斜面に接するよう固定ナットがねじ込まれている。
【0010】
上記構成によれば、壁の開口部を塞ぐよう壁に対しカバーが固定される。このようにカバーを壁に固定する際、カバーの第1孔にバルブユニットが通されるとともに、カバーの第2孔にカプラーが通される。そして、カバーの第2孔を通ったカプラーの外周面には固定ナットがねじ込まれる。このようにねじ込まれた固定ナットがカバーの斜面に押し付けられると、その押し付けに基づく力のうち、壁と平行になる方向の成分がカバーに作用することにより、第1孔の内周面がバルブユニットに対し押し付けられる。更に、上記押し付けに基づく力のうち、壁と直交する方向の成分がカバーに作用することにより、カバーが壁の開口部を塞ぐよう壁に対し押し付けられる。カバーは、これらの押し付けによって壁に対し固定される。従って、カプラーの外周面に対する固定ナットのねじ込みにより、カバーを壁に対し手間をかけることなく固定することができる。
【0011】
上記給水用コンセントにおいて、バルブユニットにおけるバルブ取付部の開口から露出した箇所には、バルブユニットを壁の表側からの押圧に基づき操作する操作ボタンが取り付けられるものとすることが考えられる。更に、バルブユニットにおけるバルブ取付部の開口から露出した箇所には、バルブ取付部の開口の中心線に沿って、バルブ取付部から離れる方向に突出する爪が形成される。上記操作ボタンは、掛け止め部を備えており、壁の表側からバルブユニットにおけるバルブ取付部の開口から露出した箇所に対し接近させたとき、爪が前記掛け止め部とスナップ係合することにより、バルブユニットに取り付けられるものとされる。上記操作ボタンには、バルブユニットにおけるバルブ取付部の開口から露出した箇所に向けて突出するガイドが形成される。上記ガイドは、操作ボタンが爪の掛け止め部に対するスナップ係合によってバルブユニットに取り付けられたとき、爪における掛け止め部側と反対側に配置されるものとされる。
【0012】
上記構成によれば、操作ボタンを壁の表側から押圧するとき、その押圧に基づく力がバルブユニットの爪に作用することにより、爪が弾性変形することは、その爪における掛け止め部側と反対側に配置されたガイドによって抑制される。このため、操作ボタンの上記押圧に基づきバルブユニットの爪が弾性変形することにより、その爪がスナップ係合された掛け止め部から外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】給水用コンセント及びその周辺を示す分解斜視図である。
図2図1の給水用コンセント及びその周辺を示す断面図である。
図3図1の給水用コンセントの本体ボックスを示す斜視図である。
図4図3の本体ボックスと柱との位置関係を示す断面図である。
図5図1の給水用コンセントにおける水栓の本体ボックスに対する組み付け方を示す斜視図である。
図6図5の水栓を本体ボックスに組み付けた状態を示す斜視図である。
図7図1の給水用コンセントのカバーが壁の開口部を塞ぐよう配置された状態を示す正面図である。
図8図7のカバーから露出するカプラー、及び、そのカプラーにねじ込まれるナットを示す斜視図である。
図9図1の給水用コンセントにおけるバルブユニット、カバー、及び操作ボタンを拡大して示す分解斜視図である。
図10図9の操作ボタンを示す断面図である。
図11図10の操作ボタンをバルブユニット側から見た状態を示す斜視図である。
図12図11の操作ボタンの表面部材をベース部材側から見た状態を示す斜視図である。
図13図1の継手の他の例を示す斜視図である。
図14図1の給水用ボックスに組み込むことが可能なアジャスタを示す斜視図である。
図15図1の給水用ボックスに組み込むことが可能な調整スペーサを示す斜視図である。
図16図1の継手の他の例を示す斜視図である。
図17図1の継手の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、洗濯機等の機器に対し給水を行う給水用コンセントの一実施形態について、図1図12を参照して説明する。
図1及び図2に示す給水用コンセント11は、建物の壁12に取り付けることが可能となっている。給水用コンセント11は、壁12の裏側に配置された樹脂管13からの水の供給を受け、その水を壁12の表側に位置する洗濯機等の機器に送るためのものである。給水用コンセント11は、本体ボックス14と、水栓15と、カバー16と、操作ボタン17と、を備えている。
【0015】
本体ボックス14は、壁12の裏側であって壁12の開口部18に対応する位置に取り付けることが可能となっている。水栓15は、本体ボックス14の内部に支持されている。水栓15は、継手19と、バルブユニット20と、カプラー21と、を備えている。継手19には、壁12の裏側に配置された上記樹脂管13から水を受ける受水部22、及び、受水部22が受けた水を壁12の表側に向けて送る送水部23が形成されている。継手19には、壁12の開口部18に対応する位置で開口するとともに受水部22及び送水部23に繋がるバルブ取付部24も形成されている。
【0016】
バルブユニット20は、バルブ取付部24の開口からねじ込むことにより、バルブ取付部24から継手19における受水部22と送水部23との間の箇所に至るよう、継手19に差し込まれている。これにより、バルブユニット20は、継手19に取り付けられている。バルブユニット20は、壁12の表側からの押圧に基づき操作されることにより、継手19における受水部22と送水部23との間を開閉する。従って、水栓15は、バルブユニット20の上記操作を通じて、継手19における受水部22と送水部23との間を繋いだり遮断したりするよう開閉動作する。
【0017】
継手19の送水部23にはカプラー21がねじ込まれている。これにより、カプラー21が送水部23に取り付けられている。カプラー21は、壁12の表側に位置する洗濯機等の機器に繋がるホースを接続するためのものである。壁12の表側における開口部18に対応する位置には金属板55及びカバー16が配置されている。金属板55は、耐火用のものであって、壁12における開口部18とカバー16との間に位置している。金属板55には、バルブユニット20及びカプラー21が通されている。カバー16は、壁12の開口部18を塞ぐためのものである。カバー16には、壁12の開口部18をカバー16で塞いだとき、バルブユニット20を通すための第1孔25とカプラー21を通すための第2孔26とが形成されている。
【0018】
カバー16の第1孔25には操作ボタン17が配置されている。操作ボタン17は、水栓15のバルブユニット20、より詳しくはバルブユニット20のバルブ取付部24から露出した箇所に取り付けられている。操作ボタン17は、バルブユニット20を壁12の表側からの押圧に基づき操作するためのものである。そして、操作ボタン17の上記押圧を通じてバルブユニット20を操作すると、継手19における受水部22と送水部23との間が繋がったり遮断したりするよう水栓15が開閉動作する。
【0019】
操作ボタン17の上記押圧に基づく水栓15の開閉動作、すなわち受水部22と送水部23との間の開閉は、例えば洗濯機等の上記機器の設置や交換の際に行われる。詳しくは、水栓15(バルブユニット20)が受水部22と送水部23との間を繋いでいるときに操作ボタン17を押圧すると、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を閉じるよう動作する。この状態で、送水部23に取り付けられたカプラー21に対し上記機器をホースで繋いだり、カプラー21からホースで繋がる上記機器を外したりする。その後、上記機器をホースでカプラー21に繋いだ状態で、操作ボタン17を押圧すると、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を開くよう動作する。これにより、カプラー21から上記機器に水を送ることが可能になる。
【0020】
次に、給水用コンセント11を形成する各部品について、個別に詳しく説明する。
<本体ボックス14>
本体ボックス14は、壁12の開口部18と同じ方向に向けて図3に示すように開口する直方体状に形成されている。本体ボックス14の内部下面には、孔28及び漏水案内溝29が形成されている。孔28は、建物の床から上方に延びる上記樹脂管13を通すためのものである。漏水案内溝29は、本体ボックス14内で漏水が生じたとき、その漏水を孔28の周辺から本体ボックス14の開口に向けて導くためのものである。
【0021】
本体ボックス14の開口は四角形状になっている。本体ボックス14の開口の外側面には突起27が形成されている。突起27は、本体ボックス14の開口の長辺に対応する位置、及び、上記開口の上側の短辺に対応する位置に、それぞれ形成されている。図4に示すように、突起27における本体ボックス14の開口方向についての厚さは、突起27の突出方向の先端に向かうほど小さくなっている。
【0022】
図3に示すように、本体ボックス14は、壁12の開口部18の近くに位置する柱30に対しビス31によって固定される。詳しくは、図4に示すように、本体ボックス14の突起27を柱30における壁12側の面、すなわち図4の下面に当てるとともに、本体ボックス14の側面を柱30における壁12側の面と交差する面に当てることにより、本体ボックス14を位置決めする。
【0023】
このように本体ボックス14を柱30に対し位置決めした状態で、本体ボックス14を図3に示すように柱30に対しビス31によって固定する。ビス31で本体ボックス14を柱30に固定する際には、本体ボックス14が上述したように柱30に対し位置決めされているため、柱30に対する本体ボックス14の固定位置がずれることは抑制される。こうした柱30に対する本体ボックス14の固定により、本体ボックス14が壁12の裏側であって開口部18に対応する位置に取り付けられる。
【0024】
<継手19>
図2に示すように、水栓15における継手19のバルブ取付部24は、壁12に対し交差する方向、例えば水平方向に延びている。継手19の受水部22は、上下方向に延びることにより、上端部でバルブ取付部24と繋がっている。継手19の送水部23は、バルブ取付部24における受水部22の上端との接続箇所寄りの位置で、バルブ取付部24と繋がっている。送水部23は、上記位置から壁12の表側に向かうほど、すなわち図2の左側に向かうほど下方に位置するよう傾斜して延びている。
【0025】
図1に示すように、受水部22の外面には、継手19を本体ボックス14の内部に固定するためのブラケット33が形成されている。受水部22の構造としては、樹脂管13を受水部22に差し込むことにより、樹脂管13と受水部22とを接続することが可能な構造、例えば図2に示すロックリング32等を備えたワンタッチ式の接続構造を採用することが考えられる。樹脂管13は、本体ボックス14の孔28を通すとともに板状の水受け34を通した後、図5に示すように水栓15における継手19の受水部22に接続される。
【0026】
継手19は、図1に示すように、ブラケット33をボルト35及びナット36で本体ボックス14における開口と反対側の箇所に取り付けられる。これにより、水栓15が本体ボックス14の内部に固定される。このとき、水受け34は、本体ボックス14の内部で、孔28の上に被せられる。図6に示すように、水栓15が本体ボックス14の内部に固定されたときには、継手19のバルブ取付部24にねじ込まれたバルブユニット20、及び、継手19の送水部23にねじ込まれたカプラー21が、壁12の開口部18から露出する。
【0027】
<カプラー21>
図2に示すように、カプラー21は、逆止弁37と遮断機構38とを備えている。逆止弁37は、送水部23から洗濯機等の機器に向けた水の流れを許容するとともに、それとは逆方向の水の流れを禁止するよう動作する。遮断機構38は、送水部23から洗濯機等の機器に向けた水の流れにおける逆止弁37よりも下流に位置している。遮断機構38は、上記機器に繋がるホースをカプラー21に差し込んで接続したとき、カプラー21からホースへの水の流れを許容する。また、遮断機構38は、上記ホースをカプラー21から抜いて切り離したとき、カプラー21から外部への水の流れを遮断する。遮断機構38は、カプラー21内の水を排出する機能も有している。こうした機能は、バルブユニット20によって受水部22と送水部23との間を遮断した状態のもとで用いられる。
【0028】
<バルブユニット20>
図2に示すように、バルブユニット20の端部、詳しくは継手19のバルブ取付部24から離れる方向の端部には、バルブユニット20を開閉動作させるための手動部材39が配置されている。こうした手動部材39を備えるバルブユニット20の構造としては、例えば特許第6743163号公報に示される構造を採用することが考えられる。
【0029】
バルブユニット20の上記手動部材39には、操作ボタン17が取り付けられている。手動部材39は、バルブユニット20の中心線の延びる方向に沿って、図2の左側から右側に向けた操作ボタン17を介しての押圧を通じて操作される。手動部材39は、一回の上記押圧毎に、バルブユニット20にある程度没入した第1位置と、その第1位置よりもバルブユニット20から突出した第2位置との間で、位置の切り換えが行われる。バルブユニット20は、そうした手動部材39の押圧を通じた操作に基づき、継手19における受水部22と送水部23との間を開閉する。
【0030】
バルブユニット20の内部には流入部57と流出部58とが形成されている。流入部57は、継手19の受水部22と繋がっている。流出部58は、継手19の送水部23と繋がっている。バルブユニット20の内部には、流入部57と流出部58との間を開閉するための弁体59が設けられている。弁体59は、手動部材39の位置が上記第1位置と上記第2位置との間で切り換えられるときの手動部材39の移動方向と同じ方向に移動することが可能となっている。手動部材39は、第1位置に切り換えられたときには、弁体59を弁座60に押圧する。弁体59が弁座60に押圧されているときには、流入部57と流出部58とが弁体59及び弁座60によって遮断される。このときには、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を閉じた状態となる。
【0031】
手動部材39は、第2位置に切り換えられたときには、弁座60に対する弁体59の押圧を解除する。弁座60に対する弁体59の押圧が解除されているときには、流入部57内の圧力に基づき弁体59が弁座60から離れることが可能になる。そして、弁体59が弁座60から離れることにより、流入部57と流出部58とが連通する。このときには、バルブユニット20は受水部22と送水部23との間を繋ぐよう開き動作した後、その間を開いた状態にする。この状態で、上記押圧に基づき手動部材39が第1位置に移動すると、弁体59が弁座60に押圧されることにより、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を遮断するよう閉じ動作する。
【0032】
<カバー16>
図7に示すカバー16は、図6に示す壁12の開口部18を塞ぐように壁12の表側に配置される。このとき、カバー16の第1孔25には水栓15のバルブユニット20が通されるとともに、カバー16の第2孔26には水栓15のカプラー21が通される。第1孔25は、バルブユニット20を通したとき、そのバルブユニット20に対し接することが可能となっている。このように第1孔25がバルブユニット20に接することにより、カバー16がバルブユニット20に対し位置決めされる。第2孔26は、壁12に対し傾斜するようカバー16に形成された斜面41に位置している。
【0033】
第2孔26に通されたカプラー21の外周面には、図8に示すように固定ナット42がねじ込まれた後、図2に示すように鍔56が取り付けられる。固定ナット42をねじ込むことにより、固定ナット42がカバー16の斜面41に押し付けられると、その押し付けに基づく力のうち、壁12と平行になる方向の成分がカバー16に作用する。これにより、第1孔25(図7)の内周面がバルブユニット20に対し押し付けられる。更に、上記押し付けに基づく力のうち、壁12と直交する方向の成分がカバー16に作用することにより、カバー16が壁12に対し押し付けられる。カバー16は、これらの押し付けによって壁12に対し固定される。
【0034】
<操作ボタン17>
図9及び図10に示すように、手動部材39の端部には、操作ボタン17を取り付けるための複数の爪40が形成されている。爪40は、手動部材39の端部において、バルブ取付部24(図2)の開口の中心線に沿って、バルブ取付部24から離れる方向に突出している。手動部材39の端部には、爪40と同じ方向に突出する四角ブロック45が形成されている。四角ブロック45の横断面は正方形状となっている。爪40は、四角ブロック45における突出方向に対する四つの側面とそれぞれ対向するよう複数形成されている。操作ボタン17は、ベース部材43と、表面部材44と、を備えている。
【0035】
図11は、図10の操作ボタン17をバルブユニット20側から見た状態を示している。図11から分かるように、操作ボタン17のベース部材43には、表面部材44を取り付けるための複数の取付孔50が形成されている。また、ベース部材43には、四つのコーナー突部46も形成されている。コーナー突部46は、ベース部材43における手動部材39と対向する面であって、手動部材39における四角ブロック45の横断面の四隅に対応する位置にそれぞれ形成されている。四つのコーナー突部46は、操作ボタン17が手動部材39に取り付けられたとき、四角ブロック45の上記四隅と接することにより、手動部材39に対し位置決めされる。
【0036】
ベース部材43における隣合うコーナー突部46の間にはそれぞれ貫通孔47が形成されている。ベース部材43における手動部材39と対向する面には、貫通孔47に隣接するように掛け止め部48が形成されている。掛け止め部48は、貫通孔47よりもベース部材43の中心から離れるよう位置している。ベース部材43を手動部材39の端部に対し接近させると、図10に示すように手動部材39の爪40が掛け止め部48とスナップ係合することにより、操作ボタン17のベース部材43がバルブユニット20の手動部材39に取り付けられる。より詳しくは、手動部材39の爪40が掛け止め部48の山49を乗り越えて山49に接触することにより、操作ボタン17のベース部材43が、爪40に対し引き抜けないように手動部材39に取り付けられる。
【0037】
図12は、図10及び図11の表面部材44をベース部材43側から見た状態を示している。図12から分かるように、操作ボタン17の表面部材44には、表面部材44をベース部材43に取り付けるための爪51が形成されている。爪51は、表面部材44からベース部材43に向けて突出している。爪51は、ベース部材43の取付孔50に対応して位置している。また、表面部材44には、表面部材44からベース部材43に向けて突出する複数のガイド52も形成されている。ガイド52は、ベース部材43の貫通孔47に対応して位置している。
【0038】
表面部材44をベース部材43に接近させると、図11に示すように表面部材44の爪51がベース部材43の取付孔50に差し込まれるとともに、表面部材44のガイド52がベース部材43の貫通孔47に差し込まれる。表面部材44の爪51は、ベース部材43の取付孔50に差し込まれることにより、その取付孔50から抜けないようにされる。これにより、表面部材44がベース部材43に取り付けられる。また、表面部材44のガイド52は、ベース部材43の貫通孔47に差し込まれると、掛け止め部48との間に所定の距離を保ちつつ、隣合うコーナー突部46の間に位置する。
【0039】
これらベース部材43及び表面部材44を備える操作ボタン17を手動部材39の端部に対し接近させると、図10に示すように操作ボタン17のベース部材43が、手動部材39の爪40に対し引き抜けないように手動部材39に取り付けられる。このとき、表面部材44のガイド52は、手動部材39の先端に向けて突出している。操作ボタン17が手動部材39の先端に取り付けられたときのガイド52は、ベース部材43の掛け止め部48との間に爪40を受け入れることにより、爪40における掛け止め部48側と反対側に配置される。
【0040】
操作ボタン17におけるベース部材43は、図2に示すカバー16とは異なる色とされている。図2は、バルブユニット20の手動部材39が第2位置にある状態を示している。この状態では、ベース部材43がカバー16から露出する。その結果、ベース部材43の色が壁12の表側から見えやすくなる。これにより、水栓15が受水部22から送水部23に水を送ることが可能な状態であることが分かるようになる。また、バルブユニット20の手動部材39が第1位置に移動すると、ベース部材43がカバー16に埋没する。この場合、ベース部材43の色が壁12の表側からは見えなくなる。これにより、水栓15が受水部22と送水部23との間を遮断した状態であることが分かるようになる。
【0041】
次に、本実施形態の給水用コンセント11の作用効果について説明する。
(1)水栓15の継手19における受水部22と送水部23との間の開閉は、壁12の表側からの操作ボタン17の押圧に基づく操作を通じて行われる。
【0042】
すなわち、水栓15のバルブユニット20が継手19における受水部22と送水部23との間を閉じているとき、壁12の表側から操作ボタン17を押圧すると、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を開くよう操作される。言い換えれば、水栓15が受水部22と送水部23とを遮断しているときに壁12の表側から操作ボタン17を押圧すると、水栓15が受水部22と送水部23との間を繋ぐよう開き動作する。
【0043】
また、水栓15のバルブユニット20が継手19における受水部22と送水部23との間を開いているとき、壁12の表側から操作ボタン17を押圧すると、バルブユニット20が受水部22と送水部23との間を閉じるよう操作される。言い換えれば、水栓15が受水部22と送水部23とを繋いでいるときに壁12の表側から操作ボタン17を押圧すると、水栓15が受水部22と送水部23との間を遮断するよう閉じ動作する。
【0044】
このように水栓15における継手19の受水部22と送水部23との間の開閉を行う際には、壁12の表側からの操作ボタン17の押圧に基づきバルブユニット20を操作するだけでよいため、そのバルブユニット20の操作に大きな力が必要になることはない。従って、壁12の表側からの操作ボタン17の押圧によるバルブユニット20の操作を通じて、水栓15の開閉動作、すなわち継手19の受水部22と送水部23との間の開閉を簡単に行うことができる。
【0045】
(2)壁12の表側からの操作ボタン17の押圧に基づきバルブユニット20を操作するとき、操作ボタン17の押圧に基づく力がバルブユニット20を介して継手19のバルブ取付部24に作用する。このように操作ボタン17の押圧に基づく上記力を継手19で受けることにより、その力が繰り返し作用することに対する給水用コンセント11の耐久性を向上させることができる。
【0046】
(3)壁12の開口部18を塞ぐよう壁12に対しカバー16を固定する際、カバー16の第1孔25にバルブユニット20が通されるとともに、カバー16の第2孔26にカプラー21が通される。カバー16の第1孔25にバルブユニット20が通されたとき、第1孔25がバルブユニット20に接する。これにより、カバー16がバルブユニット20に対し位置決めされる。この状態のもと、カプラー21の外周面に固定ナット42をねじ込むことによって、固定ナット42がカバー16の斜面41に押し付けられる。この押し付けに基づく力の作用により、カバー16が壁12に対し固定される。従って、カプラー21の外周面に対する固定ナット42のねじ込みにより、カバー16を壁12に対し手間をかけることなく固定することができる。
【0047】
(4)操作ボタン17をバルブユニット20における手動部材39の端部に対し接近させると、手動部材39の爪40が操作ボタン17(ベース部材43)の掛け止め部48とスナップ係合する。これにより、操作ボタン17が、爪40に対し引き抜けないように手動部材39に取り付けられる。操作ボタン17を手動部材39の端部に取り付けたとき、操作ボタン17における表面部材44のガイド52がベース部材43の掛け止め部48との間に爪40を受け入れる。これにより、ガイド52が爪40における掛け止め部48側と反対側に配置される。壁12の表側から操作ボタン17を押圧するとき、その押圧に基づく力が手動部材39の爪40に作用することにより、爪40が弾性変形することは、その爪40における掛け止め部48側と反対側に配置された上記ガイド52によって抑制される。このため、操作ボタン17の上記押圧に基づき手動部材39の爪40が弾性変形することにより、その爪40がスナップ係合された掛け止め部48から外れることを抑制できる。
【0048】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図13に示すように、継手19は、上記実施形態のものよりも、受水部22の中心線からバルブ取付部24の開口までの距離X1を長くしたものであってもよい。こうした継手19については、壁12が上記実施形態よりも厚いものであるときに採用することが考えられる。
【0049】
・壁12の厚さに応じて、図14に示すアジャスタ53を用いたり、図15に示す調整スペーサ54を用いたりしてもよい。上記アジャスタ53は、壁12が上記実施形態よりも厚いとき、図1に示す本体ボックス14の開口に配置することにより、本体ボックス14の開口を上記壁12の開口部18まで延ばすためのものである。上記調整スペーサ54は、図1に示す水栓15のブラケット33と本体ボックス14との間に配置することにより、調整スペーサ54の厚さの分、水栓15の位置を壁12の開口部18寄りの位置にずらすためのものである。
【0050】
図16及び図17に示すように、継手19は、上下方向に延びる受水部22の下端部をバルブ取付部24に繋げたものであってもよい。これらの継手19を用いる場合、継手19の受水部22には建物の天井から下方に延びる樹脂管13が接続される。図17に示す継手19は、図16に示す継手19よりも、受水部22の中心線からバルブ取付部24の開口までの距離X2を長くしたものであり、壁12が厚いものであるときに採用することが考えられる。
【0051】
図16及び図17に示す継手19を採用する場合に、図14に示すアジャスタ53を用いたり、図15に示す調整スペーサ54を用いたりしてもよい。
・掛け止め部48に対する爪40のスナップ係合は、必ずしも山49と爪40との接触によって実現するものである必要はない。例えば、上記スナップ係合は、孔に対し爪40を入り込ませることにより、その孔に隣接する壁面と爪40とを接触させて実現するものであってもよい。
【0052】
・金属板55を省略してもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術思想について記載する。
本体ボックスと、水栓と、カバーと、操作部材と、を備え、
前記本体ボックスは、壁の裏側であって前記壁の開口部に対応する位置に取り付けることが可能であり、
前記水栓は、前記本体ボックスの内部に支持され、
前記水栓には、前記壁の裏側から水を受ける受水部、及び、前記受水部が受けた水を前記壁の表側に向けて送る送水部が形成され、
前記水栓は、前記受水部と前記送水部との間を繋いだり遮断したりするよう開閉動作するものであり、
前記カバーは、前記壁の開口部を前記壁の表側から塞ぐように配置され、
前記操作部材は、前記カバーに設けられ、前記壁の表側から操作されることにより、前記水栓を開閉動作させる給水用コンセントにおいて、
前記操作部材は、前記壁の表側からの押圧に基づき操作される操作ボタンである給水用コンセント。
【0053】
上記構成によれば、水栓における受水部と送水部との間の開閉は、壁の表側からの操作ボタンの押圧に基づく操作を通じて行われる。詳しくは、水栓が受水部と送水部との間を遮断しているときに操作ボタンを押圧すると、水栓が受水部と送水部との間を繋ぐよう開動作する。また、水栓が受水部と送水部との間を繋いでいるときに操作ボタンを押圧すると、水栓が受水部と送水部との間を遮断するよう閉動作する。このように水栓を開閉動作させる際には、操作ボタンを押圧するだけでよい。従って、操作ボタンの押圧を通じて、水栓を簡単に開閉動作させることができる。
【符号の説明】
【0054】
11…給水用コンセント、12…壁、13…樹脂管、14…本体ボックス、15…水栓、16…カバー、17…操作ボタン、18…開口部、19…継手、20…バルブユニット、21…カプラー、22…受水部、23…送水部、24…バルブ取付部、25…第1孔、26…第2孔、27…突起、28…孔、29…漏水案内溝、30…柱、31…ビス、32…ロックリング、33…ブラケット、34…水受け、35…ボルト、36…ナット、37…逆止弁、38…遮断機構、39…手動部材、40…爪、41…斜面、42…固定ナット、43…ベース部材、44…表面部材、45…四角ブロック、46…コーナー突部、47…貫通孔、48…掛け止め部、49…山、50…取付孔、51…爪、52…ガイド、53…アジャスタ、54…調整スペーサ、55…金属板、56…鍔、57…流入部、58…流出部、59…弁体、60…弁座。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17