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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168683
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】車両用スライドドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20241128BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20241128BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20241128BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20241128BHJP
【FI】
E05F15/643
B60J5/06 A
B60J5/04 C
E05F15/655
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085559
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 和郎
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA03
2E052DB03
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA16
(57)【要約】
【課題】車体に対する組み付け性の向上を図る。
【解決手段】スライドドア装置10は、車両のスライドドアを開閉駆動する駆動ベルト25と、この駆動ベルト25が巻き掛けられた第1及び第2のプーリと、を備える。また、スライドドア装置10は、これらの第1及び第2のプーリを互いに離間した位置に支持するとともに、その第1及び第2のプーリの支持位置間に延在する駆動ベルト25の案内路を有したガイドフレーム12を備える。更に、ガイドフレーム12は、第1のプーリを支持する第1のフレーム部材41と、第2のプーリを支持する第2のフレーム部材42と、を備える。そして、ガイドフレーム12は、第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42との間に設けられて、これら第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動可能に連結する回動連結部50を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のスライドドアを開閉駆動する駆動ベルトと、
前記駆動ベルトが巻き掛けられた第1及び第2のプーリと、
前記第1及び第2のプーリを互いに離間した位置に支持するとともに前記第1及び第2のプーリの支持位置間に延在する前記駆動ベルトの案内路を有したガイドフレームと、
を備え、
前記ガイドフレームは、
前記第1のプーリを支持する第1のフレーム部材と、
前記第2のプーリを支持する第2のフレーム部材と、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間に設けられて前記第1及び第2のフレーム部材を相対回動可能に連結する回動連結部と、を備える
車両用スライドドア装置。
【請求項2】
前記案内路の途中において前記駆動ベルトが巻き掛けられる中間プーリを備えるとともに、
前記回動連結部は、前記中間プーリの支軸を前記第1及び第2のフレーム部材の連結軸とする請求項1に記載の車両用スライドドア装置。
【請求項3】
前記ガイドフレームは、
前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づいて、
前記案内路の途中に湾曲して延びるコーナー部を有する状態で前記第1及び第2のフレーム部材が配置された第1の連結状態と、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材とのなす角が前記第1の連結状態よりも大きい第2の連結状態と、を備えるとともに、
前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動を規制することにより前記第2の連結状態に保持する連結状態保持機構を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両用スライドドア装置。
【請求項4】
前記ガイドフレームは、
前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づいて、
前記案内路の途中に湾曲して延びるコーナー部を有する状態で前記第1及び第2のフレーム部材が配置された第1の連結状態と、
前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材とのなす角が前記第1の連結状態よりも大きい第2の連結状態と、を備えるとともに、
前記第2の連結状態にある場合に前記駆動ベルトを押圧することにより該駆動ベルトに張力を付与する張力付与部材を備える
請求項1又は請求項2に記載の車両用スライドドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スライドドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動ベルトを用いて車両のスライドドアを開閉動作させる車両用スライドドア装置がある。例えば、特許文献1に記載のスライドドア装置は、環状の駆動ベルトと、この駆動ベルトが巻き掛けられる第1及び第2のプーリと、を備えている。更に、このスライドドア装置は、第1及び第2のプーリを支持するとともに、これら第1及び第2のプーリの支持位置間に延在する駆動ベルトの案内路を有したガイドフレームを備えている。そして、このガイドフレームに案内された状態で、その第1及び第2のプーリに巻き掛けられた駆動ベルトを回転駆動する構成になっている。
【0003】
尚、上記従来例のスライドドア装置は、長手方向に二分割されたガイドフレームを備えている。更に、このガイドフレームは、車両に対する組み付け時、その二分割された第1及び第2のガイド部材が、車体に対する取付座を介して連結される。そして、これにより、その車体に対する組み付け性の向上を図る構成となっている。
【0004】
また、通常、このようなガイドフレームは、そのスライドドアの開閉動作を案内するガイドレールとともに、車体の側面に設けられた溝状の収容凹部内に配置される。そして、例えば、カバー部材等を用いた所謂「目隠し構造」によって、その収容凹部内に配置されたガイドフレームの外側を覆う構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-100081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなガイドフレームの多くは、スライドドアの開閉動作時、このスライドドアが車体に干渉しないように、車幅方向に湾曲したコーナー部を有している。このため、上記のような「目隠し構造」を考慮した場合、その組み付け手順に制約が生ずる。つまりは、車幅方向外側が「目隠し構造」により覆われた状態の収容凹部に対し、車両前方側又は後方側の開口部からガイドフレームを組み付けようとしても、そのコーナー部が、車体や目隠し構造に干渉しやすいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用スライドドア装置は、車両のスライドドアを開閉駆動する駆動ベルトと、前記駆動ベルトが巻き掛けられた第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリを互いに離間した位置に支持するとともに前記第1及び第2のプーリの支持位置間に延在する前記駆動ベルトの案内路を有したガイドフレームと、を備え、前記ガイドフレームは、前記第1のプーリを支持する第1のフレーム部材と、前記第2のプーリを支持する第2のフレーム部材と、前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間に設けられて前記第1及び第2のフレーム部材を相対回動可能に連結する回動連結部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、第1のフレーム部材と第2のフレーム部材とのなす角を広げた状態でガイドフレームを車体に組み付けた後、その第1のフレーム部材と第2のフレーム部材とのなす角を狭くする。つまりは、車幅方向の最大幅を狭めた状態で車体に対するガイドフレームの組み付けを行った後、その車幅方向の最大幅を広げることにより、このガイドフレームが、より大きく湾曲した状態で、その車体に対して固定することができる。このため、例えば、既にカバー部材等の「目隠し構造」に覆われた状態の収容凹部にガイドフレームを組み付ける場合においても、このガイドフレームが干渉し難い。そして、これにより、車体に対する組み付け性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車体に対する組み付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、スライドドア装置が設けられた車両の側面図である。
図2図2は、スライドドア装置の斜視図である。
図3図3は、スライドドア装置の分解斜視図である。
図4図4は、スライドドア装置の平面図である。
図5図5は、ガイドフレームの側面図である。
図6図6は、第1の連結状態にあるガイドフレームの斜視図である。
図7図7は、第1の連結状態にあるガイドフレームの平面図である。
図8図8は、第2の連結状態にあるガイドフレームの斜視図である。
図9図9は、第2の連結状態にあるガイドフレームの平面図である。
図10図10は、回動連結部近傍の斜視図である。
図11図11は、組付時の干渉可能性を示す説明図である。
図12図12は、回動連結部近傍の平面図である。
図13図13は、回動連結部近傍の断面図である。
図14図14は、回動連結部近傍の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両用スライドドア装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両1は、車体2の側面2sに設けられたドア開口部3を開閉するスライドドア4を備えている。具体的には、この車両1には、その前後方向(図1中、左右方向)に延びる複数のガイドレール5a~5cと、これらの各ガイドレール5に連結される複数のガイドローラユニット6a~6cと、が設けられている。即ち、本実施形態のスライドドア4は、これらの各ガイドレール5及び各ガイドローラユニット6を介して車体2の側面2sに支持される。また、これらの各ガイドレール5及び各ガイドローラユニット6は、各ガイドレール5の延伸方向に沿って、その各ガイドレール5に対する各ガイドローラユニット6の係合位置を移動させることが可能となっている。そして、本実施形態のスライドドア4は、これにより、その車体2の側面2sに沿う状態で車両前後方向に移動する構成になっている。
【0012】
即ち、本実施形態のスライドドア4は、車両前方側(図1中、左側)に移動することにより、そのドア開口部3を閉塞する全閉状態となり、車両後方側(同図中、右側)に移動することにより、そのドア開口部3を介して車両1の乗員が乗降可能な全開状態となる。そして、本実施形態の車両1には、モータ7mを駆動源とするアクチュエータ7の発生する駆動力に基づいて、そのスライドドア4を開閉動作させるスライドドア装置10が設けられている。
【0013】
(ガイドフレーム)
詳述すると、図1及び図2に示すように、本実施形態のスライドドア装置10は、ドア開口部3の後方、ベルトライン付近の高さに設けられたガイドレール5b、つまりはセンターレール11に並行する状態で設けられたガイドフレーム12を備えている。具体的には、本実施形態の車両1においては、車体2の側面2sに、その車両前後方向に延在する溝状の収容凹部20が設けられている。更に、本実施形態のガイドフレーム12は、センターレール11とともに、この収容凹部20内に配置される。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、これらのセンターレール11及びガイドフレーム12が、そのスライドドア4の開閉動作方向に延在する構成となっている。
【0014】
また、図2図4に示すように、本実施形態のスライドドア装置10は、このガイドフレーム12の長手方向両端に設けられた第1及び第2のプーリ21,22を備えている。更に、このスライドドア装置10は、スライドドア4に対する連結部24を有して第1及び第2のプーリ21,22に巻き掛けられた環状の駆動ベルト25を備えている。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、ガイドフレーム12の後端部12r近傍に設けられたアクチュエータ7によって、この駆動ベルト25を回転駆動する構成になっている。
【0015】
即ち、本実施形態のスライドドア装置10においては、アクチュエータ7の駆動力に基づき第1及び第2のプーリ21,22に巻き掛けられた駆動ベルト25が回転することで、この駆動ベルト25に設けられた連結部24が車両前後方向に移動する。更に、本実施形態のスライドドア装置10において、この連結部24は、センターレール11に係合するガイドローラユニット6bに対して固定されている。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、これらの連結部24及びガイドローラユニット6bを介して駆動ベルト25に連結されたスライドドア4が車両前後方向に移動、つまりは開閉動作する構成となっている。
【0016】
さらに詳述すると、図3図5に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、車幅方向外側に臨む側壁部12sを備えたレール状の外形を有している。また、このガイドフレーム12は、上記のように、その長手方向両端に設けられた第1及び第2のプーリ21,22に対して駆動ベルト25が巻き掛けられることにより、この駆動ベルト25の環形状内に配置される。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、その側壁部12sが駆動ベルト25の内周に対向する状態で、この駆動ベルト25を案内する構成となっている。
【0017】
即ち、本実施形態のスライドドア装置10において、このガイドフレーム12は、第1及び第2のプーリ21,22を互いに離間した位置に支持する。そして、本実施形態のガイドフレーム12においては、その車幅方向外側に臨む側壁部12sが、これら第1及び第2のプーリ21,22の支持位置X1,X2間に延在する駆動ベルト25の案内路26を形成する構成になっている。
【0018】
また、本実施形態の駆動ベルト25は、その内周に歯部を有した歯付きベルトとしての構成を有している。更に、本実施形態のガイドフレーム12は、その後端部12r近傍に、この駆動ベルト25の歯部に噛合する歯付きプーリ27を支持する。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、この歯付きプーリ27を介して、そのアクチュエータ7の駆動力が駆動ベルト25に伝達される構成となっている。
【0019】
本実施形態のガイドフレーム12において、上記歯付きプーリ27は、ガイドフレーム12の長手方向に対して交差する方向に延在する回転軸を有している。具体的には、この歯付きプーリ27は、その回転軸を車幅方向に向けた状態でガイドフレーム12に支承されている。更に、本実施形態のガイドフレーム12には、このガイドフレーム12の長手方向において、その歯付きプーリ27の両側を挟み込む一対の押さえプーリ28,28が設けられている。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これらの各押さえプーリ28,28及び歯付きプーリ27に対して交互に駆動ベルト25が巻き掛けられることにより、その捩れた状態の駆動ベルト25を安定的に回転駆動することが可能になっている。
【0020】
(コーナー部)
また、図2及び図3に示すように、本実施形態の車両1において、センターレール11は、前端部11f近傍に、湾曲したコーナー部31を有している。即ち、このコーナー部31は、車両前方側に向かって、そのセンターレール11の延伸方向を車幅方向内側に湾曲させる。更に、他の各ガイドレール5もまた、それぞれ、このコーナー部31と同様、車両前方側に向かって、その延伸方向を車幅方向内側に湾曲させるコーナー部を有している(図示略)。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、これらの各ガイドレール5及びガイドローラユニット6を介して車体2の側面2sに支持されたスライドドア4が車体2に干渉することなく開閉動作することのできる構成になっている。
【0021】
より詳しくは、本実施形態の車両1において、センターレール11は、その前端部11fをドア開口部3の後縁部3rに配置するとともに、その後方に位置する車体2の側面2sとの境界位置にコーナー部31を配置する状態で車体2に固定される(図1参照)。そして、本実施形態の車両1は、これにより、その全閉状態のスライドドア4が車体2の側面2sと面一に配置される構成となっている。
【0022】
更に、図2図4に示すように、本実施形態のスライドドア装置10においては、ガイドフレーム12もまた、センターレール11のコーナー部31と同様、前端部12f近傍において、その案内路26の途中に湾曲して延在するコーナー部32を有している。即ち、このコーナー部32もまた、車両前方側(図4中、左側)に向かって、そのガイドフレーム12の延伸方向を車幅方向内側(同図中、上側)に湾曲させる。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、車幅方向の変位を伴いながら車両前後方向に移動するスライドドア4の開閉動作軌跡に沿う状態で、そのスライドドア4に対する連結部24を有した駆動ベルト25が回転駆動される構成になっている。
【0023】
また、図4に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、そのコーナー部32の径方向内側となる位置に設けられた中間プーリ33を有している。即ち、本実施形態の駆動ベルト25は、この案内路26の途中に設けられた中間プーリ33に巻き掛けられることにより、ガイドフレーム12の車幅方向内側となる位置においても、その湾曲したコーナー部32に沿う状態で配索される。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、コーナー部32を含むガイドフレーム12の長手方向略全域に亘り、その案内路26を構成する側壁部12sに駆動ベルト25が沿う状態で、この駆動ベルト25が回転駆動される構成となっている。
【0024】
(ガイドフレームの回動連結構造)
図6図10に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第1のプーリ21を支持する第1のフレーム部材41と、第2のプーリ22を支持する第2のフレーム部材42と、が相対回動可能に連結された構成を有している。
【0025】
詳述すると、第1のフレーム部材41は、略直線状に延びる長尺レールの形状をなしている。尚、本実施形態のスライドドア装置10において、この第1のフレーム部材41は、樹脂を用いて構成されている。また、第1のフレーム部材41は、その長手方向の第1端部41aに第1のプーリ21を支持する。更に、第1のフレーム部材41は、この第1のプーリ21の支持位置X1となる第1端部41aの近傍に、そのアクチュエータ7の固定部45を有している。そして、第1のフレーム部材41は、これにより、このアクチュエータ7の固定部45に、その駆動ベルト25の押さえプーリ28,28及び歯付きプーリ27を支持する構成となっている。
【0026】
また、第2のフレーム部材42は、第1のフレーム部材41より短い長尺のレール形状を有している。尚、この第2のフレーム部材42もまた、樹脂を用いて構成されている。更に、第2のフレーム部材42は、その長手方向の第2端部42bに第2のプーリ22を支持する。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、この第2のフレーム部材42における長手方向の第1端部42aと、第1のフレーム部材41における長手方向の第2端部41bとが、その連結軸50x周りに回動可能に連結された構造となっている。
【0027】
換言すると、本実施形態のガイドフレーム12は、その連結軸50x周りに第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動可能に連結する回動連結部50を備えている。更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、その案内路26の途中となる位置に設けられた中間プーリ33の支軸33xが、これら第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50xとなっている。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、これら第1及び第2のフレーム部材41,42の連結状態を変更することが可能になっている。
【0028】
詳述すると、図6及び図7に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、上記のように案内路26の途中に湾曲して延びるコーナー部32を有する状態で、その第1及び第2のフレーム部材41,42が屈曲して配置された第1の連結状態α1を有している。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、この第1の連結状態α1において、同じくコーナー部31を有したセンターレール11に並行する態様で、その車体2の側面2sに設けられた収容凹部20内に配置される構成となっている。
【0029】
即ち、図2に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第1のプーリ21の支持位置X1を有した第1のフレーム部材41の第1端部41aを後端部12rとして、この第1のフレーム部材41を、その車幅方向外側に臨む収容凹部20内に配置する。また、このガイドフレーム12は、第2のプーリ22の支持位置X2を有した第2のフレーム部材42の第2端部42bを前端部12fとして、この第2のフレーム部材42を、車両前方側に臨むドア開口部3の後縁部3rに配置する。更に、このガイドフレーム12は、この状態で、そのドア開口部3の後縁部3rと、後方に位置する車体2の側面2sとの境界位置にコーナー部32を配置する。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、その後端部12rと前端部12fとの間に形成する駆動ベルト25の案内路26が、このコーナー部32において、車両後方側から前方側に向かって車幅方向内側に湾曲して延びる構成となっている。
【0030】
また、図7図9に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θが第1の連結状態α1よりも大きい第2の連結状態α2を有している(θ1<θ2)。具体的には、本実施形態のガイドフレーム12は、この第2の連結状態α2にある場合、第1及び第2のフレーム部材41,42が、その第1及び第2のプーリ21,22の支持位置X1,X2間を結ぶ方向に沿って直線的に配置される。換言すると、第2の連結状態α2においては、第1及び第2のフレーム部材41,42が、その第1及び第2のプーリ21,22の支持位置X1,X2を通る直線Lに沿って配置される。更に、本実施形態のスライドドア装置10においては、この第2の連結状態α2で、その車体2に設けられた収容凹部20に対するガイドフレーム12の組み付けが行われる。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、車体2に対する組み付け後、第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動させることで、組み付け前の第2の連結状態α2から実際の使用状態である第1の連結状態α1に変更される構成となっている。
【0031】
(組付時の干渉可能性)
図11に示すように、車体2の側面2sに設けられた収容凹部20に対し、この収容凹部20の車幅方向外側(図11中、下側)を覆うカバー部材51のような所謂「目隠し構造」が設けられている場合を想定する。この場合、ガイドフレーム12は、例えば、そのカバー部材51の前端部51fが形成する収容凹部20の前方開口部20fを介して、車両前方側から後方側(図11中、左側から右側)に向かって、その収容凹部20の延伸方向に沿って組み付けることになる。しかしながら、上記のように、通常、ガイドフレーム12は、車両前方側に向かって、その延伸方向を車幅方向内側(図11中、上側)に湾曲させるコーナー部32を有している。そして、これにより、上記のように前方開口部20fを介して収容凹部20にガイドフレーム12を組み付ける際、その収容凹部20の形成位置よりも車幅方向内側に位置するガイドフレーム12の前端部12fが車体2側に干渉しやすくなっている。
【0032】
即ち、ガイドフレーム12の前端部12fが配置されるドア開口部3の後縁部3rは、その収容凹部20の前方開口部20fが開口する車両前方側に面した後壁面53を有している。そして、ガイドフレーム12は、その車両前方側に向かって車幅方向内側に湾曲して延びるコーナー部32よりも前端部12f側の部分が、この後壁面53に沿って延在する状態で車体2に固定される(図2参照)。
【0033】
しかしながら、ドア開口部3の後縁部3rは、通常、この後壁面53に連続する態様で、その車両前方側に向かって延びる車幅方向外側に面した側壁面54を有している。更に、この側壁面54の先端部54aには、スライドドア4が全閉状態にある場合に、そのドア開口部3の後縁部3rを液密に封止するウェザストリップ55が、車幅方向外側に突出する態様で設けられている。そして、これにより、上記のような収容凹部20の前方開口部20fを介した車体2に対するガイドフレーム12の組付時、そのウェザストリップ55に対してガイドフレーム12の前端部12fが干渉する可能性が生ずる。
【0034】
このため、カバー部材51により車幅方向外側が覆われた状態の収容凹部20に対してガイドフレーム12を組み付ける場合、その車幅方向の最大幅W1は、車体2に設定された車幅方向の組付許容幅W0よりも小さい必要性がある(W1<W0)。
【0035】
即ち、ガイドフレーム12における車幅方向の最大幅W1は、そのコーナー部32よりも後端部12r側の部分、つまりは収容凹部20内に配置される直線部分における最も車幅方向外側の位置と、最も車幅方向内側に位置する前端部12fとの差幅である。また、車体2における車幅方向の組付許容幅W0は、収容凹部20の前方開口部20fを形成するカバー部材51の前端部51fと、ドア開口部3の後縁部3rにおいて、その車幅方向外側に突出するウェザストリップ55の先端55aとの差幅である。特に、スライドドア装置10においては、スライドドア4が全閉状態にある場合、そのガイドローラユニット6(図1参照)をドア開口部3の後縁部3rに収容することになる。このため、その側壁面54には、後壁面53に近い位置に、車幅方向内側に窪んだ凹部57が設けられる一方、ウェザストリップ55が設けられる先端部54aについては、車室空間を拡張する観点から、より車幅方向外側の位置に配置されることが多い。このため、車体2側については、その車幅方向の組付許容幅W0に大きな値を設定することが難しいという問題がある。
【0036】
この点を踏まえ、本実施形態のガイドフレーム12は、その後端部12rを構成する第1のフレーム部材41と、その前端部12fを構成する第2のフレーム部材42と、が相対回動可能に連結された構成を有している。即ち、本実施形態のガイドフレーム12は、これらの第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θを変更することにより、その車幅方向の最大幅W1が変化する。具体的には、案内路26の途中にコーナー部32を有した実際の使用状態である第1の連結状態α1よりも、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θを大きくすることで車幅方向の最大幅W1が小さくなる。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、カバー部材51等の「目隠し構造」により車幅方向外側が覆われた状態の収容凹部20に対しても、その前方開口部20fを介して容易に組み付けることが可能となっている。
【0037】
更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、この第2の連結状態α2にある場合、その回動連結部50周りに第1及び第2のフレーム部材41,42が直線的に配置される。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、例えば、図示しないカバー部材51の後端部が形成する収容凹部20の後方開口部を介して、車両後方側から前方側に向かって、その収容凹部20の延伸方向に沿って組み付けることも可能となっている。
【0038】
(連結状態保持機構)
また、本実施形態のガイドフレーム12には、その第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動を規制することにより、これらの第1及び第2のフレーム部材41,42を第2の連結状態α2に保持する連結状態保持機構60が設けられている。そして、本実施形態のスライドドア装置10においては、これにより、組み付け前のガイドフレーム12について、その第1及び第2のフレーム部材41,42の連結状態を安定的に保持することが可能になっている。
【0039】
詳述すると、図10及び図12に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第1のフレーム部材41に設けられた第1の係合部61と、第2のフレーム部材42に設けられた第2の係合部62と、を備えている。本実施形態のガイドフレーム12において、第1の係合部61は、第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50x近傍において、周方向に延在する円弧状の係合溝63としての構成を有している。また、第2の係合部62は、同じく第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50x近傍において、その軸方向に突出する短軸状の外形を有した係合突部64としての構成を有している。更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、これらの係合突部64と係合溝63とが係脱する。そして、本実施形態の連結状態保持機構60は、これら係合突部64及び係合溝63の係合力に基づいて、その第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動を規制する構成になっている。
【0040】
具体的には、本実施形態のガイドフレーム12において、係合溝63は、周方向の一端に、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、その溝形状内に係合突部64が進入及び離脱することのできる開口部63aを有している。また、本実施形態の係合溝63には、この係合溝63の溝幅Wを狭める状態で、その円弧状に延びる溝形状内に突出する係止凸部65が設けられている。尚、本実施形態の係止凸部65は、連結軸50xの軸方向から見て(図12中、紙面手前側から見て)、半円形の凸形状を有している。更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、第1及び第2のフレーム部材41,42が直線配置された第2の連結状態α2にある場合に、見かけ上、その係合溝63内に進入した係合突部64が係止凸部65よりも係合溝63の奥端部63b側に配置される。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、この状態で、その係止凸部65に係合突部64が係止されることにより、その係合突部64が係合溝63から脱離する方向における第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動が規制される構成となっている。
【0041】
さらに詳述すると、本実施形態のガイドフレーム12は、その連結状態が屈曲配置から直線配置に変更される方向に第1及び第2のフレーム部材41,42が相対回動することで、見かけ上、その開口部63aを介して係合溝63内に係合突部64が進入する。尚、図12においては、第2のフレーム部材42が、第1のフレーム部材41に対し、その連結軸50x周りに、同図中、反時計回り方向に回動することで、その係合溝63内に係合突部64が進入する。更に、この係合溝63内に進入した係合突部64は、係合溝63に設けられた上記係止凸部65を乗り越える態様で、その係合溝63の奥端部63b近傍に移動する。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、この状態で、その第1及び第2のフレーム部材41,42が直線的に配置された第2の連結状態α2に保持される構成となっている。
【0042】
具体的には、第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50x周りに延在する係合溝63の径方向外側部分(図12中、左側の側壁部分)は、その開口部63aの形成位置を先端67aとする係合爪67としての構成を有している。更に、係止凸部65もまた、この係合爪67から径方向内側(図12中、右側)に突出する態様で設けられている。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動させる操作力に基づき係合爪67が径方向外側に撓むことにより、その係合溝63内を移動する係合突部64が係止凸部65を越えて移動する構成となっている。
【0043】
即ち、本実施形態のガイドフレーム12において、係合溝63は、断面略円形をなす係合突部64の直径Rよりも大きな溝幅Wを有している(R<W)。更に、この係合溝63は、その係止凸部65が設けられた部分の溝幅W´が係合突部64の直径Rよりも小さくなっている(R>W´)。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、上記のように係合溝63を構成する係合爪67が撓むことにより、この係止凸部65が設けられた部分の溝幅W´を押し広げる態様で、その係合溝63内を係合突部64が移動することのできる構成となっている。
【0044】
本実施形態のスライドドア装置10においては、この連結状態保持機構60の機能を利用することにより、その組み付け前のガイドフレーム12が第2の連結状態α2に保持される。更に、車体2に対するガイドフレーム12の組み付け後、その係合突部64及び係合溝63の係合力、詳しくは係止凸部65が係合溝63内の係合突部64を係止する力に抗して、第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動させる。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、車体2に対してガイドフレーム12を組み付けた後、容易に、その連結状態を、第2の連結状態α2から第1の連結状態α1に変更することが可能となっている。
【0045】
(張力付与部材)
また、図13に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42が直線的に配置された第2の連結状態α2にある場合に、その駆動ベルト25を押圧することにより張力を付与する張力付与部材70を備えている。
【0046】
詳述すると、図14に示すように、本実施形態のガイドフレーム12において、第2のフレーム部材42は、上記第1の連結状態α1にある場合に、その第1端部42a側が、コーナー部32に配置される湾曲案内部材72としての構成を有している。即ち、この湾曲案内部材72は、第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50xを径方向内側に配置するコーナー部32において、その湾曲形状に沿った駆動ベルト25の案内路26を形成する湾曲した案内面72sを有している。更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、この第2のフレーム部材42の第1端部42aと一体に設けられた湾曲案内部材72が、その駆動ベルト2を案内する案内面72sの一方側に延伸端部72aを有する。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、この湾曲案内部材72の延伸端部72aが、その回動連結部50の連結軸50xを越えて、第1のフレーム部材41側(図14中、右側)に延出した構成となっている。
【0047】
また、図13に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、上記第2の連結状態α2にある場合に、その湾曲案内部材72の延伸端部72aが駆動ベルト25に当接する。具体的には、本実施形態の湾曲案内部材72は、その第1のフレーム部材41側に突出した延伸端部72aが、中間プーリ33近傍において、この中間プーリ33及び第1のプーリ21に架け渡された駆動ベルト25に対し、その環形状の内側から当接する。更に、本実施形態のガイドフレーム12においては、この湾曲案内部材72の延伸端部72aが駆動ベルト25を押圧することにより、その中間プーリ33に対する巻き掛けを強める態様で駆動ベルト25の環形状が変形する。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、第1の連結状態α1にある場合においても、この湾曲案内部材72によって、その駆動ベルト25に張力が付与される構成になっている。
【0048】
更に、図14に示すように、本実施形態のガイドフレーム12は、第2の連結状態α2から第1の連結状態α1に移行する際、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、その湾曲案内部材72の延伸端部72aが駆動ベルト25から脱離する。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、これにより、その第1の連結状態α1に移行したガイドフレーム12が形成する案内路26に駆動ベルト25が沿う状態で、円滑に、この駆動ベルト25を回転駆動することのできる構成となっている。
【0049】
尚、本実施形態のガイドフレーム12においては、第1のフレーム部材41の第2端部41bもまた、湾曲した案内面81sを有した湾曲案内部材81としての構成を有している。更に、第1の連結状態α1にある場合には、この第1のフレーム部材41と一体に設けられた湾曲案内部材81の案内面81sと、上記第2のフレーム部材42と一体に設けられた湾曲案内部材72の案内面72sと、が互いに連接する態様で配置される。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、第1及び第2のフレーム部材41,42に跨る態様で、そのコーナー部32の湾曲形状に沿って延びる駆動ベルト25の湾曲した案内路26が形成される構成となっている。
【0050】
(作用)
本実施形態のガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42が直線的に配置された第2の連結状態α2で、車体2に設けられた収容凹部20内に組み付けられる。更に、このガイドフレーム12は、その収容凹部20に対する組み付け後、第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動させることで、これらの第1及び第2のフレーム部材41,42が屈曲して配置された第1の連結状態α1に変更される。そして、本実施形態のガイドフレーム12は、これにより、このガイドフレーム12が形成する案内路26の途中に湾曲して延びるコーナー部32を有する状態で、その車体2に対して固定される。
【0051】
このような構成を採用することで、ガイドフレーム12を第2の連結状態α2に保持することにより、このガイドフレーム12を、車両前後方向に延在する収容凹部20に対し、車幅方向外側から組み付けるのみならず、その長手方向からも組み付け可能となる。
【0052】
例えば、車体2に設けられた収容凹部20に対して既にカバー部材51等の所謂「目隠し構造」が設けられている状態で、その車両前方側又は車両後方側の開口部から、上記第2の連結状態α2でガイドフレーム12を組み付ける。このような場合においても、第1及び第2のフレーム部材41,42が直線的に配置されていることで、実際の使用状態、つまりは、第1の連結状態α1でコーナー部32となる部分が、その「目隠し構造」及び車体2に干渉し難い。そして、本実施形態のガイドフレーム12においては、これにより、その車体2に対する組み付け性の向上が図られている。
【0053】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)スライドドア装置10は、車両1のスライドドア4を開閉駆動する駆動ベルト25と、この駆動ベルト25が巻き掛けられた第1及び第2のプーリ21,22と、を備える。また、スライドドア装置10は、これらの第1及び第2のプーリ21,22を互いに離間した位置に支持するとともに、その第1及び第2のプーリ21,22の支持位置X1,X2間に延在する駆動ベルト25の案内路26を有したガイドフレーム12を備える。更に、このガイドフレーム12は、第1のプーリ21を支持する第1のフレーム部材41と、第2のプーリ22を支持する第2のフレーム部材42と、を備える。そして、このガイドフレーム12は、第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42との間に設けられて、これら第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動可能に連結する回動連結部50を備える。
【0054】
上記構成によれば、第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θを広げた状態でガイドフレーム12を車体2に組み付けた後、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θを狭くする。つまりは、車幅方向の最大幅W1を狭めた状態で車体2に対するガイドフレーム12の組み付けを行った後、その車幅方向の最大幅W1を広げることにより、このガイドフレーム12が、より大きく湾曲した状態で、その車体2に対して固定することができる。このため、例えば、既に、カバー部材51のような「目隠し構造」に覆われた状態の収容凹部20にガイドフレーム12を組み付ける場合においても、このガイドフレーム12が干渉し難い。そして、これにより、車体2に対する組み付け性の向上を図ることができる。
【0055】
(2)スライドドア装置10は、案内路26の途中において駆動ベルト25が巻き掛けられる中間プーリ33を備える。そして、回動連結部50は、この中間プーリ33の支軸33xを第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50xとする。
【0056】
上記構成によれば、構成簡素に回動連結部50を形成することができる。更に、その回動連結部50周りに第1及び第2のフレーム部材41,42を屈曲して配置することで、適切な位置に、そのガイドフレーム12の延伸方向が湾曲したコーナー部32を形成することができる。また、車体2に対するガイドフレーム12の組付時には、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θを広げることで、コーナー部32となる部分を含め、その第1及び第2のフレーム部材41,42を直線的に配置することができる。そして、これにより、車体2に対する組み付け性の向上を図ることができる。
【0057】
(3)ガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、その案内路26の途中に湾曲して延びるコーナー部32を有する状態で第1及び第2のフレーム部材41,42が配置された第1の連結状態α1を備える。また、ガイドフレーム12は、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θが第1の連結状態α1よりも大きい第2の連結状態α2を備える。そして、ガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動を規制することにより、これらの第1及び第2のフレーム部材41,42を第2の連結状態α2に保持する連結状態保持機構60を備える。
【0058】
上記構成によれば、車体2に対してガイドフレーム12を組み付ける際、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θが広げられた第2の連結状態α2で、これらの第1及び第2のフレーム部材41,42を安定的に保持することができる。そして、これにより、より容易に、その車体2に設けられた収容凹部20に対してガイドフレーム12を組み付けることができる。加えて、第1及び第2のフレーム部材41,42を直線的に配置された状態に保持することで、その保管性及び運搬性が向上するという利点がある。
【0059】
(4)ガイドフレーム12は、第2の連結状態α2にある場合に、駆動ベルト25を押圧することにより、この駆動ベルト25に張力を付与する張力付与部材70を備える。そして、ガイドフレーム12は、第1の連結状態α1にある場合には、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、その張力付与部材70が駆動ベルト25から脱離する。
【0060】
上記構成によれば、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θが広げられた第2の連結状態α2においても、その駆動ベルト25に弛みが生じ難い。そして、これにより、より容易に、その車体2に設けられた収容凹部20に対してガイドフレーム12を組み付けることができる。更に、弛んだ駆動ベルト25が異物に接触する可能性を低減することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。また、実際の使用状態となる第1の連結状態α1においては、その張力付与部材70が駆動ベルト25に干渉しない。そして、これにより、その駆動ベルト25を円滑に駆動することができる。
【0061】
(5)連結状態保持機構60は、第1のフレーム部材41に設けられた第1の係合部61と、第2のフレーム部材42に設けられた第2の係合部62とが、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づき係脱する。
【0062】
上記構成によれば、簡素な構成にて、容易に、そのガイドフレーム12を第2の連結状態α2に保持することができるとともに、この第2の連結状態α2の保持を解除することのできる連結状態保持機構60を形成することができる。
【0063】
(6)ガイドフレーム12は、コーナー部32に配置される湾曲案内部材72を備えるとともに、この湾曲案内部材72を張力付与部材70とする。そして、この湾曲案内部材72は、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づいて、その延伸端部72aが駆動ベルト25に接離する。
【0064】
上記構成によれば、その湾曲案内部材72により、コーナー部32の湾曲形状に沿った駆動ベルト25の案内路26を形成することができる。そして、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動により生ずる延伸端部72aの変位を利用することで、簡素な構成にて、その駆動ベルト25に対する張力の付与、及び、その張力付与の解除を切り替えることができる。
【0065】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・上記実施形態では、第2の連結状態α2にある場合、ガイドフレーム12は、第1及び第2のフレーム部材41,42が、その第1及び第2のプーリ21,22の支持位置X1,X2間を結ぶ方向に沿って直線的に配置されることとした。しかし、これに限らず、第2の連結状態α2において、その第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θについては、任意に変更してもよい。ガイドフレーム12が第2の連結状態α2にある場合に、その車幅方向の最大幅W1が第1の連結状態α1にある場合よりも狭くなればよい。そして、連結状態保持機構60及び張力付与部材70が有効に機能する第1のフレーム部材41と第2のフレーム部材42とのなす角θについてもまた、任意に変更してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、回動連結部50は、案内路26の途中となる位置に設けられた中間プーリ33の支軸33xを第1及び第2のフレーム部材41,42の連結軸50xとすることとした。しかし、これに限らず、回動連結部50の構成は、任意に変更してもよい。中間プーリ33の支軸33x以外に連結軸50xを有する構成としてもよい。そして、このような中間プーリ33を有しない構成に適用してもよい。
【0068】
・上記実施形態では、第1のフレーム部材41に設けられた第1の係合部61は、回動連結部50の連結軸50xの径方向外側において、その周方向に延在する係合溝63としての構成を有する。また、第2のフレーム部材42に設けられた第2の係合部62は、短軸状の外形を有した係合突部64としての構成を有する。そして、連結状態保持機構60は、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づき、これらの係合突部64及び係合溝63が係脱することにより、そのガイドフレーム12を第2の連結状態α2に保持し、及び、その保持の解除を可能とした。
【0069】
しかし、これに限らず、連結状態保持機構60の構成は、任意に変更してもよい。例えば、第1の係合部61が係合突部64であるとともに、第2の係合部62が係合溝63であってもよい。そして、第1及び第2の係合部61,62が、共に、その第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動に基づき係脱可能に構成された突部形状を有していてもよい。
【0070】
・また、連結状態保持機構60が、上記のような第1及び第2の係合部61,62が係脱する以外の構成を有していてもよい。例えば、第1及び第2のフレーム部材41,42に対し、これら第1及び第2のフレーム部材41,42が第2の連結状態α2にある場合において、互いに連通するような一対の貫通孔を設ける。更に、これらの貫通孔に跨る状態で所謂「回り止めピン」のような軸状部材を挿通することにより、第1及び第2のフレーム部材41,42の相対回動を規制する。そして、これにより、そのガイドフレーム12を第2の連結状態α2に保持する構成であってもよい。
【0071】
・更に、連結状態保持機構60は、例えば、第1及び第2のフレーム部材41,42の一方に設けられた回動レバーが、第1及び第2のフレーム部材41,42の他方に設けられた軸部に係合することにより、これらの相対回動を規制するものであってもよい。そして、例えば、螺子止め等により、第2の連結状態α2において、その第1及び第2のフレーム部材41,42を相対回動不能に固定する構成であってもよい。
【0072】
・上記実施形態では、第2のフレーム部材42は、その第1端部42a側が、第1の連結状態α1にある場合において、そのコーナー部32に配置される湾曲案内部材72としての構成を有する。そして、第1の連結状態α1にある場合には、この湾曲案内部材72を張力付与部材70として、その延伸端部72aが駆動ベルト25を押圧することとした。
【0073】
しかし、これに限らず、張力付与部材70の構成は、任意に変更してもよい。例えば、第1のフレーム部材41に設けられた湾曲案内部材81が、その張力付与部材70として機能する構成であってもよい。また、張力付与部材70は、湾曲案内部材72,81でなくともよい。即ち、必ずしも案内路26の構成部材でなくともよい。更に、張力付与部材70は、第1及び第2のフレーム部材41,42と別体であってもよい。第1の連結状態α1において、その駆動ベルト25を押圧することにより張力を付与可能であればよい。
【0074】
・上記実施形態では、ドア開口部3の後方に延在するセンターレール11に並行して設けられたガイドフレーム12を備えることとした。しかし、これに限らず、例えば、ドア開口部3の上方に設けられたアッパレール、又はドア開口部3の下方に設けられたロアレールに並行するガイドフレーム12を備える構成に具体化してもよい。
【0075】
・上記実施形態では、ガイドフレーム12の後端部12r近傍にアクチュエータ7が設けられることとした。しかし、これに限らず、アクチュエータ7の配置は、任意に変更してもよい。そして、アクチュエータ7の構成や、駆動ベルト25の駆動方式についてもまた、任意に変更してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、車両後方側に開作動する所謂後開きのスライドドア4に具体化したが、所謂前開きの構成に適用してもよい。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0077】
(イ)態様1は、車両のスライドドアを開閉駆動する駆動ベルトと、前記駆動ベルトが巻き掛けられた第1及び第2のプーリと、前記第1及び第2のプーリを互いに離間した位置に支持するとともに前記第1及び第2のプーリの支持位置間に延在する前記駆動ベルトの案内路を有したガイドフレームと、を備え、前記ガイドフレームは、前記第1のプーリを支持する第1のフレーム部材と、前記第2のプーリを支持する第2のフレーム部材と、前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材との間に設けられて前記第1及び第2のフレーム部材を相対回動可能に連結する回動連結部と、を備える車両用スライドドア装置である。
【0078】
(ロ)態様2は、前記案内路の途中において前記駆動ベルトが巻き掛けられる中間プーリを備えるとともに、前記回動連結部は、前記中間プーリの支軸を前記第1及び第2のフレーム部材の連結軸とする態様1に記載の車両用スライドドア装置である。
【0079】
(ハ)態様3は、前記ガイドフレームは、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づいて、前記案内路の途中に湾曲して延びるコーナー部を有する状態で前記第1及び第2のフレーム部材が配置された第1の連結状態と、前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材とのなす角が前記第1の連結状態よりも大きい第2の連結状態と、を備えるとともに、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動を規制することにより前記第2の連結状態に保持する連結状態保持機構を備える態様1又は態様2に記載の車両用スライドドア装置である。
【0080】
(ニ)態様4は、前記ガイドフレームは、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づいて、前記案内路の途中に湾曲して延びるコーナー部を有する状態で前記第1及び第2のフレーム部材が配置された第1の連結状態と、前記第1のフレーム部材と前記第2のフレーム部材とのなす角が前記第1の連結状態よりも大きい第2の連結状態と、を備えるとともに、前記第2の連結状態にある場合に前記駆動ベルトを押圧することにより該駆動ベルトに張力を付与する張力付与部材を備える態様1~態様3の何れか一つに記載の車両用スライドドア装置。
【0081】
(ホ)態様5は、前記連結状態保持機構は、前記第1のフレーム部材に設けられた第1の係合部と、前記第2のフレーム部材に設けられた第2の係合部とが、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づき係脱する態様3の車両用スライドドア装置である。
【0082】
(ヘ)態様6は、前記ガイドフレームは、前記第1の連結状態にある場合には、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づいて、前記張力付与部材が前記駆動ベルトから脱離する態様4の車両用スライドドア装置である。
【0083】
(ト)態様7は、前記ガイドフレームは、前記コーナー部に配置される湾曲案内部材を備えるとともに、該湾曲案内部材を前記張力付与部材として、前記第1及び第2のフレーム部材の相対回動に基づき前記湾曲案内部材の延伸端部が前記駆動ベルトに接離する態様6の車両用スライドドア装置である。
【符号の説明】
【0084】
1…車両、4…スライドドア、10…スライドドア装置、12…ガイドフレーム、21…第1のプーリ、22…第2のプーリ、X1,X2…支持位置、25…駆動ベルト、26…案内路、32…コーナー部、41…第1のフレーム部材、42…第2のフレーム部材、50…回動連結部。
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