(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168688
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】音響デバイス
(51)【国際特許分類】
H10N 30/87 20230101AFI20241128BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20241128BHJP
H10N 30/06 20230101ALI20241128BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H10N30/87
H10N30/853
H10N30/06
H04R17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085565
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】太田 佳生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 美帆
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英也
(72)【発明者】
【氏名】安部 瑠之輔
(72)【発明者】
【氏名】川端 倭佳
【テーマコード(参考)】
5D004
【Fターム(参考)】
5D004AA07
5D004FF04
(57)【要約】
【課題】圧電素子と配線部材との接続信頼性が低下するのを抑制する音響デバイスを提供する。
【解決手段】音響デバイス1は、素体11と、素体11上に配置されていると共に主面13aを含む外部電極13と、を含む圧電素子10と、基材51と、基材51上に配置されていると共に主面53aを含む導体53と、を含む配線部材50と、主面13aと主面53aとの間に配置されており、主面13aと主面53aとを物理的かつ電気的に接続している接続部材73と、を備える。主面13aと主面53aとの間隔は、主面13aと基材51との間隔より小さく、かつ、主面53aと素体11との間隔より小さい。各主面13a,53aは、接続部材73で覆われている領域R1,R2と、接続部材73から露出している領域R3,R4と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、前記素体上に配置されていると共に第一面を含む外部電極と、を含む圧電素子と、
基材と、前記基材上に配置されていると共に前記第一面に対向している第二面を含む導体と、を含む配線部材と、
前記第一面と前記第二面との間に配置されており、前記第一面と前記第二面とを物理的かつ電気的に接続している接続部材と、を備え、
前記第一面と前記第二面との間隔は、前記第一面と前記基材との間隔より小さく、かつ、前記第二面と前記素体との間隔より小さく、
前記第一面及び前記第二面のそれぞれは、
前記接続部材で覆われている第一領域と、
前記接続部材から露出しており、前記第一領域より外側に位置している第二領域と、を含む、音響デバイス。
【請求項2】
前記外部電極は、前記第一領域を含む第一電極部分と、前記第二領域を含む第二電極部分と、を含み、
前記圧電素子は、前記素体内に配置されている複数のスルーホール導体を含み、
前記複数のスルーホール導体は、前記第一電極部分に物理的かつ電気的に接続されている、請求項1に記載の音響デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
知られている音響デバイスは、圧電素子と、配線部材とを含む(たとえば、特許文献1参照)。圧電素子は、素体と、素体上に配置されている外部電極と、を含む。配線部材は、基材と、基材上に配置されている導体と、を含む。外部電極と導体とは、互いに電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音響デバイスは、通常、外部電極と導体とを接続している接続部材を含む。接続部材を含む音響デバイスの製造過程は、接続部材を形成するための部材を用い、外部電極と導体とを接続することを含む。外部電極と導体とを接続することは、たとえば、接続部材を形成するための部材を外部電極と導体との間に配置することと、外部電極と導体との間に配置された、接続部材を形成するための部材を固化することと、を含む。
圧電素子では、素体が、たとえば、素体の厚さ方向に変形していることがある。外部電極と導体とを接続する際に、上記厚さ方向に変形している素体が、配線部材に干渉するおそれがある。素体と配線部材とが干渉すると、外部電極と導体とは適切に接続されがたい。圧電素子と配線部材との接続信頼性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の一態様は、圧電素子と配線部材との接続信頼性が低下するのを抑制する音響デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る音響デバイスは、圧電素子と、配線部材と、接続部材と、を備える。圧電素子は、素体と、素体上に配置されていると共に第一面を含む外部電極と、を含む。配線部材は、基材と、基材上に配置されていると共に第一面に対向している第二面を含む導体と、を含む。接続部材は、第一面と第二面との間に配置されており、第一面と第二面とを物理的かつ電気的に接続している。第一面と第二面との間隔は、第一面と基材との間隔より小さく、かつ、第二面と素体との間隔より小さい。第一面及び第二面のそれぞれは、接続部材で覆われている第一領域と、接続部材から露出しており、第一領域より外側に位置している第二領域と、を含む。
【0007】
上記一態様では、第一面と第二面とは対向しており、第一面と第二面との間隔は、第一面と基材との間隔より小さく、かつ、第二面と素体との間隔より小さい。第一面は、第一面と第二面とが対向している方向で、素体よりも基材寄りに位置する。第二面は、第一面と第二面とが対向している方向で、基材よりも素体寄りに位置する。したがって、素体が素体の厚さ方向に変形している場合でも、素体は、配線部材と干渉しがたい。すなわち、外部電極と導体とを接続する際に、素体は、配線部材と干渉しがたい。
第一面及び第二面のそれぞれは、第一領域と第二領域とを含む。第一領域の面積は、第一面及び第二面の各面積より小さい。したがって、外部電極と接続部材とが、あるいは、導体と接続部材とが、たとえば、第一面と第二面とが対向している方向と直交する方向で位置ずれする場合でも、第一領域の面積は確保されやすい。外部電極と導体との物理的かつ電気的な接続が劣化しがたい。
これらの結果、上記一態様は、圧電素子と配線部材との接続信頼性が低下するのを抑制する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様は、圧電素子と配線部材との接続信頼性が低下するのを抑制する音響デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る音響デバイスを示す平面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る音響デバイスを示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る音響デバイスを示す平面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る素体を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る音響デバイスの断面構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態の一変形例に係る音響デバイスを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0011】
図1~
図4を参照して、本実施形態に係る音響デバイス1の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る音響デバイス1を示す平面図である。
図2は、本実施形態に係る音響デバイス1を示す分解斜視図である。
図3及び
図4は、本実施形態に係る音響デバイス1の断面構成を示す図である。
図3及び
図4では、各部を明確に示すため、断面を表すハッチングが省略されている。
【0012】
図1及び
図2に示されるように、音響デバイス1は、圧電素子10、配線部材50、振動部材60、及び接続部材70を備えている。圧電素子10は、素体11と、複数の外部電極13,15と、複数の内部電極30,40と、を含んでいる。接続部材70は、複数の接続部材73,75を含んでいる。本実施形態では、圧電素子10は、二つの外部電極13,15及び二つの内部電極30,40を含んでいる。本実施形態では、接続部材70は、二つの接続部材73,75を含んでいる。
【0013】
複数の外部電極13,15のそれぞれは、素体11の外表面に配置されている。複数の内部電極30,40のそれぞれは、素体11内に配置されている。
複数の内部電極30,40のそれぞれは、対応する複数の外部電極13,15のそれぞれと物理的かつ電気的に接続されている。複数の外部電極13,15のそれぞれには、たとえば、互いに極性が異なる電圧が印加される。
【0014】
素体11は、直方体形状を呈している。素体11は、互いに対向している一対の主面11a,11b、互いに対向している一対の側面11c、及び、互いに対向している一対の側面11eを含んでいる。直方体形状は、たとえば、角部と稜線部とが面取りされている直方体の形状、又は、角部と稜線部とが丸められている直方体の形状を含む。
一対の主面11a,11bは、第一方向D1で互いに対向している。第一方向D1は、各主面11a,11bに直交する方向でもある。一対の側面11cは、第二方向D2で互いに対向している。第二方向D2は、各側面11cに直交する方向でもある。一対の側面11eは、第三方向D3で互いに対向している。第三方向D3は、各側面11eに直交する方向でもある。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は互いに直交している。
【0015】
各主面11a,11bは、一対の長辺と一対の短辺とをそれぞれ有している。各主面11a,11bは、平面視して、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、圧電素子10は、平面視して、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。
長方形状には、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状が含まれる。本実施形態では、主面11a,11bの短辺方向は、第二方向D2と一致する。主面11a,11bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。
主面11bは、四つの角部A1を有している。各角部A1は、丸められて、いわゆるR形状を有していてもよい。丸められている角部とは、2つの直線の交わりからなる角部ではなく、2つの直線の端部同士が曲線で接続されてなる湾曲した角部を意味する。各角部A1は、2つの直線の交わりからなる角部であってもよい。各角部A1が丸い角部の場合、各角部A1は、各角部A1を構成する曲線の一部又は全部を少なくとも含んでいる。各角部A1が2つの直線の交わりからなる角部である場合、各角部A1は、各角部A1を構成する2つの直線の交点、及び2つの直線の端部を少なくとも含んでいる。
【0016】
一対の側面11cは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11cは、第二方向D2にも延在している。一対の側面11eは、一対の主面11a,11bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面11eは、第三方向D3にも延在している。各主面11a,11bと各側面11c,11eとは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、各主面11a,11bと各側面11c,11eとの間には、稜線部が位置する。
素体11の第二方向D2での長さは、たとえば、10mmである。素体11の第三方向D3での長さは、たとえば、20mmである。素体11の第一方向D1での長さは、たとえば、200μmである。
【0017】
素体11は、たとえば、
図3及び
図4に示されるように、複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eのそれぞれが第一方向D1に積層されて構成されている。素体11は、積層されている複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eのそれぞれを有している。本実施形態では、素体11は、五つの圧電体層17a,17b,17c,17d,17eのそれぞれを有している。素体11では、複数の圧電体層17a,17b,17c,17d,17eのそれぞれが積層されている方向が第一方向D1と一致する。圧電体層17aは、主面11aを有している。圧電体層17eは、主面11bを有している。圧電体層17b,17c,17dは、圧電体層17aと圧電体層17eとの間に位置している。
【0018】
各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、圧電材料からなる。本実施形態では、各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、圧電セラミック材料からなる。圧電セラミック材料には、たとえば、PZT[Pb(Zr、Ti)O3]、PT(PbTiO3)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O3]、又はチタン酸バリウム(BaTiO3)が用いられる。各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、たとえば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
実際の素体11では、各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eは、各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eの間の境界が認識できない程度に一体化されている。各圧電体層17a,17b,17c,17d,17eの第一方向D1での長さは、互いに同等である。なお、「同等」は、必ずしも値が一致していることだけを意味しない。予め設定した範囲での微差、製造誤差、又は測定誤差が含まれている場合でも、厚みが同等であるとしてもよい。本実施形態では、圧電素子10は、いわゆる積層型圧電素子である。
【0019】
外部電極13は、たとえば、主面11aに配置されている。外部電極13は、第一方向D1から見て、たとえば、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。外部電極15は、たとえば、主面11aに配置されている。外部電極15は、第一方向D1から見て、たとえば、主面11aの全ての縁(四辺)から離間している。
本実施形態では、第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15のそれぞれは、矩形状を呈している。複数の外部電極13,15のそれぞれは、第一方向D1から見て、たとえば、互いに同形状を呈している。第一方向D1から見て、複数の外部電極13,15のそれぞれの長辺方向は、たとえば、第二方向D2と一致している。複数の外部電極13,15のそれぞれの短辺方向は、たとえば、第三方向D3と一致している。
複数の外部電極13,15のそれぞれの第一方向D1での長さは、たとえば、4μmである。複数の外部電極13,15のそれぞれの第二方向D2での長さは、たとえば、3mmである。複数の外部電極13,15のそれぞれの第三方向D3での長さは、たとえば、3.6mmである。
複数の外部電極13,15のそれぞれは、導電性材料を含んでいる。複数の外部電極13,15のそれぞれの導電性材料には、たとえば、Ag、Pd、Cu、Pt、Au-Pd合金、又はAg-Pd合金が用いられる。複数の外部電極13,15のそれぞれは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
【0020】
複数の内部電極30の各々は、たとえば、外部電極15と接続されている。複数の内部電極30は、複数の内部導体31,32,33,34を有している。複数の内部導体31,32,33,34の各々は、第一方向D1において、互いに異なる位置(層)に配置されている。複数の内部導体31,32,33,34の各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。複数の内部導体31,32,33,34の各々は、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。
内部導体31は、第一方向D1で外部電極15と対向している。複数の内部導体31,32,33,34の各々は、素体11の外表面には露出していない。したがって、複数の内部導体31,32,33,34の各々は、各主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
複数の内部導体31,32,33,34の各々は、各側面11c,11d,11eからも離間している。
【0021】
圧電素子10は、複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35dを含んでいる。複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35dは、素体11内に配置されている。
圧電体層17aには、第一方向D1に圧電体層17aを貫通する複数のスルーホール導体35aが形成されている。
圧電体層17bには、第一方向D1に圧電体層17bを貫通する複数のスルーホール導体35bが形成されている。圧電体層17cには、第一方向D1に圧電体層17cを貫通する複数のスルーホール導体35cが形成されている。圧電体層17dには、第一方向D1に圧電体層17dを貫通する複数のスルーホール導体35dが形成されている。
複数の内部電極30と複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35dとは、物理的かつ電気的に接続されている。
【0022】
図3に示されるように、複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35dは、第一方向D1から見て、たとえば、複数行複数列状に配列されている。
図3では、複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35dは、第一方向D1から見て、2行2列の行列状に配列している。
【0023】
複数の内部電極40の各々は、たとえば、外部電極13と接続されている。複数の内部電極40は、複数の内部導体41,42,43,44を有している。複数の内部導体41,42,43,44の各々は、第一方向D1において、互いに異なる位置(層)に配置されている。複数の内部導体41,42,43,44の各々は、互いに、第一方向D1に間隔を有して対向している。複数の内部導体41,42,43,44の各々は、たとえば、第一方向D1で、この順に並んでいる。
複数の内部導体41は、第一方向D1で外部電極13と対向している。複数の内部導体41,42,43,44の各々は、素体11の外表面には露出していない。したがって、複数の内部導体41,42,43,44の各々は、各主面11a,11bの全ての縁(四辺)から離間している。
複数の内部導体41,42,43,44の各々は、側面11c,11d,11eからも離間している。
【0024】
複数の内部電極30,40のそれぞれは、たとえば、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、複数の内部電極30,40のそれぞれの外形形状は、長方形状である。
【0025】
圧電素子10は、複数のスルーホール導体45a,45b,45c,45dを含んでいる。複数のスルーホール導体45a,45b,45c,45dは、素体11内に配置されている。
圧電体層17aには、第一方向D1に圧電体層17aを貫通する複数のスルーホール導体45aが形成されている。圧電体層17bには、第一方向D1に圧電体層17bを貫通する複数のスルーホール導体45bが形成されている。圧電体層17cには、第一方向D1に圧電体層17cを貫通する複数のスルーホール導体45cが形成されている。圧電体層17dには、第一方向D1に圧電体層17dを貫通する複数のスルーホール導体45dが形成されている。
複数の内部電極40と複数のスルーホール導体45a,45b,45c,45dとは、物理的かつ電気的に接続されている。
【0026】
図3に示されるように、複数のスルーホール導体45a,45b,45c,45dは、第一方向D1から見て、たとえば、複数行う複数列状に配列されている。
図3では、複数のスルーホール導体45a,45b,45c,45dは、第一方向D1から見て、2行2列の行列状に配列している。
【0027】
図3に示されるように、内部導体31は、内部導体41と同じ層に位置する。内部導体41は、同じ層に位置する内部導体31から離間している。内部導体32は、内部導体42と同じ層に位置する。内部導体42は、同じ層に位置する内部導体32から離間している。内部導体33は、内部導体43と同じ層に位置する。内部導体43は、同じ層に位置する内部導体33から離間している。内部導体34は、内部導体44と同じ層に位置する。内部導体44は、同じ層に位置する内部導体34から離間している。
【0028】
内部導体41と内部導体32とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体41と内部導体32とは、圧電体層17bを挟んでいる。内部導体32と内部導体43とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体32と内部導体43とは、圧電体層17cを挟んでいる。内部導体43と内部導体34とは、第一方向D1で互いに対向している。内部導体43と内部導体34とは、圧電体層17dを挟んでいる。
【0029】
複数の内部電極30,40及び複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35d,45a,45b,45c,45dは、導電性材料を含む。この導電性材料は、たとえば、Pt、Ag、Pd、Au、Cu、又は、これらの金属のうち二つ以上の金属を含む合金を含む。複数の内部電極30,40及び複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35d,45a,45b,45c,45dは、たとえば、Ag-Pd合金を含む。複数の内部電極30,40及び複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35d,45a,45b,45c,45dは、たとえば、素体11との同時焼成によって形成され、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。
複数のスルーホール導体35a,35b,35c,35d,45a,45b,45c,45dは、対応する圧電体層17a,17b,17c,17dを形成するためのセラミックグリーンシートに形成された貫通孔に充填された導電性ペーストが焼結することにより形成される。
【0030】
素体11の主面11bには、複数の内部電極30,40と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、主面11bを第一方向D1から見たとき、主面11bの全体が露出している。
素体11の各側面11c,11eにも、複数の内部電極30,40と電気的に接続されている導体は配置されていない。本実施形態では、各側面11cを第二方向D2から見たとき、各側面11cの全体が露出している。各側面11eを第三方向D3から見たとき、各側面11eの全体が露出している。
【0031】
配線部材50は、基材51、複数の導体53,55、カバー57、及び補強部材59を有している。本実施形態では、配線部材50は、複数の導体53,55を備えている。配線部材50は、たとえば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。配線部材50は、各主面11a,11bの長辺と交差するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第二方向D2と交差している。本実施形態では、配線部材50は、各主面11a,11bの長辺と直交するように配置されている。配線部材50が延在している方向は、第二方向D2と直交している。配線部材50は、第二方向D2に延在している。配線部材50は、圧電素子10と電気的かつ物理的に接続されている一端部と、音響デバイス1が搭載される電子機器(不図示)と電気的かつ物理的に接続される他端部とを有している。
【0032】
基材51は、互いに対向している一対の主面51a,51bを有している。基材51は、電気絶縁性を有している。基材51は、樹脂からなる。基材51は、たとえばポリイミド樹脂からなる。
【0033】
各導体53,55は、基材51(主面51a)上に配置されている。各導体53,55は、接着層52によって、基材51に接合されている。接着層52は、各導体53,55と基材51との間に位置している。各導体53,55は、配線部材50が延在している方向に延在している。各導体53,55は、各導体53,55が延在している方向と交差する方向で離間している。各導体53,55は、たとえば、銅からなる。
各導体53,55は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。各導体53,55の第二方向D2での長さは、たとえば、23mmである。各導体53,55の第三方向D3での長さは、たとえば、3.5mmである。各導体53,55の第一方向D1での長さは、たとえば、18μmである。
【0034】
カバー57は、各導体53,55の一部を覆うように、各導体53,55上に配置されている。各導体53,55は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。カバー57は、基材51における各導体53,55から露出している領域を覆うように、主面51a上にも配置されている。カバー57は、接着層56によって、各導体53,55に接合されている。
【0035】
基材51は、配線部材50の一端部及び他端部で、カバー57から露出している。基材51とカバー57とは、各導体53,55から露出している領域で互いに接合されている。カバー57は、樹脂からなる。カバー57は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。各導体53,55の、カバー57から露出している領域には、たとえば、ニッケルめっき及び金フラッシュめっきが施されている。
【0036】
補強部材59は、配線部材50の他端部に配置されている。補強部材59は、基材51(主面51b)上に配置されている。補強部材59は、接着層58(不図示)によって、基材51に接合されている。接着層58(不図示)は、補強部材59と基材51との間に位置している。補強部材59は、電気絶縁性を有する板状の部材である。補強部材59は、たとえば、ポリイミド樹脂からなる。
【0037】
振動部材60は、
図3及び
図4に示されるように、互いに対向している主面60a,60bを有している。本実施形態では、振動部材60は、板状の部材である。振動部材60は、たとえば、金属を含んでいる。振動部材60は、たとえば、Ni-Fe合金、Ni、黄銅、又はステンレス鋼を含んでいる。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有している。各主面60a,60bは、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。すなわち、振動部材60は、平面視で、一対の長辺と一対の短辺とを有する長方形状を呈している。
本実施形態では、各主面60a,60bの長辺方向は、第三方向D3と一致する。各主面60a,60bの短辺方向は、第二方向D2方向と一致する。振動部材60の第一方向D1での長さは、たとえば、100μmである。振動部材60の第二方向D2での長さは、たとえば、15mmである。振動部材60の第三方向D3での長さは、たとえば、30mmである。
【0038】
圧電素子10は、樹脂層61によって振動部材60に接合されている。素体11の主面11bと振動部材60の主面60aとが互いに対向している。樹脂層61は、主面11bと主面60aとの間に位置している。主面11bと主面60aとが、樹脂層61によって接合されている。樹脂層61は、樹脂(たとえば、エポキシ樹脂又はアクリル系樹脂)からなる。樹脂層61は、導電性のフィラーを含んでおらず、電気絶縁性を有している。圧電素子10が振動部材60に接合された状態では、第一方向D1と、主面60aと主面60bとが対向している方向とは略同じである。第一方向D1から見て、圧電素子10は、振動部材60(主面60a)の略中央に配置されている。
【0039】
配線部材50は、主面60aと接合されている。本実施形態では、配線部材50のカバー57は、樹脂層63によって主面60aと接合されている。主面60aとカバー57との接合面積は、外部電極13の面積と外部電極15の面積の合計値より大きい。
【0040】
樹脂層63は、樹脂層61と接している。樹脂層63は、樹脂層61と離間していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の側面と接していてもよい。樹脂層63は、振動部材60の主面60bとは接していない。すなわち、樹脂層63は、主面60b上には設けられていない。樹脂層63は、たとえば、ニトリルゴムからなる。樹脂層63は、樹脂層61と同じ材料であってもよい。樹脂層63は、樹脂層61と異なる材料であってもよい。
【0041】
配線部材50は、振動部材60の各主面60a,60bの長辺と交差するようにも配置されている。本実施形態では、配線部材50は、各主面60a,60bの長辺と直交するように配置されている。
【0042】
図5は、本実施形態に係る音響デバイス1の断面構成を示す図である。
図5では、各部を明確に示すため、断面を表すハッチングが省略されている。
図5に示されるように、接続部材73は、外部電極13の主面13a上に配置されている。接続部材73は、主面13aと導体53の主面53aとの間に配置されている。接続部材75は、外部電極15の主面15a上に配置されている。接続部材75は、主面15aと導体55の主面55aとの間に配置されている。主面13aと主面53aとは、互いに対向している。主面15aと主面55aとは、互いに対向している。接続部材73は、主面13aと主面53aとを、物理的かつ電気的に接続している。接続部材75は、主面15aと主面55aとを、物理的かつ電気的に接続している。たとえば、主面13aが第一面を構成する場合、主面53aは、第二面を構成する。たとえば、主面15aが第一面を構成する場合、主面55aは、第二面を構成する。第一面と第二面とは、互いに対向している。
【0043】
複数の接続部材73,75のそれぞれは、たとえば、樹脂層と樹脂層に含まれる複数の金属粒子とを有している。樹脂層は、たとえば、熱硬化性エラストマーを含んでいる。金属粒子は、たとえば、金めっき粒子を含んでいる。互いに対応する各外部電極13,15と各導体53,55とは、金属粒子を通して電気的に接続されている。複数の接続部材73.75は、たとえば、異方性導電ペースト又は異方性導電膜が硬化することにより形成される。
【0044】
図5に示されるように、主面13aと主面53aとの間隔L1及び主面15aと主面55aとの間隔L1は、各主面13a,15aと主面51aとの間隔L2より小さい。間隔L1は、各主面53a,55aと主面11aとの間隔L3より小さい。間隔L1は、たとえば、10~30μmである。本実施形態では、間隔L1は、15μmである。間隔L2は、たとえば、20~50μmである。本実施形態では、間隔L2は、30μmである。間隔L3は、たとえば、25~100μmである。本実施形態では、間隔L3は、40μmである。
【0045】
図6に示されるように、各主面13a,15aは、第一方向D1から見て、各接続部材73,75に覆われている領域R1を含んでいる。各主面53a,55aは、各接続部材73,75に覆われている領域R2を含んでいる。領域R1の面積は、各主面13a,15a及び各主面53a,55aの各面積より小さい。各領域R1,R2の面積は、たとえば、第一方向D1から見て、各接続部材73,75の面積と一致する。領域R1の面積は、たとえば、第一方向D1から見て、各主面13a,15a及び各主面53a,55aの各面積より小さい。
各領域R1,R2(各接続部材73,75)の第一方向D1から見た面積は、たとえば、6mm
2である。
各外部電極13,15と各導体53,55とは、各領域R1,R2において、物理的かつ電気的に接続される。各領域R1,R2の面積は、たとえば、各外部電極13,15と各導体53,55との物理的かつ電気的な接続を確保する所定の値に設定される。
【0046】
各主面13a,15aは、第一方向D1から見て、対応する各接続部材73,75から露出している領域R3を含んでいる。各主面53a,55aは、第一方向D1から見て、対応する各接続部材73,75から露出している領域R4を含んでいる。各領域R3,R4は、第一方向D1から見て、各領域R1,R2よりも外側に位置している。すなわち、各領域R3,R4の面積は、たとえば、第一方向D1から見て、各領域R1,R2の面積よりも大きい。
各外部電極13,15と各導体53,55とは、各領域R3,R4において、物理的かつ電気的に接続されていない。たとえば、各領域R1,R2が第一領域を構成する場合、各領域R3,R4は、第二領域を構成する。第二領域は、第一方向D1から見て、第一領域より外側に位置している。
【0047】
図6に示されるように、外部電極13は、電極部分13Aと、電極部分13Bと、を含んでいる。外部電極15は、電極部分15Aと、電極部分15Bと、を含んでいる。本実施形態では、たとえば、電極部分13Aが外部電極13における第一電極部分を構成し、電極部分13Bが外部電極13における第二電極部分を構成している。電極部分15Aは外部電極15における第一電極部分を構成し、電極部分15Bは外部電極15における第二電極部分を構成している。電極部分13Aは、領域R1を含む。電極部分15Aは、領域R2を含む。各外部電極13,15は、各電極部分13A,13B,15A,15Bとは異なる電極部分を含んでいてもよい。
複数のスルーホール導体45aのそれぞれは、第一電極部分を構成する電極部分13Aに物理的かつ電気的に接続されている。複数のスルーホール導体35aのそれぞれは、第一電極部分を構成する電極部分15Aに物理的かつ電気的に接続されている。
【0048】
以上説明したように、音響デバイス1では、主面13aと主面53aとは対向している。主面15aと主面55aとは対向している。主面13aと主面53aとの間隔及び主面15aと主面55aとの間隔は、各主面13a,15aと基材51との間隔より小さく、かつ、各主面53a,55aと素体11との間隔より小さい。各主面13a,15aは、各主面13a,15aと各主面53a,55aとが対向している方向で、素体11よりも基材51寄りに位置する。各主面53a,55aは、各主面13a,15aと各主面53a,55aとが対向している方向で、基材51よりも素体11寄りに位置する。
図7に示されるように、素体11が素体11の厚さ方向に変形している場合がある。
図7に示される素体11では、各主面11a、11bは、一対の長辺11gと一対の短辺11hとを有する長方形状を呈している。長辺11gは、長辺11gの高さが、第三方向D3の両端部(角部A1)で最も高く、第三方向D3の中央部で最も低くなるように湾曲している。短辺11hは、短辺11hの高さが、第二方向D2の両端部(角部A1)で最も高く、第二方向D2の中央部で最も低くなるように湾曲している。
図8及び
図9は、本実施形態に係る音響デバイス1の断面構成を示す図である。
図8及び
図9では、各部を明確に示すため、断面を表すハッチングが省略されている。上述したように、素体11が素体11の厚さ方向に変形している場合でも、音響デバイス1では、
図8及び
図9に示されるように、素体11は、配線部材50と干渉しがたい。すなわち、各外部電極13,15と各導体53,55とを接続する際に、素体11は、配線部材50と干渉しがたい。
各主面13a,15a及び各主面53a,55aは、領域R1と領域R2とを含む。領域R1の面積は、各主面13a,15a及び各主面53a,55aの各面積より小さい。したがって、各外部電極13,15と各接続部材73,75とが、あるいは、各導体53,55と各接続部材73,75とが、たとえば、各主面13a,15aと各主面53a,55aとが対向している方向と直交する方向で位置ずれする場合でも、各領域R1,R2の面積は確保されやすい。各外部電極13,15と各導体53,55との物理的かつ電気的な接続が劣化しがたい。
これらの結果、音響デバイス1は、圧電素子10と配線部材50との接続信頼性が低下するのを抑制する。
【0049】
複数のスルーホール導体45aのそれぞれは、第一電極部分を構成する電極部分13Aに物理的かつ電気的に接続されている。複数のスルーホール導体35aのそれぞれは、第一電極部分を構成する電極部分15Aに物理的かつ電気的に接続されている。複数のスルーホール導体35a,45aのそれぞれは、素体11内から各電極部分15A,13Aの直下に渡って形成されるので、各領域R1,R2を素体11よりも各接続部材73,75側に位置させやすい。この結果、音響デバイス1は、圧電素子10と配線部材50との接続信頼性が低下するのを抑制する。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明してきた。しかしながら、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0051】
図10は、本実施形態の一変形例に係る音響デバイス1を示す平面図である。接続部材70は、複数の接続部材73,75の間に位置する部材77を含んでいてもよい。部材77は、接続部材73と接続部材75とに連続しているとともに、接続部材73と接続部材75とを連結していてもよい。
図10に示された接続部材70では、複数の接続部材73,75と部材77とは一体に形成されている。
部材77は、複数の接続部材73,75と同様に、樹脂層と樹脂層に含まれる複数の金属粒子とを有していてもよい。
【0052】
複数のスルーホール導体35a~35d,45a~45dのそれぞれの数は、上述した実施形態及び変形例における数に限られない。たとえば、複数のスルーホール導体35a~35d,45a~45dの数は、それぞれ一つであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…音響デバイス、10…圧電素子、11…素体、13,15…外部電極、13a,15a,53a,55a…主面、13A,15A,13B,15B…電極部分、35a~35d,45a~45d…スルーホール導体、50…配線部材、51…基材、53,55…導体、73,75…接続部材、L1,L2,L3…間隔、R1,R2,R3,R4…領域。