IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168697
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
F04D29/28 P
F04D29/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085587
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】倉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 征伸
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB46
3H130AC21
3H130BA16C
3H130CB06
3H130CB19
3H130DB08Z
3H130DD01Z
3H130EA01C
3H130EB01C
3H130EB05C
3H130EC08C
3H130EC17C
3H130ED04C
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インペラとモータのシャフトとの連結構造で生じる騒音を低減する。
【解決手段】送風装置は、モータのシャフトの軸方向一方端部にインペラを連結する連結部材13を備える。連結部材は、第1ワッシャ131と、該第1ワッシャとの間にインペラ200の円板部201を挟む第2ワッシャ132と、を有する。第1ワッシャ及び第2ワッシャのうちの少なくとも第1ワッシャの軸方向から見た外径の円板部の軸方向から見た外径に対する比は、0.35以上且つ0.55以下である。或いは、第1ワッシャ及び第2ワッシャの少なくともどちらかは、軸方向から見て、n角形状(nは、3以上の奇数)である。若しくは、送風装置のインペラは、軸方向から見てm角形状(mは、3以上の奇数)の凹部を円板部に有する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと、
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記連結部材は、
前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる第1ワッシャと、
前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む第2ワッシャと、
を有し、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャのうちの少なくとも前記第1ワッシャの軸方向から見た外径の前記円板部の軸方向から見た外径に対する比は、0.35以上且つ0.55以下である、送風装置。
【請求項2】
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと、
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記連結部材は、
前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる第1ワッシャと、
前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む第2ワッシャと、
を有し、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、軸方向から見て、n角形状(nは、3以上の奇数)である、送風装置。
【請求項3】
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャの軸方向厚さの前記円板部の軸方向厚さに対する比は、1.2以上且つ1.5以下である、請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、薄板が軸方向に積層された積層体である、請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項5】
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、径方向及び周方向のどちらかに向かって軸方向に波打つ波形の形状を有する、請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項6】
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャと前記円板部との間に配置される弾性部材をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項7】
前記弾性部材は、前記シャフトを囲むゴム製の環状部材とシリコン樹脂とのどちらかである、請求項6に記載の送風装置。
【請求項8】
前記シャフトを回転可能に保持する転がり軸受をさらに備え、
前記連結部材は、前記シャフトの軸方向一方端部に螺合されるナットをさらに有し、
前記第2ワッシャは、
前記シャフトを囲む円板形状のフランジ部と、
前記フランジ部の径方向内端部から軸方向他方に延びて前記シャフトを囲み前記転がり軸受の内輪に接する筒部と、
を有し、
前記ナットの螺合により、前記第1ワッシャ、前記円板部、及び前記第2ワッシャは、前記ナットと前記転がり軸受の内輪との間で軸方向に連結される、請求項1又は請求項2に記載の送風装置。
【請求項9】
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと、
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記円板部は、
軸方向に凹む凹部と、
前記凹部の軸方向を向く底面から軸方向に延び、前記シャフトが挿通される貫通孔と、
を有し、
前記凹部は、軸方向から見て、m角形状(mは、3以上の奇数)である、送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータの回転軸(シャフト)にインペラが連結された送風装置が知られている。たとえば、インペラは、座金及びナットにより回転軸に固定される(たとえば特開2013-072360号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-072360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、掃除機などで使用される送風装置は、数万[rpm]という高速回転で運転される。そのため、回転数の上昇に伴って発生する加振力周波数、及びインペラ自身の構造が有する固有振動数と、回転数の増加に伴ってインペラ及び回転軸の連結構造に発生するL次振動周波数(Lは1以上の整数)とが一致して共振現象を起こし、インペラ及び回転軸の連結構造で大きな騒音を発生させる虞がある。
【0005】
本発明は、インペラとモータのシャフトとの連結構造で生じる騒音を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な送風装置は、インペラと、モータと、連結部材と、を備える。前記インペラは、軸方向に延びる中心軸回りに回転可能である。前記モータは、前記インペラとともに回転可能なシャフトを有する。前記連結部材は、前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する。前記インペラは、円板部を有する。前記円板部は、前記シャフトを囲んで径方向に広がる。前記連結部材は、第1ワッシャと、第2ワッシャと、を有する。前記第1ワッシャは、前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる。前記第2ワッシャは、前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む。前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャのうちの少なくとも前記第1ワッシャの軸方向から見た外径の前記円板部の軸方向から見た外径に対する比は、0.35以上且つ0.55以下である。
【0007】
また、本発明の例示的な送風装置は、インペラと、モータと、連結部材と、を備える。前記インペラは、軸方向に延びる中心軸回りに回転可能である。前記モータは、前記インペラとともに回転可能なシャフトを有する。前記連結部材は、前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する。前記インペラは、円板部を有する。前記円板部は、前記シャフトを囲んで径方向に広がる。前記連結部材は、第1ワッシャと、第2ワッシャと、を有する。前記第1ワッシャは、前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる。前記第2ワッシャは、前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む。前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、軸方向から見て、n角形状(nは、3以上の奇数)である。
【0008】
また、本発明の例示的な送風装置は、インペラと、モータと、連結部材と、を備える。前記インペラは、軸方向に延びる中心軸回りに回転可能である。前記モータは、前記インペラとともに回転可能なシャフトを有する。前記連結部材は、前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する。前記インペラは、円板部を有する。前記円板部は、前記シャフトを囲んで径方向に広がる。前記円板部は、凹部と、貫通孔と、を有する。前記凹部は、軸方向に凹む。前記貫通孔は、前記凹部の軸方向を向く底面から軸方向に延びる。前記貫通孔には、前記シャフトが挿通される。前記凹部は、軸方向から見て、m角形状(mは、3以上の奇数)である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的な送風装置によれば、インペラとモータのシャフトとの連結構造で生じる騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、モータを搭載する送風装置の構成例を示す断面図である。
図2A図2Aは、連結部材の構成例を拡大して示す断面図である。
図2B図2Bは、連結部材の他の構成例を拡大して示す断面図である。
図3A図3Aは、実施形態に係る第1ワッシャの第1変形例を示す斜視図である。
図3B図3Bは、実施形態に係る第1ワッシャの第2変形例を示す斜視図である。
図3C図3Cは、実施形態に係る第1ワッシャの第3変形例を示す斜視図である。
図4A図4Aは、実施形態の第1変形例に係る第1ワッシャの構成例を示す斜視図である。
図4B図4Bは、実施形態の第1変形例に係る第1ワッシャの他の構成例を示す斜視図である。
図5A図5Aは、実施形態の第2変形例に係る円板部の構成例を示す斜視図である。
図5B図5Bは、実施形態の第2変形例に係る円板部の他の構成例を示す斜視図である。
図6図6は、送風装置を用いて吸気する掃除機の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0012】
なお、本明細書では、送風装置500において、中心軸CAと平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。軸方向のうち、回路基板5からインペラ200への向きを「軸方向一方Da」と呼び、インペラ200から回路基板5への向きを「軸方向他方Db」と呼ぶ。また、中心軸CAに直交する方向を「径方向」と呼び、中心軸CAを中心とする回転方向を「周方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAへと近づく向きを「径方向内方」と呼び、中心軸CAから離れる向きを「径方向外方」と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書において、「環状」は、中心軸CAを中心とする周方向の全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、中心軸CAを中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、中心軸CAを中心として、中心軸CAと交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0014】
また、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態及び実質的に直交する状態を含む。つまり、「平行」、「垂直」及び「直交」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0015】
なお、これらは単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係、方向、及び名称などを限定する意図はない。
【0016】
<1.実施形態>
図1は、モータ100を搭載する送風装置500の構成例を示す断面図である。
【0017】
<1-1.送風装置500>
送風装置500は、吸気口501から吸引した気流Fを内部の風洞503に流し、送出口502から外部に送出する。送風装置500は、たとえば図6に示すように、吸気装置として掃除機600に搭載される。但し、送風装置500の用途は、この例示に限定されない。
【0018】
図1に示すように、送風装置500は、モータ100と、インペラ200と、ディフューザ300と、外側筐体400と、静翼403と、を備える。
【0019】
モータ100は、インペラ200を回転駆動する。
【0020】
インペラ200は、軸方向に延びる中心軸CA回りに回転可能である。前述の如く、送風装置500は、インペラ200を有する。インペラ200は、モータの100のシャフト11の軸方向一方端部に固定される。インペラ200は、円板部201と、シュラウド202と、複数の動翼203と、を有する。円板部201は、シャフト11を囲んで、径方向に広がる。円板部201の径方向内方側は、後述する連結部材13によりシャフト11の軸方向一方端部に連結される。シュラウド202は、中心軸CAを囲む環状であり、円板部201よりも軸方向一方Daに配置される。動翼203は、円板部201及びシュラウド202間の径方向外方側に配置され、周方向に複数並ぶ。インペラ200の回転に応じて、各々の動翼203が中心軸CA回りの周方向に回転することで、気流Fは、吸気口501から吸引され、周方向に隣り合う動翼203間を通じて、インペラ200から径方向外方に送出される。
【0021】
ディフューザ300は、インペラ200から径方向外方に送出された気流Fを効率良く軸方向他方Dbに流し、風洞503に流入させる。ディフューザ300は、モータ100の軸方向一方Da側の部分(たとえば後述する第1内側筐体24)に取り付けられる。
【0022】
外側筐体400は、軸方向に延びる筒状であり、モータ100の軸方向一方Da側の部分、インペラ200、及び、ディフューザ300を収容する。外側筐体400は、第1外側筐体401と、第2外側筐体402と、を有する。第1外側筐体401は、軸方向に延びる有蓋筒状であり、軸方向他方Dbに向かって開口して中心軸CAを囲む、少なくともインペラ200を収容する。第1外側筐体401の蓋部分の中央部には、吸気口501が配置される。第1外側筐体401の筒部分は、蓋部分の径方向外端部から軸方向他方Dbに延びる。第2外側筐体402は、中心軸CAを囲む筒状であり、第1外側筐体401の筒部分の軸方向他方端部から軸方向他方Dbに延びる。第2外側筐体402は、モータ100の軸方向一方側の部分(たとえば第1内側筐体24)とディフューザ300とを囲み、軸方向に延びる風洞503をモータ100の軸方向一方Da側の部分との間に形成する。送出口502は、風洞503の軸方向他方端部に配置される。風洞503は、インペラ200から送出された気流Fが送出口502に向かって流れる通路である。
【0023】
静翼403は、風洞503内に配置されて少なくとも軸方向に延び、風洞503を流れる気流Fを整流する。静翼403は、周方向に複数並ぶ。各々の静翼403の径方向外端部は、第2外側筐体402の径方向内側面に接続される。各々の静翼403の径方向内端部は、モータ100(の第1内側筐体24)の径方向外側面に接続される。本実施形態では、静翼403は、第2外側筐体402及び第1内側筐体24と一体である。
【0024】
<1-2.モータ100>
次に、図1を参照して、モータ100の構成例を説明する。図1に示すように、モータ100は、ロータ1と、ステータ2と、ベアリング31,32と、ブラケット4と、回路基板5と、を備える。
【0025】
<1-2-1.ロータ1>
【0026】
ロータ1は、軸方向に延びる中心軸CA回りに回転可能である。図1に示すように、ロータ1は、シャフト11と、マグネット12と、連結部材13と、を有する。
【0027】
シャフト11は、中心軸CAに沿って軸方向に延びる回転軸である。モータの100のシャフト11の軸方向一方端部には、インペラ200が接続される。シャフト11は、インペラ200とともに回転可能である。モータ100は、シャフト11を有する。また、前述の如く、送風装置500は、モータ100を備える。また、本実施形態では、シャフト11の軸方向一方端部では、その径方向外側面がねじ切りされている。従って、シャフト11の軸方向一方端部には、後述するナット133が螺合可能である。
【0028】
マグネット12は、シャフト11の径方向外側面に配置され、シャフト11を囲む。マグネット12の少なくともステータコア21と径方向に対向する面(たとえば径方向外側面)では、異なる磁極(S極、N極)が周方向において交互に並ぶ。
【0029】
連結部材13は、インペラ200(の円板部201)をシャフト11の軸方向一方端部に固定する。送風装置500は、連結部材13を備える。連結部材13の構成は、後に説明する。
【0030】
<1-2-2.ステータ2>
ステータ2は、ステータコア21と、インシュレータ22と、複数のコイル部23と、第1内側筐体24と、第2内側筐体25と、を有する。
【0031】
<1-2-2-1.ステータコア21,インシュレータ22,コイル部23>
ステータコア21は、シャフト10及びマグネット12を囲む環状の磁性体であり、本実施形態では電磁鋼板の積層体である。ステータコア21は、マグネット12と径方向に対向する。インシュレータ22は、電気絶縁性を有し、ステータコア21の一部を覆う。複数のコイル部23は、周方向に並ぶ。各々のコイル部23では、導線(符号省略)が、インシュレータ22を介してステータコア21にコイル状に配置される。なお、導線は、たとえばエナメル被覆銅線,電気絶縁部材で被覆された金属線などであり、ステータコア21のティース(図示省略)に巻き回されることでコイル部23を形成する。各々のコイル部23に駆動電流が供給されると、ステータ2は励磁されてロータ1を駆動する。
【0032】
<1-2-2-2.第1内側筐体24>
第1内側筐体24は、軸方向他方Dbに向かって開口して軸方向に延びる有蓋筒状である。第1内側筐体24は、筒部241と、蓋部242と、ベアリングホルダ243と、を有する。
【0033】
筒部241は、軸方向に延びて、コイル部23の軸方向一方端部(たとえば、軸方向一方Da側のコイルヘッド)などを囲む。筒部241の軸方向他方端部は、ステータコア21の軸方向一方端面に接し、雄螺子などの螺合部材26により第2内側筐体25と連結される。筒部241の軸方向他方端部は、第2内側筐体25との間にステータコア21(の径方向外端部)を挟持する。また、筒部241の外周面(つまり径方向外側面)は、第2外側筐体402の内周面(つまり径方向内側面)と隙間を空けて径方向に対向し、第2外側筐体402の内周面との間に風洞503を形成する。
【0034】
蓋部242は、筒部241の軸方向一方端部から径方向内方に広がる。蓋部242の径方向内端部には、ベアリングホルダ243が配置される。ベアリングホルダ243は、ベアリング31を介してロータ1(特にシャフト11)を回転可能に支持する。つまり、ベアリング31は、シャフト11を回転可能に保持する。送風装置500は、ベアリング31を備える。なお、ベアリング31は、本実施形態ではボールベアリングであるが、この例示に限定されず、ボールベアリング以外の転がり軸受、滑り軸受であってもよい。
【0035】
ベアリングホルダ243は、ブッシュ2431と、ブッシュ保持部2432と、を有する。ブッシュ2431は、ベアリング31を囲む環状であり、ベアリング31(の外輪)を保持する。ブッシュ保持部2432は、ブッシュ2431を保持する。ブッシュ保持部2432は、蓋部242の径方向内端部に配置される。なお、ブッシュ保持部2432は、本実施形態では蓋部242と一体であるが、この例示に限定されずに蓋部242とは別体であってもよい。
【0036】
<1-2-2-3.第2内側筐体25>
第2内側筐体25は、第1内側筐体24の筒部241の軸方向他方端部と連結されて、第1内側筐体24とともに第1の収容空間を形成する。この第1の収容空間は、シャフト10の一部,マグネット12,ステータコア21,及びコイル部23などを収容する。
【0037】
第2内側筐体25は、蓋部251と、柱部252と、ベアリングホルダ253と、支持部254と、を有する。
【0038】
蓋部251は、中心軸CAから径方向外方に広がる。柱部252は、蓋部251の径方向外端部から軸方向一方Daに突出する。柱部252は、複数であって、周方向に並ぶ。各々の柱部252の軸方向一方端部は、ステータコア21の軸方向他方端部に接する。柱部252は、図1に示すように螺合部材26の螺合により、第1内側筐体24の筒部241に連結され、筒部241との間にステータコア21の径方向外端部を挟持する。螺合部材26は、本実施形態では雄螺子である。
【0039】
たとえば、柱部252には、軸方向に延びる貫通孔2521が配置される。また、筒部241には、軸方向一方Daに延びる雌螺子孔2411が配置される。螺合部材26は、貫通孔2521に挿通され、雌螺子孔2411に螺合される。なお、螺合部材26のヘッド部は、柱部252の軸方向他方Db側に配置される。柱部252は、螺合部材26のヘッド部とステータコア21(の径方向外端部)との間に挟持されることで固定され、螺合部材26の螺合により筒部241に連結される。
【0040】
なお、上述の例示に限定されず、柱部252と筒部241との連結の手段は、螺合部材26の螺合以外であってもよい。たとえば、筒部241の軸方向他方端部と柱部252の軸方向一方端部とを接触させ、両者を接着剤、溶接、ろう付けなどの手段で連結してもよい。
【0041】
ベアリングホルダ253は、ベアリング32(の外輪)を保持し、シャフト11の軸方向一方端部を収容する。ベアリングホルダ253は、ベアリング32を介して、シャフト11の軸方向一方端部を回転可能に支持する。なお、ベアリング32は、本実施形態ではボールベアリングであるが、この例示に限定されず、ボールベアリング以外の転がり軸受、滑り軸受であってもよい。
【0042】
ベアリングホルダ253は、ブッシュ2531と、ブッシュ保持部2532と、を有する。ブッシュ2531は、ベアリング32を囲む環状であり、ベアリング32(の外輪)を保持する。ブッシュ保持部2532は、ブッシュ2531を保持する。ブッシュ保持部2532は、蓋部251の軸方向他方端面から軸方向一方Daに凹む凹部であり、軸方向から見て蓋部251の中央部に配置される。但し、この例示に限定されず、ブッシュ保持部2532は、蓋部251を軸方向に貫通してもよい。また、ブッシュ保持部2432は、本実施形態では蓋部242と一体であるが、この例示に限定されずに蓋部242とは別体であってもよい。
【0043】
支持部254は、蓋部251の径方向外端部から軸方向他方Dbに突出し、ブラケット4及び回路基板5を支持する。支持部254は、複数であって、周方向に並ぶ。
【0044】
<1-2-3.ブラケット4>
ブラケット4は、回路基板5の軸方向他方Db側に配置される。ブラケット4は、底部41を有する。底部41は、中心軸CAと交差する方向(たとえば径方向)に広がり、螺合部材(図示省略)により回路基板5を介して各々の支持部254の軸方向他方端部に連結される。
【0045】
<1-2-4.回路基板5>
回路基板5は、中心軸CAと交差する方向(たとえば径方向)に広がる板状であり、第2内側筐体25とブラケット4との間に配置される。回路基板5には、ステータ2の駆動回路(図示省略)などが搭載される。また、回路基板5には、コイル部23の引出線及び外部接続線(ともに図示省略)が接続される。なお、引出線は、コイル部23を構成する導線の端部である。外部接続線は、回路基板5から送風装置500の外部に引き出される接続線であり、外部の装置などに接続される。
【0046】
<1-2-5.連結部材13>
次に、図1から図2Bを参照して、連結部材13の構成を説明する。図2Aは、連結部材13の構成例を拡大して示す断面図である。図2Bは、連結部材13の他の構成例を拡大して示す断面図である。なお、図2A及び図2Bは、図1の破線で囲まれた部分IIに対応する。
【0047】
連結部材13は、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132を介して、ナット133とベアリング31(の内輪)の軸方向他方端部との間に円板部201を挟んで保持する。連結部材13は、第1ワッシャ131と、第2ワッシャ132と、ナット133と、を有する。なお、以下では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132を総称して「ワッシャ130」と呼ぶことがある。
【0048】
第1ワッシャ131は、円板部201の軸方向一方Da側に配置されて、シャフト11を囲んで径方向に広がる。前述の如く、連結部材13は、第1ワッシャ131を有する。第1ワッシャ131の軸方向一方端部には、ナット133が当接する。第1ワッシャ131の軸方向他方端面は、円板部201の軸方向一方端面に接する。
【0049】
第2ワッシャ132は、本実施形態では、フランジ付きの筒状のT字ワッシャである。第2ワッシャ132は、円板部201の軸方向他方Db側に配置されて、シャフト11を囲んで、径方向に広がる。第2ワッシャ132は、第1ワッシャ131との間に円板部201を挟む。前述の如く、連結部材13は、第2ワッシャ132を有する。円板部201の軸方向他方Db側に配置される。
【0050】
第2ワッシャ132は、フランジ部1321と、筒部1322と、を有する。フランジ部1321は、円板形状であって、シャフト11を囲む。筒部1322は、フランジ部1321の径方向内端部から軸方向他方Dbに延びてシャフト11を囲み、ベアリング31の内輪に接する。フランジ部1321の軸方向一方端面は、円板部201の軸方向他方端面に接する。
【0051】
なお、上述の例示に限定されず、第2ワッシャ132は、外径の異なる複数のワッシャで構成されてもよい。たとえば、第2ワッシャ132は、大径ワッシャと、大径ワッシャよりも外径が小さい小径ワッシャとで構成できる。大径ワッシャは、フランジ部1321として機能し、円板部201の軸方向他方端面に接する。小径ワッシャは、筒部1322として機能し、大径ワッシャの軸方向他方Db側に配置され、ベアリング31(の内輪)に当接する。
【0052】
ナット133は、シャフト11の軸方向一方端部に螺合される。前述の如く、連結部材13は、ナット133を有する。ナット133は、ベアリング31(の内輪)との間に第1ワッシャ131、円板部201、及び、第2ワッシャ132を固定する。つまり、ナット133の螺合により、第1ワッシャ131、円板部201、及び第2ワッシャ132は、133ナットとベアリング31の内輪との間で軸方向に連結される。
【0053】
こうすれば、ナット133の螺合により、第1ワッシャ131を円板部201に向けて押さえ付けることができる。さらに、第2ワッシャ132の筒部1322がベアリング31の内輪に接することにより、ナット133の螺合に応じて、第2ワッシャ132を円板部201に向けて押さえ付けることができる。従って、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132間において円板部201が強固に連結されるので、この連結構造で発生する騒音を効果的に低減できる。
【0054】
本実施形態では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132のうちの少なくとも第1ワッシャ131の軸方向から見た外径φD1(,φD2)の円板部201の軸方向から見た外径φD3に対する比(φD1/φD3)(,(φD2/φD3))は、0.35以上且つ0.55以下である。詳細には、軸方向から見た外径の比(φD1/φD3)は、0.35以上且つ0.55以下である。なお、図2Aなどに示すように、φD1は、第1ワッシャ131の軸方向から見た外径である。φD3は、円板部201の軸方向から見た外径である。従って、比(φD1/φD3)は、円板部201の外径φD3に対する第1ワッシャ131の外径φD1の比である。さらに、軸方向から見た外径の比(φD2/φD3)は、0.35以上且つ0.55以下であってもよい。なお、φD2は、第2ワッシャ132の軸方向から見た外径である。従って、比(φD2/φD3)は、円板部201の外径φD3に対する第2ワッシャ132の外径φD2の比である。
【0055】
こうすれば、上述の比(φD1/φD3),(φD2/φD3)を0.35以上且つ0.55以下にすることにより、円板部201の振動特性を変化させることができる。そのため、インペラ200及びシャフト11の回転に伴って発生する加振力周波数及びインペラ200自身の構造が有する固有振動数と、回転数の増加に伴ってインペラ200及びシャフト11間の連結構造に発生するL次振動周波数(Lは、1以上の整数)との共振を防止できる。従って、送風装置500が駆動する際に上述の連結構造で生じる騒音を低減できる。さらに、上述の比(φD1/φD3)を0.35以上且つ0.55以下にすることにより、上述の共振をより確実に防止でき、上述の連結構造で生じる騒音をさらに低減できる。
【0056】
なお、上述の比(φD1/φD3)を0.35未満にすると、上述の少なくとも第1ワッシャ131は、円板部201との接触面積が狭いため、円板部201を十分に押さえ付けられず、上述の共振を防止できない虞がある。また、上述の比(φD1/φD3)が0.35以上であっても、上述の比(φD2/φD3)を0.35未満にすると、上述の共振の防止効果が弱まる恐れがある。
【0057】
一方、上述の比(φD1/φD3)を0.55以上にすると、第1ワッシャ131の配置によって、その径方向外方側の動翼203に径方向における配置範囲が狭くなる。そのため、インペラ200の送風出力が低下する虞がある。また、上述の比(φD1/φD3)が0.55未満であっても、上述の比(φD2/φD3)を0.55以上にすると、送風出力の低下を抑制する効果が弱まる恐れがある。
【0058】
また、好ましくは、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130の軸方向厚さt1,t2の円板部201の軸方向厚さt3に対する比(t1/t3),(t2/t3)は、1.2以上且つ1.5以下である。詳細には、軸方向厚さの比(t1/t3),(t2/t3)の少なくともどちらかは、1.2以上且つ1.5以下である。なお、図2Aに示すように、t1は、第1ワッシャ131の軸方向厚さである。t2は、第2ワッシャ132の軸方向サイズである。t3は、円板部201の軸方向厚さである。従って、(t1/t3)は、円板部201の軸方向厚さt3に対する第1ワッシャ131の軸方向厚さt1の比である。(t2/t3)は、円板部201の軸方向厚さt3に対する第2ワッシャ132の軸方向厚さt2の比である。
【0059】
こうすれば、上述の少なくともどちらかのワッシャ130の剛性を十分に確保できるので、上述の少なくともどちらかのワッシャ130で円板部201を十分に押さえ付けて、上述のL次振動周波数(Lは、1以上の整数)を加振力周波数及び固有の振動周波数と共振しないようにできる。
【0060】
なお、軸方向厚さの比(t1/t3),(t2/t3)が1.2未満になると、上述の少なくともどちらかのワッシャ130の剛性不足により、円板部201を十分に押さえ付けられない虞がある。そのため、上述の共振が生じる恐れがある。
【0061】
また、軸方向厚さの比(t1/t3),(t2/t3)を1.5よりも大きくしても、円板部201を押さえ付ける力はあまり変化しない。そのため、上述の少なくともどちらかのワッシャ130のサイズ及び重量が大きくなる一方で、上述の共振防止効果はあまり変化しない。
【0062】
なお、上述の例示は、軸方向厚さの比(t1/t3),(t2/t3)の両方が1.2未満又は1.5よりも大きい構成を排除しない。
【0063】
また、本実施形態では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132はそれぞれ、一般に販売されている簡易な構成のワッシャ(たとえば、平ワッシャ、ばねワッシャ、T字ワッシャなど)を採用できる。但し、この例示に限定されず、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかの形状、構造は、複雑又は特殊であってもよい。
【0064】
図3Aは、実施形態に係る第1ワッシャ131の第1変形例を示す斜視図である。図3Bは、実施形態に係る第1ワッシャ131の第2変形例を示す斜視図である。図3Cは、実施形態に係る第1ワッシャ131の第3変形例を示す斜視図である。なお、図3Bでは、径方向に波打つ形状を理解し易くするため、軸方向から見た中心軸CAを通る仮想の平面で切断した第1ワッシャ131の断面を示している。
【0065】
たとえば、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130は、薄板が軸方向に積層された積層体であってもよい(図3Aから図3C参照)。なお、第2ワッシャ132では、少なくともフランジ部1321が積層体であってよい。
【0066】
こうすれば、軸方向における振動の伝達を抑制できるとともに、伝達する振動を減衰させることができる。また、積層体の構造(積層数、積層する板の厚さなど)を変化させることにより、上述の連結部材13による連結構造での固有振動数を(たとえば10Hz単位で)微調整できる。そのため、振動共振を防止し易い。従って、インペラ200とシャフト11との連結構造における振動の発生をさらに抑制できる。
【0067】
また、軸方向において、積層体が弾性体として機能することにより、連結部材13の構成要素(たとえばナット133)の緩みを抑制又は防止できる。
【0068】
また、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130は、径方向及び周方向のどちらかに向かって軸方向に波打つ波形の形状を有してもよい(図3B及び図3C参照)。なお、第2ワッシャ132では、フランジ部1321が波形の形状を有していればよい。
【0069】
こうすれば、波形の形状が軸方向における緩衝効果を奏する。従って、軸方向における振動の伝達を抑制できるとともに、伝達する振動を減衰させることができる。よって、上述の連結構造で生じる騒音を低減できる。
【0070】
また、軸方向において、波形の形状が弾性体として機能することにより、連結部材13の構成要素(たとえばナット133)の緩みを抑制又は防止できる。
【0071】
但し、図3Aから図3Cの例示は、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の両方が積層体でない構成を排除しないし、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132(のフランジ部1321)の両方が上述のように波打つ波形の形状を有さない構成を排除しない。
【0072】
また、本実施形態では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132はどちらも、円板部201に直接に接する。但し、この例示に限定されず、図2Bに示すように、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130と円板部201との間には、弾性部材134が配置されてもよい。つまり、送風装置500は、弾性部材134をさらに備えてもよい。たとえば、図2Bでは、連結部材13は、弾性部材134を有する。弾性部材134は、第1弾性部材1341と、第2弾性部材1342と、を含む。第1弾性部材1341は、第1ワッシャ131と円板部201との間に配置される。第2弾性部材1342は、円板部201と第2ワッシャ132(のフランジ部1321)との間に配置される。但し、図2Bの例示に限定されず、第1弾性部材1341及び第2弾性部材1342のどちらかは、省略されてもよい。こうすれば、弾性部材134によって、振動を減衰できる。従って、上述の連結構造で生じる騒音を低減できる。
【0073】
弾性部材134には、高い弾性を有する材料又は部材を採用できる。たとえば、弾性部材134は、シャフト11を囲むゴム製の環状部材(O-リングなど)とシリコン樹脂とのどちらかであってもよい。第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130と円板部201との間にO-リング又はシリコン樹脂を介在させることにより、上述の連結構造で生じる騒音を低減できる。但し、この例示は、弾性部材134が上述のようなゴム製の環状部材及びシリコン樹脂でない構成を排除しない。
【0074】
<1-3.実施形態の第1変形例>
次に、図4A及び図4Bを参照して、実施形態の第1変形例を説明する。図4Aは、実施形態の第1変形例に係る第1ワッシャ131の構成例を示す斜視図である。図4Bは、実施形態の第1変形例に係る第1ワッシャ131の他の構成例を示す斜視図である。
【0075】
第1変形例では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130の軸方向から見た形状が上述の実施形態とは異なる。以下では、第1変形例のうちの上述の実施形態と異なる構成を説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。なお、第1変形例の構成は、特に矛盾が生じない限りにおいて、上述の実施形態の構成と組み合わせ可能である。
【0076】
第1変形例では、第1ワッシャ131及び第2ワッシャ132の少なくともどちらかのワッシャ130は、軸方向から見て、n角形状(nは、3以上の奇数)である。たとえば、第1ワッシャ131の軸方向から見た形状は、図4Aでは三角形状であり、図4Bでは五角形状である。なお、図4A及び図4Bでは第1ワッシャ131のみを図示しているが、第2ワッシャ132(特にフランジ部1321)の軸方向から見た形状も、同様にn角形状(nは、3以上の奇数)であってもよい。
【0077】
送風装置500が駆動する際、円板部201に掛かる部分的な加振力の向きは、上述の少なくともどちらかのワッシャ130の軸方向から見た外形の辺部により異なる。たとえば、ワッシャ130の各々の辺部よりも径方向側方側にある円板部201の部分には、同じ向きの加振力が掛かる。ここで、ワッシャ130の外形が3以上の奇数角形であれば、円板部201が1直径節の振動モードで消滅することにより振動することを防止できる。なお、1直径節の振動モードとは、1本の直径線上での振幅が0となるとともに周方向における振動分布が1個の正弦波形状となる振動モードを指す。従って、送風装置500が駆動する際、上述の連結構造で1直径節の振動モードで生じる騒音を低減できる。
【0078】
なお、前述の如く、第2ワッシャ132は、外径の異なる複数のワッシャで構成できる。たとえば、第2ワッシャ132は、大径ワッシャと、大径ワッシャよりも外径が小さい小径ワッシャとで構成されてもよい。この場合、円板部201の軸方向他方端面に接する大径ワッシャの軸方向から見た形状が、n角形状(nは、3以上の奇数)であればよい。
【0079】
<1-4.実施形態の第2変形例>
次に、図5A及び図5Bを参照して、実施形態の第2変形例を説明する。図5Aは、実施形態の第2変形例に係る円板部201の構成例を示す斜視図である。図5Bは、実施形態の第2変形例に係る円板部201の他の構成例を示す斜視図である。
【0080】
第2変形例では、インペラ200の円板部201の構成が上述の実施形態及びその第1変形例とは異なる。以下では、第2変形例うちの上述の実施形態及びその第1変形例と異なる構成を説明する。また、上述の実施形態及びその第1変形例と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。なお、第2変形例の構成は、特に矛盾が生じない限りにおいて、上述の実施形態及びその第1変形例の構成と組み合わせ可能である。
【0081】
第2変形例では、インペラ200の円板部201は、軸方向に凹む凹部2011と、貫通孔2012と、を有する。貫通孔2012は、凹部2011の軸方向を向く底面から軸方向に延び、シャフト11が挿通される。なお、凹部2011は、円板部201の軸方向一方端面に配置されて軸方向他方Dbに凹んでもよいし、円板部201の軸方向他方端面に配置されて軸方向一方Daに凹んでもよい。
【0082】
凹部2011は、軸方向から見て、m角形状(mは、3以上の奇数)である。たとえば、凹部2011の軸方向から見た形状は、図5Aでは三角形状であり、図5Bでは五角形状である。こうすれば、送風装置500が駆動する際、円板部201に掛かる部分的な加振力の向きは、凹部2011の軸方向から見た外形の辺部により異なる。たとえば、凹部2011の各々の辺部よりも径方向側方側にある円板部201の部分には、同じ向きの加振力が掛かる。ここで、凹部2011の外形が3以上の奇数角形であれば、円板部201が1直径節の振動モードで振動することを防止できる。従って、送風装置500が駆動する際、上述の連結構造で1直径節の振動モードで生じる騒音を低減できる。
【0083】
なお、第2変形例では、第1ワッシャ131と第2ワッシャ132のフランジ部1321との少なくともどちらかは、省略されてもよい。つまり、円板部201の軸方向一方端面には、ナット133が直接に接してもよい。また、筒部1322(或いは、小径のワッシャ)が、円板部201の軸方向他方端面とベアリング31の内輪との間に配置されて、両者に接してもよい。但し、この例示は、第2変形例において、第1ワッシャ131及びフランジ部1321の両方が省略されない構成を排除しない。
【0084】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態とその第1変形例及び第2変形例とを説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態とその第1変形例及び第2変形例とに種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態とその第1変形例及び第2変形例とで説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0085】
<3.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態について総括的に述べる。
【0086】
たとえば、本明細書に開示されている送風装置は、
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと、
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記連結部材は、
前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる第1ワッシャと、
前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む第2ワッシャと、
を有し、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャのうちの少なくとも前記第1ワッシャの軸方向から見た外径の前記円板部の軸方向から見た外径に対する比は、0.35以上且つ0.55以下である構成(第1の構成)とされる。
【0087】
或いは、本明細書に開示されている送風装置は、
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと、
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記連結部材は、
前記円板部の軸方向一方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がる第1ワッシャと、
前記円板部の軸方向他方側に配置されて、前記シャフトを囲んで径方向に広がり、前記第1ワッシャとの間に前記円板部を挟む第2ワッシャと、
を有し、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、軸方向から見て、n角形状(nは、3以上の奇数)である構成(第2の構成)とされる。
【0088】
なお、第1又は第2の構成の送風装置は、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャの軸方向厚さの前記円板部の軸方向厚さに対する比は、1.2以上且つ1.5以下である構成(第3の構成)にしてもよい。
【0089】
また、第1から第3のいずれかの構成の送風装置は、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、薄板が軸方向に積層された積層体である構成(第4の構成)にしてもよい。
【0090】
また、第1から第4のいずれかの構成の送風装置は、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャは、径方向及び周方向のどちらかに向かって軸方向に波打つ波形の形状を有する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0091】
また、第1から第5のいずれかの構成の送風装置は、
前記第1ワッシャ及び前記第2ワッシャの少なくともどちらかのワッシャと前記円板部との間に配置される弾性部材をさらに備える構成(第6の構成)にしてもよい。
【0092】
また、第6の構成の送風装置は、
前記弾性部材は、前記シャフトを囲むゴム製の環状部材とシリコン樹脂とのどちらかである構成(第7の構成)にしてもよい。
【0093】
また、第1から第7のいずれかの構成の送風装置は、
前記シャフトを回転可能に保持する転がり軸受をさらに備え、
前記連結部材は、前記シャフトの軸方向一方端部に螺合されるナットをさらに有し、
前記第2ワッシャは、
前記シャフトを囲む円板形状のフランジ部と、
前記フランジ部の径方向内端部から軸方向他方に延びて前記シャフトを囲み前記転がり軸受の内輪に接する筒部と、
を有し、
前記ナットの螺合により、前記第1ワッシャ、前記円板部、及び前記第2ワッシャは、前記ナットと前記転がり軸受の内輪との間で軸方向に連結される構成(第8の構成)にしてもよい。
【0094】
若しくは、本明細書に開示されている送風装置は、
軸方向に延びる中心軸回りに回転可能なインペラと
前記インペラとともに回転可能なシャフトを有するモータと、
前記インペラを前記シャフトの軸方向一方端部に連結する連結部材と、
を備え、
前記インペラは、前記シャフトを囲んで径方向に広がる円板部を有し、
前記円板部は、
軸方向に凹む凹部と、
前記凹部の軸方向を向く底面から軸方向に延び、前記シャフトが挿通される貫通孔と、
を有し、
前記凹部は、軸方向から見て、m角形状(mは、3以上の奇数)である構成(第9の構成)とされる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、モータのシャフトに板状部材がナットの螺合により連結される装置に有用である。
【符号の説明】
【0096】
600・・・掃除機、500・・・送風装置、501・・・吸気口、502・・・送出口、503・・・風洞、100・・・モータ、200・・・インペラ、201・・・円板部、2011・・・凹部、2012・・・貫通孔、202・・・シュラウド、203・・・動翼、300・・・ディフューザ、400・・・外側筐体、401・・・第1外側筐体。402・・・第2外側筐体、403・・・静翼、1・・・ロータ、11・・・シャフト、12・・・マグネット、13・・・連結部材、130・・・ワッシャ、131・・・第1ワッシャ、132・・・第2・・・ワッシャ、1321・・・フランジ部、1322・・・筒部、133・・・ナット、134・・・弾性部材、1341・・・第1弾性部材、1342・・・第2弾性部材、2・・・ステータ、21・・・ステータコア、22・・・インシュレータ、23・・・コイル部、24・・・第1内部筐体、241・・・筒部、2411・・・雌螺子孔、242・・・蓋部、243・・・ベアリングホルダ、2431・・・ブッシュ、2432・・・ブッシュ保持部、25・・・第2内部筐体、251・・・蓋部、252・・・柱部、2521・・・貫通孔、253・・・ベアリングホルダ、2531・・・ブッシュ、2532・・・ブッシュ保持部、254・・・支持部、26・・・螺合部材、31,32・・・ベアリング、4・・・・ブラケット、41・・・底部、5・・・回路基板、F・・・気流、CA・・・中心軸、Da・・・軸方向一方、Db・・・軸方向他方
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図6