(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168702
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】電気接続箱用ブラケット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20241128BHJP
H02G 3/08 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/08 010
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085594
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】592172699
【氏名又は名称】株式会社東晃製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】横山 守政
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361AA06
5G361AB12
5G361AC01
5G361AE01
5G361BC03
(57)【要約】
【課題】油圧シリンダに電気接続箱を取り付けることのできる電気接続箱用ブラケットを提供する。
【解決手段】第一部材20は、電気接続箱15が固定される固定部21と、第一タイロッド支持部22と、フック部23と第一ボルト挿通部と、を備え、第二部材40は、ベース部41と、第二タイロッド支持部42と、ガイド溝部43と、第二ボルト挿通部46と、を備え、取り付け状態αで、第一ボルト挿通部と第二ボルト挿通部46とには、単一の固定ボルト51が挿通されてなり、第一タイロッド支持部22は一方のタイロッド11に圧接しており、第二タイロッド支持部42は他方のタイロッド12に圧接してなる電気接続箱用ブラケット1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並行した一対のタイロッドを備えた油圧シリンダに電気接続箱を取り付けるために当該タイロッドに取り付けられる電気接続箱用ブラケットであって、
前記タイロッドに取り付けられた取り付け状態で、前記電気接続箱が固定される第一部材と、前記第一部材に接続される第二部材と、を具備し、
前記第一部材は、
前記電気接続箱が、一側面部としての表面に固定される固定部と、
前記固定部の所定部位から、裏面側である前記油圧シリンダ側に突き出され、前記一対のタイロッドのうち一方のタイロッドに当接する第一タイロッド支持部と、
前記固定部の所定部位から前記油圧シリンダ側に突き出されたフック部と、
前記固定部と連続している第一ボルト挿通部と、
を備え、
前記第二部材は、
前記取り付け状態で、前記固定部の裏面側に配されるベース部と、
前記ベース部の所定部位から、前記固定部から離れるように前記油圧シリンダ側に突き出され、他方のタイロッドに当接する第二タイロッド支持部と、
前記ベース部と連続している第二ボルト挿通部と、
前記取り付け状態で、前記ベース部に形成されており、前記フック部が引っかかって前記第一部材に係止されるフック受け部と、
を備え、
前記取り付け状態で、前記第一ボルト挿通部と前記第二ボルト挿通部とには、単一の固定ボルトが挿通されてなるとともに、前記第一タイロッド支持部は前記一方のタイロッドに圧接しており、前記第二タイロッド支持部は他方のタイロッドに圧接してなり、前記フック部が前記フック受け部に係止されて前記第一部材と第二部材とが接続されてなる
ことを特徴とする電気接続箱用ブラケット。
【請求項2】
前記フック受け部は、前記一対のタイロッドが並ぶ方向をガイド方向とされたガイド部によって構成されており、前記フック部が前記ガイド部のガイド方向に沿って移動自在とされてなる
請求項1に記載の電気接続箱用ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイロッドを備えた油圧シリンダに電気接続箱を取り付けるための電気接続箱用ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に開示されている電気接続箱用ブラケットのような、被固定部材に電気接続箱を取り付けるために用いられるものが知られている。特許文献1の電気接続箱用ブラケットは主に車体パネル等の自動車部品に対して用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばストレッチベンダー機のような、油圧シリンダ部材を備え、当該油圧シリンダ部材が他の部材と合わせて大きく回旋する機械装置において、当該油圧シリンダ部材に電気接続箱を設置したいという要望が従来からあった。
【0005】
そこで本発明は、油圧シリンダに電気接続箱を取り付けることのできる電気接続箱用ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、並行した一対のタイロッドを備えた油圧シリンダに電気接続箱を取り付けるために当該タイロッドに取り付けられる電気接続箱用ブラケットであって、前記タイロッドに取り付けられた取り付け状態で、前記電気接続箱が固定される第一部材と、前記第一部材に接続される第二部材と、を具備し、前記第一部材は、前記電気接続箱が、一側面部としての表面に固定される固定部と、前記固定部の所定部位から、裏面側である前記油圧シリンダ側に突き出され、前記一対のタイロッドのうち一方のタイロッドに当接する第一タイロッド支持部と、前記固定部の所定部位から前記油圧シリンダ側に突き出されたフック部と、前記固定部と連続している第一ボルト挿通部と、を備え、前記第二部材は、前記取り付け状態で、前記固定部の裏面側に配されるベース部と、前記ベース部の所定部位から、前記固定部から離れるように前記油圧シリンダ側に突き出され、他方のタイロッドに当接する第二タイロッド支持部と、前記ベース部と連続している第二ボルト挿通部と、前記取り付け状態で、前記ベース部に形成されており、前記フック部が引っかかって前記第一部材に係止されるフック受け部と、を備え、前記取り付け状態で、前記第一ボルト挿通部と前記第二ボルト挿通部とには、単一の固定ボルトが挿通されてなるとともに、前記第一タイロッド支持部は前記一方のタイロッドに圧接しており、前記第二タイロッド支持部は他方のタイロッドに圧接してなり、前記フック部が前記フック受け部に係止されて前記第一部材と第二部材とが接続されてなることを特徴とする電気接続箱用ブラケットである。
【0007】
かかる構成にあっては、油圧シリンダに備えられた一対のタイロッドに圧接する態様で電気接続箱用ブラケットが取り付けられるものであるため、動作時に油圧シリンダのシリンダ本体部が加熱したとしても、上述の位置に取り付けられた電気接続箱は熱による動作不良等の不具合が発生しにくくなる。また、タイロッドの所定部位に電気接続箱用ブラケットが固定されるため、油圧シリンダの両端部に配置されている他の部品や部材との干渉を回避しやすい利点がある。さらに、油圧シリンダに電気接続箱を取り付けることによって、電気配線の交換の利便性が向上する。
【0008】
また、前記フック受け部は、前記一対のタイロッドが並ぶ方向をガイド方向とされたガイド部によって構成されており、前記フック部が前記ガイド部のガイド方向に沿って移動自在とされてなる構成が提案される。
【0009】
かかる構成とすることにより、フック部をガイド部に沿ってスライド移動させて第一部材と第二部材との相対位置を変更することができることとなる。したがって、一対のタイロッドの離間距離が異なるサイズ違いの油圧シリンダに当該ブラケットを付け替える場合にも、タイロッドの間隔に合わせて第一部の第一タイロッド支持部と、第二部材の第二タイロッド支持部との離間距離を変更して所望のタイロッドにブラケットを適正に固定することができる。これにより、サイズのことなる電気接続箱用ブラケットを多数製造する必要がなくなる利点がある。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気接続箱用ブラケットは、油圧シリンダに容易に電気接続箱を取り付けることのできる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例にかかる電気接続箱用ブラケットを油圧シリンダに取り付けた状態を示す部分斜視図である。
【
図2】実施例にかかる電気接続箱用ブラケットを油圧シリンダに取り付けた状態を示す説明図である。
【
図3】実施例にかかる第一部材の斜視図であり、(a)は上方から視た図であり、(b)は下方から視た図である。
【
図4】実施例にかかる第二部材の斜視図であり、(a)は上方から視た図であり、(b)は下方から視た図である。
【
図5】(a)は、相対的に小さな寸法の油圧シリンダに電気接続箱用ブラケットを取り付けた状態を示す説明図であり、(b)は、相対的に大きな寸法の油圧シリンダに電気接続箱用ブラケットを取り付けた状態を示す説明である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、実施例に従って説明する。なお本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜、設計変更が可能である。また便宜上、実施例において上下を規定して説明しているが、これによって本発明が限定されるものではない。
【0013】
図1、
図2に示すように、電気接続箱用ブラケット1(以下、単にブラケット1ともいう)は、例えば油圧シリンダ10に備えられた4本のタイロッド11,12,13,14のうち、互いに並行で隣接した一対のタイロッド11,12に取り付けられる。また電気接続箱15は、ブラケット1に取り付けられた状態で油圧シリンダ10に固定されることとなる。
【0014】
以下、
図2に示した正面図において、ブラケット1を基準として油圧シリンダ10側を下方とし、これに対して電気接続箱15側を上方とし、さらに、一方のタイロッド11側を左方とし、これに対して他方のタイロッド12側を右方として説明する。また、ブラケット1が油圧シリンダ10に固定された状態を取り付け状態αとして説明する。
【0015】
ブラケット1は、一方のタイロッド11に圧接する第一部材20と、他方のタイロッド12に圧接する第二部材40と、を備えている。
【0016】
第一部材20は、
図3に示すように、例えば平板形状の固定部21を備えている。そして、固定部21の一側面部である表面21a(上側の面)に電気接続箱15が固定されることとなる。
【0017】
一方、固定部21の左端部からは、裏面側である油圧シリンダ10側に突き出されるように第一タイロッド支持部22が形成されている。そして、第一タイロッド支持部22の先端部は、タイロッド11の周面形状に対応した半筒形状を有しており、タイロッド11に左側から当接することとなる。
【0018】
また、固定部21の裏面(下側の面)からは、下向き(油圧シリンダ10側)に向かって一対のフック部23,24が並行して突き出されている。なお、一対のフック部23,24の各先端部は、互いに離れる方向に折曲加工されてなり、フック機能を有した形状となっている。
【0019】
さらに、固定部21の右端部には、第一舌片部25が下向きに突出形成されており、第一舌片部25には左右方向に貫通する孔形状の第一ボルト挿通部26が形成されている。すなわち、第一ボルト挿通部26は固定部21と連続するように一体的に設けられている。
【0020】
また、固定部21には予め、取り付けられる電気接続箱15用の取り付けネジ孔部31,32,33が複数形成されている。
【0021】
次に、第二部材40について説明する。
第二部材40は、
図4に示すように、油圧シリンダ10に取り付けられた取り付け状態αで第一部材20の固定部21の裏面側に配される平板状のベース部41を備えている。
【0022】
そして、ベース部41の右端部には、第二タイロッド支持部42が油圧シリンダ10側に突き出されるように形成されている。ここで、第二タイロッド支持部42の先端形状は、タイロッド12の周面形状に対応した半筒形状を有しており、タイロッド12に右側から当接する。
【0023】
また、ベース部41にあって、取り付け状態αでフック部23,24の位置と対応する位置に、ガイド部としてのガイド溝部43,44が形成されている。これらのガイド溝部43,44は、タイロッド11,12が並ぶ方向(左右方向)に沿って形成されており、本発明にかかるフック受け部を構成している。そして、前記フック部23,24の先端部が、ガイド溝部43,44に係止することで、第二部材と第一部材とが係止されている。
【0024】
さらに、ベース部41の右端部には、第二舌片部45が上方向に向かって突き出すように形成されている。そして、第二舌片部45には、左右方向に貫通する第二ボルト挿通部46が形成されている。なお、第二ボルト挿通部46は、ベース部41と連続している構造となっている。
【0025】
次に、取り付け状態αについて詳述する。
取り付け状態αにおいて、第一部材20の第一タイロッド支持部22は、タイロッド11に当接し、かつ第二部材40の第二タイロッド支持部42は、タイロッド12に当接している。また、フック部23,24の先端部がガイド溝部43,44に引っかかっており、これにより、第二部材40が第一部材20に係止されている。
【0026】
さらに取り付け状態αにおいて、第一ボルト挿通部26と第二ボルト挿通部46には単一の固定ボルト51が挿通されており、第一部材20と第二部材40とが相対移動不能となっている。また、固定ボルト51の締め付け作業によって第一タイロッド支持部22と第二タイロッド支持部42とが互いに近づく方向に付勢されており、このためタイロッド11に第一タイロッド支持部22が圧接され、タイロッド12に第二タイロッド支持部42が圧接されている。かかる構成により、ブラケット1がタイロッド11,12に強固に固定されている。
【0027】
次に、ブラケット1を、異なる大きさの油圧シリンダに取り付ける手順を説明する。
図5に示すように、タイロッドの並ぶ方向に沿ってガイド溝部43,44が形成されているところ、第一部材20と第二部材40の相対位置を変更することにより、タイロッドの離間距離が異なる構造の油圧シリンダに対して、容易に取り付けることができる。
【0028】
上記した実施例において、各部の寸法形状は適宜自由に選択可能である。
例えば、ブラケット1に関しては一対のタイロッド11,12を外側から圧接する形で固定していたが、内側から圧接する形で固定する構成であってもよい。すなわち、第一タイロッド支持部がタイロッド11の右側に当接し、第二タイロッド支持部がタイロッド12の左側に当接して互いに離開する方向に付勢される構成であっても構わない。
また、例えばフック部23,24を固定部21の外縁部に形成し、ガイド溝部43,44に相当する部分をベース部41の外縁部としてフック部23,24の先端部でベース部41を挟むような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 電気接続箱用ブラケット
10 油圧シリンダ
11,12,13,14 タイロッド
15 電気接続箱
20 第一部材
21 固定部
21a 表面
22 第一タイロッド支持部
23,24 フック部
25 第一舌片部
26 第一ボルト挿通部
31,32,33 取り付けネジ孔部
40 第二部材
41 ベース部
42 第二タイロッド支持部
43,44 ガイド溝部(ガイド部、フック受け部)
45 第二舌片部
46 第二ボルト挿通部
51 固定ボルト
α 取り付け状態