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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168711
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】分級装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/04 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B07B13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085607
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】308024395
【氏名又は名称】荏原環境プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】河岸 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】中川 智美
(72)【発明者】
【氏名】小沢 亮祐
【テーマコード(参考)】
4D021
【Fターム(参考)】
4D021JA13
4D021JB10
4D021KA12
4D021KB04
4D021LA01
4D021LA15
4D021NA10
(57)【要約】
【課題】粒状物を含む混合物を振動させず、小さい分級点を達成することができるメンテナンスフリーの分級装置を提供する。
【解決手段】分級装置は、一対の無端チェーン12,12に所定間隔で取り付けられた複数のスクレーパ7と、無端チェーン12,12の下方で、無端チェーン12,12に沿って配置された底板35と、底板35に取り付けられ、無端チェーン12,12に沿って延びる複数の分級バー37と、を備える。各スクレーパ7は、その先端部に形成された複数のスクレーピング歯39を有しており、分級バー37は、チェーン駆動装置1の駆動により移動するスクレーパ7のスクレーピング歯39の側面と所定の分級隙間を開けて対向する側面を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状物および粗大物を大きさに従って分類する分級装置であって、
一対の駆動輪、前記一対の駆動輪よりも低いかまたは高い位置に配置された一対の従動輪、前記駆動輪と前記従動輪とに掛け渡された一対の無端チェーン、および前記駆動輪に連結された駆動機を含むチェーン駆動装置と、
前記一対の無端チェーンに取り付けられた複数のスクレーパと、
前記無端チェーンの下方で、前記無端チェーンに沿って配置された、傾斜した底板と、
前記底板に取り付けられ、前記無端チェーンに沿って延びる複数の分級バーと、を備え、
前記複数のスクレーパは、それぞれ、その先端部に形成された複数のスクレーピング歯を有しており、
前記分級バーは、前記チェーン駆動装置の駆動により移動する前記スクレーパのスクレーピング歯の側面と所定の分級隙間を開けて対向する側面を有する、分級装置。
【請求項2】
前記スクレーピング歯は、前記無端チェーンの進行方向に開いたV字状または円弧状の横断面を有する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項3】
前記スクレーピング歯は、前記底板と離間した底面を有する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項4】
粗スクレーパをさらに備え、
粗スクレーパの先端に形成された粗スクレーピング歯は、前記分級隙間よりも大きな隙間を開けて前記分級バーの側面と対向する側面を有する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項5】
前記分級バーの上面に取り付けられ、前記分級バーの幅よりも大きな幅を有するワイドバーをさらに備え、
前記ワイドバーは、前記スクレーパのスクレーピング歯の側面に近接する側面を有する、請求項1に記載の分級装置。
【請求項6】
前記分級バーは、耐摩耗鋼から形成される、請求項1に記載の分級装置。
【請求項7】
前記スクレーパには、硬化処理が施されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の分級装置。
【請求項8】
前記スクレーピング歯に取り付けられた交換歯をさらに備え、
前記交換歯は、耐摩耗鋼から構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の分級装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物および粗大物を大きさに従って分類する分級装置に関し、例えば、流動床炉から排出される流動媒体と不燃物とを分ける用途に好適な分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却炉、熱分解炉、ガス化炉などに使用される流動床炉では、流動媒体として砂が使用される。不燃物(ワイヤー、石、金属類)が炉内に蓄積すると流動不良が発生するため、砂と共に不燃物を炉の底部から抜き出して、振動篩により砂と不燃物が分離される。振動篩の分級点は2.5mm~5mm程度である。振動篩は流動床炉に欠かせない機器であるが、以下の問題点がある。
【0003】
1.振動によって発塵し、有害な粉塵が飛散して作業環境を悪化させるおそれがある。
2.入口と出口との間で振動が伝達するのを防ぐため、エキスパンションジョイントが設置されるが、このエキスパンションジョイントは振動により損傷しやすく、粉塵が外部に漏れることがある。耐振動型のエキスパンションジョイントも存在するが、このタイプは一般に高価である。
3.運転中、振動篩の全体が振動するため、振動篩の周囲の構造物が振動する。このような振動を防止するためには、周囲の構造物自体の剛性を上げる必要があり、コストが上昇する。
4.不燃物の量や形状にもよるが、振動篩の網の目詰まりによる網の清掃が頻繁に必要であり、運転員の負荷となる。
【0004】
振動しない篩装置として、傾斜した複数のバーによって砂と不燃物を分けるバースクリーン型、連続して並ぶ複数のディスクを回転させながら、これらディスクの上に砂と不燃物を投入するディスクスクリーン型、所定の穴を開けた回転ドラムによって砂と不燃物を分けるトロンメル型などがある。これらのタイプは、振動しない点で有利であるが、ワイヤなどの細長いものが引っかかりやすく、やはり清掃およびメンテナンスが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-293442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、粒状物を含む混合物を振動させず、小さい分級点を達成することができるメンテナンスフリーの分級装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、粒状物および粗大物を大きさに従って分類する分級装置であって、一対の駆動輪、前記一対の駆動輪よりも低いかまたは高い位置に配置された一対の従動輪、前記駆動輪と前記従動輪とに掛け渡された一対の無端チェーン、および前記駆動輪に連結された駆動機を含むチェーン駆動装置と、前記一対の無端チェーンに取り付けられた複数のスクレーパと、前記無端チェーンの下方で、前記無端チェーンに沿って配置された、傾斜した底板と、前記底板に取り付けられ、前記無端チェーンに沿って延びる複数の分級バーと、を備え、前記複数のスクレーパは、それぞれ、その先端部に形成された複数のスクレーピング歯を有しており、前記分級バーは、前記チェーン駆動装置の駆動により移動する前記スクレーパのスクレーピング歯の側面と所定の分級隙間を開けて対向する側面を有する、分級装置が提供される。
【0008】
一態様では、前記スクレーピング歯は、前記無端チェーンの進行方向に開いたV字状または円弧状の横断面を有する。
一態様では、前記スクレーピング歯は、前記底板と離間した底面を有する。
一態様では、前記分級装置は、粗スクレーパをさらに備え、粗スクレーパの先端に形成された粗スクレーピング歯は、前記分級隙間よりも大きな隙間を開けて前記分級バーの側面と対向する側面を有する。
【0009】
一態様では、前記分級装置は、前記分級バーの上面に取り付けられ、前記分級バーの幅よりも大きな幅を有するワイドバーをさらに備え、前記ワイドバーは、前記スクレーパのスクレーピング歯の側面に近接する側面を有する。
一態様では、前記分級バーは、耐摩耗鋼から形成される。
一態様では、前記スクレーパには、硬化処理が施されている。
一態様では、前記分級装置は、前記スクレーピング歯に取り付けられた交換歯をさらに備え、前記交換歯は、耐摩耗鋼から構成されている。
【発明の効果】
【0010】
上記した態様によれば、粒状物を振動させないので、粉塵が舞い上がることがない。また、分級バーとスクレーピング歯との間に形成される分級隙間は小さくできるので、従来の振動篩と同等又はそれ以下の分級点を達成することができる。底板を通過したスクレーパのスクレーパ歯は分級バーから解放され、分級隙間に挟まった物体が自然落下するので、メンテナンスフリーの分級装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、図1に示す分級装置を模式的に示す上面図である。
図3図3は、一実施形態に係る底板を示す上面図である。
図4図4は、一実施形態に係るスクレーパの先端を模式的に示す拡大図である。
図5図5は、図4に示すスクレーピング歯が隣接する分級バーの間に挿入された様子の一例を模式的に示す拡大図である。
図6図6は、他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図である。
図7図7は、他の実施形態に係る分級バーのスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図である。
図8図8(a)は、さらに他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図であり、図8(b)は、図8(a)に示すスクレーパの先端を模式的に示す上面図である。
図9図9(a)は、図8(a)および図8(b)に示すスクレーピング歯の変形例を示す模式図であり、図9(b)は、図9(a)のA線矢視図である。
図10図10(a)は、さらに他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図であり、図10(b)は、図10(a)に示すスクレーパの先端を模式的に示す上面図である。
図11図11は、他の実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図である。
図12図12は、粗スクレーパの粗スクレーピング歯が隣接する分級バーの間に挿入された様子の一例を模式的に示す拡大図である。
図13図13は、さらに他の実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
分級装置は、粒状物および粗大物を大きさに従って分類する用途に使用される。粒状物および粗大物の例としては、流動床炉に使用される流動媒体としての砂と、流動床炉に投入された原料に含まれる不燃物が挙げられる。以下の説明では、砂と不燃物を粒状物および粗大物の例として用いるが、本発明は以下の実施形態に限定されず、砂と不燃物以外の粒状物および粗大物が分類の対象であってもよい。
【0013】
図1は、一実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図であり、図2は、図1に示す分級装置を模式的に示す上面図である。図1では、後述する側板フレーム3,3の図示を省略しており、図2では、後述するクリーナー46の図示を省略している。
【0014】
図1および図2に示す分級装置は、所定の間隔を隔てて配置される一対の側板フレーム3,3と、側板フレーム3,3の間に配置されるチェーン駆動装置1と、を備える。一対の側板フレーム3は、互いに平行に配列される。チェーン駆動装置1は、一対の駆動輪15,15と、一対の従動輪16,16と、駆動輪15と従動輪16とに掛け渡された一対の無端チェーン12,12と、を少なくとも含んでいる。一方の無端チェーン12は、一方の駆動輪15および従動輪16との組み合わせに掛け渡され、他方の無端チェーン12は、他方の駆動輪15および従動輪16との組み合わせに掛け渡される。一対の無端チェーン12は、互いに平行に、かつ粒状物および粗大物を含む混合物の搬送方向に延びている。
【0015】
駆動輪15,15は、駆動軸25に固定されており、駆動軸25と一体に回転可能になっている。駆動軸25の一方の端部は、一方の駆動輪15を貫通して延びて駆動源17に連結されている。駆動機17は、駆動輪15,15を予め定められた方向に、予め定められた速度で回転させるように構成されている。
【0016】
従動輪16,16は、支持軸26に固定されており、支持軸26と一体に回転可能になっている。従動輪16,16は、鉛直方向で見て駆動輪15,15よりも下方に位置する。一実施形態では、従動輪16を駆動輪15よりも上方位置に配置してもよい。しかしながら、その場合、分級する部分の無端チェーン12のテンションが緩み、分級隙間が変動するおそれがあるため、従動輪16を、駆動輪15の下方位置に配置するほうが好ましい。駆動輪15および従動輪16の例としては、スプロケットが挙げられる。無端チェーン12の例としては、プレートリンクチェーンなどのリンク無端チェーンが挙げられる。駆動源17の例としては、電動機、電動機とインバータとの組み合わせ、電動機と変速ギヤとの組み合わせが挙げられる。
【0017】
駆動源17を駆動すると、駆動軸25および駆動輪15,15が回転して、駆動輪15,15から無端チェーン12,12に駆動力が伝達される。この動作によって、無端チェーン12,12が移動を開始する。無端チェーン12,12の移動に伴い、従動輪16,16も支持軸26周りに回転を開始し、無端チェーン12,12が駆動輪15,15と従動輪16,16の間を循環する。このようにして、無端チェーン12,12は無端軌道上を循環する。
【0018】
図1に示す無端軌道は、従動輪16から駆動輪15まで斜め上方に無端チェーン12が移動する下部軌道と、駆動輪15から従動輪16まで斜め下方に無端チェーン12が移動する上部軌道と、上部軌道から下部軌道に無端チェーン12が移動する第1回動軌道と、下部軌道から上部軌道に無端チェーン12が移動する第2回動軌道と、によって構成されている。
【0019】
分級装置は、無端チェーン12,12の下方に配置される傾斜した底板35をさらに有している。図1に示す底板35は、上記した下部軌道よりも下方に配置されており、無端軌道の外側に配置されている。底板35は、鉛直断面で見たときに、駆動輪15から従動輪16まで無端チェーン12,12に沿って延びている(図1参照)。すなわち、底板35は、駆動輪15から従動輪16まで無端チェーン12,12に沿って斜めに配置されている。さらに、底板35を平面視したときに、底板35は、一対の駆動輪15,15、および一対の従動輪16,16の外側まで延びている(図2参照)。なお、底板35の傾斜角度は、分級対象物の安息角以上であるのが好ましい。例えば、分級対象物が砂の場合、底板35の傾斜角度は、30°~45°の範囲にあるのが好ましい。
【0020】
図3は、一実施形態に係る底板を示す上面図である。図3では、発明の理解のために分級バー37にハッチングを付している。図3に示すように、底板35の上面には、複数の分級バー37が取り付けられている。分級バー37は、図1および図2に示す無端チェーンと平行に、かつ互いに平行に、底板35の一方の端部から他方の端部まで延びている。分級バー37は、その先端から後端まで一定の幅(無端チェーン12,12と垂直な方向の距離)を有する。
【0021】
図1および図2に戻り、分級装置は、チェーン駆動装置1の上方に配置されたフィーダー(例えば、ホッパ)30を有しており、該フィーダー30の供給口は底板35の上面と対向している。分級対象物である粒状物および粗大物を含む混合物は、フィーダー30から底板35に向けて供給される。
【0022】
さらに、分級装置は、無端チェーン12,12に取り付けられた複数のスクレーパ7を有している。複数のスクレーパ7は、所定の間隔を開けて無端チェーン12,12上に配列される。本実施形態では、各スクレーパ7は、無端チェーン12,12に取り付けられたスクレーパ7の後端から先端まで、無端チェーン12,12の進行方向に対して垂直に、かつ無端軌道の外側に向けて延びている。
【0023】
図4は、一実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図である。図4に示すように、スクレーパ7は、板体であるスクレーパ本体38と、スクレーパ本体38の先端から突出する複数のスクレーピング歯39と、から構成される。すなわち、スクレーパ7の先端には、複数のスクレーピング歯39が形成される。スクレーパ本体38は、例えば、L字状の板体である。
【0024】
本実施形態では、スクレーピング歯39は、スクレーパ本体38と一体に構成されている。しかしながら、本実施形態は、この例に限定されない。例えば、スクレーピング歯39を、スクレーパ本体38とは別体で作成し、スクレーパ本体38にねじなどの固定具で固定してもよい。この場合、スクレーピング歯39のみを容易に交換することができる。さらに、スクレーピング歯39のみを高価な硬化材料で作成することで、スクレーパ7の作成コストを抑えつつ、スクレーパ7の交換寿命を伸ばすことができる。
【0025】
複数のスクレーピング歯39は、等間隔に配列されている。各スクレーピング歯39は、スクレーパ7を無端チェーン12,12の無端軌道に沿って移動させたときに、底板35に取り付けられた隣接する分級バー37の間に挿入されるように構成されている。言い換えれば、各スクレーピング歯39の幅(無端チェーン12,12と垂直な方向の距離)および位置、および/または分級バー37の幅(無端チェーン12,12と垂直な方向の距離)および位置は、スクレーピング歯39が底板35に取り付けられた隣接する分級バー37の間に、所望の隙間を形成しながら挿入可能なように設定されている。
【0026】
図5は、図4に示すスクレーピング歯が隣接する分級バーの間に挿入された様子の一例を模式的に示す拡大図である。図5に示すように、スクレーピング歯39の両側面は、分級バー37の側面と隙間G1を開けて対向している。この隙間G1は、スクレーパ7が無端チェーン12,12の移動(循環)にともなって底板35上を移動する際に、フィーダー30から供給された混合物を粒状物と、粗大物とに分級するための分級隙間として機能する。すなわち、スクレーピング歯39が分級バー37の間を通過する際に、上記混合物中の粒状物は隙間G1を通って、底板35の傾斜に沿って自然落下し、次のスクレーパ7に達する。粒状物は、次のスクレーパ7でも隙間G1を利用して分級され、この分級処理を繰り返しながら、底板35の低い方の端部に達する。底板35の低い方の端部の下方には、粒状物シュート40(図1参照)が設けられており、粒状物は、底板35の低い方の端部から落下して、粒状物シュート40から回収される。
【0027】
一方で、上記混合物に含まれる粗大物は、分級隙間として機能する隙間G1を通過することができない。そのため、粗大物は、循環する無端チェーン12,12に取り付けられたスクレーパ7によって底板35の高い方の端部まで運ばれる。底板35の高い方の端部の下方には、粗大物シュート41(図1参照)が設けられており、粗大物は、底板35の高い方の端部から落下して、粗大物シュート41から回収される。
【0028】
このようにして、底板35上で供給された混合物は、粒状物と粗大物とに分離される。スクレーピング歯39の幅、分級バー37の幅、および隣接する分級バー37間の距離のいずれか、またはいくつかを、分級対象物である粒状物または粗大物の大きさに応じて設定することで、所望の分級隙間で混合物から粒状物と粗大物とを分離することができる。無端チェーン12,12の進行方向に対する隙間G1の大きさ(距離)は、分級対象の粒状物の大きさよりも若干小さいことが好ましく、例えば、1mm~5mmの範囲内である。
【0029】
本実施形態の分級装置によれば、粒状物を振動させないので、粉塵が舞い上がることがない。さらに、分級バー37とスクレーピング歯39との間に形成される隙間(分級隙間)G1を任意に設定できるので、従来の振動篩と同等又はそれ以下の分級点を達成することができる。隙間G1を通過した粒状物は、底板35の低い方の端部から落下し、粗大物はスクレーパ7によって底板35の傾斜面上を搬送されて、底板35の高い方の端部から落下する。さらに、スクレーパ7が底板35から離脱すると、スクレーピング歯39は、分級バー37から開放されるので、隣接するスクレーピング歯39の間の一部に挟まった粒状物、粗大物が自然落下し、これらを除去する頻度が低くなる。そのため、メンテナンスフリーの分級装置を提供することができる。
【0030】
図5に示すスクレーピング歯39の底面は、底板35の上面から離間している。言い換えれば、スクレーピング歯39と底板35との間には隙間G2が形成されている。この隙間G2は、混合物に含まれる粒状物が通過可能な大きさを有しているのが好ましく、例えば、分級隙間として機能する隙間G1とほぼ同じ大きさを有する。このような隙間G2を設けることで、スクレーピング歯39と分級バー37との間に粒状物および/または粗大物が挟まってスクレーパ7のスムーズな移動を阻害することが効果的に防止されるとともにスクレーピング歯39上に残留している粒状物を通過させ、粗大物を粗大物シュート41側へ排出することが可能となる。当然ながら、粒状物の大きさ、粗大物の大きさ、および隙間G1の大きさなどの条件次第で、隙間G2を省略して、スクレーピング歯39の底面を底板35の上面に接触させてもよい。
【0031】
分級処理時に分級バー37および底板35に接触する粒状物および粗大物に起因して、分級バー37および底板35が摩耗することが懸念される。そのため、分級バー37および底板35は、好ましくは耐摩耗鋼から形成される。この理由は、底板35および分級バー37は板状体または棒状体であるため、微細な加工が困難である耐摩耗鋼でも作成が容易であること、および底板35の交換には大きな時間と労力を必要とするため、できる限り底板35の交換を避けたいためである。
【0032】
同様に、スクレーパ7も、粒状物および粗大物に起因して摩耗することが懸念されるが、スクレーパ7は、好ましくは、ステンレス鋼、および圧延鋼などの比較的安価な鋼材から形成される。この理由は、スクレーパ7には、スクレーピング歯39を形成する必要があり、耐摩耗鋼などの硬度の非常に高い材料では加工が困難であること、および無端チェーン12,12からのスクレーパ7の交換が容易であるためである。スクレーパ7を安価な鋼材で製造することで、分級装置の製造コストを低減できる。
【0033】
スクレーパ7の耐摩耗対策として、スクレーパ7に、硬化処理を施してもよい。硬化処理の例としては、窒化処理、溶射処理、および硬化肉盛処理が挙げられる。さらに、硬化処理が施されたスクレーピング歯39をスクレーパ本体38とは別体で作成して、スクレーパ本体38に取り付けてもよい。この場合、特に摩耗が懸念されるスクレーピング歯39のみに硬化処理が施されるので、分級装置の製造コストをさらに低減することができるし、摩耗したスクレーピング歯39のみの交換で分級装置の運転が可能であるため、分級装置のランニングコストの低減も期待できる。なお、耐摩耗鋼で製造されたスクレーピング歯39をスクレーパ本体38に取り付けてもよい。
【0034】
図1および図2に戻り、分級装置は、底板35の上方に配置された無端チェーン12の移動を案内する一対の案内板45,45を備えていてもよい。案内板45,45は、無端チェーン12を挟むように無端チェーン12に沿って延びている。案内板45,45によって、無端チェーン12の移動が安定し、適切な分級処理を行うことができる。なお、案内板45は、ボルトなどの固定具を用いて側板フレーム3に固定し、無端チェーン12および/または底板35に対して上下方向に調整可能にすることが望ましい。
【0035】
さらに、分級装置は、隣接するスクレーピング歯39の間の隙間を清掃するクリーナー46を備えていてもよい。クリーナー46は、隣接するスクレーピング歯39の間の隙間に対応する櫛歯(図示せず)を有している。スクレーピング歯39がクリーナー46を通過する際に、各櫛歯が隣接するスクレーピング歯39の間の各隙間に挿入されて、スクレーパ7を清掃することができる。クリーナー46によって、スクレーピング歯39から自然落下しなかった粗大物、粒状物を強制的に落下させることができ、スクレーピング歯39のメンテナンス頻度をさらに低下させることができる。
【0036】
図6は、他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図である。図6に示す分級バー37は、底板35から上方に向かって徐々に細くなる略三角形状の縦断面を有する。スクレーパ7のスクレーピング歯39は、分級バー37の縦断面形状に対応して、底板35に向かって徐々に細くなる略台形形状に形成される。なお、分級バー37は、底板35から上方に向かって徐々に細くなる略台形形状の縦断面を有していてもよいし、スクレーパ7のスクレーピング歯39は、底板35に向かって徐々に細くなる略三角形状の縦断面を有していてもよい。このような形状により、スクレーピング歯39と分級バー37の間に粒状物または粗大物が挟まったときに、スクレーパ7が底板35に対して上下方向に移動する力が発生するので、スクレーパ7がスムーズに動くことが期待できる。
【0037】
このような構成でも、分級装置は、上述の実施形態と同様の効果を達成することができる。すなわち、粒状物を振動させずに、混合物から粗大物と粒状物とを分離することができるので、分級処理時に、粉塵が舞い上がることがない。さらに、分級バー37とスクレーピング歯39との間に形成される隙間(分級隙間)G1を任意に設定できるとともに、メンテナンスフリーの分級装置を提供することができる。
【0038】
図7は、他の実施形態に係る分級バーのスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図である。図7に示すように、分級装置は、分級バー37の上面に取り付けられ、該分級バー37の幅(無端チェーン12,12と垂直な方向の距離)よりも大きな幅を有するワイドバー48をさらに備えていてもよい。ワイドバー48は、スクレーパ7のスクレーピング歯39の側面に近接する側面を有する。ワイドバー48によって、分級処理時に底板35上を移動するスクレーパ7の幅方向の移動が制限または案内されるので、適切な分級隙間を確保することができる。
【0039】
図8(a)は、さらに他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図であり、図8(b)は、図8(a)に示すスクレーパの先端を模式的に示す上面図である。図8(a)および図8(b)に示すスクレーパ7のスクレーピング歯39は、無端チェーン12,12の進行方向に向かって開いたV字状の横断面を有し、その上端部で、無端チェーン12,12の進行方向の下流側のスクレーパ本体38の側面に取り付けられている。
【0040】
このような横断面を有するスクレーピング歯39を用いて分級処理を行うと、粗大物がスクレーピング歯39のV字状の凹部に留まる一方で、粒状物がV字状のスクレーピング歯39の両先端部から隙間G1に溢れて分級処理が進行する。この場合、粗大物が隙間G1に挟まって、スクレーパ7の移動を阻害することが効果的に防止される。また、V字状の凹部に残留した混合物は、粒状物のみ隙間G2から排出されるため、分級処理が阻害されることがない。すなわち、無端チェーン12,12の進行方向に向かって開いたV字状の横断面を有するスクレーピング歯39を用いると、スクレーパ7がスムーズに分級バー37の間を移動することができる。その結果、分級処理が混合物の詰まりによって妨げられることがない。
【0041】
図8(a)および図8(b)に示すように、スクレーパ7は、スクレーパ本体38の側面とスクレーピング歯39の上端部とによって形成された略三角形状の開口を塞ぐ蓋体55をさらに備えているのが好ましい。本実施形態では、蓋体55は、スクレーパ本体38の最下端部に取り付けられている。この蓋体55によって、スクレーパ本体38の側面とスクレーピング歯39の内面により形成された略三角柱状の空間に、混合物中の砂利や針金状の異物が侵入してはさまることを防止できる。当然ながら、蓋体55をスクレーパ7から省略してもよい。
【0042】
一実施形態では、スクレーパ7は、スクレーパ本体38の側面と、スクレーピング歯39の頂部と、によって形成される略三角形状の開口を塞ぐカバー56を有していてもよい(図8(a)参照)。カバー56によって、フィーダー30(図1参照)から投入された混合物が蓋体55の上でスクレーパ本体38の側面と、スクレーピング歯39の内面により形成された略三角柱状の空間に侵入および堆積することが防止される。
【0043】
図9(a)は、図8(a)および図8(b)に示すスクレーピング歯の変形例を示す模式図であり、図9(b)は、図9(a)のA線矢視図である。図9(a)に示すように、分級装置は、無端チェーン12,12の進行方向に向かって開いたV字状の横断面を有するスクレーピング歯39の外面に取り付けられた一対の交換歯49を有していてもよい。図示はしないが、交換歯49を、V字状の横断面を有するスクレーピング歯39の内面に取り付けてもよい。交換歯49は、少なくとも1つの(図示した例では、3つの)固定具50によってスクレーピング歯39に取り付けられる。
【0044】
図示した例では、固定具50はボルトであり、スクレーピング歯39には、固定具50がねじ込まれるねじ穴が形成されている。交換歯49には、スクレーピング歯39のねじ穴に対応した位置に長穴49aが形成されていて、各固定具50は、長穴49aに挿入された状態でスクレーピング歯39のねじ穴にねじ込まれる。このような構成によれば、交換歯49の交換が容易となるだけでなく、隙間G1を任意に、かつ容易に変更することができる。さらに、交換歯49の先端が摩耗しても長穴49aの長手方向の大きさの分、分級隙間を調整できるので、交換歯49を長持ちさせることが可能となり、使い切った交換歯49のみ交換することで、メンテナンス費を低減できる。なお、交換歯49のスクレーピング歯39への固定を確実にする場合は、交換歯49の交換に支障がない範囲で、スクレーピング歯39と交換歯49を点付け溶接してもよい。
【0045】
さらに、大きな摩耗が懸念される部材が交換歯49だけなので、安価な鋼材によって作成された交換歯49に硬化処理を施すか、または交換歯49を耐摩耗鋼などの高い硬度を有する材料から作成する一方で、スクレーパ7のスクレーパ本体38およびスクレーピング歯39を安価な鋼材で作成することができる。したがって、分級装置の製造コストおよびランニングコストの低減が期待できる。
【0046】
図10(a)は、さらに他の実施形態に係るスクレーパの先端の一部を模式的に示す拡大図であり、図10(b)は、図10(a)に示すスクレーパの先端を模式的に示す上面図である。図10(a)および図10(b)に示すスクレーパ7のスクレーピング歯39は、無端チェーン12,12の進行方向に向かって開いた円弧状の横断面を有し、その上端部で、無端チェーン12,12の進行方向の下流側のスクレーパ本体38の側面に取り付けられている。このような構成でも、粗大物がスクレーピング歯39の円弧状の凹部に留まる一方で、粒状物が円弧状のスクレーピング歯39の両先端部から隙間G1に溢れて分級処理が進行する。また、円弧状の凹部に残留した混合物は、粒状物のみ隙間G2から排出されるため、分級処理が阻害されることがない。その結果、スクレーパ7がスムーズに分級バー37の間を移動することができ、分級処理が混合物の詰まりによって妨げられることがない。
【0047】
本実施形態でも、図8(a)および図8(b)に示す実施形態と同様に、スクレーパ7は、スクレーパ本体38の側面とスクレーピング歯39の上端部とによって形成された略半円状の開口を塞ぐ蓋体55をさらに備えているのが好ましい。蓋体55によって、スクレーパ本体38の側面とスクレーピング歯39の内面により形成された略半円柱状の空間に、混合物中の砂利や針金状の異物がはさまることを防止できる。さらに、スクレーパ7は、スクレーパ本体38の側面と、スクレーピング歯39の頂部と、によって形成される略半円状の開口を塞ぐカバー56を有していてもよい(図10(a)参照)。
【0048】
図11は、他の実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同様であるため、その重複する説明を省略する。図11に示す分級装置は、上述したスクレーパ7に加えて、無端チェーン12,12の間に取り付けられた粗スクレーパ52を有している。図11に示した実施形態では、粗スクレーパ52とスクレーパ7とは、無端チェーン12,12に交互に配列される。
【0049】
図12は、粗スクレーパの粗スクレーピング歯が隣接する分級バーの間に挿入された様子の一例を模式的に示す拡大図である。図12に示すように、粗スクレーパ52は、その先端に形成された粗スクレーピング歯53を有しており、粗スクレーピング歯53は、上述した隙間G1よりも大きな隙間G3(すなわち、G3>G1)を開けて分級バー37の側面と対向する側面を有する。このような構成によれば、粗スクレーパ52によって大きな粗大物が除去された混合物に対して、スクレーパ7が分級処理を実行する。その結果、スクレーパ7の負担が軽減し、スクレーパ7の交換寿命を伸ばすことができる。
【0050】
図示はしないが、分級装置は、上述したスクレーパ7と粗スクレーパ52に加えて、中級スクレーパを有していてもよい。中級スクレーパは、無端チェーン12,12に取り付けられており、その先端に形成された中級スクレーピング歯を有する。中級スクレーピング歯は、上述した隙間G1よりは大きいが隙間G3よりは小さい隙間を開けて分級バー37の側面と対向する側面を有する。中級スクレーパは、粗スクレーパ52とスクレーパ7との間に配置される。このような構成によれば、より細やかな分級処理が達成可能であり、スクレーパ7の交換寿命をさらに伸ばすことができる。
【0051】
上述した実施形態では、分級装置は、底板35が無端チェーン12,12の下方であり、かつ無端軌道の外側に配置され、スクレーパ7が無端チェーン12,12の無端軌道の外側に向けて延びる所謂下引き式の分級装置である。しかしながら、分級装置は、所謂上引き式の分級装置であってもよい。
【0052】
図13は、さらに他の実施形態に係る分級装置を模式的に示す側面図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態の構成と同様であるため、その重複する説明を省略する。図13に示す分級装置は、所謂上引き式の分級装置である点のみが上述した実施形態と異なる。
【0053】
図13に示す分級装置では、底板35が無端チェーン12,12の下方であるが、無端軌道の内側に配置される。具体的には、底板35は、無端軌道の上部軌道の下側で、下部軌道の上側に配置される。無端チェーン12,12に取り付けられるスクレーパ7は、無端軌道の内側に向けて、該無端軌道に垂直に延びる。このような上引き式の分級装置であっても、上述した実施形態と同様の効果を発揮可能である。すなわち、粒状物を振動させずに、混合物から粗大物と粒状物とを分離することができるので、分級処理時に、粉塵が舞い上がることがない。さらに、分級バー37とスクレーピング歯39との間に形成される隙間(分級隙間)G1を任意に設定できるとともに、メンテナンスフリーの分級装置を提供することができる。
【0054】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0055】
1 チェーン駆動装置
3 側板フレーム
7 スクレーパ
12 無端チェーン
15 駆動輪
16 従動輪
17 駆動機
35 底板
37 分級バー
38 スクレーパ本体
39 スクレーピング歯
45 案内板
46 クリーナー
48 ワイドバー
49 交換歯
50 固定具
52 粗スクレーパ
55 蓋体
56 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13