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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168719
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】選果装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/36 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B07C5/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085619
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】深井 諒一
(72)【発明者】
【氏名】志賀 敦
(72)【発明者】
【氏名】上戸 文貴
(72)【発明者】
【氏名】高橋 慎也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕介
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AC21
3F079CA32
3F079CB24
3F079DA02
3F079DA07
(57)【要約】
【課題】 果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供する。
【解決手段】 実施形態による選果装置100は、検査対象が投入される複数の検査用スペース11Rを含む本体11と、検査用スペース11Rに投入された検査対象を本体11の外部に排出させる排出機構と、を備えた選別部10と、検査用スペース11Rから排出された検査対象が収納される収納部30A-30Cと、検査用スペース11Rに投入された検査対象の画像を撮影する撮像部20と、検査対象の画像を用いて検査対象の検査を行い、検査結果に応じて排出機構により検査用スペース11Rから検査対象を排出させ、収納部30A-30Cへ収納させる制御部40と、を備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象が投入される複数の検査用スペースを含む本体と、前記検査用スペースに投入された前記検査対象を前記本体の外部に排出させる排出機構と、を備えた選別部と、
前記検査用スペースから排出された前記検査対象が収納される収納部と、
前記検査用スペースに投入された前記検査対象の画像を撮影する撮像部と、
前記検査対象の画像を用いて前記検査対象の検査を行い、検査結果に応じて前記排出機構により前記検査用スペースから前記検査対象を排出させ、前記収納部へ収納させる制御部と、を備えた選果装置。
【請求項2】
前記排出機構は、前記検査用スペースから前記検査対象を落下させることにより前記検査対象を前記本体の外部に排出させる機構を有する、請求項1記載の選果装置。
【請求項3】
前記収納部は前記選別部の下側に配置され、
前記収納部の下側に配置され、前記選別部および前記収納部を移動させる移動機構を備えた請求項1記載の選果装置。
【請求項4】
前記本体は、略円形の上面および底面と、前記上面と前記底面との間に延びた側面と、を備え、
前記検査用スペースは、前記上面および前記底面の中心に向かって窪んだ前記側面の凹部と、前記凹部の下側の開口を被う前記排出機構と、に囲まれたスペースである、請求項1記載の選果装置。
【請求項5】
複数の前記検査用スペースを順次検査領域へ誘導する駆動機構を備え、
前記駆動機構は、前記本体を前記上面および前記底面の中心を通る直線を軸として回転させる、請求項4記載の選果装置。
【請求項6】
前記排出機構は、前記検査用スペースの下側の開口を被う底部と、前記開口を開閉可能に前記底部と前記本体とを接続する回転部と、前記底部の支持と解放とを行う支持機構と、を備える、請求項4記載の選果装置。
【請求項7】
前記排出機構は、前記検査用スペースの下側の開口を被う底部を備え、
前記底部は、外周に凹凸を有する円板状の第1底部と、前記第1底部の中心において前記第1底部を回転可能に支持する第2底部と、を含み、
複数の前記第1底部と接する円弧に沿って配置され、前記検査用スペースが前記検査領域を通過する際に前記第1底部の凹凸と嵌合する凹凸部を備えた請求項5記載の選果装置。
【請求項8】
前記排出機構は、前記第1底部と前記第2底部とが接触する位置に配置され、前記検査対象が前記底部上に載置されたことを検知する検知機構を備えている、請求項7記載の選果装置。
【請求項9】
前記凹凸部は、少なくとも前記検査領域において複数の前記第1底部が内接する円弧に沿って配置されている、請求項7記載の選果装置。
【請求項10】
前記凹凸部は、少なくとも前記検査領域において複数の前記第1底部に外接する円弧に沿って配置されている、請求項7記載の選果装置。
【請求項11】
前記撮像部は、前記検査領域において、前記本体の外周に隣接するとともに前記本体の回転方向に並んで配置された複数台のカメラを備え、
前記制御部は、複数台の前記カメラによる撮影タイミングを制御する、請求項5記載の選果装置。
【請求項12】
前記本体は、回転支持部と、前記回転支持部から放射状に延びた複数の支持部を含む前記排出機構と、前記支持部に固定された枠状の側壁に囲まれた前記検査用スペースを含むケースと、を備え、
前記ケースは、枠状の前記側壁と、対向する前記側壁間を接続する支持部材と、を備え、
前記制御部は、前記排出機構を制御して、前記回転支持部から延びる方向を軸として前記支持部を回転させることにより前記検査対象を前記本体の外部へ排出させる、請求項1記載の選果装置。
【請求項13】
前記撮像部は、前記検査用スペースの上側と下側とのそれぞれに配置された複数台のカメラを備え、
前記制御部は、複数台の前記カメラによる撮影タイミングを制御する、請求項12記載の選果装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記検査対象の画像と前記検査対象の検査結果とを関連付けて記憶する記憶部を備える、請求項1記載の選果装置。
【請求項15】
使用環境に設置されたタグから位置情報を取得する位置情報取得部を更に備え、
前記制御部は、前記検査対象の画像と、前記検査対象の検査結果と、前記位置情報とを関連付けて前記記憶部に記録する、請求項14記載の選果装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選果装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業従事人口の減少に伴う労働力不足が深刻な問題となっている。この中で労働負荷の高い選果作業の改善をすべく先端技術(ロボティクス、AI)を活用した、選果自動化、スマート農業実現の試みが各所にて行われている。
【0003】
例えば特許文献1には、複数のローラが自転可能に設けられたローラコンベアで農作物を搬送し、ローラの回転方向を制御して農作物を自転させることにより、様々な方向から農作物の外観を撮影するとともに、農作物が自転せずに搬送される過程で農作物の内部を撮影し、撮影画像を用いて農作物の選別を行う農作物選別装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、大型円錐状部材のターンテーブルを備え、ローラコンベアによりミカンをターンテーブルの上部に投入し、ターンテーブルに設けられた側板によりミカンを整列しつつ円錐の下端に設けられたヘッドへ移動させて、回転するヘッド上のミカンが検査装置前を通過する際にミカンを測長する物品選別装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-167190号公報
【特許文献2】特開昭51-118652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の農作物選別装置や物品選別装置は、大規模耕地で大量収穫した農作物の選別に用いられることを前提とし、大型装置で一括に農作物の選別を行うものであり、中小規模の耕地で収穫された中小量の農作物の選別に適用することが困難であった。
大規模生産者と比較すると、中小規模生産者は、1)資本力に乏しい、2)狭隘な作付面積で栽培を行う、3)収穫量が少ない(生産ロットが小さい)、このため4)高付加価値果菜の少量生産が好まれる、といった特徴がある。国内では中小規模耕地・中小量生産による農業生産者が過半数を占めており、中小規模の生産者の負荷を減らすことを念頭とした技術が必要とされている。
【0007】
本発明は上記事情を鑑みて成されたものであって、果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様による選果装置は、検査対象が投入される複数の検査用スペースを含む本体と、前記検査用スペースに投入された前記検査対象を前記本体の外部に排出させる排出機構と、を備えた選別部と、前記検査用スペースから排出された前記検査対象が収納される収納部と、前記検査用スペースに投入された前記検査対象の画像を撮影する撮像部と、前記検査対象の画像を用いて前記検査対象の検査を行い、検査結果に応じて前記排出機構により前記検査用スペースから前記検査対象を排出させ、前記収納部へ収納させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態の選果装置の使用例を概略的に示す図である。
図2図2は、一実施形態の選果装置の一構成例を概略的に示す図である。
図3図3は、図2に示す選別部の一構成例について説明するための図である。
図4図4は、図3に示すターンテーブルの複数の底部の一構成例を概略的に示す図である。
図5図5は、図3に示すターンテーブルの複数の底部の一構成例を概略的に示す図である。
図6図6は、図2に示す撮像部と選別部との一構成例を概略的に示す図である。
図7図7は、図2に示す撮像部と選別部との一構成例を概略的に示す図である。
図8図8は、一実施形態の選果装置の選別部と、検査領域および収納領域との関係の一例を概略的に示した図である。
図9図9は、一実施形態の選果装置の収納部の一構成例を概略的に示す図である。
図10図10は、図2に示す選果装置の制御部の一構成例を概略的に示すブロック図である。
図11図11は、一実施形態の選果装置の動作の一例を概略的に示すフローチャートである。
図12図12は、一実施形態の選果装置の第1変形例について説明するための図である。
図13図13は、一実施形態の選果装置の第2変形例について説明するための図である。
図14図14は、一実施形態の選果装置の第2変形例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態の選果装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお以下の説明において、実施形態の選果装置の使用が想定される環境における重力の方向を下方向として、下方向の逆方向を上方向とし、上下方向(垂直方向)と直交する方向を水平方向とする。
【0012】
図1は、一実施形態の選果装置の使用例を概略的に示す図である。
本実施形態の選果装置100は、中小規模の耕地における農作物(例えばトマト)の収穫および選果時に用いられることを想定している。トマトは、一般に過湿を嫌うため圃場の地下水位から隔離して栽植する必要がある。この為、植え床(うね)を地表より高くし植栽する、プランター(ドレインベッド)を用い圃場地面自体から隔離する、等の栽植方法がとられる。この様な栽植の特徴から、うねやプランター間に存在する通路が作業(施肥や整枝、摘果、収穫等)を行うためのスペースとなる。当該通路を過剰に広く取ると収穫量の低下をもたらす為、採光量と植栽密度の許す限り狭くすることが望ましく、当該通路の幅は概ね60~130cmとされている。本実施形態の選果装置100は、これら狭隘な通路への搬入を可能とし、収穫と選果とを同時に実現するものである。
【0013】
図2は、一実施形態の選果装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の選果装置100は、選別部10と、撮像部20と、収納容器30と、制御部40と、移動機構WLと、位置情報取得部50と、を備えている。
【0014】
移動機構WLは、耕地内の通路上を水平方向に移動可能な構成であって、例えば車輪や、キャタピラ等を備えている。移動機構WLは、水平方向への力が加えられることにより移動動作を行うものであってもよく、駆動電源(例えばバッテリ)から供給される電力により車輪やキャタピラを回転駆動させるモータを備えていてもよい。この場合、後述する制御部40により駆動、前進、後退、旋回、停止等の動作が制御され得る。本実施形態では移動機構WLは車輪であって、駆動源を備えていないものとする。
【0015】
なお、タイヤ型(車輪)は、無限軌道型(キャタピラ)に比べて凹凸の多い圃場にて走破性が劣るものの、構造が単純で、軽量化が可能であるため、低出力の動力源を用いた走行が可能である。無限軌道型はタイヤ型に比べると構造が複雑で、重量化し、高出力の動力源が必要となるが、圃場路面状態によらず走行が容易となる利点がある。
選果装置100が移動機構WLを備えることにより、選果装置100を圃場内で移動させながら農作物の収穫を行うことが出来る。なお、検査対象である農作物の収穫方法に応じて、選果装置100の移動機構WLは省略されてもよい。例えば、複数の果菜を含む枝を圃場において収穫した後に、圃場以外の場所で枝から果菜を採取するような場合には、圃場内で選果装置100を移動させる必要はなく、この様な場合には移動機構WLは省略され得る。
【0016】
選別部10には収穫された果菜(検査対象)が投入され、投入された検査対象を検査領域A3へ誘導し、制御部40により検査結果に応じた収納部30A、30B、30C上で果菜を落下させる。
【0017】
図3は、図1に示す選別部の一構成例について説明するための図である。
図3では、選別部10と撮像部20と制御部40との位置関係を概略的に示しており、収納容器30と移動機構WLの図示は省略している。選別部10は、例えば制御部40を収容した筐体に固定されていてもよく、収納容器30の一部により支持および固定されていてもよく、収納容器30の収納部30A、30B、30C間に配置された図示しない支持部材を備えていてもよい。
【0018】
選別部10は、ターンテーブル11と、複数の排出機構12と、保持部13と、を備えている。
ターンテーブル11本体は略円柱形状であって、収納容器30と対向する底面11Dと、底面と対向した上面11Uと、底面11Dと上面11Uとの間を接続する側面11Sと、を備える。ターンテーブル11は、例えば、略円形の上面11Uおよび底面11Dの中心を通る直線を回転軸とし、一方方向(例えば俯瞰視における時計回り)にターンテーブル11を回転させる駆動機構(図示せず)を備えている。本実施形態では、ターンテーブル11は、上面11U側から俯瞰視したときに、駆動機構であるモータにより時計回りに回転する。なお、ターンテーブル11は、回転軸が垂直方向と略平行となるように設置される。
【0019】
ターンテーブル11は、中心(回転軸)から等距離に配置された複数の検査用スペース(検査チャンバー)11Rを備えている。ターンテーブル11を俯瞰視した場合、大円外周の内部に隣接した小円を複数有したリボルバーライフルのシリンダー様の構造を有している。ターンテーブル11を上述のようなシリンダー様の構造とすることにより、検査対象の落下や、検査対象が隣接した検査用スペース11Rへ移動することを防ぐことができる。なお、ターンテーブル11に設ける検査用スペース11Rの数は、選果装置の処理効率等に合わせて増減可能である。
【0020】
ターンテーブル11の側面11Sは、複数の位置において底面11Dおよび上面11Uの中心に向かって窪み、検査対象が投入される複数の検査用スペース11Rとなる凹部を形成している。複数の検査用スペース11Rは、略円形の上面11Uおよび底面11Dの径方向における端部に設けられる。検査用スペース11Rは、上面11U側、底面11D側、および、ターンテーブル11の外周に開口したスペースである。底面11Dおよび上面11Uと略平行な平面における検査用スペース11Rの断面は、側面11Sによる円弧に囲まれた弓形であり、当該円弧の両端間においてターンテーブル11の外周に開口している。
【0021】
本実施形態において、検査用スペース11Rはターンテーブル11本体の中心(回転中心)から等距離である14か所に設けられ、底面および上面の直径140mm、高さ120mmの略円筒形状であって、側面Sによる円弧の両端間(ターンテーブル11の外周における開口幅)は約200mmである。
【0022】
検査用スペース11Rを囲むターンテーブル11の側面11Sは、樹脂、金属、セラミック、複合材料(FRP等)により形成されている。ターンテーブル11を形成する樹脂の材料は特に限定されるものではない。検査用スペース11Rへ農作物を投入して使用されるため、防汚に優れた樹脂材料を選択することも可能であり、側面11Sの表面に防汚処理等を行うことも可能である。本実施形態において、ターンテーブル11は、軽量化、成形性、コスト性、に優れるABS樹脂を用いて形成されている。
【0023】
検査用スペース11Rを囲む側面11Sの色は限定されるものではない。側面11Sの色は、検査対象の撮影画像の背景色となるため、制御部40の検査処理において検査対象の識別が容易な色であることが好ましい。例えば、側面11Sが青色の場合、画像を用いた検査処理において、光源LTからの反射光、陰影を、虫傷等と差別化することが容易である。その他、光源LTや検査対象の果菜に応じて側面11Sの色を選択可能である。例えば、側面11Sを黒色にして陰影を強調したり、白色として光源LTからの反射を促進し入光を促進したりすることも可能である。本実施形態では、青色に着色されたABS樹脂を用いて検査用スペース11Rを囲む部分を形成して側面11Sを青色とし、背景画像として消込を容易にした。
【0024】
なお、検査用スペース11Rは図示した形状に限定されるものではない。例えば、検査用スペース11Rの開口の少なくとも一部は、透光性のある材料により形成された部材(透光性部材)により閉じられていてもよい。例えば、検査用スペース11Rの側部の開口の全体もしくは一部を透光性のあるガラスや樹脂によって閉じてもよい。この場合、開口を閉じる透光性部材の素材として有機ガラス(ポリカーボネート、アクリル、ポリプロピレン)、各種無機ガラス等を用いることで、透光性部材越しに、カメラにより検査用スペース11R内部の撮像が可能である。軽量化、取扱い、コストの観点から、透光性部材として有機ガラスを採用することが好ましい。透光性部材の内側には、検査用スペース11Rに投入された検査対象からの汚れ付着を防止するための防汚処理等が行われてもよい。
【0025】
また、ターンテーブル11は、検査用スペース11Rの側面11Sの一部に設置された光学センサ(図示せず)を備えていてもよい。光学センサは、検査用スペース11Rに検査対象(トマト)が投入されたことを検知し、制御部40へ検査対象の投入を通知する。この場合、制御部40は、光学センサからの通知により、検査対象が投入された検査用スペース11Rを認識することができ、検査対象が投入された情報に基づいてターンテーブル11の回転駆動の開始や、撮像部20の動作開始の引き金とすることもできる。
【0026】
保持部13は、ターンテーブル11の周囲を保持するリング状の部材である。保持部13の一部は、撮像部20および制御部40の筐体に固定されている。保持部13は、ターンテーブル11の側部に設けられたガイド溝に配置され、ターンテーブル11を所定の位置において保持している。保持部13はガイド溝においてターンテーブル11を支持するとともに、保持部13とターンテーブル11とはターンテーブル11が保持部13上でスライドすることが可能に(若しくは、ターンテーブル11を保持部13上で滑らかに動作可能とする部材を介して)当接している。
【0027】
保持部13は、ターンテーブル11と同じ材料により形成されてもよく、ターンテーブル11と異なる材料により形成されてもよい。保持部13が検査用スペース11Rの開口と撮像部20との間に配置される場合には、保持部13は透光性材料により形成されることが好ましい。本実施形態では、保持部13は、検査用スペース11Rの側面11Sを含む部分と同じ材料により形成されている。
【0028】
図4および図5は、図3に示すターンテーブルの複数の底部の一構成例を概略的に示す図である。
排出機構12は、検査用スペース11Rの底面11D側(下側)の開口を被うように配置され、ターンテーブル11本体の外部に検査対象を排出する機構である。排出機構12は、第1底部12Aと、第2底部12Bと、回転部12Cと、支持機構12Dと、を備えている。
【0029】
第2底部12Bは、検査用スペース11Rの略円形の開口よりも大きい円板である。第2底部12Bは、検査用スペース11Rの下側の開口を開閉可能なように、回転部12Cによりターンテーブル11の底面11D若しくは側面11Sに固定されている。
【0030】
第1底部12Aは、外周に山形の凹凸(歯)が形成された略円板である。第1底部12Aの凹凸は、後述する検査領域A3において撮像部20に設けられた山形の凹凸(歯)と嵌合する形状である。第1底部12Aの径は、検査用スペース11Rの底面11D側の略円形の開口の径よりも小さい。したがって、底部12が検査用スペース11Rの開口を閉じた状態で、第1底部12Aは検査用スペース11R内に収容される。
【0031】
第1底部12Aは、例えば、中心に貫通孔もしくは窪み(図示せず)を有している。第1底部12Aは第2底部12B上に配置され、第1底部12Aの貫通孔若しくは窪みに第2底部12Bの凸部(図示せず)が挿入されて、貫通孔若しくは窪みを中心軸として回転可能な状態となっている。
【0032】
なお、排出機構12は、検査対象が排出機構12上に載置されたことを検知する検知機構を備えていてもよい。すなわち、第1底部12Aの窪み(凹部)と第2底部12Bの凸部との嵌合箇所に、例えば、磁気近接スイッチと復元性金属板とが配置されてもよい。排出機構12上に検査対象が載置されると、検査対象の重量により第1底部12Aの凹部に設けられた金属板が第2底部12Bの凸部の磁気スイッチと近接して電気信号を発する。磁気スイッチの電気信号は制御部40に送信される。制御部40は、磁気スイッチからの電気信号により、検査対象が検査用スペース11Rに投入されたことを検出することができる。したがって、制御部40は、検査対象が検査用スペース11Rに投入されるまではスタンバイ状態とし、磁気スイッチからの電気信号を受信したことに基づいて選別部10および撮像部20の制御を開始することができる。
【0033】
複数の排出機構12から制御部40に送信される電気信号に排出機構12の識別子を付すと、制御部40は検査対象が投入された検査用スペース11Rを特定することが可能となり、磁気スイッチからの電気信号に基づいて撮像部20による撮影タイミング等を制御することも可能となる。
【0034】
本実施形態では、排出機構12は、磁気近接スイッチとして磁気型近接センサを備え、復元性金属板として板バネを備えている。排出機構12は、磁気近接スイッチの代わりに接触式スイッチを備えていてもよい。接触式スイッチを用いる場合には、排出機構12は、復元性金属板以外の復元材を備えていてもよい。また、排出機構12は、検知機構として感圧センサ、ロードセル等を備えていてもよい。この場合、感圧センサやロードセルによる検出値と、撮像部20による撮像画像とを組み合わせて、制御部40により検査対象の比重を測定することが可能となり、検査対象の選別に有用なデータを更に蓄積することも可能となる。
【0035】
支持機構12Dは、例えば、ソレノイドと、支持部材12Eとを備えている。支持部材12Eはソレノイドのプランジャーに固定され(若しくはプランジャーと一体に形成され)、底面11Dと略平行な平面上で移動し、回転部12Cを支点として排出機構12を回転させる。支持機構12Dは、制御部40により動作を制御される。支持機構12Dは、支持部材12Eをターンテーブル11の下から検査用スペース11R側に移動(プランジャーを突出)させることにより第1底部12Aおよび第2底部12Bを支持して検査用スペース11Rの開口を塞ぎ、支持部材12Eを排出機構12の下からターンテーブル11の下へ移動(プランジャーを吸引)させて第1底部12Aおよび第2底部12Bの支持を解除し、重力により排出機構12を下側へ回転させて検査用スペース11Rの開口を開く。
【0036】
排出機構12は、例えば樹脂や金属、セラミック、複合材料(FRP等)により形成され得る。排出機構12の材料として用いられる樹脂に制約はなく、農作物投入に対し防汚に優れた樹脂材料を選択することも可能であり、表面に防汚処理等を行うことも可能である。本実施形態では、排出機構12は、軽量化が図れるうえ成形が容易であって比較的安価であるABS樹脂を用いて形成されている。
【0037】
排出機構12を形成する材料の色調等についても特段の制約はないが、撮像部20により検査用スペース11Rを撮影した画像を画像処理する際に有利な配色であることが望ましい。例えば排出機構12が青色である場合、後述する撮像部20の光源LTからの反射光、陰影を、虫傷等との差別化が容易である。本実施形態では、検査対象の背景画像として消込が容易な青色に着色したABS樹脂により形成された排出機構12を採用している。その他、光源LTや検査用スペース11Rに収納する検査対象(果菜)の色彩に応じ適宜選択可能である。例えば、側面11Sや排出機構12を黒色にして陰影を強調したり、白色として光源LTからの反射を促進し入光を促進したりすることも可能である。
【0038】
図6および図7は、図2に示す撮像部と選別部との一構成例を概略的に示す図である。
撮像部20は、光源LTと、カメラ22と、検出機構21と、凹凸部20Aと、を備えている。
カメラ22は、検査対象である果菜(例えばトマト)を撮影する為の、レンズおよびイメージセンサー(撮像素子)を備えている。カメラ22は、検査領域A3を通過する撮影対象を撮影するように設置されている。本実施形態では、ターンテーブル11の外周に隣接する位置において、ターンテーブル11が回転する方向に並んで、第1底部12Aの回転速度に応じた間隔で複数台のカメラ22が設置されている。
【0039】
カメラ22は、検査領域A3における撮影対象を静止画で撮影してもよく、動画で撮影してもよい。静止画で撮影対象を撮影する場合には、カメラ22は、検査領域A3を通過する撮影対象を複数のタイミングで撮影する。
【0040】
カメラ22に搭載されるレンズは、撮影対象(トマト)との距離、カメラ22が収容されるスペースの大きさによって選択することが出来る。本実施形態では、カメラ22は、解像度がFHD(フルハイビジョン)である撮像素子と、撮像画角が100度のレンズと、を含む。なお、カメラ22は、フレア防止や光量調整のための光学フィルター(偏光素子等)を備えていてもよい。
【0041】
光源LTは、撮像素子により検査対象の画像を撮影する際に、撮影環境が十分な明るさとなるように光を照射する。本実施形態では、光源LTとして、例えば可視光領域に発光スペクトル有する白色光を照射する白色光源が用いられる。光源LTは、撮像素子が撮像する面にフレア等を生じない照度、照射形状、設置位置であることが好ましい。その他、撮像に適した光源LTであれば本実施形態の選果装置100に適用することができる。例えば、光源LTとして、カメラ22の撮像素子に集光するレンズを取囲む様にLED光源を配置したリング照明や、正面に配置された撮影対象を撮像するカメラの背後から撮影対象を照射する面光源等を用いることもできる。本実施形態では、光源LTとして、線状面光源(OPB-X7530オプテックス・エフエー製)を、レンズの上下に設置している。
【0042】
検出機構21は、選別部10の検査用スペース11Rにおける撮影対象(果菜)の存在を検出する機構であって、例えば光学センサを備えている。検出機構21は、検査対象が検査領域A3を通過する方向において、カメラ22よりも上流側に設置される。検出機構21は、撮影対象の存在を検出すると、制御部40に対し通知する。制御部40の撮影制御部413は、検出機構21の検出情報(トマトの存在検出)に基づいて、撮像部20に対し、光源LTの発光とカメラ22による撮影とのタイミングを指示する。
【0043】
凹凸部20Aは、複数の第1底部12Aと接する円弧に沿って配置される。本実施形態では、凹凸部20Aは、例えば、カメラ22、検出機構21および光源LTが収容される筐体の一部に設けられ、山形の凹凸(歯)を有している。凹凸部20Aの凹凸は、複数の第1底部12Aが内接する円弧に沿って配置され、検査用スペース11Rが検査領域A3を通過するときに、第1底部12Aの凹凸(歯)と嵌合するように配置されている。すなわち、ターンテーブル11が回転することにより、第1底部12Aの凹凸と凹凸部20Aの凹凸とが嵌合して、第1底部12Aがターンテーブル11の回転方向と逆向きに回転する。第1底部12Aが回転しながら検査領域A3を通過することにより、カメラ22の前で検査対象を回転させることができる。
【0044】
図8は、一実施形態の選果装置の選別部と、検査領域および収納領域との関係の一例を概略的に示した図である。なお、図9では説明のためにターンテーブル11本体に対して検査用スペース11Rを大きく記載しているが、ターンテーブル11の検査用スペース11Rの数や大きさは適宜調整され得る。
ここでは、ターンテーブル11が一回転するときに、検査用スペース11Rが検査領域A3と、第1収納領域A1と、第2収納領域A2とを通過する例について説明する。
【0045】
ターンテーブル11の複数の検査用スペース11Rは、ターンテーブル11が回転することにより、検査領域A3を通過すると、第1収納領域A1と第2収納領域A2へと順次誘導された後、再度、検査領域A3へと誘導されて略円状の軌道に沿って移動する。
検査領域A3は、撮像部20に設置された複数のカメラ22により撮影が可能な範囲であって、第1底部12Aが少なくとも一回転させることができる領域である。換言すると、凹凸部20Aの凹凸の歯の数や大きさは、検査領域A3において第1底部12Aを少なくとも一回転させるように形成されることが望ましい。
【0046】
制御部40は、検査用スペース11Rが検査領域A3を通過している間に撮像部20により撮影された画像を取得し、画像処理により検査対象である果菜の検査を行う。制御部40は、検査結果に応じて、検査用スペース11Rの排出機構12を解放(第1底部12Aおよび第2底部12Bの支持を解除)して検査対象を収納容器30へ落下(排出)させるタイミングを制御する。例えば、第1収納領域A1で収納容器30へ落下される検査対象と、第2収納領域A2で収納容器30へ落下される検査対象とは異なる等級やランクとして選別された果菜である。また、制御部40は、第1収納領域A1において規格外の検査対象を落下させて、第2収納領域A2において規格を満たす検査対象を落下させてもよい。この例では、2つの収納領域を設けた場合について説明したが、収納領域は3つ以上設定されても構わない。
【0047】
図9は、一実施形態の選果装置の収納容器の一構成例を概略的に示す図である。
収納容器30は、選果装置100の使用環境における垂直方向において、移動機構WLと選別部10との間に配置されている。収納容器30は、例えば、選別部10による選別後の検査対象(果菜)を、等級やランク等による分類ごとに収納する収納部30A、30B、30Cを備えている。収納容器30の収納部30A、30B、30Cは選別部10の底部に対して開口した収納空間を備え、選別部10から落下する果菜を収容する。なお、収納容器30は複数の収納部を備えている必要はなく、少なくとも一つの収納部を備えていればよい。
【0048】
収納容器30は、選別部10側から俯瞰視した場合、選別部10と同等若しくは選別部10以上の面積を有することが望ましいが、俯瞰視で選別部10と同等の面積を有する必要はなく、収納容器30の面積が選別部10の面積よりも小さくても構わない。
【0049】
なお、収納部30A、30B、30Cの開口が、少なくとも検査用スペース11Rが移動する範囲の下に設けられればよく、選別部10から落下される果菜を特定箇所で受取し区分できれば良い。収納容器30は、運搬や設置等を考慮して矩形としてもよく、選別部10のターンテーブル11に合わせて円形としてもよい。また、収納容器30は、取扱い上の安全性を考慮して面取をした矩形でもよい。また、収納容器30は選別部10から落下する果菜を収納可能な袋であってもよい。本実施形態では、収納容器30は、高さ550mm、直径500mmの略円筒形である。
【0050】
収納容器30を複数の収納部30A、30B、30Cに区分けすることにより、選別部10から落下する果菜が、収納容器30の平面区画に応じて落下することで分別される。また、複数の収納部30A、30B、30Cにより、選別後の果菜が再混合することを防止できる。
【0051】
複数の収納部30A、30B、30Cの容量は均等にする必要はなく、検査対象の選別傾向に応じて不均一な容量としてもよい。また複数の収納部30A、30B、30Cは、収納容器30本体に一体に設けられた仕切板により区切られていてもよく、差し替え可能な仕切板により区切られていてもよい。仕切板は分別の妨げにならない大きさであれば肉抜きされていてもよく、メッシュ様の形状を有していても良い。また、収納容器30は、独立した複数の収納容器である収納部30A、30B、30Cを組み合わせて構成されていてもよい。本実施形態では、収納容器30は、3つの収納部30A、30B、30Cを一体に形成した容器である。
【0052】
収納容器30および仕切板の材料については特に制限はなく、樹脂、金属、セラミック、複合材料(FRP等)を用いることができる。収納容器30を形成する樹脂として、断熱性や落下してくる果菜(例えばトマト)への衝撃を考慮した発泡樹脂材など、緩衝機能のある材料を用いることができる。また、洗浄性や抗菌性に優れる金属を材料として選択することも可能であり、防汚性を付与したセラミックなどを材料として選択することもできる。また複合材を採用することもできる。例えば、収納容器30の底部を含む内側に発泡樹脂材を設置することで剛直な外壁と、果菜(例えばトマト)への緩衝機能を備えた内部とを兼ね備えた収納容器30を形成することができる。本実施形態では、収納容器30の材料として、軽量化が図れるうえ成形が容易でコストに優れるABS樹脂を用いている。
なお、収納容器30は、収容された果菜(例えばトマト)の量の確認を容易とする為、透明材を用いたり、壁面に光学センサを取り付けたりすることも可能である。
【0053】
位置情報取得部50は、選果装置100の表面の一部に取り付けられ、選果装置100が使用される環境に設置されたタグ(RFID)を読み取り、選果装置100の現在位置の情報として、制御部40へ出力する。RFIDタグは、薄膜アルミ等でプラスチックシート上や防水紙上に形成される。また設置や取扱いが容易であり、圃場の畝を形成する際に埋め込まれる園芸用ラベルと同様に取り扱うことが出来る。例えば選果装置100が使用される圃場内の地面に、農作物の栽培位置に応じたタグが埋め込まれており、位置情報取得部50は圃場内のタグに近接したときに、当該タグに設定された情報を読み取って制御部40へ出力する。
【0054】
位置情報取得部50が取り付けられる位置は、タグが配置される位置に応じて調整可能である。本実施形態では、位置情報取得部50は、収納容器30の外側の表面に取り付けられている。
【0055】
制御部40は、少なくとも一つのプロセッサと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリとを備えている。制御部40は、図示しない接続パスを介して選別部10、撮像部20および移動機構WLと電気的に接続され、ソフトウエアにより若しくはソフトウエアとハードウエアとの組み合わせにより、選果装置100に含まれる構成を制御して種々の機能を実現する。
【0056】
なお、本実施形態では、制御部40は、撮像部20を選別部10と同等の高さ(収納容器30より上の位置)に固定するための筐体内に収容されている。制御部40は、選果装置100に含まれる構成の制御が可能であればよく、選果装置100における配置位置が本実施形態に限定されるものではない。
【0057】
図10は、図2に示す選果装置の制御部の一構成例を概略的に示すブロック図である。
制御部40として、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン、これらと同等の情報処理機能を有する携帯可能な通信端末等を採用することができる。制御部40は、プロセッサ41と、第1記憶部42と、第2記憶部43と、表示部44と、入力部45と、通信部(送受信部)46と、を備えた情報処理装置である。制御部40に含まれる複数の構成はバス通信線を介して互いに接続されている。
【0058】
通信部46は、選果装置100に含まれる種々の構成および外部との通信を行う。通信部46は、有線通信又は無線通信により情報の送受信を行うことが可能であり、例えば近距離無線通信により撮像部20や位置情報取得部50との間で情報の送受信を行ってもよい。
【0059】
入力部45は、ユーザが操作することにより入力された情報を取得する。入力部45は、例えばキーボード、マウス等のポインティングデバイス、タッチパネル、操作ボタン、マイク、および種々のセンサ等を含み得る。
【0060】
表示部44は、液晶表示パネルや有機EL表示パネルなどの表示手段を備え、検査結果や最終的な選別結果や、選別処理の進捗状況や、操作支持や、警告等の情報を視覚的にユーザに提示する。
【0061】
第1記憶部42は、プロセッサ41により使用される各種情報を記録するROM(Read Only Memory)や、プロセッサ41の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)などを含む主記憶部である。
【0062】
第2記憶部43は、磁性体もしくは半導体からなる記憶装置であって、例えば、プロセッサ41により使用されるプログラムやパラメータが記憶されるとともに、撮像部20から得られた複数の画像のデータや、選果結果のデータ等を蓄積することができる。なお、第1記憶部42と第2記憶部43とは、記憶対象の容量により一体に構成されてもよい。
【0063】
プロセッサ41は、選果装置100に含まれる種々の構成が協調するよう制御する。例えば、プロセッサ41は、第2記憶部43に記憶されている検査用プログラムを実行し、第1記憶部42を作業領域として各種の選果処理を行う。
【0064】
プロセッサ41は、選別機構制御部411、検査対象検知部412、撮影制御部413、検査処理部414、選果制御部415、および、表示制御部416を有する。
【0065】
検査対象検知部412は、選別部10の所定位置(検査用スペース11R)に検査対象が投入されたことを検知した旨の検知情報を取得し、選別機構制御部411および撮影制御部413へ検知情報を供給する。本実施形態では、検査対象検知部412は、検査用スペース11Rの排出機構12に設けられた検知機構から検知情報を取得する。また、検査対象検知部412は、撮像部20の検出機構21から検出情報を取得し、検出情報を選別機構制御部411および撮影制御部413へ検出情報を供給してもよい。
【0066】
選別機構制御部411は、選別部10のターンテーブル11を駆動するモータ(回転運動駆動源)の出力を制御する。選別機構制御部411は、例えば検査対象検知部412からの検知情報をトリガとして、選別部10のターンテーブル11の駆動を開始してもよい。選別機構制御部411は、例えばモータを間欠駆動してターンテーブル11の回転と停止とを周期的に行ってもよく、モータによりターンテーブル11を定速で回転させてもよく、ターンテーブル11の回転速度を変更してもよい。
【0067】
撮影制御部413は、検査対象検知部412からの検知情報に基づいて、撮像部20を駆動する。撮影制御部413は、検査対象検知部412からの検知情報と検出機構21からの検出情報との少なくともいずれかに基づいて、撮像部20が検査対象の画像を撮影するタイミングを制御してもよい。
【0068】
具体的には、撮影制御部413は、検査対象検知部412からの検知情報信号と検出機構21からの検出情報信号との少なくともいずれかを受けて、検査対象であるトマトが撮像部20の撮像素子前を通過するタイミングに合わせて、撮影指示信号を撮像部20へ送信する。撮影制御部413は、検査対象が撮像部20の撮像素子(カメラ22)の前(検査領域A3)を通過するときに、複数の撮像指示信号を撮像部20へ出力し、1つの検査対象に対して複数の画像を撮影させる。
【0069】
検査処理部414は、撮像部20で撮影された複数の画像のデータを用いて、各種検査項目について検査対象の検査を行う。本実施形態では、検査処理部414は、画像処理による検査や、機械学習済みの学習モデルを用いた検査を行い、検査対象であるトマトの検査結果(ランク等)を算出する。検査処理部414は、位置情報取得部から取得した位置情報を受信し、検査対象の識別子と、検査結果と、位置情報とを関連付けて、第2記憶部43に記録するとともに、検査結果の情報を選果制御部415に供給する。また、検査処理部414は、表示制御部416へ検査結果の情報を供給してもよい。
【0070】
選果制御部415は、検査処理部414から取得した検査結果を用いて、選別部10から収納容器30へ検査対象を落下させるタイミングを制御する。なお、選果制御部415は、検査結果に関連付けられた検査対象の識別子を用いて、当該検査対象が搭載された検査用スペース11Rの位置を特定することが可能である。検査対象の識別子は、例えば、検査対象の画像が撮影された時刻に相当する値や、検出機構21により検査対象が検出された時刻に相当する値であってもよい。
【0071】
選果制御部415は、選別部10の検査用スペース11Rの排出機構12に位置する支持機構(ソレノイド)12Dの動作を制御する。すなわち、選果制御部415は、検査処理部414から検査結果を取得し、検査対象である果菜が収納される収納部30A、30B、30Cの上にあるタイミングでソレノイドを動作させて、検査用スペース11Rの排出機構12を開く。このことにより、選果制御部415は、検査対象が投入された検査用スペース11Rが所定の位置に移動したタイミングで、検査対象を特定の収納部30A、30B、30Cの中へ落下させ、検査対象をターンテーブル11本体の外部へ排出する。
【0072】
表示制御部416は、表示部44に種々の情報を表示させることができる。表示制御部416は、例えば、検査処理部414による検査結果を表示部44に表示させてもよく、収穫中の果菜(トマト)の検査結果(等級、ランク等)の概要(出来ばえ)等を表示部44に表示させることも可能である。
【0073】
次に、本実施形態の選果装置100の動作の一例について説明する。
図11は、一実施形態の選果装置の動作の一例を概略的に示すフローチャートである。
以下では、一実施形態の選果装置100により検査対象であるトマトを選果する一連の流れを一例として説明する。
【0074】
まず、選果装置100の準備を行う(ステップS1)。ユーザは、例えば、検査対象に合わせた検査プログラムの設定や、収納容器30を所定位置に配置するなどの他、選果装置100の電源としてバッテリを用いる場合には予め充電を行う。
【0075】
続いて、選果装置100の電源を投入し、トマトの収穫および選果の作業を開始する(ステップS2)。移動機構WLが駆動源を備える場合、電源を投入すると、移動機構WLを電動で駆動可能となり、移動機構WLにより選果装置100を圃場へ移動させることができる(ステップS3)。ユーザは、移動機構WLにより選果装置100を圃場へ移動させる。選果装置100は、ユーザによってトマトの圃場内の通路(畝と畝の間)を通り、収穫対象となる株の前に運搬される。
【0076】
選果装置100の移動が完了すると、ユーザは、トマトの収穫を開始する。具体的には、ユーザはトマトを採取して検査用スペース11Rへ順次投入していく(ステップS4)。このとき、トマトが検査用スペース11Rへ投入されると、検査用スペース11Rの排出機構12に設けられた検知機構によりトマトの投入が検知され、検知情報により制御部40が選別部10および撮像部20を駆動させる。撮像部20の検出機構21や光源LTも駆動され、検出および照明の動作を開始する。
【0077】
制御部40の選別機構制御部411は、選別部10のターンテーブル11を回転させて検査用スペース11Rを順次検査領域A3へ誘導させるとともに、撮影制御部413が検査領域A3において撮像部20の複数のカメラ22によりトマトの画像を撮影させる(ステップS5)。
【0078】
ターンテーブル11は、モータ駆動により、例えば俯瞰視における時計回りで回転する。なお、ターンテーブル11の回転速度は12秒/回転である。ターンテーブル11が回転することにより、検査領域A3において、検査用スペース11Rの第1底部12Aが俯瞰視における反時計回りで回転する。このことにより、検査用スペース11Rの排出機構12の第1底部12A上に載置されたトマトをカメラ22の前で回転させることができ、トマトの全周囲の画像をもれなく撮影することができる。
【0079】
本実施形態では、撮影制御部413は、第1底部12Aが一回転する間に、複数のカメラ22を用いてトマトの画像を複数回撮影する。選別機構制御部411により第1底部12Aの回転速度(すなわちターンテーブル11の回転速度)を調整するとともに、撮影制御部413により複数のカメラ22のシャッタータイミングを調整することで、各検査対象について任意の枚数の画像を得ることができる。なお、制御部40は、複数のカメラ22により動画を撮影し、動画像から複数の静止画を切り出すことにより任意の枚数の画像を取得しても構わない。
【0080】
カメラ22により撮影された画像は制御部40へ送信される。なお、カメラ22により撮影された画像は、検査対象の識別子(例えば、検出機構21による検出時刻、画像の撮影時刻および画像を撮影したカメラ22の情報など)と合わせて制御部40へ送信される。
【0081】
撮像部20による撮影画像は、視野角とシャッタースピードとの調整により、複数の画像を組み合わせた一枚の画像データとして制御部40に送信されてもよく、複数枚の画像データとして制御部40に送信されてもよい。複数の画像データを制御部40へ送信する場合には、制御部40にて、トマトの個体ごとの識別子に関連付けされ管理し画像処理をされる。本実施形態では、撮像部20は、トマトが一回転する間に11枚の画像を撮像している。共通のトマトを撮影した11枚の画像は合成され1つの画像とすることも可能であり、第2記憶部43の容量を小さくすることができる。
【0082】
制御部40の検査処理部414は、撮像部20のカメラ22で撮影された画像を取得し、トマトの検査プログラムに従って、画像処理や機械学習モデルによる種々の検査を行う(ステップS6)。検査処理部414は、複数のカメラ22により撮影された複数の画像の撮影時刻やカメラ22の識別情報から、撮影対象が共通である複数の画像を特定し、トマトの規格に適合するかの検査、等級やレベルの検査などを行う。本実施形態では、トマトを大きさ、異形性(線対称性)、出荷前色彩によって3段階のランク付けを行っている。
【0083】
検査処理に用いる機械学習モデルは、選果装置100の使用初期では事前に学習されたモデルを用いることが好ましく、選果装置100が行った検査結果のデータを用いて更に学習を行ってもよい。
【0084】
検査処理部414は、撮像部20から取得した一つのトマトの一連の画像と当該一連の画像による検査結果とを、検査対象の識別子と関連付けて、第2記憶部43に記録する。また、検査処理部414は、検査対象の識別子と検査結果とを選果制御部415に供給する。なお、例えば高精度画像による検査を行う必要がある場合等、検査処理部414は、表示制御部416により画像を表示部44に表示させて検査を行うようにしてもよい。
【0085】
選果制御部415は、検査処理部414から検査対象の識別子と検査結果とを取得し、検査対象の識別子から検査対象であるトマトが投入された検査用スペース11Rの位置を特定し、検査対象であるトマトが収納される収納部30A、30B、30Cの上にあるタイミングで、当該トマトが載置された第1底部12Aおよび第2底部12Bの支持機構(ソレノイド)12Dを動作させて支持を解除し、検査用スペース11Rの開口を排出機構12により開く。このことにより、選果制御部415は、検査対象が投入された検査用スペース11Rが所定の位置に移動したタイミングで、検査対象を特定の収納部30A、30B、30Cの中へ落下させる(ステップS7)。
【0086】
上記ステップS4-S7を繰り返して、順次トマトの収穫および選果の作業を行った後、ユーザが収納容器30に収納されたトマトを回収する(ステップS8)。収納容器30には、複数の収納部30A、30B、30Cのそれぞれに選別後のトマトが収納されているため、ユーザは、収納部30A、30B、30Cそれぞれのトマトを用いて選果後の梱包作業や出荷作業を行うことができる。
【0087】
上記の一連の作業と同時に、選果装置100による撮影画像や検査結果のデータは、位置情報とともに第2記憶部43に記録され蓄積されている。このため、ユーザは、収穫および選果作業を終えた後に、トマトの品質向上の為に撮影画像や検査結果のデータを活用することも可能である(ステップS9)。例えば、ユーザは、収穫時位置情報の記録データにより、農作物の出来具合と詳細な圃場アドレスとを関連づけた記録を追跡可能となり、圃場内の位置により農作物の出来栄え等の管理が可能となる。つまり、ユーザは、圃場内でばらつく日当たりや水量等が農作物に与える影響を把握することができる。また、撮影画像や検査結果のデータから、採果時期と色味、選果時画像と出荷先評価とを紐づけることができ、画像による味覚良否の推定等を行うことができる。
トマトの回収が完了すると、ユーザは、選果装置100のメンテナンスをして作業を終了する(ステップS10)。
【0088】
一般に農作業を層別した場合、栽培から出荷に至るまで、栽培、収穫、一次選果、n次選果、本選果、箱詰め、出荷の作業がある。いずれも大きな作業負荷を伴うが、例えば、桃、桜桃(サクランボ)、メロン、マンゴー、フルーツトマト、といった贈答対象とし得る果菜高付加価値果菜に対しては多次にわたる選果が必要であり、作業者の大きな負荷となっている。高付加価値果菜は、食用の他、例えば鑑賞物としての側面を有する為、味覚に加え外観の美しさが要求される。この為、選果には熟練者による味覚と外観の判別と慎重な取扱いが求められる。
【0089】
これに対し、上記本実施形態の選果装置100は、農作物の収穫と自動選別(選果)とを一括して行うことが可能である。このことにより、収穫と選果との間に必要な運搬作業や装置への投入作業といった準備や段取りの作業を省略でき、一連の農作業自体を簡略化することができる。
【0090】
また、本実施形態の選果装置100によれば、検査対象である果菜の全周囲の画像を用いて、画像処理や機械学習モデルによる検査を行うことができ、作業者の目視依存なく、自動選別が可能である。また、選果装置100を用いることで、作業者は検査用スペース11Rへ検査対象を投入する動作のみにより、複数の農作物を自動で選別することができる。
【0091】
さらに、上述のように、選果装置100は、使用環境における垂直方向(高さ方向)に複数の層構造を有している。すなわち、選果装置100は、高位置に農作物の選別機構、中間位置に農作物を収容する容器、低位置に移動機構、を有するとともに、これら層構造とは独立した制御部40を有する。選果装置100をこのような複数の層構造とすることにより省面積を達成することができる。つまり高位置での判定と、中間位置での農作物収容を組み合わせることにより、高低差を利用して農作物を選果でき、選果装置100の小型化を実現できる。
【0092】
また、本実施形態の選果装置100によれば、小型化を実現可能であることから、装置を軽量化することが可能であり、狭面積環境で使用する際の移設、移動を容易に行うことができる。
また、本実施形態の選果装置100は、コンベアなどの大掛かりな構造を採用することなく、簡易な構造で実現可能であって、メンテナンスが容易であるとともに、泥土、塵埃、水等の農業環境への耐性、低コスト、省スペース、を実現することができる。すなわち、本実施形態の選果装置100は小型、軽量であり、かつ、簡易な構造であるため、洗い場に持込んでの丸洗い、部品を取外しての洗浄が可能となり、さらに予備部品の準備(保管)、交換等も容易である。
【0093】
以上のことから、本実施形態の選果装置100によれば、作業者の作業場所に制約を生じさせることなく、狭隘面積内の作業に自由度を与えると同時に、集荷と同時に選果を可能とする。また、選果装置100は、小型で容易な構造を採用していることから、作業者は、少量の農作物を選果する際にも気軽に選果装置100を稼動させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供することができる。
【0094】
次に、本実施形態の選果装置100の変形例について説明する。なお、以下の説明において、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0095】
図12は、一実施形態の選果装置の第1変形例について説明するための図である。
本変形例の選果装置100は、ターンテーブル11の構成が上述の実施形態と相違し、他の構成は上述の実施形態と共通である。
【0096】
すなわち、上述の実施形態では、第1底部12Aは、撮像部20の筐体に設けられた凹凸部20Aと第1底部12Aの凹凸とが嵌合することにより、円板の中心を軸として回転していたが、本変形例では、第1底部12Aの凹凸はターンテーブル11の回転中心側において、複数の第1底部12Aに外接する円弧に沿って配置された凹凸(歯)14Aと嵌合することにより回転する。
【0097】
本変形例では、ターンテーブル11は、外周に山形の凹凸(歯)14Aが設けられた円板14を備えている。ターンテーブル11の複数の検査用スペース11Rが回転しているときにも円板14は回転することなく固定されている。
この場合、円板14の凹凸14Aは、少なくとも検査領域A3において、ターンテーブル11の回転中心側で第1底部12Aの外周の凹凸と嵌合するように、複数の第1底部12Aに外接する円弧に沿って配置されていればよく、円板14の外周全体に配置されなくてもよい。また、円板14の凹凸14Aの高さは、第1底部12Aの凹凸と嵌合できるだけの高さがあればよい。つまり、ターンテーブル11の高さ方向の幅の少なくとも一部に凹凸14Aが設けられていればよい。本変形例では、直径約500mm、高さ120mmの略円柱形状の円板14の外周の底部近傍において、20mmの幅の凹凸構造を設けている。
【0098】
なお、円板14の凹凸14Aは、円板14の外周全体に渡って複数の第1底部12Aに外接する円弧に沿って配置されていてもよい。円板14の中心と、複数の検査用スペース11Rを含むターンテーブル11が回転する中心とは略一致するように配置され、制御部20により複数の検査用スペース11Rが回転する方向と逆方向に円板14を回転させてもよい。制御部20は、円板14の回転速度を調節することにより、第1底部12Aの回転速度を調整することが可能である。
【0099】
ターンテーブル11が回転すると、検査領域A3において第1底部12Aの凹凸と円板14の凹凸14Aとが嵌合し、第1底部12Aが回転する。このことにより、撮像部20のカメラ22により、第1底部12A上に載置された検査対象の全周の画像を撮影することが可能となる。
【0100】
本変形例の選果装置100によれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができ、果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供することができる。
【0101】
図13および図14は、一実施形態の選果装置の第2変形例について説明するための図である。
本変形例の選果装置200は、ターンテーブル11および撮像部20の構成が上述の実施形態と相違し、他の構成は上述の実施形態と共通である。
【0102】
本変形例の選果装置200において、ターンテーブル11は、回転支持部15と、複数の検査対象載置部16と、備えている。
回転支持部15は、略円形の上面および底面と、上面と底面との間を接続する側面とを備えた略円柱形状である。回転支持部15は例えば駆動機構(モータ)により駆動されて、上面および底面の中心を通る直線を回転軸として回転可能である。
【0103】
複数の検査対象載置部16の各々は、回転支持部15の側面から外に向かって、放射状に延びて突出した支持部16Bを含む排出機構と、支持部16Bに接続されたケース16Cと、を備えている。
検査対象載置部16の支持部16Bは、放射状に延びた方向を軸として回転する略円柱形状の回転軸であって、制御部40の選果制御部415により回転動作を制御される。
【0104】
ケース16Cは、枠状に形成されて検査対象の周囲を囲む側壁と、対向する側壁間を接続する支持部材16Aと、を備えている。本変形例では、ケース16Cの対向する側壁は複数個所に配置された複数の支持部材16Aにより接続されている。ケース16Cの側壁や支持部材16Aの大きさは、検査対象である果菜の形状や大きさに応じて適宜設定され得る。ケース16Cは、選果装置200の使用環境において、支持部材16Aが水平方向と略平行となるように支持部16Bに固定されている。なお、本変形例では、例えばきゅうりのような長物の果菜を、ケース16Cの支持部材16A上に載置することを想定している。すなわち、本変形例では、ケース16Cの側壁に囲まれた空間が検査用スペースに相当する。
【0105】
撮像部20は、上述の実施形態と同様に、複数のカメラ22と、光源LTと、検出機構21とを備えている。
複数のカメラ22は、垂直方向において、ケース16Cの上側と下側とのそれぞれに配置されている。ケース16Cの上側のカメラ22は、回転支持部15の上面と制御部40を収納した筐体とを接続した筐体に収納され、支持部材16A上に載置された検査対象を上側から撮影する。ケース16Cの下側のカメラ22は、回転支持部15の底面と制御部40を収納した筐体とを接続した筐体に収納され、支持部材16A上に載置された検査対象を下側から撮影する。
【0106】
下側に配置されたカメラ22は、複数の支持部材16A越しに検査対象を撮影することとなるため、支持部材16Aは検査対象を支持するために必要な強度を備えるものとし、検査対象を遮る領域をできるだけ小さくした方が好ましい。また、ケース16Cの側壁および支持部材16Aは透明な材料で形成されてもよい。なお、ターンテーブル11を形成する材料や色調等は、上述の実施形態と同様の材料、色調を採用することができる。
【0107】
ケース16Cの一方側と他方側とには、それぞれ少なくとも一つのカメラ22と、少なくとも一つの光源LTと、が配置されていればよい。検出機構21は、ケース16Cの上側に配置されてもよく、下側に配置されていてもよい。上側の複数の箇所および下側の複数の箇所に配置されたカメラ22により検査対象を撮影することにより、検査対象の略全周の画像を撮影することが可能である。
【0108】
複数のカメラ22による撮影タイミングは、撮影制御部413により制御される。撮影制御部413は、ケース16Cの上側のカメラ22による撮影タイミングおよび光源LTの発光タイミングと、ケース16Cの下側のカメラ22による撮影タイミングおよび光源LTの発光タイミングとをずらして、検査対象が適切に照明されるようにしてもよい。
【0109】
複数のカメラ22による撮影画像のデータは検査処理部414に供給され、検査対象である果菜の検査処理に用いられる。選果制御部415は、検査処理部414の検査結果に応じて、対応する検査対象の等級やランクに応じた収納部30A、30B、30C上で支持部16Bを回転させて、検査対象を落下させることによりターンテーブル11の外部へ排出する。すなわち、本変形例において支持部16Bおよび支持部16Bの回転機構は、上述の実施形態の排出機構に相当する。
【0110】
本変形例の選果装置200によれば、略円柱形状の長物の農作物が安定して載置された状態で略全周画像を撮影することができ、撮影画像を用いて検査処理を行うことができる。すなわち、本変形例によれば、上述の実施形態と同様の効果を得ることができ、果菜の収穫および選果における生産者の負荷を軽減する選果装置を提供することができる。
【0111】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上述の実施形態および変形例において、複数の検査用スペースのそれぞれに対して検査対象の画像を撮影するカメラ22が設置されていてもよい。全ての検査用スペースにおいて検査対象の画像を撮影できれば、検査用スペースを検査領域へ誘導する必要がなくなり、ターンテーブル11の駆動機構を省略することができる。その場合であっても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0112】
10…選別部、11…ターンテーブル、11D…底面、11R…検査用スペース、11S…側面、11U…上面、12…排出機構、12A…第1底部、12B…第2底部、12C…回転部、12D…支持機構、12E…支持部材、13…保持部、14…円板、14A…凹凸、15…回転支持部、16…検査対象載置部、16A…支持部材、16B…支持部、16C…ケース、20…撮像部、20A…凹凸部、21…検出機構、22…カメラ、30…収納容器、30A-30C…収納部、40…制御部、41…プロセッサ、411…選別機構制御部、412…検査対象検知部、413…撮像制御部、414…検査処理部、415…選果制御部、416…表示制御部、42…第1記憶部、43…第2記憶部、44…表示部、45…入力部、46…通信部、50…位置情報取得部、100、200…選果装置、A1-A2…収納領域、A3…検査領域
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