(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168726
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20241128BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20241128BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C12M1/34 B
H01L27/146 A
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085628
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】安部 大智
【テーマコード(参考)】
2G059
4B029
4M118
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB09
2G059BB14
2G059DD13
2G059DD17
2G059EE02
2G059FF01
2G059GG02
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM14
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC02
4B029FA01
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
(57)【要約】
【課題】システム由来のノイズ成分の影響を抑制可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、面状に配置された複数のフォトダイオードを含む面状検出デバイスと、面状検出デバイスに対向配置された光源装置と、面状検出デバイスと光源装置との間に配置され、複数の被検出体を搭載する透光性の搭載基板と、を有する。面状検出デバイスは、フォトダイオードを含む複数のセンサ画素が第1方向及び当該第1方向と直交する第2方向Dyに並ぶ検出領域と、センサ画素ごとのセンサ値Raw(p)を取得する検出回路と、センサ値Raw(p)に基づいて算出した値が連続して判定閾値以上となった回数がセンサ画素ごとの受光強度に応じて設定された連続判定回数閾値以上である場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する制御回路と、を含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、
前記面状検出デバイスに対向配置された光源装置と、
前記面状検出デバイスと前記光源装置との間に配置され、複数の被検出体を搭載する透光性の搭載基板と、
を有し、
前記面状検出デバイスは、
前記光検出素子を含む複数のセンサ画素が第1方向及び当該第1方向と直交する第2方向に並ぶ検出領域と、
前記センサ画素ごとのセンサ値を取得する検出回路と、
前記センサ値に基づいて算出した値が連続して判定閾値以上となった回数が前記センサ画素ごとの受光強度に応じて設定された連続判定回数閾値以上である場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する制御回路と、
を含む、
検出装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記センサ画素の受光強度に応じた補正係数を前記センサ画素ごとのセンサ値に掛け合わせて前記センサ画素ごとの補正値を算出し、当該補正値に基づき、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するか否かを判定する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記補正値から前記センサ画素ごとの基準値を差し引いた値が連続して判定閾値以上となった回数が前記連続判定回数閾値以上である場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記センサ画素ごとに、前記連続判定回数閾値が設定されている、
請求項1から3の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
前記連続判定回数閾値は、受光強度が大きいセンサ画素ほど小さく、受光強度が小さいセンサ画素ほど大きい、
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記画素ごとの補正係数、連続判定回数閾値、及び基準値を設定する第1処理と、
前記検出領域の画像を生成する第2処理と、
を有する、
請求項5に記載の検出装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値の逆数を前記補正係数とする、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値にそれぞれ前記センサ画素ごとの補正係数を掛け合わせて前記基準値を算出する、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値を正規化して前記センサ画素ごとの受光強度を算出する、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項10】
面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、
前記面状検出デバイスに対向配置された光源装置と、
前記面状検出デバイスと前記光源装置との間に配置され、複数の被検出体を搭載する透光性の搭載基板と、
を有し、
前記面状検出デバイスは、
前記光検出素子を含む複数のセンサ画素が第1方向及び当該第1方向と直交する第2方向に並ぶ検出領域と、
前記センサ画素ごとのセンサ値を取得する検出回路と、
前記センサ値に基づいて算出した値が前記センサ画素ごとの受光強度に応じて設定された判定閾値以上となった場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する制御回路と、
を含む、
検出装置。
【請求項11】
前記制御回路は、
前記センサ画素の受光強度に応じた補正係数を前記センサ画素ごとのセンサ値に掛け合わせて前記センサ画素ごとの補正値を算出し、当該補正値に基づき、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するか否かを判定する、
請求項10に記載の検出装置。
【請求項12】
前記制御回路は、
前記補正値から前記センサ画素ごとの基準値を差し引いた値が前記判定閾値以上となった場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項13】
前記センサ画素ごとに、前記判定閾値が設定されている、
請求項10から12の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項14】
前記判定閾値は、受光強度が大きいセンサ画素ほど小さく、受光強度が小さいセンサ画素ほど大きい、
請求項13に記載の検出装置。
【請求項15】
前記制御回路は、
前記画素ごとの補正係数、判定閾値、及び基準値を設定する第1処理と、
前記検出領域の画像を生成する第2処理と、
を有する、
請求項14に記載の検出装置。
【請求項16】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値の逆数を前記補正係数とする、
請求項15に記載の検出装置。
【請求項17】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値にそれぞれ前記センサ画素ごとの補正係数を掛け合わせて前記基準値を算出する、
請求項15に記載の検出装置。
【請求項18】
前記制御回路は、
前記第1処理において取得した前記センサ画素ごとのセンサ値を正規化して前記センサ画素ごとの受光強度を算出する、
請求項15に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトセンサを用いたレンズレスイメージングシステムにより微生物を判別する手法が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1のレンズレスイメージングシステムにおいて、点光源から照射された光は、培養容器内の培地及び培地上の細菌等の微生物のコロニー(被検出体)を透過してフォトセンサに入射される。フォトセンサは、微生物のコロニー形成画像(散乱光パターン)をピクセルデータとして取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなレンズレスイメージングシステムにおいて、各検出素子が受光する光量の強度(以下、「受光強度」とも称する)は、点光源との相対的な位置関係に応じて異なる。このため、例えば受光強度に応じてピクセルデータを補正することが考えられるが、ピクセルデータに含まれるシステム由来のノイズ成分が増幅されて誤検出する可能性がある。
【0005】
本発明は、システム由来のノイズ成分の影響を抑制可能な検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検出装置は、面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、前記面状検出デバイスに対向配置された光源装置と、前記面状検出デバイスと前記光源装置との間に配置され、複数の被検出体を搭載する透光性の搭載基板と、を有し、前記面状検出デバイスは、前記光検出素子を含む複数のセンサ画素が第1方向及び当該第1方向と直交する第2方向に並ぶ検出領域と、前記センサ画素ごとのセンサ値を取得する検出回路と、前記センサ値に基づいて算出した値が連続して判定閾値以上となった回数が前記センサ画素ごとの受光強度に応じて設定された連続判定回数閾値以上である場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する制御回路と、を含む。
【0007】
本発明の一態様に係る検出装置は、面状に配置された複数の光検出素子を含む面状検出デバイスと、前記面状検出デバイスに対向配置された光源装置と、前記面状検出デバイスと前記光源装置との間に配置され、複数の被検出体を搭載する透光性の搭載基板と、を有し、前記面状検出デバイスは、前記光検出素子を含む複数のセンサ画素が第1方向及び当該第1方向と直交する第2方向に並ぶ検出領域と、前記センサ画素ごとのセンサ値を取得する検出回路と、前記センサ値に基づいて算出した値が前記センサ画素ごとの受光強度に応じて設定された判定閾値以上となった場合に、該センサ画素に対応する検出領域上の位置に被検出体が存在するものとして判定する制御回路と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検出装置の概略断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る光学センサを示す回路図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る検出回路の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、検出領域における受光強度をヒートマップで示したイメージ図である。
【
図6B】
図6Bは、センサ素子ごとの補正係数をヒートマップで示したイメージ図である。
【
図7】
図7は、実施形態1に係る検出処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態1に係る第1処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、受光強度とコロニー連続判定回数閾値との関係を示す図である。
【
図9B】
図9Bは、センサ素子ごとのコロニー連続判定回数閾値をヒートマップで示したイメージ図である。
【
図10】
図10は、実施形態1に係る第2処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図11】
図11は、二値化したコロニー形成画像の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第1例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態1に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第2例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る検出処理の具体例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態2に係る第1処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図16B】
図16Bは、センサ素子ごとの検出閾値をヒートマップで示したイメージ図である。
【
図17】
図17は、実施形態2に係る第2処理の一例を示すサブフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態2に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第1例を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態2に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、本開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本開示と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
図1は、実施形態に係る検出装置を模式的に示す平面図である。
図2は、実施形態に係る検出装置の概略断面図である。本開示において、検出装置1は、例えば細菌等の微小対象物を被検出体100として検出する、所謂バイオセンサである。検出装置1は、光学センサ10と、検出回路11と、制御回路70と、光源装置80と、を含む。
【0012】
光学センサ10は、面状に配置された複数のフォトダイオード(光検出素子)30を含む面状検出デバイスである。光学センサ10は、基板21を基体として形成されるアレイ基板2上に複数のセンサ画素3が設けられた検出領域AAが設けられている。本開示において、面状検出デバイスは、光学センサ10、検出回路11、及び制御回路70を含む。
【0013】
第1方向Dxは、基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、基板21の主面の法線方向である。また、「平面視」とは、基板21と垂直な方向から見た場合の位置関係をいう。
【0014】
光学センサ10は、面状に配置された複数のフォトダイオード(光検出素子)30を含む面状検出デバイスである。具体的に、複数のセンサ画素3は、第1方向Dx及び第2方向Dyに並びマトリクス状に配列される。これに限定されず、複数のセンサ画素3は、検出領域AAにおいて千鳥配置される態様であっても良い。
【0015】
複数のセンサ画素3は、それぞれ、光検出素子としてフォトダイオード30を有する光センサである。フォトダイオード30は、それぞれに照射される光に応じた電気信号(電位)を出力する。より具体的には、フォトダイオード30は、有機半導体を用いたOPD(Organic Photodiode)やPIN(Positive Intrinsic Negative)フォトダイオードである。
【0016】
光源装置80は、光学センサ10のアレイ基板2と第3方向Dzに対向して設けられる光源基板81上に発光素子82が設けられている。発光素子82は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。
図2では、光学センサ10の検出領域AAに対応する領域に複数の発光素子82が設けられた態様を例示している。
【0017】
また、本開示において、検出装置1は、被検出体100を搭載するための搭載基板101及びカバー部材103を含む。搭載基板101及びカバー部材103は、例えばガラス等で形成された透光性の板状部材である。具体的に、搭載基板101及びカバー部材103は、例えばシャーレである。
【0018】
被検出体100は、搭載基板101上に設けられた培地102で培養される。被検出体100は、搭載基板101の上にカバー部材103が設けられ、光学センサ10と光源装置80との間に配置される。より具体的に、検出装置1は、光学センサ10の上に、搭載基板101及びカバー部材103(被検出体100)、光源装置80の順に配置されている。
【0019】
発光素子82から出射された光Lは、搭載基板101、培地102及びカバー部材103を透過して検出領域AAに照射される。被検出体100と重なる領域と、被検出体100と重ならない領域とでは、センサ画素3が受光する光の強度(以下、「受光強度」とも称する)が異なる。光学センサ10は、センサ画素3ごとに異なる受光強度の差異によって、培地102上のコロニー(被検出体100)を撮像することができる。
【0020】
基板21の検出領域AAの外側の周辺領域GAには、第1ゲート線駆動回路15AA,15AB、第2ゲート線駆動回路15BA,15BB、及び信号線選択回路16が設けられている。
【0021】
第1ゲート線駆動回路15AA,15ABは、検出領域AAを第1方向Dxに挟んで配置される。第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、検出領域AAを第1方向Dxに挟んで配置される。信号線選択回路16は、検出領域AAの第1方向Dxに延びる辺に沿って、検出領域AAと検出回路11との間に設けられる。第1ゲート線駆動回路15AA,15AB、第2ゲート線駆動回路15BA,15BB、及び信号線選択回路16の配置はこれに限定されない。具体的には、例えば、第1ゲート線駆動回路15AA,15AB及び第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、それぞれ一つの第1ゲート線駆動回路及び第2ゲート線駆動回路として構成され、第1ゲート線駆動回路と第2ゲート線駆動回路とが検出領域AAを第1方向Dxに挟んで配置される態様であってもよい。
【0022】
図3は、実施形態に係る光学センサを示す回路図である。
図3に示すように、センサ画素3は、フォトダイオード30、リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfを有する。また、センサ画素3には、第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)、第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)、及び信号線SLが設けられている。
【0023】
第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)、第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)、及び信号線SLは、それぞれ、検出領域AA内の複数のセンサ画素3に接続される。具体的に、第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)及び第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)は、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数のセンサ画素3と接続される。また、信号線SLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数のセンサ画素3に接続される。信号線SLは、複数のトランジスタ(読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsf)からの信号が出力される配線である。
【0024】
リセットトランジスタMrst、読出トランジスタMrd及びソースフォロワトランジスタMsfは、1つのフォトダイオード30に対応して設けられる。センサ画素3が有する複数のトランジスタは、それぞれn型TFT(Thin Film Transistor)で構成される。ただし、これに限定されず、各トランジスタは、それぞれp型TFTで構成されてもよい。
【0025】
フォトダイオード30のアノードには、基準電位Vcomが印加される。フォトダイオード30のカソードは、リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの一方及びソースフォロワトランジスタMsfのゲートに接続される。
【0026】
リセットトランジスタMrstのゲートは、第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)に接続される。リセットトランジスタMrstのソース又はドレインの他方には、リセット電位Vrstが供給される。リセットトランジスタMrstがオン(導通状態)になると、フォトダイオード30のカソード電位がリセット電位Vrstにリセットされる。基準電位Vcomは、リセット電位Vrstよりも低い電位を有しており、フォトダイオード30は、逆バイアス駆動される。
【0027】
ソースフォロワトランジスタMsfは、電源電位Vsfが供給される端子と読出トランジスタMrdとの間に接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートは、フォトダイオード30のカソードに接続される。ソースフォロワトランジスタMsfのゲートには、フォトダイオード30の受光強度に応じた電圧が供給される。これにより、ソースフォロワトランジスタMsfは、フォトダイオード30の受光強度に応じた電気信号(電位)を読出トランジスタMrdに出力する。
【0028】
読出トランジスタMrdは、ソースフォロワトランジスタMsfのソースと信号線SLとの間に接続される。読出トランジスタMrdのゲートは、第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)に接続される。読出トランジスタMrdがオンになると、ソースフォロワトランジスタMsfから出力される信号、すなわち、フォトダイオード30の受光強度に応じた電気信号(電位)が、検出信号Vdetとして出力信号線SLに出力される。
【0029】
なお、
図3では、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdをそれぞれシングルゲート構造としたが、リセットトランジスタMrst及び読出トランジスタMrdは、それぞれ、2つのトランジスタが直列に接続されて構成された、所謂ダブルゲート構造でもよく、3つ以上のトランジスタが直列に接続された構成であっても良いてもよい。また、1つのセンサ画素3の回路は、リセットトランジスタMrst、ソースフォロワトランジスタMsf及び読出トランジスタMrdの3つのトランジスタを有する構成に限定されない。センサ画素3は、2つのトランジスタを有していてもよく、4つ以上のトランジスタを有していてもよい。
【0030】
第1ゲート線駆動回路15AA,15ABは、検出領域AA内の複数の第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)を駆動する回路である。第1ゲート線駆動回路15AA,15ABは、例えばシフトレジスタ回路である。
【0031】
本開示において、第1ゲート線駆動回路15AA,15ABは、検出回路11から供給されるスタートパルス信号STVやクロックパルス信号等の各種制御信号に基づき、第1ゲート線(リセット制御走査線GLrst)を順次選択し、選択された第1ゲート線(リセット制御走査線GLrsto)に第1ゲート駆動信号(リセット制御信号)を供給する。言い換えると、第1ゲート線駆動回路15AA,15ABは、第1方向Dxに並ぶセンサ画素3に同時に第1ゲート駆動信号(リセット制御信号)を供給し、第2方向Dyに並ぶセンサ画素3に順次第1ゲート駆動信号(リセット制御信号)を供給する。これにより、センサ画素3の第1ゲート線駆動回路15AA,15ABによって選択された第1ゲート線(リセット制御走査線GLrsto)に接続された複数のセンサ画素3のフォトダイオード30の電位がリセットされる。
【0032】
第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、検出領域AA内の複数の第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)を駆動する回路である。第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、例えばシフトレジスタ回路である。
【0033】
本開示において、第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、検出回路11から供給されるスタートパルス信号STVやクロックパルス信号等の各種制御信号に基づき、第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)を順次選択し、選択された第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)に第2ゲート駆動信号(読出制御信号)を供給する。言い換えると、第2ゲート線駆動回路15BA,15BBは、第1方向Dxに並ぶセンサ画素3に同時に第2ゲート駆動信号(読出制御信号)を供給し、第2方向Dyに並ぶセンサ画素3に順次第2ゲート駆動信号(読出制御信号)を供給する。これにより、第2ゲート線駆動回路15BA,15BBによって選択された第2ゲート線(読出制御走査線GLrd)に接続された複数のセンサ画素3の電気信号(電位)が検出信号Vdetとして読み出される。
【0034】
信号線選択回路16は、複数の信号線SLのうちのいずれかを選択して検出回路11に接続するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。
【0035】
図4は、実施形態に係る検出回路の構成例を示すブロック図である。検出回路11は、光学センサ10から出力される検出信号Vdetに基づき、各センサ画素3の検出値であるセンサ値Rawを生成する。検出回路11は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)を含むROIC(ReadOut Integrated Circuit)である。
【0036】
図4に示すように、検出回路11は、検出信号振幅調整回路41、A/D変換回路42、信号処理回路43、バッファ回路44、及び検出タイミング制御回路45を有する。
【0037】
検出信号振幅調整回路41は、光学センサ10から出力された検出信号Vdetの振幅を調整する回路であり、例えば増幅器を含み構成される。A/D変換回路42は、検出信号振幅調整回路41から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路43は、A/D変換回路42からのデジタル信号の信号処理を行い、センサ画素3ごとのセンサ値Rawをバッファ回路44に格納する。より具体的に、信号処理回路43は、センサ画素3のリセット期間において取得した検出値と読み出し期間において取得した検出値との差分値を、センサ画素3ごとのセンサ値Rawとする。
【0038】
検出タイミング制御回路45は、制御回路70(
図5参照)から供給される各種制御信号に基づいて、検出信号振幅調整回路41、A/D変換回路42、信号処理回路43、及びバッファ回路44が同期して動作するように制御する。バッファ回路44に格納されたセンサ画素3ごとのセンサ値Rawは、制御回路70からの読み出し制御信号に基づき、制御回路70に送信される。
【0039】
また、検出タイミング制御回路45は、第1ゲート線駆動回路15AA,15AB、第2ゲート線駆動回路15BA,15BB、信号線選択回路16にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御して、検出領域AAにおける検出動作を行う回路である。検出タイミング制御回路45は、スタートパルス信号やクロックパルス信号等の各種制御信号を第1ゲート線駆動回路15AA,15AB及び第2ゲート線駆動回路15BA,15BBに供給する。また、検出タイミング制御回路45は、信号線選択信号を信号線選択回路16に供給する。
【0040】
図5は、実施形態に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。制御回路70は、検出回路11における被検出体100の検出動作と光源装置80における発光素子82の点灯動作とを同期して制御する。制御回路70は、例えばMCU(Micro Control Unit)やRAM、EEPROM、ROM等で構成される。
【0041】
制御回路70と検出回路11及び光源装置80との間の信号伝送は、例えばクロック同期方式のシリアルインターフェースであるSPI(Serial Peripheral Interface)により行われる。制御回路70と光学センサ10及び光源装置80との間の信号伝送方式により本開示が限定されるものではない。
【0042】
図5に示すように、制御回路70は、データ取得回路71、データ記憶回路72、データ処理回路73、画像生成回路74、及び光源制御回路75を有する。
【0043】
データ取得回路71は、検出回路11に対して読み出し制御信号を送信し、センサ画素3ごとのセンサ値Rawを取得し、検出領域AAにおけるセンサ画素3の位置情報と対応付けてデータ記憶回路72に格納する。データ処理回路73は、データ記憶回路72に格納されたセンサ画素3ごとのセンサ値Rawの補正処理を行う。画像生成回路74は、補正処理後の補正値を二値化して培地102上のコロニー形成画像を生成する。
【0044】
光源制御回路75は、検出回路11における検出動作に同期して、発光素子82の点灯動作を制御する。具体的に、光源制御回路75は、光源装置80が複数の発光素子82を有する構成である場合、複数の発光素子85のオン(点灯)、オフ(非点灯)の点灯パターンの情報を記憶し、当該点灯パターンの情報に応じた発光制御信号を光源装置80に送信する。
【0045】
検出領域AA内のセンサ画素3が受光する光量の強度(以下、「受光強度」とも称する)は、発光素子82との相対的な位置関係に応じて異なる。具体的には、発光素子82の直下にあるセンサ画素3の受光強度に対し、発光素子82から離れた位置にあるセンサ画素3の受光強度は相対的に小さい値となる。
【0046】
図6Aは、検出領域における受光強度をヒートマップで示したイメージ図である。
図6Aでは、検出領域AAの中心部に対応する光源基板81上の位置に1つの発光素子82が設けられた態様を例示し、検出領域AA内のセンサ画素3に対応するセンサ値Raw(p)(pは、1からPまでの整数、Pは、検出領域AA内のセンサ画素3の総数(
図6Aに示す例において、P=11×11=121))を検出領域AA内のセンサ値Rawの最大値(例えば、検出領域AAの中心部に位置するセンサ画素のセンサ値)Raw_maxで正規化した値を、各センサ画素3の受光強度Li(p)とした例を示している。この場合、検出領域AAの中心部では受光強度Liが大きく、検出領域AAの周辺部では受光強度Liが小さくなる。
【0047】
培地102上にコロニーが形成されていない初期状態において取得したセンサ画素3ごとのセンサ値Raw(p)の逆数Raw(p)-1をセンサ画素3ごとの補正係数Cf(p)として保持し(Cf(p)=Raw(p)-1)、当該補正係数Cf(p)をセンサ値Raw(p)に乗じた補正値Cor(p)(=Raw(p)×Cf(p))を適用してコロニー形成画像を生成することが考えられる。
【0048】
図6Bは、センサ画素ごとの補正係数をヒートマップで示したイメージ図である。
図6Bに示すセンサ画素3ごとの補正係数Cf(p)は、
図6Aに示す各センサ画素3の受光強度Li(p)(∝Raw(p))の逆数を例示している。
【0049】
ここで、受光強度が小さいセンサ画素3のセンサ値は、受光強度に依存しないシステム由来のノイズ成分の比率が相対的に大きくなる。また、受光強度が小さいセンサ画素3のセンサ値に乗じる補正係数は相対的に大きくなる。このため、システム由来のノイズ成分が増幅されて誤検出する可能性がある。
【0050】
以下、上述した構成の検出装置1において、システム由来のノイズ成分を抑制可能な各実施形態の検出処理の具体例について説明する。
【0051】
(実施形態1)
図7は、実施形態1に係る検出処理の具体例を示すフローチャートである。
図8は、実施形態1に係る第1処理の一例を示すサブフローチャートである。
図9Aは、受光強度とコロニー連続判定回数閾値との関係を示す図である。
図9Bは、センサ素子ごとのコロニー連続判定回数閾値をヒートマップで示したイメージ図である。
図10は、実施形態1に係る第2処理の一例を示すサブフローチャートである。
【0052】
実施形態1では、センサ画素3の補正値Cor(p)に対応する判定値(
図10に示すDiff(p))が複数回連続して判定閾値(
図10に示すDiff_th)を超えた場合に、当該センサ画素3に対応する培地102上の位置をコロニーとして判定する態様とし、受光強度Liに応じてコロニー連続判定回数閾値(
図9Aに示すCEC_th)を可変することにより、システム由来のノイズ成分の影響を抑制可能とする態様について説明する。
【0053】
実施形態1において、
図9Aに示す受光強度Liとコロニー連続判定回数閾値CEC_thとの関係は、例えば変換テーブルとして予めデータ記憶回路72に格納されている。
図9Aでは、受光強度Li=「0.8~1」の範囲内のセンサ画素3においてコロニー連続判定回数閾値CEC_th=「1」とされ、
図6Aに示す受光強度Li=「0.6」のセンサ画素3においてコロニー連続判定回数閾値CEC_th=「10」とされる態様を例示している(
図9B参照)。
【0054】
コロニー連続判定回数閾値CEC_thの最適値は、システム由来のノイズレベルや検出領域AA内の受光強度Liの範囲によって異なる。具体的に、コロニー連続判定回数閾値CEC_thは、受光強度Liが大きいセンサ画素3ほど小さく、受光強度Liが小さいセンサ画素3ほど大きくなるように設定されていれば良い。
【0055】
図7に示す検出処理において、検出装置1は、例えば5分間隔でセンサ値Rawの取得処理を実行する。言い換えると、検出装置1における1フレーム分のセンサ値取得周期は、例えば5分(300s)とされる。
【0056】
図7に示す第1処理(ステップS100)は、培地102上にコロニーが形成されていない状態で実行される処理である。より具体的に、第1処理では、実施形態1に係る検出処理における1フレーム目のセンサ値取得処理において取得したセンサ値に基づき、センサ画素3ごとの補正係数及びコロニー連続判定回数閾値を設定する。
【0057】
図8に示す第1処理において、検出回路11は、センサ画素3ごとのセンサ値Raw(p)を取得する(ステップS101)。
【0058】
データ処理回路73は、センサ値Raw(p)の逆数演算処理を実行して、センサ画素3ごとの補正係数Cf(p)を算出する(ステップS102)。
【0059】
続いて、データ処理回路73は、センサ値Raw(p)を検出領域AA内のセンサ値Rawの最大値Raw_maxで正規化して(Li(p)=Raw(p)/Raw_max)、各センサ画素3の受光強度Li(p)を算出し(ステップS103)、算出した受光強度Li(p)に対応するコロニー連続判定回数閾値CEC_thを
図9Aに示す変換テーブルから読み出し、センサ画素3ごとのコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)として設定する(ステップS104)。
【0060】
図7に示す第2処理(ステップS200)は、コロニー形成過程において実行される処理である。具体的に、第2処理では、
図8に示す第1処理の後、2フレーム目以降のセンサ値取得処理において取得したセンサ値に対し、第1処理によって設定したセンサ画素3ごとの補正係数Cf(p)及びコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)を適用して、培地102上のコロニー形成画像を生成する。
【0061】
図10に示す第2処理において、検出回路11は、センサ画素3ごとのセンサ値Raw(p)を取得する(ステップS201)。
【0062】
データ処理回路73は、センサ値Raw(p)に対する補正処理を実行する(ステップS202)。具体的に、データ処理回路73は、センサ値Raw(p)に補正係数Cf(p)を掛け合わせてセンサ画素3ごとの補正値Cor(p)を算出する。
【0063】
続いて、データ処理回路73は、1から補正値Cor(p)を減じてセンサ画素3ごとの判定値Diff(p)として算出し(ステップS203)、当該センサ画素3ごとの判定値Diff(p)と判定閾値Diff_thとの閾値判定処理を実行する(ステップS204)。
【0064】
判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th以上である場合(Diff(p)≧Diff_th、ステップS204;Yes)、データ処理回路73は、コロニー連続判定回数CEC(p)をインクリメントして(CEC(p)=CEC(p)+1、ステップS205)、コロニー連続判定回数CEC(p)とセンサ画素3ごとのコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)との閾値判定処理(ステップS207)を実行する。
【0065】
判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th未満である場合(Diff(p)<Diff_th、ステップS204;No)、データ処理回路73は、コロニー連続判定回数CEC(p)をリセットして(CEC(p)=0、ステップS206)、コロニー連続判定回数CEC(p)とセンサ画素3ごとのコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)との閾値判定処理(ステップS207)を実行する。
【0066】
コロニー連続判定回数CEC(p)がコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)以上である場合(CEC(p)≧CEC_th(p)、ステップS207;Yes)、データ処理回路73は、センサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を「1」とし(Dbin(p)=1、ステップS208)、データ記憶回路72に格納する。
【0067】
コロニー連続判定回数CEC(p)がコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)未満である場合(CEC(p)<CEC_th(p)、ステップS207;No)、データ処理回路73は、センサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を「0」とし(Dbin(p)=0、ステップS209)、データ記憶回路72に格納する。
【0068】
本実施形態において、判定閾値Diff_thは、予めデータ記憶回路72に格納されている。具体的に、コロニー形成が飽和した状態での判定値Diff_satを「0.65」として、判定閾値Diff_thは、例えば「0.15」とされる。
【0069】
画像生成回路74は、データ記憶回路72に格納されたセンサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を読み出し、二値化したコロニー形成画像を生成する(ステップS210)。
【0070】
検出装置1は、コロニー形成画像を生成した後(ステップS210)、ステップS201に戻り、
図10に示す第2処理を繰り返し実行する。これにより、培地102上でのコロニー形成過程を画像として取得することができる。
【0071】
図11は、二値化したコロニー形成画像の一例を示す図である。
図11では、二値化データDbin(p)が「1」のセンサ画素3に対応する培地102上の位置をコロニーとして判定した例を示している。
【0072】
図12は、実施形態1に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第1例を示す図である。
図13は、実施形態1に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第2例を示す図である。
【0073】
図12では、
図6Aに示す検出領域AAの中央部のセンサ画素3における判定値の変化を示している。
図13では、
図6Aに示す検出領域AAの周辺部のセンサ画素3における判定値の変化を示している。
【0074】
受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3では、コロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)が「1」とされる。
図12では、フレームAにおいて判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th以上となり(Diff(p)≧Diff_th、ステップS204;Yes)、さらに、コロニー連続判定回数CEC(p)がコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)以上となった例を示している(CEC(p)≧CEC_th(p)、ステップS207;Yes)。
【0075】
受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3のコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)は、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3のコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)(=1)よりも大きい値に設定される。
図12では、フレームBにおいて判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th以上となり(Diff(p)≧Diff_th、ステップS204;Yes)、フレームBからフレームCまで連続して判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th以上となった例を示している(CEC(p)≧CEC_th(p)、ステップS207;Yes)。
【0076】
受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3では、ステップS202の補正処理においてセンサ値Raw(p)に掛け合わされる補正係数Cf(p)が大きくなる。これにより、補正処理後の補正値Cor(p)には、システム由来のノイズ成分が大きく表れる。このため、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3と同じコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)(=1)とした場合、当該センサ画素3に対応する培地102上の位置をコロニーとして誤判別する可能性がある。
【0077】
上述した実施形態1に係る検出処理では、受光強度Liに応じて適切なコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)を設定することにより、システム由来のノイズ成分をコロニーとして誤判別することを防ぐことができる。
【0078】
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係る検出処理の具体例を示すフローチャートである。
図15は、実施形態2に係る第1処理の一例を示すサブフローチャートである。
図16Aは、受光強度と検出閾値との関係を示す図である。
図16Bは、センサ素子ごとの検出閾値をヒートマップで示したイメージ図である。
図17は、実施形態2に係る第2処理の一例を示すサブフローチャートである。
【0079】
実施形態2では、センサ画素3の補正値Cor(p)に対応する判定値(
図17に示すDiff(p))がセンサ画素3ごとに設定された判定閾値(
図17に示すDiff_th(p))を超えた場合に、当該センサ画素3に対応する培地102上の位置をコロニーとして判定する態様とし、受光強度Liに応じて判定閾値(
図16Aに示すDiff_th)を可変することにより、システム由来のノイズ成分の影響を抑制可能とする態様について説明する。
【0080】
実施形態2において、
図16Aに示す受光強度Liと判定閾値Diff_thとの関係は、例えば変換テーブルとして予めデータ記憶回路72に格納されている。
図16Aでは、受光強度Li=「0.8~1」の範囲内のセンサ画素3において判定閾値Diff_th=「0.15」とされ、
図6Aに示す受光強度Li=「0.6」のセンサ画素3において判定閾値Diff_th=「0.45」とされる態様を例示している(
図16B参照)。
【0081】
判定閾値Diff_thの最適値は、システム由来のノイズレベルや検出領域AA内の受光強度Liの範囲によって異なる。具体的に、判定閾値Diff_thは、受光強度Liが大きいセンサ画素3ほど小さく、受光強度Liが小さいセンサ画素3ほど大きくなるように設定されていれば良い。
【0082】
図14に示す検出処理において、検出装置1は、例えば5分間隔でセンサ値Rawの取得処理を実行する。言い換えると、検出装置1における1フレーム分のセンサ値取得周期は、例えば5分(300s)とされる。
【0083】
図14に示す第1処理(ステップS300)は、培地102上にコロニーが形成されていない状態で実行される処理である。より具体的に、第1処理では、実施形態2に係る検出処理における1フレーム目のセンサ値取得処理において取得したセンサ値に基づき、センサ画素3ごとの補正係数及びコロニー連続判定回数閾値を設定する。
【0084】
図15に示す第1処理において、検出回路11は、センサ画素3ごとのセンサ値Raw(p)を取得する(ステップS301)。
【0085】
データ処理回路73は、センサ値Raw(p)の逆数演算処理を実行して、センサ画素3ごとの補正係数Cf(p)を算出する(ステップS302)。
【0086】
続いて、データ処理回路73は、センサ値Raw(p)を検出領域AA内のセンサ値Rawの最大値Raw_maxで正規化して(Li(p)=Raw(p)/Raw_max)、各センサ画素3の受光強度Li(p)を算出し(ステップS303)、算出した受光強度Li(p)に対応する判定閾値Diff_thを
図16Aに示す変換テーブルから読み出し、センサ画素3ごとの判定閾値Diff_th(p)として設定する(ステップS304)。
【0087】
図14に示す第2処理(ステップS400)は、コロニー形成過程において実行される処理である。具体的に、第2処理では、
図15に示す第1処理の後、2フレーム目以降のセンサ値取得処理において取得したセンサ値に対し、第1処理によって設定したセンサ画素3ごとの補正係数Cf(p)及び判定閾値Diff_th(p)を適用して、培地102上のコロニー形成画像を生成する。
【0088】
図17に示す第2処理において、検出回路11は、センサ画素3ごとのセンサ値Raw(p)を取得する(ステップS401)。
【0089】
データ処理回路73は、センサ値Raw(p)に対する補正処理を実行する(ステップS402)。具体的に、データ処理回路73は、センサ値Raw(p)に補正係数Cf(p)を掛け合わせてセンサ画素3ごとの補正値Cor(p)を算出する。
【0090】
続いて、データ処理回路73は、1から補正値Cor(p)を減じてセンサ画素3ごとの判定値Diff(p)として算出し(ステップS403)、当該センサ画素3ごとの判定値Diff(p)とセンサ画素3ごとの判定閾値Diff_th(p)との閾値判定処理を実行する(ステップS404)。
【0091】
判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th(p)以上である場合(Diff(p)≧Diff_th(p)、ステップS404;Yes)、データ処理回路73は、センサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を「1」とし(Dbin(p)=1、ステップS405)、データ記憶回路72に格納する。
【0092】
判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th(p)未満である場合(Diff(p)<Diff_th、ステップS404;No)、データ処理回路73は、センサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を「0」とし(Dbin(p)=0、ステップS406)、データ記憶回路72に格納する。
【0093】
画像生成回路74は、データ記憶回路72に格納されたセンサ画素3ごとの二値化データDbin(p)を読み出し、二値化したコロニー形成画像を生成する(ステップS407)。
【0094】
検出装置1は、コロニー形成画像を生成した後(ステップS407)、ステップS401に戻り、
図16に示す第2処理を繰り返し実行する。これにより、培地102上でのコロニー形成過程を画像として取得することができる。
【0095】
図18は、実施形態2に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第1例を示す図である。
図19は、実施形態2に係る検出処理によるコロニー判定タイミングの第2例を示す図である。
【0096】
図18では、
図6Aに示す検出領域AAの中央部のセンサ画素3における判定値の変化を示している。
図19では、
図6Aに示す検出領域AAの周辺部のセンサ画素3における判定値の変化を示している。
【0097】
受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3では、判定閾値が「0.15」とされる(Diff_th(a)=0.15)。
図18では、フレームAにおいて判定値が判定閾値(=Diff_th(a))以上となった例を示している。
【0098】
受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3の判定閾値Diff_th(b)は、
図19に示すように、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3の判定閾値Diff_th(a)よりも大きい値に設定される。
図19では、フレームBにおいて判定値が判定閾値(=Diff_th(b))以上となった例を示している。
【0099】
受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3では、ステップS202の補正処理においてセンサ値Raw(p)に掛け合わされる補正係数Cf(p)が大きくなる。これにより、補正処理後の補正値Cor(p)には、システム由来のノイズ成分が大きく表れる。このため、
図19に示すように、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3と同じ判定閾値(=Diff_th(a))とした場合、当該センサ画素3に対応する培地102上の位置をコロニーとして誤判別する可能性がある。
【0100】
実施形態2に係る検出処理では、上述したように、受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3では、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3の判定閾値Diff_th(a)よりも大きい判定閾値Diff_th(b))が設定される。判定閾値Diff_th(b)と判定閾値Diff_th(a)との差分は、受光強度Liが小さい検出領域AAの周辺部のセンサ画素3の判定値Diff(b)に重畳するシステム由来のノイズ成分のピーク値と、受光強度Liが大きい検出領域AAの中央部のセンサ画素3の判定値Diff(a)に重畳するシステム由来のノイズ成分のピーク値との差分以上となるように設定される。言い換えると、判定閾値Diff_th(p)は、受光強度Liで想定されるノイズのピーク値よりも高い値となるように設定される。あるいは、判定閾値Diff_th(p)は、受光強度Liで想定されるノイズの分をかさ上げした値となるように設定される。これにより、システム由来のノイズ成分によってコロニー生成前に誤判別することを抑制することができる。このように、受光強度Liに応じて適切な判定閾値Diff_th(p)を設定することにより、システム由来のノイズ成分をコロニーとして誤判別することを防ぐことができる。
【0101】
なお、実施形態1と実施形態2とを組み合わせることも可能である。具体的には、実施形態1における判定閾値を、センサ画素3ごとの受光強度Li(p)に応じてコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)及び判定閾値Diff_th(p)を設定し、判定値Diff(p)が判定閾値Diff_th(p)以上となったコロニー連続判定回数CEC(p)がコロニー連続判定回数閾値CEC_th(p)以上となった場合にコロニーとして判別する態様であっても良い。
【0102】
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態及び各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0103】
1 検出装置
2 アレイ基板
3 センサ画素
10 光学センサ(面状検出デバイス)
11 検出回路
15AA,15AB 第1ゲート線駆動回路
15BA,15BB 第2ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
21 基板
30 フォトダイオード(光検出素子)
41 検出信号振幅調整回路
42 A/D変換回路
43 信号処理回路
44 バッファ回路
45 検出タイミング制御回路
70 制御回路
71 データ取得回路
72 データ記憶回路
73 データ処理回路
74 画像生成回路
75 光源制御回路
80 光源装置
81 光源基板
82 発光素子
100 被検出体
101 搭載基板
102 培地
103 カバー部材
AA 検出領域