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特開2024-168728一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168728
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20241128BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20241128BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241128BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241128BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241128BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G09F9/30 309
H01L33/52
H01L33/56
H01L23/30 F
G09F9/33
G09F9/00 338
B32B27/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085632
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】片桐 航
(72)【発明者】
【氏名】小泉 昭紘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一義
【テーマコード(参考)】
4F100
4M109
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
4F100AA37D
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK01D
4F100AK25D
4F100AK36D
4F100AK46D
4F100AK49D
4F100AK51D
4F100AK53A
4F100AK53B
4F100AK53D
4F100AR00E
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100EH46
4F100EJ08
4F100EJ42
4F100EJ54
4F100EJ55
4F100EJ86
4F100GB41
4F100JA07D
4F100JB12A
4F100JB12B
4F100JK07A
4F100JK07B
4F100JK07D
4F100JK12E
4F100JL10A
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN01D
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00D
4M109AA02
4M109BA04
4M109CA22
4M109EA04
4M109EB08
4M109EC11
4M109EE11
4M109GA01
5C094AA03
5C094BA25
5C094DA07
5C094DA13
5C094ED01
5C094ED15
5C094GB10
5C094JA07
5C094JA11
5F142AA02
5F142AA22
5F142AA82
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB22
5F142CD16
5F142CD18
5F142CG03
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG13
5F142CG16
5F142CG26
5F142DB02
5F142DB17
5F142FA18
5F142GA01
5G435BB04
5G435FF13
5G435HH02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】一回の圧着で、複数の発光素子間に樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、部分的に輝度が低下することによって斑となることもなく、発光素子間の光拡散を抑制し、かつ必要なコントラストを確保できる一体型封止シート、この一体型封止シートを用いた発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】圧着時に素子付き基板10に直接接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層2及び透明硬化性樹脂層3と、フィルム層4と、半透明樹脂層8とを備え、半透明樹脂層8の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以上であり、半透明樹脂層8の全光線透過率が20~80%であり、黒色硬化性樹脂層2の全光線透過率が0~30%であり、透明硬化性樹脂層3の全光線透過率が50%以上であって、かつ半透明樹脂層8の全光線透過率よりも高い、一体型封止シート1A。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
前記圧着時に前記素子付き基板に直接接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層と、透明硬化性樹脂層と、フィルム層と、半透明樹脂層とを備える、一体型封止シート。
【請求項2】
前記黒色硬化性樹脂層の全光線透過率が、0~30%である、請求項1に記載の一体型封止シート。
【請求項3】
前記黒色硬化性樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以下である、請求項1又は2に記載の一体型封止シート。
【請求項4】
基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
前記圧着時に前記素子付き基板に直接接して配置される側から順次積層された、透明硬化性樹脂層と、フィルム層と、半透明樹脂層とを備える、一体型封止シート。
【請求項5】
前記半透明樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以上であり、
前記半透明樹脂層の全光線透過率が20~80%である、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項6】
前記透明硬化性樹脂層の全光線透過率が、50%以上であって、かつ前記半透明樹脂層の全光線透過率よりも高い、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項7】
前記透明硬化性樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以下である、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項8】
前記半透明樹脂層のJIS K 7136に基づく全体ヘイズが7%以上である、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項9】
前記半透明樹脂層が重量平均分子量が20,000~1,000,000の高分子量樹脂を含む、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項10】
前記高分子量樹脂の重量平均分子量が100,000~500,000である、請求項9に記載の一体型封止シート。
【請求項11】
前記高分子量樹脂が、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びこれらの酸無水物基、並びに水酸基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、及びイミド基の少なくとも一種を有する、請求項9に記載の一体型封止シート。
【請求項12】
前記半透明樹脂層が硬化性樹脂の硬化膜である、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項13】
前記フィルム層の全光線透過率が、70~99%である、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項14】
前記半透明樹脂層がカーボンブラックを含む、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項15】
前記カーボンブラックのISO 787-9に基づくpHが5以下である、請求項14に記載の一体型封止シート。
【請求項16】
前記カーボンブラックがガスブラックである、請求項14に記載の一体型封止シート。
【請求項17】
さらに、前記半透明樹脂層の前記フィルム層と反対側にハードコート層を備える、請求項1又は4に記載の一体型封止シート。
【請求項18】
基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された請求項1に記載の一体型封止シートとを備え、
前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部とが前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
【請求項19】
基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された請求項4に記載の一体型封止シートとを備え、
前記透明硬化性樹脂層の少なくとも一部が前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
【請求項20】
基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、請求項1に記載の一体型封止シートを前記黒色硬化性樹脂層が接するように配置して熱圧着し、
加熱により前記透明硬化性樹脂層と前記黒色硬化性樹脂層とを硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
【請求項21】
基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、請求項4に記載の一体型封止シートを前記透明硬化性樹脂層が接するように配置して熱圧着し、
加熱により前記透明硬化性樹脂層を硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一体型封止シート、発光型電子部品、及び発光型電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、極小の発光ダイオードを用いた、ミニLED、マイクロLEDと呼ばれるディスプレイ技術が注目されている。
ミニLED、マイクロLEDは、二種類の使用方法がある。一方は、基板上に配置された多数のLEDにより液晶のバックライトを構成することにより、バックライトの輝度を局所的に制御することを可能とする技術である。
もう一方は、画素を構成するR(赤)、G(緑)、B(青)を、それぞれの色のLEDで発光させ、各色のLEDが発光した高純度な色がそのまま目に届く仕組みである。
【0003】
ミニLED、マイクロLEDでは、基板上に複数の発光素子が配置された電子部品が使用される。斯かる電子部品には、複数の発光素子の間を光拡散防止性の樹脂で埋めるために、ドライフィルムが使用されている(特許文献1)。
ドライフィルムは、硬化性樹脂組成物を保護フィルム上に塗布乾燥させて得られる樹脂フィルムであり、これを基板の発光素子が配置された面に圧着して発光素子間に充填した後、硬化させることが行われている。
【0004】
ドライフィルムを基板の発光素子が配置された面に圧着すると、発光素子間だけでなく、不可避的に発光素子上にも光拡散防止性の樹脂層が形成されてしまう。
発光素子上に形成された光拡散防止性の樹脂層をそのまま残してしまうと、発光素子間の光拡散だけでなく、本来、視認者側に発すべき光まで遮蔽されてしまう。
そのため、特許文献1では、ドライフィルムを圧着した後、発光素子上の樹脂をプラズマ処理等のエッチングにより取り除き、露出した発光素子を光透過性の封止材で覆うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-22562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のようにプラズマ処理等のエッチングを行う場合には、多大な時間がかかり、製造コスト増大の要因となっている。また、エッチングにより発光素子上の樹脂を完全に取り除くのは難しく、部分的に輝度が低下し、斑になる恐れもある。
さらに、最表面に封止材層を設けるためには、封止材のドライフィルムをさらに積層する作業も必要である。
【0007】
さらに、特許文献1の封止材層は、全光線透過率が高いため、発光素子を十分に隠蔽できず、積層後の黒色度が低下する恐れがある。結果として、発光素子のON/OFFによるコントラストが低下する。
また、エッチングにより薄膜化した光拡散防止性の樹脂層と発光素子との段差の高さを安定的に処理するのが難しいために、積層した際の発光素子上の封止材のドライフィルムの厚さが不均一になり、基板ごと、あるいは発光素子ごとに黒色度にばらつきが発生する問題がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて、一回の圧着で、複数の発光素子間に樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、部分的に輝度が低下することによって斑となることもなく、発光素子間の光拡散を抑制し、かつ黒色度を安定的に確保できる一体型封止シート、この一体型封止シートを用いた発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
前記圧着時に前記素子付き基板に直接接して配置される側から順次積層された、黒色硬化性樹脂層と、透明硬化性樹脂層と、フィルム層と、半透明樹脂層とを備える、一体型封止シート。
[2]前記黒色硬化性樹脂層の全光線透過率が、0~30%である、[1]に記載の一体型封止シート。
[3]前記黒色硬化性樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以下である、[1]又は[2]に記載の一体型封止シート。
[4]基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着される一体型封止シートであって、
前記圧着時に前記素子付き基板に直接接して配置される側から順次積層された、透明硬化性樹脂層と、フィルム層と、半透明樹脂層とを備える、一体型封止シート。
[5]前記半透明樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以上であり、
前記半透明樹脂層の全光線透過率が20~80%である、[1]~[4]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[6]前記透明硬化性樹脂層の全光線透過率が、50%以上であって、かつ前記半透明樹脂層の全光線透過率よりも高い、[1]~[5]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[7]前記透明硬化性樹脂層の貯蔵弾性率が、100℃において1.0×10Pa以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[8]前記半透明樹脂層のJIS K 7136に基づく全体ヘイズが7%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[9]前記半透明樹脂層が重量平均分子量が20,000~1,000,000の高分子量樹脂を含む、[1]~[8]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[10]前記高分子量樹脂の重量平均分子量が100,000~500,000である、[9]に記載の一体型封止シート。
[11]前記高分子量樹脂が、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びこれらの酸無水物基、並びに水酸基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、及びイミド基の少なくとも一種を有する、[9]又は[10]に記載の一体型封止シート。
[12]前記半透明樹脂層が硬化性樹脂の硬化膜である、[1]~[11]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[13]前記フィルム層の全光線透過率が、70~99%である、[1]~[12]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[14]前記半透明樹脂層がカーボンブラックを含む、[1]~[13]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[15]前記カーボンブラックのISO 787-9に基づくpHが5以下である、[14]に記載の一体型封止シート。
[16]前記カーボンブラックがガスブラックである、[14]又は[15]に記載の一体型封止シート。
[17]さらに、前記半透明樹脂層の前記フィルム層と反対側にハードコート層を備える、[1]~[16]のいずれかに記載の一体型封止シート。
[18]基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された[1]又は[1]を直接又は間接的に引用する[2]、[3]、[5]~[17]のいずれかに記載の一体型封止シートとを備え、
前記黒色硬化性樹脂層と、前記透明硬化性樹脂層の一部とが前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
[19]基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板と、前記素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に圧着された[4]又は[4]を直接又は間接的に引用する[5]~[17]のいずれかに記載の一体型封止シートとを備え、
前記透明硬化性樹脂層の少なくとも一部が前記複数の発光素子間に充填されていることを特徴とする発光型電子部品。
[20]基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、[1]又は[1]を直接又は間接的に引用する[2]、[3]、[5]~[17]のいずれかに記載の一体型封止シートを前記黒色硬化性樹脂層が接するように配置して熱圧着し、
加熱により前記透明硬化性樹脂層と前記黒色硬化性樹脂層とを硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
[21]基板に前記複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、[4]又は[4]を直接又は間接的に引用する[5]~[17]に記載の一体型封止シートを前記透明硬化性樹脂層が接するように配置して熱圧着し、
加熱により前記透明硬化性樹脂層を硬化させる、発光型電子部品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一体型封止シートによれば、一回の圧着で、複数の発光素子間に樹脂を充填するだけでなく、封止作業まで完了でき、しかも、部分的に輝度が低下することによって斑となることもなく、発光素子間の光拡散を抑制し、かつ黒色度を安定的に確保できる。
また、本発明の発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法によれば、簡便に発光型電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る一体型封止シートの模式断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る一体型封止シートの模式断面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る発光型電子部品の製造方法の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲において、「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値及び上限値とする数値範囲を意味する。
【0013】
《第1実施形態》
<一体型封止シート>
図1、2を用いて、第1実施形態に係る一体型封止シート1Aについて説明する。図1に示すように、一体型封止シート1Aは黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3とフィルム層4と半透明樹脂層8とハードコート層5が積層されて基本的に構成されている。
本実施形態の一体型封止シート1Aは、さらに、取り扱いの便宜のため、黒色硬化性樹脂層2及びハードコート層5のいずれか一方もしくは両方の表面に保護フィルムを有していてもよい。
【0014】
図1には、黒色硬化性樹脂層2及びハードコート層5の両方の表面に保護フィルムを有している例を示している。具体的には、第1の保護フィルム6に、黒色硬化性樹脂層2、透明硬化性樹脂層3、フィルム層4、半透明樹脂層8、ハードコート層5、第2の保護フィルム7が順次積層されている。
なお、ハードコート層5の表面の硬度が充分であれば、第2の保護フィルム7を省略することができる。
【0015】
図2に示すように、一体型封止シート1Aは、基板11に複数の発光素子(発光素子12、発光素子13、発光素子14)が配置された素子付き基板10の複数の発光素子の間を埋めるために使用される。素子付き基板10の詳細については後述する。
一体型封止シート1Aは、圧着時において、図2に示すように、黒色硬化性樹脂層2が素子付き基板10に直接接するようにして使用される。
一体型封止シート1Aを素子付き基板10に圧着して発光型電子部品を得る具体的方法については後述する。
【0016】
<半透明樹脂層8>
本実施形態の半透明樹脂層8は、黒色硬化性樹脂層2と共にディスプレイの黒色度を高める層である。
また、フィルム層4での外光の乱反射を見えにくくするための層である。
【0017】
[全光線透過率]
半透明樹脂層8は、全光線透過率が20~80%であることが好ましく、本実施形態では、30~80%であることがより好ましく、40~75%であることがさらに好ましい。
半透明樹脂層8の全光線透過率が好ましい下限値以上であることにより、視認者側への光の到達を妨げにくい。半透明樹脂層8の全光線透過率が好ましい上限値以下であることにより、黒色度をより確保しやすい。上記範囲内であることで、コントラストがより向上する。
【0018】
本明細書における全光線透過率はヘイズメータにより測定することができる。
全光線透過率は、主として、カーボンブラック等の顔料や染料の配合の有無、乃至は配合量により調整できる。また、カーボンブラック等を配合する層の厚みや樹脂種によっても調整できる。
【0019】
[全体ヘイズ]
半透明樹脂層8は、JIS K 7136に基づく全体ヘイズが7%以上であることが好ましく、10~70%であることがより好ましく、15~65%であることがさらに好ましい。
半透明樹脂層8の全体ヘイズが好ましい下限値以上であることにより、フィルム層4での外光の乱反射の隠蔽性が向上する。半透明樹脂層8の全体ヘイズが好ましい上限値以下であることにより黒色度を高められる。半透明樹脂層8の全体ヘイズは、半透明樹脂組成物に含まれるカーボンブラックやフィラー、樹脂の相溶性で調製できる。
【0020】
[貯蔵弾性率]
半透明樹脂層8の100℃における貯蔵弾性率は1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることがさらに好ましく、1.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることが特に好ましい。
【0021】
半透明樹脂層8の厚さがばらつくと、黒色度が、面方向で不均一になり斑が生じる恐れがある。半透明樹脂層8の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、素子付き基板10への圧着時に変形しにくくなり、厚さのばらつきがより生じにくい。そのため、発光ムラや色ムラをより抑制することができる。
【0022】
半透明樹脂層8の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時にクラックの発生を防止しやすい。また、半透明樹脂層8と、フィルム層4またはハードコート層5との密着性を確保しやすい。
【0023】
[半透明樹脂組成物]
半透明樹脂層8は、カーボンブラック等を含有した半透明樹脂組成物のコーティング膜、又はその硬化物で構成することができる。半透明樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物、又は硬化性樹脂組成物であり、熱衝撃や高湿度下での耐久性試験で変形等が発生しにくい観点から硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
半透明樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、変形しづらく、着色が安定する観点から硬化膜であることが好ましい。すなわち、素子付き基板10に圧着する以前から硬化していることが好ましい。
【0024】
半透明樹脂組成物は、重量平均分子量が20,000~1,000,000の高分子量樹脂を含むことが好ましい。高分子量樹脂を含むことにより、半透明樹脂層8を形成する塗液をフィルム層4に塗工する際の塗工性が向上する。そのため、黒色度の均一性がより高まる。
半透明樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、高分子量樹脂に加えて、熱、及び/又は光により架橋反応が進行する硬化性樹脂を含むことができる。
【0025】
(高分子量樹脂)
半透明樹脂組成物に含まれる高分子量樹脂の重量平均分子量は20,000~1,000,000であり、100,000~500,000であることが好ましく、150,000~300,000であることがより好ましい。
【0026】
高分子量樹脂の重量平均分子量が20.000以上であることで、半透明樹脂層の塗工性が向上して、液だれ等による膜厚のムラに起因した色ムラの発生を防止できる。高分子量樹脂の重量平均分子量が100.000以上であることで、半透明樹脂層の成膜性が向上して、ピンホールによる色抜けの発生を防止できる。高分子量樹脂の重量平均分子量が150.000以上であることで、半透明樹脂層に靭性を付与することができ、熱圧着時の圧力によるクラックの発生を防止できる。高分子量樹脂の重量平均分子量が上限値以下であることで、他成分との相溶性が向上し、樹脂の相分離に起因する光の散乱を抑制でき、全光線透過率が安定する。
【0027】
高分子量樹脂は、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及びこれらの酸無水物基、並びに水酸基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、エステル基、ウレタン基、ウレア基、及びイミド基の少なくとも一種である官能基を有することが好ましい。これらの官能基を有すると、官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、半透明樹脂層8にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
中でも硬化時に硬化性樹脂と架橋構造を形成可能で、圧着時に変形することなく厚さのばらつきが生じにくいため、カルボキシ基、酸無水物基、アミノ基、アクリル基、メタクリル基、及びビニル基を有することが好ましい。
【0028】
半透明樹脂組成物の高分子量樹脂の配合量は、半透明樹脂組成物の総樹脂固形分100質量%に対して、10質量%以上であることが好ましく、20~80質量%であることがより好ましい。高分子量樹脂の配合量が上記下限値以上であると成膜性が向上し、半透明樹脂組成物の塗液を塗工して成膜する際の膜厚の分布を狭くできる。また、高分子量樹脂が上記好ましい官能基を有する場合、配合量が上記下限値以上であると、カーボンブラックの分散性が良好になる。
【0029】
高分子量樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、酢酸ビニル樹脂、及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
半透明樹脂組成物が熱可塑性樹脂組成物の場合、高分子量樹脂は、圧着時に変形しない弾性率を有することが好ましく、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリイミド樹脂が好ましい。
【0030】
半透明樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、高分子量樹脂は、硬化物の靭性と耐薬品性の両立が可能な柔軟性を有することが好ましく、アクリル樹脂、アクリロニトリルブタジエン共重合体、スチレンブタジエン共重合体、酢酸ビニル樹脂、及びシリコーン樹脂が好ましく、これらのエラストマーであることがより好ましい。
これらの高分子量樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
(エラストマー)
半透明樹脂組成物が硬化性樹脂組成物の場合、エラストマーとしては、優れた耐熱性が得られることから、一般に「ゴム」と呼ばれる熱硬化性エラストマーが好ましい。熱硬化性エラストマーとしては、ブタジエンとアクリロニトリルのランダム共重合体であるアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム、スチレンブタジエンゴム、酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、相溶性の良好なNBRであることが好ましい。
【0032】
エラストマーの重量平均分子量は、100,000~1,000,000であることが好ましく、150,000~300,000であることがより好ましい。エラストマーの重量平均分子量が上記範囲であれば、十分な柔軟性を有しつつ、硬化性樹脂との相溶性を高められることで、硬化物に高い靭性を付与できる。
【0033】
特に硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含むことが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーあれば、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用する。また、エポキシ樹脂と反応し結合できるため、熱衝撃への信頼性が向上する。さらに、エポキシ樹脂と反応可能な官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、半透明樹脂層8にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
【0034】
エポキシ基と反応可能な官能基としては、カルボキシ基、酸無水物基、アミノ基が好ましい。特に、低温での硬化が可能で、塗液の粘度経時変化が抑えられることから、酸基又は酸無水物基が好ましく、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基がより好ましい。すなわち、カルボキシ基を有する変性NBRを含有することが特に好ましい。
【0035】
カルボキシ基を有する変性NBRとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等を導入したカルボキシル化アクリロニトリルゴムが好ましい。カルボキシル化アクリロニトリルゴムの市販品としては、日本ゼオン株式会社製Nipol(登録商標)NX775、Nipol 1072CGJが挙げられる。
【0036】
(硬化性樹脂)
硬化性樹脂は、熱、及び/又は光により架橋構造を形成し、半透明樹脂組成物の硬化物に圧着時に変形しない貯蔵弾性率や耐久性試験の信頼性を付与できる。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、イソシアネート、メラミン樹脂、又はシリコーン樹脂等が挙げられる。中でも、低温での硬化性を実現でき、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂、又はアクリル樹脂が好ましい。
【0037】
(エポキシ樹脂)
本明細書及び特許請求の範囲において、エポキシ樹脂とは、分子中にエポキシ基をもつ化合物である。
本発明に用いるエポキシ樹脂としては、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性樹脂との反応で架橋構造を形成し、硬化物に高い耐熱性を発現させることができるからである。また、エポキシ基が2つ以上のエポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する硬化剤との架橋度が十分であり、硬化物に十分な耐熱性が得られる。
【0038】
一分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2つ有する2官能エポキシ樹脂、分子中にエポキシ基を3つ以上有する多官能エポキシ樹脂、重量平均分子量が10,000以上の高分子量エポキシ樹脂等が挙げられる。また、それらを水素添加されたエポキシ樹脂であってもよい。
【0039】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、高分子量エポキシ樹脂は、分子中のエポキシ基の数に関わらず、2官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂に分類せず、高分子量エポキシ樹脂に分類する。
また、半透明樹脂組成物において、重量平均分子量が20,000~1,000,000の高分子量エポキシ樹脂は高分子量樹脂に分類する。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0040】
エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、又はそれらを高分子量化したフェノキシ型エポキシ樹脂、それらの水素添加したもの等のビスフェノール系エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、o-クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、キシレン構造含有ノボラックエポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-ヒドロキシ安息香酸グリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル系エポキシ樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、テトラフェニルグリシジルエーテルエタン、トリフェニルグリシジルエーテルエタン、ソルビトールのポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールのポリグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン系エポキシ樹脂;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の線状脂肪族エポキシ樹脂;臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、フッ素含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ターシャリーブチルカテコール型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の特殊骨格エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0041】
高分子量エポキシ樹脂としては、フェノキシ型エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリブタジエン、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合体、その他の樹脂をエポキシ変性した変性ポリマー等を用いることができる。
これらのエポキシ樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
上記エポキシ樹脂の中でも、半透明樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂としては、硬化後の十分な架橋密度を得られ、熱圧着時にクラックの発生しづらい観点から、多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
多官能エポキシ樹脂の中でも、特に、ノボラック型のエポキシ樹脂は、適度に柔軟骨格を導入でき、硬化物の貯蔵弾性率を適度な範囲に調整が可能なエポキシ樹脂のため、より好ましい。
【0043】
半透明樹脂組成物に用いられるノボラック型のエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「YX7700」、日本化薬株式会社製の「NC7000L」「XD1000」「EOCN-1020」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN485」、DIC株式会社製の「N-690」「N-695」等が挙げられる。
【0044】
(硬化剤)
半透明樹脂組成物は、硬化性樹脂を硬化できる硬化剤を含んでいてもよい。硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、硬化剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等の公知の硬化剤が挙げられる。硬化性樹脂がアクリル樹脂の場合、硬化剤としては、光ラジカル開始剤、過酸化物等の公知の硬化剤が挙げられる。
硬化剤は2種以上を併用してもよい。
【0045】
(硬化触媒)
半透明樹脂組成物は、硬化性樹脂の硬化反応を促進する硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒としては、イミダゾール系、第三級アミン系、リン化合物系等が挙げられる。
硬化触媒は2種以上を併用してもよい。
【0046】
(黒色顔料又は黒色染料)
半透明樹脂層8は半透明とされている。半透明とするために、半透明樹脂組成物に黒色顔料又は黒色染料を含有することが好ましく、黒色顔料を含有することがより好ましく、カーボンブラックを含有することがさらに好ましい。
【0047】
カーボンブラックの粒子径は10~500nmであるのが好ましく、10~300nmがより好ましく、10~100nmが特に好ましい。なお、粒子径は、平均粒子径のことを言い、動的光散乱法による測定装置により求めることができる。動的光散乱法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製のNanotracWave II UT151が挙げられる。
【0048】
カーボンブラックのISO 787-9に基づくpHは5以下であることが好ましく、1~4.5であることがより好ましく、2~4であることがさらに好ましい。
カーボンブラックのpHが好ましい上限値以下であることにより、良好な分散性が得られ、黒色度を向上させることができる。カーボンブラックのpHが好ましい下限値以上であることにより、半透明樹脂組成物の塗液での分散安定性が向上して、黒色度の安定性が高まる。
【0049】
カーボンブラックとしては、ガスブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックの1種又は2種以上を用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。さらに、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブを使用してもよい。
【0050】
中でも酸性カーボンであるガスブラックは、表面官能基の量が多く、分散性が高く、少量添加で十分な黒色度を発現する点で好ましい。また、官能基を有する高分子量樹脂を含む場合、ガスブラックの表面官能基と高分子量樹脂の官能基との相互作用により、分散性がさらに高まり、良好な黒色度と塗液安定性とを確保できる。
【0051】
カーボンブラックの配合量は、半透明樹脂組成物の固形分全量基準で、0.01~10質量%であることが好ましく、0.01~5質量%であることがより好ましい。カーボンブラックの配合量が上記範囲内であると、適度な全光線透過率が得られる。
【0052】
半透明樹脂組成物には、カーボンブラックの分散性高めるため、カチオン性分散剤を配合してもよい。
カチオン性分散剤を配合する場合の配合量は、カーボンブラックに対して10~150質量%であることが好ましい。
【0053】
(その他の成分)
半透明樹脂組成物は、難燃性や耐熱性の向上、屈折率の調整のために、無機フィラーを含むことができる。
半透明樹脂組成物は、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂とエラストマー以外の樹脂、増粘剤、消泡剤及び/又はレベリング剤、カップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤を用いることができる。
【0054】
[膜厚]
半透明樹脂層8の厚みは、0.1~50μmであることが好ましく、2~30μmであることがより好ましく、5~15μmであることがさらに好ましい。
半透明樹脂層8の厚みが好ましい下限値以上であることにより、成膜時の膜厚のばらつきを抑えることができる。半透明樹脂層8の厚みが好ましい上限値以下であることにより、コストを抑えることができる。
【0055】
<黒色硬化性樹脂層>
黒色硬化性樹脂層2は、発光素子間の光拡散を防止し、ディスプレイのコントラストを向上させる層である。
また、熱圧着工程において、素子付き基板10に配置された複数の発光素子の間を十分に充填し、熱硬化工程での不充填空隙の膨張による外観不良や、後工程での外的要因による発光素子へのダメージを防止するための層である。
【0056】
[全光線透過率]
黒色硬化性樹脂層2は全光線透過率が低い。なお、黒色硬化性樹脂層2の全光線透過率は、硬化状態において測定される。黒色硬化性樹脂層2は硬化状態における全光線透過率が0~50%となるように調製されることが好ましく、0~40%となるように調製されることがより好ましく、0~30%となるように調製されることがさらにより好ましい。
黒色硬化性樹脂層2の硬化状態における全光線透過率が上限値以下であることにより、発光素子間の光拡散を防止することができる。
硬化状態における全光線透過率は、主として、カーボンブラック等の顔料や染料の配合量により調整できる。また、樹脂層の厚みや樹脂種によっても調整できる。
【0057】
[貯蔵弾性率]
素子付き基板10に圧着し硬化させる前の黒色硬化性樹脂層2は未硬化状態又は半硬化状態である。硬化前の貯蔵弾性率は、透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率より小さいことが好ましい。
【0058】
黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率は、100℃において1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
【0059】
硬化前の黒色硬化性樹脂層2の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に充分な流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
硬化前の黒色硬化性樹脂層2の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、熱圧着時の圧力偏重を防ぐことができ、均一な外観を保つことができる。また、範囲外への樹脂の流出を防止でき、圧着後の膜厚を確保できる。
【0060】
[硬化性樹脂組成物]
黒色硬化性樹脂層2は、硬化性樹脂組成物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、低温での硬化性を実現でき、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
【0061】
(エポキシ樹脂)
黒色硬化性樹脂層2に用いられるエポキシ樹脂の例としては、半透明樹脂層8におけるものと同様の種類が挙げられる。
黒色硬化性樹脂層2に用いるエポキシ樹脂としては、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性樹脂との反応で架橋構造を形成し、硬化物に高い耐熱性を発現させることができるからである。また、エポキシ基が2つ以上のエポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する硬化剤との架橋度が十分であり、硬化物に十分な耐熱性が得られる。
【0062】
上記エポキシ樹脂の中でも、黒色硬化性樹脂層2に用いられるエポキシ樹脂としては、硬化後の架橋密度を高められる観点から、多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。
多官能エポキシ樹脂の中でも、特に、ノボラック型のエポキシ樹脂は、適度に柔軟骨格を導入でき、柔軟性や軟化点の調整が可能なエポキシ樹脂のため、硬化物が脆性破壊を起こしづらくなり、エポキシ樹脂組成物の硬化物の長期使用に対する性能の安定性が向上し、架橋密度を高められ、耐熱性も向上するため、より好ましい。
【0063】
ノボラック型のエポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「YX7700」、日本化薬株式会社製の「NC7000L」、「XD1000」、「EOCN-1020」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN485」、DIC株式会社製の「N-690」、「N-695」、「HP-7200H」、「HP-7200L」等が挙げられる。
【0064】
黒色硬化性樹脂層2における、多官能エポキシ樹脂の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂固形分100質量%に対して、10~99質量%であることが好ましく、40~95質量%であることがより好ましく、60~90質量%であることがさらに好ましい。上記下限値以上であると、架橋密度を高めて耐薬品性や耐熱性を付与できる。また、上記上限値以下であると、熱圧着時の貯蔵弾性率を調整でき、黒色硬化性樹脂層2の流動性を確保できる。
【0065】
黒色硬化性樹脂層2は、高分子量エポキシ樹脂を含まないか、含む場合は、透明硬化性樹脂層3よりも少ない配合量で含むことが好ましい。これにより、熱圧着時の充分な流動性を確保しやすい。
【0066】
黒色硬化性樹脂層2における、高分子量エポキシ樹脂の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂固形分100質量%に対して、50質量%未満であることが好ましく、30質量%未満であることがより好ましく、10質量%未満であることがさらに好ましい。
【0067】
熱圧着時の十分な流動性を確保する観点から、黒色硬化性樹脂層2には、軟化点又は融点が、100℃以下のエポキシ樹脂が含まれることが好ましい。ハンドリング性や硬化物の耐熱性の観点から、軟化点又は融点が、50~95℃のエポキシ樹脂が含まれることがより好ましい。上記範囲内の軟化点又は融点を有するエポキシ樹脂を含むことで、貯蔵弾性率の制御が可能になる。
【0068】
黒色硬化性樹脂層2における、エポキシ樹脂全体の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂固形分100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましく、20~99質量%であることがより好ましく、35~95質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の適当な流動性を確保できる。また、上記下限値以上であると、硬化後の耐熱性を向上できる。
【0069】
(エラストマー)
黒色硬化性樹脂層2は、エポキシ樹脂等の樹脂に加えて、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーを含むことにより、貯蔵弾性率の制御すなわち、流動性の制御が容易となる。
黒色硬化性樹脂層2に用いられるエラストマーの例としては、半透明樹脂層8におけるものと同様の種類が挙げられる。中でもエポキシ樹脂との相溶性が良好で、透明硬化性樹脂層3の150℃付近での貯蔵弾性率を高められ、透明硬化性樹脂層3との密着性が良好であることから、NBRが好ましい。エラストマーの好ましい重量平均分子量も半透明樹脂層8と同様である。
【0070】
黒色硬化性樹脂層2に用いられるエラストマーの重量平均分子量は、100,000~1,000,000であることが好ましく、120,000~500,000であることがより好ましく、150,000~300,000であることがさらに好ましい。エラストマーの重量平均分子量が上記範囲であれば、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率を制御でき、熱圧着時の流動性を確保できる。エラストマーの重量平均分子量が上記上限値以下であれば、エポキシ樹脂との相溶性が向上して熱硬化時の流動をより効果的に制御できる。
【0071】
特に黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含むことが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーあれば、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用する。また、エポキシ樹脂と反応し結合できるため、耐熱性と熱衝撃への信頼性が向上する。さらに、エポキシ樹脂と反応可能な官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、黒色硬化性樹脂層2にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
【0072】
黒色硬化性樹脂層2に用いられる変性エラストマーが有する官能基としては、カルボキシ基、スルホ基、ニトロ基、リン酸基等の酸基、及びこれらの酸無水物基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。中でも低温での硬化が可能で、可使時間を確保できることから、酸基又は酸無水物基が好ましく、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基が特に好ましい。
【0073】
黒色硬化性樹脂層2は、エポキシ樹脂組成物で構成される場合、カルボキシ基を有する変性NBRを含有することが特に好ましい。
カルボキシ基を有する変性NBRとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等を導入したカルボキシル化アクリロニトリルゴムが好ましい。カルボキシル化アクリロニトリルゴムの市販品としては、日本ゼオン株式会社製Nipol(登録商標)NX775、Nipol 1072CGJが挙げられる。
エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーは2種以上を併用してもよい。
【0074】
黒色硬化性樹脂層2のエラストマーの配合量は、透明硬化性樹脂層3のエラストマーの配合量より多いことが好ましい。これにより、黒色硬化性樹脂層2に多官能エポキシのような低分子量成分が多い配合において、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率を透明硬化性樹脂層3より低い適度な範囲に調整でき、かつ、熱硬化時の流動を抑制できる。結果として、黒色硬化性樹脂層2に熱圧着時の十分な流動性と熱硬化時の流れだしの抑制が可能になる。
【0075】
黒色硬化性樹脂層2のエラストマーの配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂固形分100質量%に対して、0.01~90質量%であることが好ましく、1~80質量%であることがより好ましく、5~65質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の適当な流動性を確保できる。また、上記下限値以上であると、カーボンブラックの分散性が良好になる。さらに、成膜性が向上し、エポキシ樹脂組成物を塗工して成膜する際の膜厚の分布を狭くできる。
【0076】
(硬化剤)
黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマー以外のその他のエポキシ樹脂用の硬化剤を含んでいてもよい。その他の硬化剤としては、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤等の公知の硬化剤が挙げられる。
その他の硬化剤は2種以上を併用してもよい。
【0077】
(硬化触媒)
黒色硬化性樹脂層2がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒としては、イミダゾール系、第三級アミン系、リン化合物系等が挙げられる。中でもエポキシ樹脂と相溶性がよく、黄変の原因になりづらいことから、イミダゾール系が好ましい。
イミダゾール系の硬化触媒の中でも、シアノエチル基を有するものがエポキシ樹脂に溶けやすいことから、特に好ましい。
【0078】
硬化触媒の配合量は、黒色硬化性樹脂層2の総樹脂固形分100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~4質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、硬化を十分に進められ、一体型封止シート1Aの可使時間を確保できる。
硬化触媒は2種以上を併用してもよい。
【0079】
(黒色顔料又は黒色染料)
黒色硬化性樹脂層2は、黒色に着色されている。着色のために、黒色顔料又は黒色染料を含有することが好ましく、黒色顔料を含有することがより好ましく、カーボンブラックを含有することがさらに好ましい。黒色に着色されていることにより、素子付き基板10の複数の発光素子の間の光拡散防止性が得られる。
【0080】
カーボンブラックの好ましい粒子径、ISO 787-9に基づくpHの好ましい範囲は半透明樹脂層8におけるカーボンブラックの好ましい態様と同様である。
カーボンブラックのpHが好ましい上限値以下であることにより、良好な分散性が得られ、黒色度を向上させることができる。カーボンブラックのpHが好ましい下限値以上であることにより、黒色硬化性樹脂層の塗液での分散安定性が向上して、沈降や黒色度の安定性が高まる。
また、カーボンブラックの具体例は、半透明樹脂層8におけるものと同様のものが挙げられ、中でも、表面官能基の量が多く、分散性が高く、少量添加で十分な光拡散防止機能を発揮する点で、ガスブラックが好ましい。
【0081】
カーボンブラックの配合量は、黒色硬化性樹脂層2の固形分全量基準で、0.1~15質量%であることが好ましく、1.0~10質量%であることがより好ましい。カーボンブラックの配合量が上記下限値以上であると十分な遮光性が得られる。カーボンブラックの配合量が上記上限値を超えると、黒色硬化性樹脂層2のチキソ性が高まり、熱圧着時の流動性が低下して、素子付き基板10の複数の発光素子の間を十分に充填できなくなる。
【0082】
(その他の成分)
黒色硬化性樹脂層2は、難燃性や耐熱性の向上、屈折率の調整のために、無機フィラーを含むことができる。
黒色硬化性樹脂層2は、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂とエラストマー以外の樹脂、増粘剤、消泡剤及び/又はレベリング剤、カップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤を用いることができる。
【0083】
<透明硬化性樹脂層>
透明硬化性樹脂層3は、熱圧着工程において、素子付き基板10に配置された複数の発光素子の間に黒色硬化性樹脂層2を十分に押し込むための層である。
【0084】
[全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3は全光線透過率が高い。なお、透明硬化性樹脂層3の全光線透過率は、硬化状態において測定される。透明硬化性樹脂層3は、硬化状態における全光線透過率が50%以上であって、かつ半透明樹脂層8の全光線透過率よりも高くなるように調製されることが好ましく、75%を超え、かつ半透明樹脂層8の全光線透過率よりも高くなるように調製されることがより好ましく、80%を超え99.5%以下となるように調製されることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3の硬化状態における全光線透過率が下限値以上であることにより、硬化状態における透明硬化性樹脂層3が発光素子の上に残っても、視認者側への光の到達が妨げられない。
【0085】
[貯蔵弾性率]
素子付き基板10に圧着し硬化させる前の透明硬化性樹脂層3は未硬化状態又は半硬化状態である。硬化前の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
【0086】
100℃において、透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
また、150℃において、透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
【0087】
透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率は、100℃から150℃において、黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きいことが好ましい。
なお、100℃と150℃で、硬化前の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きい場合、通常100℃~150℃の全範囲において、硬化前の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率が黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率より大きい。
【0088】
透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率は、100℃において1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることが好ましく、5.0×10Pa以上、5.0×10Pa以下であることがより好ましい。
【0089】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい範囲内であることにより、素子付き基板10への圧着時に黒色硬化性樹脂層2の流動を妨げない充分な流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して黒色硬化性樹脂層2と共に、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
【0090】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、透明硬化性樹脂層3の流動性が足りず、黒色硬化性樹脂層2を複数の発光素子の間を充分に押し込みにくくなるうえ、熱圧着時に透明硬化性樹脂層3にクラックが発生することで、ヒビ様欠点が発生しやすくなる。
【0091】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値を下回ると、発光素子上の黒色硬化性樹脂層2を十分に除去できない。また、透明硬化性樹脂層3の流動性が高すぎて熱圧着の際に部分的に黒色硬化性樹脂層2を押し込みすぎ、濃淡が発生しやすくなる。
【0092】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、150℃において1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることがより好ましい。
【0093】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、熱硬化時に硬化収縮によるクラックが発生しやすくなる。硬化前の透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、熱硬化時の流動を抑制でき、気泡の発生による硬化後の外観不良が抑制され、さらには、硬化時に黒色硬化性樹脂層2の流動を抑制できる。
【0094】
硬化前の100℃における透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の硬化前の貯蔵弾性率に対して10~1000倍が好ましく、30~500倍がより好ましい。硬化前の150℃の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、黒色硬化性樹脂層2の貯蔵弾性率の5~10000倍が好ましく、10~1000倍がより好ましい。
【0095】
[硬化性樹脂組成物]
透明硬化性樹脂層3は、硬化性樹脂組成物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、半透明樹脂層8と同様に、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリウレタン樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂と硬化剤を含む熱硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、低温での硬化性を実現でき、耐熱性、信頼性に優れることから、エポキシ樹脂組成物であることが好ましい。
【0096】
(エポキシ樹脂)
透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂の例としては、半透明樹脂層8におけるものと同様の種類が挙げられる。
【0097】
透明硬化性樹脂層3に適度な圧着時粘度を付与できる観点から、透明硬化性樹脂層3は、重量平均分子量が10,000~100,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことが好ましい。他の樹脂成分との相溶性が良好で、乾燥後もドライフィルムに残る可能性のある沸点の高い溶剤を混合しなくても溶解できる観点から、重量平均分子量が10,000~35,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。
【0098】
透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂として重量平均分子量が10,000~100,000の高分子量エポキシ樹脂を含むことにより、加熱時に適度な粘度を有するため、透明硬化性樹脂層3の100℃~150℃の範囲の貯蔵弾性率を好ましい範囲に調整できる。
透明硬化性樹脂層3に用いられる高分子量エポキシ樹脂は、他のエポキシ樹脂との相溶性が良好であることから、フェノキシ型エポキシ樹脂が好ましい。
【0099】
フェノキシ型エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂の中でも比較的に分子量が大きく、加熱時に適度な粘度を有するため、透明硬化性樹脂層3の100℃~150℃の範囲の貯蔵弾性率を好ましい範囲に調整できる。また、フェノキシ型エポキシ樹脂は、ポリエステル等の他の熱可塑性樹脂と異なり、エポキシ樹脂としての硬化が可能なため、架橋密度を高めることができ、硬化物の耐熱性や長期使用に対する性能の信頼性を損なわない。
【0100】
熱圧着時に黒色硬化性樹脂層2を押し込む貯蔵弾性率を確保する観点から、透明硬化性樹脂層3に用いられるフェノキシ型エポキシ樹脂のガラス転移温度は、100℃以上であることが好ましい。
【0101】
フェノキシ型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「1256」、「YX7200」、「YX8100」、「YX7180」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YP-50」、「YP-50S」、「YP-70」、DIC株式会社製の「N-690」、DIC株式会社製の「H-157」、「EXA-192」等が挙げられる。
【0102】
透明硬化性樹脂層3における、高分子量エポキシ樹脂の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂固形分100質量%に対して、30~80質量%であることが好ましく、40~70質量%であることがより好ましく、45~60質量%であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3における、フェノキシ型エポキシ樹脂の好ましい配合量も同様である。
【0103】
上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の透明硬化性樹脂層3を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、気泡の発生による硬化後の外観不良が抑制できる。また、上記上限値以下であると、硬化状態における透明硬化性樹脂層3の架橋密度を高め、耐熱性や耐薬品性を向上できる。
【0104】
さらに、透明硬化性樹脂層3に用いられるエポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂が含まれることが好ましい。多官能エポキシ樹脂は、架橋密度を高められることで、エポキシ樹脂組成物の硬化物の長期使用に対する性能の安定性がさらに向上し、耐熱性も向上する。また、フェノキシ型エポキシ樹脂よりも100℃~150℃の範囲の粘度が低いため、フェノキシ型エポキシ樹脂と組み合わせることで、透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率を調整できる。
【0105】
多官能エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製の「YX7700」、「157S70」、「1032S60」、日本化薬株式会社製の「NC7000L」、「XD1000」、「EOCN-1020」、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN485」、DIC株式会社製の「N-690」、「N-695」、「HP-7200H」等が挙げられる。
【0106】
透明硬化性樹脂層3における、多官能エポキシ樹脂の配合量は、透明硬化性樹脂層3総樹脂固形分100質量%に対して、90質量%以下であることが好ましく、10~80質量%であることがより好ましく、35~70質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、透明硬化性樹脂層3の熱圧着時の貯蔵弾性率を制御でき、かつ、硬化状態において耐熱性や耐薬品性を付与できる。
【0107】
熱圧着時の十分な流動性を確保する観点から、透明硬化性樹脂層3には、軟化点又は融点が、120℃以下のエポキシ樹脂が含まれることが好ましい。ハンドリング性や硬化物の耐熱性の観点から、軟化点又は融点が、50~105℃のエポキシ樹脂が含まれることがより好ましい。上記範囲内の軟化点又は融点を有するエポキシ樹脂を含むことで、貯蔵弾性率の制御が可能になる。
【0108】
透明硬化性樹脂層3における、エポキシ樹脂全体の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂固形分100質量%に対して、10~100質量%であることが好ましく、30~99質量%であることがより好ましく、50~95質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能であり、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層2を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、気泡の発生による硬化後の外観不良が抑制できる。また、上記下限値以上であると、硬化状態において耐熱性が向上する。
【0109】
(エラストマー)
透明硬化性樹脂層3は、エポキシ樹脂等の樹脂に加えて、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーを含むことにより、貯蔵弾性率の制御が容易となる。
【0110】
エラストマーとしては、半透明樹脂層8におけるものと同様の種類が挙げられる。中でもエポキシ樹脂との相溶性が良好で、透明硬化性樹脂層3の150℃付近での貯蔵弾性率を高められ、黒色硬化性樹脂層2との密着性が良好であることから、NBRが好ましい。エラストマーの好ましい重量平均分子量も黒色硬化性樹脂層2におけるものと同様である。
【0111】
特に透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーを含むことが好ましい。エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーあれば、エポキシ樹脂の硬化剤としても作用する。また、エポキシ樹脂と反応し結合できるため、耐熱性と熱衝撃への信頼性が向上する。さらに、エポキシ樹脂と反応可能な官能基と樹脂骨格の極性の違いが分散性に良好に作用し、透明硬化性樹脂層3にカーボンブラックを含有させる場合に良好な分散性が得られる。
【0112】
エポキシ基と反応可能な官能基としては、黒色硬化性樹脂層2におけるものと同様の種類が挙げられる。中でも低温での硬化が可能で、可使時間を確保できることから、酸基又は酸無水物基が好ましく、カルボキシ基又はカルボン酸無水物基が特に好ましい。
【0113】
透明硬化性樹脂層3は、エポキシ樹脂組成物で構成される場合、カルボキシ基を有する変性NBRを含有することが特に好ましい。
カルボキシ基を有する変性NBRとしては、黒色硬化性樹脂層2におけるものと同様の種類が挙げられる。
エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマーは2種以上を併用してもよい。
【0114】
透明硬化性樹脂層3のエラストマーの配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂固形分100質量%に対して、0~70質量%であることが好ましく、1~50質量%であることがより好ましく、5~50質量%であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、貯蔵弾性率の制御が可能である。また、上記上限値以下であると、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層を押し込む貯蔵弾性率を確保できる。また、熱硬化時の流動を抑制でき、気泡の発生による硬化後の外観不良が抑制できる。また、上記下限値以上であると、カーボンブラックの分散性が良好になる。さらに、成膜性が向上し、エポキシ樹脂組成物を塗工して成膜する際の膜厚の分布を狭くできる。
【0115】
(硬化剤)
透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ基と反応可能な官能基を有する変性エラストマー以外のその他のエポキシ樹脂用の硬化剤を含んでいてもよい。その他の硬化剤としては、黒色硬化性樹脂層2におけるものと同様の硬化剤が挙げられる。その他の硬化剤は2種以上を併用してもよい。
【0116】
(硬化触媒)
透明硬化性樹脂層3がエポキシ樹脂組成物で構成される場合、エポキシ樹脂の硬化反応を促進する硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒としては、黒色硬化性樹脂層2におけるものと同様の硬化触媒が挙げられ、好ましい態様も同様である。
【0117】
硬化触媒の配合量は、透明硬化性樹脂層3の総樹脂固形分100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましく、0.05~4質量部であることがより好ましく、0.1~3質量部であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、硬化を十分に進められ、一体型封止シート1Aの可使時間を確保できる。
硬化触媒は2種以上を併用してもよい。
【0118】
(その他の成分)
透明硬化性樹脂層3は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
【0119】
全光線透過率を高くする観点から、透明硬化性樹脂層3がカーボンブラックを含む場合、その配合量は、総樹脂固形分100質量部に対して、5質量部未満であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以下であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3は、さらに必要に応じて、エポキシ樹脂とエラストマー以外の樹脂、増粘剤、消泡剤及び/又はレベリング剤、カップリング剤等の密着性付与剤、難燃剤を用いることができる。
【0120】
<フィルム層>
フィルム層4は、発光素子を外部からの物理的衝撃や湿度、水分等から保護するための層である。
【0121】
[全光線透過率]
フィルム層4は、全光線透過率が30~99%となるように調製されることが好ましい。フィルム層4は、全光線透過率が50~95%となるように調製されることが好ましく、70~95%となるように調製されることがより好ましい。
フィルム層4の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。
【0122】
[貯蔵弾性率]
フィルム層4の100℃における貯蔵弾性率は、1.0×10Pa以上、1.0×1010Pa以下であることが好ましく、2.0×10Pa以上、9.0×10Pa以下であることが好ましく、3.0×10Pa以上、8.0×10Pa以下であることがより好ましい。
【0123】
フィルム層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、適度な柔軟性が得られ、作業性が向上するうえ、圧力によるクラックを防止できる。
フィルム層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、素子付き基板10への圧着時に変形しにくく、黒色硬化性樹脂層2や透明硬化性樹脂層3に均一に圧力を伝えることができる。さらに、半透明樹脂層8やハードコート層5に割れや変形などの不具合を生じさせない。
【0124】
[樹脂]
フィルム層4は熱可塑性樹脂で構成されていても硬化性樹脂で構成されていてもよい。フィルム層4を構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン2,6-ナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、フェノキシ樹脂、シンジオタクティックポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、耐熱性、耐候性、入手のしやすさ、コスト面等から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン2,6-ナフタレート樹脂、及びポリカーボネート樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。
これらの樹脂を含むことにより、圧着時の変形を防ぐことができる。
フィルム層4は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
【0125】
[膜厚]
フィルム層4の厚みは、10~250μmであることが好ましく、20~200μmであることがより好ましく、25~150μmであることがさらに好ましい。
フィルム層4の厚みが好ましい下限値以上であることにより、素子を保護するのに十分な強度を有する。フィルム層4の厚みが好ましい上限値以下であることにより、視認性が向上し、コストを抑えることができる。
【0126】
<ハードコート層>
[硬度]
ハードコート層5は、発光型電子部品を傷つきから保護するための層である。
ハードコート層5表面の鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましい。
【0127】
[表面粗さ]
ハードコート層5表面の表面粗さRaは0.1~1μmであることが好ましく、0.2~1μmであることがより好ましく、0.3~1μmであることがさらに好ましい。
ハードコート層5の表面粗さが好ましい下限値以上であることにより、ハードコート層5表面の反射率を低減することができる。ハードコート層5の表面粗さが好ましい上限値以下であることにより、製造が容易となる。
【0128】
[全光線透過率]
ハードコート層5は、全光線透過率が30~99%となるように調製されることが好ましく、50~99%となるように調製されることがより好ましく、60~99%となるように調製されることがさらに好ましい。
ハードコート層5の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。
【0129】
[硬化性樹脂組成物]
ハードコート層5は、硬化性樹脂組成物で構成されている。ハードコート層5を構成する硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、紫外線硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも紫外線硬化性樹脂組成物が好ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、これらの一種以上を含むことができる。
熱硬化性樹脂組成物としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらの一種以上を含むことができる。
【0130】
[微粒子]
ハードコート層5は微粒子を含むことが好ましい。微粒子としては、無機微粒子及び有機微粒子の一方又は両方を使用できる。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、チタン微粒子が挙げられる。有機微粒子としてはポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、ウレタン樹脂が挙げられる。
中でも、シリカ微粒子が好ましい。微粒子を含むことにより、表面粗さを調整したり、表面硬度を向上させたりすることができる。
【0131】
[膜厚]
ハードコート層5の厚みは、0.5~20μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましく、1.5~8μmであることがさらに好ましい。
ハードコート層5の厚みが好ましい下限値以上であることにより、十分な硬度を確保できる。ハードコート層5の厚みが好ましい上限値以下であることにより、カール等の不具合を生じさせない。
ハードコート層5は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
【0132】
<一体型積層シート全体の光学特性>
[四層全体の全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3と、フィルム層4と、半透明樹脂層8と、ハードコート層5の四層全体の全光線透過率(光透過可能な層全体の全光線透過率)は、35~80%であることが好ましく、40~80%がより好ましく、45~75%がさらに好ましい。
四層全体の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。四層全体の全光線透過率が上限値以下であることにより、ディスプレイのコントラスト向上効果が高まる。
【0133】
[光沢度]
一体型積層シート最表面の光沢度、本実施形態では、ハードコート層5側の光沢度計(JIS-Z-8741)により測定した光沢度は1~50であることが好ましく、3~30であることがより好ましく、5~25であることがさらに好ましい。
ハードコート層5側の光沢度が下限値以上であれば製造が容易である。ハードコート層5の光沢度が好ましい上限値以下であることにより、ディスプレイの視認性が向上する。
【0134】
<保護フィルム>
第1の保護フィルム6及び第2の保護フィルム7(以下第1の保護フィルム6及び第2の保護フィルム7を総称して単に「保護フィルム」という場合がある。)は、一体型封止シート1Aを保護する役割を有するものであり、一体型封止シート1Aを形成する際には、硬化性樹脂組成物の塗液が塗布されるフィルムとしても使用できる。
【0135】
保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルム、及び、表面処理した紙等を用いることができる。
【0136】
これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムを好適に使用することができる。保護フィルムの厚さは、特に制限されるものではないが概ね10~150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。保護フィルムの樹脂層を設ける面には、離型処理が施されていてもよい。
【0137】
<一体型封止シートの製造方法>
一体型封止シート1Aを得るためには、まず、第1の保護フィルム6に黒色硬化性樹脂層2用の硬化性樹脂組成物の塗液を塗布乾燥したものと、フィルム層4に予め半透明樹脂層8とハードコート層5とを順次形成したものの半透明樹脂層8と反対側の面に、透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液を塗布乾燥したものを用意する。
【0138】
その後、これらを、透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2が接するようにして重ね、ラミネートすることにより、第1の保護フィルム6に、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3とフィルム層4と半透明樹脂層8とハードコート層5が順次積層した積層体が得られる。
第2の保護フィルム7は、必要に応じて、このハードコート層5の表面に積層する。
【0139】
フィルム層4に半透明樹脂層8とハードコート層5とを順次形成したものは、フィルム層4の表面に、半透明樹脂層8用の半透明樹脂組成物の塗液を塗布乾燥した後、ハードコート層用コート剤を塗布乾燥し、その後硬化することにより得られる。
なお、ハードコート層用コート剤の塗布は、半透明樹脂組成物を硬化させた後に行ってもよい。
【0140】
半透明樹脂層8用の半透明樹脂組成物の塗液と、黒色硬化性樹脂層2用の硬化性樹脂組成物の塗液と、透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液と、ハードコート層用コート剤の塗布方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファウンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の各種コーターが挙げられる。
乾燥温度は、60~160℃が好ましく、80~130℃が好ましく、90~120℃がさらに好ましい。
半透明樹脂組成物の塗液とハードコート層用コート剤の硬化方法としては、熱硬化、紫外線硬化、電子線硬化等が挙げられる。
【0141】
半透明樹脂層8用の半透明樹脂組成物の塗液と黒色硬化性樹脂層2用の硬化性樹脂組成物の塗液と透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液とハードコート層用コート剤は、塗布を支障なく行える粘度となる量の有機溶剤を含有することが好ましい。
有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテートなどのエステル類;エタノール、プロパノール、2-メトキシプロパノール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の他、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラクロロエチレン、テレビン油等が挙げられる。
【0142】
なお、カーボンブラックを塗液に配合する際は、カーボンブラック粉末を加えてもよいし、カーボンブラック分散液を加えてもよい。
【0143】
ラミネート時の温度は、20~120℃が好ましく、30~100℃がより好ましく、40~80℃がさらに好ましい。ラミネート時における温度を好ましい下限値以上とすることにより、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3との間に未硬化状態又は半硬化状態でもハンドリング可能な密着力を確保できる。また、ラミネート時における温度を好ましい上限値以下とすることにより、気泡の挟み込みや皴の発生を防止できる。
ラミネートは、ロールラミネーター、プレス機、真空プレス機等を用いて行うことができる。
【0144】
<素子付き基板>
素子付き基板10は、図2に示すように、基板11上に複数の発光素子が配置されたものである。図2等では、模式的に、3つの発光素子(発光素子12、発光素子13、発光素子14)が配置された部分を示している。
【0145】
基板11の材質に限定はないが、公知のプリント基板を好適に使用できる。公知のプリント基板としては、ガラスエポキシ基板、フッ素樹脂基板、セラミックス基板等が挙げられる。
発光素子は、典型的には、発光ダイオードである。本発明は、発光素子が極小の場合に特に好適に適用できる。
【0146】
例えば、高さが1000nm~200μm、1辺が0.001~0.5mmの発光ダイオードを使用することができる。
ミニLEDやマイクロLEDを得るための素子付き基板10としては、発光素子として、R、G、Bの3色の発光ダイオードを、あるいは発光素子として、青色発光ダイオードを用いることができる。
【0147】
<発光型電子部品の製造方法>
本発明の発光型電子部品の製造方法は、基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、本発明の一体型封止シート1Aを、その黒色硬化性樹脂層2が接するように配置し、熱圧着して前記複数の発光素子の間に黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の一部を充填し、加熱して黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3を硬化させる方法である。
以下、図2~5を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法について説明する。
【0148】
本実施形態の製造方法では、まず、図2に示すように、素子付き基板10の発光素子12、発光素子13、発光素子14が配置された面に、第1の保護フィルム6を剥離して黒色硬化性樹脂層2が露出した一体型封止シート1Aを、その黒色硬化性樹脂層2が接するように配置する。
【0149】
このとき、すなわち、圧着前において、黒色硬化性樹脂層2の厚さは、発光素子の高さに対して10~95%であることが好ましい。上記下限値については、15%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましい。また、上記上限値については、85%以下であることがより好ましく、65%以下であることがさらに好ましく、55%以下であることが特に好ましい。
【0150】
黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して10%以上であると、発光素子間の光拡散を防止する機能が充分となる。また、黒色硬化性樹脂層2が、貯蔵弾性率が比較的低く流動性が確保されているものであると、発光素子間に樹脂が十分に充填できる。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して15%未満であると、透明硬化性樹脂層3の流動性が比較的低い場合、表面にヒビ様欠点が発生することがある。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して30%以上であると、光拡散防止機能を有する黒色硬化性樹脂層2を、発光素子間に適当に充填できる。
【0151】
黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して95%以下であれば、熱圧着時の黒色硬化性樹脂層の外部への漏れ出しを防止でき、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して85%を超えると、プレス後に流動した黒色硬化性樹脂層2の膜厚のブレにより黒色の濃淡が見られることがある。黒色硬化性樹脂層2の厚さが発光素子の高さに対して55%以下であれば、光拡散防止機能を有する黒色硬化性樹脂層2を、発光素子間に適当に充填できる。
【0152】
透明硬化性樹脂層3の圧着前の厚さは、発光素子の高さに対して10~500%であることが好ましい。上記下限値については、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また、上記上限値については、200%以下であることがより好ましく、150%以下であることがさらに好ましい。
【0153】
透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して10%以上であると、発光素子上を覆う封止材層として機能しやすい。また、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものである場合、熱硬化の際に黒色硬化性樹脂層2と共に流動することが抑制され、外観不良が発生しにくい。透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して40%未満であると、透明硬化性樹脂層3の流動を許容できる範囲が不十分で表面にヒビ様欠点が発生することがある。透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して50%以上であると、発光素子上を覆う封止材層として機能しやすい。また、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものである場合、黒色硬化性樹脂層2を十分に押し込むことができる。
【0154】
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の圧着前の合計厚さは、発光素子の高さに対して110~550%であることが好ましく、120~400%であることが好ましく、150~300%であることがより好ましい。
【0155】
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3との合計厚さが発光素子の高さに対して上記下限値以上であれば、発光素子の間に充分に硬化性樹脂を埋め込むことができる。
黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の合計厚さが発光素子の高さに対して上記上限値以下であれば、圧着時に厚みムラを生じにくく、表面に外観不良が発生しにくい。
【0156】
透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2の圧着前の合計厚さに対する黒色硬化性樹脂層2の圧着前の厚さの割合は、10~90%であることが好ましく、15~70%であることがより好ましく、20~50%であることがさらに好ましい。
透明硬化性樹脂層3と黒色硬化性樹脂層2の合計厚さに対する黒色硬化性樹脂層2の圧着前の厚さの割合が上記下限値以上であれば、黒色度を高め、ディスプレイのコントラストを十分向上させることができる。上記上限値以下であれば、圧着時に発光素子上に黒色硬化性樹脂層2が残りにくく、輝度を十分向上させることができる。
【0157】
この図2の状態で熱圧着して、一体型封止シート1Aの黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の一部を、図3に示すように発光素子間に埋め込む。
このとき、黒色硬化性樹脂層2が、貯蔵弾性率が比較的低く流動性が確保されているものであると、発光素子による凹凸に追従して、発光素子間に充填されやすく、また、発光素子上に残りにくいので好ましい。
【0158】
熱圧着における温度は、80~120℃が好ましく、90~110℃がより好ましい。熱圧着における温度を80℃以上とすることにより、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の流動性を確保しやすい。また、熱圧着における温度を120℃以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。熱圧着における温度を90~110℃にすることにより、より精密に流動性を制御でき、ムラやヒビ様欠点の発生を抑制できる。
【0159】
熱圧着における圧力は、0.05~1.0MPaが好ましく、0.1~0.5MPaがより好ましい。熱圧着における圧力を好ましい下限値以上とすることにより、発光素子上に黒色硬化性樹脂層2が残らず、発光素子からの光が視認者側に到達することを妨げない。好ましい上限値以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。
【0160】
熱圧着は、真空状態で成形が可能な真空プレス機を用いて行うことが好ましい。これにより、得られる発光型電子部品に空気が混入することによる不良を回避しやすい。
【0161】
圧着後、図4に示すように第2の保護フィルム7を剥離してから、熱硬化させ、図5に示すように、一体型封止シート1Aの黒色硬化性樹脂層2を黒色硬化性樹脂硬化物層22(硬化状態の黒色硬化性樹脂層2)とし、透明硬化性樹脂層3を透明硬化性樹脂硬化物層23(硬化状態の透明硬化性樹脂層3)とする。これにより、発光型電子部品30Aが得られる。
【0162】
硬化温度は、100~160℃であり、120~150℃が好ましい。硬化温度を100℃以上とすることにより、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3を硬化することができる。硬化温度を120℃以上とすることにより、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3の硬化時間を短縮できる。また、硬化温度を上記上限温度以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。
【0163】
硬化時間は、硬化温度にもよるが、30~360分間が好ましく、45~180分間がより好ましい。
硬化温度において、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的高く流動性が抑制されているものであると、硬化後の外観不良が抑制されるので好ましい。
これにより、基板11に複数の発光素子が配された素子付き基板10の発光素子が配置された面に、一体型封止シート1Aが圧着された発光型電子部品30Aが得られる。
【0164】
得られた発光型電子部品30Aにおいて、黒色硬化性樹脂層2と透明硬化性樹脂層3は硬化して黒色硬化性樹脂硬化物層22と透明硬化性樹脂硬化物層23となっており、黒色硬化性樹脂硬化物層22と透明硬化性樹脂硬化物層23の一部は、複数の発光素子間に充填されている。
【0165】
[Lab値]
得られた発光型電子部品30Aは、ハードコート層5側におけるLab値が、L:3~25、a:-2~2、b:-2~2であることが好ましい。
Lab値が好ましい範囲であることで、発光型電子部品30Aは十分な黒色度を有することになり、ディスプレイのコントラストを向上させることができる。
また、複数の発光型電子部品30Aのハードコート層5側におけるLab値がばらつく場合、複数の発光型電子部品30Aを連結して一枚のディスプレイを形成する際に、黒色度の違いにより、複数の発光型電子部品30A同士の継ぎ目が見えてしまう。そのため、複数の発光型電子部品30Aのハードコート層5側におけるL値の変動係数は、5%以内であることが好ましい。
【0166】
《第2実施形態》
以下第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明において、第1実施形態におけるものと同様の構成部材には同じ符号を付して図示し、その詳細な説明を省略する。
【0167】
<一体型封止シート>
図6、7を用いて、第2実施形態に係る一体型封止シート1Bについて説明する。図6に示すように、一体型封止シート1Bは黒色硬化性樹脂層2を有しない他は、第1実施形態の一体型封止シート1Aと同様である。
すなわち、一体型封止シート1Bは、透明硬化性樹脂層3とフィルム層4と半透明樹脂層8とハードコート層5が積層されて基本的に構成されている。
本実施形態の一体型封止シート1Bは、さらに、取り扱いの便宜のため、透明硬化性樹脂層3及びハードコート層5のいずれか一方もしくは両方の表面に保護フィルムを有していてもよい。
【0168】
図6には、透明硬化性樹脂層3及びハードコート層5の両方の表面に保護フィルムを有している例を示している。具体的には、第1の保護フィルム6に、透明硬化性樹脂層3、フィルム層4、半透明樹脂層8、ハードコート層5、第2の保護フィルム7が順次積層されている。
なお、ハードコート層5の表面の硬度が充分であれば、第2の保護フィルム7を省略することができる。
【0169】
図7に示すように、一体型封止シート1Bは、基板11に複数の発光素子(発光素子12、発光素子13、発光素子14)が配置された素子付き基板10の複数の発光素子の間を埋めるために使用される。素子付き基板10は、第1実施形態における素子付き基板10と同様である。
【0170】
一体型封止シート1Bは、圧着時において、図7に示すように、透明硬化性樹脂層3が素子付き基板10に直接接するようにして使用される。
一体型封止シート1Bを素子付き基板10に圧着して発光型電子部品を得る具体的方法については後述する。
【0171】
<半透明樹脂層8>
本実施形態の半透明樹脂層8は、ディスプレイの黒色度を高める層である。
また、フィルム層4での外光の乱反射を見えにくくするための層である。
【0172】
[全光線透過率]
本実施形態の半透明樹脂層8は、全光線透過率が20~80%であることが好ましく、30~65%であることがより好ましく、20~55%であることがさらに好ましい。
半透明樹脂層8の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達を妨げにくい。半透明樹脂層8の全光線透過率が上限値以下であることにより、光拡散防止効果とコントラスト向上効果がより向上する。
【0173】
[全体ヘイズ]
半透明樹脂層8の、JIS K 7136に基づく全体ヘイズの好ましい範囲とその理由は、第1実施形態における半透明樹脂層8と同様である。
【0174】
[貯蔵弾性率]
半透明樹脂層8の100℃における貯蔵弾性率の好ましい範囲とその理由は、第1実施形態における半透明樹脂層8と同様である。
【0175】
[半透明樹脂組成物]
半透明樹脂層8を構成する樹脂組成物としては、第1実施形態にける半透明樹脂層8を構成する半透明樹脂組成物と同様のものが使用でき、好ましい態様も同様ある。
【0176】
[膜厚]
半透明樹脂層8の好ましい厚みは、第1実施形態にける半透明樹脂層8の好ましい厚みと同様である。
【0177】
<透明硬化性樹脂層>
本実施形態における透明硬化性樹脂層3は、熱圧着により、素子付き基板10に配置された複数の発光素子の間に充填される層である。
【0178】
[全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3は、第1実施形態の透明硬化性樹脂層3と同様に、硬化状態における全光線透過率が50%以上であって、かつ半透明樹脂層8の全光線透過率よりも高くなるように調製されることが好ましく、75%を超え、かつ半透明樹脂層8の全光線透過率よりも高くなるように調製されることがより好ましく、80%を超え99.5%以下となるように調製されることがさらに好ましい。
【0179】
[貯蔵弾性率]
素子付き基板10に圧着し硬化させる前の透明硬化性樹脂層3は未硬化状態又は半硬化状態である。
本実施形態の透明硬化性樹脂層3の硬化前の貯蔵弾性率は、100℃において1.0×10Pa以下であることが好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。
【0180】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に透明硬化性樹脂層3の流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
【0181】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、透明硬化性樹脂層3の流動性が足りず、複数の発光素子の間を充分に充填しにくくなるうえ、熱圧着時に透明硬化性樹脂層3にクラックが発生することで、ヒビ様欠点が発生しやすくなる。また、流動しきれなった透明硬化性樹脂層3が発光素子の上方向に多く残り、一体型封止シートの表面が発光素子に合わせて凹凸形状になる外観不良が発生しやすい。
【0182】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値を下回ると、透明硬化性樹脂層3の流動性が高すぎて熱圧着後の膜厚が均一にならず、一体型封止シート表面に凹凸形状が見られる外観不良が発生しやすくなる。
【0183】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の貯蔵弾性率は、150℃において1.0×10Pa以上であることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることが好ましく、1.0×10~5.0×10Paであることがより好ましい。
【0184】
硬化前の透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値を超えると、熱硬化時に硬化収縮によるクラックが発生しやすくなる。硬化前の透明硬化性樹脂層3の150℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、熱硬化時の流動を抑制でき、気泡の発生による硬化後の外観不良が抑制される。
【0185】
[硬化性樹脂組成物]
透明硬化性樹脂層3は、硬化性樹脂組成物で構成されている。硬化性樹脂組成物としては、第1実施形態の透明硬化性樹脂層3を構成する硬化性樹脂組成物と同様のものが使用でき、好ましい態様も同様である。
【0186】
<フィルム層>
フィルム層4は、発光素子を外部からの物理的衝撃や湿度、水分等から保護するための層である。
【0187】
[全光線透過率]
フィルム層4の好ましい全光線透過率は、第1実施形態におけるフィルム層4と同様である。
【0188】
[貯蔵弾性率]
フィルム層4の100℃における好ましい貯蔵弾性率は、第1実施形態におけるフィルム層4と同様である。
フィルム層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい上限値以下であることにより、素子付き基板10への圧着時に流動性が得られ、複数の発光素子による素子付き基板10の凹凸に追従して、複数の発光素子の間を充分に埋めることができる。
【0189】
フィルム層4の100℃における貯蔵弾性率が好ましい下限値以上であることにより、素子付き基板10への圧着時に変形しにくく、半透明樹脂層8やハードコート層5に割れや変形などの不具合を生じさせない。
【0190】
[樹脂]
フィルム層4を構成する樹脂としては、第1実施形態のフィルム層4を構成する樹脂と同様のものが使用できる。
フィルム層4は、発光ムラや色ムラを抑制するために黒色顔料又は黒色染料を含有してもよい。
【0191】
[膜厚]
フィルム層4の好ましい厚みは、第1実施形態におけるフィルム層4の好ましい厚みと同様である。
【0192】
<ハードコート層>
ハードコート層5は、発光型電子部品を傷つきから保護するための層である。
ハードコート層5としては、第1実施形態におけるハードコート層5と同様のものが使用でき、好ましい態様も同様である。
【0193】
<一体型積層シート全体の光学特性>
[四層全体の全光線透過率]
透明硬化性樹脂層3と、フィルム層4と、半透明樹脂層8と、ハードコート層5の四層全体の全光線透過率(光透過可能な層全体の全光線透過率)は、10~80%であることが好ましく、15~70%がより好ましく、20~55%がさらに好ましい。
四層の全光線透過率が下限値以上であることにより、視認者側への光の到達が妨げられない。 四層の全光線透過率が上限値以下であることにより、発光素子間の光拡散防止効果と、ディスプレイのコントラスト向上効果が高まる。
【0194】
[光沢度]
一体型積層シート最表面の光沢度、本実施形態では、ハードコート層5側の光沢度計(JIS-Z-8741)により測定した光沢度の好ましい範囲は、第1実施形態におけるものと同様である。
【0195】
<保護フィルム>
第1の保護フィルム6及び第2の保護フィルム7としては、第1実施形態の保護フィルムと同様のものが使用でき、好ましい態様も同様である。
【0196】
<一体型封止シートの製造方法>
一体型封止シート1Bを得るためには、まず、第1の保護フィルム6に透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液を塗布乾燥したものと、フィルム層4に予め半透明樹脂層8とハードコート層5とを順次形成したものを用意する。
【0197】
その後、これらを、透明硬化性樹脂層3とフィルム層4が接するようにして重ね、ラミネートすることにより、第1の保護フィルム6に、透明硬化性樹脂層3とフィルム層4と半透明樹脂層8とハードコート層5が順次積層した積層体が得られる。
第2の保護フィルム7は、必要に応じて、このハードコート層5の表面に積層する。
フィルム層4に半透明樹脂層8とハードコート層5とを順次形成したものは、第1実施形態で説明したのと同様にして調製できる。
【0198】
第1実施形態と同様、透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液は、塗布を支障なく行える粘度となる量の有機溶剤を含有することが好ましい。
有機溶剤としては、第1実施形態において挙げたものと同様のものが使用できる。
なお、カーボンブラックを塗液に配合する際は、カーボンブラック粉末を加えてもよいし、カーボンブラック分散液を加えてもよい。
透明硬化性樹脂層3用の硬化性樹脂組成物の塗液の塗布は、第1実施形態で説明したのと同様にして行うことができる。
【0199】
<発光型電子部品の製造方法>
本発明の発光型電子部品の製造方法は、基板に複数の発光素子が配置された素子付き基板の前記複数の発光素子が配置された面に、本発明の一体型封止シート1Bを、その透明硬化性樹脂層3が接するように配置し、熱圧着して前記複数の発光素子の間に透明硬化性樹脂層3の一部を充填し、加熱して透明硬化性樹脂層3を硬化させる方法である。
以下、図7~10を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る発光型電子部品の製造方法について説明する。
【0200】
本実施形態の製造方法では、まず、図7に示すように、素子付き基板10の発光素子12、発光素子13、発光素子14が配置された面に、第1の保護フィルム6を剥離して透明硬化性樹脂層3が露出した一体型封止シート1Bを、その透明硬化性樹脂層3が接するように配置する。
【0201】
このとき、すなわち、圧着前において、透明硬化性樹脂層3の厚さは、発光素子の高さに対して110~550%であることが好ましく、120~400%であることが好ましく、150~300%であることがより好ましい。
【0202】
透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して上記下限値以上であれば、発光素子の間に充分に硬化性樹脂を埋め込むことができる。
透明硬化性樹脂層3の厚さが発光素子の高さに対して上記上限値以下であれば、圧着時に厚みムラを生じにくく、表面に外観不良が発生しにくい。
【0203】
この図7の状態で熱圧着して、一体型封止シート1Bの透明硬化性樹脂層3の一部を、図8に示すように発光素子間に埋め込む。
このとき、透明硬化性樹脂層3が、貯蔵弾性率が比較的低く流動性が確保されているものであると、発光素子による凹凸に追従して、発光素子間に充填されやすので好ましい。
【0204】
熱圧着における温度は、80~120℃が好ましく、90~110℃がより好ましい。熱圧着における温度を80℃以上とすることにより、透明硬化性樹脂層3の流動性を確保しやすい。また、熱圧着における温度を120℃以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。熱圧着における温度を90~110℃にすることにより、より精密に流動性を制御でき、ムラやヒビ様欠点の発生を抑制できる。
【0205】
熱圧着における圧力は、0.05~1.0MPaが好ましく、0.1~0.5MPaがより好ましい。熱圧着における圧力を好ましい下限値以上とすることにより、透明硬化性樹脂層を発光素子の間に十分に充填できる。好ましい上限値以下とすることにより、発光素子にダメージを与えにくい。
【0206】
熱圧着は、真空状態で成形が可能な真空プレス機を用いて行うことが好ましい。これにより、得られる発光型電子部品に空気が混入することによる不良を回避しやすい。
【0207】
圧着後、図9に示すように第2の保護フィルム7を剥離してから、熱硬化させ、図10に示すように、一体型封止シート1Bの透明硬化性樹脂層3を透明硬化性樹脂硬化物層23(硬化状態の透明硬化性樹脂層3)とする。これにより、発光型電子部品30Bが得られる。
硬化温度と硬化時間の好ましい態様は第1実施形態と同様である。
【0208】
得られた発光型電子部品30Bにおいて、透明硬化性樹脂層3は硬化して透明硬化性樹脂硬化物層23となっており、透明硬化性樹脂硬化物層23の一部は、複数の発光素子間に充填されている。
【0209】
《作用効果》
本発明の一体型封止シートによれば、発光素子間に充填される樹脂層の少なくとも一部を透明硬化性樹脂層としたので、発光素子上の黒色硬化性樹脂層のエッチングが不要である。
また、半透明樹脂層を有することにより、発光素子がOFFの際の黒色度を高めることができコントラストを向上させることができる。また、発光素子間の光拡散を抑制することができる。
【0210】
半透明樹脂層はフィルム層に保持されているので、透明硬化性樹脂層等と共に圧着しても面方向の厚さが変動しにくい。特に100℃における貯蔵弾性率が高い場合は、面方向の厚さが変動しにくい。そのため、半透明樹脂層の厚さが不均一になることに起因する黒色度のばらつきによる斑も生じにくい。
【0211】
さらに、半透明樹脂層をフィルム層より外側に配置したので、フィルム層での外光の乱反射を見えにくくすることもできる。
また、本発明の発光型電子部品及び発光型電子部品の製造方法によれば、簡便に発光型電子部品を得ることができる。
【実施例0212】
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。なお、以下の説明における配合量は、いずれも固形分換算である。
【0213】
<原料>
各実施例、比較例で使用した原材料の詳細は次の通りである。
[エポキシ樹脂]
・EOCN(登録商標)-1020-55:日本化薬社製、クレゾールノボラック型多官能エポキシ樹脂(固形)、軟化点55.7℃、エポキシ当量195g/eq.。
・EPICLON(登録商標)HP-7200H:DIC社製、シクロペンタジエンノボラック型多官能エポキシ樹脂(固形)、軟化点82℃、エポキシ当量227g/eq.。
【0214】
[高分子量樹脂]
・jER(登録商標)YX7200B35:三菱ケミカル社製、フェノキシ型エポキシ樹脂(MEK溶液、固形分35質量%)、ガラス転移温度150℃、エポキシ当量8750g/eq.、重量平均分子量27,218のエポキシ樹脂。
・Nipol NX775:日本ゼオン社製、カルボキシ変性ニトリルゴム、重量平均分子量208,000のエラストマー。
【0215】
[硬化触媒]
・キュアゾール(登録商標)2PZ-CN:四国化成社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール。
・キュアゾール2E4MZ:四国化成社製、2-エチル-4-メチルイミダゾール。
【0216】
[カーボンブラック]
・Special Black4:ORION ENGINEERED CARBONS社製、ガスブラック、pH3、平均粒子径25nm。
・PRINTEX(登録商標)L:ORION ENGINEERED CARBONS社製、ファーネスブラック、pH9、平均粒子径23nm。
【0217】
[溶剤]
・MEK:純正化学社製、メチルエチルケトン。
・PGM:純正化学社製、プロピレングリコールモノメチルエーテル。
【0218】
[フィルム層]
・コスモシャイン(登録商標)A4300:東洋紡社製、PETフィルム、厚さ75μm。
[離形PET]
・1-E:ニッパ社製、厚さ50μm。
【0219】
[ハードコート層用樹脂]
・ACRIT(登録商標)8KX-078:大成ファインケミカル社製、固形分濃度40質量%、UV硬化型アクリルポリマー、重量平均分子量40.000。
【0220】
[微粒子]
・ケミスノー(登録商標)MX-500L:綜研化学社製、架橋アクリル単分散粒子、平均粒子径5μm。
・ケミスノー MR-1HG:綜研化学社製、架橋アクリル多分散粒子、平均粒径1μm。
[光ラジカル重合開始剤]
・Omnirad(登録商標)TPO H:IGM Resins B.V.社製。
【0221】
<塗液の調製>
[半透明樹脂組成物の塗液]
表1に示す配合の原料をMEK/PGM=80/20(体積比)の溶剤に混合し、固形分濃度25質量%の半透明樹脂層用の半透明樹脂組成物(原料1-1~原料1-4)の塗液を調製した。すなわち、表1に示す配合の原料の合計配合量(固形分換算)を、得られる塗液全体に対して25質量%とした。
【0222】
【表1】
【0223】
[ハードコート層用コート剤]
ハードコート層用樹脂8KX-078(大成ファインケミカル社製)100質量部と、微粒子ケミスノー MX-500L(綜研化学社製)15質量部と、光ラジカル重合開始剤Omnirad TPO H(IGM Resins B.V.社製)2質量部とを、MEK/PGM=80/20(体積比)の溶剤に混合し、原料2として、固形分濃度25質量%のハードコート層用のコート剤を調製した。
【0224】
[透明硬化性樹脂層用塗液]
エポキシ樹脂EOCN-1020-55(日本化薬社製)40質量部と、エポキシ樹脂jER YX7200B35(三菱ケミカル社製)40質量部と、エラストマーNipol NX775(日本ゼオン社製)20質量部と、硬化触媒キュアゾール2PZ-CN(四国化成社製)3質量部とを、MEK/PGM=80/20(体積比)の溶剤に混合し、原料3-1として、固形分濃度35質量%の透明硬化性樹脂層用塗液を調製した。
【0225】
また、エポキシ樹脂EOCN-1020-55(日本化薬社製)40質量部と、エポキシ樹脂jER YX7200B35(三菱ケミカル社製)40質量部と、エラストマーNipol NX775(日本ゼオン社製)20質量部と、硬化触媒キュアゾール2PZ-CN(四国化成社製)3質量部と、カーボンブラックSpecial Black4(ORION ENGINEERED CARBONS社製)0.3質量部とを、MEK/PGM=80/20(体積比)の溶剤に混合し、原料3-2として、固形分濃度35質量%の透明硬化性樹脂層用塗液を調製した。
【0226】
[黒色硬化性樹脂層用塗液]
エポキシ樹脂EPICLON HP-7200H(DIC社製)70質量部と、エラストマーNipol NX775(日本ゼオン社製)30質量部と、硬化触媒キュアゾール2PZ-CN(四国化成社製)3質量部と、カーボンブラックSpecial Black4(ORION ENGINEERED CARBONS社製)4質量部とを、MEK/PGM=80/20(体積比)の溶剤に混合し、原料4として、固形分濃度35質量%の黒色硬化性樹脂層用塗液を調製した。
【0227】
<全光線透過率>
フィルム層(コスモシャインA4300:東洋紡社製)の全光線透過率を、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を用いて、JIS K 7361に準拠して測定した。
【0228】
コスモシャインA4300に、バーコーターを用いてハードコート層用コート剤を乾燥膜厚が3μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、400mJ/cmの紫外線を照射することにより、ハードコート層用コート剤を硬化させ、ハードコート層付きフィルムを得た。
【0229】
得られたハードコート層付きフィルムの全光線透過率を、日本電色工業社製ヘーズメーターNDH5000を用いて、JIS K 7361に準拠し、コスモシャインA4300の透過光を100%として測定した。
【0230】
コスモシャインA4300(東洋紡社製)に、アプリケータを用いて半透明樹脂組成物の塗液を乾燥膜厚が表1に示す厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、80℃の熱風循環式オーブンで72時間加熱することにより、半透明樹脂組成物を硬化させ、半透明樹脂層付きフィルムを得た。
得られた半透明樹脂層付きフィルムの全光線透過率を、ハードコート層付きフィルムと同様に測定すると共に全体ヘイズを測定した。
【0231】
コスモシャインA4300(東洋紡社製)に、アプリケータを用いて透明硬化性樹脂層用塗液を乾燥膜厚が25μm(実施例6では80μm)となるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、150℃の熱風循環式オーブンで1時間加熱することにより、透明硬化性樹脂層用塗液を硬化させ、硬化済みの透明硬化性樹脂層付きフィルムを得た。
得られた硬化済みの透明硬化性樹脂層付きフィルムの全光線透過率を、ハードコート層付きフィルムと同様に測定した。
フィルム層と各層の全光線透過率、及び半透明樹脂層の全体ヘイズの測定結果を表2に示す。
【0232】
<貯蔵弾性率>
離形PET 1-E(ニッパ株式会社製、50μm)の離形面上に、アプリケータを用いて半透明樹脂組成物の塗液を乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、80℃の熱風循環式オーブンで72時間加熱することにより、半透明樹脂組成物を硬化させた。離形PET 1-Eを剥離することで、半透明樹脂層の単層シートを得た。
【0233】
離形PET 1-E(ニッパ株式会社製、50μm)の離形面上に、アプリケータを用いて透明硬化性樹脂層用塗液と黒色硬化性樹脂層用塗液をそれぞれ乾燥膜厚が40μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、離形PET 1-Eを剥離することで、透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層の単層シートを得た。
【0234】
得られた各単層シートの100℃における貯蔵弾性率、及びフィルム層(コスモシャインA4300:東洋紡社製)の100℃における貯蔵弾性率を、粘弾性測定装置(TA Instruments社製RSA-G2)を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/minの条件下でJIS K7244に従い測定した。結果を表2に示す。
【0235】
<実施例>
[実施例1~5]
フィルム層(コスモシャインA4300:東洋紡社製)の第1の面にバーコーターを用いて、半透明樹脂組成物の塗液を乾燥膜厚が表2に示す厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、80℃の熱風循環式オーブンで72時間加熱することにより、半透明樹脂組成物を硬化した。次いで、半透明樹脂層のフィルム層と反対の面にコロナ処理を施し、バーコーターを用いて、ハードコート層用コート剤を乾燥膜厚が3μmとなるように塗布した。そして、120℃で5分間乾燥した後、400mJ/cmの紫外線を照射することにより、ハードコート層用コート剤を硬化させた。これにより、半透明樹脂層とハードコート層がフィルム層に支持された第1のシートを得た。
【0236】
さらに、この第1のシートにおけるフィルム層の第2の面に、アプリケータを用いて透明硬化性樹脂層の塗液を乾燥膜厚が25μmとなるように塗布した。そして、120℃で5分間乾燥し、フィルム層の第1の面に半透明樹脂層とハードコート層が、フィルム層の第2の面に透明硬化性樹脂層が支持された第2のシートを得た。
【0237】
離形PET 1-E(ニッパ株式会社製、50μm)の離形面上に、アプリケータを用いて黒色硬化性樹脂層の塗液を乾燥膜厚が50μmとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、黒色硬化性樹脂層が、離形PETに支持された第3のシートを得た。
【0238】
得られた第2のシートと第3のシートとを透明硬化性樹脂層と黒色硬化性樹脂層とが接するようにして重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートして、各実施例の一体型封止シートを得た。
【0239】
[比較例1]
第1のシートの調製において、フィルム層(コスモシャインA4300:東洋紡社製)の第1の面に半透明樹脂組成物の塗液を塗布しなかった他は、実施例1~5と同様にして比較例1の一体型封止シートを得た。
【0240】
[実施例6]
フィルム層(コスモシャインA4300:東洋紡社製)の第1の面に、バーコーターを用いて、半透明樹脂組成物の塗液を乾燥膜厚が表2に示す厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥した後、80℃の熱風循環式オーブンで72時間加熱することにより、半透明樹脂組成物を硬化した。次いで、半透明樹脂層のフィルム層と反対の面にコロナ処理を施し、バーコーターを用いて、ハードコート層用コート剤を乾燥膜厚が3μmとなるように塗布した。そして、120℃で5分間乾燥した後、400mJ/cmの紫外線を照射することにより、ハードコート層用コート剤を硬化させた。これにより、半透明樹脂層とハードコート層がフィルム層に支持された第4のシートを得た。
【0241】
さらに、この第4のシートにおけるフィルム層の第2の面に、アプリケータを用いて透明硬化性樹脂層の塗液を乾燥膜厚が80μmとなるように塗布した。そして、120℃で5分間乾燥し、フィルム層の第1の面に半透明樹脂層とハードコート層が、フィルム層の第2の面に透明硬化性樹脂層が支持された第5のシートを得た。
得られた第5のシートと離形PET 1-E(ニッパ株式会社製、50μm)とを透明硬化性樹脂層と離形PET 1-Eの離形面とが接するようにして重ね、60℃のロールラミネーターでラミネートして、実施例6の一体型封止シートを得た。
【0242】
<光透過層全体の全光線透過率>
フィルム層の第1の面に半透明樹脂層とハードコート層が、第2の面に透明硬化性樹脂層が支持された第2のシート(実施例6では第5のシート)を150℃の熱風循環式オーブンで1時間加熱することにより、透明硬化性樹脂層を硬化させ、四層積層体(比較例1では三層積層体)を得た。
得られた四層積層体(比較例1では三層積層体)の全光線透過率を、フィルム層単独の全光線透過率と同様に測定した。測定した四層積層体(比較例1では三層積層体)の全光線透過率の結果を、「光透過層全体全体」として表2に示す。
【0243】
<評価用素子付き基板>
エポキシガラス基板上に0.1×0.2mmで高さが65μmのLED発光素子が複数配置されたものを、評価用素子付き基板とした。
【0244】
<一体型封止シートの評価>
各例の一体型封止シートの離形PETを剥離して、黒色硬化性樹脂層(実施例6では、透明硬化性樹脂層)が評価用素子付き基板のLED発光素子と接するように配置した。
その後真空プレス機にて、真空度100hPa、100℃、0.36MPa、3分間の条件で発光素子の間に、黒色硬化性樹脂層と透明硬化性樹脂層、又は透明硬化性樹脂層を充填し、150℃のオーブンで1時間加熱して熱硬化させ、各例の発光型電子部品、各10個を得た。
【0245】
[Lab]
各例について得られた10個の発光型電子部品のハードコート層側におけるLab値をコニカミノルタ製 分光測色計CM-5を用いて、JIS K 8722に準拠して測定した。各例について、発光型電子部品10個のLab値を平均した結果を表2に示す。
【0246】
[L値の変動係数]
各例について、発光型電子部品10個のLab値から、L値の変動係数を求めた。結果を表2に示す。
【0247】
【表2】
【0248】
表2に示すとおり、本発明に係る一体型封止シートによれば、黒色度のばらつきの少ない発光型電子部品を得られることが確認できた。
【符号の説明】
【0249】
1A 一体型封止シート
1B 一体型封止シート
2 黒色硬化性樹脂層
3 透明硬化性樹脂層
4 フィルム層
5 ハードコート層
6 第1の保護フィルム
7 第2の保護フィルム
8 半透明樹脂層
10 素子付き基板
11 基板
12 発光素子
13 発光素子
14 発光素子
22 黒色硬化性樹脂硬化物層22
23 透明硬化性樹脂硬化物層23
30A 発光型電子部品
30B 発光型電子部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10