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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168734
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085639
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】塚越 正太郎
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA28
2H270LA45
2H270LA87
2H270LA88
2H270LD02
2H270LD08
2H270LD14
2H270LD15
2H270MH03
2H270MH06
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB07
2H270NB08
2H270RA10
2H270RA11
2H270RA20
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷済媒体が出力されるまでの時間を短縮する。
【解決手段】複数の画像形成ユニットのなかから限定された限定色の前記画像形成ユニットを転写部に接近させて当該限定色での限定色印刷を行う前に、離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた第1タグの情報を読み出し、第2タグから情報を読み出す必要がある場合には前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて前記第2タグから情報を読み出し、読み出す必要がない場合には前記画像形成ユニットを前記第2タグから情報を読み出す動作を省略して前記限定色印刷を開始する。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、着脱可能な現像剤収容部と、第1タグと、前記現像剤収容部とともに着脱可能な第2タグとを有し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を用いて前記感光体ドラムに画像を形成する複数の画像形成ユニットと、
前記感光体ドラムに形成された画像を媒体に転写する転写部と、
複数の前記画像形成ユニットを選択的に前記転写部に接近又は離間させる離接機構部と、
複数の前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグ及び前記第2タグと通信する通信部と、
制御部と
を備え、
前記通信部は、
前記画像形成ユニットが前記転写部に接近する接近位置にある場合に当該画像形成ユニットに設けられた前記第1タグ及び前記第2タグの両方と通信可能であり、前記画像形成ユニットが前記転写部から離間する離間位置にある場合に当該画像形成ユニットに設けられた前記第1タグと通信可能で前記第2タグとの通信が困難であり、
前記制御部は、
複数の前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて複数色印刷を行った後、複数の前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグと前記第2タグに情報を格納し、
複数の前記画像形成ユニットのなかから限定された限定色の前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて当該限定色での限定色印刷を行う前に、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグの情報を読み出し、前記第2タグから情報を読み出す必要がある場合には前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて前記第2タグから情報を読み出し、読み出す必要がない場合には前記画像形成ユニットを前記第2タグから情報を読み出す動作を省略して前記限定色印刷を開始する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
開閉可能な本体カバーを備え、
前記複数色印刷を行った後、前記限定色印刷を行うまで前記本体カバーの閉状態が継続している場合、前記制御部は、前記第2タグから情報を読み出す動作を省略して前記限定色印刷を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記複数の第2タグは、各々が搭載される前記画像形成ユニットに関する第2タグ情報を格納し、
前記複数の第1タグは、各々が搭載される前記画像形成ユニットに関する第1タグ情報と、前記第2タグ情報を格納し、
前記制御部は、
前記第1タグから前記第2タグ情報を読み出し、前記第2タグから前記第2タグ情報を読み出す必要がある場合には前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて前記第2タグから情報を読み出して前記限定色印刷を開始する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1タグ情報は、前記感光体ドラムに関する情報であり、
前記第2タグ情報は、前記現像剤収容部に関する情報であり、
前記制御部は、
前記限定色印刷を行う前に、前記本体カバーが開閉されていた場合、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグから前記第2タグ情報を読み出し、当該第2タグ情報に示されている前記現像剤収容部の現像剤残量に基づいて前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第2タグから前記第2タグ情報を読み出す必要があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記限定色印刷を行う前に、前記本体カバーが開閉されていた場合、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグから前記第2タグ情報を読み出し、当該第2タグ情報に示されている、前記現像剤残量及び前記感光体ドラムから除去した廃現像剤量に基づいて、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第2タグから前記第2タグ情報を読み出す必要があるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記限定色印刷を行う前に、前記本体カバーが開閉されていた場合、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグから前記第2タグ情報を読み出し、当該第2タグ情報に示されている前記現像剤残量が閾値を超えている場合に、前記離間位置にある前記画像形成ユニットを前記接近位置まで移動させて前記第2タグから前記第2タグ情報を読み出す動作を省略して前記限定色印刷を開始する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記第1タグ及び前記第2タグと無線通信する為のアンテナ部を有し、
前記第1タグは、前記アンテナ部に対して所定方向に間隔を空けて配置され、
前記第2タグは、前記第1タグに対して前記所定方向に間隔を空けて配置され、
前記画像形成ユニットが前記接近位置にある場合には、前記アンテナ部に対して、前記第1タグの少なくとも一部と前記第2タグの少なくとも一部が対向する位置関係となる為、前記通信部は前記第1タグ及び前記第2タグの双方と通信可能であり、
前記画像形成ユニットが前記離間位置にある場合には、前記アンテナ部に対して、前記第1タグの裏側に前記第2タグが隠れてしまう位置関係となる為、前記通信部は前記第2タグとの通信が困難となる
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1タグと前記第2タグは、
前記画像形成ユニットが前記転写部から離間する離間方向にずらして配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラープリンタなどの画像形成装置では、現像剤(トナー)の色ごとにID(イメージドラム)ユニットを備えている。この画像形成装置では、各色のIDユニットに設けられたイメージドラム上に各色の現像剤像(トナー画像)を形成し、形成された各色の現像剤像を、各色のIDユニットの下方に対向して配置された転写部により用紙などの媒体に転写するようになっている。
【0003】
従来、この種の画像形成装置として、各色のIDユニットを選択的に上昇又は下降させるアップダウン機構を備えるものがある。この画像形成装置では、カラー印刷時には、アップダウン機構により、例えばC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)の4色のIDユニットをダウン(下降)させて、これら4色のIDユニットのイメージドラムを転写部に接近させて当接させるようになっている。またこの画像形成装置では、モノクロ印刷時には、アップダウン機構により、例えばK(ブラック)のIDユニットのイメージドラムのみをダウンさせて、ブラックのIDユニットのイメージドラムのみを転写部に接近させて当接させるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-43528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置では、各IDユニットにICタグであるIDタグとがTC(トナーカートリッジ)タグと設けられていて、各IDユニットに設けられたIDタグとTCタグから必要な情報を読み取るようになっている。
【0006】
しかしながら、例えばアップダウン機構のような離接機構を備える画像形成装置では、IDタグとTCタグから情報を読み取るには、IDユニットを通信可能な位置に移動(つまり転写部に接近)させなければならない。この為、この画像形成装置では、例えばモノクロ印刷などの限定色印刷を開始する前に、限定色印刷に使用しないCMYなどのIDユニットを一旦通信可能な位置に移動(転写部に接近)させて、CMYKなどの各色のIDユニットのそれぞれのIDタグとTCタグから必要な情報を読み取ることで例えばトナーカートリッジが交換されたかどうかのチェックを行い、その後、限定色印刷に使用しないCMYなどのIDユニットを再度転写部から離間させる必要があった。
【0007】
このように、従来の画像形成装置では、限定色印刷を開始する前に、IDタグとTCタグから情報を読み取る為に限定色印刷に使用しないIDユニットについても転写部に接近させる動作が必要となる為、モノクロ印刷が開始されるまでの時間(つまり印刷済媒体が出力されるまでの時間)が長くなってしまうという問題を有していた。
【0008】
本発明は以上の点を考慮したものであり、印刷済媒体が出力されるまでの時間を短縮し得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成装置は、感光体ドラムと、着脱可能な現像剤収容部と、第1タグと、前記現像剤収容部とともに着脱可能な第2タグとを有し、前記現像剤収容部に収容された現像剤を用いて前記感光体ドラムに画像を形成する複数の画像形成ユニットと、前記感光体ドラムに形成された画像を媒体に転写する転写部と、複数の前記画像形成ユニットを選択的に前記転写部に接近又は離間させる離接機構部と、複数の前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグ及び前記第2タグと通信する通信部と、制御部とを備え、前記通信部は、前記画像形成ユニットが前記転写部に接近する接近位置にある場合に当該画像形成ユニットに設けられた前記第1タグ及び前記第2タグの両方と通信可能であり、前記画像形成ユニットが前記転写部から離間する離間位置にある場合に当該画像形成ユニットに設けられた前記第1タグと通信可能で前記第2タグとの通信が困難であり、前記制御部は、複数の前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて複数色印刷を行った後、複数の前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグと前記第2タグに情報を格納し、複数の前記画像形成ユニットのなかから限定された限定色の前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて当該限定色での限定色印刷を行う前に、前記離間位置にある前記画像形成ユニットのそれぞれに設けられた前記第1タグの情報を読み出し、前記第2タグから情報を読み出す必要がある場合には前記画像形成ユニットを前記転写部に接近させて前記第2タグから情報を読み出し、読み出す必要がない場合には前記画像形成ユニットを前記第2タグから情報を読み出す動作を省略して前記限定色印刷を開始する。
【0010】
このように、本発明の画像形成装置では、限定色印刷を行う前に、離間位置にある画像形成ユニットのそれぞれに設けられた第2タグから情報を読み出す必要がない場合には、離間位置にある画像形成ユニットを接近位置まで移動させて第2タグから情報を読み出す動作を省略し、限定色印刷を迅速に開始することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷済媒体が出力されるまでの時間を短縮し得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の内部構成を示す図である。
図2】アンテナ部、IDタグ及びTCタグの位置関係を示す図である。
図3】IDユニットがアップされたときのアンテナ部、IDタグ及びTCタグの位置関係の変化を示す図である。
図4】画像形成装置の制御系の構成を示す図である。
図5】IDタグに格納されている情報及びTCタグに格納されている情報を示す図である。
図6】カラーの印刷ジョブを受信した際の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図7】モノクロの印刷ジョブを受信した際の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
図8図7のフローチャートにつづくフローチャートである。
図9】IDタグに格納されている出荷時TCタグを通常TCタグで上書きする旨を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[1.画像形成装置の構成]
図1に、本実施の形態による画像形成装置1の内部構成を示す。この図1は、画像形成装置1の内部構成を示す側断面図である。図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真方式のカラープリンタであり、図中左側が装置前側、図中右側が装置後側、図中手前側が装置右側、図中奥側が装置左側、図中上側が装置上側、図中下側が装置下側となっている。
【0015】
画像形成装置1は、略箱型の装置本体101を有しており、装置本体101の上部に、開閉可能な本体カバー102が設けられている。画像形成装置1は、本体カバー102を開く(オープンする)ことで、装置本体101の内部にアクセスすることができるようになっている。この本体カバー102の前側には、ボタンなどの操作部とディスプレイなどの表示部とで構成された操作表示部124が設けられている。
【0016】
装置本体101の内部には、印刷用紙などの媒体103を搬送する為の搬送路Rが設けられ、この搬送路Rに沿って各部が配置されている。具体的には、搬送路Rは、装置本体101の下部に設けられた収容カセット104の後端から後方に延び、そこから上方に向かいつつ前方にカーブして装置本体101の前端に向かって直線状に延び、装置本体101の前面に設けられた排出カセット122まで延びている。装置本体101の内部には、この搬送路Rに沿って、当該搬送路Rの用紙搬送方向上流側(つまり収容カセット104に近い側)から順に、搬送ローラ部107、109、画像形成部10及び転写部11、定着器120が設けられている。またこの搬送路Rには、搬送路Rに沿って搬送されている媒体103を検知する為のセンサ106、108、110、121が設けられている。さらに装置本体101の内部には、各部に電源を供給する高圧電源部123が設けられている。
【0017】
収容カセット104は、媒体103を積層して収容するものである。この収容カセット104の後部には、収容されている媒体103を搬送路Rへと送り出す(つまり給紙する)給紙ローラ105が設けられている。
【0018】
搬送ローラ部107、109のそれぞれは、搬送路Rを挟んで対向配置された2つのローラで構成され、収容カセット104から搬送路Rへと送り出された媒体103を画像形成部10及び転写部11まで搬送するものである。
【0019】
画像形成部10は、搬送路Rの前後方向に延びる直線部分の上側に設けられている。この画像形成部10は、4つのID(イメージドラム)ユニット113(113K、113Y、113M、113C)と、4つのLED(Light Emitting Diode)ヘッド112(112K、112Y、112M、112C)とを有している。
【0020】
4つのIDユニット113K、113Y、113M、113Cは、この並び順で、媒体搬送方向の上流側から順に設けられていて、装置本体101に対して着脱可能に設けられている。IDユニット113Kはブラック、IDユニット113Yはイエロー、IDユニット113Mはマゼンタ、IDユニット113Cはシアンの現像剤(例えばトナー)を用いてトナー画像を形成するものである。
【0021】
これら4つのIDユニット113(113K、113Y、113M、113C)のそれぞれは、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)と、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)と、トナー残量検出部116(116K、116Y、116M、116C)と、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)とを有している。
【0022】
像担持体としてのイメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)は、後述する静電潜像を担持するものである。トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)は、トナーを収容するものであり、ICタグとしてのTC(トナーカートリッジ)タグ118(118K、118Y、118M、118C)を有している。トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)は、IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)に対して、着脱可能に設けられている。トナー残量検出部116(116K、116Y、116M、116C)は、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)のそれぞれのトナー残量を検出するものである。
【0023】
画像形成装置1では、本体カバー102を開け、トナー残量が少なくなった(もしくは空になった)トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)をIDユニット113(113K、113Y、113M、113C)から取り外して新しいトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)と交換することにより、トナーを補充できるようになっている。
【0024】
IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)に設けられたIDタグ115(115K、115Y、115M、115C)は、IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)に関するID情報を記憶する。例えば、IDタグ115Kは、IDユニット113Kに関するID情報を記憶する。
【0025】
一方、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)に設けられたTCタグ118(118K、118Y、118M、118C)は、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)に関するTC情報を記憶する。例えば、TCタグ118Yは、トナーカートリッジ117Yに関するTC情報を記憶する。
【0026】
尚、トナーカートリッジ117Kが、IDユニット113Kに装着されているとき、IDユニット113Kに設けられたIDタグ115Kと、トナーカートリッジ117Kに設けられたTCタグ118Kとが、IDタグ115Kが後側、TCタグ118Kが前側となる位置関係で前後方向に近接するようになっている。IDタグ115Y、115M、115Cと、TCタグ118Y、118M、118Cについても同様に、前後方向に近接するようになっている。
【0027】
また装置本体101の内部には、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)のそれぞれの後方に、アンテナ部126(126K、126Y、126M、126C)が近接して設けられている。アンテナ部126(126K、126Y、126M、126C)は、前方に近接するIDタグ115(115K、115Y、115M、115C)及びTCタグ118(118K、118Y、118M、118C)と無線通信を行うものである。例えば、アンテナ部126Kは、IDタグ115K及びTCタグ118Kと無線通信を行う。
【0028】
ここで、図2に、アンテナ部126KとIDタグ115K及びTCタグ118Kを拡大した拡大図を示す。この図2に示すように、アンテナ部126KとIDタグ115K及びTCタグ118Kは、前後方向に間隔を空けて配置された2本の導電性部材130の間に設けられていて、アンテナ部126Kの前方にIDタグ115Kが配置され、IDタグ115Kの前方にTCタグ118Kが配置されている。尚、アンテナ部126Kとアンテナ部126K側の導電性部材130との間は、例えば10mm以上離れている。同様に、TCタグ118KとTCタグ118K側の導電性部材130との間も例えば10mm以上離れている。
【0029】
またIDタグ115K及びTCタグ118Kは、上下方向の長さが、アンテナ部126Kの上下方向の長さよりも短くなっている。さらにIDタグ115K及びTCタグ118Kは上下方向(つまりIDユニット113Kが転写ベルト111から離間する離間方向)に位置がずらされている。具体的には、アンテナ部126Kに近い側のIDタグ115Kは、下端がアンテナ部126Kの下端とほぼ同じ高さとなる位置に設けられ、アンテナ部126Kから遠い側のTCタグ118Kは、上端がアンテナ部126Kの上端とほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。
【0030】
このように、IDタグ115KとTCタグ118Kの上下方向の位置をずらした理由は、アンテナ部126K側から見てTCタグ118KがIDタグ115Kの裏に完全に隠れてしまうと、アンテナ部126KがTCタグ118Kと通信できなくなってしまう(もしくは通信し難くなってしまう)為である。つまり、IDタグ115KとTCタグ118Kの上下方向の位置をずらすことで、アンテナ部126Kに対してIDタグ115Kの少なくとも一部(全部)及びTCタグ118の少なくとも一部(上部)が対向する為、アンテナ部126KがIDタグ115K及びTCタグ118Kの双方と良好に通信できるようになっている。尚、アンテナ部126Y、126M、126Cと、IDタグ115Y、115M、115C及びTCタグ118Y、118M、118Cとの位置関係も同様となっている。
【0031】
図1に戻り、アンテナ部126(126K、126Y、126M、126C)は、RF読み書き制御部125と接続されている。RF読み書き制御部125は、アンテナ部126(126K、126Y、126M、126C)を介して、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)及びTCタグ118(118K、118Y、118M、118C)のそれぞれに対するリード・ライトが可能となっている。
【0032】
LEDヘッド112(112K、112Y、112M、112C)のそれぞれは、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の上方に設けられている。LEDヘッド112(112K、112Y、112M、112C)は、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の表面に光を照射して露光することで、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の表面に静電潜像を形成する。
【0033】
IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)のそれぞれは、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の表面に形成された静電潜像に、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)に収容されているトナーを供給して現像することにより、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の表面にトナー画像を形成するようになっている。
【0034】
転写部11は、搬送路Rを挟んで画像形成部10の下方に配置されている。転写部11は、転写ベルト111と、転写ローラ119(119K、119Y、119M、119C)とを有している。
【0035】
転写ベルト111は、前後方向に延びる上側走行部分と下側走行部分とを有する環状のベルトであり、上側走行部分が、搬送路Rに沿って設けられ、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)のそれぞれの下端と当接するようになっている。この転写ベルト111は、上側走行部分を前方に走行させることにより、搬送路Rに沿って媒体103を搬送する。
【0036】
転写ローラ119(119K、119Y、119M、119C)は、転写ベルト111の上側走行部分を挟んでイメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)の下方に対向配置されている。この転写ローラ119(119K、119Y、119M、119C)は、所定の転写電圧が印加されることにより、イメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)に形成されたトナー画像を転写ベルト111により搬送されてくる媒体103に転写するものである。
【0037】
尚、図示しないが、IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)のそれぞれは、媒体103に転写されずにイメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)に残留した廃トナーをイメージドラム114(114K、114Y、114M、114C)から除去して収容する廃トナー収容部も備えている。
【0038】
定着器120は、媒体103を搬送しながら当該媒体103に転写されたトナー画像を熱と圧力で当該媒体103に定着させるものである。この定着器120によりトナー画像が定着した媒体103が、排出カセット122上に集積される。
【0039】
さらに装置本体101の内部には、IDユニット113(113K、113Y、113M、113C)を選択的に下降又は上昇させるアップダウン機構131が設けられている。
【0040】
画像形成装置1では、カラー印刷時には、アップダウン機構131により、例えばC(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)の4色のIDユニット113K、113Y、113M、113Cをダウン(下降)させて、これら4色のIDユニット113K、113Y、113M、113Cのイメージドラム114K、114Y、114M、114Cと転写ベルト111とを当接させるようになっている。
【0041】
また一方で、モノクロ印刷時には、アップダウン機構131により、例えばK(ブラック)のIDユニット113Kのイメージドラム114Kのみをダウンさせて、ブラックのIDユニット113Kのイメージドラム114Kのみを転写ベルト111と当接させるようになっている。尚、転写ベルト111と当接しているときのIDユニット113(113K、113Y、113M、113C)の位置を当接位置と呼び、転写ベルト111から離間しているときのIDユニット113(113K、113Y、113M、113C)の位置を離間位置と呼ぶ。
【0042】
ここで、図3(A)に、IDユニット113Yがダウンしているとき(つまり当接位置にあるとき)のアンテナ部126YとIDタグ115Y及びTCタグ118Yの位置関係を示し、図3(B)に、IDユニット113Yがアップしているとき(つまり離間位置にあるとき)のアンテナ部126YとIDタグ115Y及びTCタグ118Yの位置関係を示す。
【0043】
IDユニット113Yがダウンしている場合、図3(A)に示すように、アンテナ部126Y側から見てIDタグ115Yの全部及びTCタグ118Yの上部が対向する位置関係となる為(つまり図2を用いて説明した位置関係となる為)、アンテナ部126YがIDタグ115Y及びTCタグ118Yの双方と安定して通信できる状態となる。
【0044】
これに対して、IDユニット113Yがアップしている場合、図3(B)に示すように、アンテナ部126Yに対してIDタグ115Y及びTCタグ118Yが上方に移動することにより、アンテナ部126側から見てIDタグ115Yの裏側にTCタグ118Yが隠れてしまう位置関係となる。この場合、アンテナ部126YがTCタグ118Yとは通信できない(もしくは通信し難い)状態となる。
【0045】
この為、画像形成装置1では、TCタグ118Yと通信する場合、アップダウン機構131により、IDユニット113Yをダウンさせる必要がある。TCタグ118K、118M、118Cについても同様であり、通信する場合、IDユニット113K、113M、113Cをダウンさせる必要がある。画像形成装置1の内部構成は、以上のようになっている。
【0046】
つづけて、図4(A)、(B)に示すブロック図を用いて、画像形成装置1の制御系の構成について説明する。尚、図4(A)は、出荷時の画像形成装置1を示し、図4(B)はトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)交換後の画像形成装置1を示している。
【0047】
図4(A)に示すように、画像形成装置1は、制御系の主要部としてメイン制御部127を有している。このメイン制御部127は、画像形成装置1全体(画像形成部10、転写部11、定着器120など)の動作を制御する部分である。このメイン制御部127には、トナー残量検出部116(116K、116Y、116M、116C)と、高圧電源部123と、RF読み書き制御部125(125K、125Y、125M、125C)と、操作表示部124と、カバー開閉検知部132が接続されている。
【0048】
メイン制御部127は、高圧電源部123から供給される電源により動作するとともに、高圧電源部123から供給される電源を各部に供給する。またメイン制御部127は、トナー残量検出部116(116K、116Y、116M、116C)からIDユニット113(113K、113Y、113M、113C)のトナー残量を取得する。またメイン制御部127は、操作表示部124により受け付けたユーザ操作を認識するとともに、操作表示部124に各種情報を表示させる。
【0049】
さらにメイン制御部127は、カバー開閉検知部132から本体カバー102の開閉状態を取得する。尚、カバー開閉検知部132は、例えば本体カバー102の開閉を検知する為のセンサである。
【0050】
さらにメイン制御部127は、RF読み書き制御部125により、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)及びTCタグ118(118K、118Y、118M、118C)に対する読み書きを行う。ここで、図4(A)に示すように、画像形成装置1出荷時のトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)には、TCタグが設けられてなく、代わりにIDタグ115(115K、115Y、115M、115C)にTC情報が記憶されている。尚、当該TC情報を、出荷時TC情報と呼ぶ。
【0051】
ここで、図5(A)に、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)に記憶される出荷時TC情報とID情報の構成を示す。出荷時TC情報は、例えば、出荷時トナー寿命値と、トナー使用量と、廃トナー量情報とで構成される。出荷時トナー寿命値は、出荷時のトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)に収容されているトナーの寿命(例えば印刷可能枚数)が示されている。トナー使用量は、現在までのトナー使用量(例えば印刷枚数)が示されている。廃トナー量は、現在までにイメージドラム114からかき取られた廃トナーの量(例えば印刷枚数から想定される量)が示されている。尚、例えば、トナー寿命値からトナー使用量を差し引くことでトナー残量を算出できるが、当該トナー残量が出荷時TC情報に含まれるようになっていてもよい。
【0052】
ID情報は、例えば、種別情報と、ドラム寿命値と、ドラム使用量とで構成される。種別情報は、現在装着されているトナーカートリッジ117の種別として、出荷時のものか、交換されたものかが示されている。ドラム寿命値はドラムの寿命(例えば印刷可能枚数)が示されている。ドラム使用量は、現在までのドラム使用量(例えば印刷枚数)が示されている。
【0053】
一方、図4(B)に示すように、交換用のトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)には、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)が設けられていて、当該TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)にTC情報が記憶されている。
【0054】
ここで、図5(B)に、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)に記憶されているTC情報の構成を示す。尚、当該TC情報については、出荷時TC情報と区別する為、通常TC情報と呼ぶ。
【0055】
通常TC情報は、例えば、交換トナー寿命値と、トナー使用量と、廃トナー量とで構成される。交換トナー寿命値は、交換したトナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)に収容されているトナーの寿命(例えば印刷可能枚数)が示されている。トナー使用量は、現在までのトナー使用量(例えば印刷枚数)が示されている。廃トナー量は、現在までにイメージドラム114から除去された廃トナーの量(例えば印刷枚数に応じた想定量)が示されている。この場合も、例えば、トナー寿命値からトナー使用量を差し引くことでトナー残量を算出できるが、当該トナー残量が通常TC情報に含まれるようになっていてもよい。画像形成装置1の制御系の構成は、以上のようになっている。
【0056】
尚、画像形成装置1のメイン制御部127は、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)のID情報に含まれている種別情報が、出荷時のトナーカートリッジであることを示している場合には、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)が存在しない為、TC情報として、IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)から出荷時TC情報を取得し、当該種別情報が、交換されたトナーカートリッジであることを示している場合には、TC情報として、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)から通常TC情報を取得するようになっている。しかしながら、この内容では説明が煩雑になる為、以下では、説明を簡単にする為、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)にTCタグ118(118K、118Y、118M、118C)が設けられていて、TC情報として、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)から通常TC情報を取得することを前提とする。
【0057】
ここで、RF読み書き制御部125と、タグ(IDタグ115及びTCタグ118)との通信について簡単に説明する。
【0058】
RF読み書き制御部125は、例えばブロードキャスト通信によりタグが持つUIDの取得要求を行う。ここでUIDは、RF読み書き制御部125がタグを識別して個別通信する為の情報である。IDタグ115(115K、115Y、115M、115C)が持つUIDには、イメージドラムであることを示す識別情報とユニークなシリアルナンバーとが含まれている。一方、TCタグ118(118K、118Y、118M、118C)が持つUIDには、トナーカートリッジであることを示す識別情報とユニークなシリアルナンバーとが含まれている。
【0059】
RF読み書き制御部125から取得要求を受け取ったタグは、自身のUIDをRF読み書き制御部125に返信する。RF読み書き制御部125は、タグからUIDを受け取ると、当該UIDを、図示しない記憶部に記憶する。その後、RF読み書き制御部125は、タグから受け取ったUIDをもとにユニキャスト通信を行うことにより、当該タグと個別通信を行う。
【0060】
尚、上述したように、ダウン状態のIDユニット113の場合、IDタグ115とTCタグ118の双方と安定して通信できる為、IDタグ115とTCタグ118の双方から安定してUIDが返答される。この為、RF読み書き制御部125は、ダウン状態のIDユニット113については、アンテナ部126を介して、IDタグの識別情報を持つUIDの返答とTCタグの識別情報を持つUIDの返答を待つようになっている。
【0061】
これに対して、アップ状態のIDユニット113の場合、TCタグ118とは安定して通信できない。この為、RF読み書き制御部125は、アップ状態のIDユニット113については、アンテナ部126を介して、TCタグ118の識別情報を持つUIDが返答されてきても受け流し、IDタグ115の識別情報を持つUIDの返答のみを待つようになっている。RF読み書き制御部125と、タグ(IDタグ115及びTCタグ118)との通信は、以上のようになっている。
【0062】
[2.画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置1の動作について説明する。具体的には、画像形成装置1の動作として、タグ(IDタグ115及びTCタグ118)に対する読み書き動作について説明する。
【0063】
ここでは、タグ(IDタグ115及びTCタグ118)に対する読み書き動作について、当該動作を行う条件ごとに説明する。条件としては、以下に示す条件1~条件3までの3つの条件がある。
【0064】
条件1は、IDユニット113K、113Y、113M、113Cをダウン状態にしてカラー印刷を行った後、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態のままとなっている場合である。
【0065】
この条件1は、さらに(1)と(2)の場合があり、(1)は、トナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量が十分残っている場合であり、(2)は、トナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量が少ない(トナーロー)もしくはトナー残量が空(トナーエンプティ)の場合である。尚、ここでいうトナー残量が少ない(トナーロー)もしくはトナー残量が空(トナーエンプティ)の場合というのは、例えば、トナー残量が所定の閾値以下になっている場合を意味し、トナー残量が十分残っている場合というのは、トナー残量が所定の閾値を超えている場合を意味する。これら(1)、(2)の場合に、具体的にどのような読み書きを行うのかについては後述する。
【0066】
条件2は、IDユニット113Kのみをダウン状態にしてモノクロ印刷を行った後、画像形成装置1がアイドル状態のままもしくは省電力状態に移行する場合である。この場合に、具体的にどのような読み書きを行うのかについては後述する。
【0067】
条件3は、IDユニット113Kのみがダウン状態のまま省電力状態からアイドル状態に復帰してモノクロ印刷を行う場合である。
【0068】
この条件3も、(1)と(2)の場合があり、(1)は、前回のカラー印刷後に更新されたIDユニット113Y、113M、113Cのトナー残量が十分残っていることを示している場合であり、(2)は、前回のカラー印刷後に更新されたIDユニット113Y、113M、113Cのトナー残量が少ない(トナーロー)もしくは空(トナーエンプティ)であることを示している場合である。これら(1)、(2)の場合に、具体的にどのような読み書きを行うのかについては後述する。
【0069】
ここで、上述した条件1~条件3を踏まえて、画像形成装置1のメイン制御部127が、図示しない上位装置から印刷ジョブを受信したときの画像形成装置1の動作について、図6図7及び図8のフローチャートを用いて説明する。尚、図6は、カラーの印刷ジョブを受信したときの動作であり、図7及び図8は、モノクロの印刷ジョブを受信したときの動作である。これら2つの動作は、メイン制御部127が主体となって行う動作である。
【0070】
まず条件1~条件3の場合の動作を説明する前に、画像形成装置1がカラー印刷を行う際の動作について図6に示すフローチャートの一部を用いて説明する。
【0071】
ステップSP302において、メイン制御部127は、カラーの印刷ジョブを受信する。このとき、メイン制御部127は、画像形成装置1が省電力状態であった場合、アイドル状態に移行させる。
【0072】
つづくステップSP303において、メイン制御部127は、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態であるか否かを判定する。ここで、アップ状態のIDユニット113がある場合(具体的にはIDユニット113Kのみがダウン状態の場合)、このことは、前回の印刷がモノクロ印刷であったことを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP303で否定結果を得て、ステップSP304に移り、カラー印刷を行う為に、アップダウン機構131により、アップ状態のIDユニット113(具体的にはIDユニット113Y、113M、113C)をダウンさせて、ステップSP305に移る。
【0073】
これに対して、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態である場合、このことは、前回の印刷がカラー印刷であったことを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP303で肯定結果を得て、ステップSP305に移る。ステップSP305において、メイン制御部127は、カバー開閉検知部132の検知結果をもとに、この時点までに本体カバー102が開閉されていたか(オープンクローズしていたか)否かを判定する。
【0074】
ここで、本体カバー102が開閉していなかった場合、メイン制御部127は、ステップSP305で否定結果を得て、ステップSP309に移り、受信したカラーの印刷ジョブに基づいてカラー印刷を行う。
【0075】
これに対して、本体カバー102が開閉していた場合、このことは、例えば、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)の交換作業が行われた可能性があり、最新のID情報とTC情報を取得する必要があることを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP305で肯定結果を得て、ステップSP306に移る。
【0076】
ステップSP306において、メイン制御部127は、IDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれからID情報を取得するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118CのそれぞれからTC情報を取得する。
【0077】
つづくステップSP307において、メイン制御部127は、ID情報とTC情報を取得できたか否かを判定する。ここで、ID情報とTC情報を取得できていれば、メイン制御部127は、ステップSP307で肯定結果を得て、ステップSP309に移り、カラー印刷を行う。
【0078】
これに対して、ID情報とTC情報を取得できていない場合、メイン制御部127は、ステップSP307で否定結果を得て、ステップSP308に移り、操作表示部124に、IDユニット113及びトナーカートリッジ117に関するエラー表示を行い、一連の動作を終了する。画像形成装置1がカラーの印刷を行う際の動作は、以上のようになっている。
【0079】
次に、上述した条件1の(1)の場合の動作について、図6に示すフローチャートの一部を用いて説明する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP309において、受信したカラーの印刷ジョブに基づいてカラー印刷を行った後、つづくステップSP310において、ダウン状態のIDユニット113K、113Y、113M、113CのそれぞれのTCタグ118K、118Y、118M、118Cから、通常TC情報を取得する。
【0080】
つづくステップSP311において、メイン制御部127は、取得した通常TC情報からトナー残量を算出し、トナー残量が残り少ないもしくは空になっている(つまりトナー残量エラーとなっている)IDユニット113があるか否かを判定する。ここで、トナー残量が残り少ないもしくは空になっているIDユニット113がない場合、このことは、IDユニット113K、113Y、113M、113Cのそれぞれのトナー残量が十分残っていること(つまり条件1の(1)の場合)を意味する。
【0081】
この場合、メイン制御部127は、ステップSP311で否定結果を得て、ステップSP313に移る。ステップSP313において、メイン制御部127は、IDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれのID情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新(つまりドラム使用量を更新)するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118Cのそれぞれの通常TC情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新(つまりトナー使用量と廃トナー量を更新)する。さらにこのとき、メイン制御部127は、更新後の通常TC情報を、IDタグ115K、115Y、115M、115Cにコピーする。
【0082】
このとき、図9(A)に示すように、例えば、IDタグ115Kに、ID情報と出荷時TC情報が記憶されている場合、メイン制御部127は、図9(B)に示すように、出荷時TC情報を、更新後の通常TC情報(つまりTCタグ118Kに記憶されている通常TC情報)で上書きする。IDタグ115Y、115M、115Cについても同様に、出荷時TC情報を、更新後の通常TC情報で上書きする。
【0083】
図6に戻り、つづくステップSP314において、メイン制御部127は、画像形成装置1をアイドル状態もしくは省電力状態に移行させ、一連の動作を終了する。
【0084】
このように、メイン制御部127は、条件1の(1)の場合、つまりカラー印刷を行った後、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態のままであり、且つトナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量が十分残っている場合、IDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれのID情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118Cのそれぞれの通常TC情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新する。そのうえで、メイン制御部127は、TCタグ118K、118Y、118M、118Cの更新後の通常TC情報を、IDタグ115K、115Y、115M、115Cにコピーするようになっている。
【0085】
これにより、IDタグ115K、115Y、115M、115Cには、カラー印刷終了後のトナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量(具体的にはトナー残量が十分残っていること)を示す通常TC情報が記憶される。条件1の(1)の場合の動作は、以上のようになっている。
【0086】
つづけて、上述した条件1の(2)の場合の動作について、図6に示すフローチャートの一部を用いて説明する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP309において、受信したカラーの印刷ジョブに基づいてカラー印刷を行った後、つづくステップSP310において、ダウン状態のIDユニット113K、113Y、113M、113CのそれぞれのTCタグ118K、118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得する。
【0087】
つづくステップSP311において、メイン制御部127は、取得したTC情報からトナー残量を算出し、トナー残量が残り少ないもしくは空になっているIDユニット113があるか否かを判定する。ここで、トナー残量が残り少ないもしくは空になっているIDユニット113がある場合、条件1の(2)の場合に該当することを意味する。
【0088】
この場合、メイン制御部127は、ステップSP311で肯定結果を得て、ステップSP312に移る。ステップSP312において、メイン制御部127は、操作表示部124に、トナー残量が残り少ないもしくは空になっているIDユニット113があることを示す警告表示を行う。
【0089】
さらにこのときメイン制御部127は、条件1の(1)の場合と同様、IDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれのID情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新(つまりドラム使用量を更新)するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118Cのそれぞれの通常TC情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新(つまりトナー使用量と廃トナー量を更新)する。さらにこのとき、メイン制御部127は、更新後の通常TC情報を、IDタグ115K、115Y、115M、115Cにコピーする。
【0090】
つづくステップSP314において、メイン制御部127は、画像形成装置1をアイドル状態もしくは省電力状態に移行させ、一連の動作を終了する。
【0091】
このように、メイン制御部127は、条件1の(2)の場合、つまりカラー印刷を行った後、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態のままであり、且つトナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量が残り少ないもしくは空になっている場合、トナー残量が残り少ないもしくは空になっていることを示す警告表示を行い、さらにIDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれのID情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118Cのそれぞれの通常TC情報を今回行ったカラー印刷に基づいて更新する。そのうえで、メイン制御部127は、TCタグ118K、118Y、118M、118Cの更新後の通常TC情報を、IDタグ115K、115Y、115M、115Cにコピーするようになっている。
【0092】
これにより、IDタグ115K、115Y、115M、115Cには、カラー印刷終了後のトナーカートリッジ117K、117Y、117M、117Cのトナー残量(具体的にはトナー残量が残り少ないもしくは空になっていること)を示す通常TC情報が記憶される。条件1の(2)の場合の動作は、以上のようになっている。
【0093】
つづけて、上述した条件2の場合の動作について、図7及び図8に示すフローチャートの一部を用いて説明する。この場合、メイン制御部127は、図8に示すステップSP418において、受信したモノクロの印刷ジョブに基づいてモノクロ印刷を行った後、つづくステップSP419において、ダウン状態のIDユニット113KのTCタグ118Kから通常TC情報を取得する。
【0094】
つづくステップSP420において、メイン制御部127は、取得した通常TC情報からトナー残量(つまりブラックのトナー残量)を算出し、トナー残量が残り少ないもしくは空になっているか否か(つまりトナー残量エラーとなっているか否か)を判定する。
【0095】
ここで、ブラックのトナー残量が残り少ないもしくは空になっている場合、メイン制御部127は、ステップSP420で肯定結果を得て、ステップSP421に移る。ステップSP421において、メイン制御部127は、操作表示部124に、ブラックのトナー残量が残り少ないもしくは空になっていることを示す警告表示を行う。
【0096】
その後、メイン制御部127は、ステップSP422に移り、IDタグ115KのID情報(つまりドラム使用量)と、TCタグ118Kの通常TC情報(つまりトナー使用量と廃トナー量)を今回行ったモノクロ印刷に基づいて更新する。そして、メイン制御部127は、つづくステップSP423において、画像形成装置1をアイドル状態もしくは省電力状態に移行させ、一連の動作を終了する。
【0097】
また一方で、ブラックのトナー残量が十分残っている場合、メイン制御部127は、ステップSP420で否定結果を得て、ステップSP422に移る。メイン制御部127は、ステップSP422において、IDタグ115KのID情報(つまりドラム使用量)と、TCタグ118Kの通常TC情報(つまりトナー使用量と廃トナー量)を今回行ったモノクロ印刷に基づいて更新した後、つづくステップSP423において、画像形成装置1をアイドル状態もしくは省電力状態に移行させ、一連の動作を終了する。
【0098】
このように、メイン制御部127は、条件2の場合、つまりモノクロ印刷を行った後、画像形成装置1がアイドル状態のままもしくは省電力状態に移行する場合、ブラックのトナー残量が残り少ないもしくは空になっていれば警告表示を行い、さらにIDタグ115KのID情報とTCタグ118Kの通常TC情報を今回行ったモノクロ印刷に基づいて更新するようになっている。
【0099】
つづけて、上述した条件3の場合の動作について、図7及び図8に示すフローチャートの一部を用いて説明する。
【0100】
図7に示すステップSP402において、メイン制御部127は、モノクロの印刷ジョブを受信する。このとき、メイン制御部127は、画像形成装置1が省電力状態であった場合、アイドル状態に移行させる。
【0101】
つづくステップSP403において、メイン制御部127は、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態であるか否かを判定する。ここで、IDユニット113K、113Y、113M、113Cがダウン状態である場合、このことは前回の印刷がカラー印刷であったことを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP403で肯定結果を得て、ステップSP404に移り、カバー開閉検知部132の検知結果をもとに、この時点までに本体カバー102が開閉していたか(オープンクローズしていたか)否かを判定する。
【0102】
ここで、本体カバー102が開閉していない場合、メイン制御部127は、ステップSP404で否定結果を得て、ステップSP408に移り、モノクロ印刷を行う為に、アップダウン機構131により、ダウン状態のIDユニット113Y、113M、113Cをアップさせて、ステップSP418に移り、受信したモノクロの印刷ジョブに基づいてモノクロ印刷を行う。
【0103】
これに対して、本体カバー102が開閉していた場合、このことは、例えば、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)の交換作業が行われた可能性があり、最新のID情報と通常TC情報を取得する必要があることを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP404で肯定結果を得て、ステップSP405に移る。
【0104】
ステップSP405において、メイン制御部127は、IDタグ115K、115Y、115M、115CのそれぞれからID情報を取得するとともに、TCタグ118K、118Y、118M、118Cのそれぞれから通常TC情報を取得する。
【0105】
つづくステップSP406において、メイン制御部127は、ID情報と通常TC情報を取得できたか否かを判定する。ここで、ID情報と通常TC情報を取得できていれば、メイン制御部127は、ステップSP406で肯定結果を得て、ステップSP408に移り、アップダウン機構131により、ダウン状態のIDユニット113Y、113M、113Cをアップさせた後、つづくステップSP418において、受信したモノクロの印刷ジョブに基づいてモノクロ印刷を行う。
【0106】
これに対して、ID情報と通常TC情報を取得できていない場合、メイン制御部127は、ステップSP406で否定結果を得て、ステップSP407に移り、操作表示部124に、IDユニット113及びトナーカートリッジ117に関するエラー表示を行い、一連の動作を終了する。
【0107】
また一方で、モノクロの印刷ジョブを受信したときに、アップ状態のIDユニット113がある場合(具体的にはIDユニット113Kのみがダウン状態の場合)、このことは、前回の印刷がモノクロ印刷であったことを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP403で否定結果を得て、ステップSP409に移り、カバー開閉検知部132の検知結果をもとに、本体カバー102が開閉していたか(オープンクローズしていたか)否かを判定する。
【0108】
ここで、本体カバー102が開閉されていない場合、メイン制御部127は、ステップSP409で否定結果を得て、ステップSP418に移り、受信したカラーの印刷ジョブに基づいてモノクロ印刷を行う。
【0109】
これに対して、本体カバー102が開閉されていた場合、このことは、例えば、トナーカートリッジ117(117K、117Y、117M、117C)の交換作業が行われた可能性があり、最新のID情報と通常TC情報を取得する必要があることを意味する。この場合、メイン制御部127は、ステップSP409で肯定結果を得て、ステップSP410に移る。
【0110】
ステップSP410において、メイン制御部127は、IDタグ115KからID情報を取得するとともに、TCタグ118Kから通常TC情報を取得する。つづくステップSP411において、メイン制御部127は、ID情報と通常TC情報を取得できたか否かを判定する。ここで、ID情報とTC情報を取得できていない場合、メイン制御部127は、ステップSP411で否定結果を得て、ステップSP412に移り、操作表示部124に、IDユニット113及びトナーカートリッジ117に関するエラー表示を行い、一連の動作を終了する。
【0111】
これに対して、ID情報と通常TC情報を取得できていれば、メイン制御部127は、ステップSP411で肯定結果を得て、ステップSP413に移る。ステップSP413において、メイン制御部127は、アップ状態のIDユニット113Y、113M、113CのIDタグ115Y、115M、115CのそれぞれからID情報と通常TC情報を取得する。
【0112】
つづくステップSP414において、メイン制御部127は、取得した通常TC情報からトナー残量を算出し、トナー残量が少ない(トナーロー)もしくはトナー残量が空(トナーエンプティ)になっているか否かを判定する。
【0113】
ここで、取得した通常TC情報(つまり前回のカラー印刷後に更新されたTC情報)のうちの少なくとも1つに、トナー残量が少ない(トナーロー)もしくはトナー残量が空(トナーエンプティ)であることが示されている場合、このことは、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業が行われた可能性が高く、TCタグ118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得する必要があることを意味する。つまりこの場合が、条件3の(2)の場合(モノクロ印刷を行う際に、前回のカラー印刷後に更新されたIDユニット113Y、113M、113Cのトナー残量が少ない(トナーロー)もしくは空(トナーエンプティ)であることを示している場合)となる。
【0114】
この場合、メイン制御部127は、ステップSP414で肯定結果を得て、ステップSP415に移る。ステップSP415において、メイン制御部127は、アップダウン機構131により、アップ状態のIDユニット113Y、113M、113Cをダウンさせて、ステップSP416に移り、TCタグ118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得する。
【0115】
その後、メイン制御部127は、ステップSP417において、アップダウン機構131により、ダウン状態のIDユニット113Y、113M、113Cを再度アップさせ、ステップSP418(図8)に移り、モノクロ印刷を行う。
【0116】
これに対して、IDユニット113Y、113M、113CのIDタグ115Y、115M、115Cのそれぞれから取得した通常TC情報の全てに、トナー残量が十分残っていることが示されている場合、このことは、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業が行われた可能性が低く、TCタグ118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得する必要はないことを意味する。つまりこの場合が、条件3の(1)の場合(モノクロ印刷を行う際に、前回のカラー印刷後に更新されたIDユニット113Y、113M、113Cのトナー残量が十分残っていることを示している場合)となる。
【0117】
この場合、メイン制御部127は、ステップSP414で否定結果を得、ステップSP415~ステップSP417の動作を省略してステップSP418(図8)に移り、モノクロ印刷を行う。ステップSP418以降の動作については上述した為、ここでは説明を省略する。
【0118】
このように、メイン制御部127は、条件3の(1)の場合、つまりモノクロ印刷を行う際に、アップ状態のIDユニット113Y、113M、113CのIDタグ115Y、115M、115Cから取得した通常TC情報(つまり前回のカラー印刷後に更新された通常TC情報)に、IDユニット113Y、113M、113Cのトナー残量が十分残っていることが示されている場合、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業が行われた可能性が低く、TCタグ118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得する必要はないと判定して、IDユニット113Y、113M、113CをダウンさせてTCタグ118Y、118M、118Cから通常TC情報を取得した後にIDユニット113Y、113M、113Cを再度アップする動作を省略し、迅速にモノクロ印刷を開始することができるようになっている。
【0119】
尚、条件3の(1)の場合、可能性は低いものの、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業が行われていることもある。この場合、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cのトナー残量については十分残っていることになる為、次回のカラー印刷時に、図6に示すステップSP309~ステップSP314において、TC情報を取得して更新するようにすればよい。
【0120】
[3.まとめと効果]
ここまで説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1に、感光体ドラムとしてのイメージドラム114と、着脱可能な現像剤収容部としてのトナーカートリッジ117と、第1タグ情報としてのID情報を格納する第1タグとしてのIDタグ115と、第2タグ情報としてのTC情報を格納し、トナーカートリッジ117とともに着脱可能な第2タグとしてのTCタグ118とを有し、トナーカートリッジ117に収容された現像剤としてのトナーを用いてイメージドラム114にトナー画像を形成する複数の画像形成ユニットとしての複数のIDユニット113を設けた。
【0121】
さらに画像形成装置1に、イメージドラム114に形成された画像を媒体103に転写する転写部11と、複数のIDユニット113を選択的に転写部11にダウン(接近)させて当接又はアップさせて離間させる離接機構部としてのアップダウン機構131と、複数のIDユニット113のそれぞれに設けられたIDタグ115及びTCタグ118と通信する通信部としてのRF読み書き制御部125及びアンテナ部126と、制御部としてのメイン制御部127と、開閉可能な本体カバー102とを設けた。
【0122】
さらにRF読み書き制御部125及びアンテナ部126は、IDユニット113が転写部11に接近する接近位置としての当接位置にある場合(ダウン状態にある場合)に当該IDユニット113に設けられたIDタグ115及びTCタグ118の両方と通信可能であり、IDユニット113が転写部11から離間する離間位置にある場合(アップ状態にある場合)に当該IDユニット113に設けられたIDタグ115と通信可能でTCタグ118との通信は困難であるとした。
【0123】
さらにメイン制御部127は、複数のIDユニット113を転写部11に当接(接近)させて複数色(カラー)印刷を行った後、複数のIDユニット113のそれぞれに設けられたIDタグ115にID情報を格納するとともに、TCタグ118にTC情報(通常TC情報)を格納し、さらに当該TC情報をIDタグ115にもコピーして格納するようにした。
【0124】
そしてメイン制御部127は、複数のIDユニット113のなかから限定された限定色(例えばブラック)のIDユニット113(例えばIDユニット113K)を転写部11に当接(接近)させて限定色印刷(例えばモノクロ印刷)を行う前に、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115からTC情報を読み出し、離間位置にあるIDユニット113のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報を読み出す必要がある場合には離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出し、読み出す必要がない場合には離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始するようにした。
【0125】
さらに言うと、メイン制御部127は、複数色印刷を行った後、限定色印刷を行うまで本体カバー102の閉状態が継続されている場合(つまりずっと開じていた場合)、トナーカートリッジ117の交換作業が行われた可能性がなく、TCタグ118からTC情報を読み出す必要がないことから、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始するようにした。
【0126】
またメイン制御部127は、限定色印刷を行う前に、本体カバー102が開閉されていた場合、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115からTC情報を読み出し、当該TC情報に示されているトナー残量(現像剤残量)に基づいて離間位置にあるIDユニット113のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報を読み出す必要があるか否かを判定するようにした。すなわち、メイン制御部127は、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115から読み出したTC情報に示されているトナー残量が十分残っていること(つまりトナー残量が閾値を超えていること)が示されていれば、トナーカートリッジ117の交換作業が行われた可能性が低く、TCタグ118からTC情報を読み出す必要がないことから、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始するようにした。
【0127】
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、限定色印刷を行う際に、本体カバー102が閉じたままであれば、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して、限定色印刷を迅速に開始することができる。また画像形成装置1では、本体カバー102が開閉されていても、離間位置にあるIDユニット113のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報を読み出す必要がない場合には、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して、限定色印刷を迅速に開始することができる。かくして、画像形成装置1によれば、限定色印刷時に、印刷済媒体が出力されるまでの時間を短縮することができる。
【0128】
[4.他の実施の形態]
[4-1.他の実施の形態1]
尚、上述した実施の形態では、複数のIDユニット113を選択的に下降又は上昇させることで、複数のIDユニット113のイメージドラム114を選択的に転写部11の転写ベルト111に当接又は離間させるアップダウン機構131を備える画像形成装置1に本発明を適用した。
【0129】
これに限らず、アップダウン機構131とは異なる離接機構部を備える画像形成装置に適用してもよい。例えば、複数のIDユニットを上下方向ではなく左右方向にスライドさせることで、複数のIDユニットのイメージドラムを選択的に転写ベルトに当接又は離間させる離接機構部を備える画像形成装置に本発明を適用してもよい。また上述した実施の形態では、アップダウン機構131により、複数のIDユニット113のイメージドラム114を選択的に転写部11の転写ベルト111に当接又は離間させるようにしたが、例えば、必ずしもイメージドラム114を転写ベルト111に当接させなくてもよく、少なくともイメージドラム114を転写ベルト111に接近させるようになっていればよい。
【0130】
また例えば、複数のIDユニットの上方に転写ベルトが配置されていて、複数のIDユニットを選択的に上昇又は下降させることで、複数のIDユニットのイメージドラムを選択的に転写ベルトに当接又は離間させるアップダウン機構を備える画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0131】
[4-2.他の実施の形態2]
また上述した実施の形態では、メイン制御部127が、モノクロ印刷を行う前に、本体カバー102が開閉されていた場合、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115からTC情報(通常TC情報)を読み出し、当該TC情報にトナー残量が十分残っていることが示されていれば、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業が行われた可能性が低いことから、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始するようにした。
【0132】
これに限らず、例えば、メイン制御部127が、モノクロ印刷を行う前に、本体カバー102が開閉されていた場合、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115からTC情報(通常TC情報)を読み出し、当該TC情報にトナー残量が十分残っていることが示されていて、且つ廃トナー量(廃現像剤量)が満杯ではない(所定の閾値以下であること)が示されていれば、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業もしくは廃トナー収容部を備えるIDユニット113Y、113M、113Cの交換作業が行われた可能性が低いことから、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始するようにしてもよい。
【0133】
別の言い方をすると、メイン制御部127が、モノクロ印刷を行う前に、本体カバー102が開閉されていた場合、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたIDタグ115からTC情報(通常TC情報)を読み出し、当該TC情報に示されているトナー残量と廃トナー量とに基づいて、離間位置にあるIDユニット113のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報を読み出す必要があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0134】
[4-3.他の実施の形態3]
さらに上述した実施の形態では、画像形成装置1を、IDユニット113が転写ベルト111に当接(接近)している場合(ダウン状態の場合)には、アンテナ部126を介して、IDユニット113に設けられたIDタグ115及びトナーカートリッジ117に設けられたTCタグ118の双方と通信可能であり、IDユニット113が転写ベルト111から離間している場合(アップ状態の場合)には、アンテナ部126を介して、IDタグ115及びTCタグ118のうちのIDタグ115のみと通信可能である構成とした。
【0135】
これに限らず、例えば、IDユニット113が転写ベルト111から離間している場合(アップ状態の場合)には、アンテナ部126を介して、IDタグ115及びTCタグ118のうちのTCタグ118のみと通信可能である構成としてもよい。
【0136】
この場合、例えば、TCタグ118に、通常TC情報だけでなくID情報を格納する。そして、メイン制御部127が、モノクロ印刷を行う前に、本体カバー102が開閉されていた場合、離間位置にあるIDユニット113(113Y、113M、113C)のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報(通常TC情報)とID情報を読み出し、当該TC情報と当該ID情報に基づいて、離間位置にあるIDユニット113のそれぞれに設けられたTCタグ118からTC情報を読み出す必要があるか否かを判定するようにしてもよい。
【0137】
この場合、メイン制御部127は、例えば、TC情報にトナー残量が十分残っていることが示されていて、且つID情報にドラム残寿命が十分残っていることが示されていれば、トナーカートリッジ117Y、117M、117Cの交換作業もしくはIDユニット113Y、113M、113Cの交換作業が行われた可能性が低いことから、離間位置にあるIDユニット113を当接位置まで移動させてTCタグ118からTC情報を読み出す動作を省略して限定色印刷を開始する。
【0138】
[4-4.他の実施の形態4]
さらに上述した実施の形態では、CMYK4色のIDユニット113を備える画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、本発明は、少なくとも2色以上のIDユニットを備え、限定色印刷とカラー印刷(複数色印刷)が可能な画像形成装置に適用することができる。尚、限定色印刷とは、複数色印刷よりも色数が少ない印刷のことであり、例えば複数色印刷が4色印刷である場合、限定色印刷は、3色印刷、2色印刷、単色印刷のことを意味する。本発明は、このような限定色印刷と複数色印刷が可能な画像形成装置として、例えば、赤黒2色のIDユニットを備える画像形成装置や、CMYKに特色(ホワイト、クリアーなど)を加えた5色のIDユニットを備える画像形成装置などにも適用することができる。
【0139】
さらに上述した実施の形態では、電子写真方式のカラープリンタである画像形成装置1に本発明を適用したが、本発明は、電子写真方式の印刷機構を備えるコピー機、複合機、ファックスなどの画像形成装置にも適用することができる。
【0140】
[4-5.他の実施の形態5]
さらに上述した実施の形態では、画像形成部10により形成した画像を媒体103に直接転写する直接転写方式の画像形成装置1に本発明を適用したが、これに限らず、画像形成部10により形成した画像を中間転写ベルトに転写し、当該中間転写ベルトに転写された画像を二次転写ローラまで搬送して、中間転写ベルトに転写された画像を二次転写ローラにより媒体に転写する二次転写方式の画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【0141】
[4-6.他の実施の形態6]
さらに本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明は、例えば、電子写真方式のプリンタなどで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0143】
1……画像形成装置、10……画像形成部、11……転写部、101……装置本体、102……本体カバー、103……媒体、113……IDユニット、114……イメージドラム、115……IDタグ、117……トナーカートリッジ、118……TCタグ、125……RF読み書き制御部、126……アンテナ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9