(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168735
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241128BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
G06F3/12 310
G06F3/12 334
G06F3/12 373
G06F3/12 385
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085651
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智久
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB42
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AE07
5C062AE15
5C062AF00
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】第1機器と第2機器とを有し、第1機器が第2機器のログを取得できない場合であっても、両機器のログを1つにまとめる情報処理システムを提供する。
【解決手段】第1機器は、第1プロセッサを有し、前記第1プロセッサは、前記第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得し、前記第2ログが取得できない場合に、前記第2機器に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを送信する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1機器を含み、
前記第1機器は、第1プロセッサを有し、
前記第1プロセッサは、
前記第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得し、
前記第2ログが取得できない場合に、前記第2機器に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを送信する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から特定の情報を削除することで第3ログを生成し、前記第1ログに代わって前記第3ログを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から前記第2機器が前記第1機器に対して実行した動作に関する部分を第4ログとして抽出し、前記第1ログに代わって前記第4ログを送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1プロセッサは、前記第2機器への前記第1ログの送信が失敗した場合、その失敗した旨を表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
第1機器と、
前記第1機器と通信する第2機器と、
を含み、
前記第1機器は、第1プロセッサを有し、
前記第2機器は、第2プロセッサを有し、
前記第1プロセッサは、
前記第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得できない場合、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器に送信し、
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサが前記第2ログを取得できない場合、前記第1ログを受け付ける、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
前記第2機器は、予め定められた期間ごとに、管理用ログを前記第1機器から取得することで前記第1機器を管理する機器であり、
前記管理用ログと、前記第2ログが取得できない場合に前記第1機器から前記第2機器に送信される前記第1ログとは、異なるログである、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2機器は、記録部を有し、
前記第2プロセッサは、
前記第1機器と前記第2機器との通信を、履歴情報として前記記録部に記録し、
前記第1ログを受け付けた後、前記第1ログおよび前記第2ログを1つにまとめたログ情報を生成し、
前記履歴情報と前記生成されたログ情報とを比較し、当該比較の結果前記生成されたログ情報の中で特異な部分がある場合には、当該部分を他の部分とは区別して表示する、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータに、
第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第1機器において前記第2機器から取得させ、
前記第1機器では前記第2ログを取得できない場合に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器へ送信させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが使用する機器(以下、「第1機器」と称する。)と、第1機器と通信する機器(以下、「第2機器」と称する。)と、を有する情報処理システムにおいて、両機器の動作に関するログの解析が必要なことがある。一例として、第2機器との通信中またはその前後に、第1機器で何らかの不具合が生じた場合等が考えられる。この場合、両機器の各動作を別々に確認するのではなく、第1機器が第2機器のログを取得し、第1機器において両機器のログをまとめて解析することで、不具合の原因の特定に役立てることがある。
【0003】
特許文献1には、周辺装置に関わるコンピュータ装置が行った動作に関するログと、周辺装置の動作に関するログと、を収集して、収集したログからコンピュータ装置が実行した処理において生じた不具合の原因を特定するログ収集システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、第1機器が第2機器のログを取得できない場合がある。例えば、第2機器がログを提供する手段を持っていない場合には、第1機器においては、第1機器と第2機器とのログを1つにまとめて解析することできない。この場合、両機器において各動作を別々に確認することになり、例えば、上記のような不具合が発生した場合の原因の特定においては、時間を要する、原因の特定自体ができない、等の問題が発生し得る。
【0006】
本発明の目的は、第1機器と第2機器とを有する情報処理システムにおいて、第1機器が第2機器のログを取得できない場合であっても、両機器のログを1つにまとめることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、第1機器を含み、前記第1機器は、第1プロセッサを有し、前記第1プロセッサは、前記第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得し、前記第2ログが取得できない場合に、前記第2機器に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを送信する、ことを特徴とする情報処理システムである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から特定の情報を削除することで第3ログを生成し、前記第1ログに代わって前記第3ログを送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から前記第2機器が前記第1機器に対して実行した動作に関する部分を第4ログとして抽出し、前記第1ログに代わって前記第4ログを送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記第1プロセッサは、前記第2機器への前記第1ログの送信が失敗した場合、その失敗した旨を表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システムである。
【0011】
請求項5に係る発明は、第1機器と、前記第1機器と通信する第2機器と、を含み、前記第1機器は、第1プロセッサを有し、前記第2機器は、第2プロセッサを有し、前記第1プロセッサは、前記第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得できない場合、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器に送信し、前記第2プロセッサは、前記第1プロセッサが前記第2ログを取得できない場合、前記第1ログを受け付ける、ことを特徴とする情報処理システムである。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記第2機器は、予め定められた期間ごとに、管理用ログを前記第1機器から取得することで前記第1機器を管理する機器であり、前記管理用ログと、前記第2ログが取得できない場合に前記第1機器から前記第2機器に送信される前記第1ログとは、異なるログである、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システムである。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記第2機器は、記録部を有し、前記第2プロセッサは、前記第1機器と前記第2機器との通信を、履歴情報として前記記録部に記録し、前記第1ログを受け付けた後、前記第1ログおよび前記第2ログを1つにまとめたログ情報を生成し、前記履歴情報と前記生成されたログ情報とを比較し、当該比較の結果前記生成されたログ情報の中で特異な部分がある場合には、当該部分を他の部分とは区別して表示する、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システムである。
【0014】
請求項8に係る発明は、コンピュータに、第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第1機器において前記第2機器から取得させ、前記第1機器では前記第2ログを取得できない場合に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器へ送信させる、ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,5,8に係る発明によれば、第1機器が第2機器のログを取得できない場合であっても、両機器のログを1つにまとめることができる。
【0016】
請求項2,3に係る発明によれば、ログの解析に必要な情報のみを送ることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、第1機器および第2機器のログを1つにまとめることができない旨を表示することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、第1機器を管理する機器である第2機器において、両機器のログを1つにまとめることができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、ログ情報の中で特異な部分を、他の部分とは区別して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】情報処理システムのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】ログの生成結果を表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、情報処理システムの構成を示すブロック図である。実施形態に係る情報処理システム10は、本発明の情報処理システムの一例である。情報処理システム10は、一例として、第1機器12と、第2機器14と、第3機器16と、第4機器18と、を含む。第1機器12~第4機器18は、インターネットやLAN(Local Area Network)等の通信経路を介して、互いに通信する。第1機器12~第4機器18は、例えば、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)、画像処理装置、または、サーバ等の装置である。画像処理装置は、スキャン機能、プリント機能、および、コピー機能の中の少なくとも1つの機能を有する装置である。画像処理装置は、スキャン機能、プリント機能、および、コピー機能等を有する複合機であってもよい。
【0022】
実施形態において、
図1に示す第1機器12は、ユーザが使用する複合機である。第1機器12は、本発明の第1プロセッサを有する第1機器の一例である。
【0023】
第2機器14は、第1機器12、第3機器16、および、第4機器18のそれぞれにおける印刷やスキャン等の処理の出力状況を分析して、当該分析した情報に基づいて運用管理や資産管理、最適化支援等を行うために用いられるMPS(Managed Print Service)サーバである。言い換えると、第2機器14は、予め定められた期間ごとに管理用ログを第1機器12、第3機器16、および、第4機器18から取得することで、それぞれの機器を管理する機器である。なお、管理用ログについては後述する。
【0024】
第3機器16は、複合機であり、第1機器12と連携し合って処理を行う機器である。具体的には、同一メーカが製造する複数の複合機が連携して印刷やスキャンを行うためのアプリケーションがあるが、第1機器12と第3機器16とは、当該アプリケーションがインストールされた複数の複合機に該当する。上記の「連携し合って処理を行う」とは、例えば、ユーザが印刷物Aの出力指示を複合機1に対して行った後に、別の複合機2において印刷物Aを出力可能なこと(すなわち、複合機1と複合機2とは、印刷ジョブを共有できるように設定されていること)を指す。本例においては、第1機器12および第3機器16は、上記のアプリケーションがインストールされていることで、連携し合って処理を行う機器同士という関係である。なお、本例においては、第1機器12と第3機器16とは、連携し合って処理を行うとしたが、これに限らない。ユーザが使用する第1機器12とその他の機器とは、連携せずに別々に処理を行ってもよい。
【0025】
第4機器18は、複合機である。なお、本例においては、第1機器12および第3機器16と、第2機器14と、第4機器18とは、それぞれ異なるメーカにより製造された機器であり、保守および管理を担当するメーカも異なる。
【0026】
第1機器12および第2機器14についてさらに説明する。
図2は、情報処理システムのハードウェアの構成を示すブロック図である。なお、
図2においては、第3機器16および第4機器18を省略しているが、
図1に示す構成のように、第1機器12~第4機器18が、通信経路を介して互いに接続されていてもよい。
【0027】
第1機器12は、第1UI20と、第1通信装置22と、第1記録部24と、第1プロセッサ26とを含む。
【0028】
第1UI20は、ユーザインターフェースであり、ディスプレイと入力装置とを含む。ディスプレイは、液晶ディスプレイまたはELディスプレイ等である。入力装置は、キーボード、マウス、入力キー、または、操作パネル等である。第1UI20は、ディスプレイと入力装置とを兼ね備えたタッチパネル等のUIであってもよい。
【0029】
第1通信装置22は、通信チップや通信回路等を有する1または複数の通信インターフェースを含み、他の装置に情報を送信する機能、および、他の装置から情報を受信する機能を有する。第1通信装置22は、近距離無線通信やWi-Fi(登録商標)等の無線通信機能を有してもよいし、有線通信機能を有してもよい。
【0030】
第1記録部24は、データを記憶する1または複数の記憶領域を構成する装置である。第1記録部24は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、各種のメモリ(例えば、RAM、DRAM、NVRAM、ROM、等)、その他の記憶装置(例えば、光ディスク等)、または、それらの組み合わせである。
【0031】
第1プロセッサ26は、第1機器12の各部の動作を制御する。また、実施形態における一連の処理は、情報処理システム10以外の別のシステムで行ってもよいが、第1プロセッサ26が当該一連の処理を行うものとする。
【0032】
第2機器14は、第2UI28と、第2通信装置30と、第2記録部32と、第2プロセッサ34とを含む。
【0033】
第2UI28、第2通信装置30、および、第2記録部32は、それぞれ、第1UI20、第1通信装置22、および、第1記録部24と同様の機能を有する。
【0034】
第2プロセッサ34は、第2機器14の各部の動作を制御する。
【0035】
第1プロセッサ26が行う処理についてさらに説明する。ユーザが第1UI20を介してログの生成指令を行うと、第1プロセッサ26は、第1通信装置22を介して、当該指令を受け付ける。そして、第1プロセッサ26は、自機である第1機器12と通信する第2機器14の動作に関する記録である第2ログを、第2機器14から取得する。ここで、第1プロセッサ26は、第2ログが取得できない場合に、第2機器14に、自機の動作に関する記録である第1ログを送信する。なお、第1機器12および第2機器14は共に、それぞれ自機のログを予め保持している。すなわち、第1機器12においては、自機のログである第1ログを第1プロセッサ26の制御により取り出し(すなわち、取得し)、第1記録部24に記録している。同様に、第2機器14においては、自機のログである第2ログを第2プロセッサ34の制御により取り出し、第2記録部32に記録している。すなわち、第1プロセッサ26が第2ログを取得する場合には、第1プロセッサ26は、第2記録部32から第2ログを取得し、当該取得した第2ログを第1記録部24に記録する。一方、第1プロセッサ26が第1ログを送信する場合には、第1プロセッサ26は、第1記録部24から第1ログを取り出して、第2機器14に送信する。
【0036】
ここで、上述した「管理用ログ」および「第1ログ」についてより詳しく説明する。管理用ログは、上述したように、第1機器12を管理する第2機器14が、予め定められた期間ごとに、第1機器12から取得するログである。管理用ログとは、第1機器12における印刷やスキャン等の出力状況を示したログであり、第1機器12の保守および管理のための情報が含まれている。具体的には、第1機器12のトナー残量、第1機器12での印刷枚数のカウント情報等を記録したログが含まれる。一方、上述したように、「第1ログ」は、第1機器12の動作に関する記録であるが、本来、第2機器14に送信することを前提としていない、自機の開発者向けのログである。すなわち、「第2ログが取得できない場合に」第1機器12から第2機器14に送信される「第1ログ」は、問題や障害等が発生したときのみ送信される調査用のログであるため、定期的に第1機器12から取得される「管理用ログ」とは異なるログである。なお、第2機器14は、ログの格納領域を複数有してもよい。また、同様に、第1機器12も、ログの格納領域を複数有してもよい。
図3は、ログの格納領域のイメージ図である。
図3に示すように、また、上述もしたように、第1機器12(より詳しくは、第1プロセッサ26)は、第2機器14が有する第2ログが取得できない場合に、第2機器14に、自機の動作に関する記録である第1ログを送信する。このとき、第2機器14の第2記録部32には、管理用ログ等通常取得するログを格納する領域(
図3では、「通常ログの領域」と示す領域)と、別の領域(すなわち、実施形態における処理が行われる場合のような、第1ログを受け付け格納するための非常用のログ領域)(
図3では、「非常用ログの領域<受信用>」と示す領域)とが、別々に設けられていてもよい。かかる構成により、第2プロセッサ34の制御により、非常用ログは、通常ログである管理用ログとは別々に管理される。なお、
図3においては、第2機器14は、通常ログの領域および受信用の非常用ログの領域に加えて、提供用の領域2(
図3では、「領域2<提供用>」と示す領域)も有している。また、第1機器12も、通常ログの領域とは別に、受信用の領域1を有している。さらに、第2プロセッサ34は、第2機器14が管理している複合機ごとに、通常ログの領域と非常用ログの領域とを設け、複合機ごとに、通常ログと非常用ログとを別々に管理してもよい。かかる構成により、本例のように第2機器14が複数の複合機を管理している場合であっても、各複合機のログが混在しないため、ユーザがログを取り出すときに必要なログだけを取り出すことができ効率的である。
【0037】
次に、上記のような処理が行われる具体的な場面について説明する。ユーザが第1機器12を使用する場合において、第1機器12の動作に関するログと第1機器12と通信中である第2機器14の動作に関するログとの両方が必要になることがある。例えば、両機器の通信中またはその前後に、第1機器12で何らかの不具合が生じた場合には、両機器の動作の解析が必要になる。このとき、ユーザは、両機器の動作に関するログを、自身が使用する第1機器12において1つにまとめて解析しようと試みる。しかし、第1機器12が第2ログを取得できないことがある。その原因の1つとして、単に第2機器14が他の機器に対してログを提供する手段を持っていない場合がある。その他にも、両機器の規約により第1機器12が第2ログを取得できない場合がある。上述したように、第2機器14は、MPSサーバであるため、複合機である第1機器12を管理する。すなわち、第2機器14と第1機器12との間には、いわゆる主従関係(すなわち、第2機器14が「主」であり、第1機器12が「従」である関係)があるため、規約により第1機器12が第2ログを取得できない可能性がある。本例では、かかる場面における、情報処理システム10での一連の処理を説明する。
【0038】
図4を参照して、実施形態に係る処理についてさらに説明する。
図4は、実施形態に係る情報処理システムの処理の流れを示すフローチャートである。本例では、第1機器12の第1プロセッサ26が、自機と通信する第2機器14の第2ログの取得を行う場合を例として説明する。また、第1プロセッサ26が、
図1に示す第3機器16および第4機器18がそれぞれ有するログの取得を行う場合も、併せて説明する。なお、「ログの取得を行う」とは、ログの取得を行うための処理の実行であって、実際に取得が出来たか否かによらない。
【0039】
ユーザは、第1UI20を操作することで、ログの生成指令を行う。なお、本例においては、このログの生成指令をトリガーとして
図4の一連の処理が実行されるが、これに限らない。まず、第1プロセッサ26は、第1通信装置22を介して、ユーザが発したログの生成指令を受け付ける(S10)。次に、第1プロセッサ26は、ログ取得の対象となる機器を抽出する(S12)。一般に、第1機器12が企業や店舗に設置されている場合においては、第1機器12は、インターネット等の通信経路を介して、第2機器14~第4機器18以外にも多くの機器と互いに通信する。したがって、第1機器12と通信する全ての機器のログを取得する場合、不要なログまで取得することになり効率的ではない。そこで、第1プロセッサ26は、予め定めた条件を満たす機器のみをログ取得の対象として抽出する。「予め定めた条件を満たす機器」とは、例えば、第1機器12と一定期間内に通信した機器、第1機器12の情報を定期的にまたは一定期間内に要求したまたは取得した機器、等である。本例においては、第2機器14が、定期的に第1機器の情報を取得する機器に該当する。また、第3機器16および第4機器18が、一定期間内(例えば、ユーザがログの生成指令を行った時から遡って1時間以内等)に第1機器12と通信した機器に該当する。
【0040】
第1プロセッサ26は、ログ取得の対象となる機器として第2機器14~第4機器18の3つの機器を抽出すると、当該3つの機器がそれぞれ有する動作に関する記録であるログの取得を行う。そして、第1プロセッサ26は、1以上の機器において、ログ取得が不可であるか否かを判定する(S14)。1以上の機器でログ取得が不可ではない場合(S14でNo)、すなわち、3つ全ての機器においてログを取得できた場合、第1プロセッサ26は、処理をステップS22に進める。
【0041】
一方、1以上の機器において、ログ取得が不可の場合(S14でYes)、第1プロセッサ26は、処理をステップS16に進める。第1プロセッサ26は、ログ取得が不可の機器に対して、自機のログである第1ログの送信を行うために、第1ログの送信が可能であるか否かを判定する(S16)。なお、本例では、「ログ取得が不可の機器」として、第2機器14および第4機器18の2つの機器が該当するものとする。本例のように、ログ取得が不可の機器として複数の機器が該当する場合には、処理は1つの機器ごとに順に行う。
【0042】
第1ログの送信が不可の場合(S16でNo)、第1プロセッサ26は、処理をステップS20に進める。一方、第1ログの送信が可能な場合には(S16でYes)、第1プロセッサ26は、外部送信用のログを生成して、上記のログ取得が不可の機器(一例として、まず第2機器14を当該機器とする)に対して、生成したログを送信する(S18)。ここで、外部送信用のログとは、第1ログに代わって送信されるログである。例えば、第1プロセッサ26は、第1ログの中から特定の情報を削除することで第3ログを生成してもよい。この場合、当該第3ログが外部送信用のログとなる。その他にも、第1プロセッサ26は、第1ログの中から、第2機器14が第1機器12に対して実行した動作に関する部分を抽出して第4ログを生成してもよい。この場合、当該第4ログが外部送信用のログとなる。第1ログの中には、ユーザの個人情報が含まれる場合があり、また、第1機器12が他の機器と通信する中で行った処理とは無関係の動作に関するログが含まれる場合がある。また、上述したように、外部送信用のログは、問題や障害等が発生したときのみ送信される調査用のログであるため、第1機器12側のみの調査で用いるようなログ(すなわち、第1機器12で行う処理内容の全てを情報として含むログ)は不要な場合がある。そこで、第1プロセッサ26は、第1ログを、ログの解析に必要な情報にある程度絞り込むべく、新たに第3ログや第4ログを生成する。
【0043】
第1プロセッサ26は、外部送信用ログを第2機器14に送信すると、次に、ログ取得が不可の機器が第2機器14以外にもあるか否か判定する(S20)。上述したように、ログ取得が不可の機器としては、第4機器18も該当するため(S20でYes)、第1プロセッサ26は、ステップS16に戻り、ステップS16以降の一連の処理を実行する。ログ取得が不可の機器が他にない場合(すなわち、ログ取得が不可の機器としてステップS12で抽出されたすべての機器に対する一連の処理が実行された場合)(S20でNo)、第1プロセッサ26は、処理をステップS22に進める。
【0044】
次に、第1プロセッサ26は、ログの生成結果を画面に表示し(S22)、一連の処理を終了する。ここで、ログの生成結果の表示とは、第1機器12(すなわち、自機)、および、ステップS12において抽出されたログ取得の対象となる全ての機器における、ログの取得についての情報を成功したか否かを含めて概要としてまとめたものを生成して表示することを指す。表示画面の一例として
図5の画面を参照して説明する。
【0045】
図5は、ログの生成結果を表示する画面の一例を示す図である。
図5に示す画面36は、第1機器12の第1UI20に表示されるログの生成結果の画面である。より詳しくは、画面36は、
図4のフローチャートを参照して説明した実施形態に係る情報処理システム10の一連の処理によって、複数の機器(ここでは、第1機器12、および、第1機器12と通信する各機器である第2機器14~第4機器18)のログが、それぞれ1つにまとめられ、どこに格納されたかを示す画面である。第1プロセッサ26が行うログの取得の処理が成功した場合には、画面36に「調査ログのダウンロード先」として示されている場所にログが格納される。すなわち、第1機器12の第1記録部24内にログが格納される。
【0046】
図5に示す表38を参照すると、第1機器12は、自機であるため、ログの取得は成功する。また、第3機器16のログの取得も成功している。上述したように、第1機器12と第3機器16とは、同一メーカの機器であり連携し合って処理を行う機器同士の関係にあるため、互いのログのやり取りが可能となっている。第1プロセッサ26は、自機と通信する機器のログの取得を行い、当該ログが取得できない場合に、自機の動作に関する記録である第1ログを送信する、という一連の処理を行う。ここで、第1機器12は、第3機器16のログを取得できるため、自機の第1ログの送信およびそれ以降の処理は行わない。そして、第1プロセッサ26は、第3機器16のログを取得すると、自機の第1ログおよび第3機器16のログを1つにまとめて、第1記録部24内の「Log00001111」に格納する。
【0047】
次に、第1プロセッサ26が行う第2機器14のログの取得は、
図4のフローチャートを参照して説明したように、不可である。そこで、第1プロセッサ26は、自機の第1ログを第2機器14に送信する。
図5の表38に示すように、ログの送信は成功している。そのため、ログを受け取った第2プロセッサ34は、第1機器12の第1ログと第2機器14の第2ログとを、1つにまとめ、第2記録部32内のフォルダに格納する。ここで、表38において、第2機器14のログ特異点の項目に「特異点あり」と表示されているが、これについては後述する。
【0048】
次に、第1プロセッサ26が行う第4機器18のログ取得についても、結果は不可である。また、本例においては、第4機器18は、ログを受信する手段を有していない。したがって、第1プロセッサ26が自機の第1ログの第4機器18への送信を試みても、送信は不可となる(表38で「送信失敗」と示す)。このように、第1プロセッサ26は、第1機器12および第4機器18のログを1つにまとめることができない場合には、その旨を第1UI20に表示することでユーザに示す。
【0049】
なお、上記においては、第1機器12の第1プロセッサ26が、実施形態の一連の処理を行うが、これに限らない。例えば、第1プロセッサ26および第2プロセッサ34が協働して、上記の一連の処理を行ってもよい。かかる場合には、第1プロセッサ26を有する第1機器12および第2プロセッサ34を有する第2機器14は、それぞれ、請求項5の第1プロセッサを有する第1機器および第2プロセッサを有する第2機器の一例となる。第1プロセッサ26および第2プロセッサ34が協働して処理を行う構成では、例えば、第1プロセッサ26は、第2ログを第2機器14から取得できない場合、第1ログを第2機器14に送信する。そして、第2プロセッサ34は、当該送信された第1ログを受け付ける。そして、第2プロセッサ34は、第1ログを受け付けた後のログを1つにまとめて格納する処理を実行する。
【0050】
また、第2プロセッサ34が主体となってその他の処理を実行してもよい。例えば、第2プロセッサ34は、第1機器12と第2機器14との通信を、履歴情報として第2記録部32に記録する。また、第2プロセッサ34は、第1ログを受け付けた後、第1ログおよび第2ログを1つにまとめたログ情報を生成する。その後、第2プロセッサ34は、上記の履歴情報と生成したログ情報とを比較し、当該比較の結果、生成されたログ情報の中で特異な部分がある場合には、当該部分を他の部分とは区別して表示する。ここで、表示の処理においては、第2プロセッサ34は、第2UI28を制御して表示処理を行ってもよいし、第1機器12に情報を送信してもよい。第1機器が当該情報を受け付けた場合には、その後、第1プロセッサ26が第1UI20を制御して表示処理を行ってもよい。特異な部分と他の部分とを区別して表示する例としては、例えば、特異な部分を着色することや太字にすることが挙げられる。かかる表示により、効率的なログの解析が可能となる。このような処理を第2プロセッサ34が行った場合に、
図5の表38の第2機器14のログ特異点の項目に「特異点あり」と表示されることで、ユーザはより効率的にログの解析ができる。
【0051】
以上の一連の処理によって、第1機器が第2機器のログを取得できない場合であっても、両機器のログを1つにまとめることができる。また、ログの解析に必要な情報のみを送ることで、効率的なログの解析が可能になる。
【0052】
上記の情報処理システム10の機能は、一例としてハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。例えば、プロセッサが、各装置のメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することで、各装置の機能が実現される。プログラムは、CDまたはDVD等の記録媒体を経由して、または、ネットワーク等の通信経路を経由して、メモリに記憶される。
【0053】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0054】
(付記)
(((1)))
第1機器を含み、
前記第1機器は、第1プロセッサを有し、
前記第1プロセッサは、
前記第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得し、
前記第2ログが取得できない場合に、前記第2機器に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを送信する、
ことを特徴とする情報処理システム。
(((2)))
前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から特定の情報を削除することで第3ログを生成し、前記第1ログに代わって前記第3ログを送信する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理システム。
(((3)))
前記第1プロセッサは、前記第1ログを前記第2機器に送信する場合に、前記第1ログの中から前記第2機器が前記第1機器に対して実行した動作に関する部分を第4ログとして抽出し、前記第1ログに代わって前記第4ログを送信する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理システム。
(((4)))
前記第1プロセッサは、前記第2機器への前記第1ログの送信が失敗した場合、その失敗した旨を表示する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の情報処理システム。
(((5)))
第1機器と、
前記第1機器と通信する第2機器と、
を含み、
前記第1機器は、第1プロセッサを有し、
前記第2機器は、第2プロセッサを有し、
前記第1プロセッサは、
前記第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第2機器から取得できない場合、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器に送信し、
前記第2プロセッサは、
前記第1プロセッサが前記第2ログを取得できない場合、前記第1ログを受け付ける、
ことを特徴とする情報処理システム。
(((6)))
前記第2機器は、予め定められた期間ごとに、管理用ログを前記第1機器から取得することで前記第1機器を管理する機器であり、
前記管理用ログと、前記第2ログが取得できない場合に前記第1機器から前記第2機器に送信される前記第1ログとは、異なるログである、
ことを特徴とする(((5)))に記載の情報処理システム。
(((7)))
前記第2機器は、記録部を有し、
前記第2プロセッサは、
前記第1機器と前記第2機器との通信を、履歴情報として前記記録部に記録し、
前記第1ログを受け付けた後、前記第1ログおよび前記第2ログを1つにまとめたログ情報を生成し、
前記履歴情報と前記生成されたログ情報とを比較し、当該比較の結果前記生成されたログ情報の中で特異な部分がある場合には、当該部分を他の部分とは区別して表示する、
ことを特徴とする(((5)))に記載の情報処理システム。
(((8)))
コンピュータに、
第1機器と通信する第2機器の動作に関する記録である第2ログを、前記第1機器において前記第2機器から取得させ、
前記第1機器では前記第2ログを取得できない場合に、前記第1機器の動作に関する記録である第1ログを前記第2機器へ送信させる、
ことを特徴とするプログラム。
【0055】
(((1))),(((5)))に係る情報処理システム、および、(((8)))に係るプログラムによれば、第1機器が第2機器のログを取得できない場合であっても、両機器のログを1つにまとめることができる。
(((2))),(((3)))に係る情報処理システムによれば、ログの解析に必要な情報のみを送ることができる。
(((4)))に係る情報処理システムによれば、第1機器および第2機器のログを1つにまとめることができない旨を表示することができる。
(((6)))に係る情報処理システムによれば、第1機器を管理する機器である第2機器において、両機器のログを1つにまとめることができる。
(((7)))に係る情報処理システムによれば、ログ情報の中で特異な部分を、他の部分とは区別して表示することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 情報処理システム、12 第1機器、14 第2機器、16 第3機器、18 第4機器、20 第1UI、22 第1通信装置、24 第1記録部、26 第1プロセッサ、28 第2UI、30 第2通信装置、32 第2記録部、34 第2プロセッサ。