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特開2024-168737ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法
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  • 特開-ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法 図1
  • 特開-ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法 図2
  • 特開-ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法 図3
  • 特開-ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法 図4
  • 特開-ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168737
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/00 20060101AFI20241128BHJP
   C01F 17/30 20200101ALI20241128BHJP
   C01F 11/00 20060101ALI20241128BHJP
   C01B 6/04 20060101ALI20241128BHJP
   H01M 8/1016 20160101ALN20241128BHJP
【FI】
C01B3/00 A
C01F17/30
C01F11/00
C01B6/04
H01M8/1016
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085654
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中 具道
【テーマコード(参考)】
4G076
4G140
5H126
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AA19
4G076AA30
4G076CA10
4G076DA04
4G076DA30
4G140AA32
4G140AA45
4G140AA46
5H126AA03
5H126BB06
5H126JJ08
(57)【要約】
【課題】潮解の抑制が可能なヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスは、第1層と、保護層と、導電層と、を含む。前記第1層は、ヒドリドイオン導電材料を含む。前記第1層は、凹凸を有する上面を有する。前記保護層は、前記第1層の前記上面の上に設けられる。前記導電層は、前記保護層の上に設けられる。前記保護層の上面は、前記第1層の前記上面の前記凹凸に沿った凹凸を有する。
【選択図】図2




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドリドイオン導電材料を含み、凹凸を有する上面を有する第1層と、
前記第1層の前記上面の上に設けられた保護層と、
前記保護層の上に設けられた導電層と、
を備え、
前記保護層の上面は、前記第1層の前記上面の前記凹凸に沿った凹凸を有するヒドリドイオン導電デバイス。
【請求項2】
前記第1層は、上方向に突出する凸部を含み、
前記保護層の厚さは、前記凸部の上下方向の長さよりも薄い、請求項1記載のヒドリドイオン導電デバイス。
【請求項3】
前記導電層の上面は、前記保護層の前記上面の前記凹凸に沿った凹凸を有する、請求項1または2に記載のヒドリドイオン導電デバイス。
【請求項4】
ヒドリドイオン導電材料を含み、凹凸を有する上面を有する第1層の上に保護層を形成する第1積層工程を備え、
前記第1積層工程は、前記ヒドリドイオン導電材料の潮解を抑制するように除湿された第1雰囲気下で実行され、
前記保護層の上面は、前記第1層の前記上面の前記凹凸に沿った凹凸を有する、ヒドリドイオン導電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記第1雰囲気における露点温度は、-20℃以下である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1雰囲気は、不活性ガス雰囲気である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
前記保護層の上に導電層を形成する第2積層工程を備え、
前記第2積層工程は、前記第1雰囲気下で実行される、請求項4~6のいずれか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドリドイオン(水素の陰イオンH)が内部で移動可能なヒドリドイオン導電材料が開発されている。ヒドリドイオン導電材料は、ヒドリドイオンに対する高いイオン導電性を有する。そのため、ヒドリドイオン導電材料を新たなデバイスに応用する研究が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/193917号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒドリドイオン導電材料は、高い潮解性を有する。これに起因して、ヒドリドイオン導電材料を用いたデバイスの性能や耐久性が低下する場合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、潮解の抑制が可能なヒドリドイオン導電デバイス及びヒドリドイオン導電デバイスの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスは、第1層と、保護層と、導電層と、を含む。前記第1層は、ヒドリドイオン導電材料を含む。前記第1層は、凹凸を有する上面を有する。前記保護層は、前記第1層の前記上面の上に設けられる。前記導電層は、前記保護層の上に設けられる。前記保護層の上面は、前記第1層の前記上面の前記凹凸に沿った凹凸を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。
図2図2は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。
図3図3(a)~図3(c)は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスの製造方法を例示する模式的断面図である。
図4図4は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスの動作を説明する模式図である。
図5図5は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。 図1に表したように、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイス100は、ヒドリドイオン導電材料を含む第1層10と、第1層10の上に設けられた保護層20と、保護層20の上に設けられた導電層30と、を有する。この例では、さらに、第1層10の下に保護層40が設けられ、保護層40の下に導電層50が設けられている。
【0009】
なお、後述するように、各層の表面は、凹凸を有するが、図1(及び図4)においては、便宜上、凹凸の図示を省略している。
【0010】
なお、実施形態の説明においては、第1層10から導電層30へ向かう方向をZ方向とし、Z方向に対して垂直な1つの方向をX方向(第1方向)とし、Z方向及びX方向に垂直な方向をY方向としている。また、説明において、第1層10から導電層30へ向かう方向を「上」と定義し、その反対方向を「下」と定義している。これらの方向は、第1層10と導電層30との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0011】
第1層10には、ヒドリドイオンが高速で拡散できる化合物(ヒドリドイオン導電材料)が用いられる。ヒドリドイオン導電材料におけるヒドリドイオンのイオン導電率は、特に限定されないが、例えば、300℃において、1.0×10-4S/cm(ジーメンス/センチメートル)以上、好ましくは、1.0×10-2S/cm以上である。
【0012】
具体的には、ヒドリドイオン導電材料には、ランタン(La)とストロンチウム(Sr)とリチウム(Li)と水素(H)と酸素(O)とを含む酸水素化物、例えばLa2-x-ySrx+yLiH1-x+y3-yを用いることができる。または、ヒドリドイオン導電材料には、バリウム(Ba)とLiとHとOとを含む酸水素化物、例えば、Ba1.8LiH2.80.9を用いることができる。ヒドリドイオン導電材料は、アルカリ土類金属の水素化物MH(Mは、カルシウム(Ca)、Sr及びBaの少なくともいずれか)でもよい。
【0013】
導電層30及び導電層50は、例えば金属を含む電極である。
導電層30には、例えば、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、Cu(銅)及び銀(Ag)の少なくともいずれかを用いることができる。この例では、導電層30には、Tiが用いられている。
導電層50には、例えば、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、Cu(銅)及び銀(Ag)の少なくともいずれかを用いることができる。この例では、導電層50には、Pdが用いられている。
【0014】
保護層20は、導電層30と第1層10とが直接接触して反応することを抑制する。保護層20のヒドリドイオン導電材料に対する化学的反応性は、導電層30のヒドリドイオン導電材料に対する化学的反応性よりも低い。つまり、保護層20の材料は、導電層30の材料よりも、ヒドリドイオン導電材料に接触した場合に変化しにくい。同様に、保護層40は、導電層50と第1層10とが直接接触して反応することを抑制する。保護層20及び保護層40には、例えば窒化物、酸化物又は硫化物を用いることができる。
【0015】
図2は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。 図2は、図1に示した領域R1を拡大して示す。図2に表したように、第1層10の上面10aは、凹凸を有する。すなわち、第1層10は、上方に突出する複数の凸部11を有する。凸部11は、例えば錐体状である。なお、複数の凸部11の高さは、互いに異なっていてもよい。第1層10の上面10aの算術平均粗さRaは、例えば0.5nm以上10nm以下である。第1層10の上面10aの最大高さRzは、例えば1nm以上20nm以下である。
【0016】
保護層20は、第1層10の凹凸に沿って、第1層10の凹部及び凸部を覆う。すなわち、保護層20の上面20aは、第1層10の上面10aの凹凸に沿った凹凸を有する。保護層20の上面20aの粗さは、第1層10の上面10aの粗さと実質的に同じでよい。例えば、上面20aの算術平均粗さRaは、上面10aの算術平均粗さRaに倣う。なお、この例では、保護層20には、窒化チタンが用いられている。保護層20は、単層に限らず、多層構造を有していてもよい。
【0017】
導電層30は、保護層20の凹凸に沿って、保護層20の凹部及び凸部を覆う。すなわち、導電層30の上面30aは、保護層20の上面20aの凹凸に沿った凹凸を有する。導電層30の上面30aの粗さは、保護層20の上面20aの粗さと実質的に同じでよい。例えば、上面30aの算術平均粗さRaは、上面20aの算術平均粗さRaに倣う。
【0018】
保護層20の厚さ(長さT20)は、第1層10の凸部11の高さ(上下方向の長さ)よりも薄い。なお、保護層20のある箇所における長さT20は、当該箇所の上面20aに対して垂直な方向に沿った当該箇所の長さである。例えば、長さT20は、第1層10の上面10aにおける最大高さRzよりも短い。長さT20は、例えば0.5nm以上10nm以下である。さらに例えば、長さT20は、第1層10の上面10aにおける算術平均粗さRaよりも短くしてもよい。
【0019】
導電層30の厚さ(長さT30)は、第1層10の凸部11の高さよりも薄い。なお、導電層30のある箇所における長さT30は、当該箇所の上面30aに対して垂直な方向に沿った当該箇所の長さである。例えば、長さT30は、第1層10の上面10aにおける最大高さRzよりも短い。長さT30は、例えば0.5nm以上10nm以下である。さらに例えば、長さT30は、第1層10の上面10aにおける算術平均粗さRaよりも短くしてもよい。
【0020】
なお、凹凸を評価する際には、Z-X平面の断面を観察する。算術平均粗さRaや最大高さRzには、JIS B 0601:2001で定義されたパラメータを用いる。パラメータを測定する際の基準長さは、例えば1μm以上5μm以下程度とする。
【0021】
図3(a)~図3(c)は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスの製造方法を例示する模式的断面図である。
まず、図3(a)に表したように、ヒドリドイオン導電材料を含む第1層10を用意する。
【0022】
図3(b)に表したように、第1層10の上面10aに接するように、例えばスパッタなどによって、保護層20を形成する(第1積層工程)。保護層20は、第1層10の上面10aの全体を覆う。保護層20の厚さは、上面10aの凹凸に沿って、一定でよい。保護層20は、その谷底または山頂において、その他の部分よりも厚くなっていてもよい。
【0023】
その後、図3(c)に表したように、保護層20の上面に接するように、例えばスパッタなどによって、導電層30を形成する(第2積層工程)。このようにして、ヒドリドイオン導電デバイス100が形成できる。導電層30の厚さは、上面20aの凹凸に沿って、一定でよい。導電層30は、その谷底または山頂において、その他の部分よりも厚くなっていてもよい。
【0024】
ヒドリドイオン導電デバイス100の動作について説明する。
図4は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスの動作を説明する模式図である。 この例では、ヒドリドイオン導電デバイス100は、水素を吸蔵するデバイスとして機能する。第1層10の一方側(この例では導電層30)に、第1層10の他方側(この例では導電層50)に対してマイナスの電圧を印加して電流を流す。このとき、マイナス側に水素を供給すると、水素は導電層及び保護層を通過して、ヒドリドイオンとして第1層10に吸蔵される。すなわち、この例では、水素は、導電層30及び保護層20を通過し、ヒドリドイオンとして第1層10内に取り込まれる。
【0025】
なお、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスは、必ずしも水素吸蔵デバイスに限らない。実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスは、ヒドリドイオン導電材料に電極(保護層又は導電層)が設けられたデバイスであればよく、任意の機能を有するものでよい。例えば、ヒドリドイオン導電デバイスは、二次電池または燃料電池であってもよい。ヒドリドイオン導電デバイスは、水素キャリアの合成や脱水素化を行うデバイスでもよい。
【0026】
実施形態の効果について説明する。
ヒドリドイオン導電材料は、高い潮解性を有する。これに対して、実施形態においては、第1層10の上に、保護層20が設けられる。第1層10を保護層20で覆うことにより、ヒドリドイオン導電材料の潮解を抑制することができる。
【0027】
一方、ヒドリドイオン導電材料の表面には、大きな凹凸が存在する場合がある。例えば、第1層10は、複数の凸部11を有する。このような表面の凹凸を覆うように保護層を形成する場合、保護層が厚くなる場合がある。保護層が厚くなると、保護層によってイオン伝導性が低下し、デバイス性能が低下する恐れがある。すなわち、例えば、ヒドリドイオン又は水素が保護層を通過しにくくなるため、ヒドリドイオン導電材料を含む層が水素を吸収または放出しにくくなる場合がある。
【0028】
これに対して、実施形態においては、保護層20の上面20aは、第1層10の上面10aの凹凸に沿った凹凸を有する。例えば、保護層20は、その上面20aに、第1層10の上面10aの凹凸が反映される程度に薄く成膜されている。例えば、保護層20の厚さは、第1層10の凸部11の高さよりも薄い。このように、保護層20が比較的薄いことにより、保護層20におけるイオン伝導性の低下(デバイス性能の低下)を抑制することができる。すなわち、ヒドリドイオン又は水素が保護層20を通過しにくくなることを抑制することができる。
【0029】
このように、実施形態は、保護層20を設けることでヒドリドイオン導電材料の潮解を抑制しつつ、保護層20が厚過ぎることを抑制している。したがって、ヒドリドイオン導電材料の潮解の抑制と、イオン導電性の維持と、を両立することができる。
【0030】
同様に、導電層30の上面30aは、保護層20の上面20aの凹凸に沿った凹凸を有する。例えば、導電層30は、その上面30aに保護層20の上面20aの凹凸が反映される程度に薄く成膜されている。例えば、導電層30の厚さは、第1層10の凸部11の高さよりも薄い。このように、導電層30が比較的薄いことにより、導電層30におけるイオン伝導性の低下を抑制することができる。すなわち、ヒドリドイオン又は水素が導電層30を通過しにくくなることを抑制することができる。
【0031】
保護層20の厚さ(長さT20)は、導電層30の厚さ(長さT30)より厚くてもよい。長さT20が長い場合には、より確実に第1層10を保護層20で覆うことができ、潮解をより抑制することができる。
【0032】
保護層20の厚さ(長さT20)は、導電層30の厚さ(長さT30)より薄くてもよい。長さT20が薄い場合には、保護層20におけるイオン伝導性の低下を抑制することができる。
【0033】
例えば、ヒドリドイオン導電デバイス100の製造は、第1層10を大気に暴露せずに、外部と隔離された低湿度の空間内(チャンバ内など)で実行される。これにより、潮解を抑制することができる。例えば、図3(a)~図3(c)に関して説明した各工程は、ヒドリドイオン導電材料の潮解を抑制するように除湿された所定の雰囲気(第1雰囲気)下で行われる。第1雰囲気は、外部の大気よりも除湿された低湿度環境である。第1雰囲気における湿度は、ヒドリドイオン導電材料の潮解を抑制するように所定値以下にコントロールされている。図3(a)~図3(c)の工程の少なくとも一部は、同じ空間内で連続して行われてもよい。
【0034】
なお、第1雰囲気に関して「潮解を抑制する」とは、デバイスとしての機能を損なわせる程度の潮解を生じさせないことである。潮解が抑制された状態は、完全に潮解が生じないことのみならず、製品の実用上、許容可能な範囲で性能を劣化させる潮解が生じることを含んでもよい。
【0035】
具体的には、第1雰囲気における露点は、例えば-70℃以上-20℃以下、好ましくは-60℃以下である。なお、第1雰囲気における温度は、例えば20℃以上400℃以下とする。
【0036】
第1雰囲気は、不活性ガス雰囲気でもよい。すなわち、各工程は、空気が不活性ガスで置換された空間内で実行されてもよい。不活性ガスには、例えば、アルゴン、または窒素を用いることができる。
【0037】
図5は、実施形態に係るヒドリドイオン導電デバイスを例示する模式的断面図である。図5は、図1に示した領域R2を拡大して示す。第1層10の下側(下面10b、保護層40及び導電層50)は、第1層10の上側(上面10a、保護層20及び導電層30)と同様の構成でよい。
【0038】
すなわち、第1層10の下面10bは、凹凸を有する。第1層10は、下方に突出する複数の凸部12を有する。保護層40は、第1層10の下面10bに接するように設けられる。保護層40の下面40bは、第1層10の下面10bの凹凸に沿った凹凸を有する。導電層50の下面50bは、保護層40の下面40bに接するように設けられる。導電層50の下面50bは、保護層40の下面40bの凹凸に沿った凹凸を有する。保護層40の厚さ(長さT40)は、第1層10の凸部12の高さ(Z方向の長さ)よりも薄い。導電層50の厚さ(長さT50)は、第1層10の凸部12の高さよりも薄い。
【0039】
保護層40及び導電層50は、保護層20及び導電層30と同様の方法により、形成することができる。
【0040】
実施形態によれば、潮解性の抑制が可能なヒドリドイオン導電デバイス及び製造方法を提供することが提供できる。例えば、潮解性の抑制とイオン導電性の維持とのトレードオフを解決することができる。
【0041】
本願明細書において、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
また、実質的に同じとは、完全同一に限らず、製造条件のばらつきなどの範囲で僅かに異なることを含む。
【0042】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 第1層
10a 上面
10b 下面
11、12 凸部
20 保護層
20a 上面
30 導電層
30a 上面
40 保護層
40b 下面
50 導電層
50b 下面
100 ヒドリドイオン導電デバイス
図1
図2
図3
図4
図5