(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168744
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20241128BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085662
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】生井 邦明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勤
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA14
5H040AT06
5H040CC23
5H040CC54
(57)【要約】 (修正有)
【課題】蓄電装置を保持する保持装置であって、保持部に対して蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の着脱速度を適正な範囲内に調整することができ、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃を確実に抑制することができる保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置である電力装置10において、第1モータ及び第2モータは、電気エネルギを運動エネルギに変換する。第1ローラ70及び第2ローラ90は、スロット18に対してバッテリ16を着脱するときに、該運動エネルギをバッテリ16に作用させる。バッテリ16は、第1ローラ70及び第2ローラ90から作用された運動エネルギによって、該バッテリ16の着脱方向に移動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を保持する保持装置であって、
前記蓄電装置が着脱可能に保持される保持部と、
電気機械変換部と、
を備え、
前記電気機械変換部は、
電気エネルギを運動エネルギに変換する変換部と、
前記保持部に対して前記蓄電装置を着脱するときに、前記変換部で変換された前記運動エネルギを前記蓄電装置に作用させて該蓄電装置の運動が生じるように配置された出力部と、
を有する、保持装置。
【請求項2】
請求項1記載の保持装置において、
前記出力部は、前記保持部に対して前記蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の移動軌跡上で、該蓄電装置と接触可能な位置に配置される、保持装置。
【請求項3】
請求項2記載の保持装置において、
前記出力部は、
前記蓄電装置が前記保持部に保持されたときの位置である第1位置と、
前記蓄電装置が前記保持部から取り外されたときの位置である第2位置と、
を移動可能に設けられる、保持装置。
【請求項4】
請求項3記載の保持装置において、
前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記移動軌跡上に位置するように配置される、保持装置。
【請求項5】
請求項4記載の保持装置において、
前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記蓄電装置が該出力部に当接して前記保持部側に進入することを阻止するように設けられる、保持装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記保持部に保持される前記蓄電装置の接続部が接続される他の接続部をさらに備える、保持装置。
【請求項7】
請求項5に従属する請求項6記載の保持装置において、
前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記接続部が前記他の接続部に接続される前に、前記蓄電装置が該出力部に当接するように配置される、保持装置。
【請求項8】
請求項3~5、請求項3~5のいずれかに従属する請求項6、及び、請求項7のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記電気エネルギを前記変換部に供給する蓄電部をさらに備え、
前記変換部は、前記蓄電部と電気的に接続される回転電機を有し、
前記回転電機は、前記蓄電部から供給される前記電気エネルギである電力で力行駆動することによって、前記運動エネルギである回転動力を発生可能に設けられると共に、発生した前記回転動力を前記出力部に出力可能に設けられ、
前記出力部は、前記回転電機と機械的に接続される回転部と、該回転部を回転可能に支持する回転軸部と、を有する、保持装置。
【請求項9】
請求項8記載の保持装置において、
前記電気機械変換部は、前記出力部が前記第1位置と前記第2位置とを移動するように前記回転軸部を移動させる駆動部を有する、保持装置。
【請求項10】
請求項9記載の保持装置において、
前記第2位置に位置している前記出力部への前記蓄電装置の当接の有無を検知する検知部をさらに備え、
前記駆動部は、前記検知部が前記出力部への前記蓄電装置の当接を検知したときに、前記出力部が前記第2位置から前記第1位置に移動するように前記回転軸部を移動させる、保持装置。
【請求項11】
請求項3~5、請求項3~5のいずれかに従属する請求項6、及び、請求項7~10のうち、いずれか1項に記載の保持装置において、
前記出力部は、前記第1位置に位置するときに、
前記蓄電装置の着脱方向と直交する方向において、前記蓄電装置の一方側に配置される第1出力部と、
前記蓄電装置の他方側に配置される第2出力部と、
を有する、保持装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の保持装置において、
蓄電部をさらに備え、
前記変換部は、前記蓄電部と電気的に接続される回転電機を有し、
前記出力部には、前記蓄電装置の移動に伴う運動エネルギが入力され、
前記回転電機は、回生駆動することによって回生電力を発生可能に設けられると共に、前記出力部に入力された前記運動エネルギを電気エネルギに変換するよう設けられる、保持装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の保持装置において、
前記保持部は、前記蓄電装置が挿入される挿入口と、底部とを有する有底筒状であり、
前記蓄電装置は、前記保持部の前記底部に向かって前記保持部に挿入され、
前記出力部は、前記蓄電装置の着脱方向における前記挿入口と前記底部との中間位置と、前記底部との間に配置されている、保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリパック(蓄電装置)を収納するケーシング(保持部)を備えたバッテリパック保護構造(保持装置)が開示されている。ケーシングの底部の中央部には、雄型コネクタが配置されている。また、ケーシングの底部には、雄型コネクタを囲むように複数のダイラタント体が配置されている。バッテリパックがケーシングに挿入され、複数のダイラタント体に当接したときに、複数のダイラタント体は、硬質体として機能し、バッテリパックを停止させる。その後、複数のダイラタント体は、軟質体として機能し、バッテリパックの自重によって徐々に圧縮される。複数のダイラタント体が徐々に圧縮されることで、バッテリパックは、ケーシングの底部に向かって徐々に下降する。バッテリパックがケーシングの底部に到達することで、雄型コネクタと、バッテリパックの底部に設けられた雌型コネクタとが嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保持部に対する蓄電装置の着脱速度を適正な範囲内に調整することで、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃を一層抑制することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、蓄電装置を保持する保持装置であって、前記保持装置は、前記蓄電装置が着脱可能に保持される保持部と、電気機械変換部と、を備え、前記電気機械変換部は、電気エネルギを運動エネルギに変換する変換部と、前記保持部に対して前記蓄電装置を着脱するときに、前記変換部で変換された前記運動エネルギを前記蓄電装置に作用させて該蓄電装置の運動が生じるように配置された出力部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、着脱対象である蓄電装置を保持部に対して着脱するときに、出力部は、変換部で電気エネルギから変換された運動エネルギを蓄電装置に作用(伝達)させる。蓄電装置は、伝達された運動エネルギによって、該蓄電装置の着脱方向への運動を行う。これにより、保持部に対して蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の着脱速度を適正な範囲内に調整することができる。この結果、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電力装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、スロットにバッテリが装着された状態を示す図である。
【
図3】
図3は、電気機械変換部の一部構成を示す図である。
【
図5】
図5は、電力装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、バッテリのスロットへの挿入前の状態を示す図である。
【
図7】
図7は、バッテリをスロットに挿入している状態を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7での電気機械変換部の状態を示す図である。
【
図9】
図9は、バッテリに対してローラを移動させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る電力装置10(保持装置)の斜視図である。
【0010】
電力装置10は、筐体12を備える。筐体12の形状は、略直方体状である。筐体12は、内部空間14を有する。内部空間14には、バッテリ16(蓄電装置)を収容するためのスロット18(保持部)が設けられている。バッテリ16は、スロット18に対して着脱可能である。バッテリ16は、スロット18に収容されることで、電力装置10に保持される。
【0011】
なお、「スロット18(電力装置10)に対して着脱」には、スロット18(電力装置10)に対してバッテリ16を装着する場合と、スロット18(電力装置10)に対してバッテリ16を離脱させる場合とが含まれる。本実施形態では、バッテリ16は、別途の作業工具等を用いることなく、スロット18(電力装置10)に対して着脱可能である。
【0012】
図1に示すように、電力装置10には、少なくとも1つのバッテリ16が装着されていればよい。電力装置10が複数のバッテリ16を備える場合、複数のバッテリ16のうち、少なくとも1つのバッテリ16が電力装置10に対して着脱可能であればよい。以下の説明では、電力装置10に対して、1つのバッテリ16が着脱可能である場合について説明する。また、
図2では、スロット18に対してバッテリ16を装着する方向を白抜きの実線の矢印で図示すると共に、スロット18に対してバッテリ16を離脱させる方向を白抜きの破線の矢印で図示している。
【0013】
また、「バッテリ16が電力装置10に保持」には、
図2のように、バッテリ16の全体が電力装置10の内部に収容される場合に限定されない。バッテリ16の一部が外部に露出した状態で、該バッテリ16の残りの部分が電力装置10の内部に収容される場合も含まれる。
【0014】
バッテリ16は、電力装置10に対して着脱可能なモバイルバッテリである。バッテリ16の形状は、略直方体状である。バッテリ16は、充放電可能なモバイルバッテリである。バッテリ16は、例えば、着脱式のリチウムイオンバッテリのバッテリパックが好適である。
【0015】
図1に示すように、バッテリ16は、ケース20とハンドル22とを備える。ケース20は、ケース本体24とボトムケース26とを有する。
【0016】
ケース本体24は、4つの側面を有する。4つの側面のうち、3つの側面は、平坦面である。該3つの側面のうち、2つの側面(
図2の右側の側面と左側の側面)は、互いに向かい合う側面である。残りの1つの側面は、曲面である。なお、4つの側面が平坦面であってもよい。
【0017】
ケース本体24の内部には、メインバッテリ28が着脱可能に収容されている。メインバッテリ28は、別途の作業工具等を用いることなく、バッテリ16に対して着脱可能である。メインバッテリ28は、電気エネルギである電力を蓄電する。
【0018】
ボトムケース26は、ケース本体24の底部に固定されている。ハンドル22は、ケース本体24の上部に固定されている。
【0019】
ハンドル22は、T字状に形成されている。ハンドル22は、ハンドルカバー30と、第1ハンドル部32と、第2ハンドル部34とを有する。ハンドルカバー30は、ケース本体24の上部に固定されている。第1ハンドル部32は、ハンドルカバー30の外周に沿って、ハンドルカバー30の上部に設けられている。第2ハンドル部34は、第1ハンドル部32と直交する方向に延びるように配置されている。第2ハンドル部34の一端は、第1ハンドル部32の中央部分に連結されている。第2ハンドル部34の他端は、ハンドルカバー30の外周部のうち、第1ハンドル部32から離れた箇所に連結されている。第1ハンドル部32及び第2ハンドル部34とハンドルカバー30との間には、ユーザが手(指)を差し込める程度の隙間が形成されている。ユーザは、第2ハンドル部34とハンドルカバー30との隙間に指を差し込み、第2ハンドル部34を把持することが可能である。
【0020】
筐体12の上部には、スロット18の開口36(挿入口)が形成されている。筐体12の上部には、開口36を覆うカバー38が設けられている。カバー38には、不図示の開ボタンが設けられている。ユーザが開ボタンを押すと、カバー38が開き、筐体12の外部とスロット18とが連通する。ユーザは、カバー38が開いている状態で、スロット18に対してバッテリ16を着脱することができる。なお、
図1は、カバー38が開いている状態を示す。
【0021】
筐体12の側面には、複数の操作ボタン42が配置されている。また、筐体12の側面には、複数の出力端子44が備えられている。複数の出力端子44は交流出力端子である。複数の出力端子44は、電力装置10から該電力装置10の外部に交流電力を出力するための端子である。複数の出力端子44は、例えば、商用電源プラグの差し込み口である。複数の出力端子44には、カバー46が被せられている。カバー46は、複数の出力端子44を保護する。
【0022】
図2に示すように、バッテリ16は、スロット18に着脱可能に装着される。スロット18は、筐体12の内部で鉛直方向(
図2の上下方向)に形成されている。スロット18は、筐体12の表面から内部に延びる有底筒状の収容部である。スロット18は、バッテリ16が挿入される開口36と、底部50とを有する。バッテリ16は、ボトムケース26をスロット18に向けた状態で、開口36を介してスロット18に挿入される。バッテリ16は、バッテリ16の底部(ボトムケース26)がスロット18の底部50に当接した状態でスロット18に装着される。なお、
図2に示すように、バッテリ16がスロット18に装着されているときに、バッテリ16の左右の側面は、いずれも、バッテリ16の着脱方向(鉛直方向)に沿った平坦面である。
【0023】
スロット18には、雄型のコネクタ52(他の接続部)が設けられている。コネクタ52は、プラグとも称される。コネクタ52は、スロット18の底部50に設けられている。コネクタ52は、スロット18の底部50から上方に突出している。バッテリ16は、雌型のコネクタ54(接続部)を有する。コネクタ54は、レセプタクルとも称される。コネクタ54は、バッテリ16の底部(ボトムケース26)に設けられている。コネクタ54は、メインバッテリ28に接続されている。バッテリ16をスロット18に挿入し、バッテリ16の底部がスロット18の底部50に当接するときに、2つのコネクタ52、54が接続(嵌合)される。
【0024】
なお、本実施形態では、2つのコネクタ52、54のうち、一方のコネクタが雄型コネクタであると共に、他方のコネクタが雄型コネクタに嵌合(接続)する雌型コネクタであればよい。従って、スロット18のコネクタ52が雌型コネクタであると共に、バッテリ16のコネクタ54が雄型コネクタであってもよい。以下の説明では、スロット18のコネクタ52が雄型コネクタであると共に、バッテリ16のコネクタ54が雌型コネクタである場合について説明する。
【0025】
図2~
図4に示すように、電力装置10は、電気機械変換部56を備える。電気機械変換部56は、第1電気機械変換部58と第2電気機械変換部60とを有する。第1電気機械変換部58及び第2電気機械変換部60は、スロット18に対するバッテリ16の着脱方向(鉛直方向)と直交する方向(水平方向、前後方向、左右方向)において、スロット18を挟むように、電力装置10の内部に配置されている。第1電気機械変換部58は、スロット18を挟んで該スロット18の右側(一方側)に配置されている。第2電気機械変換部60は、スロット18を挟んで該スロット18の左側(他方側)に配置されている。バッテリ16がスロット18に装着されている場合、第1電気機械変換部58は、バッテリ16を挟んで、該バッテリ16の一方側に配置される。第2電気機械変換部60は、バッテリ16を挟んで、該バッテリ16の他方側に配置される。
【0026】
第1電気機械変換部58は、第1モータ軸部62を有する第1モータ64(変換部、回転電機)と、第1モータギヤ66と、第1ローラ軸部68(回転軸部)を有する第1ローラ70(出力部、第1出力部、回転部)と、第1ローラギヤ72と、第1ソレノイド74(駆動部)とを有する。また、第2電気機械変換部60は、第2モータ軸部82を有する第2モータ84(変換部、回転電機)と、第2モータギヤ86と、第2ローラ軸部88(回転軸部)を有する第2ローラ90(出力部、第2出力部、回転部)と、第2ローラギヤ92と、第2ソレノイド94(駆動部)とを有する。すなわち、第1電気機械変換部58及び第2電気機械変換部60は、同じ構成要素を有する。ここでは、主として、第1電気機械変換部58について説明する。
【0027】
第1モータ軸部62は、
図2及び
図3の紙面に垂直な方向に延びている。第1モータ軸部62が延びる方向は、バッテリ16の着脱方向(鉛直方向)と、第1電気機械変換部58及び第2電気機械変換部60が向かい合う方向(左右方向)とに直交する方向である。第1モータギヤ66は、第1モータ軸部62と同軸に連結されている。第1ローラ70は、円盤状又は円柱状のローラである。
図2に示すように、第1ローラ70は、バッテリ16の着脱方向におけるスロット18の開口36と底部50との中間位置Pと、スロット18の底部50との間に配置されている。中間位置Pは、スロット18の深さLに対する中間点の位置である。第1ローラ70及び第1ローラ軸部68は、第1モータ軸部62と平行に延びている。第1ローラギヤ72は、第1ローラ軸部68と同軸に連結されている。第1モータギヤ66と第1ローラギヤ72とは噛み合っている。
【0028】
電力装置10の内部には、不図示の板体が設けられている。板体には、円弧状の第1切欠96が形成されている。第1切欠96は、第1モータ軸部62を中心とする第1同心円98に沿って形成されている。第1ローラ軸部68は、第1切欠96を挿通している。
【0029】
スロット18の右側の側壁102のうち、該中間位置Pと底部50との間の箇所には、第1開口104が形成されている。第1開口104は、第1ローラ70と向かい合うように右側の側壁102に形成されている。第1ローラ70及び第1ローラギヤ72は、
図2及び
図3に示す第1位置と、
図6~
図8に示す第2位置との間で、移動可能に設けられている。具体的には、第1ソレノイド74(
図4参照)は、第1切欠96に沿って第1ローラ軸部68を移動させることにより、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72を第1位置と第2位置との間で移動させる。つまり、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72は、第1モータギヤ66及び第1モータ軸部62の周りを公転する。
【0030】
第1位置は、第2位置よりもスロット18から離れた位置である。第1位置では、第1ローラ軸部68は、第1切欠96のうち、スロット18から離れた一端部に位置する。第1位置では、第1ローラ70は、第1開口104を介して、スロット18の内部に僅かに突出している。スロット18にバッテリ16が挿入されているときに、第1位置において、第1ローラ70は、バッテリ16のケース本体24の側面に接触可能である。
【0031】
なお、バッテリ16がスロット18に装着されているときに、該バッテリ16の右側の側面は、平坦面である。従って、第1ローラ70は、バッテリ16の(右側の)平坦面に接触する。すなわち、第1ローラ70は、バッテリ16の曲面を避けて、該バッテリ16の平坦面に接触している。
【0032】
第2位置は、第1位置よりもスロット18に近接する位置である。第2位置では、第1ローラ軸部68は、第1切欠96のうち、スロット18に近接する他端部に位置する。第2位置では、第1ローラ軸部68は、第1開口104の箇所に位置する。第2位置では、第1ローラ70の左側部分が、第1開口104を介して、スロット18の内部に突出する。第1ローラ70が第2位置に位置しているときに、バッテリ16をスロット18に挿入すると、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70に当接する(
図7及び
図8参照)。第1ローラ70が第2位置に位置しているときに、バッテリ16は、第1ローラ70よりもスロット18の奥側(底部50側)に進入することができない。
【0033】
すなわち、第2位置において、第1ローラ70は、バッテリ16の着脱方向に沿った該バッテリ16の移動軌跡上に配置されている。第2位置において、第1ローラ70は、スロット18の奥側へのバッテリ16の進入を阻止するための挿入阻害物として機能する。なお、第1ローラ70が第1位置に位置するときには、該第1ローラ70は、バッテリ16の移動軌跡上に位置しないよう配置される。
【0034】
第1ソレノイド74(
図4参照)は、第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66とが噛み合った状態を維持したまま、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72を第1位置と第2位置との間で移動させることが可能である。すなわち、第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66とは、常時噛み合った状態にある。詳しくは、第1ソレノイド74は、第2位置に位置する第1ローラ軸部68をバッテリ16から離間する方向に押圧することで、第1ローラ軸部68を第1切欠96の他端部から一端部に移動させる。第1ローラ軸部68が第1切欠96の一端部に移動することで、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72が第1位置に移動する。
【0035】
また、第1ソレノイド74は、第1位置に位置する第1ローラ軸部68をバッテリ16に近接する方向に押圧することで、第1ローラ軸部68を第1切欠96の一端部から他端部に移動させる。第1ローラ軸部68が第1切欠96の他端部に移動することで、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72が第2位置に移動する。つまり、第1ソレノイド74は、第1モータギヤ66及び第1モータ軸部62を中心として、第1位置と第2位置との間で、第1ローラ軸部68を公転方向に移動させる。
【0036】
第1ローラ70及び第1ローラギヤ72についての第1位置から第2位置への移動と、第2位置から第1位置への移動とのうち、いずれか一方の移動を第1ソレノイド74で行わせ、他方の移動を不図示の弾性部材(駆動部)の弾性力(例えば、バネ部材のバネ力)によって行わせてもよい。あるいは、第1位置から第2位置への移動と、第2位置から第1位置への移動との双方を、不図示の弾性部材(駆動部)の弾性力によって行わせてもよい。
【0037】
第1モータ64は、サブバッテリ106(蓄電部)(
図4参照)からの電力(電気エネルギ)の供給を受けて力行駆動し、第1モータ軸部62を回転させる。すなわち、第1モータ64は、電気エネルギを第1モータ軸部62の回転動力(運動エネルギ)に変換する。
図3には、第1モータ軸部62の回転方向が実線の矢印(時計回りの方向)と破線の矢印(反時計回りの方向)とで図示されている。
【0038】
上記のように、第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66とが常時噛み合っているため、第1モータ64の回転動力は、第1モータギヤ66及び第1ローラギヤ72を介して、第1ローラ70に伝達される。第1ローラ70及び第1ローラギヤ72が第1位置に位置し、第1ローラ70がバッテリ16のケース本体24の側面に接触しているときに、第1ローラ70が回転(自転)することで、バッテリ16は、着脱方向(鉛直方向)に移動する。つまり、バッテリ16は、第1モータ64から第1ローラ70を介して伝達される運動エネルギによって、着脱方向に運動(移動)する。
図3には、第1ローラ70及び第1ローラギヤ72の回転方向が実線の矢印(時計回りの方向)と破線の矢印(反時計回りの方向)とで図示されている。
【0039】
なお、
図2~
図4に示す第1電気機械変換部58の説明において、第1モータ軸部62、第1モータ64、第1モータギヤ66、第1ローラ軸部68、第1ローラ70、第1ローラギヤ72及び第1ソレノイド74の文言を、第2モータ軸部82、第2モータ84、第2モータギヤ86、第2ローラ軸部88、第2ローラ90、第2ローラギヤ92及び第2ソレノイド94の文言に置き換え、「右側」を「左側」に置き換え、「左側」を「右側」に置き換えることで、第2電気機械変換部60の説明となる。
【0040】
この場合、第1ローラ70と第2ローラ90とは、第1位置及び第2位置のいずれにおいても、スロット18を挟んで互いに向かい合うように位置する。また、筐体12内の不図示の板体には、第2切欠116が形成されている。第2切欠116は、第2モータ軸部82を中心とする第2同心円118に沿って形成されている。第2ローラ軸部88は、第2切欠116を挿通している。スロット18の左側の側壁122のうち、中間位置Pと底部50との間の箇所には、第2開口124が形成されている。第2開口124は、第2ローラ90と向かい合うように左側の側壁122に形成されている。第2ローラ90及び第2ローラギヤ92は、
図2に示す第1位置と、
図6及び
図7に示す第2位置との間で、移動可能に設けられている。
【0041】
従って、スロット18にバッテリ16が装着されているときに、第1ローラ70及び第2ローラ90は、第1位置において、バッテリ16のケース本体24の側面(平坦面)に接触可能である。また、第1ローラ70及び第2ローラ90が第2位置に位置しているときに、バッテリ16がスロット18に挿入されると、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接する。これにより、第1ローラ70及び第2ローラ90よりもスロット18の奥側へのバッテリ16の進入が阻止される。
【0042】
なお、
図2に示すように、バッテリ16がスロット18に装着され、2つのコネクタ52、54が嵌合され、第1ローラ70及び第2ローラ90がバッテリ16の側面に接触しているときに、スロット18からのバッテリ16の抜去を抑制するための機構を設けてもよい。
【0043】
具体的には、第1モータギヤ66の歯と第1ローラギヤ72の歯との間、及び、第2モータギヤ86の歯と第2ローラギヤ92の歯との間に、回転止めの部材(例えば、邪魔板又は爪部材)を挿入する。あるいは、第1モータギヤ66の歯又は第1ローラギヤ72の歯と、第2モータギヤ86の歯又は第2ローラギヤ92の歯とに、ロック爪を噛み込ませる。あるいは、第1モータ軸部62及び第2モータ軸部82の回転をロックするモータロック機構を設けてもよい。いずれの場合でも、第1ローラ70及び第2ローラ90は、回転が抑制された状態でバッテリ16を両側から挟み込むことができる。これにより、スロット18からのバッテリ16の抜去が好適に抑制される。
【0044】
図4は、電力装置10のブロック図である。電力装置10は、センサ130、インバータ132、DC/DCコンバータ134、ECU(電子制御装置)136、報知部138、操作入力部140、及び、サブバッテリ106をさらに備える。
【0045】
センサ130(検知部)は、第1センサ142と第2センサ144とを有する。第1センサ142は、第1電気機械変換部58の近傍に配置されている。第1センサ142は、第2位置に位置する第1ローラ70へのバッテリ16の当接の有無を逐次検知し、検知結果をECU136に逐次出力する。第2センサ144は、第2位置に位置する第2ローラ90へのバッテリ16の当接の有無を逐次検知し、検知結果をECU136に逐次出力する。
【0046】
第1センサ142は、第1ローラ70へのバッテリ16の当接の有無を検知できればよい。第2センサ144は、第2ローラ90へのバッテリ16の当接の有無を検知できればよい。このようなセンサ130には、例えば、光学センサ、スイッチ、荷重センサ、回転検知センサ、起電力検知センサがある。
【0047】
第1センサ142及び第2センサ144が光学センサである場合、光学センサから第1ローラ70及び第2ローラ90の各表面に光を照射し、第1ローラ70及び第2ローラ90の各表面の反射光を光学センサが受光すればよい。スロット18へのバッテリ16の挿入によって第1ローラ70及び第2ローラ90の各表面への光の照射が妨げられ、光学センサが反射光を受光できない場合、光学センサは、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0048】
第1センサ142及び第2センサ144がスイッチである場合、スイッチは、例えば、スロット18の左右の側壁102、122に設けられる接触センサ(タッチスイッチ)である。スロット18へのバッテリ16の挿入によって該バッテリ16が接触センサに接触したときに、接触センサは、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0049】
第1センサ142及び第2センサ144がスイッチである場合、スイッチは、例えば、第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88に接触可能な接触センサ(タッチスイッチ)であってもよい。すなわち、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70に当接したときに、第1ローラ70は、ボトムケース26の角部に押されて右方向に若干移動する可能性がある。また、バッテリ16のボトムケース26の角部が第2ローラ90に当接したときに、第2ローラ90は、ボトムケース26の角部に押されて左方向に若干移動する可能性がある。第1ローラ70の第1ローラ軸部68が右方向に移動して接触センサに接触すると共に、第2ローラ90の第2ローラ軸部88が左方向に移動して接触センサに接触したときに、接触センサは、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0050】
第1センサ142及び第2センサ144が荷重センサである場合、荷重センサは、例えば、第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88に連結される。バッテリ16がスロット18に挿入され、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接したときに、バッテリ16からの荷重が第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88にかかる。荷重センサは、第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88の荷重を検知することで、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0051】
第1センサ142及び第2センサ144が回転検知センサである場合、回転検知センサは、例えば、第1モータ64及び第2モータ84の回転、又は、第1ローラ70及び第2ローラ90の回転を検知する。すなわち、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接したときに、第1ローラ70及び第2ローラ90が若干回転する。第1モータ64は、第1ローラ70の回転に伴って回転する。第2モータ84は、第2ローラ90の回転に伴って回転する。回転検知センサは、第1モータ64及び第2モータ84の回転の発生、又は、第1ローラ70及び第2ローラ90の回転の発生を検知することで、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0052】
第1センサ142及び第2センサ144が起電力検知センサである場合、起電力検知センサは、第1モータ64及び第2モータ84で発生される起電力を検知する。すなわち、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接したときに、第1ローラ70及び第2ローラ90が若干回転する。第1モータ64は、第1ローラ70の回転に伴って回転したときに、電気エネルギとしての起電力(回生電力)を発生する。第2モータ84は、第2ローラ90の回転に伴って回転したときに、電気エネルギとしての起電力(回生電力)を発生する。起電力検知センサは、第1モータ64及び第2モータ84での起電力の発生を検知することで、第1ローラ70及び第2ローラ90に対してバッテリ16が当接している旨の検知結果をECU136に出力する。
【0053】
バッテリ16がスロット18に装着され、バッテリ16のコネクタ54とスロット18のコネクタ52とが接続されている場合、メインバッテリ28とインバータ132とは、電力伝達経路146を介して、電力の授受が可能である。すなわち、メインバッテリ28の正極は、一方の電力線148を介して、インバータ132の入力側(1次側)の正極と電気的に接続されている。メインバッテリ28の負極は、他方の電力線150を介して、インバータ132の入力側の負極と電気的に接続されている。インバータ132は、メインバッテリ28から供給された直流電力を交流電力に変換する。インバータ132の出力側(2次側)には、2つの出力端子44が電気的に接続されている。出力端子44には、外部の負荷152が着脱可能に接続されている。電力装置10は、負荷152に電力を供給する給電装置として機能する。すなわち、負荷152は、インバータ132から供給される交流電力によって駆動する。また、負荷152が回転電機等であり、負荷152が回生駆動(発電)した場合、インバータ132は、負荷152から供給される交流電力を直流電力に変換する。メインバッテリ28は、インバータ132から供給される直流電力を蓄電する。
【0054】
2つの電力線148、150は、DC/DCコンバータ134の入力側と電気的に接続されている。DC/DCコンバータ134は、メインバッテリ28から供給された直流電力の直流電圧を、低電圧の直流電圧に変換する。DC/DCコンバータ134で変換された直流電力はサブバッテリ106に充電される。サブバッテリ106は、ECU136、第1モータ64及び第2モータ84に直流電力を供給する。
【0055】
ECU136は、電力装置10に対して着脱可能であってもよい。ECU136は、別途の作業工具等を用いることなく、電力装置10に対して着脱可能である。あるいは、ECU136は、電力装置10に固定されてもよい。ECU136は、サブバッテリ106からの直流電力の供給を受けて駆動する。ECU136は、メモリ154(記憶媒体)に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、電力装置10の各部を制御する。
【0056】
具体的には、ECU136は、インバータ132に制御信号を供給することで、交直変換を行わせる。ECU136は、DC/DCコンバータ134に制御信号を供給することで、直流電力の変換を行わせる。
【0057】
また、ECU136は、バッテリ16が第1ローラ70に当接した旨の検知結果が第1センサ142から入力されると共に、バッテリ16が第2ローラ90に当接した旨の検知結果が第2センサ144から入力されたときに、第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94に直流電力(制御信号)を供給する。第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94の各々は、直流電力の供給を受けて駆動する。
【0058】
さらに、ECU136は、バッテリ16が第1ローラ70に当接した旨の検知結果が第1センサ142から入力されると共に、バッテリ16が第2ローラ90に当接した旨の検知結果が第2センサ144から入力されたときに、第1モータ64及び第2モータ84に制御信号を供給する。第1モータ64及び第2モータ84の各々は、制御信号の供給を受けて駆動する。
【0059】
報知部138は、ECU136からの指示に基づき、各種の情報を外部に報知する。操作入力部140は、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作入力の内容をECU136に出力する。操作入力部140は、例えば、操作ボタン42である。
【0060】
本実施形態に係る電力装置10は、以上のように構成される。次に、電力装置10の動作について、
図5のフローチャートと、
図6~
図12の動作の説明図とを参照しながら説明する。ここでは、スロット18にバッテリ16を挿入する場合と、スロット18からバッテリ16を抜き取る場合とについて説明する。
【0061】
図5は、スロット18(
図6参照)へのバッテリ16の挿入動作を示すフローチャートである。
【0062】
図6に示すように、バッテリ16がスロット18に挿入されていない場合、第1ローラ70及び第2ローラ90の各々は、第2位置に位置する。このときに、第1センサ142(
図4参照)は、第1ローラ70に対してバッテリ16が当接していないことを検知し、検知結果をECU136に出力する。また、第2センサ144は、第2ローラ90に対してバッテリ16が当接していないことを検知し、検知結果をECU136に出力する。
【0063】
図5のステップS1において、ECU136(
図4参照)は、第1センサ142及び第2センサ144の各検知結果に基づき、バッテリ16が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接していないと判断する(ステップS1:NO)。
【0064】
図7及び
図8に示すように、ユーザがバッテリ16をスロット18に挿入すると、バッテリ16のボトムケース26の角部が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接する。第1センサ142(
図4参照)は、第1ローラ70に対してバッテリ16が当接したことを検知し、検知結果をECU136に出力する。第2センサ144は、第2ローラ90に対してバッテリ16が当接したことを検知し、検知結果をECU136に出力する。
【0065】
図5のステップS1において、ECU136(
図4参照)は、第1センサ142及び第2センサ144の各検知結果に基づき、バッテリ16が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接したと判断する(ステップS1:YES)。
【0066】
ステップS2において、ECU136は、第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94に直流電力を供給する。第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94の各々は、直流電力の供給を受けて駆動する。
【0067】
第1ソレノイド74が駆動することで、
図9及び
図10に示すように、第1ローラ軸部68が第1切欠96の他端部から一端部に移動する。これにより、第1ローラ70は、第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66との噛み合い状態を維持しつつ、第2位置から第1位置に移動する。第1ローラ70は、バッテリ16から退避するように右方向に移動する。
【0068】
また、第2ソレノイド94が駆動することで、第2ローラ軸部88が第2切欠116の他端部から一端部に移動する。これにより、第2ローラ90は、第2ローラギヤ92と第2モータギヤ86との噛み合い状態を維持しつつ、第2位置から第1位置に移動する。第2ローラ90は、バッテリ16から退避するように左方向に移動する。
【0069】
第1ローラ70及び第2ローラ90が第2位置から第1位置に移動することで、バッテリ16は、スロット18の底部50に向かって若干下降する。
【0070】
図5のステップS3において、ECU136(
図4参照)は、第1モータ64及び第2モータ84に制御信号を供給する。第1モータ64及び第2モータ84の各々は、制御信号の供給を受けて力行駆動する。
【0071】
第1モータ64は、
図11及び
図12に示す実線の矢印方向に第1モータ軸部62を回転させる。これにより、第1モータ64の回転動力は、第1モータギヤ66及び第1ローラギヤ72を介して第1ローラ70に伝達される。この結果、第1ローラ70は、実線の矢印方向に回転(自転)する。
【0072】
第2モータ84は、
図11に示す実線の矢印方向に第2モータ軸部82を回転させる。これにより、第2モータ84の回転動力は、第2モータギヤ86及び第2ローラギヤ92を介して第2ローラ90に伝達される。この結果、第2ローラ90は、実線の矢印方向に回転する。
【0073】
図11及び
図12に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90の各々は、バッテリ16のケース本体24の側面に接触している。第1ローラ70及び第2ローラ90の回転に伴い、バッテリ16は、徐々に下降する。
【0074】
これにより、
図5のステップS4において、バッテリ16(
図2及び
図3参照)のボトムケース26がスロット18の底部50にまで下降すると、バッテリ16のコネクタ54とスロット18のコネクタ52とが嵌合する。ボトムケース26がスロット18の底部50に接触し、2つのコネクタ52、54が嵌合することで、バッテリ16がスロット18に装着される。
【0075】
図5のステップS3において、バッテリ16の両側は、第1ローラ70及び第2ローラ90によって挟み込まれている(
図11及び
図12参照)。そのため、ステップS3では、バッテリ16の自重によって該バッテリ16を下降させてもよい。この場合、バッテリ16の側面と第1ローラ70及び第2ローラ90との間には、摩擦(接触抵抗)が存在する。摩擦が存在することで、バッテリ16が自重によって徐々に下降し、第1ローラ70及び第2ローラ90が回転する。すなわち、バッテリ16の下方向への直線運動は、第1ローラ70及び第2ローラ90によって回転運動に変換される。第1ローラ70及び第2ローラ90は、変換した回転運動を第1モータ64及び第2モータ84に伝達する。第1モータ64及び第2モータ84は、伝達された回転運動によって回生駆動し、電気エネルギ(回生電力)に変換する。変換された電気エネルギは、サブバッテリ106(
図4参照)に充電される。
【0076】
なお、スロット18からバッテリ16を抜き取る場合、先ず、ECU136(
図4参照)は、第1モータ64及び第2モータ84に制御信号を供給する。
【0077】
第1モータ64は、ECU136からの制御信号に基づいて力行駆動し、
図2及び
図3に示す破線の矢印方向(実線の矢印方向の逆方向)に第1モータ軸部62を回転させる。これにより、第1モータ64の回転動力が第1ローラ70に伝達され、第1ローラ70は、破線の矢印方向に回転する。
【0078】
第2モータ84は、ECU136からの制御信号に基づいて力行駆動し、
図2に示す破線の矢印方向に第2モータ軸部82を回転させる。これにより、第2モータ84の回転動力が第2ローラ90に伝達され、第2ローラ90は、破線の矢印方向に回転する。
【0079】
図2及び
図3に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90の各々は、バッテリ16のケース本体24の側面に接触している。第1ローラ70及び第2ローラ90の回転に伴い、バッテリ16は、徐々に上昇する。これにより、バッテリ16のコネクタ54とスロット18のコネクタ52との嵌合(接続)が解除される。その後、バッテリ16は、
図11及び
図12に示す位置まで上昇する。すなわち、第1モータ64及び第2モータ84は、力行駆動することで、バッテリ16の抜き取りをアシストする。
【0080】
次に、ECU136(
図4参照)は、第1モータ64及び第2モータ84への制御信号の供給を停止すると共に、第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94への直流電力の供給を開始する。
【0081】
第1ソレノイド74が駆動することで、
図9及び
図10に示すように、第1ローラ軸部68は、第1切欠96の一端部から他端部に移動する。これにより、第1ローラ70は、第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66との噛み合い状態を維持しつつ、白抜きの破線の矢印に示すように、第1位置から第2位置に移動する。この場合、第1ローラ70は、バッテリ16に近接するように左方向に移動する。
【0082】
また、第2ソレノイド94が駆動することで、第2ローラ軸部88は、第2切欠116の一端部から他端部に移動する。これにより、第2ローラ90は、第2ローラギヤ92と第2モータギヤ86との噛み合い状態を維持しつつ、第1位置から第2位置に移動する。この場合、第2ローラ90は、バッテリ16に近接するように右方向に移動する。
【0083】
第1ローラ70及び第2ローラ90が第1位置から第2位置に移動することで、バッテリ16は、
図7及び
図8に示す位置にまで若干上昇する。
【0084】
その後、ユーザは、
図6に示す白抜きの破線の矢印方向にバッテリ16を引き上げて、該バッテリ16をスロット18から引き抜く。
【0085】
本実施形態は、以下の効果を有する。
【0086】
図11及び
図12に示すように、着脱対象であるバッテリ16をスロット18に対して着脱するときに、第1ローラ70及び第2ローラ90は、第1モータ64及び第2モータ84で電気エネルギ(電力)から変換された回転動力(運動エネルギ)をバッテリ16に作用(伝達)させる。バッテリ16は、第1ローラ70及び第2ローラ90から伝達された運動エネルギによって、該バッテリ16の着脱方向(鉛直方向)への移動(運動)を行う。これにより、スロット18に対してバッテリ16を着脱するときの該バッテリ16の着脱速度を適正な範囲内に調整することができる。この結果、バッテリ16の着脱時に発生するバッテリ16及び電力装置10の衝撃を確実に抑制することができる。
【0087】
バッテリ16の移動軌跡上におけるバッテリ16と接触可能な位置に第1ローラ70及び第2ローラ90が配置されているので、第1ローラ70及び第2ローラ90からバッテリ16に運動エネルギを容易に作用させることができる。
【0088】
第1ローラ70及び第2ローラ90が第1位置(
図10参照)と第2位置(
図8参照)とを移動可能であるため、第1ローラ70及び第2ローラ90からバッテリ16に運動エネルギを適切に作用させることが可能となる。
【0089】
図7及び
図8に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90は、第2位置に位置するときに、バッテリ16の移動軌跡上に位置する。これにより、バッテリ16をスロット18に挿入したときに、第2位置に位置する第1ローラ70及び第2ローラ90でバッテリ16を受け止めることができる。この結果、バッテリ16をスロット18に挿入したときのバッテリ16及び電力装置10の衝撃を抑制することができる。
【0090】
すなわち、第2位置に位置する第1ローラ70及び第2ローラ90でバッテリ16を受け止める。その後、第1位置に移動した第1ローラ70及び第2ローラ90によってバッテリ16の側面を挟みつつ、バッテリ16を徐々に下降させて、2つのコネクタ52、54を嵌合させる。これにより、コネクタ52、54の着脱速度が適正な範囲内に抑制されるので、バッテリ16の着脱時におけるコネクタ52、54の摩耗の発生を回避することができる。
【0091】
第1ローラ70及び第2ローラ90が第2位置に位置するときに、バッテリ16をスロット18に挿入すると、バッテリ16が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接する。バッテリ16が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接することで、バッテリ16がスロット18の奥側に進入することが阻止される。この結果、バッテリ16をスロット18に挿入したときのバッテリ16及び電力装置10の衝撃を一層抑制することができる。
【0092】
図2に示すように、バッテリ16のコネクタ54とスロット18のコネクタ52とが接続されることで、バッテリ16と電力装置10との間での電力の授受が可能となる。
【0093】
図7及び
図8に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90が第2位置に位置するときに、バッテリ16のコネクタ54とスロット18のコネクタ52とが接続される前に、第1ローラ70及び第2ローラ90がバッテリ16に当接する。これにより、スロット18に挿入されたバッテリ16のコネクタ54が勢いよくスロット18のコネクタ52に衝突してバッテリ16のコネクタ54又はスロット18のコネクタ52が損傷することを抑制することができる。
【0094】
図11及び
図12に示すように、第1モータ64及び第2モータ84が力行駆動したときに、第1モータ64及び第2モータ84で発生した回転動力が第1ローラ70及び第2ローラ90に出力(伝達)される。第1ローラ70及び第2ローラ90は、伝達された回転動力をバッテリ16に作用(伝達)させる。バッテリ16は、伝達された回転動力によって、該バッテリ16の着脱方向への運動を行う。これにより、スロット18に対してバッテリ16を着脱するときの該バッテリ16の着脱速度を適正な範囲内に容易に調整することができる。この結果、バッテリ16の着脱時に発生するバッテリ16及び電力装置10の衝撃を一層確実に抑制することができる。
【0095】
図4に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90を回転可能に支持する第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88を移動させるように第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94が設けられている。これにより、第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88を移動させるだけで、第1ローラ70及び第2ローラ90の全体位置も同時に移動させることができる。
【0096】
図4に示すように、第1センサ142及び第2センサ144が第1ローラ70及び第2ローラ90へのバッテリ16の当接を検知したときに、第1ソレノイド74及び第2ソレノイド94が第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88を移動させる。これにより、第1ローラ70及び第2ローラ90を第2位置から第1位置に確実に且つ効率よく移動させることができる。
【0097】
図2に示すように、第1ローラ70及び第2ローラ90が第1位置に位置しているときに、バッテリ16の着脱方向と直交する方向において、バッテリ16の両側に第1ローラ70と第2ローラ90とが配置される。これにより、第1ローラ70及び第2ローラ90からバッテリ16に運動エネルギを作用させ、該バッテリ16を着脱方向に沿って真っ直ぐに移動(運動)させることができる。
【0098】
図4に示すように、バッテリ16の運動エネルギが第1ローラ70及び第2ローラ90に入力されたときに、第1モータ64及び第2モータ84は、回生駆動によって、運動エネルギを電気エネルギ(回生電力)に変換する。これにより、第1モータ64及び第2モータ84で変換された電気エネルギをサブバッテリ106に蓄電することが可能となる。
【0099】
図2に示すように、スロット18の開口36と底部50との中間位置Pと、スロット18の底部50との間に第1ローラ70及び第2ローラ90が配置されている。これにより、バッテリ16が第1ローラ70及び第2ローラ90に当接した後の該バッテリ16の移動ストロークが短くなる。この結果、バッテリ16の着脱を補助するために必要とされる電気エネルギの量(電力量)を低減することができる。また、バッテリ16の着脱時に発生するバッテリ16及び電力装置10の衝撃をより一層抑制することができる。
【0100】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0101】
本実施形態は、スロット18に対してバッテリ16を着脱する場合に限定されない。電力装置10は、ケース又はトレイを備えてもよい。ケース又はトレイは、スロット18の内部で該スロット18と相対移動可能に配置される。ユーザは、ケースにバッテリ16を挿入するか、又は、トレイにバッテリ16を載置する。ケース又はトレイの底板には、孔が形成されている。バッテリ16がケース又はトレイに装着されたときに、バッテリ16のコネクタ54は、孔を介してスロット18内に露出される。また、バッテリ16がケース又はトレイに装着されたときに、ケース又はトレイは、バッテリ16と共に、該バッテリ16の着脱方向に変位する。第1ローラ70及び第2ローラ90は、ケース又はトレイの側壁に接触する。この場合でも、ケース又はトレイに対するバッテリ16の着脱速度(例えば、装着速度)を好適に調整することができる。
【0102】
あるいは、電力装置10は、スロット18に代えて、ケース又はトレイを備えてもよい。この場合、ケース又はトレイの側壁に第1開口104及び第2開口124が形成される。従って、第1ローラ70は、第1開口104を介して、ケース又はトレイの内部に突出する。また、第2ローラ90は、第2開口124を介して、ケース又はトレイの内部に突出する。この場合でも、ケース又はトレイへのバッテリ16の着脱速度を好適に調整することができる。
【0103】
本実施形態は、バッテリ16がスロット18、ケース又はトレイに対して鉛直方向に着脱される場合に限定されない。バッテリ16は、スロット18、ケース又はトレイに対して、水平方向又は斜め方向に着脱されてもよい。スロット18、ケース又はトレイに対するバッテリ16の着脱方向に関係なく、バッテリ16の着脱速度を好適に調整することができる。
【0104】
本実施形態は、バッテリ16の全体がスロット18又はケースに収納して保持される場合に限定されない。スロット18よりも内部の深さが浅いトレイにバッテリ16を載置する場合のように、バッテリ16の一部(ハンドル22側の部分)が外部に露出した状態(バッテリ16の一部のみがトレイに収容されている状態)で、電力装置10に保持されてもよい。
【0105】
本実施形態は、バッテリ16の両側の側面(平坦面)に第1ローラ70及び第2ローラ90が接触する場合に限定されない。少なくとも1つのローラがバッテリ16の側面(平坦面)に接触していればよい。すなわち、バッテリ16の4つの側面のうち、少なくとも1つの側面(平坦面)にローラが接触していればよい。これにより、スロット18に対するバッテリ16の着脱速度を好適に調整することができる。
【0106】
本実施形態は、第1モータ64と第1ローラ70とが動力伝達可能に連結されると共に、第2モータ84と第2ローラ90とが動力伝達可能に連結される場合に限定されない。1つのモータと第1ローラ70及び第2ローラ90とが動力伝達可能に連結されてもよい。この場合、1つのモータから第1ローラ70及び第2ローラ90に運動エネルギ(回転動力)が伝達される。
【0107】
本実施形態は、第1位置と第2位置との間での第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88の移動方向は、第1切欠96及び第2切欠116に沿った方向(第1同心円98及び第2同心円118に沿った方向)に限定されない。第1ローラギヤ72と第1モータギヤ66との噛み合いと、第2ローラギヤ92と第2モータギヤ86との噛み合いとが維持されるのであれば、どのような移動方向であってもよい。例えば、第1位置と第2位置との間で、第1ローラ軸部68及び第2ローラ軸部88を並進方向に移動させてもよい。
【0108】
本実施形態は、
図5のように、ステップS2とステップS3とを順に実行する場合に限定されない。ステップS2とステップS3とを同時に実行してもよい。この場合、第1ローラ70及び第2ローラ90は、回転(自転)しつつ、第2位置から第1位置に移動(公転)する。
【0109】
本実施形態において、電力装置10は、負荷152に電力を供給する給電装置に限定されない。電力装置10は、バッテリ16を充電する充電装置であってもよい。あるいは、電力装置10は、充電装置と給電装置とを兼ねてもよい。
【0110】
本実施形態では、第1ローラ70及び第2ローラ90は、
図2に示す位置よりも鉛直方向の上側に配置されてもよい。これにより、バッテリ16の鉛直方向への移動に伴う第1ローラ70及び第2ローラ90の回転量が多くなるので、第1モータ64及び第2モータ84の回生駆動による電気エネルギの変換量(回生電力の量)を増やすことができる。
【0111】
上述した開示に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0112】
(付記1)
蓄電装置(16)を保持する保持装置(10)であって、前記保持装置は、前記蓄電装置が着脱可能に保持される保持部(18)と、電気機械変換部(56)と、を備え、前記電気機械変換部は、電気エネルギを運動エネルギに変換する変換部(64、84)と、前記保持部に対して前記蓄電装置を着脱するときに、前記変換部で変換された前記運動エネルギを前記蓄電装置に作用させて該蓄電装置の運動が生じるように配置された出力部(70、90)と、を有する。
【0113】
この構成によれば、着脱対象である蓄電装置を保持部に対して着脱するときに、出力部は、変換部で電気エネルギから変換された運動エネルギを蓄電装置に作用(伝達)させる。蓄電装置は、伝達された運動エネルギによって、該蓄電装置の着脱方向への運動を行う。これにより、保持部に対して蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の着脱速度を適正な範囲内に調整することができる。この結果、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃を確実に抑制することができる。
【0114】
(付記2)
付記1に記載の保持装置において、前記出力部は、前記保持部に対して前記蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の移動軌跡上で、該蓄電装置と接触可能な位置に配置されてもよい。
【0115】
この構成によれば、蓄電装置の移動軌跡上における蓄電装置と接触可能な位置に出力部が配置されているので、出力部から蓄電装置に運動エネルギを容易に作用させることができる。
【0116】
(付記3)
付記2に記載の保持装置において、前記出力部は、前記蓄電装置が前記保持部に保持されたときの位置である第1位置と、前記蓄電装置が前記保持部から取り外されたときの位置である第2位置と、を移動可能に設けられてもよい。
【0117】
この構成によれば、出力部が第1位置と第2位置とを移動可能であるため、出力部から蓄電装置に運動エネルギを適切に作用させることが可能となる。
【0118】
(付記4)
付記3に記載の保持装置において、前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記移動軌跡上に位置するように配置されてもよい。
【0119】
この構成によれば、出力部が第2位置に位置するときに移動軌跡上に位置する。これにより、蓄電装置を保持部に挿入したときに、第2位置に位置する出力部で蓄電装置を受け止めることができる。この結果、蓄電装置を保持部に挿入したときの蓄電装置及び保持装置の衝撃を抑制することができる。
【0120】
(付記5)
付記4に記載の保持装置において、前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記蓄電装置が該出力部に当接して前記保持部側に進入することを阻止するように設けられてもよい。
【0121】
この構成によれば、出力部が第2位置に位置するときに、蓄電装置を保持部に挿入すると、該蓄電装置が出力部に当接する。蓄電装置が出力部に当接することで、蓄電装置が保持部の奥側に進入することが阻止される。この結果、蓄電装置を保持部に挿入したときの蓄電装置及び保持装置の衝撃を一層抑制することができる。
【0122】
(付記6)
付記1~5のいずれかに記載の保持装置において、前記保持装置は、前記保持部に保持される前記蓄電装置の接続部(54)が接続される他の接続部(52)をさらに備えてもよい。
【0123】
この構成によれば、接続部と他の接続部とが接続されることで、蓄電装置と保持装置との間での電力の授受が可能となる。
【0124】
(付記7)
付記5に従属する付記6に記載の保持装置において、前記出力部は、前記第2位置に位置するときに、前記接続部が前記他の接続部に接続される前に、前記蓄電装置が該出力部に当接するように配置されてもよい。
【0125】
この構成によれば、出力部が第2位置に位置するときに、蓄電装置の接続部と保持装置の他の接続部とが接続される前に、出力部が蓄電装置に当接する。これにより、保持部に挿入された蓄電装置の接続部が勢いよく他の接続部に衝突して蓄電装置の接続部又は他の接続部が損傷することを抑制することができる。
【0126】
(付記8)
付記3~5、付記3~5のいずれかに従属する付記6、及び、付記7のいずれかに記載の保持装置において、前記保持装置は、前記電気エネルギを前記変換部に供給する蓄電部(106)をさらに備え、前記変換部は、前記蓄電部と電気的に接続される回転電機(64、84)を有し、前記回転電機は、前記蓄電部から供給される前記電気エネルギである電力で力行駆動することによって、前記運動エネルギである回転動力を発生可能に設けられると共に、発生した前記回転動力を前記出力部に出力可能に設けられ、前記出力部は、前記回転電機と機械的に接続される回転部(70、90)と、該回転部を回転可能に支持する回転軸部(68、88)と、を有してもよい。
【0127】
この構成によれば、蓄電部から供給される電力によって回転電機が力行駆動したときに、回転電機で発生した回転動力が回転部に出力(伝達)される。回転部は、伝達された回転動力を蓄電装置に作用(伝達)させる。蓄電装置は、伝達された回転動力によって、該蓄電装置の着脱方向への運動を行う。これにより、保持部に対して蓄電装置を着脱するときの該蓄電装置の着脱速度を適正な範囲内に容易に調整することができる。この結果、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃を一層確実に抑制することができる。
【0128】
(付記9)
付記8に記載の保持装置において、前記電気機械変換部は、前記出力部が前記第1位置と前記第2位置とを移動するように前記回転軸部を移動させる駆動部(74、94)を有してもよい。
【0129】
この構成によれば、回転部を回転可能に支持する回転軸部を移動させるように駆動部が設けられている。これにより、回転軸部を移動させるだけで、回転部の全体位置も同時に移動させることができる。
【0130】
(付記10)
付記9に記載の保持装置において、前記保持装置は、前記第2位置に位置している前記出力部への前記蓄電装置の当接の有無を検知する検知部(130)をさらに備え、前記駆動部は、前記検知部が前記出力部への前記蓄電装置の当接を検知したときに、前記出力部が前記第2位置から前記第1位置に移動するように前記回転軸部を移動させてもよい。
【0131】
この構成によれば、検知部が出力部への蓄電装置の当接を検知したときに、駆動部が回転軸部を移動させる。これにより、出力部を第2位置から第1位置に確実に且つ効率よく移動させることができる。
【0132】
(付記11)
付記3~5、付記3~5のいずれかに従属する付記6、及び、付記7~10のうち、いずれかに記載の保持装置において、前記出力部は、前記第1位置に位置するときに、前記蓄電装置の着脱方向と直交する方向において、前記蓄電装置の一方側に配置される第1出力部(70)と、前記蓄電装置の他方側に配置される第2出力部(90)と、を有してもよい。
【0133】
この構成によれば、出力部が第1位置に位置しているときに、蓄電装置の着脱方向と直交する方向において、蓄電装置の両側に第1出力部と第2出力部とが配置される。これにより、第1出力部及び第2出力部から蓄電装置に運動エネルギを作用させ、該蓄電装置を着脱方向に沿って真っ直ぐに移動(運動)させることができる。
【0134】
(付記12)
付記1~11のいずれかに記載の保持装置において、前記保持装置は、蓄電部をさらに備え、前記変換部は、前記蓄電部と電気的に接続される回転電機を有し、前記出力部には、前記蓄電装置の移動に伴う運動エネルギが入力され、前記回転電機は、回生駆動することによって回生電力を発生可能に設けられると共に、前記出力部に入力された前記運動エネルギを電気エネルギに変換するよう設けられてもよい。
【0135】
この構成によれば、蓄電装置の運動エネルギが出力部に入力されたときに、回転電機は、回生駆動によって、運動エネルギを電気エネルギに変換する。これにより、回転電機で変換された電気エネルギを蓄電部に蓄電することが可能となる。
【0136】
(付記13)
付記1~12のいずれかに記載の保持装置において、前記保持部は、前記蓄電装置が挿入される挿入口(36)と、底部(50)とを有する有底筒状であり、前記蓄電装置は、前記保持部の前記底部に向かって前記保持部に挿入され、前記出力部は、前記蓄電装置の着脱方向における前記挿入口と前記底部との中間位置(P)と、前記底部との間に配置されてもよい。
【0137】
この構成によれば、保持部の挿入口と底部との中間位置と、保持部の底部との間に出力部が配置されている。これにより、蓄電装置が出力部に当接した後の該蓄電装置の移動ストロークが短くなる。この結果、蓄電装置の着脱を補助するために必要とされる電気エネルギの量(電力量)を低減することができる。また、蓄電装置の着脱時に発生する蓄電装置及び保持装置の衝撃をより一層抑制することができる。
【0138】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0139】
10…電力装置(保持装置)
16…バッテリ(蓄電装置)
18…スロット(保持部)
56…電気機械変換部
64…第1モータ(変換部)
70…第1ローラ(出力部)
84…第2モータ(変換部)
90…第2ローラ(出力部)