(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168745
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ダスト回収装置
(51)【国際特許分類】
D01H 11/00 20060101AFI20241128BHJP
B65H 54/70 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
D01H11/00 E
B65H54/70 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085665
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】日高 一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮埜 賢
(72)【発明者】
【氏名】平井 克尚
(72)【発明者】
【氏名】平野 敬士
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 隆太
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056AA01
4L056AA45
4L056BE05
4L056BG04
4L056BG16
4L056BG26
4L056BG29
4L056BG32
4L056BG52
4L056BG55
4L056DA44
4L056FC06
(57)【要約】
【課題】ダスト回収装置の圧力損失を低減し、エネルギー消費を低減する。
【解決手段】ダスト回収装置5は、一方向に配列された複数の巻取ユニット2を有する自動ワインダ1に設けられる。ダスト回収装置5は、負圧を供給する第1負圧供給装置61と、ダクト8と、を備える。ダクト8は、巻取ユニット2の配列方向に延びる。ダクト8は、第1負圧供給装置61に接続され、自動ワインダ1の稼働時において負圧に設定される。ダクト8は、ダクト8の内部空間と大気を連通させる、複数の孔84からなる第1開口83を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸ボビンから解舒した糸を巻取管に巻取り、パッケージを形成する巻取ユニットが一方向に複数配列された自動ワインダに設けられるダスト回収装置であって、
負圧を供給する第1負圧供給装置と、
前記第1負圧供給装置に接続され、前記複数の巻取ユニットの配列方向に延び、前記自動ワインダの稼働時において負圧に設定される、ダクトと、
を備え、
前記ダクトは、前記ダクトの内部空間と大気を連通させる、複数の孔からなる第1開口を有する、
ダスト回収装置。
【請求項2】
前記第1開口の孔は面取りされていることを特徴とする、
請求項1に記載のダスト回収装置。
【請求項3】
前記ダクトは、前記複数の巻取ユニットの外側に配置され、
前記第1開口は、前記ダクトの長手方向に沿って、前記巻取ユニットに対向する位置に形成されている、
請求項1又は2に記載のダスト回収装置。
【請求項4】
前記第1開口の孔は円形状であり、それぞれの前記巻取ユニットに対して2つずつ形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【請求項5】
前記第1開口の孔は、前記ダクトの長手方向に伸びる楕円形状もしくは角丸四角形状であり、それぞれの前記巻取ユニットに対して1つずつ形成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【請求項6】
前記第1開口は、前記ダクトの長手方向に沿って、鉛直方向下側に形成されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【請求項7】
前記自動ワインダは、一対の側板を有し、
前記第1開口は、前記側板の近傍に形成されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【請求項8】
前記第1開口から吸引した空気に含まれるダストを収集するダスト収集デバイス、
をさらに備え、
前記ダクトは、前記ダスト収集デバイスと接続するための第2開口をさらに有し、
前記ダスト収集デバイスは、前記第2開口を介して前記ダクトと接続される、
請求項1から7のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【請求項9】
前記第1開口と前記第2開口は、前記ダクトの内部において対向する位置に形成されている、
請求項8に記載のダスト回収装置。
【請求項10】
前記ダスト収集デバイスは、
前記ダクトの前記第2開口に接続され、ダストを含んだ空気を導入する、導入室と、
前記導入室に接続され、空気からダストを収集する収集室と、
前記収集室に接続され、前記収集室を減圧する、第2負圧供給装置と、
を有し、
前記収集室は、
前記収集室内の空気を排出する第1排出部及び第2排出部と、
前記第1排出部から排出される空気に含まれるダストを捕捉する遮断部材を有する、
請求項8又は9に記載のダスト回収装置。
【請求項11】
前記巻取ユニットは、前記巻取ユニットの動作により生じる風綿を吸引するノズル、
を有し、
前記ダクトは、前記ノズルを接続するための第3開口をさらに有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載のダスト回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ダスト回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ワインダの複数の巻取ユニットにおいて発生した風綿をダストボックスへ回収する、風綿収集装置が知られている。例えば、特許文献1には、巻取ユニットの周囲の風綿を含んだ空気を吸引ノズルにより吸引して、風綿収集室に風綿を収集する、風綿収集装置が開示されている。吸引ノズルは風綿収集装置と繋がっており、吸引ノズルの先端の吸引口は、解舒補助装置の近傍位置、及び、糸継装置の下方位置に配置されている。風綿収集室にはフィルタが配置されており、空気中に含まれている風綿を捕捉する。補足した風綿は、風綿収集装置に接続された負圧源により風綿収集装置から排出され、集綿ダクトにより風綿回収ボックスに回収される。
特許文献2には、解舒補助装置のバルーン規制部材の下降操作に伴い吸引ノズルを下降変位させることで、解舒位置近傍の風綿を回収する、風綿回収装置が開示されている。
特許文献3には、吸引ダクトにより搬送された空気から風綿を分離するフィルター構造と、当該フィルター構造を備える繊維屑回収装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-014860号公報
【特許文献2】特開2009-046267号公報
【特許文献3】特開2013-067899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動ワインダは、給糸部において給糸ボビンから解舒した糸を巻取管に巻取り、パッケージを形成している。従来の自動ワインダにおいては、給糸ボビンから糸を解舒する際に発生する風綿を吸引除去するために、給糸部の近くに吸引ノズルの先端を配置し、吸引ノズルの他端を負圧に保たれた吸引ダクトに接続する構成で、ダストを回収していた。吸引ノズルを用いたダスト回収では、狙った空間での吸引効率は高いものの吸引ノズルの先端からダクトへの接続口までの圧力損失が大きい。したがって、吸引ノズルの先端で十分な負圧を得るために、ファンモーターを高速に回転させる必要があり、エネルギーを多く消費してしまうことがあった。また、局所的な吸引となるために、狙った空間以外での風綿を回収することができなかった。さらに、吸引ノズルや高速のファンモーターの設置により、装置が複雑化又高コスト化するとの課題もあった。
【0005】
本発明の課題は、ダスト回収装置の圧力損失を低減すること、また、装置の構成を簡単にしてエネルギー消費を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本開示のダスト回収装置は、一方向に配列された複数の巻取ユニットを有する自動ワインダに設けられる。ダスト回収装置は、負圧を供給する第1負圧供給装置と、ダクトと、を備える。ダクトは、巻取ユニットの配列方向に延びる。ダクトは、第1負圧供給装置に接続され、自動ワインダの稼働時において負圧に設定される。ダクトは、ダクトの内部空間と大気を連通させる、複数の孔からなる第1開口を有する。
【0008】
このダスト回収装置では、ダクトに設けられた第1開口を介して、ダストを含んだ空気を直接ダクトの内部に吸引する。吸引ノズル等の配管を介さずに、直接ダクトにダストを含んだ空気を吸引するため、吸引ノズル等の配管による圧力損失が無い。全体として圧力損失が少ないため、高速のファンモーターを用いる必要がなく、エネルギー消費を低減できる。さらにこれらの構成を削減できるため、ダスト回収装置の構成が簡単になり、製造及び設置のコストを低減できる。
【0009】
第1開口の孔は面取りされていてもよい。
【0010】
このダスト回収装置では、ダストが第1開口の孔に引っ掛かることを抑制できる。
【0011】
ダクトは、複数の巻取ユニットの外側に配置され、第1開口は、ダクトの長手方向に沿って、巻取ユニットに対向する位置に形成されていてもよい。
【0012】
このダスト回収装置では、ダストの発生しやすい巻取ユニットに対向する位置に第1開口が設けられるため、ダストの回収効率が向上する。
【0013】
第1開口の孔は円形状であり、それぞれの巻取ユニットに対して2つずつ形成されてもよい。
【0014】
このダスト回収装置では、第1開口の孔の加工が容易であるため、ダスト回収装置の製造のコストを抑制できる。
【0015】
第1開口の孔は、ダクトの長手方向に伸びる楕円形状もしくは角丸四角形状であり、それぞれの巻取ユニットに対して1つずつ形成されていてもよい。
【0016】
このダスト回収装置では、ダストが第1開口の2つの孔を跨いで吸引されてしまうことを抑制できる。
【0017】
第1開口は、ダクトの長手方向に沿って、鉛直方向下側に形成されていてもよい。
【0018】
このダスト回収装置では、ダクトの下側の空気に含まれるダストを回収することができる。
【0019】
自動ワインダは一対の側板を有し、第1開口は側板の近傍に形成されていてもよい。
【0020】
このダスト回収装置では、ダストを含む空気が滞留しやすい側板の近傍の空気に含まれるダストを回収することができるため、ダストの回収効率が向上する。
【0021】
ダスト収集デバイスをさらに備えてもよい。ダスト収集デバイスは、第1開口から吸引した空気に含まれるダストを収集する。ダクトは、ダスト収集デバイスと接続するための第2開口をさらに有してもよい。ダスト収集デバイスは、第2開口を介してダクトと接続されていてもよい。
【0022】
このダスト回収装置では、第1開口から吸引したダストを含む空気を、第2開口を介してダスト収集デバイスに導入することができる。
【0023】
第1開口と第2開口は、ダクトの内部において対向する位置に形成されていてもよい。
【0024】
このダスト回収装置では、第1開口から吸引した空気が第2開口を介してダスト回収デバイスに導入されやすい。
【0025】
ダスト収集デバイスは、導入室と、収集室と、第2負圧供給装置とを有してもよい。導入室は、ダクトの第2開口に接続され、ダストを含んだ空気を導入する。収集室は、導入室に接続され、空気からダストを収集する。第2負圧供給装置は、収集室に接続され、収集室を減圧する。収集室は、第1排出部及び第2排出部と、ダスト遮断部材とを有してもよい。第1排出部及び第2排出部は、収集室内の空気を排出する。ダスト遮断部材は、第1排出部から排出される空気に含まれるダストを捕捉する。
【0026】
このダスト回収装置では、第1開口から吸引した空気中のダストを、ダスト収集デバイスにおいて捕捉することができる。
【0027】
巻取ユニットは、巻取ユニットの動作により生じる風綿を吸引するノズルを有してもよい。ダクトは、ノズルと接続するための第3開口を有してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本開示のダスト回収装置は、従来の構成に比べて簡単な構成で、圧力損失を低減し、エネルギー消費量を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図3】自動ワインダの制御構成を示すブロック図である。
【
図4】自動ワインダの前側から見たダクトの斜視図である。
【
図5】自動ワインダの後側から見たダクトの側面図である。
【
図7】変形例Aにおける自動ワインダの前側から見たダクトの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
1.第1実施形態
(1)自動ワインダ1の全体構成
本開示の第1実施形態に係る、ダスト回収装置5を備える自動ワインダ1(精紡糸からパッケージを形成する、繊維機械)について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」は、特にことわりのない限り、
図1に示される自動ワインダ1を前面とした場合における方向を意味する。
【0031】
(1-1)自動ワインダ1
(1-1-1)基本構造
図1は、自動ワインダ1の構成を示す図である。
図1においては、紙面手前側の方向が「前」、紙面の奥行側の方向が「後」である。
図1に示すように、自動ワインダ1は、左右方向に配列された複数の巻取ユニット2と、これら複数の巻取ユニット2に沿ってそれらの配列方向に走行自在に設けられた玉揚装置3と、自動ワインダ1の全体制御を司る機台制御装置4と、ダスト回収装置5とを備えている。なお、機台制御装置4は、巻取ユニット2の配列方向の一端側に配置されている。自動ワインダ1は、左右方向の両側面を覆う1対の側板11を有し、複数の巻取ユニット2は、1対の側板11の間に配列されている。
【0032】
巻取ユニット2は、
図2に示すように、給糸ボビン20から解舒された糸Yを綾振ドラム21で綾振りながら巻取管22に巻き取って糸層を形成し、所定長で所定のパッケージ23を形成する装置である。また、綾振ドラム21に変えて、糸掛け部がアームの先端に形成された、アーム式のトラバース装置を採用することもできる。
【0033】
玉揚装置3は、各巻取ユニット2においてパッケージ23が満巻(規定量の糸Yが巻き取られた状態)となった際に、当該巻取ユニット2の位置まで走行し、満巻パッケージ23を取り外すとともに、空の巻取管22をセットする。
【0034】
機台制御装置4は、各巻取ユニット2のユニット制御部90と制御信号や情報のやりとりを行うことが可能となるように接続されている。自動ワインダ1のオペレータが、機台制御装置4を適宜操作することにより、複数の巻取ユニット2を一括して管理できる。機台制御装置4は、ディスプレイ4aと、入力インターフェース4bと、を有する。ディスプレイ4aは、巻取ユニット2の設定内容及び/又は状態に関する情報等を表示する。オペレータが入力インターフェース4bを用いて適宜の操作を行うことにより、巻取ユニット2の設定作業を行うことができる。
【0035】
ディスプレイ4aは、例えば、液晶ディスプレイなどの表示装置である。入力インターフェース4bは、入力キー、タッチパネルなどの入力装置である。また、ディスプレイ4aとタッチパネルである入力インターフェース4bは、一体となっていてもよい。
【0036】
ダスト回収装置5は、第1収集デバイス6と、ダスト収集デバイス(以下、第2収集デバイス7と呼ぶ)と、ダクト8と、を備える。
【0037】
第1収集デバイス6は、第1収集デバイス6に流入する空気に含まれるダストを捕捉する。第1収集デバイス6は、巻取ユニット2の配列方向左端に、機台制御装置4に隣接して配置されている。第1収集デバイス6内には、第1負圧供給装置61(メインブロア)と収集ボックス62とフィルタ63が配置されている。第1収集デバイス6の収集ボックス62には、ダクト8及び吸引パイプ71が接続されている。ダクト8及び吸引パイプ71と第1負圧供給装置61との間には、ダストをろ過するためのフィルタ63が設けられている。第1負圧供給装置61は、ダクト8及び吸引パイプ71の内部の空気を吸い込む。その結果、ダクト8及び吸引パイプ71の内部に負圧が発生する。
【0038】
ダクト8は、複数の巻取ユニット2の後側において、複数の巻取ユニット2の配列方向(左右方向)に延びるよう設置されている。ダクト8には、所定数(例えば、12錘)の巻取ユニット2毎に、第2収集デバイス7が配置されている。
【0039】
第2収集デバイス7は、第2収集デバイス7に流入する空気に含まれるダストを捕捉する。第2収集デバイス7は、吸引パイプ71を介して第1収集デバイス6に接続されている。
【0040】
(1-1-2)制御構成
図3に示すように、機台制御装置4は、各巻取ユニット2のユニット制御部90と、制御信号や情報のやりとりを行うことが可能となるように接続されている。
【0041】
自動ワインダ1は、機台制御装置4から各巻取ユニット2のユニット制御部90に対して制御信号を送信する。ユニット制御部90は、機台制御装置4からの制御信号に基づいて、給糸ボビン20から解舒した糸Yを巻取管22に巻取り、パッケージ23を形成する。
【0042】
機台制御装置4は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。機台制御装置4は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0043】
機台制御装置4は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
【0044】
機台制御装置4の各要素の機能は、一部又は全てが、コンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、機台制御装置4の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0045】
(1-2)巻取ユニット2
(1-2-1)基本構造
図2に示すように、巻取ユニット2は、給糸ボビン20から巻取管22に向かって順に、糸解舒補助装置26と、張力付与装置27と、スプライサ装置28と、クリアラ29(糸品質測定器)と、ワキシング装置30と、クリーニングパイプ31と、パッケージ形成装置32と、を備えている。
【0046】
糸解舒補助装置26は、解舒中の糸Yの膨らみ(バルーン)を規制し、解舒張力を安定させるための装置である。糸解舒補助装置26は、給糸ボビン20上方から被せられる可動筒体33を有しており、糸Yの解舒が進行するに従って可動筒体33を下降させることで、解舒中の糸Yの膨らみ(バルーン)を規制し、解舒張力を安定させる。
【0047】
張力付与装置27は、走行する糸Yに所定の張力を付与するものである。張力付与装置27としては、例えば、固定の櫛歯27aに対して可動の櫛歯27bを配置するゲート式のものを用いることができる。張力付与装置27によって、巻き取られる糸Yに一定の張力を付与し、パッケージ23の品質を高めることができる。
【0048】
スプライサ装置28は、クリアラ29が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン20からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン20側の下糸と、パッケージ23側の上糸とを糸継ぎするものである。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のものや、圧縮空気等の流体を用いるもの等を使用することができる。
【0049】
クリアラ29は、クリアラヘッド29aと、アナライザ(図示せず)とを備えている。クリアラヘッド29aは、糸Yの太さを検出するためのセンサが配置されている。アナライザは、センサからの糸太さ信号を処理する。クリアラ29は、センサからの糸太さ信号を監視することにより、スラブ等の糸欠陥を検出するように構成されている。クリアラヘッド29aの近傍には、クリアラ29が糸欠点を検出したときに直ちに糸Yを切断するためのカッタ29bが設けられている。
【0050】
スプライサ装置28の下側には下糸案内パイプ34が、上側には上糸案内パイプ35が、設けられている。下糸案内パイプ34は、給糸ボビン20側の下糸を捕捉してスプライサ装置28に案内する。上糸案内パイプ35は、パッケージ23側の上糸を捕捉してスプライサ装置28に案内する。また、下糸案内パイプ34と上糸案内パイプ35は、それぞれ軸34a、35aを中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ34の先端には吸引口34bが形成され、上糸案内パイプ35の先端にはサクションマウス35bが備えられている。下糸案内パイプ34及び上糸案内パイプ35には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、吸引口34b及びサクションマウス35bに吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。
【0051】
ワキシング装置30は、走行する糸Yに対して適宜のワックスを塗布する装置である。
【0052】
クリーニングパイプ31は、走行する糸Yに付着している異物を吸引して除去する装置である。クリーニングパイプ31の基端はシャッタ装置(図示せず)を介してブロワに接続され、クリーニングパイプ31の先端には吸引口が形成されている。クリーニングパイプ31の吸引口は、ワキシング装置30と綾振ドラム21との間で走行する糸Yに対して近接される。
【0053】
パッケージ形成装置32は、クレードル24と、巻取管22と、綾振ドラム21とを備えている。クレードル24は、巻取管22を着脱可能に支持する。巻取管22は、紙管であってもプラスチック式の芯管であってもよい。綾振ドラム21は、巻取管22の周面又はパッケージ23の周面に接触して従動回転可能である。
【0054】
クレードル24は、回動軸25を中心に回動可能に構成されており、巻取管22への糸Yの巻取に伴う糸層径の増大を、クレードル24が回動することによって吸収できるように構成されている。また、巻取ユニット2は、
図1に示すようにコーン形状のパッケージ23を形成可能に構成されている。
【0055】
また、各巻取ユニット2には、巻取ユニット2の動作によって生じた風綿を吸引する2本のノズル87が設けられている。なお、巻取ユニット2においては、特に、給糸ボビン20から糸Yを解舒する際、及び、張力付与装置27が糸Yに張力を付与する際に多くの風綿が発生する。したがって、このような風綿を効率よく吸引できるように、2本のノズル87は、先端の吸引口が、糸解舒補助装置26の近傍位置、及び、張力付与装置27の近傍位置においてそれぞれ開口するように設置されている。
【0056】
ダクト8の上面に設けられた第3開口88は、ノズル87と接続されている。第1負圧供給装置61が稼働すると、ダクト8の内部に負圧が発生する。これにより、ノズル87からダクト8への空気の流れが発生し、ダストを含む空気はノズル87から吸引され、ダクト8に流入する。
【0057】
(1-2-2)制御構成
図2に示すように、巻取ユニット2は、ユニット制御部90を有する。
【0058】
ユニット制御部90は、機台制御装置4と制御信号や情報のやりとりを行うことが可能となるように接続されている。また、ユニット制御部90は、糸Yの位置や状態を検出するセンサ、巻取ユニット2の各装置の状態を検出するためのセンサ及びスイッチ等と通信可能に接続されている。ユニット制御部90は、機台制御装置4からの制御信号に基づいて、巻取ユニット2を構成する各装置の動作を制御する。
【0059】
ユニット制御部90は、プロセッサ(例えば、CPU)と、記憶装置(例えば、ROM、RAM、HDD、SSDなど)と、各種インターフェース(例えば、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェースなど)を有するコンピュータシステムである。ユニット制御部90は、記憶部(記憶装置の記憶領域の一部又は全部に対応)に保存されたプログラムを実行することで、各種制御動作を行う。
【0060】
ユニット制御部90は、単一のプロセッサで構成されていてもよいが、各制御のために独立した複数のプロセッサから構成されていてもよい。
【0061】
ユニット制御部90の各要素の機能は、一部又は全てが、コンピュータシステムにて実行可能なプログラムとして実現されてもよい。その他、ユニット制御部90の各要素の機能の一部は、カスタムICにより構成されていてもよい。
【0062】
(2)詳細構成
(2-1)ダクト8
図1に示すように、ダクト8は、複数の巻取ユニット2の後側において、複数の巻取ユニット2の配列方向(左右方向)に延びるよう設置されている。ダクト8の一端は収集ボックス62に接続されている。本実施形態においては、ダクト8は、角管であり、ダクト8の断面は、四角形である。つまり、ダクト8は、天面と、底面と、天面と底面とを繋ぐ2つの側面とを備えている。しかし、ダクト8は、円管であり、ダクト8の断面は、円であってもよい。
【0063】
図4に示すように、ダクト8は、ダクト8の内部空間と大気を連通させる、第1開口83を有している。
図4においては、第1開口83は、ダクト8の各巻取ユニット2に近い方の側面(前側の側面)に配置されている。第1開口83は複数の孔84から構成されている。孔84の数は、巻取ユニット2ごとに1つ以上である。孔84の数は、少なすぎるとダスト吸引のチャンスが減るが、多すぎると圧力損失が大きくなり、ダストの吸引力が低下する。本実施形態においては、孔84は、巻取ユニット2ごとに2つずつ設けられている。孔84は円形状であり、周縁は面取りされている。巻取ユニット2ごとに設けられる2つの孔84は、ダクト8の前側、かつ、各巻取ユニット2と対向する位置に横並びに形成されている。巻取ユニット2ごとに設けられる2つの孔84の合計面積は、ダクト8の断面積の2パーセント以上、10パーセント未満であり、より好ましくは3パーセント以上、5パーセント未満であることが好ましい。孔84の合計面積は、小さすぎるとダスト吸引のチャンスが減るが、大きすぎると圧力損失が大きくなり、ダストの吸引力が低下する。例えば、130mm×130mmのダクト8の場合、その断面積は16900mm
2となる。この時の各孔は直径φ20mmの大きさで設けられる。2つの孔84の合計面積は628mm
2であり、ダクト8の断面積の3.7パーセントの大きさとなっている。
【0064】
自動ワインダ1の運転を開始すると、機台制御装置4は、第1負圧供給装置61を稼働するよう制御する。第1負圧供給装置61が稼働すると、ダクト8の内部に負圧が発生し、第1開口83の孔84からダクト8内部への空気の流れが発生する。これにより、第1開口83の近傍のダストを含む空気が、孔84からダクト8内部へ流入する。
【0065】
また、
図5に示すように、ダクト8は、第2収集デバイス7と接続するための第2開口85を有している。
図5においては、紙面手前側の方向が「後」、紙面の奥行側の方向が「前」である。第2開口85はダクト8の後側の側面に設けられている。言い換えると、第1開口83と第2開口85は、ダクト8の内部において対向する位置に設けられている。
【0066】
(2-2)第1収集デバイス6
図1に示すように、第1収集デバイス6は、第1負圧供給装置61と収集ボックス62とフィルタ63を有する。第1負圧供給装置61はブロア装置である。収集ボックス62には、ダクト8及び吸引パイプ71が接続されている。収集ボックス62と第1負圧供給装置61との間には、ダストをろ過するためのフィルタ63が設けられている。
【0067】
第1負圧供給装置61が稼働すると、ダクト8及び吸引パイプ71の内部に負圧が発生する。これにより、ダクト8及び吸引パイプ71の内部には、収集ボックス62に向かう空気の流れが発生する。ダストを含む空気がダクト8及び吸引パイプ71を介して収集ボックス62に流入し、流入した空気はフィルタ63を通過する。その際、流入した空気に含まれるダストがフィルタ63に捕捉される。
【0068】
(2-3)第2収集デバイス7
図6は、自動ワインダ1の背面側から見た第2収集デバイス7の縦断面図である。第2収集デバイス7の説明においては、
図6の紙面手前側の方向が「前」、紙面の奥行側の方向が「後」である。
【0069】
図6に示すように、第2収集デバイス7は、導入室72と、導入室72と連通する収集室73と、収集室73に接続される第2負圧供給装置79とを有する。第2負圧供給装置79はブロア装置である。第2負圧供給装置79は、収集室73の内部の空気を吸い込む。その結果、収集室73の内部に負圧が発生する。
【0070】
導入室72は直方体形状を有し、後壁部には、第2開口85と接続するための長方形状の吸入口72aが形成されている。吸入口72aは第2開口85と連結されており、ダクト8の内部を流れる空気を導入室72に吸入するための吸入部74を構成している。また、導入室72の右壁には、収集室73と連結するための円形の連結口72bが形成されている。
【0071】
収集室73は直方体形状を有し、収集室73の左壁部、下壁部、及び、右壁部には、それぞれ円形の開口73a,73b,73cが形成されている。
【0072】
収集室73の左壁部の開口73aは、導入室72の連結口72bと連結されており、ダクト8の内部を流れる空気を、導入室72を介して収集室73に導入するための導入部75を構成している。収集室73の下側には第2負圧供給装置79が設置されている。第2負圧供給装置79は、排気口77aを有するカバー部材77に覆われている。収集室73の下壁部の開口73bは、第2負圧供給装置79と接続されており、収集室73内の空気を排出する第1排出部76を構成している。また、収集室73の右壁部の開口73cは、吸引パイプ71が接続されている。右壁部の開口73cは、吸引パイプ71を介して第1負圧供給装置61と接続されており、収集室73内の空気を排出する第2排出部78を構成している。
【0073】
さらに、第2収集デバイス7は、第1排出部76から排出される空気に含まれるダストを捕捉するための遮断部材80と、導入部75の開口73aを遮蔽して開口面積を絞る遮蔽部材81と、第2排出部78を開閉する開閉部材82とを有している。
【0074】
遮断部材80は、例えば、金属製の細線を格子状に編んで構成したシート状の網を円筒形状に成形したフィルタである。遮断部材80は、導入部75の開口73aと、第2排出部78の開口73cを繋ぐように配置されている。また、遮断部材80は、第1排出部76の開口73bを覆うように、収集室73の下壁部に沿って延びている。これにより、導入部75の開口73aを介して導入室72から導入された空気が、第1排出部76の開口73bから排出される際に、遮断部材80は、排出される空気に含まれるダストを捕捉する。
【0075】
遮蔽部材81は板状の部材であり、導入室72の右壁部において、連結口72bを遮蔽可能に構成されている。機台制御装置4からの制御信号により、エアシリンダ(図示せず)が遮蔽部材81を駆動し、連結口72bが遮蔽又は開放される。遮蔽部材81には切り欠きが形成されており、遮蔽状態の場合でも、導入室72と収集室73との間で空気の流通が可能である。
【0076】
第2排出部78の開口73cは、収集室73の右壁部の外面に設けられた開閉部材82により、開閉可能に構成されている。機台制御装置4からの制御信号により、エアシリンダ(図示せず)が開閉部材82を駆動し、第2排出部78の開口73cが開閉される。
【0077】
(3)ダスト回収装置5のダスト回収動作
図3に示すように、第1収集デバイス6の第1負圧供給装置61の動作、第2収集デバイス7の第2負圧供給装置79、遮蔽部材81や開閉部材82を駆動するエアシリンダ(図示せず)の動作は、自動ワインダ1の機台制御装置4によって制御される。
自動ワインダ1の運転中に、大気中のダストは、空気とともに、第1開口83からダクト8に流入し、さらにダクト8から第2開口85を経由し、第2収集デバイス7の遮断部材80に捕捉される。第2収集デバイス7に捕捉されたダストは、間欠的に、吸引パイプ71を経由して、第1収集デバイス6のフィルタ63に捕捉される。
【0078】
(3-1)第2収集デバイス7がダストを収集するプロセス
自動ワインダ1の運転を開始すると、機台制御装置4は第1負圧供給装置61を稼働する。第1負圧供給装置61が稼働すると、ダクト8の内部が負圧になり、第1開口83の孔84からダクト8内部への空気の流れが発生する。これにより、第1開口83の近傍のダストを含む空気が、第1開口83の孔84からダクト8内部へ流入する。
【0079】
機台制御装置4は、複数の第2収集デバイス7のそれぞれにおいて、遮蔽部材81が導入部75の開口73aを開放し、開閉部材82が第2排出部78の開口73cを閉めるよう制御する。また、機台制御装置4は第2負圧供給装置79を稼働する。
【0080】
第2負圧供給装置79が稼働すると、収集室73の内部に負圧が発生する。収集室73が減圧されると、ダクト8から導入室72、導入室72から収集室73、収集室73から第1排出部76への空気の流れが発生する。これにより、ダクト8を流れる空気は、吸入部74の吸入口72aを介して導入室72に流入する。導入室72に流入した空気は、導入部75の開口73aを介して収集室73に流入する。収集室73(円筒状の遮断部材80の内部)に流入した空気は、遮断部材80を通過して第1排出部76へ排出される。その際、排出される空気に含まれるダストは、遮断部材80により捕捉される。
【0081】
上記動作が続くと、遮断部材80(特に第1排出部76を覆う部分)にダストが堆積し、収集機能が低下する。そのため、所定時間(例えば、10分)が経過する毎に、収集室73に収集したダストを収集ボックス62に回収する。所定時間は、オペレータが機台制御装置4を用いて設定することができる。
【0082】
(3-2)第2収集デバイス7から第1収集デバイス6へダストを移動させるプロセス
収集室73に収集されたダストを、第1収集デバイス6の収集ボックス62に回収する際、機台制御装置4は、複数の第2収集デバイス7のそれぞれにおいて、遮蔽部材81が導入部75の開口73aを遮蔽し、開閉部材82が第2排出部78の開口73cを開けるよう制御する。その際、第2負圧供給装置79は停止させているが、稼働したまま収集室73に収集されたダストを、第1収集デバイス6の収集ボックス62に回収してもよい。
【0083】
第1負圧供給装置61が稼働しているため、開閉部材82が第2排出部78の開口73cを開状態とすると、吸引パイプ71の内部の負圧により、収集室73が減圧される。収集室73が減圧されると、ダクト8から導入室72、導入室72から収集室73、収集室73から第2排出部78への空気の流れが発生する。このとき、遮蔽部材81は導入部75の開口73aを遮蔽状態である。言い換えると、遮蔽部材81には切り欠きが形成されているため、導入部75の開口73aの面積が絞られている。したがって、導入室72から収集室73への速い空気の流れが発生する。この速い空気の流れにより、収集室73の遮断部材80に堆積したダストが吹き飛ばされ、第2排出部78の開口73cから排出される。
【0084】
吸引パイプ71の内部は負圧が発生しているため、第2排出部78から収集ボックス62に向かう空気の流れが発生している。これにより、第2排出部78の開口73cから排出されたダストを含む空気は、吸引パイプ71を通って収集ボックス62に流入する。収集ボックス62に流入した空気はフィルタ63を通過する。その際、流入した空気に含まれるダストがフィルタ63に捕捉される。
【0085】
2.実施形態の特徴
本実施形態のダスト回収装置5は、負圧を供給する第1負圧供給装置61と、ダクト8と、を備える。ダクト8は、巻取ユニット2の配列方向に延びる。ダクト8は、第1負圧供給装置61に接続され、自動ワインダ1の稼働時において負圧に設定される。ダクト8は、ダクト8の内部空間と大気を連通させる、複数の孔84からなる第1開口83を有する。
【0086】
このダスト回収装置5では、ダクト8に設けられた第1開口83を介して、ダストを含んだ空気を直接ダクト8の内部に吸引する。吸引ノズル等の配管を介さずに、直接ダクトにダストを含んだ空気を吸引するため、吸引ノズル等の配管による圧力損失が無い。全体として圧力損失が少ないため、高速のファンモーターを用いる必要がなく、エネルギー消費を低減できる。さらにこれらの構成を削減できるため、ダスト回収装置5の構成が簡単になり、製造及び設置のコストを低減できる。
【0087】
本実施形態のダスト回収装置5は、第1開口83の孔84が面取りされている。
【0088】
このダスト回収装置5では、ダストが第1開口83の孔84に引っ掛かることを抑制できる。
【0089】
本実施形態のダスト回収装置5においては、ダクト8は、複数の巻取ユニット2の外側に配置されている。第1開口83は、ダクト8の長手方向に沿って、巻取ユニット2に対向する位置に形成されている。
【0090】
このダスト回収装置5では、ダストの発生しやすい巻取ユニット2の近傍に第1開口83が設けられるため、ダストの回収効率が向上する。
【0091】
本実施形態のダスト回収装置5は、第2収集デバイス7(ダスト収集デバイス)をさらに備える。第2収集デバイス7は、第1開口83から吸引した空気に含まれるダストを収集する。ダクト8は、第2収集デバイス7と接続するための第2開口85を有する。第2収集デバイス7は、第2開口85を介してダクト8と接続されている。
【0092】
3.変形例
以降の説明では本実施形態と異なる構成のみを説明する。
【0093】
(1)変形例A
本実施形態では、第1開口83の孔84は、円形状であり、巻取ユニット2ごとに2つずつ設けられている。しかし、
図7に示すように、第1開口83の孔86は、ダクト8の長手方向に伸びる楕円形状もしくは角丸四角形状であり、巻取ユニット2ごとに1つずつ設けられてもよい。巻取ユニット2ごとに設けられる1つの孔86の合計面積は、ダクト8の断面積の2パーセント以上、10パーセント未満であり、より好ましくは3パーセント以上、5パーセント未満であることが好ましい。孔86の周縁は面取りされている。
【0094】
本変形例に係る構成により、ダストが、ダクト8の第1開口83の2つの孔84の間の部分に引っ掛かり、回収されにくくなるケースを防止する。
【0095】
(2)変形例B
本実施形態では、巻取ユニット2ごとに設けられる2つの孔84は、ダクト8の前側、かつ、各巻取ユニット2と対向する位置に横並びに形成されている。しかし、巻取ユニット2ごとに設けられる2つの孔84は、横並びでなくてもよい。1つの円形状の孔84が、ダクト8の前側、かつ、各巻取ユニット2と対向する位置に形成され、もう1つの円形状の孔84が、ダクト8の下側に形成されてもよい。
【0096】
本変形例に係る構成により、ダクト8の下側の空気に含まれるダストを回収することができる。
【0097】
(3)変形例C
本実施形態では、第1開口83の孔84は、ダクト8の前側、かつ、各巻取ユニット2と対向する位置に、巻取ユニット2ごとに2つずつ設けられている。しかし、第1開口83の孔84は、側板11の近傍に形成されてもよい。
【0098】
本変形例に係る構成により、ダストを含む空気が滞留しやすい側板11の近傍の空気に含まれるダストを回収することができるため、ダストの回収効率が向上する。
【0099】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示のダスト回収装置は、複数の巻取ユニットを配列した自動ワインダ(精紡糸からパッケージを形成する、繊維機械)に適用できる。また、本開示のダスト回収装置は、幅広く繊維を製造する繊維機械に適用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 自動ワインダ
2 巻取ユニット
3 玉揚装置
4 機台制御装置
5 ダスト回収装置
6 第1収集デバイス
7 第2収集デバイス(ダスト収集デバイス)
8 ダクト
11 側板
20 給糸ボビン
21 綾振ドラム
22 巻取管
23 パッケージ
24 クレードル
25 回動軸
26 糸解舒補助装置
27 張力付与装置
27a 固定の櫛歯
27b 可動の櫛歯
28 スプライサ装置
29 クリアラ
29a クリアラヘッド
29b カッタ
30 ワキシング装置
31 クリーニングパイプ
32 パッケージ形成装置
33 可動筒体
34 下糸案内パイプ
34a 軸
34b 吸引口
35 上糸案内パイプ
35a 軸
35b サクションマウス
61 第1負圧供給装置
62 収集ボックス
63 フィルタ
71 吸引パイプ
72 導入室
72a 吸入口
72b 連結口
73 収集室
73a 開口
73b 開口
73c 開口
74 吸入部
75 導入部
76 第1排出部
77 カバー部材
77a 排気口
78 第2排出部
79 第2負圧供給装置
80 遮断部材
81 遮蔽部材
82 開閉部材
83 第1開口
84 孔
85 第2開口
86 孔
87 ノズル
88 第3開口
90 ユニット制御部
Y 糸