(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168752
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A47J27/00 103Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085678
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】源 忠孝
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055BA63
4B055CA02
4B055CD59
(57)【要約】
【課題】内鍋の底から食材を撹拌する。
【解決手段】加熱調理器(1)は、内鍋(13)と、内鍋に収容された食材を撹拌し、着脱可能な撹拌体(40)と、内鍋を覆い、撹拌体を回転させる駆動部(15)を備えた蓋体(12)と、を備え、撹拌体は、内鍋に接し、内鍋の少なくとも一部の内面形状に沿った形状に形成された、少なくとも1つの撹拌翼(42)と、前記蓋部が前記内鍋を覆った場合に、前記撹拌体と前記駆動部とを連結させる連結部と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋と、
前記内鍋に収容された食材を撹拌し、着脱可能な撹拌体と、
前記内鍋を覆い、前記撹拌体を回転させる駆動部を備えた蓋部と、を備え、
前記撹拌体は、
前記内鍋に接し、前記内鍋の少なくとも一部の内面形状に沿った形状に形成された、少なくとも1つの撹拌翼と、
前記蓋部が前記内鍋を覆った場合に、前記撹拌体と前記駆動部とを連結させる連結部と、を備えている、加熱調理器。
【請求項2】
前記撹拌体は回転軸を備え、
前記内鍋に配置され、前記回転軸が通る穴が形成された調理皿をさらに備える、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記調理皿は、底面に通気口が形成されている、請求項2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記撹拌体は回転軸を備え、
前記連結部は、
前記駆動部に係合する係合部と、
前記係合部の回転を前記回転軸に伝達する伝達部と、を備え、
前記係合部と前記伝達部との一方は他方に対して凸形状が形成されており、他方は一方に対して凹形状が形成されており、
前記凹形状は、前記凸形状に係合し、
前記凹形状は、前記凸形状に対し、回転遊びを有する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記連結部は、さらに前記伝達部と前記係合部とによって押圧するスプリングを有する、請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記撹拌体は、前記内鍋に接し、前記撹拌体の回転中心に位置する回転支持部をさらに有する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記撹拌翼は、3個である、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記撹拌翼は、少なくとも2個である、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記撹拌翼は、前記内鍋の底面に沿った形状を有し、前記底面に接する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記撹拌翼は、前記内鍋の底面および側面の間の斜面に沿った形状を有し、前記斜面に接する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項11】
前記撹拌翼は、前記内鍋の側面に沿った形状を有し、前記側面に接する、請求項1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
内鍋の内部の食材を撹拌しながら加熱調理を行う加熱調理器が提案されている。このような加熱調理器として、例えば特許文献1に開示された加熱調理器がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術は閉状態において内鍋を覆う蓋体に設けられた撹拌ユニットによって、内鍋に収容された食材を撹拌する。そのため、従来技術では、内鍋の上方を撹拌することになり、内鍋の底付近を撹拌することが困難であったため、内鍋の底で焦げ付きが発生する恐れがあった。
【0005】
本発明の一態様は、内鍋の底から食材を撹拌することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る加熱調理器は、内鍋と、前記内鍋に収容された食材を撹拌し、着脱可能な撹拌体と、前記内鍋を覆い、前記撹拌体を回転させる駆動部を備えた蓋部と、を備え、前記撹拌体は、前記内鍋に接し、前記内鍋の少なくとも一部の内面形状に沿った形状に形成された、少なくとも1つの撹拌翼と、前記蓋部が前記内鍋を覆った場合に、前記撹拌体と前記駆動部とを連結させる連結部と、を備えている、構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、内鍋の底から食材を撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る加熱調理器の蓋体を閉じた状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示した加熱調理器におけるA-A矢視断面図である。
【
図3】
図1に示した加熱調理器の分解斜視図である。
【
図5】
図4における撹拌体のB-B矢視断面図である。
【
図6】
図4における撹拌体のC-C矢視断面図である。
【
図7】
図4における撹拌体のD-D矢視断面図である。
【
図9】
図8に関して、駆動部と連結部とを拡大した図である。
【
図10】
図9とは異なる視点での、
図8に関して、駆動部と連結部とを拡大した図である。
【
図11】実施形態2に係る撹拌体の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る加熱調理器1の蓋体12を閉じた状態の斜視図である。
図2は、
図1に示した加熱調理器1におけるA-A矢視断面図である。
図3は、
図1に示した加熱調理器1の分解斜視図である。
【0010】
(加熱調理器1の概要)
図1、
図2、および
図3に示すように、加熱調理器1は、調理器本体11と、蓋体12(蓋部)と、内鍋13とを備えている。
【0011】
調理器本体11は、加熱部(図示省略)および温度センサ(図示省略)を備え、内鍋13を加熱することで、食材を加熱調理することができる。加熱部は、例えば誘導加熱コイルからなるものの、これに限定されず、従来周知の加熱手段を使用可能である。温度センサは、内鍋13の温度を検知する。
【0012】
蓋体12は、調理器本体11に開閉可能に取り付けられ、調理器本体11に収納された内鍋13の開口を開閉するようになっている。蓋体12は、外蓋31、内蓋32を備えている。
【0013】
外蓋31は、ヒンジ(図示省略)を介して調理器本体11と連結されている。内蓋32は、外蓋31に着脱可能に取り付けられ、蓋体12の閉状態において内鍋13を塞ぐようになっている。外蓋31は樹脂製であり、内蓋32はアルミニウム製であってもよい。
【0014】
外蓋31の内部には、モータ14および駆動部15が設けられている。モータ14における回転は、ベルト・プーリなどを介して駆動部15に伝達されて、駆動部15は回転する。なお、駆動部15は、内鍋13の中心に位置し、内鍋13の底面に対して垂直な方向に延伸している。駆動部15には、後述する方法で撹拌体40が接続され、撹拌体40を回転させる。
【0015】
内鍋13は、調理器本体11に配置される。内鍋13には、料理の種類に応じて、調理対象となる食材(野菜、肉、魚、調味料等)が収納される。内鍋13の中には、撹拌体40が配置されている。なお、撹拌体40は、撹拌体40を駆動部15に着脱可能に連結させる連結部50を備える。また、内鍋13の縁には、調理皿33を載置できるようになっている。
【0016】
(撹拌体40)
図4は、撹拌体40の上面図である。
図5は、
図4における撹拌体40のB-B矢視断面図である。
図6は、
図4における撹拌体40のC-C矢視断面図である。
図7は、
図4における撹拌体40のD-D矢視断面図である。
【0017】
撹拌体40は、回転軸41と、撹拌翼42と、ヘラ43と、回転支持部44と、を備えている。撹拌体40は、撹拌翼42およびヘラ43を少なくとも3組有する。撹拌体40は、後述する方法で着脱可能である。
【0018】
回転軸41は、駆動部15の延伸方向に延伸し、上端が連結部50になっており、下端に回転支持部44が備わっている。回転軸41は、樹脂製の中空パイプである。回転支持部44は、シリコン製の部材であり、撹拌体40の回転中心軸上に位置する。なお、回転支持部44は、シーリング45を介して回転軸41に接続される。連結部50は、蓋体12が内鍋13を覆った場合に、撹拌体40と駆動部15とを連結させる。
【0019】
撹拌翼42は、回転軸41の下端に放射状に少なくとも3個設けられる。撹拌翼42の形状は、内鍋13の内面形状の少なくとも一部に沿った形状をしている。つまり、撹拌翼42は、内鍋の底面13aに沿った形状、内鍋の側面13cに沿った形状、内鍋の底面13aと側面13cとを接続する斜面13bに沿った形状の少なくともいずれかをしている。
【0020】
各撹拌翼42には、ヘラ43が一つずつ固定されている。ヘラ43は、シリコン製で、内鍋13の内面形状に接するヘラであり、撹拌翼42と内鍋13との間を埋める形状をしており、実質的に内鍋の内面形状に沿った形状をしている。少なくとも3個のヘラ43が内鍋13に接することによって、撹拌体40は自立することができるようになっている。
【0021】
なお、撹拌体40が回転する際には、ヘラ43が内鍋13の内面形状に接しながら摺動することになる。そのため、内鍋13の底面13aから食材を撹拌することができる。結果的に、内鍋13の底面13aにおいて焦げ付きが発生することを防ぐことができる。
【0022】
(連結部50および駆動部15)
図8は、撹拌体40および連結部50の分解斜視図である。なお、
図8では、連結部50と係合する駆動部15も併記してある。
図9は、
図8に関して、駆動部15と連結部50とを拡大した図である。
図10は、
図9とは異なる視点での、
図8に関して、駆動部15と連結部50とを拡大した図である。
【0023】
連結部50は、係合部51と、伝達部52と、スプリング53と、キャップ54と、を備える。連結部50は、駆動部15に加えられた回転を撹拌体40に伝達する。
【0024】
駆動部15は、モータ14から動力をベルトおよびプーリなどで入力する。駆動部15の上方には、シャフト15aが設けられており、シャフト15aにモータ14からの動力を伝達するプーリを配置する。
【0025】
駆動部15の下方には、連結部50と係合する第1係合箇所15bと複数の第2係合箇所15cとが設けられている。第1係合箇所15bは、回転中心軸上における凹状の窪みである。複数の第2係合箇所15cは、回転中心軸に対して、互いに一定の角度を有して離間した、放射状に形成された羽根状の凸部である。
【0026】
また、係合部51の上方には、駆動部15と係合する第3係合箇所51aと複数の第4係合箇所51bとが設けられている。第3係合箇所51aは、係合部51の中央に形成された、半球状の凸部である。複数の第4係合箇所51bは、回転中心軸に対して、一定の角度を有して離間した、放射状に形成された羽根状の凸部である。なお、第4係合箇所51bの上面は、周方向に傾いた傾斜面51cとなっている。
【0027】
駆動部15と係合部51とは、蓋体12を閉じることで互いに係合する。第3係合箇所51aの半球状の凸部が、第1係合箇所15bの凹状の窪みに入り込むことによって、駆動部15と係合部51との同軸合わせが行われる。その上で、第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの凸部が互いに接触するように係合することで、駆動部15における回転を係合部51に伝達する。
【0028】
ここで、第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの凸部が互いに同じ位置にあった場合でも、傾斜面51cが形成されていることにより、自然と第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの凸部がずれた位置になり、正常に係合することができる。なお、第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの間には、回転遊びがあってもよい。
【0029】
回転遊びという表現は、回転方向において、係合しない区間があることである。すなわち、回転方向におけるガタである。回転遊びがあることによって、互いに干渉する回転体同士を、正常に組み立てることができる。なお、回転遊びがある場合でも、正転または逆転を一方方向で続けている場合にはバックラッシが発生しない。
【0030】
次に、係合部51の下方には、伝達部52と係合する第5係合箇所51dと、スプリング53を押圧する押圧部51eが形成されている。第5係合箇所51dは、回転中心軸に対して、一定の角度を有し、放射状に形成された羽根状の凸部である。押圧部51eは、第5係合箇所51dから突出したピン状の部位である。
【0031】
伝達部52は、複数の凹状の第6係合箇所52aが形成されている。複数の第6係合箇所52aは、回転中心軸に対して、一定の角度を有して離間した、放射状に形成された凹部である。なお、複数の第6係合箇所52aの中央には、該凹部よりも深い穴であるスプリング受け52bが開いている。
【0032】
第5係合箇所51dおよび第6係合箇所52aに回転遊びがある状態で係合する。すなわち、伝達部52は、係合部51の回転を回転軸41に伝達する。第5係合箇所51dにおける放射状の羽根の角度よりも、第6係合箇所52aにおける放射状の凹部の角度が大きい。この角度の差を用いて、第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの位置ずれを吸収することができる。
【0033】
伝達部52におけるスプリング受け52bに対し、スプリング53を挿入し、係合部51の押圧部51eによってスプリングを圧縮する位置に係合部51を配置する。なお、係合部51と伝達部52とにおける第5係合箇所51dおよび第6係合箇所52aが係合しあう場合、伝達部52と係合部51とによってスプリング53が押圧される配置になっている。
【0034】
その上で、開口54aが形成されたキャップ54における爪54bを伝達部52に形成された溝52cに引っ掛けることで、連結部50を組み立てる。なお、連結部50を組み立てると、スプリング53が常に圧縮された状態になり、スプリング53による反力によって、係合部51が上方におしあげられ、キャップ54における開口54aから、係合部51の第3係合箇所51aと第4係合箇所51bとが突出している状態になる。開口54aの大きさは、第4係合箇所51bよりも大きいものの、係合部51よりは小さい。そのため、スプリング53による反力があっても、係合部51は開口54aから抜けることはない。
【0035】
なお、係合部51と伝達部52との凹凸関係は、上述した事例に制限されない。つまり、係合部と伝達部との一方は他方に対して凸形状が形成されており、他方は一方に対して凹形状が形成されており、凹形状は凸形状に係合し、凹形状は凸形状に対し回転遊びを有すればよい。
【0036】
(調理皿33)
調理皿33は、少なくとも1つ以上の通気口33aが形成された皿である。調理皿33はアルミニウムで形成されてもよい。調理皿33は、縁33bが内鍋13に入るサイズで形成されており、調理皿33の縁33bの最上段が折り返されており、内鍋13の内面よりも大きくなっている。そのため、折り返された縁33bが内鍋13に引っ掛かる(配置される)ようになっている。
【0037】
調理皿33には、回転軸41が通過する穴33cが形成されている。穴33cの周囲に円筒部33dを有する。そのため、回転軸41に対し、円筒部33dが接するようになっている。撹拌体40が回転した際に、円筒部33dによって、回転軸41は支持されることになり、回転が安定する。
【0038】
調理皿33には通気口33aが形成されているため、蒸気が通過する。そのため、加熱調理器1が加熱していることで発生する蒸気が通気口33aを通過し、調理皿33の上側の面も加熱されることになる。そのため、調理皿33の上で蒸し調理を行うことができる。内鍋13の中で1品調理しつつ、調理皿33の上でもう1品調理することができるため、時短が可能になる。
【0039】
(撹拌体40と蓋体12との接続)
次に連結部50によって、撹拌体40と蓋体12とを接続する手順に関して説明する。まず、内鍋13にヘラ43が内鍋13に接するように、撹拌体40を載置し、食材を内鍋13に入れる。その後、撹拌体40の回転軸41を通すように、調理皿33を内鍋13に配置する。
【0040】
蓋体12を閉じることによって、連結部50と駆動部15とが接続する。この際、連結部50に加わる鉛直方向の力の成分は、スプリング53によって吸収されるため、連結部50の各部に過剰な力が加わることが無く、破損を防ぐことができる。また、スプリング53によって、係合部51はフローティングしている。そのために、蓋体12に設けられた駆動部15の位置と、撹拌体40に設けられた係合部51との位置がずれている場合であっても、係合部51の位置が適宜ずれることによって、係合しあうことができる。
【0041】
また、駆動部15と係合部51との係合に際し、第1係合箇所15bに第3係合箇所51aが入り込むことによって、係合部51と駆動部15との同軸合わせは行われる。また、第2係合箇所15cと第4係合箇所51bとの位置合わせは、傾斜面51cによって、係合部51が自動的に回転することで行われる。なお、この際、係合部51と伝達部52との間における回転遊びが機能することになる。そのため、第6係合箇所52aの凹部の角度は、第5係合箇所51dの羽根の角度に加えて、必要となる回転遊びの大きさを考慮した値に設定されている。
【0042】
撹拌体40と蓋体12とが、係合部51と駆動部15によって接続されることで、撹拌体40は回転することができるようになる。駆動部15が回転することによって、第2係合箇所15cおよび第4係合箇所51bならびに第5係合箇所51dおよび第6係合箇所52aにおいて発生する係合によって、回転力が伝達されていき、撹拌体40は回転することができる。
【0043】
したがって、撹拌体40が回転することができるため、内鍋13の内面形状に沿って撹拌することができるようになる。そのため、内鍋13の底13aなどの内面も撹拌することができるため、底などの内面において焦げ付きが発生することを防止することができる。
【0044】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0045】
図11は、実施形態2に係る撹拌体40’の形状を示す模式図である。実施形態1では、撹拌体40は、少なくとも3組の撹拌翼42およびヘラ43の対を有していた。実施形態2に係る撹拌体40’では、撹拌翼42およびヘラ43の対は、1組だけであってもよいが、代わりに、支持翼61およびヘラ62を少なくとも2組有する。
【0046】
支持翼61は、内鍋13の底面13aに沿った小さな羽根である。ヘラ62は、支持翼61が内鍋13に直接的に接触することを防止するためのシリコン製のヘラである。支持翼61は、撹拌翼42のように内鍋13の内面形状に沿って形成されるわけではなく、その一部の形状を切り取った形状となっている。そのため、支持翼61によって、撹拌体40’は自立することができ、撹拌体40’の回転を安定させることができる。
【0047】
つまり、撹拌体40および撹拌体40’としては、少なくとも底面13aにおいて、内鍋13の底面13aに接触するようになっていればよい。例えば、撹拌翼42および支持翼61が合計3個であってもよく3点で底面13aに接触することになる。例えば、撹拌翼42および支持翼61が直線に並ばない状態で少なくとも合計2個であってもよく、この場合でも、少なくとも2辺で底面13aに接触することになる。
【0048】
〔変形例〕
(内鍋形状による支持)
回転中心が位置する内鍋13の中央が凹状に窪んでいてもよい。この場合、回転支持部44がこの凹状の窪みに入り込むことによって、回転中心軸のぶれを抑制することができる。特に、この場合では、撹拌翼42が内鍋13の内面形状に接することが不要になる。
【0049】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器は、内鍋と、前記内鍋に収容された食材を撹拌し、着脱可能な撹拌体と、前記内鍋を覆い、前記撹拌体を回転させる駆動部を備えた蓋部と、を備え、前記撹拌体は、前記内鍋に接し、前記内鍋の少なくとも一部の内面形状に沿った形状に形成された、少なくとも1つの撹拌翼と、前記蓋部が前記内鍋を覆った場合に、前記撹拌体と前記駆動部とを連結させる連結部と、を備えている、構成である。
【0050】
上記の構成によれば、撹拌体を駆動部によって回転させることによって、内鍋の底面から内鍋内を撹拌翼によって撹拌することができる。そのため、内鍋底面での焦げ付き等を予防することができる。
【0051】
本発明の態様2に係る加熱調理器は、上記の態様1において、前記撹拌体は回転軸を備え、前記内鍋に配置され、前記回転軸が通る穴が形成された調理皿をさらに備える、構成としてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、調理皿と、撹拌翼および保持翼とによって、撹拌体を内鍋の上下で保持することができるため、安定して撹拌体を回転させることができる。
【0053】
本発明の態様3に係る加熱調理器は、上記の態様2において、前記調理皿は、底面に通気口が形成されている、構成としてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、調理皿に形成された通気口によって、蒸気が通過することで、調理皿の上で蒸気を用いて別の加熱調理を行うことができる。そのため、内鍋の中と調理皿の上とで同時に2品の調理を行うことができ、効率的である。
【0055】
本発明の態様4に係る加熱調理器は、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記撹拌体は回転軸を備え、前記連結部は、前記駆動部に係合する係合部と、前記係合部の回転を前記回転軸に伝達する伝達部と、を備え、前記係合部と前記伝達部との一方は他方に対して凸形状が形成されており、他方は一方に対して凹形状が形成されており、前記凹形状は、前記凸形状に係合し、前記凹形状は、前記凸形状に対し、回転遊びを有する、構成としてもよい。
【0056】
上記の構成によれば、連結部と駆動部とが連結する際に、互いの位置が回転方向においてずれていた場合でも、連結することができる。また、駆動部による回転を連結部における凹形状と凸形状とが係合することによって撹拌体を回転させることができる。
【0057】
本発明の態様5に係る加熱調理器は、上記の態様4において、前記連結部は、さらに前記伝達部と前記係合部とによって押圧するスプリングを有する、構成としてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、スプリングの動作範囲において、伝達部と係合部との間隔を変化させることができる。そのため、撹拌体の回転軸がぶれた場合であっても、正常に駆動部によって撹拌体を回転させることができる。また、蓋部を内鍋に対して閉じた際に起きる、伝達部と係合部との間の間隔の変化をスプリングが吸収することができる。
【0059】
本発明の態様6に係る加熱調理器は、上記の態様1から5のいずれかにおいて、前記撹拌体は、前記内鍋に接し、前記撹拌体の回転中心に位置する回転支持部をさらに有する、構成としてもよい。
【0060】
上記の構成によれば、回転支持部によって、内鍋と撹拌体との間隔を固定することができ、安定した回転を実現する。
【0061】
本発明の態様7に係る加熱調理器は、上記の態様1から6のいずれかにおいて、前記撹拌翼は、3個である、構成としてもよい。
【0062】
撹拌翼と内鍋とが3点でもって接触することができ、撹拌体が安定して回転することができる。
【0063】
本発明の態様8に係る加熱調理器は、上記の態様1から7のいずれかにおいて、前記撹拌翼は、少なくとも2個である、構成としてもよい。
【0064】
撹拌翼と内鍋とが角度を有した少なくとも2辺でもって接触することができ、撹拌体が安定して回転することができる。
【0065】
本発明の態様9に係る加熱調理器は、上記の態様1から8のいずれかにおいて、前記撹拌翼は、前記内鍋の底面に沿った形状を有し、前記底面に接する、構成としてもよい。
【0066】
上記の構成によれば、撹拌翼によって、内鍋の底面近傍を効率的に撹拌することができ、底面の焦げ付きを予防することができる。
【0067】
本発明の態様10に係る加熱調理器は、上記の態様1から9のいずれかにおいて、前記撹拌翼は、前記内鍋の底面および側面の間の斜面に沿った形状を有し、前記斜面に接する、構成としてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、撹拌翼によって、内鍋の斜面近傍を効率的に撹拌することができ、斜面の焦げ付きを予防することができる。
【0069】
本発明の態様11に係る加熱調理器は、上記の態様1から10のいずれかにおいて、前記撹拌翼は、前記内鍋の側面に沿った形状を有し、前記側面に接する、構成としてもよい。
【0070】
上記の構成によれば、撹拌翼によって、内鍋の側面近傍を効率的に撹拌することができ、側面の焦げ付きを予防することができる。
【0071】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 加熱調理器
11 調理器本体
12 蓋体(蓋部)
13 内鍋
14 モータ
15 駆動部
31 外蓋
32 内蓋
33 調理皿
40、40’ 撹拌体
41 回転軸
42 撹拌翼
43、62 ヘラ
44 回転支持部
45 シーリング
50 連結部
51 係合部
52 伝達部
53 スプリング
54 キャップ
61 支持翼