(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168763
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】食品除菌装置及び該食品除菌装置を備えた餅製造システム
(51)【国際特許分類】
A23L 3/28 20060101AFI20241128BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20241128BHJP
【FI】
A23L3/28
A23L7/10 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085694
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】523195555
【氏名又は名称】株式会社M&S企画
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【弁理士】
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】北村 學
【テーマコード(参考)】
4B021
4B023
【Fターム(参考)】
4B021LA01
4B021LA24
4B021LT03
4B021LW09
4B021MC02
4B023LC08
4B023LE23
4B023LG04
4B023LP03
4B023LP05
4B023LP13
4B023LP18
4B023LP20
4B023LT12
4B023LT22
4B023LT56
4B023LT60
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高額な設備投資をする必要なく、完成された食品のカビの発生を効果的に抑制することができる食品除菌装置及び該装置を備えた餅製造システムを提供する。
【解決手段】食品除菌装置は、食品載置部21、食品載置部の上方に配置され、食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射する深紫外線照射装置22及び深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイド23を備え、食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌すべき食品を載置する食品載置部と、
前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、
前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側壁を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドと
を備え、
前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、
前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成した
ことを特徴とする食品除菌装置。
【請求項2】
前記深紫外線照射装置が60度の配光角度で深紫外線を照射するように構成され、
前記紫外線照射ガイドが、側壁が60度の傾斜角を成す切頭正四角錐形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の食品除菌装置。
【請求項3】
前記食品載置部が、その上面全体を覆う紫外線反射板を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の食品除菌装置。
【請求項4】
前記除菌すべき食品が個包装済食品であり、
前記食品載置部が、各個包装済食品における包装材の余剰部分を上方から覆う紫外線反射シートをさらに備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の食品除菌装置。
【請求項5】
前記食品載置部が、その上面のうち、載置された食品以外の部分を覆う紫外線反射板を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の食品除菌装置。
【請求項6】
前記食品載置部が石英から成り、
前記食品載置部の下方に、食品載置部に向けて深紫外線を照射する第二の深紫外線照射装置をさらに設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の食品除菌装置。
【請求項7】
前記食品載置部が、細いアルミ線で形成された網状態から成り、
前記食品載置部の下方に、食品載置部に向けて深紫外線を照射する第二の深紫外線照射装置をさらに設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の食品除菌装置。
【請求項8】
精米工程、洗米・浸漬工程、蒸し工程、搗き工程、成形工程、固化工程、及び個包装工程を経て餅を製造する餅製造システムにおいて、
前記固化工程と個包装工程の間、又は個包装工程の後に食品除菌装置を設けて成る餅製造システムであって、
前記食品除菌装置が、
除菌すべき食品を載置する食品載置部と、
前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、
前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドと
を備え、
前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、
前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成されている
ことを特徴とする餅製造システム。
【請求項9】
前記固化工程を実行する固化装置が、
上方が開口した箱状の形態であって、複数上下に重ねて配置される蒸篭と、
前記複数重ねて配置された蒸篭の上方に配置され、、外部の空気を取り込み、内部で取り込んだ空気を深紫外線により殺菌清浄して前記蒸篭に向けて吹き出す空気殺菌清浄装置と
を備え、
前記各蒸篭が、その底板に複数の開口を備えている
ことを特徴とする請求項8に記載の餅製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カビの発生を抑制することができる食品除菌装置及び該食品除菌装置を備えた餅製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
餅の製造は、
原料となるもち米を精米する精米工程、
精米後のもち米を洗米した後に水に浸漬する洗米・浸漬工程、
浸漬したもち米を水切りした後に蒸す蒸し工程、及び
蒸したもち米を搗いて餅状体とする搗き工程
から成る(特許文献1)。
搗き工程で形成された餅状体を所定の形状の餅に成形する成形工程、
成形後の餅を固化する固化工程、
固化後の餅をそれぞれ包装する個包装工程、及び
個包装された複数の餅を大袋に包装する大袋包装工程
を経て、餅は保存可能な状態で市場に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-009790号公報
【特許文献2】特開2016-179836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した餅の製造工程では、各工程において菌汚染のリスクがあり、従来から菌汚染のリスクを回避するために様々な方法が採られている。
具体的には、常温で行われる精米工程には、もち米由来の菌による菌汚染のリスクがあるが、これは蒸し工程での高温処理による殺菌で対処されている。
60分程度水温で行われる洗米・浸漬工程には、洗米及び浸漬に使用する槽の残った腐敗菌等による菌汚染のリスクがあるが、このリスクも蒸し工程での高温処理による殺菌で対処されている。
60分程度、110℃より高い加熱蒸気温度で行われる蒸し工程では、加熱蒸気に含有された重金属等による汚染が考えられるが、これは、法令に基づく使用水の管理基準を順守することにより回避されている。
次いで、10分程度、90~65℃の温度で、搗き装置により実行される搗き工程では、搗き装置からの一般性菌を含む病原性菌等による汚染が考えられるが、これは、施設と使用設備の衛生管理手順を順守することで回避されている。
成形工程は、10分程度、50~40℃の温度環境下で行われるが、成形装置や作業者からの一般性菌等の汚染のリスクがある。また、12時間程度、50℃から常温まで送風を用いた徐冷により実行される固化工程では、環境空気中及び施設内部環境からの浮遊埃や、それに含有されるかび菌、乳酸菌及び麹菌等による汚染のリスクがある。特に、固化工程では、固化工程中に餅の表面に雰囲気に含まれる菌が落下し、かつ、冷却徐冷のために供給される冷風が餅表面に接触する際に、冷風中に含まれる各種菌が餅に付着することで餅の汚染が拡大することが問題となる。上記した成形工程及び固化工程における菌汚染のリスクは、製造施設内の衛生環境を維持するためにクリーンルームを設置して、クリーンルーム内で各工程を行うことで回避することが一般的である。
しかしながら、クリーンルームの設置には非常に高額な費用がかかるだけでなく、クリーンルーム設置後も環境維持のためにHAPAフィルターの定期交換が必要であったり、電気使用料が高額になったりする等、クリーンルームの環境維持のための費用が高額であり、小規模の餅製造業者ではこのような設備投資を行うことができないという問題があった。
さらに、常温で行われる個包装工程では、包装機材、包装材及び作業者からカビ菌等の汚染のリスクがある。
個包装工程における汚染リスクに対しては、個別の包装にそれぞれ脱酸素剤や不活性ガス(N2,CO2)を封入し、個包装袋内の酸素濃度を低くすること、具体的には、例えば、0.0001%以下にすることで菌汚染のリスクを回避することも提案されているが(特許文献2)、個別包装にそれぞれ脱酸素剤や不活性ガスを封入する設備はやはり高額であり、さらに、包装前の餅が十分に殺菌されている必要があるため個包装工程もクリーンルーム内で行う必要があった。
上記した餅の製造工程で代表されるように、食品の製造工程においては菌汚染を回避することは重要な課題であり、特に、カビの発生を抑制することが重要である一方で、現在提案されている解決方法は何れも高額な設備投資を伴う方法であるため、クリーンルームの設置等の高額な設備投資を伴わない解決手段が求められている。
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて、高額な設備投資をする必要なく、完成された食品のカビの発生を効果的に抑制することができる食品除菌装置及び該食品除菌装置を備えた餅製造システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る食品除菌装置は、除菌すべき食品を載置する食品載置部と、前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドとを備え、前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成したことを特徴とする。
前記深紫外線照射装置は、60度の配光角度で深紫外線を照射するように構成され得、この場合、好ましくは、前記紫外線照射ガイドは、側壁が60度の傾斜角を成す切頭正四角錐形状であり得る。
また、前記食品載置部は、その上面全体を覆う紫外線反射板を有し得、前記除菌すべき食品が個包装済食品である場合には、各個包装済食品における包装材の余剰部分を上方から覆う紫外線反射シートをさらに有し得る。
また、前記食品載置部は、その上面のうち、載置された食品以外の部分を覆う紫外線反射板を備えていてもよい。
さらに、前記食品載置部は石英で形成され得、その場合、前記食品載置部の下方に、食品載置部に向けて深紫外線を照射する第二の深紫外線照射装置がさらに設けられ得る。
さらにまた、前記食品載置部を、細いアルミ線で形成された網状態で構成し、前記食品載置部の下方に、食品載置部に向けて深紫外線を照射する第二の深紫外線照射装置をさらに設けてもよい。
また、本発明に係る餅製造システムは、精米工程、洗米・浸漬工程、蒸し工程、搗き工程、成形工程、固化工程、及び個包装工程を経て餅を製造する餅製造システムにおいて、前記固化工程と個包装工程の間、又は個包装工程の後に食品除菌装置を設けて成る餅製造システムであって、前記食品除菌装置が、除菌すべき食品を載置する食品載置部と、前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドとを備え、前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成されていることを特徴とする。
前記固化工程を実行する固化装置は、上方が開口した箱状の形態であって、複数上下に重ねて配置される蒸篭と、前記複数重ねて配置された蒸篭の上方に配置され、、外部の空気を取り込み、内部で取り込んだ空気を深紫外線により殺菌清浄して前記蒸篭に向けて吹き出す空気殺菌清浄装置とを備え、前記各蒸篭が、その底板に複数の開口を有し得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る食品除菌装置は、除菌すべき食品を載置する食品載置部と、前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドとを備え、前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射するように構成されているので、深紫外線照射装置から照射される深紫外線は、前記深紫外線照射ガイドで案内され必要以上に広がることなく食品の上面に照射されると共に、食品載置部の上面で反射された後、さらに、深紫外線照射ガイドで反射され食品の側面にも照射される。これにより、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量を十分に得ることができ、クリーンルーム等の大型設備を設けなくてもカビ等が発生しないように食品を十分に除菌することが可能になるという顕著な効果を有する。
この食品除菌装置は、食品の製造工程において個包装前の食品の除菌及び/又は個包装後の食品の除菌に使用され得、個包装前の食品に使用する場合には個包装工程において食品製造過程での菌汚染を防止することができ、個包装後の食品に使用する場合には個包装工程に由来する菌汚染を除菌することができる。これにより、個別包装にそれぞれ脱酸素剤や不活性ガスを封入する必要がなくなるという効果を奏する。
また、前記食品載置部を石英で形成し、又は細いアルミ線から成る網状態とし、前記食品載置部の下方に、食品載置部に向けて深紫外線を照射する第二の深紫外線照射装置をさらに設けることにより、食品載置部に載置された食品の裏面も同時に深紫外線で除菌することが可能になる。この場合、前記第二の深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記第二の深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で上方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された第二の深紫外線照射ガイドを食品載置部の下方にさらに配置し、食品載置部に、その上面のうち、載置された食品以外の部分を覆う両面で深紫外線を反射する紫外線反射板を設けることにより、第二の紫外線照射装置から照射された深紫外線のうち、食品の裏面に直接照射されなかった深紫外線が前記深紫外線反射板で反射した後、第二の深紫外線照射ガイドの内面で反射するので食品の裏面により多くの深紫外線を照射することが可能になる。
また、本発明に係る餅製造システムは、精米工程、洗米・浸漬工程、蒸し工程、搗き工程、成形工程、固化工程、及び個包装工程を経て餅を製造する餅製造システムにおいて、前記固化工程と個包装工程の間、又は個包装工程の後に食品除菌装置を設けて成る餅製造システムであって、除菌すべき食品を載置する食品載置部と、前記食品載置部の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成された深紫外線照射装置と、前記深紫外線照射装置と食品載置部との間に配置され、少なくとも前記深紫外線照射装置から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる側板を有する切頭円錐形状又は切頭多角錐形状を成し、内面が深紫外線を反射するように構成された深紫外線照射ガイドとを備え、前記食品載置部が、その上面で深紫外線を反射するように構成され、前記深紫外線照射ガイドが食品載置部の上面で反射した深紫外線を、その内面でさらに反射することで、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量が得られるように構成されているので、餅製造工程において、食品載置部に載置された餅の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量を十分に得ることができ、クリーンルーム等の大型設備を設けなくてもカビ等が発生しないように餅を十分に除菌することが可能になるという顕著な効果を奏し、また、食品除菌装置を個包装工程の後に設けた場合には個別包装にそれぞれ脱酸素剤や不活性ガスを封入する必要がなくなるという効果を奏する。
さらにまた、前記固化工程を実行する固化装置を、上方が開口した箱状の形態であって、複数上下に重ねて配置される蒸篭と、前記複数重ねて配置された蒸篭の上方に配置され、、外部の空気を取り込み、内部で取り込んだ空気を深紫外線により殺菌清浄して前記蒸篭に向けて吹き出す空気殺菌清浄装置とで構成し、前記各蒸篭の底板に複数の開口を設けることにより、固化工程において複数重ねて配置された最上段から最下段の蒸篭の全てに清浄空気を流すことが可能になり、清浄空気を用いて温度を低下させて餅を固化することができるので、表面が清浄された状態で餅を固化させることができ、固化工程由来の菌汚染の可能性を低減することができるという効果を奏する。この固化装置における菌汚染の防止と、前記食品除菌装置における除菌により餅の製造工程における菌汚染を高価な大型設備を設けることなく達成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る食品除菌装置を備えた餅製造システムの一実施例の概要を示すブロック図である。
【
図2】餅製造システムにおける固化装置6の構造を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る食品除菌装置7の一実施例の構造を示す概略図である。
【
図5】(a)は深紫外線を上方から照射した時に深紫外線が照射される食品の領域を示す概念図であり、(b)は本発明に係る食品殺菌装置における深紫外線が照射される食品の領域を示す図である。
【
図6】本発明に係る食品除菌装置を備えた餅製造システムの第二実施例の概要を示すブロック図である。
【
図8】(a)は個包装された食品の概略上面図であり、(b)は個包装された食品の概略横断面図である。
【
図10】(a)及び(b)は深紫外線反射板の別の実施例を示す図であり、(a)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付けた状態を示している。
【
図11】本発明に係る食品除菌装置の第三の実施例を示す概略図である。
【
図12】本発明に係る食品除菌装置の第四の実施例を示す概略図である。
【
図13】本発明に係る食品除菌装置の第五の実施例を示す概略図である。
【
図14】(a)及び(b)は深紫外線反射板のさらに別の実施例を示す図であり、(a)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付けた状態を示している。
【
図15】(a)及び(b)は深紫外線反射板のさらに別の実施例を示す図であり、(a)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板を食品載置部に取り付けた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して本発明に係る食品除菌装置及び該食品除菌装置を備えた餅製造システムの実施の形態を説明していく。
図1は、本発明に係る食品除菌装置を備えた餅製造システムの一実施例の概要を示すブロック図である。
図面に示すように、本実施例に係る餅製造システムは、
原料となるもち米を精米する精米装置1、
精米後のもち米を洗米した後に水に浸漬する洗米及び浸漬装置2、
浸漬したもち米を水切りした後に蒸す蒸し装置3、
蒸したもち米を搗いて餅状体とする搗き装置4、
搗き工程で形成された餅状体を所定の形状の餅に成形する成形装置5、
成形後の餅を固化する固化装置6、
固化後の餅を除菌する本発明に係る食品除菌装置7、
除菌後の餅をそれぞれ包装する個包装装置8及び
個包装された複数の餅を大袋に包装する大袋包装装置9
を備えている。
前記精米装置1、洗米及び浸漬装置2、蒸し装置3、搗き装置4、成形装置5、固化装置6、個包装装置8及び大袋包装装置9の基本構造は公知の装置の構造と同一であるので、本明細書では詳細な構造の説明は省略する。
【0009】
図2は、前記餅製造システムにおける固化装置6の構造を示す概略図である。
図面に示すように、固化装置6は、固化すべき餅を載置する複数の蒸篭10を備えている。蒸篭10は複数上下に重ねて配置されている。また、前記固化装置6は、その上端に清浄空気を流入させる空気殺菌清浄装置11が設けられている。前記空気殺菌清浄装置11は、外部の空気を取り込み、内部で取り込んだ空気を殺菌清浄して固化装置6の内部に吹き出すように構成されている。具体的には、例えば、空気殺菌清浄装置11は、その空気通路に、無機材料からなる繊維で構成された不織布に光触媒を担持させてなるフィルタ(図示せず)が設けられ、前記フィルタに280nmの深紫外線を照射するように構成されており、これにより、前記フィルタで空気に含有する細菌及びウィルスを捕集すると共に、深紫外線により捕集された殺菌及びウィルスを不活化させることで空気を殺菌清浄し、殺菌清浄後の空気を固化装置6内の蒸篭10に向けて吹き出すように構成されている。
図3は前記蒸篭10の上面図であり、
図2及び
図3に示すように蒸篭10は、四方を囲む側板10a、底板10b及び側板10aの四隅に設けられた脚部10cから成る上方が開口した箱状態であり、重ねて配置した時に、その内部に固化すべき餅を収容する空間が形成され、かつ、底板10bの下方に隙間が形成されるように構成されている。
図3に示すように、前記蒸篭10の底板10bには複数の開口10dが形成されている。
上記した構成により、
図2に一点鎖線で示すように、上部に配置された空気殺菌清浄装置11から吹き出された清浄空気が、底板10bに形成された開口10dを通過して、最上段の蒸篭10から最下段の蒸篭10まで流れながら、底板10bの下方に形成された隙間から側方へも流れる。
上記したように、内部に固化すべき餅を収容する蒸篭10の底板10bに複数の開口10dを形成することにより、複数重ねて配置しても、上方に配置された空気殺菌清浄装置11から吹き出された清浄空気が全ての蒸篭10内に流れ、餅の温度を低下させて餅を固化することが可能になる。この際、空気殺菌清浄装置11から吹き出される空気は、その内部で深紫外線により細菌及びウィルスが不活化されて殺菌清浄されているので、温度を低下させるために固化装置6内を流れる空気によって餅が菌汚染されることがない。
上記した蒸篭10の寸法は、内部に収容すべき餅の寸法及び数に応じて任意に設定され得、例えば、横270mm、縦350mm及び高さ50mmの寸法の蒸篭10が使用され得る。
また、底板10bに形成される開口10dの孔径及びピッチは、蒸篭10内に流入した清浄空気の流れ速度分布を平均化できる孔径及びピッチであることが望ましく、例えば、孔径3mmの開口を8mmピッチで、横270mm及び縦350mmの底板10bに対して横240mm及び縦320mmの領域に形成され得る。
前記孔径及びピッチが、蒸篭10を複数段配置した時に、最上段から最下段の蒸篭10において清浄空気の流れ速度分布を平均化できることが確認できた。
また、前記底板10bは、定期的に洗浄交換をすることができるように、好ましくは、側板10aから取外し可能に構成され得る。
上記したように構成された固化装置6を用いることで表面が清浄された状態で固化された餅を得ることができる。
【0010】
図4は、固化装置6において表面が清浄された状態で固化された餅を、さらに殺菌する本発明に係る食品除菌装置7の一実施例の構造を示す概略断面図である。
図4では、図面を簡単化するために断面線は省略されている。また、
図4では、図面を簡単化するために内部に載置される食品(餅)は一つのみ表示し、他の食品(餅)は省略されている。
図面に示すように、この食品除菌装置7は、
上面に深紫外線反射板20が設けられ、その上に除菌すべき食品を載置するための食品載置部21と、
前記食品載置部21の上方に配置され、載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成されたLEDモジュールから成る深紫外線照射装置22と、
前記深紫外線反射板20と深紫外線照射装置22との間に配置され、側壁が、少なくとも前記深紫外線照射装置22から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる切頭正四角錐形状を成す深紫外線照射ガイド23と
を備え、
前記深紫外線照射ガイド23は、その内面が深紫外線を反射する素材で形成されている。
上記したように構成された食品除菌装置7によれば、深紫外線照射装置22から所定の配光角度で照射される深紫外線が、深紫外線照射ガイド23によって食品載置部21に向かって案内され、深紫外線反射板21で反射した後、深紫外線照射ガイド23でさらに反射される。従って、食品載置部21上に、即ち、深紫外線反射板20上に食品を載せた状態で、深紫外線を照射すると、深紫外線は食品載置部21に向かって案内されて、その一部は載置された食品の上面に照射され、食品から外れた深紫外線は深紫外線反射板20によって反射された後、さらに、深紫外線照射ガイド23で反射され、その一部が載置された食品の側面に照射される。これにより、食品載置部に載置された食品の上面及び側面で除菌に必要な深紫外線光量を得ることができ、食品を上下反転させることで食品前面に十分な光量の深紫外線を照射することができ、食品表面に菌が残存していた場合でも深紫外線により菌を不活化して除菌することが可能になる。
図5(a)に示すように、単に深紫外線を上方から照射するだけでは、深紫外線は下方に載置された食品の上面にしか照射されず、食品の側面を除菌することができないという問題があり、これを解決するために深紫外線を側方からも照射することが考えられるが、この解決方法では深紫外線照射装置を複数設ける必要があるため装置コストが上がるだけでなく、単に側方から照射するだけでは食品を並べて配置する場合には隣接する食品の影になって側面に深紫外線が十分に照射されない食品も出てくる。
本実施例による食品除菌装置7によれば、深紫外線照射装置22を載置された食品に向けて所定の配光角度を伴って深紫外線を照射するように構成すると共に、深紫外線照射ガイド23を、その側壁が、少なくとも前記深紫外線照射装置22から照射される深紫外線の配光角度以下の角度で下方に向けて広がる切頭正四角錐形状に形成しているので、深紫外線照射装置22から照射された深紫外線は、その一部が食品の上面に照射され、食品の上面から外れた深紫外線は深紫外線反射板21で反射した後、さらに、深紫外線照射ガイド23によって反射されるので、
図5(b)に示すように、深紫外線が所定の配光角度を伴って照射されることと、深紫外線照射ガイド23の側壁が前記配光角度以下の角度であることとが相俟って、深紫外線が様々な角度で反射されることになるため載置されている全ての食品の側面に十分な光量の深紫外線を照射することが可能になる。
深紫外線照射ガイド23は、深紫外線反射板20で反射された深紫外線を、再度、反射させて食品載置部21に載置された食品の側面に到達させることができる形状であれば任意の形状でよいが、好ましくは、下方に向けて広がる切頭円錐形状又は切頭角錐形状であり、最も、好ましくは、切頭正四角錐形状であり得る。
本実施例では、深紫外線照射装置22は、複数のLEDを全体が正方形の形状になるように並べて配置し、深紫外線照射面が正方形になるように構成されており、深紫外線が60度の配光角度で照射されるように構成されている。発明者は、深紫外線照射装置22が前記したように構成されている場合、深紫外線照射ガイド23を切頭正四角錐形状とすることで、他の形状に比べて最も多くの光量を食品表面で得られることを確認した。
【0011】
本実施例に係る食品除菌装置を備えた餅製造システムによれば、固化装置6に、深紫外線により捕集した菌及びウィルスを不活性化させるように構成されたフィルタを備えた空気殺菌清浄装置11を、複数積み重ねられた蒸篭10の上方に配置すると共に、各蒸篭10の底板10bに、清浄空気の流れ速度分布を平均化することができるサイズ及びピッチで開口10cを設けることで、清浄空気によって温度を下げながら餅を固化させることが可能になる。
また、固化装置6によって表面が清浄された状態で固化された餅を、さらに、上面及び側面に十分な光量の深紫外線を照射できるように構成した食品殺菌装置7で殺菌することにより、餅の表面に菌やウィルスが残存していた場合でも、それを不活化することが可能になり、それにより、その後の個包装工程に餅由来の菌を持ち込むことがなくなる。
【0012】
図6は、本発明に係る食品除菌装置を備えた餅製造システムの第二の実施例の概要を示すブロック図である。
この第二実施例では、第一実施例において個包装装置8の上流に配置された食品除菌装置7の代わりに、個包装装置8の下流に食品除菌装置7Aが設けられている点が第一実施例と異なるだけであり、また、食品除菌装置7Aの基本的な構成は、第一実施例の食品除菌装置7の構成と同一であるので、以下の説明では、同一の構成要素には第一実施例と同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図面に示すように、第二実施例に係る餅製造システムは、精米装置1、洗米及び浸漬装置2、蒸し装置3、搗き装置4、成形装置5、固化装置6、個包装装置8及び大袋包装装置9が設けられており、前記個包装装置8の下流に食品除菌装置7Aが設けられている。
図7は、食品除菌装置7Aの構造を示す概略図であり、
図8(a)は個包装された食品の概略上面図及び
図8(b)は
図8(a)における概略A-A断面図であり、
図9(a)及び(b)は、個包装された食品が載置された食品除菌装置7Aにおける食品載置部21の一部分の概略断面図及び概略上面図である。
図7に示すように、食品除菌装置7Aは、上面に深紫外線反射板20が設けられた食品載置部21、深紫外線を照射する深紫外線照射装置22及び深紫外線照射ガイド23を備えている。この第二実施例では、食品除菌装置7Aは、個包装装置8の下流に設けられているため、包装材30によって個包装された食品が食品載置部21に載置される。
ここで、食品を個包装する場合、
図8(a)及び(b)に示すように、上側包装材30aと下側包装材30bとの間に食品を収容して周囲をシールするため、収容された食品の周囲に包装材30の余剰部分30cが残る。このため、個包装された食品を食品除菌装置7Aの食品載置部21に載せると、包装材30の余剰部分30cが深紫外線反射板20を上方から覆うことになる。従って、たとえ包装材30が深紫外線を透過する素材であったとしても、照射された深紫外線は一定量包装材30の余剰部分30cで吸収されてしまうため深紫外線反射板20で反射して、さらに、深紫外線照射ガイド23の内面で反射する深紫外線の光量が低下してしまい結果として個包装された食品の側面に照射される深紫外線の光量が低下することになる。特に、余剰部分30cは
図8(b)に示すように、上側包装材30aと下側包装材30bが重なっているため深紫外線の吸収量が多い。
本実施例では、
図9(a)及び(b)に示すように、食品載置部21の深紫外線反射板20上に載置された個包装後の食品における前記包装材30の余剰部分30cを覆う紫外線反射シート24がさらに設けられており、これにより、個包装後の食品であっても、その内部の食品の上面及び側面に十分な光量の深紫外線を照射することが可能になり、個包装後の食品を十分に除菌することが可能になる。
尚、深紫外線の透過率の観点から見ると、ポリエチレンやポリプロピレン等の材料は深紫外線の透過率が高く、ポリエステルやポリ塩化ビニル等の材料は深紫外線の透過率が低く、透過率の点から中間的な材料としてはナイロン等が挙げられる。
食品を個包装する際に使用するフィルムは、ポリエチレンやポリプロピレン等の深紫外線の透過率が高い材料が使用されることが多く、また、深紫外線の透過率が中間的な材料であるナイロンが使用されるもある。具体的には、低温でのフィルム接着を目的とするケースでは内側にポリエチレン、中間にナイロン及びポリプロピレンの二層ラミネートフィルムを使用することが多く、個包装後の深紫外線の透過率が高いため本発明に係る食品除菌装置を用いることで個包装後の食品の表面菌を十分に殺菌することが可能になり、さらに、上記したように深紫外線の透過率が低下する傾向にある余剰部分についてはその上面を深紫外線反射シート24で覆うことで照射された深紫外線を無駄なく食品の上面及び側面に導くことが可能になる。
このように個包装後の食品を除菌することができるように構成することにより、食品由来の菌の増殖を防ぐために個包装時に内部に脱酸素剤や不活性ガスを封入する必要がなくなり、脱酸素剤や不活性ガスを封入するように構成された高価な個包装装置を使用する必要がなくなる。
【0013】
上記した実施例では、深紫外線反射板20は食品載置部21の上面全体を覆うように形成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、
図10に示すように、食品載置部21上の載せられた食品以外の部分を覆うように食品が通過できる開口部を設けた構成としてもよい。
図10(a)及び(b)は深紫外線反射板の別の実施例を示す図であり、(a)は深紫外線反射板20'を食品載置部21に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板20'を食品載置部21に取り付けた状態を示している。図中、符号20'は深紫外線反射板を示しており、この深紫外線反射板20'には食品が通過できる開口部20aが形成されている。
図10における他の符号は、
図1~
図9の実施例の構成要件と同じ構成要件を示している。
【0014】
次に、
図11を参照して本発明に係る食品除菌装置の第三の実施例を説明する。この第三の実施例において第一の実施例と同じ又は同等の構成要件には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
この食品除菌装置7Bは、その食品載置部21Bが石英で形成されている。また、深紫外線照射板20Bは、
図10の実施例と同様に食品が通過できる開口部を備えており、両面で深紫外線を反射することができるように構成されている。
上記した食品除菌装置7Bは、食品載置部21Bの下方に、食品載置部21Bに載置された食品の裏面に向けて所定の配光角度で深紫外線を照射する第二深紫外線照射装置25を備え、前記深紫外線照射装置25と前期食品載置部21Bとの間には、第二深紫外線照射装置25の配光角度と等しいからそれより小さい角度で上方に向けて広がる切頭角錐状の第二深紫外線照射ガイド26が設けられている。
上記した構成によれば、上方の深紫外線照射装置22から照射された深紫外線が食品の上面及び側面に照射されると共に、第二深紫外線照射装置25から照射された深紫外線はその一部が石英を透過して食品の裏面に直接照射されると共に、食品の裏面から外れた深紫外線は深紫外線反射板20Bの裏面で反射された後、第二深紫外線照射ガイド26の内面で反射されて、その一部が再度、食品の裏面に照射されることになり、食品の裏面に十分な光量の深紫外線を照射することが可能になる。
上記した第三の実施例では、食品載置部21Bを石英で構成しているが、この構成は本実施例に限定されることなく、例えば、食品載置部は、細いアルミ線から成る網状態で構成してもよい。
【0015】
次に、
図12を参照して本発明に係る食品除菌装置の第四の実施例を説明する。この第四の実施例において第一の実施例と同じ又は同等の構成要件には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第四の実施例に係る食品除菌装置7Cは、上方に各々約60度の配光角度で深紫外線を照射するように構成された9個のLEDが縦3列及び横3列に等間隔に配置された深紫外線照射装置22Cを備え、前記深紫外線照射装置22Cの下方には食品載置部21Cが設けられている。食品載置部21Cと深紫外線照射装置22Cとの間には、深紫外線照射装置22Cを構成するLEDの配光角度より小さい角度で下方に向けて広がる切頭角錐状の深紫外線照射ガイド23Cが設けられている。また、食品載置部21Cの上面には個包装済の餅が等間隔に複数配置されており、さらに食品載置部21Cには、その上面のうち、載置された食品を除く部分(個包装の余剰部分を含む)を覆うように食品が通過する開口を備えた深紫外線反射板20Cが設けられている。
上記したように構成された食品除菌装置7Cによれば深紫外線照射ガイド23Cの側壁が、深紫外線照射装置22Cを構成するLEDの配光角度より小さい角度で傾斜しているので、深紫外線照射装置22Cから照射された深紫外線の一部は食品上面に直接照射され、深紫外線の一部は食品から外れて深紫外線反射板20Cで反射した後、再度、深紫外線照射ガイド23Cで反射して食品に照射され、さらに、深紫外線の一部は深紫外線照射ガイド23Cで直接反射した後、食品又は深紫外線反射板20Cに照射されることになり、深紫外線照射装置22Cから照射された深紫外線が無駄なく食品の上面及び側面に照射されることになる。
【0016】
最後に、
図13を参照して本発明に係る食品除菌装置の第五の実施例を説明する。この第五実施例において第一の実施例と同じ又は同等の構成要件には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第五の実施例に係る食品除菌装置7Dは、第一実施例と同様の構成の深紫外線照射装置22及び深紫外線照射ガイド23を有する。符号21Dは食品載置部を示しており、この第五の実施例では、食品載置部21Dは、深紫外線照射ガイド23の底部より、さらに距離を置いて下方に位置する底面部21D-1と、前記底面部21D-1から深紫外線照射ガイド23に向けて上方に延びる傾斜面部21D-2とを備え、底面部21D-1及び傾斜面部21D-2の内面は深紫外線を反射するように構成されている。また、食品載置部21Dは、その底面部21D-1より一定の距離H、例えば、20~30mmを置いた上方に細いアルミ線で網状に形成された網状体21D-3を備え、この網状体21D-3上に食品を載置することができるように構成されている。
上記した構成により、深紫外線照射装置22から所定の配光角度を伴って照射された深紫外線は、その一部が食品の上面に直接照射され、その一部が深紫外線照射ガイド23と、食品載置部21Dの底面部21D-1及び傾斜面部21D-2とで反射されて、食品の側面及び底面に照射される。これにより、食品の上面、側面及び底面の全てに除菌のために十分な光量の深紫外線が照射される。
この第五の実施例では、食品載置部21Dが、細いアルミ線で網状に形成された網状体21D-3を備え、網状体21D-3の上に食品を載置することにより、底面部21D-1及び傾斜面部21D-2において反射された深紫外線が食品の底面に照射されるように構成しているが、この構成は実施例に限定されることなく、例えば、網状体21D-3を石英で形成された板状体で構成してもよい。
【0017】
以上説明した実施例において、深紫外線反射板20は、
図4及び
図7に示す実施例では、食品載置部21の上面全体を覆うように形成され、
図10に示す実施例では、食品載置部21上に載せられた食品以外の部分を覆うように食品が通過できる開口部20aを設けた構成である。詳細には、
図10に示す実施例では、個包装後の食品の除菌に適用するために包装の余剰部分30cを覆うように、深紫外線反射板20'における前記余剰部分30cに対応する部分に段部が形成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、深紫外線反射板は、食品が通過できる開口部20aを備えた段部のない平坦な反射板で構成してもよいことは勿論である。
図14は、開口部20aを備え、かつ、段部を有さない平坦な深紫外線反射板20''の実施例を示しており、(a)は深紫外線反射板20''を食品載置部21に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板20''を食品載置部21に取り付けた状態を示している。
さらに、
図15は、深紫外線反射板のさらに別の実施例を示しており、(a)は深紫外線反射板20'''を食品載置部21に取り付ける前の状態を示し、(b)は深紫外線反射板20'''を食品載置部21に取り付けた状態を示している。この実施例では、深紫外線反射板20'''は、個包装後又は個包装前の食品が通過できる開口部20aを備え、前記開口部20aの周囲の部分、即ち、使用時に食品の周りを囲む部分が上方に向けて傾斜するように構成されている。このように構成することにより、上方に配置された不図示の深紫外線照射装置から照射された深紫外線の一部は直接、食品の上面に照射され、食品の周囲に照射された深紫外線は、深紫外線反射板20'''の傾斜部分で反射して、その一部は食品の側面に照射されると共に、その一部は不図示の深紫外線照射ガイドで再度反射して食品に向けられることになる。このように深紫外線反射板20'''に傾斜部分を設け、前記傾斜部分で反射した深紫外線の一部が食品の側面に直接照射されるように構成することで、食品の表面で得られる深紫外線の光量をさらに増やすことができるという効果を奏する。
図15の実施例では、深紫外線反射板20'''は、開口部20aの周囲が直ぐに上方に傾斜するように構成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、開口部20aの周囲を平坦な形状とし、開口部20aから一定距離離れた位置から上方に傾斜するように構成してもよいことは勿論である。
また、
図14及び
図15の実施例では、個包装されていない食品に深紫外線反射板20''及び20'''を適用する例を示しているが、これらの深紫外線反射板は、個包装後の食品にも適用できることは勿論である。
【0018】
上記した実施例では、本発明に係る食品除菌装置を餅製造システムに適用した例を挙げて説明しているが、本発明に係る食品除菌装置は本実施例に限定されることなく、菌汚染を防止する必要がある食品であれば任意の食品の除菌に使用することが可能であり、例えば、蒲鉾等の製造工程においても使用することができる。
上記した実施例では、食品載置部21上に深紫外線反射板20を設けているが、この構成は、本実施例に限定されることなく、深紫外線反射板20を設ける代わりに食品載置部21の上面を、深紫外線を反射する素材で形成してもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 精米装置
2 洗米及び浸漬装置
3 蒸し装置
4 搗き装置
5 成形装置
6 固化装置
7 食品除菌装置
7A 食品除菌装置(第二実施例)
7B 食品除菌装置(第三実施例)
7C 食品除菌装置(第四実施例)
7D 食品除菌装置(第五実施例)
8 個包装装置
9 大袋包装装置
10 蒸篭
10a 側壁
10b 底板
10c 脚部
10d 開口
11 空気殺菌清浄装置
20 深紫外線反射板
20' 深紫外線反射板(別の実施例)
20'' 深紫外線反射板(さらに別の実施例)
20''' 深紫外線反射板(さらに別の実施例)
20a 開口部
20B 深紫外線反射板(第三実施例)
20C 深紫外線反射板(第四実施例)
21 食品載置部
21B 食品載置部(第三実施例)
21C 食品載置部(第四実施例)
21D 食品載置部(第五実施例)
21D-1 底面部
21D-2 傾斜面部
21D-3 網状体
22 深紫外線照射装置
22C 深紫外線照射装置(第四実施例)
23 深紫外線照射ガイド
23C 深紫外線照射ガイド(第四実施例)
24 深紫外線反射シート
25 第二深紫外線照射装置
26 第二深紫外線照射ガイド