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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168783
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光走査装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20241128BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20241128BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G02B26/10 B
B41J2/47 101D
H04N1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085720
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】後井 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】山本 弥史
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA13
2C362AA43
2C362BA04
2C362BB03
2C362CA18
2C362DA08
2C362DA09
2H045AA01
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA63
2H045DA02
2H045DA04
5C072AA03
5C072DA21
5C072HA02
5C072HA09
5C072HA13
(57)【要約】
【課題】複数のレーザダイオードを密集させて配置することができる光走査装置を提供する。
【解決手段】光走査装置は、光束を出射するレーザダイオード81と、レーザダイオード81が固定されるホルダ70と、複数のホルダを並べて保持する保持部61aとを備える。ホルダ70は、自身の中心を間に挟んで互いに対向する第1端部71および第2端部72と、第1端部71から第2端部72へ向かって直線状に延びる第1側辺部73および第2側辺部74とを有する。第1側辺部73と第2側辺部74とは、第1端部71から第2端部72へ向かうに従って、互いの間隔が徐々に広がるように延伸されている。保持部61aに保持された状態で隣接するホルダ70は、一方のホルダ70の第1端部71に対し、他方のホルダ70の第2端部72を隣接させて配置されている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を出射するレーザダイオードと、
前記レーザダイオードが固定されるホルダと、
複数の前記ホルダを並べて保持する保持部とを備える光走査装置であって、
前記ホルダは、自身の中心を間に挟んで互いに対向する第1端部および第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ向かって直線状に延びる第1側辺部および第2側辺部とを有し、
前記第1側辺部と前記第2側辺部とは、前記第1端部から前記第2端部へ向かうに従って、互いの間隔が徐々に広がるように延伸されており、
前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、一方の前記ホルダの前記第1端部に対し、他方の前記ホルダの前記第2端部を隣接させて配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記保持部では、複数の前記ホルダが、高さ方向において直線状に配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダの表面には、治具に把持される凸部を備えること
を特徴とする光走査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダの外縁には、治具が挿入される切欠き部を備えること
を特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダは、前記第1端部および前記第2端部に設けられた接着部を介して、前記保持部と接着されること
を特徴とする光走査装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、互いの前記第1側辺部同士が対向し、互いの前記第2側辺部同士が対向するように配置されていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、並べた順に沿って、一方の端部が互い違いになるように配置されていること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダは、扇形状とされていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダは、三角形状とされていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光走査装置であって、
前記ホルダは、台形状とされていること
を特徴とする光走査装置。
【請求項11】
請求項1に記載の光走査装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザダイオードが固定されるホルダを有する光走査装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機、レーザプリンタ、あるいはファクシミリ等の画像形成装置では、レーザビームを走査する光走査装置が用いられる。画像形成装置で画像形成する場合、感光体を帯電装置で帯電した後、光走査装置によって画像情報に応じた書き込みを行い、感光体に静電潜像を形成する。そして、現像装置から供給されるトナーによって、感光体上の静電潜像を顕像化する。感光体上で顕像化されたトナー像は、転写装置によって用紙に転写され、さらに、定着装置によって用紙に定着されることで、所望の画像が得られる。
【0003】
光走査装置の光源となるレーザダイオードは、所定の保持部に取り付けられる。保持部としては、例えば、光走査装置の筐体となるハウジングの壁部が適用されており、ホルダを介してレーザダイオードを保持部に固定している。そして、各レーザダイオードは、高さ方向において近づけて配置させ、且つ、横並びに傾斜させて配置させていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-8423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光走査装置では、レーザダイオードホルダが円形状とされており、
ビームサイズなどの光学性能を向上させるために、各レーザダイオードを高さ方向に近づけて配置させる必要があるが、従来の光走査装置では、レーザダイオードが円形状であるため、複数のレーザダイオードホルダを互いに近づけて配置しようとすると、互いが干渉するので、レーザダイオードホルダの配置が制約されてしまう。そのため、複数のレーザダイオードを密集させて配置できないという課題がある。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、複数のレーザダイオードを密集させて配置することができる光走査装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光走査装置は、光束を出射するレーザダイオードと、前記レーザダイオードが固定されるホルダと、複数の前記ホルダを並べて保持する保持部とを備える光走査装置であって、前記ホルダは、自身の中心を間に挟んで互いに対向する第1端部および第2端部と、前記第1端部から前記第2端部へ向かって直線状に延びる第1側辺部および第2側辺部とを有し、前記第1側辺部と前記第2側辺部とは、前記第1端部から前記第2端部へ向かうに従って、互いの間隔が徐々に広がるように延伸されており、前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、一方の前記ホルダの前記第1端部に対し、他方の前記ホルダの前記第2端部を隣接させて配置されていることを特徴とする。
【0008】
本開示に係る光走査装置は、前記保持部では、複数の前記ホルダが、高さ方向において直線状に配置されている構成としてもよい。
【0009】
本開示に係る光走査装置は、前記ホルダの表面には、治具に把持される凸部を備える構成としてもよい。
【0010】
本開示に係る光走査装置は、前記ホルダの外縁には、治具が挿入される切欠き部を備える構成としてもよい。
【0011】
本開示に係る光走査装置では、前記ホルダは、前記第1端部および前記第2端部に設けられた接着部を介して、前記保持部と接着される構成としてもよい。
【0012】
本開示に係る光走査装置では、前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、互いの前記第1側辺部同士が対向し、互いの前記第2側辺部同士が対向するように配置されていること構成としてもよい。
【0013】
本開示に係る光走査装置では、前記保持部に保持された状態で隣接する前記ホルダは、並べた順に沿って、一方の端部が互い違いになるように配置されている構成としてもよい。
【0014】
本開示に係る光走査装置では、前記ホルダは、扇形状とされている構成としてもよい。
【0015】
本開示に係る光走査装置では、前記ホルダは、三角形状とされている構成としてもよい。
【0016】
本開示に係る光走査装置では、前記ホルダは、台形状とされている構成としてもよい。
【0017】
本開示に係る画像形成装置は、本開示に係る光走査装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本開示によると、保持部において隣接するホルダでは、一方のホルダに対して、他方のホルダを180°回転させて配置されており、幅の狭い第1端部と幅の広い第2端部とが互い違いに並んでいる。そのため、保持部では、複数のホルダ(レーザダイオード)を近づけて配置することができ、レーザダイオードから出射される光束の間隔を縮めることができる。そして、光束を集約することで、レンズ等の光学部品を削減したり、小型化したりできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
図2】本開示の実施の形態に係る光走査装置を示す斜視図である。
図3】本開示の実施の形態に係る光走査装置を示す平面図である。
図4】比較例における保持部近傍を示す模式拡大図である。
図5】本開示の実施の形態におけるホルダを示す斜視図である。
図6】本開示の実施の形態におけるホルダを示す平面図である。
図7】治具に把持されたホルダを示す平面図である。
図8】本開示の実施の形態における保持部近傍を示す拡大平面図である。
図9】光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式斜視図である。
図10】光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の実施の形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本開示の実施の形態に係る画像形成装置の概略側面図である。
【0022】
画像形成装置100は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し(スキャナ機能に相当する)、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で用紙に画像形成する(複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能に相当する)。
【0023】
画像読取部41の上側には、画像読取部41に対して開閉自在に支持された原稿搬送装置50(ADF)が設けられている。原稿搬送装置50が開かれると、画像読取部41の上方の原稿載置台44が開放され、原稿を手置きで置くことができるようになっている。また、原稿搬送装置50は、載置された原稿を、画像読取部41の上に自動で搬送する。画像読取部41は、載置された原稿または原稿搬送装置50から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。
【0024】
画像形成装置100は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト7、定着部12、用紙搬送路Sm、給紙カセット10、積載トレイ15等を備えている。
【0025】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、および帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0026】
ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。なお、光走査装置1の詳細な構造については、後述する図2および図3を参照して説明する。
【0027】
感光体ドラム3の上側には、転写ベルト装置8が設けられ、中間転写ベルト7を介して中間転写ローラ6が配置されている。中間転写ベルト7は、転写駆動ローラ21および転写従動ローラ22に張架され、矢符Cの方向へ周回移動し、ベルトクリーニング装置9によって残留トナーを除去および回収され、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像が順次転写して重ね合わされて、中間転写ベルト7の表面にカラーのトナー像が形成される。
【0028】
2次転写部11の転写ローラ11aは、中間転写ベルト7との間にニップ域が形成されており、用紙搬送路Smを通じて搬送されて来た用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト7の表面のトナー像が転写されて定着部12に搬送される。
【0029】
定着部12は、用紙を挟んで回転する定着ローラ31および加圧ローラ32を備えている。定着部12は、定着ローラ31および加圧ローラ32の間にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着させる。
【0030】
給紙カセット10は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。用紙は、用紙ピックアップローラ16によって給紙カセット10から引き出されて、用紙搬送路Smを通じて搬送され、2次転写部11や定着部12を経由し、排紙ローラ17を介して積載トレイ15へと搬出される。用紙搬送路Smには、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト7と転写ローラ11aとの間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙の搬送を開始する用紙レジストローラ14、用紙の搬送を促す搬送ローラ13、および排紙ローラ17が配置されている。
【0031】
また、用紙の表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ17から用紙反転経路Srへと逆方向に搬送する。用紙反転経路Srでは、反転ローラ18を通じて用紙の表裏を反転させ、用紙を用紙レジストローラ14へと再度導く。その後、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を積載トレイ15へと搬出する。
【0032】
図2は、本開示の実施の形態に係る光走査装置を示す斜視図であって、図3は、本開示の実施の形態に係る光走査装置を示す平面図である。
【0033】
本開示の実施の形態に係る光走査装置1は、矩形状の筐体60を備えており、筐体60の各部に光学部品が取り付けられている。なお、図2および図3では、図面の見易さを考慮し、筐体60の内部が見えるように、筐体60の上面など、一部の部材を取り外した状態を示している。以下では説明のため、筐体60の一方の側面(例えば、取付側面61)に沿った方向を幅方向Xと呼ぶことがあり、取付側面61と隣接する側面に沿った方向を長さ方向Yと呼ぶことがあり、幅方向Xおよび長さ方向Yと直交する方向を高さ方向Zと呼ぶことがある。
【0034】
筐体60の取付側面61には、レーザダイオード81およびホルダ70を保持する保持部61aが設けられている。なお、保持部61aとホルダ70との関係については、後述する図8を参照して説明する。
【0035】
筐体60には、レーザダイオード81およびホルダ70の他に、コリメータレンズ82、第1エキスパンダーレンズ83、反射ミラー84、第2エキスパンダーレンズ85、ポリゴンミラー86(回転多面鏡)、およびfθレンズ87といった光学部品が取り付けられている。なお、筐体60には、これに限らず、ミラー、レンズ、アパーチャ、およびセンサなどの各種部品が取り付けられていてもよい。また、レーザダイオード81から出射される光束LBと光学部品との関係については、後述する図9および図10を参照して説明する。
【0036】
本実施の形態において、筐体60には、4つのレーザダイオード81が取り付けられており、レーザダイオード81のそれぞれに対応して、4つのホルダ70が設けられている。次に、筐体60におけるレーザダイオード81の取り付け位置について、従来の構造に基づく比較例と、本実施の形態とを比較するため、図4ないし図8を参照して説明する。
【0037】
図4は、比較例における保持部近傍を示す模式拡大図である。
【0038】
図4は、従来の構造に基づく比較例であって、筐体の比較取付側面161における比較保持部161a近傍を拡大して示している。比較例において、4つのレーザダイオード(第1比較ダイオード181aないし第4比較ダイオード181d)は、それぞれ対応するホルダ(第1比較ホルダ170aないし第4比較ホルダ170d)に取り付けられており、ホルダを介して筐体に保持されている。比較例において、ホルダ(第1比較ホルダ170aないし第4比較ホルダ170d)は、略円形状とされている。比較保持部161aは、ホルダの形状に応じた円環状の凸部を有し、内側の凹んだ部分にホルダが収容される。なお、図4には図示しないが、比較保持部161aには、レーザダイオード(第1比較ダイオード181aないし第4比較ダイオード181d)の出射部に面した開口が設けられており、出射された光は開口を通る。
【0039】
比較例において、第1比較ホルダ170aないし第3比較ホルダ170cの3つのホルダが、並べて配置されており、第4比較ホルダ170dは、それらから少し離れた位置に取り付けられている。具体的に、幅方向Xで見ると、左方から、第1比較ホルダ170a、第2比較ホルダ170b、第3比較ホルダ170c、および第4比較ホルダ170dの順に取り付けられており、高さ方向Zで見ると、上方から、第4比較ホルダ170d、第1比較ホルダ170a、第2比較ホルダ170b、および第3比較ホルダ170cの順に取り付けられている。つまり、比較例では、幅方向Xおよび高さ方向Zのいずれでも、4つのホルダの位置が重ならないように配置されている。
【0040】
ホルダ同士を近づけて配置しようとしても、互いが干渉してしまうため、ホルダを離間させて配置しなければならず、隣接したレーザダイオード同士の距離(比較素子間距離CSd)を短くするのに限界がある。
【0041】
また、複数のレーザダイオードについて、幅方向Xおよび高さ方向Zでの位置関係を見ると、幅方向Xでは、第1比較ダイオード181aと第4比較ダイオード181dとが最も離れた位置に配置されており、高さ方向Zでは、第3比較ダイオード181cと第4比較ダイオード181dとが最も離れた位置に配置されている。
【0042】
幅方向Xでの第1比較ダイオード181aと第4比較ダイオード181dとの間の距離(比較素子間幅CSw)と、高さ方向Zでの第3比較ダイオード181cと第4比較ダイオード181dとの間の距離(比較素子間高さCSh)とは、光が入射する光学部品のサイズや数に影響を与える。つまり、比較素子間幅CSwおよび比較素子間高さCShが大きくなると、複数のレーザダイオードの光が入射するように光学部品を大きくしたり、それぞれのレーザダイオードの光に対応するように光学部品の数を増やしたりする必要があり、光走査装置1の大型化を求められてしまう。
【0043】
以上より、従来の構成では、レーザダイオードホルダは円形状であるが、複数のレーザダイオードを近接配置し一直線に高さ方向に配置した場合、各レーザダイオードホルダが物理的に干渉してしまう課題があった。
【0044】
これに対し、本実施の形態では、ホルダ70の形状を異ならせ、複数のレーザダイオード81を密集させて配置することで、光学部品等の削減や光走査装置1の小型化を図っている。
【0045】
図5は、本開示の実施の形態におけるホルダを示す斜視図であって、図6は、本開示の実施の形態におけるホルダを示す平面図であって、図7は、治具に把持されたホルダを示す平面図である。
【0046】
本実施の形態において、ホルダ70は、略扇形状とされており、自身の中心を間に挟んで互いに対向する第1端部71および第2端部72と、第1端部71から第2端部72へ向かって直線状に延びる第1側辺部73および第2側辺部74とを有する。第1側辺部73と第2側辺部74とは、第1端部71から第2端部72へ向かうに従って、互いの間隔が徐々に広がるように延伸されている。
【0047】
ホルダ70の形状は、扇形状に限定されず、幅が狭い第1端部71と幅が広い第2端部72との間に延伸された第1側辺部73および第2側辺部74を有する形状とされていればよく、例えば、三角形状や台形状であってもよい。また、幅が無い第1端部71と幅を備えた第2端部72との間に延伸された第1側辺部73および第2側辺部74を有する形状とされていればよく、例えば、単なる三角形状であってもよい。
【0048】
ホルダ70の略中心には、レーザダイオード81の出射部が挿入される円形の開口75が設けられている。開口75の周囲には、少し隙間(素子受け部76)をあけて、円環状の凸部77が設けられている。凸部77は、周囲の平面よりも突出しており、ホルダ70を筐体60に取り付ける際、図7に示すように、治具G(図7では、破線で示す)に把持される部分となっている。素子受け部76は、ホルダ70の厚み方向において、凸部77と段差があり、レーザダイオード81の一部を受け止めるようになっている。
【0049】
第1側辺部73には、一部を切り欠いた切欠き部78が設けられている。ホルダ70を把持する際、凹部である切欠き部78には、治具Gの位置決め爪Gaが挿入される(図7参照)。このように、ホルダ70を保持部61aに取り付ける際、切欠き部78を基準とすることで、ホルダ70の位置決めを行うことができる。
【0050】
図8は、本開示の実施の形態における保持部近傍を示す拡大平面図である。
【0051】
本実施の形態において、4つのレーザダイオード81(第1ダイオード81aないし第4ダイオード81d)は、それぞれ対応するホルダ70(第1ホルダ70aないし第4ホルダ70d)に取り付けられており、ホルダ70を介して筐体60に保持されている。
【0052】
保持部61aでは、4つのホルダ70が高さ方向Zに並べて配置されており、上方から第1ホルダ70a、第2ホルダ70b、第3ホルダ70c、および第4ホルダ70dの順に取り付けられている。保持部61aは、4つのホルダ70の形状に応じた縦長の凸部を有し、内側の凹んだ部分に4つのホルダ70が収容される。また、保持部61aの内側には、第1ダイオード81aないし第4ダイオード81dの出射部に面した位置に開口が設けられており、出射された光は開口を通る。
【0053】
具体的に、図8に示す第1ホルダ70aと第2ホルダ70bとに着目すると、第1ホルダ70aは、第1端部71が幅方向Xでの一方の側(図8では、左方)に向けられ、第2端部72が幅方向Xでの他方の側(図8では、右方)に向けられている。この際、第1ホルダ70aにおいて、第1側辺部73は上方に位置し、第2側辺部74は下方に位置している。そして、第2ホルダ70bは、第1端部71が幅方向Xでの他方の側(図8では、右方)に向けられ、第1端部71が幅方向Xでの一方の側(図8では、左方)に向けられている。この際、第2ホルダ70bにおいて、第2側辺部74は上方に位置し、第1側辺部73は下方に位置している。つまり、第1ホルダ70aに対し、第2ホルダ70bは、180°回転させた状態で保持部61aに取り付けられている。第3ホルダ70cおよび第4ホルダ70dは、第1ホルダ70aおよび第2ホルダ70bと同様にして取り付けられており、第3ホルダ70cは第1ホルダ70aと同じ向きになっており、第4ホルダ70dは第2ホルダ70bと同じ向きになっている。つまり、本実施の形態では、第1端部71および第2端部72の位置が互い違いになるように、複数のホルダ70が並べて配置されている。隣接したレーザダイオード81同士の距離(素子間距離Sd)は、比較例における比較素子間距離CSdよりも短くなっている。
【0054】
保持部61aに保持された状態で隣接するホルダ70は、一方のホルダ70の第1端部71に対し、他方のホルダ70の第2端部72を隣接させて配置されている。また、隣接するホルダ70の側辺部(第1側辺部73および第2側辺部74)同士の関係について詳しく見ると、互いの第1側辺部73同士が対向し、互いの第2側辺部74同士が対向するように配置されている。
【0055】
比較例のように、円形状のホルダ70では、2つのホルダ70をどのように配置しても、ホルダ70同士が干渉するため、ホルダ70の直径程度の距離よりも近づけることができなかった。これに対し、本実施の形態では、幅の狭い第1端部71と幅の広い第2端部72とを互い違いに並べることで、ホルダ70同士を隙間なく詰めることができ、複数のホルダ70(レーザダイオード81)を近づけて配置することができる。それによって、レーザダイオード81から出射される光束の間隔が縮められ、レンズ等の光学部品を削減したり、光走査装置1を小型化したりできる。
【0056】
ホルダ70は、第1端部71および第2端部72に設けられた接着部SE(図8では、破線で示す)を介して、保持部61aと接着される。本実施の形態において、第1端部71には、接着部SEが1箇所設けられており、第2端部72には、接着部SEが2箇所設けられている。第2端部72における2箇所の接着部SEは、できるだけ離れた位置に設けることが好ましく、一方は第1側辺部73に近い位置とされ、他方は第2側辺部74に近い位置とされている。このように、離間した複数箇所を保持部61aと接着することで、ホルダ70をより強固に固定することができる。
【0057】
ホルダ70を保持部61aに取り付ける際、治具Gでホルダ70を把持した状態で、位置合わせをしてもよい。位置合わせの際には、レーザダイオード81から光束LBを出射させ、光束LBの入射箇所などを検知すればよく、ホルダ70の取り付け位置を微調整した後、保持部61aに接着すればよい。
【0058】
図9は、光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式斜視図であって、図10は、光走査装置での光学部品の位置関係を示す模式平面図である。なお、図9および図10では、図面の見易さを考慮して、光走査装置1における光学部品の一部を抜き出して示している。
【0059】
上述したように、光走査装置1の筐体60には、レーザダイオード81(第1ダイオード81aないし第4ダイオード81d)、コリメータレンズ82、第1エキスパンダーレンズ83、反射ミラー84、第2エキスパンダーレンズ85、ポリゴンミラー86、およびfθレンズ87といった光学部品が取り付けられている。
【0060】
図9では、レーザダイオード81(特に、第2ダイオード81b)から出射される光束LBの一部を一点鎖線で示している。なお、図9では省略しているが、第2ダイオード81b以外のレーザダイオード81からも同様にして、光束LBが出射される。光束LBに対して付された主走査方向Sおよび副走査方向Hは、光束LBが走査される方向であって、光が広がる方向に対応している。光束LBの光路のうち、レーザダイオード81から反射ミラー84までの間において、主走査方向Sは、幅方向Xと略平行になっており、副走査方向Hは、高さ方向Zと略平行になっている。
【0061】
コリメータレンズ82は、4つのレーザダイオード81に対応して、4つ設けられており、レーザダイオード81から出射される光束LBの光路上に配置されている。
【0062】
第1エキスパンダーレンズ83は、コリメータレンズ82から出射される光束LBの光路上に配置されている。本実施の形態では、4つのレーザダイオード81に対応して、1つの第1エキスパンダーレンズ83が設けられている。具体的に、第1エキスパンダーレンズ83は、高さ方向Zに並べて配置された4つのレーザダイオード81に応じて、高さ方向Zに長い縦長のレンズとされており、4つのレーザダイオード81から出射される光束LBが全て入射するようになっている。第1エキスパンダーレンズ83は、入射した光束LBに対し、照射範囲を主走査方向Sに広げるように作用する。
【0063】
また、第1エキスパンダーレンズ83は、通過する光束LBについて、副走査方向Hで出射する向き(照射角度)を調整している。第1エキスパンダーレンズ83を経た4つの光束LBは、副走査方向Hにおいて、光束LB同士が集束するように、出射する向きを変える。4つの光束LBは、ポリゴンミラー86に到達した際、副走査方向Hにおいて、光束LB同士が最も集束しており、第1エキスパンダーレンズ83を経た後は、光束LB同士が副走査方向Hに拡散していく。
【0064】
上述したように、本実施の形態では、複数のホルダ70が一方向に並べて配置されており、幅方向Xでの位置が重なっている。そのため、比較例と比べると、レーザダイオード81が幅方向Xにおいて、特に密集した配置となり、光学部品の配置等で有利になる。
【0065】
つまり、図4に示す比較例のようにレーザダイオード81を配置した場合、第1エキスパンダーレンズ83の幅方向Xの長さを大きくしたり、別の第1エキスパンダーレンズ83を設けたり、ミラー等を設けて複数の光束LBを集束したりする必要がある。その結果、部品点数の増加や、筐体60の大型化といった問題が生じる。
【0066】
これに対し、本実施の形態では、複数のレーザダイオード81について、幅方向Xでの位置を揃えつつ、高さ方向Zでの間隔を縮めることで、複数のレーザダイオード81に対し、1つの第1エキスパンダーレンズ83で対応することができる。なお、複数の光束LBに対応させる光学部品は、第1エキスパンダーレンズ83に限らず、各種部品の配置等に基づいて、適切なものを選択すればよい。
【0067】
反射ミラー84は、第1エキスパンダーレンズ83から出射される光束LBの光路上に配置されており、反射した光束LBが第2エキスパンダーレンズ85を通って、ポリゴンミラー86に入射するように導く。
【0068】
第2エキスパンダーレンズ85は、反射ミラー84からポリゴンミラー86までの間の光路上に配置されており、入射した光束LBに対し、照射範囲を主走査方向Sに狭めるように作用する。第2エキスパンダーレンズ85を経た光束LBは、一定の照射範囲を維持する平行光となる。
【0069】
ポリゴンミラー86は、例えば、複数の面を有する多面鏡であって、モータなどの駆動部によって回転する回転軸を有しており、入射した光束LBを回転しながら反射することで、光束LBが感光体ドラム3表面を走査する。
【0070】
fθレンズ87は、ポリゴンミラー86と対向する位置に設けられており、ポリゴンミラー86から出射した光束LBが入射する。図示しないが、fθレンズ87より先の光路では、レンズやミラー等の光学部品を設けてもよく、これらを介した光束LBが感光体ドラム3表面を走査するようにしてもよい。また、光束LBの光路上には、アパーチャを適宜配置してもよく、アパーチャを経ることで光束LBが整形される。
【0071】
また、図10のように、主走査方向(図9のS方向。図9ではX方向)において、各レーザダイオードからポリゴンミラー面までの、各レーザダイオード81(第1ダイオード81aないし第4ダイオード81d)から出射されるビームの光軸は、同一直線となっており、換言すると、4つのビームの光軸は重なっている。
【0072】
従来は、光学性能(ビームサイズなど)を向上させるべく、各レーザダイオードを高さ方向に近接配置させないといけないため、複数のレーザダイオードを横並びに斜め傾斜させて配置させていた。しかし、光走査装置にオーバーフィル光学系を採用するためには、幅広ビームにするエキスパンダーレンズを入射系に取り入れる必要がある。
【0073】
そこで、光走査装置に、従来の複数のレーザダイオードの横並び配置を採用すると、各レーザダイオードからポリゴンミラー面までの光路長が、各色のビーム毎にそれぞれ異なるため、光学性能を出すには、各レーザダイオードのビーム光路に、それぞれエキスパンダーレンズ(4つ)を配置する必要があり、コストアップとなる。
【0074】
一方、本実施の形態のように、レーザダイオードを一直線に高さ方向に配置する場合、各レーザダイオードからポリゴンミラー面までの光路長が等しくなり、1つのエキスパンダーレンズを設けるだけでよく、低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態では、光走査装置1について、オーバーフィル光学系を採用してもよい。
【0075】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本開示の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 光走査装置
60 筐体
61 取付側面
61a 保持部
70 ホルダ
71 第1端部
72 第2端部
73 第1側辺部
74 第2側辺部
75 開口
76 素子受け部
77 凸部
78 切欠き部
81 レーザダイオード
100 画像形成装置
SE 接着部
X 幅方向
Y 長さ方向
Z 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10