(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168790
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】フィルタ装置、及び該フィルタ装置を備えたフィルタ付き化学装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/02 20060101AFI20241128BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B01D46/02 A
B01D46/52 A
B01D46/52 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085736
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】福原 隆介
(72)【発明者】
【氏名】竹井 一剛
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA04
4D058JA10
4D058KC01
4D058KC33
4D058LA01
4D058QA01
4D058QA13
4D058SA20
(57)【要約】
【課題】省スペース化を図ることができるフィルタ装置、及び該フィルタ装置を備えたフィルタ付き化学装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係るフィルタ装置1は、バグフィルター10と、該バグフィルター10を収容する筐体20と、を備え、前記筐体20は、該筐体20を取付対象物に対して取り付けるための接合部21aを有し、且つ、該接合部21aには前記取付対象物と連通する開口21bが形成されており、前記バグフィルター10の端部が、前記接合部21aと同位置又は前記接合部21aよりも前記筐体20の外側に位置するように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バグフィルターと、
該バグフィルターを収容する筐体と、を備え
前記筐体は、該筐体を取付対象物に対して取り付けるための接合部を有し、且つ、該接合部には前記取付対象物と連通する開口が形成されており、
前記バグフィルターの端部が、前記接合部と同位置又は前記接合部よりも前記筐体の外側に位置するように配置される、
フィルタ装置。
【請求項2】
前記筐体と前記バグフィルターとの間の空間が、前記バグフィルターを通過する前の被処理流体が流通する一次側流路である、請求項1記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記接合部が、粉塵を発生させる化学装置の開口部に取り付けられ、前記バグフィルターの端部は、前記バグフィルターの下部となるよう配置されている、請求項1記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記筐体は前記接合部に向かって窄まる形状を有しており、前記接合部の近傍において前記筐体と前記バグフィルターとの間に隙間が形成されている、請求項2記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記バグフィルターは、前記接合部に隣接する領域がプリーツ形状を有している、請求項1記載のフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載のフィルタ装置を備えた、フィルタ付き化学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、及び該フィルタ装置を備えたフィルタ付き化学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化学装置から排出される流体中に含まれる粉塵を捕捉するフィルタ装置が知られている。例えば、特許文献1には、減圧ポンプで機内を減圧状態とし、該機内で粉粒体を混合・乾燥させる真空乾燥機が記載されている。該真空乾燥機は、逆円錐形の容器内に粉粒体を撹拌するためのスクリュー翼が設けられており、該スクリュー翼は容器外に設置された伝動装置によって該容器内壁に沿って公転しながら自転するように構成されている。そして、容器上部に設けられ排気口には除塵装置が取り付けられており、該容器から排出されるガスに含まれる粉塵を捕捉するようになっている。
【0003】
該除塵装置は、複数の有底円筒状のバグフィルターを備えており、該複数の有底円筒状のバグフィルターは、底を下に向けて吊るした状態で除塵装置の内部に保持されている。除塵装置の下部はテーパ状に窄まる形状となっており、バグフィルターの下流側からパルスジェットを吹き込むことによってバグフィルターから払い落とされた粉塵を集塵装置の下部に設けた排出口に向けて案内するように構成されている。
【0004】
特許文献1記載のような集塵装置においては、上述のように該集塵装置の下部にバグフィルターから払い落とした粉塵を排出口に向けて案内するテーパ状の部分等を有しているため、バグフィルターを収容する筐体の内部空間にムダなスペースが生じ、集塵装置が大型化するといった問題がある。
【0005】
また、特許文献2には、同じく減圧ポンプで容器内を減圧状態とし、該容器内で粉粒体を混合・乾燥させる混合乾燥機が記載されている。該混合乾燥機の容器上部には、減圧ポンプへと繋がる管体が設けられており、該管体の途中に集塵装置が設けられている。特許文献2に記載の集塵装置は、減圧ポンプへと通じるメイン通路と、該メイン通路から分岐し該メイン通路とは異なる方向に延びる脱着通路とを有し、該脱着通路の端に設けた挿入口から粉塵を捕捉するためのフィルターユニットを該着脱通路へ脱着することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-148857号公報
【特許文献2】特開2011-117711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、特許文献2記載の集塵装置では、混合乾燥機から機外へと通じる管体の一部が集塵装置の筐体を構成している点で省スペース化が図られているが、集塵装置の省スペース化についてさらに改善の余地がある。
【0008】
本発明は、省スペース化を図ることができるフィルタ装置、及び該フィルタ装置を備えたフィルタ付き化学装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るフィルタ装置は、
バグフィルターと、
該バグフィルターを収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、該筐体を取付対象物に対して取り付けるための接合部を有し、且つ、該接合部には前記取付対象物と連通する開口が形成されており、
前記バグフィルターの端部が、前記接合部と同位置又は前記接合部よりも前記筐体の外側に位置するように配置される。
【0010】
かかる構成のフィルタ装置によれば、バグフィルター全体を筐体内に収容する場合と比較して筐体の内容積を減らすことができ、フィルタ装置のコンパクト化を図ることができる。
【0011】
一態様に係るフィルタ装置においては、前記筐体と前記バグフィルターとの間の空間が、前記バグフィルターを通過する前の被処理流体が流通する一次側流路とすることができる。
【0012】
かかる構成によれば、フィルタ装置の入口において、バグフィルターの端部と筐体との間を塞ぐ構成とする必要がなく、フィルタ装置の入口構成を簡素化することができる。
【0013】
一態様に係るフィルタ装置においては、前記接合部が、粉塵を発生させる化学装置の開口部に取り付けられ、前記バグフィルターの端部は、前記バグフィルターの下部となるように配置されている。
【0014】
かかる構成によれば、バグフィルター表面から払い落とされた粉塵はそのまま取付対象である化学装置内に落下するため、フィルタ装置への付着や堆積が低減するという効果がある。
【0015】
一態様に係るフィルタ装置においては、前記筐体は前記接合部に向かって窄まる形状を有しており、前記接合部の近傍において前記筐体と前記バグフィルターとの間に隙間が形成されている。
【0016】
かかる構成によれば、接合部が比較的小さくなるため化学装置への取付けがしやすくなるという効果がある。また、バグフィルターから払い落とされた粉体を、筐体とバグフィルターとの隙間から確実に下方へ落下させることができるという効果がある。
【0017】
一態様に係るフィルタ装置においては、前記バグフィルターは、前記接合部に隣接する領域がプリーツ形状を有している。
【0018】
かかる構成によれば、バグフィルターの外径を大きくし、バグフィルターが前記接合部に形成された開口に接するような構成とした場合であっても、プリーツの襞に形成された多数の溝を通って被処理流体が第一筐体内に流入可能であるため、バグフィルターの外径を接合部に形成された開口とほぼ同じ大きさまで大きくすることが可能となる。
【0019】
本発明の一態様に係るフィルタ付き化学装置は、上述のようなフィルタ装置を備えたものとすることができる。
【0020】
かかる構成のフィルタ付き化学装置によれば、フィルタ装置のコンパクト化が図られるとともに、処理対象物の収率が改善するという効果がある。
【発明の効果】
【0021】
以上より、本発明の一態様によれば、省スペース化を図ることができるフィルタ装置、及び該フィルタ装置を備えたフィルタ付き化学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、化学装置の一例としての混合乾燥機の一実施形態を示す概略図であり、混合乾燥機についてはその内部構造を示した図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るフィルタ装置の全体を示す側面断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るフィルタ装置におけるフィルターユニットを示す斜視図ある。
【
図5】
図5は、一実施形態に係るフィルタ装置の上部を示す側面断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態にかかるフィルタ装置のハッチを取り外した状態で上部から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るフィルタ装置及び該フィルタ装置を備えた一実施形態のフィルタ付き化学装置について添付図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、本明細書において、上流側とはフィルタ装置の処理対象流体の上流側を意味し、下流側とはフィルタ装置の処理対象流体の下流側を意味する。また、バグフィルターを基準として流体がこれを通過する前の流路を一次側流路、通過した後の流路を二次側流路という。
【0024】
一実施形態に係るフィルタ付き化学装置は、化学装置の一例である混合乾燥機30に一実施形態のフィルタ装置1が備えられたものである。混合乾燥機30は、スラリー状の被処理物を反応、晶析、ろ過、乾燥、混合等するものであり、例えば、神鋼環境ソリューション社製のPVミキサーを挙げることができる。フィルタ装置1は、該混合乾燥機30から排出されるガス(気体)中の粉塵を捕捉するものである。
【0025】
なお、化学装置としては、混合乾燥機以外にも、ろ過乾燥装置、反応装置、濃縮装置、攪拌装置、蒸発装置、凝縮器、貯留装置など、装置から排出される流体中に捕捉対象となる粉塵や液滴等を含む装置を挙げることができる。
【0026】
本実施形態における混合乾燥機30について具体的に説明する。
図1に示すように、該混合乾燥機30は、下方に進むに連れて縮径する逆円錐筒状の容器本体31を有するとともに、該容器本体31の上端部には上蓋32が着脱可能に設けられており、該上蓋32によって容器本体31の上側開口が塞がれるように構成されている。また容器本体31の下側には開口が設けられ、製品排出口となっている。該製品排出口には開閉バルブが設けられており、該開閉バルブによって製品排出口を開閉できるようになっている。また、容器本体31の外周面には容器本体内に収容された被処理物を加熱又は冷却するためのジャケットが設けられている。
【0027】
また、容器本体31内には撹拌手段33が設けられている。該撹拌手段33は、容器本体の中心軸線に沿って配置される回転軸33aと、該回転軸33aの中間部に取り付けられた複数のパドル翼33bおよび複数の補助翼と、該回転軸33aの下端部に取り付けられた螺旋リボン翼33cとを備えている。該回転軸33aの上端部には駆動装置34が連結されている。駆動装置34は、いわゆる減速機付き電動機であり、出力軸を介して回転軸33aを中心軸線回りに回転させるように構成されている。
【0028】
また、前記上蓋32には開閉可能な蓋を備えたマンホール35が形成されており、このマンホール35又は別途設けられる投入口から容器本体内に被処理物を投入し、又は点検のために人が出入りすることができるように構成されている。更に、該上蓋32には排気口36が形成されており、該排気口36を介して容器本体内からガスが排出可能となっている。具体的には、該排気口36は減圧ポンプ(図示せず)と接続され、該減圧ポンプが容器本体内のガスを吸引して容器本体内を減圧状態に調整しうるように構成されている。この排気口36には一実施形態のフィルタ装置1が取り付けられており、排気口36から減圧ポンプへ排出されるガス中に含まれる粉塵を捕捉するように構成されている。
【0029】
なお、減圧状態とは、大気圧よりも低い状態を示すものであって容器本体内の圧力を具体的に限定するものではなく、被処理物の種類や状態、あるいは処理工程に応じてそれぞれ異なる減圧状態としてもよい。また減圧状態には、真空及びそれに近い状態も含むものである。また、本実施形態の混合乾燥機においては、減圧ポンプを利用して容器本体内を減圧状態にする際に排出されるガスをフィルタ装置1に通す構成について説明しているが、必ずしも減圧ポンプを必要とするものではない。例えば、大気圧下で容器本体内の被処理物を単に加熱して乾燥させる際に容器本体内の圧力上昇によって排出されるガスをフィルタ装置1に通すようにしてもよい。
【0030】
本実施形態のフィルタ装置1は、バグフィルター10と、該バグフィルター10を収容する筐体20と、を備えている。該筐体20は、取付対象物に対して取り付けるための接合部21aを有する第一筐体21と、バグフィルター10を通過したガスを排出する排出部24を有する第二筐体22と、を備えている。
ここで、取付対象物とは、当該フィルタ装置1を取り付ける対象物を意図するものであり、本実施形態の混合乾燥機のような粉塵を発生させる化学装置や、該化学装置の排気口に接続された管体等を含むものである。
【0031】
前記第一筐体21の前記接合部21aには、取付対象物たる混合乾燥機と連通する開口21bが形成されている。本実施形態では、該接合部21aはフランジを有しており、該フランジの内側に前記開口21bが形成されている。また、前記混合乾燥機の排気口36には、前記接合部21aのフランジと対応する環状の取付治具37が設けられ、該環状の取付治具37と前記接合部21aのフランジとで排気口36の周縁部36aを挟み込んだ状態としつつ該環状の取付治具37と前記接合部21aのフランジとをボルト等の固定具38で固定することにより、第一筐体21の接合部21aと混合乾燥機30の上蓋32とが連結されている。これにより、前記混合乾燥機30の排気口36と第一筐体21の開口21bとが合致し、流体連通した状態となっている。なお、本実施形態では上記のような接合構造となっているが、取付対象たる化学装置にフランジを設け、前記接合部21aのフランジとボルト等の固定具で直接固定してもよい。
【0032】
本実施形態における第一筐体21は円筒状に形成されており、前記接合部21aに形成された開口21bは円形となっている。また、第一筐体21の一部は、前記接合部21aに向かって窄まる形状を有している。該第一筐体21の内部には該第一筐体21の中心線に沿うように配置された円筒状のバグフィルター10が収容されている。バグフィルター10の端部は、バグフィルターの下部となるよう配置されており、具体的には、前記第一筐体21の前記接合部21aよりも前記第一筐体21の外側に位置している。本実施形態の第一筐体21は、中心線が鉛直方向であり且つ前記接合部21aに形成された開口21bが下向きとなるように配置されている。これに伴い、バグフィルター10の端部は接合部21aに形成された開口21bから鉛直下方へはみ出た状態となっている。
【0033】
前記第一筐体の接合部から外部にはみ出たバグフィルターの中心線方向の長さは、バグフィルター全体の中心線方向の長さに対して、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、又は0.5以上とすることができる。また、前記第一筐体21の接合部21aから外部にはみ出たバグフィルター10の中心線方向の長さは、バグフィルター10全体の中心線方向の長さに対して、0.9以下、0.8以下、0.7以下又は0.5以下とすることができる。なお、本発明では、バグフィルター10の端部が第一筐体21の接合部21aと同位置となる状態、すなわち、前記第一筐体21の接合部21aから外部にはみ出たバグフィルター10の中心線方向の長さが、バグフィルター10全体の軸方向長さに対して0であってもよい。前記第一筐体21の接合部21aから外部にはみ出たバグフィルター10の中心線方向の長さが大きいほど、第一筐体21を小さくすることができ、フィルタ装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
また本実施形態において、バグフィルター10は、通気性を有し且つ粉塵を捕捉するように構成されたフィルターエレメント(ろ布)12と、該フィルターエレメント12を所定の形状に保持するリテーナ13とを備えている。また本実施形態において、バグフィルター10は、前記第一筐体21から取り外し可能なフィルターユニット100の一部として備えられている。具体的には、本実施形態のフィルターユニット100は、前記フィルターエレメント12と、該フィルターエレメント12を所定の形状に保持するリテーナ13と、該リテーナ13の基端側に配置される保持部11とを備えて構成されている。
【0035】
図3、
図4に示すように本実施形態のフィルターエレメント(ろ布)12は、全体が有底円筒状をなすように構成されている。また、本実施形態のフィルターエレメント12は、該フィルターエレメント12の外側から内側へ向かって被処理流体を流し、フィルターエレメント12の外表面において粉塵を捕捉するように構成されている。さらに、本実施形態のフィルターエレメント12は、円筒の側面がプリーツ状に形成され、該プリーツを構成する襞が円筒の中心線方向、すなわち、本実施形態では鉛直方向に延びるように配置されている。そして、本実施形態ではフィルターエレメント12は底部が下方側に位置し、開口部が上方側に位置するように配置されている。これに伴い、該フィルターエレメント12の底部は前記第一筐体21の接合部21aより下方に位置している。
【0036】
フィルターエレメント12の材質としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどの樹脂製のものや、SUS等の金属製のものを使用することができる。
【0037】
また、バグフィルター10が第一筐体21の接合部21aよりも外側に位置することに伴い、該バグフィルター10における前記接合部21aに隣接する領域、すなわち、前記接合部21aの開口21bを該バグフィルター10が通過している領域、についてもプリーツ形状を有するものとなっている。これにより、バグフィルター10の外周を大きくして開口21bの周面に接するような構成とした場合であっても、プリーツの襞に形成された多数の溝を通ってガスが第一筐体21内に流入することが可能となっている。
【0038】
該リテーナ13は、有底円筒状をなすフィルターエレメント12の軸方向に沿って延び且つ周方向に概ね等間隔に配置された複数の支柱と、周方向に延び且つ該複数の支柱を支持する複数の環状部材とを備えている。
【0039】
図2、
図3に示すように前記保持部11は、中央に開口を有する板状の仕切部材14と、該仕切部材14の片側に設けられた円環状のフィルタ固定部材15と、前記仕切部材14の開口14aと連通したベンチュリ―管26とを備える。前記円環状のフィルタ固定部材15の内周面には前記リテーナ13の支柱が固定されており、外周面にはフィルターエレメント12が被せられてバンドで固定しうるようになっている。
また、該保持部11のフィルタ固定部材15とは反対側には、作業者が該フィルターユニット100を取り外すためのハンドル16が備えられている。
【0040】
図2に示すように前記第一筐体21は、前記接合部21aと反対側に、フィルターユニット100を支持する支持構造が備えられている。具体的には、前記バグフィルター10の端部が接合部21aと同位置又は接合部21aの外側まで到達するような位置で該フィルターユニット100を支持するべく、該フィルターユニット100の仕切部材14の外周部が載置される支持部21cを備える。該支持部21cは、前記第一筐体21の内周面から第一筐体21の内側に向かって延びる円環状の板部材であり、前記仕切部材14の外周部と隙間なく当接するように構成されている。
【0041】
また、
図2、
図5及び
図6に示すように、前記支持部21cには、前記フィルターユニット100の仕切部材14を前記支持部21cに向けて押さえつける固定具21dが備えられており、これによってフィルターユニット100が前記支持部21cに対して固定されている。
【0042】
また、
図2に示すように、バグフィルター10と混合乾燥機30の排気口36との間、およびバグフィルター10と第一筐体21との間には、空間(隙間)が形成されている。本実施形態においては、第一筐体21は、接合部21aに向かって窄まる形状を有しているため、接合部21aの近傍においてバグフィルター10と第一筐体21と間、および混合乾燥機30の排気口36とバグフィルター10との間が最も狭くなっている。例えば、バグフィルター10と第一筐体との間の隙間が接合部21aで最も狭くなっている場合、当該接合部21aの開口径に対するバグフィルター10の外径は、0.95以下、0.9以下、又は0.85以下であり、0.5以上、0.6以上、又は0.7以上である。かかる構成により、バグフィルター10から払い落された粉体を混合乾燥機30へと落下させることができ、粉体等が詰まることを防止することができる。
【0043】
本実施形態では周面がプリーツ状のバグフィルターを使用しているため、バグフィルターの外径よりも内側に多数の溝が形成されており、バグフィルター10が第一筐体21や混合乾燥機30の排気口36に近接した場合であっても、確実に隙間が確保されたものとなっている。
【0044】
上記構成の第一筐体21及びフィルターユニット100を備えることにより、本実施形態のフィルタ装置1は、第一筐体21とバグフィルター10との間の空間(一次側領域)にガスを流入させ、バグフィルター10の外側から内側へとガスを通過させ、バグフィルター10を通過したガスを、前記仕切部材14の開口14aを介して第二筐体22内(二次側流路)へと排出するように構成されている。
【0045】
前記第二筐体22は、前記第一筐体21と同じ内径の円筒状周壁と、該円筒状周壁の中心線方向における一端部(本実施形態では頂部)にフィルターユニット100取り外し用のハッチ23が設けられている。また、前記第二筐体22の前記円筒状周壁には、バグフィルター10を通過したガスを排出する排出部24が設けられている。該排出部24は、前記円筒状周壁から前記第二筐体22の径方向に延びる排気管24aを備え、該排気管24aの先端に排気口24bが設けられている。言い換えると、該第二筐体22は、前記仕切部材14の開口14aから第一筐体21及び第二筐体22の中心線方向に向かって流入したガスを、該中心線と直交する径方向へと向きを変え、排気管24aを通して排気口24bへと案内するように構成されている。
【0046】
また、該第二筐体22には、前記バグフィルター10に逆洗用のエアーを供給する圧縮空気供給配管が設けられている。具体的には、該圧縮空気供給配管25は、
図5及び
図6に示すように、前記第二筐体22の円筒状周壁を貫通するように設けられ、前記仕切部材14の開口14aに向けて圧縮空気を噴出させる噴出口25aを有し、前記フィルターユニット100にはバグフィルター上部の払落し効果を高めるためのベンチュリ―管26が設けられている。該圧縮空気供給配管25には圧縮空気供給装置(図示せず)からパルス状の圧縮空気が供給され、前記噴出口25aから噴出したパルス状の圧縮空気は前記ベンチュリ―管26からバグフィルター10へと流入し、バグフィルター10に堆積した粉塵を払い落とす。
【0047】
上記実施形態に係るフィルタ装置1によれば、バグフィルター10の端部が前記接合部21aの外側、すなわち、該接合部21aよりも下方に位置するように構成され、取付対象である化学装置内に至るように配置されているため、バグフィルター10全体を筐体20内に収容する場合と比較して筐体20の内容積を減らすことができ、フィルタ装置1のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
また、本実施形態のフィルタ装置1では、第一筐体21と第二筐体22とを合わせた筐体20全体の内容積に対し、該筐体20内に配置されている前記バグフィルター10の占める容積の割合が高く、バグフィルター10の収容効率の改善が図られている。
【0049】
また、本実施形態に係るフィルタ装置1は、接合部21aが第一筐体21の下方に向けられ且つ混合乾燥機の開口部に取り付けられ、前記バグフィルター10の端部が該接合部21aから下方に向けて配置されているため、バグフィルター10表面から払い落とされた粉塵はそのまま混合乾燥機内に落下するため、フィルタ装置への付着や堆積が低減するという効果がある。
また、本実施形態に係るフィルタ装置1は、混合乾燥機(化学装置)に設けられた排気口36に設けられたノズルと第一筐体の接合部のフランジとで形成される流路にバグフィルターが配置され、バグフィルターの端部が前記ノズル内に位置するように形成されているが、本発明はこれに限定されず、バグフィルターの端部が化学装置の容器内に突出するように配置されてもよい。
【0050】
また、本実施形態に係るフィルタ装置1は、取付対象が混合乾燥機であり、捕捉された粉塵は該混合乾燥機の処理対象物である。そのため、端部が混合乾燥機内に至るように配置された前記バグフィルター10で捕捉された粉塵は、前記パルス状の圧縮空気によって払い落とされて混合乾燥機へと戻り、処理対象物と再度混合されることとなる。これにより、該混合乾燥機における収率を高めることが可能となる。
【0051】
また、上記実施形態によれば、有底筒状のバグフィルター10を採用し且つ該バグフィルター10の底部を前記接合部21aよりも筐体20の外側に位置するように配置し、前記第一筐体21と前記バグフィルター10との間にガスを導入する構成とした。すなわち、前記第一筐体21と前記バグフィルター10との間の空間が前記バグフィルター10を通過する前の被処理流体が流通する一次側流路とする構成をとなっている。かかる構成により、バグフィルターの端部と筐体との間を塞ぐ構成とする必要がなく、フィルタ装置の入口の構成を簡素化できるという効果がある。
【0052】
尚、本発明に係るフィルタ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、周面がプリーツ状となった有底円筒状のバグフィルターを採用したが、プリーツを備えないバグフィルターを採用しても良い。
また、上記実施形態では、バグフィルターの中心線が鉛直方向となるように配置しているがこれに限定されず鉛直方向に対して傾斜(例えば0度を超えて30度以下)するように配置しても良い。傾斜させることで化学装置との接合部に合わせて配置することが可能となる。
【0053】
また、上記実施形態では、該バグフィルター10の底部を前記接合部21aよりも筐体20の外側に位置するように配置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、前記接合部21aよりも筐体20の外側に位置するバグフィルターの端部に開口部を設け、該開口部からバグフィルターの内側へガスを流入させバグフィルターの反対側端部(筐体の内側に位置する端部)を閉塞した構成としてもよい。すなわち、有底筒状のバグフィルターの開口部を下方向に向けた状態で配置する構成としてもよい。この場合、バグフィルターの開口部からバグフィルターの内側にガスを流入させる必要があるため、バグフィルターの上流側端部(開口部の周囲)と、前記第一筐体21の接合部21aとの間はガスが流入しないよう閉塞した構成となる。また、前記バグフィルターユニット100を構成する仕切部材14には開口を設けず、該円板状の板部材が円筒状の第一筐体21の端部を塞ぐ構成となる。また、これに伴い、上述のような第二筐体22は設けられず、第一筐体21の側面に前記排気管が設けられる。
このような構成を採用することで筐体の内面に粉粒体が付着したり、筐体内に堆積することを抑制できる。
【符号の説明】
【0054】
1…フィルタ装置、10…バグフィルター、12…フィルターエレメント、13…リテーナ、20…筐体、21…第一筐体、21a…接合部、22…第二筐体、30…混合乾燥機、100…フィルターユニット