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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168792
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】クラッチユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/10 20060101AFI20241128BHJP
   F16D 41/067 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F16D41/10
F16D41/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085739
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 恭兵
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓俊
(57)【要約】
【課題】駆動軸の出力側から入力されたトルクによってロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止するクラッチユニットを提供する。
【解決手段】トルクによる駆動軸2の軸線Pまわりの回転を規制する出力側クラッチ20と、操作レバー40によってトルクが入力される入力側第1回転部材11、及びトルクを駆動軸2に伝達する入力側第2回転部材13を有し、操作レバー40によってトルクを伝達する接続状態と、トルクを伝達しない接続解除状態とに切り替え可能な入力側クラッチ10と、操作部レバー40によって駆動軸2の回転を抑制する係合状態と回転を抑制しない係合解除状態とに切り替え可能に構成されるロック機構50と、を有するクラッチユニット1である。クラッチユニット1のトルク伝達機構入力側クラッチ10は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に位置する場合において、接続解除状態である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から軸線まわりのトルクが入力される駆動軸を回転可能に支持するハウジングと、
前記駆動軸の出力側から前記駆動軸に入力されるトルクによる前記駆動軸の回転を規制する回転規制機構と、
前記駆動軸にトルクを伝達する接続状態と、前記駆動軸へのトルクの伝達を解除する接続解除状態とに切り替え可能に構成されるトルク伝達機構と、
前記駆動軸を前記ハウジングに対して回転不能な係合状態と、前記駆動軸を前記ハウジングに対して回転可能な係合解除状態とに切り替え可能に構成されるロック機構と、
前記軸線まわりに回転可能な状態で前記ハウジングに支持され、回転操作によって前記トルク伝達機構を前記接続状態と前記接続解除状態とに切り替えるとともに、前記ロック機構を前記係合状態と前記係合解除状態とに切り替える操作部材と、
を有するクラッチユニットであって、
前記操作部材は、
前記ロック機構を前記係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、前記トルク伝達機構を前記接続状態に保ち、前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記トルク伝達機構を前記接続解除状態に保つことを特徴とする、
クラッチユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のクラッチユニットにおいて、
前記トルク伝達機構は、
前記操作部材と連動し、前記操作部材の操作によってトルクが入力される入力部材と、
前記入力部材に入力されたトルクを前記駆動軸に伝達する出力部材と、
前記入力部材と前記出力部材とに接触することで前記入力部材に対する前記出力部材の位置を保持し、前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する保持部材と、を有し、
前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際、前記保持部材が前記入力部材及び前記出力部材の少なくとも一方から離れている、
クラッチユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のクラッチユニットにおいて、
前記トルク伝達機構は、
前記ハウジングに固定され、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に前記保持部材の位置を保持する位置保持用爪部と、を有し、
前記入力部材または前記出力部材の少なくとも一方は、
他方に向かって突出するカム部を有し、
前記保持部材は、
前記操作部材が前記ロック機構を前記係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、前記カム部によって前記入力部材と前記出力部材とに接触し、
前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記位置保持用爪部によって前記カム部から離れた位置に保持される、
クラッチユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のクラッチユニットにおいて、
前記入力部材は、
前記出力部材の径方向内方に位置し、前記駆動軸の軸線方向に見て円弧状の外縁部と前記外縁部から径方向外方に向かって突出するカム部とを有し、
前記出力部材は、
前記入力部材のカム部よりも径方向外方において、前記軸線方向に延びる軸線方向に見て円弧状の壁部を有し、
前記保持部材は、
前記外縁部と前記壁部との間に位置する、
クラッチユニット。
【請求項5】
請求項3に記載のクラッチユニットにおいて、
前記入力部材は、
前記出力部材よりも径方向外方において軸線方向に延び、前記軸線方向に見て円弧状の壁部と前記壁部から径方向内方に向かって突出するカム部とを有し、
前記出力部材は、
前記入力部材の径方向内方に位置し、前記軸線に見て円弧状の外縁部を有し、
前記保持部材は、
前記外縁部と前記壁部との間に位置する、
クラッチユニット。
【請求項6】
請求項2に記載のクラッチユニットにおいて、
前記トルク伝達機構は、
前記入力部材と前記出力部材との接触によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する前記接続状態に切り替わり、前記入力部材と前記出力部材との離間によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達しない前記接続解除状態に切り替わる、
クラッチユニット。
【請求項7】
請求項3から5に記載のクラッチユニットにおいて、
前記保持部材は、
前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、弾性部材によって前記位置保持用爪部に押し付けられ、前記カム部から離れた位置に保持される、
クラッチユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクラッチユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
操作レバーを操作することで自動車等の車両のシートを昇降させる車両用シートリフタ用のクラッチユニットが知られている。前記クラッチユニットは、トルクを伝達する駆動軸を介して入力側クラッチと出力側クラッチとが組み合わされている。前記入力側クラッチは、前記操作部材の操作によって入力されるトルクを、前記駆動軸を介してシート昇降機構の入力軸へ伝達する。前記出力側クラッチは、前記操作部材の操作によって入力されるトルクを、前記駆動軸へ伝達すると共に前記シート昇降機構の入力軸から駆動軸に逆方向に入力されるトルクを遮断する。
【0003】
このような入力側クラッチ及び出力側クラッチは、入力側部材と出力側部材とが摩擦接合部を介して連結されている。前記クラッチユニットは、摩擦接合部に生じる摩擦力を利用して、前記入力側部材から入力されるトルクを前記出力側部材に伝達している。前記クラッチユニットは、前記摩擦接合部に生じる摩擦力によって前記入力側部材から前記出力側部材に伝達できる許容トルクが定まる。よって、前記クラッチユニットは、衝撃等によって前記出力側部材から許容トルクよりも大きいトルクが入力されると、摩擦接合面が滑り、前記入力側部材に対して出力側部材が回転する場合があった。また、前記摩擦接合部は、外部からの振動が入力されることにより、前記摩擦接合面の接合状態が不安定になる場合がある。このような場合、前記クラッチユニットは、前記摩擦接合部で微小滑りが発生し、出力側部材が回転する場合があった。
【0004】
そこで、トルクが伝達される駆動軸と、前記駆動軸を回転可能に支持するハウジングとが相対回転不能なロック状態と、前記駆動軸と前記ハウジングとが相対回転可能な調節状態とに切り替え可能な自動車内装部品を調節する装置(クラッチユニット)が開示されている(例えば特許文献1)。この特許文献1に記載のクラッチユニットは、駆動軸側係合部材(第1ロック部材)とハウジング側係合部材(第2ロック部材)とを有するロック機構を備えている。前記クラッチユニットの駆動軸には、前記駆動軸側係合部材が固定されている。前記クラッチユニットのハウジングには、前記ハウジング側係合部材が固定されている。前記クラッチユニットは、前記駆動軸側係合部材と前記ハウジング側係合部材とが係合することにより、前記クラッチユニットの駆動軸が前記ハウジングに対してロックされて、前記駆動軸の回転が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-534018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のクラッチユニットにおけるハウジング側係合部材は、一端部が前記ハウジングに固定され、他端部に傾斜面を有する係合解除部(ロック解除要素)を備えている。この係合解除部は、前記ハウジング側係合部材をロック状態と調節状態とに切り替える作動手段に接触している。前記作動手段は、前記ハウジング側係合部材のロック解除要素との接触によって前記ハウジング側係合部材の他端部を前記駆動軸側係合部材から離れた位置に移動可能に設けられている。これにより、前記ハウジング側係合部材は、前記作動手段によって前記駆動軸側係合部材から離れている係合解除状態と、他端部が前記駆動軸側係合部材と係合している係合状態とに切り替わる。一方、前記出力側クラッチは、出力側から前記入力側部材と前記出力側部材との摩擦接合部に生じる摩擦力以上のトルクが前記駆動軸に加わった場合、前記摩擦接合面が滑り、作動手段が回転する。これにより、ロック状態のハウジング側係合部材が係合解除状態に切り替わり、前記駆動軸が回転するおそれがあった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、駆動軸の出力側から入力されたトルクによってロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止するクラッチユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るクラッチユニットは、外部から軸線まわりのトルクが入力される駆動軸を回転可能に支持するハウジングと、前記駆動軸の出力側から前記駆動軸に入力されるトルクによる前記駆動軸の回転を規制する回転規制機構と、前記駆動軸にトルクを伝達する接続状態と、前記駆動軸へのトルクの伝達を解除する接続解除状態とに切り替え可能に構成されるトルク伝達機構と、前記駆動軸を前記ハウジングに対して回転不能な係合状態と、前記駆動軸を前記ハウジングに対して回転可能な係合解除状態とに切り替え可能に構成されるロック機構と、前記軸線まわりに回転可能な状態で前記ハウジングに支持され、回転操作によって前記トルク伝達機構を前記接続状態と前記接続解除状態とに切り替えるとともに、前記ロック機構を前記係合状態と前記係合解除状態とに切り替える操作部材と、を有する。
【0009】
前記クラッチユニットの前記操作部材は、前記ロック機構を前記係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、前記トルク伝達機構を前記接続状態に保ち、前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記トルク伝達機構を前記接続解除状態に保つ。
【0010】
このように構成される本発明のクラッチユニットは、トルクを入力可能なトルク伝達機構と、駆動軸の軸線まわりの回転を抑制するロック機構とを前記操作部材の操作によって操作可能である。前記操作部材は、前記ロック機構を前記駆動軸の回転を抑制する係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記トルク伝達機構を前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達しない接続解除状態に保つように構成される。よって、前記トルク伝達機構は、前記駆動軸の出力軸側から前記駆動軸にトルクが入力されても前記出力部材から前記入力部材にトルクを伝達しない。前記ロック機構は、前記入力部材と連動する前記操作部材が軸線まわりに回転しないので、係合状態を維持する。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【0011】
本発明に係るクラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記トルク伝達機構は、前記操作部材と連動し、前記操作部材の操作によってトルクが入力される入力部材と、前記入力部材に入力されたトルクを前記駆動軸に伝達する出力部材と、前記入力部材と前記出力部材とに接触することで前記入力部材に対する前記出力部材の位置を保持し、前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する保持部材と、を有している。前記トルク伝達機構は、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際、前記保持部材が前記入力部材及び前記出力部材の少なくとも一方から離れている。
【0012】
このように構成することで、本発明のクラッチユニットは、前記操作部材の操作によって前記ロック機構が前記係合状態である場合、前記保持部材と前記入力部材または前記出力部材との間に隙間が生じている。よって、前記クラッチユニットは、前記出力部材から前記入力部材にトルクを伝達しない。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【0013】
他の観点によれば、本発明のクラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記トルク伝達機構は、前記ハウジングに固定され、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に前記保持部材の位置を保持する位置保持用爪部と、を有する。前記入力部材または前記出力部材の少なくとも一方は、他方に向かって突出するカム部を有する。前記保持部材は、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、前記カム部によって前記入力部材と前記出力部材とに接触し、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記位置保持用爪部によって前記カム部から離れた位置に保持される。
【0014】
このように構成することで本発明のクラッチユニットは、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された場合、位置保持用爪部によって前記保持部材と前記カム部との間に隙間が生じる位置に前記保持部材を保持する。よって、前記クラッチユニットは、前記出力部材から前記入力部材にトルクを伝達しない。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【0015】
他の観点によれば、本発明のクラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記入力部材は、前記出力部材の径方向内方に位置し、前記駆動軸の軸線方向に見て円弧状の外縁部と前記外縁部から径方向外方に向かって突出するカム部とを有する。前記出力部材は、前記入力部材のカム部よりも径方向外方において、前記軸線方向に延びる軸線方向に見て円弧状の壁部を有する。前記保持部材は、前記外縁部と前記壁部との間に位置する。
【0016】
他の観点によれば、本発明クラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前前記入力部材は、前記出力部材よりも径方向外方において軸線方向に延び、前記軸線方向に見て円弧状の壁部と前記壁部から径方向内方に向かって突出するカム部とを有する。前記出力部材は、前記入力部材の径方向内方に位置し、前記軸線に見て円弧状の外縁部を有する。前記保持部材は、前記外縁部と前記壁部との間に位置する。
【0017】
このように構成することで、本発明のクラッチユニットは、前記保持部材を前記入力部材のカム部によって前記出力部材に押し付けた接続状態と、前記保持部材を前記カム部によって前記出力部材に押し付けない接続解除状態とに切り替えることができる。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのをすることができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明のクラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記トルク伝達機構は、前記入力部材と前記出力部材との接触によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する前記接続状態に切り替わり、前記入力部材と前記出力部材との離間によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達しない前記接続解除状態に切り替わる。
【0019】
このように構成することで、本発明のクラッチユニットは、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された場合において、トルク伝達機構の入力部材と出力部材とが離間しているので、前記出力部材から前記入力部材にトルクを伝達しない。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明のクラッチユニットは、以下の構成を含むことが好ましい。前記保持部材は、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、弾性部材によって前記位置保持用爪部に押し付けられ、前記カム部から離れた位置に保持される。
【0021】
このように構成することで本発明のクラッチユニットは、前記操作部材が前記ロック機構を前記係合状態に切り替える位置に操作された場合、前記保持部材が弾性部材によって位置保持用爪部に押し付けられる。つまり、弾性部材は、前記保持部材を前記位置保持用爪部の端部に位置付けることで、前記カム部と前記保持部材との間に隙間が生じている状態を保持する。よって、前記クラッチユニットは、前記出力部材から前記入力部材にトルクを伝達しない。これにより、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、前記駆動軸の出力側から入力されたトルクによって前記ロック機構が係合状態から係合解除状態に切り替わるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るクラッチユニットにおいて係合位置にあるロック機構の構成を示す軸線方向断面図である。
図2図2は、図1におけるA矢視断面図である。
図3図3は、図1におけるB矢視断面図である。
図4図4は、図1におけるA矢視断面図において入力側からトルクが入力された状態を示す断面図である。
図5図5は、図1におけるB矢視断面図において入力側からトルクが入力された状態を示す断面図である。
図6図6は、ロック機構の構成部品を軸線方向に並べた分解斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態1に係るクラッチユニットにおける係合位置にあるロック機構の平面図及び側面図である。
図8図8は、本発明の実施形態1に係るクラッチユニットにおける解除位置にあるロック機構の平面図及び側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態1に係るクラッチユニットにおいて解除位置にあるロック機構の構成を示す軸線方向断面図である。
図10図10は、本発明の実施形態2に係るクラッチユニットにおいて図1におけるA矢視に相当する断面図である。
図11図11は、本発明の実施形態2に係るクラッチユニットの変形例において図1におけるA矢視に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
以下に、図1から図7を用いて、本発明に係るクラッチユニット1の一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るクラッチユニット1において係合位置P1にあるロック機構50の構成を示す軸線方向断面図である。図2は、図1におけるA矢視断面図である。図3は、図1におけるB矢視断面図である。図4は、図1におけるA矢視断面図において駆動軸2の入力側からトルクが入力された状態を示す断面図である。図5は、図1におけるB矢視断面図において駆動軸2の入力側からトルクが入力された状態を示す断面図である。図6は、ロック機構50の構成部品を軸線方向に並べた分解斜視図である。図7は、クラッチユニット1における係合位置P1にあるロック機構50の平面図及び側面図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、クラッチユニット1は、車両用シートの高さ調整等に用いられるクラッチユニットである。クラッチユニット1は、入力側からトルクが入力されると駆動軸2に伝達し、駆動軸2に出力側からトルクが入力されても駆動軸2が回転しない装置である。クラッチユニット1は、駆動軸2と、ハウジング3と、入力側クラッチ10と、出力側クラッチ20と、操作レバー40と、ロック機構50(図1図6参照)とを有している。
【0026】
なお、本実施形態において、軸線方向とは、駆動軸2の軸線Pが延びる方向を意味する。径方向とは、軸線Pに直交する方向を意味する。周方向とは、軸線Pまわりの回転方向を意味する。時計回りCwとは、駆動軸2を入力側から軸線Pの方向に見て右回りを意味する。反時計回りCCwとは、駆動軸2を入力側から軸線Pの方向に見て左周りを意味する。入力側とは、駆動軸2において、トルクが入力される操作レバー40に近い端部側を意味する。
【0027】
駆動軸2は、入力側クラッチ10、出力側クラッチ20、ロック機構50を支持する。駆動軸2は、入力された軸線まわりのトルクを伝達する。駆動軸2は、一方の端部を入力側の端部とし、前記入力側の端部から他方の端部である出力側の端部に向かって順に入力側支持部2a、スプライン部2b、出力側支持部2c、ピニオンギア2dを有する。
【0028】
入力側支持部2aは、円柱状の軸部分である。入力側支持部2aは、駆動軸2の入力側の端部から軸線Pを中心として出力側に向かって延びている。スプライン部2bは、入力側支持部2aよりも大きい外径のスプライン軸部分である。スプライン部2bは、入力側支持部2aの出力側に隣り合って位置している。スプライン部2bは、入力側支持部2aの出力側の端部から軸線Pを中心として出力側に向かって延びている。出力側支持部2cは、スプライン部2bよりも大きい外径の軸部分である。出力側支持部2cは、スプライン部2bの出力側に隣り合って位置している。出力側支持部2cは、スプライン部2bの出力側の端部から軸線Pを中心として出力側に向かって延びている。ピニオンギア2dは、駆動軸2に入力されたトルクを外部に伝達するギアである。ピニオンギア2dは、出力側支持部2cの出力側に隣り合って位置している。ピニオンギア2dは、軸線Pを回転中心とするギアである。
【0029】
ハウジング3は、駆動軸2、入力側クラッチ10及び出力側クラッチ20が収容される金属製の筐体である。ハウジング3は、底部を有する円筒状の部材である。ハウジング3は、前記底部を駆動軸2の入力側に向けた状態で、駆動軸2の入力側支持部2aを回転可能に支持している。ハウジング3は、外部のフレーム等に固定するフランジを有している。ハウジング3の円筒部分は、入力側クラッチ10及び出力側クラッチ20が収容可能な内部空間を構成している。また、ハウジング3の底部には、出力側に延びる矩形状の3つの位置保持用爪部3aを有している(図6参照)。
【0030】
3つの位置保持用爪部3aは、入力側クラッチ10における入力側第1回転部材11に対する入力側保持部材14の位置を保持するストッパーである。3つの位置保持用爪部3aは、後述する入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間にそれぞれ位置している。3つの位置保持用爪部3aは、駆動軸2の軸線Pを中心とする円周上に等間隔で位置している。
【0031】
入力側クラッチ10は、トルクを所定の回転角度範囲内で駆動軸2に伝達するトルク伝達機構である。入力側クラッチ10は、摩擦クラッチである。入力側クラッチ10は、トルクが入力される入力部材である入力側第1回転部材11と、トルクが出力される出力側部材である入力側第2回転部材13と、保持部材である入力側保持部材14と、弾性部材である入力側ばね15とを有する。
【0032】
入力側第1回転部材11は、軸線Pの方向に延びる円板状の部材である。入力側第1回転部材11は、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように駆動軸2の入力側支持部2aに支持されている。入力側第1回転部材11は、ハウジング3の底部よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。また、入力側第1回転部材11は、入力側支持部2a対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。
【0033】
入力側第1回転部材11の入力側の側面は、突起部11aを有している(図2参照)。入力側第1回転部材11の外縁部は、軸線Pの方向に見て円弧状の円弧部11bと円弧部11bよりも径方向外方へ突出するカム部である入力側楔部11cを有している。入力側楔部11cは、くさび効果を奏する部分である。本実施形態において、入力側楔部11cは、周方向に等間隔で3箇所に位置している。円弧部11bと3箇所の入力側楔部11cとは、滑らかな曲線で接続されている。このように、入力側第1回転部材11の外縁部は、軸線Pを回転中心とするカムを構成している。
【0034】
入力側第1回転部材11の入力側の側面には、突起部11aによって操作ブラケット12が固定されている。操作ブラケット12は、入力側に向かって延びる複数の係合爪12aを有する。係合爪12aは、ハウジング3の底部が有する貫通孔を通じて、後述する操作板42の操作用長孔42aに係合されている。つまり、入力側第1回転部材11は、操作ブラケット12を介して操作板42によって回転可能である。
【0035】
入力側第2回転部材13は、軸線Pの方向に見て円弧状の壁部である入力側円筒部13a及び底部を有する円筒状の部材である。入力側第2回転部材13は、前記底部を出力側に向けた状態で、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように駆動軸2の入力側支持部2aに支持されている。また、入力側第2回転部材13は、入力側支持部2aに対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。入力側第2回転部材13は、入力側第1回転部材11よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。また、入力側第2回転部材13の入力側円筒部13a内には、入力側第1回転部材11が位置している。入力側円筒部13aは、入力側第1回転部材11の径方向外方に位置している。入力側円筒部13aの内側面は、入力側第1回転部材11の外縁部と向かい合っている。
【0036】
入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11に対する入力側第2回転部材13の位置を保持する部材である(図2参照)。本実施形態において、入力側保持部材14は、例えば、円筒ころである。円筒ころである入力側保持部材14は、軸線を駆動軸2の軸線Pの方向に向けた状態で、入力側第2回転部材13の壁部である入力側円筒部13aと入力側第1回転部材11の外縁部との間に位置している。また、入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11の各入力側楔部11cの両側にそれぞれ位置している。本実施形態において、入力側保持部材14は、3つの入力側楔部11c毎に2個ずつ、合計6個の円筒ころから構成されている。
【0037】
入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11の円弧部11bと入力側第2回転部材13の入力側円筒部13aとの間隔よりも小さい外径であって、入力側第1回転部材11の入力側楔部11cと入力側円筒部13aとの間隔よりも大きい外径を有している。つまり、入力側保持部材14は、径方向に見て円弧部11bと重なる位置において、円弧部11b及び入力側円筒部13aの少なくとも一方と離れている。また、入力側保持部材14は、径方向に見て入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間隔が入力側保持部材14の直径よりも小さい区間Sと重なる位置において、円弧部11b及び入力側円筒部13aと接触している。
【0038】
入力側保持部材14が位置する場所における入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間隔は、入力側保持部材14が位置する場所に入力側楔部11cが移動すると小さくなる。また、入力側保持部材14は、入力側楔部11cによって径方向外方に移動される。入力側保持部材14は、入力側楔部11c及び入力側円筒部13aに接触すると入力側楔部11cとの間及び入力側円筒部13aとの間に摩擦力が生じる。よって、入力側保持部材14は、入力側楔部11cと入力側円筒部13aの間に噛み込む。これにより、入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11に対する入力側第2回転部材13の回転を抑制する。また、入力側保持部材14は、円弧部11bにおいて、円弧部11bと入力側円筒部13aとのうち少なくとも一方との間に隙間Gが生じている。
【0039】
3つの入力側楔部11cの両側に位置する入力側保持部材14の間には、ハウジング3の3つの位置保持用爪部3aがそれぞれ位置している(図2参照)。略矩形状の位置保持用爪部3aは、径方向に見て入力側楔部11cの略中央に位置するように入力側第1回転部材11が位置している場合、位置保持用爪部3aに接触した入力側保持部材14が区間Sにおいて入力側第1回転部材11及び入力側第2回転部材13の少なくとも一方と接触しない幅Wを有する。
【0040】
入力側保持部材14は、径方向に見て位置保持用爪部3aが区間Sの略中央に位置する状態において位置保持用爪部3aに接触した場合、入力側第1回転部材11及び入力側第2回転部材13の少なくとも一方との間に隙間Gが生じている。つまり、入力側保持部材14は、位置保持用爪部3aに接触した場合、入力側第1回転部材11及び入力側第2回転部材13の少なくとも一方から離れている。この場合、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクを伝達しない接続解除状態である。
【0041】
入力側ばね15は、入力側保持部材14の入力側第1回転部材11に対する位置を保持する圧縮ばねである。入力側ばね15は、入力側第1回転部材11の隣り合う入力側楔部11cの間であって入力側保持部材14の間に位置している。入力側ばね15は、一方の入力側保持部材14が他方の入力側保持部材14に近づくと、一方の入力側保持部材14を位置保持用爪部3aに押し付ける。つまり、入力側ばね15は、入力側楔部11cと入力側第2回転部材13の入力側円筒部13aとの間に噛み込んでいない入力側保持部材14を位置保持用爪部3aに接触した位置で保持する。
【0042】
図4に示すように、入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11は、一方向(例えば反時計回りCCw)に回転されると、入力側楔部11cが入力側保持部材14に向かって移動する。入力側楔部11cは、入力側保持部材14に接触すると入力側保持部材14を径方向外方に移動させて入力側第2回転部材13の入力側円筒部13aに押し当てる。入力側保持部材14は、入力側楔部11cと入力側円筒部13aとの間に噛み込む。よって、入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11の区間Sの少なくとも一部が径方向に見て位置保持用爪部3aの幅Wに含まれない位置に回転されると、入力側楔部11cのくさび効果によって入力側第1回転部材11に対して入力側第2回転部材13を軸線Pまわりに回転不能に保持する。
【0043】
これにより、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11に入力されたトルクが入力側保持部材14を介して入力側第2回転部材13に伝達される接続状態に切り替わる。つまり、入力側クラッチ10は、駆動軸2にトルクを伝達する接続状態である。入力側クラッチ10は、入力側保持部材14によって圧縮される入力側ばね15が圧縮可能な所定の回転角度範囲内で入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とが一体で回転する。
【0044】
また、入力側クラッチ10は、一方向に回転した後、入力側第1回転部材11を他方向(例えば時計回りCw)に回転させると、入力側楔部11cと入力側円筒部13aとの間に噛み込んでいた入力側保持部材14が入力側楔部11cまたは入力側円筒部13aから離れる。これにより、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11のみが回転し、入力側第2回転部材13にトルクが伝達されない接続解除状態に切り替わる。つまり、入力側クラッチ10は、駆動軸2へトルクの伝達を解除する接続状態である。
【0045】
図1及び図3に示すように、駆動軸2の回転を規制する回転規制機構である出力側クラッチ20は、軸線Pを回転中心とする入力側から(操作レバー40の操作によって)入力されるトルクを所定の回転角度範囲で出力側に伝達するとともに、出力側から入力されるトルクを伝達しない回転規制機構摩擦クラッチである。出力側クラッチ20は、解除ブラケット21、回転部材である出力側回転部材22と、固定部材である出力側固定部材23と、保持部材である出力側保持部材24と、出力側ばね25とを有する。
【0046】
解除部材である解除ブラケット21は、入力側クラッチ10と出力側クラッチ20とを連結する部材である。また、解除ブラケット21は、出力側回転部材22に対して出力側保持部材24を移動させるブラケットである。解除ブラケット21は、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように入力側第2回転部材13の底部に固定されている。つまり、解除ブラケット21は、入力側支持部2aに対して軸線Pまわりに回転可能に入力側第2回転部材13の底部に支持されている。また、解除ブラケット21は、駆動軸2のスプライン部2bよりも入力側に位置している。解除ブラケット21は、周方向に延びる円弧状の解除用長孔21aを有している。また、解除ブラケット21は、出力側に延びる6つの解除爪21bを有している。解除爪21bは、出力側保持部材24を軸線Pまわりに移動させる。
【0047】
出力側回転部材22は、軸線Pの方向に延びる円柱状の部材である。出力側回転部材22は、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように駆動軸2のスプライン部2bに回転不能に支持されている。出力側回転部材22は、入力側第2回転部材13よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。
【0048】
出力側回転部材22の入力側の側面は、突起部22aを有する(図3参照)。出力側回転部材22の外縁部は、円弧部22bと円弧部22bよりも径方向外方へ突出する出力側楔部22cを有している。出力側楔部22cは、くさび効果を奏する部分である。本実施形態において、出力側楔部22cは、周方向に等間隔で6箇所に位置している。6箇所の出力側楔部22cは、滑らかな曲線で接続されている。このように、出力側回転部材22の外縁部は、軸線Pを回転中心とするカムを構成している。
【0049】
出力側回転部材22の突起部22aは、解除ブラケット21の解除用長孔21aに挿入されている。出力側回転部材22は、突起部22aが解除用長孔21aの周方向の端部に接触すると解除ブラケット21からトルクが伝達される。つまり、出力側回転部材22は、解除ブラケット21が所定の角度だけ回転すると、解除ブラケット21及び入力側第2回転部材13とともに回転する。
【0050】
出力側固定部材23は、壁部である出力側円筒部23a及び底部を有する円筒状の部材である。出力側固定部材23は、底部を出力側に向けた状態で、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように駆動軸2の出力側支持部2cに支持されている。また出力側固定部材23は、出力側支持部2cに対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。出力側固定部材23は、出力側回転部材22よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。また、出力側固定部材23は、ハウジング3の円筒部に固定されている。つまり、出力側固定部材23は、駆動軸2を回転可能に支持している。したがって、ハウジング3は、出力側固定部材23を介して駆動軸2を支持している。出力側固定部材23の出力側円筒部23a内には、出力側回転部材22が位置している。出力側円筒部23aは、出力側回転部材22の径方向外方に位置している。出力側円筒部23aの内側面は、出力側回転部材22の外縁部と向かい合っている。
【0051】
出力側保持部材24は、出力側回転部材22に対する出力側固定部材23の位置を保持する部材である。本実施形態において、出力側保持部材24は、例えば、円筒ころである。円筒ころである出力側保持部材24は、軸線を駆動軸2の軸線Pの方向に向けた状態で、出力側固定部材23の出力側円筒部23aと出力側回転部材22の外縁部との間に位置している。また、出力側保持部材24は、出力側回転部材22の各出力側楔部22cの両側にそれぞれ位置している。本実施形態において、出力側保持部材24は、6つの出力側楔部22c毎に2個ずつ、合計12個の円筒ころから構成されている。6つの出力側楔部22cの両側に位置する出力側保持部材24の間には、解除ブラケット21の解除爪21bがそれぞれ位置している。
【0052】
出力側保持部材24は、出力側回転部材22の円弧部22bと出力側固定部材23の出力側円筒部23aとの間隔よりも小さい外径であって、出力側回転部材22の出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間隔よりも大きい外径を有している。つまり、出力側保持部材24は、円弧部22b及び出力側円筒部23aの少なくとも一方と離れている。
【0053】
出力側保持部材24が位置する場所における出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間隔は、出力側保持部材24が位置する場所に出力側楔部22cが移動すると小さくなる。また、出力側保持部材24は、出力側楔部22cによって径方向外方に移動される。出力側保持部材24は、出力側楔部22c及び出力側円筒部23aに接触すると出力側楔部22c及び出力側円筒部23aとの間に摩擦力が生じる。よって、出力側保持部材24は、出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に噛み込む。これにより、出力側保持部材24は、出力側固定部材23に対する出力側回転部材22の回転を抑制する。また、出力側保持部材24は、円弧部22bにおいて、円弧部22bと出力側円筒部23aとの間に隙間が生じている。
【0054】
出力側ばね25は、出力側保持部材24の出力側回転部材22に対する位置を保持する。出力側ばね25は、出力側回転部材22の隣り合う出力側楔部22cにおけるそれぞれの出力側保持部材24の間に位置している。出力側ばね25は、両側に位置する出力側保持部材24を出力側楔部22cに押し付ける。つまり、出力側ばね25は、出力側保持部材24が出力側楔部22cと出力側固定部材23の出力側円筒部23aとの間に噛み込むように、出力側保持部材24を出力側楔部22cに向かって押圧している。
【0055】
図5に示すように、出力側クラッチ20は、入力されたトルクによって解除ブラケット21が一方向(例えば反時計回りCCw)に回転されると、解除用長孔21aによって出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に位置している出力側保持部材24が出力側楔部22cから離れる方向に移動される。つまり、解除ブラケット21は、解除用長孔21aによって出力側固定部材23に対して出力側回転部材22を軸線Pまわりに回転可能にする位置に出力側保持部材24を移動させる。
【0056】
解除ブラケット21が更に一方向に回転されると、解除ブラケット21とともに出力側回転部材22が一方向に回転される。これにより、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22を相対回転不能に支持している駆動軸2が出力側回転部材22とともに回転される回転規制解除状態に切り替わる。同様に、解除ブラケット21が他方向(例えば時計回りCw)に回転されると、解除ブラケット21とともに出力側回転部材22が他方向に回転される。
【0057】
出力側クラッチ20は、駆動軸2に出力側にトルクが入力された場合、出力側回転部材22に伝達される。しかし、出力側回転部材22は、出力側楔部22cの一方向及び他方向に位置している出力側保持部材24が出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に噛み込むので、一方向及び他方向に回転しない。つまり、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22を相対回転不能に支持している駆動軸2の回転を出力側回転部材22によって規制する回転規制状態に切り替わる。出力側クラッチ20は、回転規制機構として駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されるトルクによる駆動軸2の回転を規制する。同様に、出力側クラッチ20は、解除ブラケット21が回転されない場合、出力側保持部材24が出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に噛み込んでいるので駆動軸2の回転を規制する回転規制状態である。
【0058】
図1に示すように、操作部材である操作レバー40及び操作板42は、操作者の操作によるトルクを駆動軸2に伝達する。操作レバー40は、操作板42に固定されている。操作レバー40は、操作板42に配置されているロック機構50を覆う底部を有する円筒状のカバー部と、操作者が把持する把持部とを有する。把持部は、カバー部から径方向に延びる棒状部材である。操作レバー40のカバー部は、ロック機構50を覆うようにして、操作板42に固定されている。つまり、操作レバー40は、操作板42と一体で軸線Pまわりに回転可能である。
【0059】
図6に示すように、ブッシュ41は、操作板42を支持する部材である。ブッシュ41は、ハウジング3の底部よりも入力側であって、ハウジング3の外部に位置している。ブッシュ41は、中心が駆動軸2の軸線Pに一致するようにハウジング3に支持されている。また、ブッシュ41は、ハウジング3に対して軸線Pまわりに回転不能に支持されている。ブッシュ41の外周面には、回り止め用の突出部41aを有している。突出部41aは、円弧状の外周面を有する。
【0060】
操作板42は、操作レバー40を支持する部材である。操作板42は、ブッシュ41の突出部41aの外周面に支持されている。操作板42は、ブッシュ41対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。操作板42には、入力側第1回転部材11に固定されている操作ブラケット12(図1参照)の係合爪12aがハウジング3の底部が有する周方向に円弧状に延びる操作用長孔42aに挿入されている。
【0061】
操作板42は、軸線Pまわりに所定角度回転されると、操作用長孔42aの周方向端部に操作ブラケット12の係合爪12aが接触する。これにより、操作板42は、操作ブラケット12を介して入力側第1回転部材11と一体で回転する。つまり、操作板42は、軸線Pまわりに所定角度回転されるまで入力側第1回転部材11とともに回転しない。操作板42は、軸線Pまわりに回転されると、操作ブラケット12を介して入力側第1回転部材11と一体で回転する。つまり、操作板42は、軸線Pまわりに回転されるまで入力側第1回転部材11とともに回転しない。
【0062】
図1図6とに示すように、ロック機構50は、ハウジング3に対する駆動軸2の回転を抑制する機構である。ロック機構50は、ハウジング側係合部材を構成する基部51及び係合部52と、駆動軸側係合部材53と、弾性部材54と、係合解除部55とを有している。
【0063】
基部51は、係合部52を支持する円筒状部材である。基部51の出力側から所定範囲の内径は、入力側から所定範囲の内径よりも小さい。つまり、基部51の内周面には、入力側に向かう段差面51aを有する。また、基部51の出力側端部には、軸線方向に延びる切り欠き51bを有する。基部51には、ブッシュ41が出力側から挿入されている。切り欠き51bには、ブッシュ41の突出部41aが挿入されている。よって、基部51は、ブッシュ41に対して軸線Pまわりに回転不能にブッシュ41に支持されている。つまり、基部51は、ブッシュ41を介してハウジング3に対して軸線Pまわりに回転不能に支持されている。また、基部51は、ブッシュ41に対して軸線Pの方向に移動可能に支持されている。基部51の入力側端部には、径方向に突出する支持部51cを有する。支持部51cは、係合解除部55に接触する部分である。
【0064】
係合部52は、駆動軸側係合部材53と係合する板状部材である。係合部52は、基部51とは別の部材として構成されている。係合部52は、駆動軸側係合部材53を挿入可能な貫通孔を有している。係合部52は、前記貫通孔の内周縁の少なくとも一部に、径方向内方に突出する歯部及び溝部を有するフランジ側歯52aを有している。係合部52は、貫通孔の中心を基部51の中心と一致させて、基部51の軸線方向端部に加締め加工によって固定されている。なお、フランジ側歯52aの歯先円の直径は、基部51の段差面51aの内側の内径よりも大きい。
【0065】
駆動軸側係合部材53は、ハウジング側係合部材を構成する係合部52と係合する円板状部材である。駆動軸側係合部材53は、中心を駆動軸2の軸線Pと一致させた状態で駆動軸2の入力側支持部2aに対して軸線Pまわりに回転不能、且つ軸線方向に移動不能に入力側支持部2aに支持されている。駆動軸側係合部材53は、ブッシュ41よりも入力側の入力側支持部2aに位置している。
【0066】
駆動軸側係合部材53は、外縁部の少なくとも一部に径方向外方に突出する歯部及び溝部を有する駆動軸側歯53aを有している。駆動軸側歯53aは、ハウジング側係合部材を構成する係合部52のフランジ側歯52aと噛み合うように構成されている。なお、駆動軸側歯53aの歯先円の直径は、基部51の段差面51aの内側の内径よりも大きい。つまり、駆動軸側係合部材53は、軸線方向に見て、基部51の段差面51aと重なっている。
【0067】
弾性部材54は、駆動軸側係合部材53に対して基部51及び係合部52を出力側に押圧する部材である。弾性部材54は、例えばウェーブワッシャである。弾性部材54は、基部51の段差面51aと駆動軸側係合部材53との間に配置されている。弾性部材54は、常に基部51と駆動軸側係合部材53とが離れる方向の弾性力を基部51及び駆動軸側係合部材53に加えている。本実施形態において、弾性部材54は、駆動軸側係合部材53に対して基部51を出力側に押圧している。
【0068】
係合解除部55は、ハウジング側係合部材を構成する基部51及び係合部52の全体が、駆動軸側係合部材53に係合した係合状態である係合位置P1と係合部52が駆動軸側係合部材53に係合しない係合解除状態である解除位置P2とに切り替える部材である。係合解除部55は、略円筒状のカム部材である。係合解除部55は、中心を駆動軸2の軸線Pと一致させた状態で操作板42に固定されている。つまり、係合解除部55は、操作板42と一体で軸線Pまわりに回転可能である。係合解除部55は、操作板42よりも入力側であってハウジング側係合部材を構成する基部51よりも出力側に位置している。
【0069】
係合解除部55は、軸線方向の端部に基部51及び係合部52を軸線方向に移動させるカムである凹部55aと凸部55bとを有している。凸部55bは、凹部55aよりも軸線方向に突出している。凹部55a及び凸部55bは、傾斜面で接続されている。凹部55a及び凸部55bは、軸線Pの方向に見て、基部51の支持部51cに重なっている。よって、係合解除部55は、軸線方向から凹部55a及び凸部55bに支持部51cが接触可能である。また、係合解除部55は、軸線Pまわりの回転によって、凹部55aに接触している支持部51cを、傾斜面を介して凸部55bに案内可能である。同様に、係合解除部55は、軸線Pまわりの回転によって、凸部55bに接触している支持部51cを、傾斜面を介して凹部55aに案内可能である。
【0070】
凹部55aに基部51の支持部51cが接触している場合、基部51に固定されている係合部52のフランジ側歯52aは、駆動軸側係合部材53の駆動軸側歯53aと同一の軸線方向の位置に位置している。つまり、フランジ側歯52aは、駆動軸側歯53aに係合する係合位置P1に位置付けられる。また、凸部55bに基部51の支持部51cが接触している場合、フランジ側歯52aは、駆動軸側歯53aよりも入力側に位置している。つまり、フランジ側歯52aは、駆動軸側歯53aに係合しない解除位置P2に位置付けられる。このように、ロック機構50は、操作板42に固定されている操作レバー40の操作によって、基部51及び係合部52から構成されるハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合する係合状態と前記ハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合しない係合解除状態とに切り替え可能に構成される。つまり、ロック機構50は、駆動軸2をハウジング3に対して回転不能な係合状態と、駆動軸2をハウジング3に対して回転可能な係合解除状態とに切り替え可能に構成される。
【0071】
このように構成されるクラッチユニット1は、軸線Pまわりに回転可能な状態でハウジング3に支持された操作レバー40の軸線Pまわりの回転操作によって、入力側クラッチ10を接続状態と接続解除状態とに切り替えるとともに、ロック機構50を係合状態と係合解除状態とに切り替える。
【0072】
次に、図2図3図7を用いて、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置(図示せず)におけるロック機構50、入力側クラッチ10及び出力側クラッチ20及びの状態について説明する。
【0073】
図7に示すように、ロック機構50の基部51及び係合部52が係合位置P1に位置している状態において、図示しない操作レバー40は、操作者が操作レバー40を操作していない位置にあるものとする。つまり、ロック機構50は、操作者が操作レバー40を操作していない状態において、係合状態に切り替えられている。よって、クラッチユニット1は、操作者が操作レバー40を操作していない状態において、ロック機構50のハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53との嵌合によって駆動軸2のハウジング3に対する位置が保持される。
【0074】
図2に示すように、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、入力側クラッチ10の入力側楔部11cは、径方向に見て位置保持用爪部3aと重なるように位置している。つまり、入力側クラッチ10の入力側保持部材14は、入力側第1回転部材11及び入力側第2回転部材13の少なくとも一方から離れている。よって、操作レバー40は、ロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際に、入力側クラッチ10を入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクが伝達されない接続解除状態に保つ。
【0075】
図3に示すように、出力側クラッチ20は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、解除ブラケット21が回転されない。つまり、出力側クラッチ20の出力側保持部材24は、出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に噛みこんでいる。よって、出力側クラッチ20は、駆動軸2の回転を規制する回転規制状態である。
【0076】
このように、操作レバー40は、ロック機構50を係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、入力側クラッチ10を接続状態に保ち、ロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際に、入力側クラッチ10を接続解除状態に保つように構成されている。
【0077】
次に図1から図9を用いて、クラッチユニット1の動作について説明する。図8は、クラッチユニット1における解除位置P2にあるロック機構50の平面図及び側面図である。図9は、本クラッチユニット1において解除位置P2にあるロック機構50の構成を示す軸線方向断面図である。
【0078】
図1図7図8及び図9に示すように、クラッチユニット1は、例えば、操作者によって操作レバー40(図1図9参照)がロック機構50を係合状態に切り替える位置から反時計回りCCwに回転操作されると、操作板42と操作板42に固定されている係合解除部55とが反時計回りCCwに回転する。係合解除部55の凹部55aに位置している基部51の支持部51cは、係合解除部55の凸部55bに向かって相対移動する。基部51に固定されている係合部52は、係合位置P1から解除位置P2に移動される。つまり、ロック機構50は、操作レバー40の操作によって、前記ハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合しない係合解除状態に切り替えられる。これにより、駆動軸側係合部材53を軸線Pまわりに回転不能に支持している駆動軸2は、基部51及び係合部52を軸線Pまわりに回転不能に支持しているハウジング3に対して回転可能な状態になる。
【0079】
解除位置P2に位置付けられている基部51の段差面51aと駆動軸側係合部材53との間隔は、係合位置P1に位置付けられている基部51の段差面51aと駆動軸側係合部材53との間隔よりも狭くなる。この際、基部51には、弾性部材54によって段差面51aと駆動軸側係合部材53との間隔を広げる方向の弾性力が加わっている。つまり、弾性部材54は、駆動軸側係合部材53及び解除位置P2に位置付けられているハウジング側係合部材である基部51に対して解除位置P2から係合位置P1に向かう弾性力を加えている。
【0080】
図1図2図4に示すように、操作板42が更に反時計回りCCwに回転されると、操作板42における操作用長孔42aの周方向端部に操作ブラケット12の係合爪12aが接触する。これにより、操作板42は、操作ブラケット12を介して入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11とともに反時計回りCCwに回転する。入力側第1回転部材11の入力側楔部11cは、入力側楔部11cの反時計回りCCw側に位置する入力側保持部材14に近づく。図1図2図4に示すように、操作板42が反時計回りCCwに回転されると、操作ブラケット12を介して入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11とともに反時計回りCCwに回転する。
【0081】
反時計回りCCw側に位置する入力側保持部材14は、入力側楔部11cによって入力側第2回転部材13の入力側円筒部13aに押し付けられる。時計回りCw側に位置する入力側保持部材14は、ハウジング3の位置保持用爪部3aに接触し、周方向に移動しない。よって、時計回りCw側に位置する入力側保持部材14は、相対的に入力側楔部11cから離れる。入力側クラッチ10は、入力側保持部材14によって入力側第1回転部材11に対する入力側第2回転部材13の位置が保持される。これにより、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクを伝達する接続状態に切り替わる。つまり、操作レバー40は、ロック機構50を係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、入力側クラッチ10を接続状態に保つ。入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とが一体で反時計回りCCwに回転する。
【0082】
図1図3図5に示すように、入力側第2回転部材13が反時計回りCCwに回転されると、出力側クラッチ20の解除ブラケット21が解除用長孔21aの範囲内で反時計回りCCwに回転される。この際、出力側回転部材22の突起部22aは、解除用長孔21a内において相対的に時計回りCw方向に移動する。つまり、突起部22aには、解除用長孔21aの時計回りCw側の端部が接触していない。よって、出力側回転部材22は、回転されない。解除ブラケット21の解除爪21bは、出力側回転部材22の出力側楔部22cの反時計回りCCw側に位置する出力側保持部材24を反時計回りCCwの方向に移動させる。
【0083】
出力側回転部材22の突起部22aに解除用長孔21aの周方向端部が接触すると、出力側回転部材22は、解除ブラケット21とともに反時計回りCCwに回転される。この際、時計回りCw側に位置する出力側保持部材24は、相対的に出力側楔部22cから離れる。よって、出力側楔部22cの両側に位置していた出力側保持部材24は、出力側楔部22cと出力側固定部材23の出力側円筒部23aとの間に噛み込まない。よって、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22に対する出力側固定部材23の位置が保持されない。これにより、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22を相対回転不能に支持している駆動軸2が出力側回転部材22とともに回転される回転規制解除状態に切り替わる。つまり、操作レバー40は、ロック機構50を係合解除状態に切り替える位置に操作された際に、出力側クラッチ20を回転規制解除状態に保つ。出力側クラッチ20は、出力側回転部材22だけが反時計回りCCwに回転する。同時に、出力側回転部材22を回転不能に支持している駆動軸2が反時計回りCCwに回転する。
【0084】
クラッチユニット1は、操作者によって操作レバー40が反時計回りCCwに回転された後、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置まで時計回りCwに回転されると、操作板42及び操作ブラケット12を介して入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11が時計回りCwに回転される。入力側クラッチ10は、入力側楔部11cと入力側円筒部13aとの間に噛み込んでいた入力側保持部材14が入力側楔部11cまたは入力側円筒部13aから離れる。よって、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11が単独で時計回りCwに回転し、入力側第2回転部材13にトルクが伝達されない接続解除状態に切り替わる。これにより、入力側クラッチ10は、駆動軸2にトルクを伝達しない。
【0085】
図7から図9に示すように、クラッチユニット1は、操作者によって操作レバー40が反時計回りCCwに回転された後、操作レバー40(図9参照)がロック機構50を係合状態に切り替える位置まで時計回りCwに回転されると、操作板42と操作板42に固定されている係合解除部55が時計回りCwに回転する。ロック機構50は、係合解除部55の凸部55bに位置している基部51の支持部51cが係合解除部55の凹部55aに向かって相対移動する。基部51に固定されている係合部52は、解除位置P2から係合位置P1に移動される(図1参照)。よって、ロック機構50は、基部51及び係合部52から構成されるハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合する係合状態に切り替わる。これにより、駆動軸2は、ハウジング3に対して回転不能な状態になる。
【0086】
入力側クラッチ10の入力側第2回転部材13は、操作者によって操作レバー40が反時計回りCCwに回転された後、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置まで時計回りCwに回転されても、時計回りCwに回転されない。よって、入力側第2回転部材13に接続されている解除ブラケット21及び出力側回転部材22は、時計回りCwに回転されない。これにより、出力側回転部材22及び駆動軸2は、出力側固定部材23に対する位置が保持される。
【0087】
図3に示すように、クラッチユニット1は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、駆動軸2の出力側から駆動軸2に反時計回りCCwまたは時計回りCwのトルクが加わると、駆動軸2に回転不能に支持されている出力側クラッチ20の出力側回転部材22にトルクが伝達される。出力側回転部材22は、出力側楔部22cの時計回りCw側及び反時計回りCCw側に出力側保持部材24が位置している。したがって、出力側クラッチ20は、時計回りCwまたは反時計回りCCwに出力側回転部材22が回転し始めると出力側楔部22cの回転方向に位置する出力側保持部材24が出力側楔部22cと出力側円筒部23aとの間に噛み込む。つまり、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22を相対回転不能に支持している駆動軸2の回転を出力側回転部材22によって規制する回転規制状態に切り替わる。これにより、出力側回転部材22及び駆動軸2は、出力側固定部材23に対して回転が抑制される。
【0088】
一方、出力側クラッチ20は、出力側回転部材22、出力側固定部材23及び出力側保持部材24の摩擦係数が低い場合、出力側回転部材22と出力側保持部材24との間及び出力側固定部材23と出力側保持部材24との間で生じる摩擦力が小さくなる。よって、出力側クラッチ20は、摩擦力の低下により、駆動軸2の出力側から駆動軸2に反時計回りCCwまたは時計回りCwのトルクが加わると、出力側回転部材22と出力側保持部材24との間及び出力側固定部材23と出力側保持部材24との間で滑りが生じ、出力側固定部材23に対して出力側回転部材22が回転する場合がある。この場合、クラッチユニット1は、出力側回転部材22及び駆動軸2の出力側から駆動軸2にトルクが伝達される。
【0089】
図2に示すように、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、入力側クラッチ10は、接続解除状態である。よって、出力側回転部材22に伝達されたトルクは、入力側第1回転部材11に伝達されない。これにより、操作ブラケット12を介して入力側第1回転部材11に連結されている操作板42は、トルクによって回転しない。
【0090】
また、図7に示すように、ロック機構50を係合状態と係合解除状態とに切り替える係合解除部55は、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されるトルクによって回転しない操作板42に設けられている。よって、係合解除部55は、操作レバー40(図1参照)がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、駆動軸2の出力側に入力されるトルクによって回転しない。つまり、ロック機構50は、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されるトルクによって係合状態から係合解除状態に切り替わらない。
【0091】
ロック機構50が係合状態である場合、駆動軸2は、ハウジング3に対して回転不能な状態である。よって、駆動軸2は、出力側に入力されるトルクによって回転しない。
【0092】
上述のように、クラッチユニット1は、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されるトルクによる駆動軸2の軸線Pまわりの回転を規制する回転規制機構である出力側クラッチ20と、操作レバー40の操作によって、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクを伝達する接続状態と、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクを伝達しない接続解除状態とに切り替え可能に構成されるトルク伝達機構である入力側クラッチ10と、操作レバー40の操作によって、前記ハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合する係合状態と前記ハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材53とが係合しない係合解除状態とに切り替え可能に構成されるロック機構50と、を有するクラッチユニットである。クラッチユニット1の入力側クラッチ10は、操作レバー40がロック機構50を前記係合状態に切り替える位置に操作された際に、前記接続解除状態である。
【0093】
クラッチユニット1は、トルクを入力可能な入力側クラッチ10と、駆動軸2の軸線Pまわりの回転を抑制するロック機構50とを操作レバー40の操作によって操作可能である。入力側クラッチ10は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際に、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間でトルクを伝達しない接続解除状態になるように構成される。この際、入力側クラッチ10は、駆動軸2の出力側から駆動軸2にトルクが入力されても入力側第2回転部材13から入力側第1回転部材11にトルクを伝達しない。よって、ロック機構50は、入力側第1回転部材11と連動する操作レバー40が軸線Pまわりに回転しないので、前記係合状態を維持する。これにより、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されたトルクによるロック機構50の解除を防止することができる。
【0094】
また、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とに接触して、入力側第1回転部材11に対する入力側第2回転部材13の位置を保持する入力側保持部材14を有している。入力側クラッチ10は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、入力側保持部材14が入力側第1回転部材11及び入力側第2回転部材13の少なくとも一方から離れている。
【0095】
このように構成することで、クラッチユニット1は、操作レバー40の操作によってロック機構50が係合状態である場合、入力側保持部材14と入力側第1回転部材11または入力側第2回転部材13との間に隙間Gが生じている(図2参照)。よって、クラッチユニット1は、入力側第2回転部材13からのトルクが入力側第1回転部材11に伝達されない。これにより、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されたトルクによるロック機構50の解除を防止することができる。
【0096】
また、入力側クラッチ10は、駆動軸2に対して軸線Pまわりに回転可能な状態で駆動軸2に支持される入力側第1回転部材11と、駆動軸2に対して軸線Pまわりに回転不能な状態で駆動軸2に支持される入力側第2回転部材13と、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間に位置し、入力側第1回転部材11が所定の位置に回転されると、入力側第1回転部材11に対して入力側第2回転部材13を軸線Pまわりに回転不能に保持する入力側保持部材14と、ハウジング3に固定され、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際における入力側保持部材14の位置を保持する位置保持用爪部3a、を有する。入力側第1回転部材11または入力側第2回転部材13の少なくとも一方は、他方に向かって突出する入力側楔部11cを有する。入力側保持部材14は、操作レバー40が前記所定の位置に回転された場合、入力側楔部11cによって入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とに接触する。入力側保持部材14は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、位置保持用爪部3aによって入力側楔部11cから離れた位置に保持される。
【0097】
このように構成することでクラッチユニット1は、操作レバー40がロック機構50を係合状態に切り替える位置に操作された際、位置保持用爪部3aによって入力側保持部材14と入力側楔部11cとの間に隙間Gが生じる位置に入力側保持部材14を保持する。よって、クラッチユニット1は、入力側第2回転部材13からのトルクが入力側第1回転部材11に伝達されない。これにより、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されたトルクによるロック機構50の解除を防止することができる。
【0098】
また、入力側第1回転部材11は、入力側第2回転部材13の径方向内方に位置し、軸線Pの方向に見て円弧状の円弧部11bに径方向外方に向かって突出する入力側楔部11cを有する。入力側第2回転部材13は、入力側第1回転部材11の入力側楔部11cよりも径方向外方において、軸線方向に見て円弧状の入力側円筒部13aを有する。入力側保持部材14は、円弧部11bと入力側円筒部13aとの間に位置する。
【0099】
このように構成することで、クラッチユニット1は、入力側保持部材14を入力側楔部11cによって入力側円筒部13aに押し付けた接続状態と、入力側保持部材14を入力側楔部11cによって入力側円筒部13aに押し付けない接続解除状態とに切り替えることができる。
【0100】
また、入力側クラッチ10の入力側第1回転部材11は、外縁部に径方向外方に向かって突出するカム部である入力側楔部11cを有する。入力側クラッチ10の入力側第2回転部材13は、入力側第1回転部材11の入力側楔部11cよりも径方向外方に軸線方向に延びる壁部である入力側円筒部13aを有する。入力側円筒部13aと前記外縁部との間に入力側保持部材14が位置する。操作レバー40の操作により入力側第1回転部材11が一方向に回転されると、入力側楔部11cと入力側円筒部13aとの間に入力側保持部材14が挟まり、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とが一体で軸線Pまわりに回転する。
【0101】
このように構成することで、入力側保持部材14との摩擦によって連結されている入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13とは、駆動軸側係合部材53と係合部52との係合によって相対回転不能に維持される。これにより、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されたトルクによるロック機構50の解除を防止することができる。
【0102】
(実施形態2)
以下に、図10を用いてクラッチユニットの実施形態2であるクラッチユニット1Aについて説明する。図10は、本発明に係るクラッチユニットの第2実施形態であるクラッチユニット1Aにおいて図1におけるA矢視に相当する断面図である。
なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0103】
図10に示すように、クラッチユニット1Aは、入力側クラッチ60を有している。入力側クラッチ60は、入力されたトルクを所定の回転角度範囲内で出力側に伝達するトルク伝達機構である。入力側クラッチ60は、摩擦クラッチである。入力側クラッチ60は、トルクが入力される入力部材である入力側第1回転部材61と、トルクが出力される出力側部材である入力側第2回転部材63と、保持部材である入力側保持部材64と、入力側ばね65とを有する。
【0104】
入力側第1回転部材61は、軸線Pの方向に見て円弧状の壁部である入力側円筒部61a及び底部を有する円筒状の部材である。入力側第1回転部材61は、入力側支持部2aに対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。入力側第1回転部材61は、ハウジング3の底部よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。また、入力側第1回転部材61の入力側円筒部61a内には、入力側第2回転部材63が位置している。入力側円筒部61aは、入力側第2回転部材63の径方向外方に位置している。入力側円筒部61aの内側面は、入力側第2回転部材63の外縁部と向かい合っている。
【0105】
入力側円筒部61aの内側面は、軸線Pの方向に見て円弧状の円弧部61bと円弧部61bよりも径方向内方へ突出するカム部である入力側楔部61cを有している。入力側楔部61cは、くさび効果を奏する部分である。本実施形態において、入力側楔部61cは、入力側円筒部61aにおける所定の範囲の内周面が径方向内方に突出した平坦面である。入力側楔部61cは、周方向に等間隔で3箇所に位置している。円弧部61bと3箇所の入力側楔部61cとは、滑らかな曲線で接続されている。このように、入力側円筒部61aの内側面は、軸線Pを回転中心とするカムを構成している。
【0106】
入力側第1回転部材61の底部には、操作ブラケット12が固定されている。入力側第1回転部材61は、操作ブラケット12を介して操作板42によって回転可能である(図1参照)。
【0107】
入力側第2回転部材63は、軸線Pの方向に延びる円柱状の部材である。入力側第2回転部材63は、中心に駆動軸2の軸線Pが位置するように駆動軸2の入力側支持部2aに支持されている。入力側第2回転部材63は、入力側第1回転部材61よりも出力側であって、ハウジング3の円筒部内に位置している。また、入力側第2回転部材63は、入力側支持部2a対して軸線Pまわりに回転可能に支持されている。入力側第2回転部材63の出力側の側面には、解除ブラケット21が固定されている(図1参照)。
【0108】
入力側保持部材64は、入力側第1回転部材61に対する入力側第2回転部材63の位置を保持する円筒ころである。入力側保持部材64は、軸線を駆動軸2の軸線Pの方向に向けた状態で、入力側第1回転部材61の壁部である入力側円筒部61aと入力側第2回転部材63の外縁部との間に位置している。また、入力側保持部材64は、入力側第1回転部材61の各入力側楔部61cの両側にそれぞれ位置している。
【0109】
入力側保持部材64は、入力側第1回転部材61の円弧部61bと入力側第2回転部材63の外縁部との間隔よりも小さい外径であって、入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部との間隔よりも大きい外径を有している。入力側保持部材64は、径方向に見て入力側第1回転部材61と入力側第2回転部材63との間隔が入力側保持部材64の直径よりも小さい区間Sと重なる位置において、入力側第2回転部材63の外縁部及び入力側円筒部61aと接触している。
【0110】
入力側保持部材64が位置する場所における入力側第1回転部材61と入力側第2回転部材63との間隔は、入力側保持部材64が位置する場所に入力側楔部61cが移動すると小さくなる。また、入力側保持部材64は、入力側楔部61cによって径方向内方に移動される。入力側保持部材64は、入力側楔部61c及び入力側第2回転部材63の外縁部に接触すると入力側楔部61cとの間及び入力側第2回転部材63の外縁部との間に摩擦力が生じる。よって、入力側保持部材64は、入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部の間に噛み込む。これにより、入力側保持部材64は、入力側第1回転部材61に対する入力側第2回転部材63の回転を抑制する。
【0111】
3つの入力側楔部61cの両側に位置する入力側保持部材64の間には、ハウジング3の3つの位置保持用爪部3aがそれぞれ位置している(図2参照)。位置保持用爪部3aは、径方向に見て入力側楔部61cの略中央に位置するように入力側第1回転部材61が位置している場合、位置保持用爪部3aに接触した入力側保持部材64が区間Sにおいて入力側第1回転部材61及び入力側第2回転部材63の少なくとも一方と接触しない幅Wを有する。
【0112】
入力側保持部材64は、径方向に見て位置保持用爪部3aが区間Sの略中央に位置する状態において位置保持用爪部3aに接触した場合、入力側第1回転部材61及び入力側第2回転部材63の少なくとも一方との間に隙間Gが生じている。つまり、入力側保持部材64は、位置保持用爪部3aに接触した場合、入力側第1回転部材61及び入力側第2回転部材63の少なくとも一方から離れている。この場合、入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材61と入力側第2回転部材63との間でトルクを伝達しない接続解除状態である。
【0113】
入力側ばね65は、入力側保持部材64の入力側第1回転部材61に対する位置を保持する圧縮ばねである。入力側ばね65は、入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部との間に噛み込んでいない入力側保持部材64を位置保持用爪部3aに接触した位置で保持する。
【0114】
入力側クラッチ60は、入力側第1回転部材61が一方向(例えば反時計回りCCw)に回転されると、入力側保持部材64が入力側第1回転部材61の内周面に沿って入力側楔部61cに向かって相対移動する。入力側クラッチ60は、入力側保持部材64に入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部とを接触させる位置まで入力側第1回転部材61が回転されると、入力側楔部61cのくさび効果によって入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部との間に入力側保持部材64が噛み込む。これにより、入力側クラッチ60は、入力側第1回転部材61に入力されたトルクが入力側保持部材64を介して入力側第2回転部材63に伝達される接続状態に切り替わる。入力側クラッチ60は、入力側保持部材64によって圧縮される入力側ばね65が圧縮可能な所定の回転角度範囲内で入力側第1回転部材61と入力側第2回転部材63とが一体で回転する。
【0115】
また、入力側クラッチ60は、一方向に回転した後、入力側第1回転部材61を他方向(例えば時計回りCw)に回転させると、入力側楔部61cと入力側第2回転部材63の外縁部との間に噛み込んでいた入力側保持部材64が入力側楔部61cまたは入力側第2回転部材63の外縁部から離れる。これにより、入力側クラッチ60は、入力側第1回転部材61のみが回転し、入力側第2回転部材63にトルクが伝達されない接続解除状態に切り替わる。
【0116】
このように構成することで、クラッチユニット1Aは、入力側保持部材64を入力側第1回転部材61の入力側楔部61cによって入力側第2回転部材63に押し付けた接続状態と、入力側保持部材64を入力側楔部61cによって入力側第2回転部材63に押し付けない接続解除状態とに切り替えることができる。これにより、駆動軸2の出力側から駆動軸2に入力されたトルクによるロック機構50の解除を防止することができる。
【0117】
(実施形態2の変形例1)
以下に、図11を用いて、実施形態2のクラッチユニット1Aにおける入力側クラッチ60の変形例である入力側クラッチ70について説明する。図11は、クラッチユニット1Aの変形例において図1におけるA矢視に相当する断面図である。
【0118】
図11に示すように、入力側クラッチ70は、トルクが入力される入力部材である入力側第1回転部材71と、トルクが出力される出力側部材である入力側第2回転部材73と、保持部材である入力側保持部材74と、保持器75とを有する。
【0119】
入力側第1回転部材71は、軸線Pの方向に見て円弧状の壁部である入力側円筒部71a及び底部を有する円筒状の部材である。入力側円筒部71aの内側面は、軸線Pの方向に見て円弧状の円弧部71bと円弧部71bよりも径方向内方へ突出するカム部である入力側楔部71cを有している。入力側楔部71cは、くさび効果を奏する部分である。入力側楔部71cは、周方向に等間隔で12箇所に位置している。円弧部71bと12箇所の入力側楔部71cとは、滑らかな曲線で接続されている。このように、入力側円筒部71aの内側面は、軸線Pを回転中心とするカムを構成している。
【0120】
入力側第2回転部材73は、軸線Pの方向に延びる円柱状の部材である。入力側第2回転部材73の外縁部は、入力側第1回転部材71の入力側円筒部71aと対向している。
【0121】
入力側保持部材74は、入力側第1回転部材71に対する入力側第2回転部材73の位置を保持する円筒ころである(図2参照)。入力側保持部材74は、軸線を駆動軸2の軸線Pの方向に向けた状態で、入力側第1回転部材71の壁部である入力側円筒部71aと入力側第2回転部材73の外縁部との間に位置している。また、入力側保持部材74は、各入力側楔部71cの両側にそれぞれ位置している。
【0122】
入力側保持部材74は、保持器75によって保持されている。保持器75は、隣り合う入力側楔部71cの間にそれぞれ1つずつ入力側保持部材74が位置する間隔で入力側保持部材74を保持している。また、保持器75は、ハウジング3(図2参照)に固定されている。入力側保持部材74は、隣り合う入力側楔部71cの間に位置する場合、保持器75によって入力側楔部71cと接触しない。この際、入力側保持部材74は、入力側第1回転部材71及び入力側第2回転部材73の少なくとも一方から離れている。この際、入力側クラッチ70は、入力側第1回転部材71のみが回転し、入力側第2回転部材73にトルクが伝達されない接続解除状態である。
【0123】
入力側第1回転部材71の軸線Pまわりの回転により、入力側保持部材74は、入力側楔部71cに向かって相対移動する。入力側保持部材74は、入力側楔部71c及び入力側第2回転部材73の外縁部に接触すると入力側楔部71cとの間及び入力側第2回転部材73の外縁部との間に摩擦力が生じる。これにより、入力側クラッチ70は、入力側第1回転部材71に入力されたトルクが入力側保持部材74を介して入力側第2回転部材73に伝達される接続状態に切り替わる。
【0124】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、クラッチユニット1の入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間に入力側保持部材14である円筒ころが配置されている。しかしながら、入力側保持部材は、転動面を有する部材であればよい。前記入力側保持部材は、例えば球体でもよい。出力側クラッチも同様である。
【0125】
上述の実施形態では、クラッチユニット1の入力側クラッチ10は、入力側第1回転部材11と入力側第2回転部材13との間に入力側保持部材14である円筒ころが配置されている。しかしながら、入力側クラッチは、保持部材を用いない摩擦クラッチでもよい。
【0126】
前記入力側クラッチは、例えば、入力部材と出力部材との接触によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する前記接続状態に切り替わり、前記入力部材と前記出力部材との離間によって前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達しない前記接続解除状態に切り替わる構成でもよい。
【0127】
上述の実施形態では、ハウジング3は、矩形状の位置保持用爪部3aを有している。位置保持用爪部3aは、入力側第1回転部材11の回転方向に沿って湾曲した形状でもよい。つまり、位置保持用爪部3aは、軸線Pの方向に見て円弧状でもよい。
【0128】
上述の実施形態では、ハウジング3は、矩形状の位置保持用爪部3aを有している。位置保持用爪部3aにおける入力側第1回転部材11の回転方向の幅Wは、基端部から先端部に向かうにつれて小さくなるように構成してもよい。これにより、位置保持用爪部3aは、隣り合う入力側保持部材14の間に容易に挿入することができる。
【0129】
上述の実施形態では、ハウジング3は、金属製の筐体である。しかしながら、ハウジング3は、エンジニアリングプラスチック等の樹脂で構成されてもよい。
【0130】
上述の実施形態では、クラッチユニット1のロック機構50は、係合解除部55によってフランジ側係合部材である基部51及び係合部52を係合位置P1と解除位置P2とに移動させている。しかしながら、ロック機構は、係合解除部によって駆動軸側係合部材及びフランジ側係合部材のうち少なくとも一方を係合位置P1と解除位置P2とに移動させる構成であればよい。
【0131】
上述の実施形態では、クラッチユニット1のロック機構50は、係合解除部55によってフランジ側係合部材である基部51及び係合部52を軸線方向に位置する係合位置P1と解除位置P2とに移動させている。しかしながら、ロック機構は、係合解除部によって駆動軸側係合部材及びフランジ側係合部材のうち少なくとも一方を径方向に位置する係合位置P1と解除位置P2とに移動させる構成でもよい。
【0132】
上述の実施形態では、クラッチユニット1のロック機構50は、カムである係合解除部55によってフランジ側係合部材である基部51及び係合部52を係合位置P1と解除位置P2とに移動させている。しかしながら、ロック機構は、リンク機構である係合解除部によって駆動軸側係合部材及びフランジ側係合部材のうち少なくとも一方を係合位置P1と解除位置P2とに移動させる構成でもよい。
【0133】
上述の実施形態では、クラッチユニット1のロック機構50は、カムである係合解除部55によってフランジ側係合部材である基部51及び係合部52を係合位置P1と解除位置P2とに移動させている。しかしながら、ロック機構は、アクチュエータである係合解除部によって駆動軸側係合部材及びフランジ側係合部材のうち少なくとも一方を係合位置P1と解除位置P2とに移動させる構成でもよい。
【0134】
上述の実施形態では、クラッチユニット1のロック機構50は、係合部52のフランジ側歯52aと駆動軸側係合部材53の駆動軸側歯53aとを係合させている。しかしながら、ロック機構は、ハウジング側係合部材と駆動軸側係合部材とが直接的または間接的に嵌合する構成であればよい。例えば、ロック機構は、前記ハウジング側係合部材と前記駆動軸側係合部材とがピン等の他の部品を介して嵌合する構成でもよい。
【0135】
係合解除部は、凹部及び凸部を有する面にシェービング加工もしくはバレル加工を施こしてもよい。これにより、カム面精度がよくなり、耐久性が向上する。
【0136】
上述の各実施形態では、係合解除部55は、操作板42に固定されている。しかしながら、係合解除部は、操作板の一部としてもよい。つまり、前記操作板と係合解除部とは、単一の部材として構成されていてもよい。
【0137】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【符号の説明】
【0138】
1 クラッチユニット
2 駆動軸
2a 入力側支持部
2b スプライン部
2c 出力側支持部
2d ピニオンギア
3 ハウジング
10、60、70 入力側クラッチ
11、61、71 入力側第1回転部材
11b、61b、71b 円弧部
11c、61c、71c 入力側楔部
13、63、73 入力側第2回転部材
13a、61a、71a 入力側円筒部
14、64、74 入力側保持部材
15、65 入力側ばね
20 出力側クラッチ
21 解除ブラケット
22 出力側回転部材
22b 出力側楔部
23 出力側固定部材
23a 出力側円筒部
24 出力側保持部材
25 出力側ばね
40 操作レバー
42 操作板
50 ロック機構
51 基部
52 係合部
53 駆動軸側係合部材
54 弾性部材
55 係合解除部
55a 凹部
55b 凸部
75 保持器
P1 係合位置
P2 解除位置
W 幅
S 区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11