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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168793
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G02B26/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085742
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗林 廉
【テーマコード(参考)】
2H045
【Fターム(参考)】
2H045AA01
2H045BA02
2H045BA22
2H045BA33
2H045CA63
2H045DA04
(57)【要約】
【課題】同一の基板に搭載された2個の半導体レーザが射出する光ビームをコリメータレンズへの入射前に合成して像面において焦点を合わせることができる光源モジュールを提供することである。
【解決手段】光源モジュールは、第1および第2の半導体レーザと、光ビーム合成素子とを有する。第1および第2の半導体レーザは、それぞれの光軸が平行となるように配置される。光ビーム合成素子は、第1および第2の半導体レーザがそれぞれ射出する第1および第2の光ビームが入射し、第1および第2の光ビームの光軸を近接させて射出する。第1の半導体レーザの第1の発光面から光ビーム合成素子の射出面までの合計距離の空気換算長と第2の半導体レーザの第2の発光面から光ビーム合成素子の射出面の合計距離の空気換算長は互いに等しい。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの光軸が平行となるように配置された第1および第2の半導体レーザと、
前記第1および第2の半導体レーザがそれぞれ射出する第1および第2の光ビームが入射し、前記第1および第2の光ビームの光軸を近接させて射出する光ビーム合成素子と、
を有し、
前記第1の半導体レーザの第1の発光面から前記光ビーム合成素子の射出面までの合計距離の空気換算長と前記第2の半導体レーザの第2の発光面から前記光ビーム合成素子の前記射出面までの合計距離の空気換算長とが互いに等しい、
光源モジュール。
【請求項2】
前記光ビーム合成素子は、前記第1の光ビームが直接入射する偏光ビームスプリッタと、前記偏光ビームスプリッタに隣接して配置された前記第2の光ビームが直接入射するプリズムとを有し、前記プリズムは、前記第2の光ビームを前記偏光ビームスプリッタに向けて反射し、前記偏光ビームスプリッタは、前記第1の光ビームを透過し、前記第2の光ビームを反射する、
請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記第1および第2の半導体レーザは、偏光方向が一致する直線偏光の光ビームを射出し、
前記光ビーム合成素子は、前記プリズムの入射面に設けられた1/2波長板をさらに有する、
請求項2に記載の光源モジュール。
【請求項4】
前記第1および第2の半導体レーザは、前記偏光ビームスプリッタの接合面に対して、P偏光の光ビームを射出する、
請求項3に記載の光源モジュール。
【請求項5】
前記第1の半導体レーザの前記第1の発光面と前記第2の半導体レーザの前記第2の発光面は、同一平面上に位置する、
請求項1に記載の光源モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ワークプレイスに置かれる画像形成装置に搭載される光走査装置に使用される光源モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画素密度を上げるために、2個の半導体レーザを有する光源モジュールが知られている。そのような光源モジュールでは、偏光ビームスプリッタを用いて、2個の半導体レーザが射出する光ビームを合成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-181411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2個の半導体レーザを有する光源モジュールでは、2個の半導体レーザの発光面から偏光ビームスプリッタまでの光路長が異なる。このため、コリメータレンズに入射する前の発散光の光ビームの段階において、光ビームを合成して像面において焦点を合わせようとすると、2個の半導体レーザの発光面の位置を異ならせる必要に迫られる。その結果、2個の半導体レーザを同一の基板に搭載することが難しい。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、同一の基板に搭載された2個の半導体レーザが射出する光ビームをコリメータレンズへの入射前に合成して同一の像面において焦点を合わせることができる光源モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る光源モジュールは、第1および第2の半導体レーザと、光ビーム合成素子とを有する。第1および第2の半導体レーザは、それぞれの光軸が平行となるように配置される。光ビーム合成素子は、第1および第2の半導体レーザがそれぞれ射出する第1および第2の光ビームが入射し、第1および第2の光ビームの光軸を近接させて射出する。第1の半導体レーザの第1の発光面から光ビーム合成素子の射出面までの合計距離の空気換算長と第2の半導体レーザの第2の発光面から光ビーム合成素子の射出面の合計距離の空気換算長は互いに等しい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置を搭載する画像形成装置の縦断面図である。
図2図2は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置の上面図である。
図3図3は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置の斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る光源モジュールがハウジングに取り付けられる前の光走査装置の斜視図である。
図5図5は、図2に示すD-D線に沿ってハウジングを破断した断面図である。
図6図6は、実施形態に係る光源モジュールの斜視図である。
図7図7は、図6の反対側から見た光源モジュールの斜視図である。
図8図8は、図7から基板の図示を省いた光源モジュールの斜視図である。
図9図9は、図6図8に示す光源モジュールの平面図である。
図10A図10Aは、第1の実施例に係る光源モジュールにおける第1のLDチップの図9に示すA方向視図である。
図10B図10Bは、第1の実施例に係る光源モジュールにおける第2のLDチップの図9に示すB方向視図である。
図10C図10Cは、図10Aの第1のLDチップと図10Bの第2のLDチップを光軸で重ね合わせて示す図である。
図10D図10Dは、第1の実施例に係る光源モジュールに関する光走査装置の光学系を簡略して示す図である。
図10E図10Eは、図10Cに示す2個のLDチップが発する光ビームによって像面に形成される4個の集光スポットを示す平面図である。
図11図11は、角度調整後にハウジングに固定された第1の実施例に係る光源モジュールが射出する2本の光ビームによって像面に実際に形成される4個の集光スポットを示す平面図である。
図12A図12Aは、第2の実施例に係る光源モジュールにおける第1のLDチップの図9に示すA方向視図である。
図12B図12Bは、第2の実施例に係る光源モジュールにおける第2のLDチップの図9に示すB方向視図である。
図12C図12Cは、図12Aの第1のLDチップと図12Bの第2のLDチップを光軸で重ね合わせて示す図である。
図12D図12Dは、第2の実施例に係る光源モジュールに関する光走査装置の光学系を簡略して示す図である。
図12E図12Eは、図12Cに示す2個のLDチップが発する光ビームによって像面に形成される4個の集光スポットを示す平面図である。
図13図13は、角度調整後にハウジングに固定された第2の実施例に係る光源モジュールが射出する2本の光ビームによって像面に実際に形成される4個の集光スポットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、実施形態の説明に用いる各図面は、説明の便宜上、一部の構成および符号を省略して示している場合がある。
【0009】
(画像形成装置)
まず、図1を参照して、画像形成装置について説明する。図1は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置を搭載する画像形成装置の縦断面図である。例えば、画像形成装置は、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。
【0010】
画像形成装置1は、画像読取部10および画像形成部20を備える。画像読取部10は、シート原稿およびブック原稿の画像をスキャンして読み取る。画像形成部20は、画像読取部10にて原稿から読み取られた画像や、外部機器から画像形成装置1に送信された画像データ等に基づいて、シートに現像剤像を形成する。
【0011】
画像読取部10は、自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)11を備える。画像読取部10は、自動原稿搬送装置11によって搬送される原稿や、原稿台に載置される原稿の画像を読み取る。画像形成部20は、給紙カセット21と、現像器22、光走査装置30と、定着器23と、排紙トレイ24を備える。
【0012】
画像形成部20の動作について説明する。
【0013】
給紙カセット21に収納されたシートは、ピックアップローラや搬送ローラによって、現像器22に搬送される。現像器22は、給紙カセット21から搬送されたシートに対して、現像剤像を形成する。具体的には、まず、現像器22に含まれる感光体が、光走査装置30からの光によって露光されることにより、感光体の感光面上に静電潜像が形成される。
【0014】
次に、感光体に現像剤を供給することにより、静電潜像が顕像化される。感光体の感光面には現像剤像が形成され、感光面上の現像剤像は、給紙カセット21から搬送されたシートに転写される。現像剤像が転写されたシートは、定着器23に搬送される。定着器23は、シートを加熱することにより、現像剤像をシートに定着する。定着器23を通過したシートは、排紙トレイ24に搬送される。定着器23から搬送されるシートは、排紙トレイ24に積載される。
【0015】
図1に示す画像形成装置1の構造は、一例であり、シートに現像剤像を形成することができる装置であれば、いかなる構造であってもよい。
【0016】
(光走査装置)
次に、図2図3を参照して、光走査装置30について説明する。図2は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置30の上面図である。図3は、実施形態に係る光源モジュールを有する光走査装置30の斜視図である。
【0017】
光走査装置30は、光源モジュール100を備える。光源モジュール100は、発散光の光ビームを射出する。光源モジュール100の詳細については、後述する。光源モジュール100は、光源モジュール100の光軸周りに回転可能にハウジング40に取り付けられ、回転角度の調整後にハウジング40に固定される。ここで、光源モジュール100の光軸は、光源モジュール100から射出される光ビームの主光線に一致する軸を言う。
【0018】
また、光走査装置30は、コリメータレンズ31、絞り板32、シリンドリカルレンズ34、ポリゴンミラー35、fθレンズ37、折り返しミラー38を備える。コリメータレンズ31、絞り板32、シリンドリカルレンズ34、ポリゴンミラー35、fθレンズ37、折り返しミラー38はいずれも、ハウジング40に固定される。
【0019】
光源モジュール100から射出される光ビームLBは、コリメータレンズ31に入射する。コリメータレンズ31は、光源モジュール100から射出される発散光の光ビームを平行光の光ビームLBに変換する。
【0020】
前述したように、コリメータレンズ31は、ハウジング40に固定される。このため、ハウジング40は、レンズホルダ41を有する。レンズホルダ41は、コリメータレンズ31の中心軸が光源モジュール100の光軸上に位置するように、コリメータレンズ31を保持する。
【0021】
コリメータレンズ31を通過した光ビームLBは、絞り板32に入射する。図3に示すように、絞り板32は、光ビームLBの形状を整形する開口部33を有する。絞り板32は、コリメータレンズ31からの光ビームLBのうち、開口部33に入射する光を通し、開口部33に入射しない光を遮断する。
【0022】
前述したように、絞り板32は、ハウジング40に固定される。このため、ハウジング40は、絞りホルダ42を有する。絞りホルダ42は、開口部33の中心が光源モジュール100の光軸上に位置するように、絞り板32を保持する。
【0023】
絞り板32の開口部33を通過した光ビームLBは、シリンドリカルレンズ34に入射する。シリンドリカルレンズ34は、絞り板32からの光ビームLBを副走査方向に集光させる。ここで、副走査方向は、主走査方向に垂直な方向である。主走査方向は、図2の左右方向である。すなわち、副走査方向は、図2の紙面に垂直な方向である。
【0024】
前述したように、シリンドリカルレンズ34は、ハウジング40に固定される。このため、ハウジング40は、レンズホルダ43を有する。レンズホルダ43は、シリンドリカルレンズ34の中心が光源モジュール100の光軸上に位置するように、シリンドリカルレンズ34を保持する。
【0025】
絞り板32を通過した光ビームLBは、ポリゴンミラー35に入射する。ポリゴンミラー35は、ハウジング40に固定されている。ポリゴンミラー35は、回転可能であり、回転軸を中心とする外周に複数の反射面を有する。ポリゴンミラー35は、絞り板32からの光ビームLBをfθレンズ37に向けて反射する。また、ポリゴンミラー35は、回転することにより、光ビームLBを主走査方向に走査する。
【0026】
ポリゴンミラー35により反射された光ビームLBは、fθレンズ37に入射する。fθレンズ37は、ハウジング40に固定されている。fθレンズ37は、主走査方向に延びており、ポリゴンミラー35からの光ビームLBを副走査方向に集光させる。
【0027】
fθレンズ37を通過した光ビームLBは、折り返しミラー38によって反射され、カバーガラスを通過し、図1に示すように、現像器22の感光体に向かう。光ビームLBは、シリンドリカルレンズ34とfθレンズ37の集光作用により、感光体の表面に集光スポットを形成する。光ビームLBの集光スポットは、ポリゴンミラー35の走査作用により、感光体の表面を主走査方向に走査される。
【0028】
(光源モジュール)
次に、図4図9を参照して、光源モジュール100について説明する。図4は、実施形態に係る光源モジュール100がハウジング40に取り付けられる前の光走査装置30の斜視図である。図5は、図2に示すD-D線に沿ってハウジング40を破断した断面図である。図6は、実施形態に係る光源モジュール100の斜視図である。図7は、図6の反対側から見た光源モジュール100の斜視図である。図8は、図7から基板の図示を省いた光源モジュール100の斜視図である。図9は、図6図8に示す光源モジュール100の平面図である。
【0029】
まず、図6図9を参照して、光源モジュール100について詳しく説明する。光源モジュール100の構成は、図9に最も詳しく示され、図4図8においては、見やすさを優先して、適宜、符号の表記を省略する。図9には、光源モジュール100に加えて、コリメータレンズ31と像面IPも図示されている。像面IPは、光走査装置30の光学系により光ビームLBが集光される面であり、現像器22に含まれる感光体の表面に相当する。感光体の表面は厳密には円筒面であるが、光ビームLBの集光スポットは非常に小さいため、感光体の表面の曲率は実質的に無視でき、ここでは、便宜上、平面とみなす。
【0030】
ここで、説明の便宜上、図9に示すように、光源モジュール100に対してxyz直交座標系を定義し、像面IPに対してXYZ直交座標系を定義する。xyz直交座標系は、zx平面が図9の紙面に平行であり、XYZ直交座標系は、ZX平面が図9の紙面に平行である。また、z軸は、光軸LAAと光軸LABに平行である。光軸LAは、光走査装置30の光学系の光軸であるが、図9には、簡略して直線として描かれている。また、光軸LAは、主走査方向であるX軸に沿って走査されるが、図9には、像面IPに垂直となる主走査の中心位置に描かれている。
【0031】
光源モジュール100は、第1の光ビームLBAを射出する第1の半導体レーザ110と、第2の光ビームLBBを射出する第2の半導体レーザ120と、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120を保持するホルダ160と、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120の駆動回路等を含む基板170とを有する。
【0032】
第1の半導体レーザ110は、第1のLDチップ111を有し、第2の半導体レーザ120は、第2のLDチップ121を有する。なお、LDは、レーザダイオードの意味である。第1のLDチップ111は、第1の発光面112を有し、第2のLDチップ121は、第2の発光面122を有する。第1のLDチップ111は、第1の発光面112から、第1の発光面112に垂直に第1の光ビームLBAを発し、第2のLDチップ121は、第2の発光面122から、第2の発光面122垂直に第2の光ビームLBBを発する。第1の光ビームLBAと第2の光ビームLBBはいずれも、発散光の光ビームである。第1のLDチップ111は、第1のCANパッケージ118により封止され、第2のLDチップ121は、第2のCANパッケージ128により封止される。第1のCANパッケージ118からは、第1の接続端子119が延出し、第2のCANパッケージ128からは、第2の接続端子129が延出している。
【0033】
ホルダ160は、第1の半導体レーザ110を収容する第1の穴161と、第2の半導体レーザ120を収容する第2の穴162を有する。第1の半導体レーザ110は、第1のCANパッケージ118がホルダ160の第1の穴161に収容され、第2の半導体レーザ120は、第2のCANパッケージ128がホルダ160の第1の穴162に収容される。また、ホルダ160は、2個のスペーサ部164を有する。スペーサ部164の個数は、2個に限定されるものではなく、3個以上であってもよい。
【0034】
基板170は、ねじ171によって、ホルダ160のスペーサ部164に固定される。基板170は、第1の半導体レーザ110の第1の接続端子119を通す第1の貫通穴176と、第2の半導体レーザ120の第2の接続端子129を通す第2の貫通穴177を有する。第1の半導体レーザ110の第1の接続端子119は、基板170の第1の貫通穴176を貫通して延在し、第2の半導体レーザ120の第2の接続端子129は、基板170の第2の貫通穴177を貫通して延在する。第1の接続端子119と第2の接続端子129は、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120の位置調整後に、はんだ付けによって基板170に電気的に接続されるとともに固定される。
【0035】
第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120は、それぞれの光軸LAAと光軸LABが互いにほぼ平行となるように、ホルダ160に固定される。ここで、光軸LAAは、第1の半導体レーザ110の第1のLDチップ111の第1の発光面112にほぼ垂直であり、光軸LABは、第2の半導体レーザ120の第2のLDチップ121の第2の発光面122にほぼ垂直である。すなわち、光軸LAAと光軸LABはいずれも、z軸にほぼ平行である。
【0036】
光ビーム合成素子130について説明する。光ビーム合成素子130は、第1の半導体レーザ110から射出される第1の光ビームLBAと第2の半導体レーザ120から射出される第2の光ビームLBBが入射する。光ビーム合成素子130は、これら第1の光ビームLBAの光軸LAAと第2の光ビームLBBの光軸LABを近接させて射出する。
【0037】
光ビーム合成素子130は、第1の半導体レーザ110から射出される第1の光ビームLBAが直接入射するキューブ型の偏光ビームスプリッタ131と、第2の半導体レーザ120から射出される第2の光ビームLBBが直接入射するプリズム136とを有する。
【0038】
プリズム136は、第2の光ビームLBBが入射する入射面138と、第2の光ビームLBBを偏光ビームスプリッタ131に向けてほぼ100%反射する反射面137と、第2の光ビームLBBを射出する射出面139とを有する。反射面137は、全反射の条件がそろっている場合は、そのままの面であり、全反射の条件がそろっていない場合は、反射膜が施される。
【0039】
偏光ビームスプリッタ131は、第1の光ビームLBAが入射する第1の入射面132と、第2の光ビームLBBが入射する第2の入射面135と、第1の光ビームLBAはほぼ100%透過するが第2の光ビームLBBはほぼ100%反射する接合面134と、第1の光ビームLBAと第2の光ビームLBBを射出する射出面133とを有する。
【0040】
プリズム136は、偏光ビームスプリッタ131に隣接して配置されている。詳しくは、プリズム136と偏光ビームスプリッタ131は、プリズム136の射出面139と偏光ビームスプリッタ131とが面接触するように配置されている。
【0041】
また、光ビーム合成素子130は、プリズム136の入射面138に設けられた1/2波長板146と、偏光ビームスプリッタ131の射出面133に設けられた1/4波長板141とを有する。
【0042】
第1の半導体レーザ110が射出する第1の光ビームLBAと第2の半導体レーザ120が射出する第2の光ビームLBBはいずれも、直線偏光の光ビームである。第1の光ビームLBAの偏光方向と第2の半導体レーザ120の偏光方向は、互いに一致している。例えば、第1の光ビームLBAの偏光方向と第2の半導体レーザ120の偏光方向は、x軸に平行である。すなわち、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120はいずれも、偏光ビームスプリッタ131の接合面134に対して、P偏光の光ビームを射出する。
【0043】
1/4波長板141は、P偏光とS偏光を円偏光に変換するように、その光線軸が設定されている。すなわち、1/4波長板141は、その光線軸がP偏光とS偏光の偏光方向に対して45度に設定されている。
【0044】
1/2波長板146は、P偏光をS偏光に変換するように、光線軸が設定されている。
【0045】
第1の半導体レーザ110から射出される発散光でP偏光の第1の光ビームLBAは、第1の入射面132から偏光ビームスプリッタ131に入射し、接合面134をほぼ100%透過し、射出面133から射出される。偏光ビームスプリッタ131から射出されるP偏光の第1の光ビームLBAは、1/4波長板141を通過することにより、円偏光の光ビームに変換される。その後、発散光の第1の光ビームLBAは、コリメータレンズ31を通過することにより、概略平行光の光ビームに変換される。
【0046】
第2の半導体レーザ120から射出される発散光でP偏光の第2の光ビームLBBは、1/2波長板146に入射し、1/2波長板146を通過することにより、S偏光の光ビームに変換される。その後、第2の光ビームLBBは、入射面138からプリズム136に入射し、反射面137によってほぼ100%反射され、射出面139から射出される。プリズム136から射出されるS偏光の第2の光ビームLBBは、第2の入射面135から偏光ビームスプリッタ131に入射し、接合面134によってほぼ100%反射され、射出面133から射出される。偏光ビームスプリッタ131から射出されるS偏光の第2の光ビームLBBは、1/4波長板141を通過することにより、円偏光の光ビームに変換される。その後、発散光の第2の光ビームLBBは、コリメータレンズ31を通過することにより、概略平行光の光ビームに変換される。
【0047】
なお、1/4波長板141により、P偏光の第1の光ビームLBAを円偏光の光ビームに変換し、S偏光の第2の光ビームLBBを円偏光の光ビームに変換するのは、これより下流の光走査装置30の光学系の光学部品(ポリゴンミラー35、fθレンズ37、折り返しミラー38、カバーガラス)における第1の光ビームLBAと第2の光ビームLBBの透過と反射の特性を均一にするためである。
【0048】
第1の光ビームLBAと第2の光ビームLBBは、偏光ビームスプリッタ131の接合面134によって合成され、その後、コリメータレンズ31を通過することにより、平行光の光ビームLBとなる。光ビームLBは、光走査装置30の光学系の光軸LAに沿って進行し、有限焦点の像面IPに集光される。像面IPは、現像器22に含まれる感光体の表面である。図9には、便宜上、光走査装置30の光学系の光軸LAは、直線で描かれている。
【0049】
(空気換算長)
続いて、図9を参照して、光源モジュール100について、さらに詳しく説明する。光源モジュール100において、第1の半導体レーザ110の第1のLDチップ111の第1の発光面112と、第2の半導体レーザ120の第2のLDチップ121の第2の発光面122は共に、同一の平面EP上にほぼ位置する。
【0050】
このように第1の発光面112と第2の発光面122が同一の平面EP上にほぼ位置するように第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120が配置される構成において、偏光ビームスプリッタ131までが同一の媒体(例えば空気)である場合、コリメータレンズ31のバックフォーカス位置が、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120とで大きく異なるため、同一の像面IPで結像しないという不具合が起こる。
【0051】
この不具合を避けるため、実施形態では、第1の発光面112と第2の発光面122が同一の平面EP上にほぼ位置するように第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120が配置された状態において、コリメータレンズ31のバックフォーカス位置を第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120とで揃える。
【0052】
このため、光源モジュール100においては、第1の半導体レーザ110の第1のLDチップ111の第1の発光面112から光ビーム合成素子130の射出面133までの合計距離の空気換算長と、第2の半導体レーザ120の第2のLDチップ121の第2の発光面122から光ビーム合成素子130の射出面133の合計距離の空気換算長は、互いに等しい。以下、詳しく説明する。
【0053】
図9に示すように、第1の半導体レーザ110の発光面112から光ビーム合成素子130の偏光ビームスプリッタ131の第1の入射面132までの距離をLaとする。偏光ビームスプリッタ131の第1の入射面132から接合面134までの光軸LAA上における距離をLfとする。また、接合面134から偏光ビームスプリッタ131の射出面133までの光軸LAA上における距離をLfとする。1/4波長板141の厚さをLgとする。
【0054】
また、第2の半導体レーザ120の発光面112から光ビーム合成素子130の1/2波長板146の入射面147までの距離をLbとする。1/2波長板146の厚さをLcとする。光ビーム合成素子130のプリズム136の入射面138から反射面137までの光軸LAB上における距離をLdとする。プリズム136の反射面137から射出面139までの光軸LAB上における距離をLeとする。なお、光軸LABは、反射面137によって90度折り曲げられている。また、プリズム136の射出面139は、光ビーム合成素子130の偏光ビームスプリッタ131の第2の入射面135と一致する。偏光ビームスプリッタ131の第2の入射面135から接合面134までの光軸LAB上における距離をLfとする。
【0055】
さらに、1/2波長板146と1/4波長板141の屈折率をna、プリズム136の屈折率をnb、偏光ビームスプリッタ131の屈折率をncとする。
【0056】
1/2波長板146による焦点ずれΔαは、下記の式(1)となる。
【0057】
Δα=Lc×(1-1/na)・・・(1)
プリズム136による焦点ずれΔβは、下記の式(2)となる。
【0058】
Δβ=(Ld+Le)×(1-1/nb)・・・(2)
第1の半導体レーザ110の第1の発光面112と第2の半導体レーザ120の第2の発光面122が、同一の平面EP上にほぼ位置する条件は、下記の式(3)と式(4)となる。
【0059】
Lb+Lc+Ld+Le=La+Δα+Δβ・・・(3)
La+Lf=Lb+Lc+Ld・・・(4)
式(1)と式(2)と式(3)と式(4)より、下記の式(5)を得る。
【0060】
Ld=(Lf-Lc(1-1/na)+Le/nb)/(1-1/nb)・・・(5)
また、式(4)を変形して、下記の式(6)式を得る。
【0061】
Lb=La+Lf-Lc-Ld・・・(6)
Laは、Lbが正となるように設定される。
【0062】
計算例として、La=12、Lc=0.5、Le=3.5、Lf=5、na=1.52、nb=1.83とすると、Ld=14.864、Lb=1.636を得る。
【0063】
上記条件となるように、パラメータを設定することによって、第1の発光面112と第2の発光面122が同一の平面EP上にほぼ位置するように第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120が配置される構成においても、第1の発光面112から発せられる第1の光ビームLBAと第2の発光面122から発せられる第2の光ビームLBBが、光ビーム合成素子130によって合成されたのちに、共通のコリメータレンズ31の透過後に、同一の像面IPに結像するようにすることができる。
【0064】
一方で、空気換算長=(厚さ)/(その厚さにおける屈折率)を定義する。第1の半導体レーザ110の第1の発光面112から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの空気換算長を第1の半導体レーザ110側の空気換算長S1とする。また、第2の半導体レーザ120の第2の発光面122から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの空気換算長を第2の半導体レーザ120側の空気換算長S2とする。またLg=0.5、nc=1.52とする。
【0065】
第1の半導体レーザ110側の空気換算長S1は、下記の式(7)で表される。
【0066】
S1=La/1+Lf/nc+Lf/nc+Lg/na・・・(7)
第2の半導体レーザ120側の空気換算長S2は、下記の式(8)で表される。
【0067】
S2=Lb/1+Lc/na+Ld/nb+Le/nb+Lf/nc+Lf/nc+Lg/na・・(8)
式(7)に、上記の計算例の数値を代入すると、S1=18.907が得られる。
【0068】
式(8)に、上記の計算例の数値を代入すると、S2=18.907が得られる。
【0069】
このように、S1=S2となる。すなわち、第1の半導体レーザ110の第1の発光面112から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの空気換算長S1と、第2の半導体レーザ120の第2の発光面122から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの空気換算長S2とを、互いに等しくすることによって、「第1の発光面112と第2の発光面122が同一の平面EP上にほぼ位置するように第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120が配置される構成においても、第1の発光面112から発せられる第1の光ビームLBAと第2の発光面122から発せられる第2の光ビームLBBが、光ビーム合成素子130によって合成されたのちに、共通のコリメータレンズ31の透過後に、同一の像面IPに結像するようにすることができる」と言い換えることができる。
【0070】
また、式(7)-式(8)により、下記の関係式(9)を導くことができる。
【0071】
S1-S2=La-Lb-Lc/na-Ld/nb-Le/nb・・・(9)
式(9)に、式(5)と式(6)を代入すると、下記の式(10)が得られる。
【0072】
S1-S2=0・・・(10)
すなわち、S1=S2である。なお、式(9)の導出と式(10)の算出には、Mathematica(登録商標)等の数式処理ソフトを使用した。
【0073】
(第1の実施例)
図10A図10E図11を参照して、第1の実施例に係る光源モジュール100について説明する。
【0074】
図10A図10Cは、第1の実施例に係る光源モジュール100を模式的に示す図である。半導体レーザ110、120のLDチップ111、121が2ビームアレイを有する例である。図10Aには、第1のLDチップ111のA方向視、図10Bには第2のLDチップ121のB方向視が描かれている。図10C図10Aの第1のLDチップ111、図10Bの第2のLDチップ121を光軸LAA、LABで重ね合わせた図である。図10Dは、図9と同様、光走査装置30の光学系が簡略して描かれている。第1のLDチップ111とコリメータレンズ31、第2のLDチップ121とコリメータレンズ31間の光路は、空気換算長に換算した状態で描かれている。図10Eは、図10Cに示す2個のLDチップ111、121が発する光ビームによって像面IPに形成される4個の集光スポット115、116、125、126を示す平面図である。
【0075】
第1の実施例に係る光源モジュール100おいては、第1のLDチップ111の2個の発光部113、114は、x軸に平行に一直線上に並んでおり、第2のLDチップ121の2個の発光部123、124も、x軸に平行に一直線上に並んでいる。第1のLDチップ111の2個の発光部113、114のx軸に沿った間隔と、第2のLDチップ121の2個の発光部123、124のx軸に沿った間隔はいずれも、Paである。さらに、第1のLDチップ111の内側の発光部113と第2のLDチップ121の内側の発光部123のx軸に沿った間隔も、Paである。すなわち、x方向に関しては、2個のLDチップ111、121の4個の発光部113、114、123、124は、等しい間隔Paで並んでいる。
【0076】
第1のLDチップ111の光軸LAAは、発光部113と発光部114の中心を通る直線と、第1のLDチップ111の内側の発光部113の中心と第2のLDチップ121の内側の発光部123の中心とのx方向の間隔を二分するy軸に平行な直線との交点を通る。第2のLDチップ121の光軸LABは、発光部123と発光部124の中心を通る直線と、第1のLDチップ111の内側の発光部113の中心と第2のLDチップ121の内側の発光部123の中心とのx方向の間隔を二分するy軸に平行な直線との交点を通る。
【0077】
2個のLDチップ111、121から発せられる4本の光ビームは、コリメータレンズ31を含む光走査装置30の光学系によって像面IPに集光され、4個の集光スポット115、116、125、126を形成する。4個の集光スポット115、116、125、126は、X軸に平行に一直線上に並んでいる。4個の集光スポット115、116、125、126のX軸に沿った間隔はいずれもPeである。光軸LAは、集光スポット115と集光スポット125の中心の間隔を二分する点を通る。言い換えれば、光軸LAは、4個の集光スポット115、116、125、126の重心を通る。
【0078】
図11は、角度調整後にハウジング40に固定された第1の実施例に係る光源モジュール100が射出する2本の光ビームLBA、LBBによって像面IPに実際に形成される4個の集光スポット115、116、125、126を示す平面図である。4個の集光スポット115、116、125、126の間隔はいずれもPfである。ここで、PfがPeと一致しないのは走査光学系の場合、主走査方向(X方向)と副走査方向(Y方向)とで光学系の倍率が異なる場合があるからである。
【0079】
光源モジュール100は、ハウジング40に固定する際に、光軸LAAの周りに角度調整される。4個の集光スポット115、116、125、126の中心を通る直線は、主走査方向すなわちX方向に対してθbの角度を成すように調整される。一例では、θbは副走査方向に所望の解像度を得るため、隣接する4個の集光スポット115、116、125、126がY方向にPsずれる角度である。Psは600dpiの時は42.3μm、1200dpiの時は21.2μm、2400dpiの時は10.6μmである。
このような集光スポット115、116、125、126の配置を得るため、光源モジュール100をハウジング40に固定する際、図11に示す集光スポット115、116、125、126の配置が得られるように、光源モジュール100の光軸回りの角度が調整された後に、接着やねじ止め等の手段によって、ハウジング40に固定される。
【0080】
(第2の実施例)
次に、図12A図12E図13を参照して、第2の実施例に係る光源モジュール100について説明する。第2の実施例は、第1の実施例と同様、第1の半導体レーザ110の第1のLDチップ111と第2の半導体レーザ120の第2のLDチップ121のxy平面上におけるレイアウトを変形したものである。
【0081】
第2の実施例に係る図12A図12E図13は、それぞれ、第1の実施例に係る図10A図10E図11に対応している。従って、図12A図12E図13の意味合いは、それぞれ、図10A図10E図11の意味合いと同様である。以下では、冗長な説明を避けるため、第1の実施例との相違部分に重点をおいて説明する。
【0082】
第2の実施例に係る光源モジュール100おいては、第1のLDチップ111の2個の発光部113、114は、x軸に平行に一直線上に並んでおり、第2のLDチップ121の2個の発光部123、124も、x軸に平行に一直線上に並んでいる。第1のLDチップ111の2個の発光部113、114のx軸に沿った間隔と、第2のLDチップ121の2個の発光部123、124のx軸に沿った間隔はいずれも、Paである。以上は、第1の実施例に係る光源モジュール100と同様である。
【0083】
第2の実施例に係る光源モジュール100おいては、第1のLDチップ111の内側の発光部113は、x方向に関して、第2のLDチップ121の2個の発光部123の中心の間隔を二分する位置に配置されている。また、第2のLDチップ121の内側の発光部123は、x方向に関して、第1のLDチップ111の2個の発光部113、114の中心の間隔を二分する位置に配置されている。すなわち、2個のLDチップ111、121の4個の発光部113、114、123、124は、x軸に沿って、等しい間隔Pa/2で並んでいる。
【0084】
第1のLDチップ111の光軸LAAは、発光部113と発光部114の中心を通る直線と第1のLDチップ111の内側の発光部113の中心と第2のLDチップ121の内側の発光部123の中心とのx方向の間隔を二分するy軸に平行な直線との交点を通る。第2のLDチップ121の光軸LABは、発光部123と発光部124の中心を通る直線と、第1のLDチップ111の内側の発光部113の中心と第2のLDチップ121の内側の発光部123の中心とのx方向の間隔を二分するy軸に平行な直線との交点を通る。
【0085】
第1の実施例と同様、2個のLDチップ111、121から発せられる4本の光ビームは、コリメータレンズ31を含む光走査装置30の光学系によって像面IPに集光され、4個の集光スポット115、116、125、126を形成する。4個の集光スポット115、116、125、126は、X軸に平行に一直線上に並んでいる。ただし、第2の実施例では、4個の集光スポット115、116、125、126のX軸に沿った間隔はいずれもPe/2である。光軸LAは、集光スポット115と集光スポット125の中心の間隔を二分する点を通る。言い換えれば、光軸LAは、4個の集光スポット115、116、125、126の重心を通る。
【0086】
図13は、角度調整後にハウジング40に固定された第2の実施例に係る光源モジュール100が射出する2本の光ビームLBA、LBBによって像面IPに実際に形成される4個の集光スポット115、116、125、126を示す平面図である。これは、図11に相当するものである。4個の集光スポット115、116、125、126の間隔はいずれもPiである。Piは、概ね、Pf/2である。
【0087】
前述したように、光源モジュール100は、ハウジング40に固定する際に、光軸LAAの周りに角度調整される。4個の集光スポット115、116、125、126の中心を通る直線は、主走査方向すなわちX方向に対してθcの角度を成すように調整される。副走査方向の解像度と、隣接する2個の集光スポット115、116、125、126のY方向のずれ量は、第1の実施例と同様である。
【0088】
第2の実施例においては、図12Cに示すように、4個の発光部113、114、123、124は、x方向に関して、第1の実施例の半分の間隔Pe/2で並んでいる。このため、図11図13に比較して分かるように、同じ副走査方向の解像度を得るために光源モジュール100を回転させる角度θcは、概ね角度θbの2倍である。このため、第2の実施例は第1の実施例と比較して、光源モジュール100の角度の調整の感度を低い。これにより、副走査方向の解像度の調整が行い易い。言い換えれば、少しの角度で副走査方向の解像度が大きくずれることが抑えられる。
【0089】
(効果)
実施形態に係る光源モジュール100は、第1の半導体レーザ110の第1のLDチップ111の第1の発光面112から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの合計距離の空気換算長と、第2の半導体レーザ120の第2のLDチップ121の第2の発光面122から光ビーム合成素子130の1/4波長板141の射出面143までの合計距離の空気換算長とが互いに等しい。このため、光源モジュール100は、第1の半導体レーザ110と第2の半導体レーザ120を同一の基板170に搭載し、かつ、第1の半導体レーザ110が射出する光ビームLBAと第2の半導体レーザ120が射出する光ビームLBBとを、コリメータレンズ31への入射前に合成し、同一の像面IPにおいて焦点を合わせることができる。
【0090】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1…画像形成装置、10…画像読取部、11…自動原稿搬送装置、20…画像形成部、21…給紙カセット、22…現像器、23…定着器、24…排紙トレイ、30…光走査装置、31…コリメータレンズ、32…絞り板、33…開口部、34…シリンドリカルレンズ、35…ポリゴンミラー、37…fθレンズ、38…折り返しミラー、40…ハウジング、41…レンズホルダ、42…絞りホルダ、43…レンズホルダ、48…軸受、100…光源モジュール、110…第1の半導体レーザ、111…第1のLDチップ、112…第1の発光面、113、114…発光部、115、116…集光スポット、118…第1のCANパッケージ、119…第1の接続端子、120…第2の半導体レーザ、121…第2のLDチップ、122…第2の発光面、123、124…発光部、125、126…集光スポット、128…第2のCANパッケージ、129…第2の接続端子、130…光ビーム合成素子、131…偏光ビームスプリッタ、132…第1の入射面、133…射出面、134…接合面、135…第2の入射面、136…プリズム、137…反射面、138…入射面、139…射出面、141…1/4波長板、143…射出面、146…1/2波長板、147…入射面、160…ホルダ、161…第1の穴、162…第2の穴、164…スペーサ部、166…回転軸、170…基板、171…ねじ、176…第1の貫通穴、177…第2の貫通穴、S1…第1の半導体レーザ側の空気換算長、S2…第2の半導体レーザ側の空気換算長。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13