(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168809
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B65G1/00 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085767
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】安部 健史
(72)【発明者】
【氏名】中川 博之
(72)【発明者】
【氏名】戸羽 浩嘉
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022CC03
3F022FF01
3F022LL31
3F022MM08
3F022MM11
3F022MM42
3F022NN38
3F022NN52
3F022NN55
3F022PP04
3F022PP06
(57)【要約】
【課題】双方向コンベヤを用いて、地点間での搬送対象物の搬送を効率的に行い得る搬送システムを実現する。
【解決手段】搬送システム(1)の制御装置(50)は、双方向コンベヤ装置(30)のコンベヤ機構(コンベヤ機構部32)上に載置される搬送対象物を第1方向に搬送させる第1モードと、第1方向とは逆の第2方向に搬送させる第2モードとを、交互に実行するとともに、第1モードの継続期間を定める所定の第1期間に基づいて前記第1モードを継続する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向に搬送対象物の搬送が可能なコンベヤ機構を備えた双方向コンベヤ装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記双方向コンベヤ装置を制御して、
前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を第1方向に搬送させる搬送モードである第1モードと、
前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を前記第1方向とは逆の第2方向に搬送させる搬送モードである第2モードとを、交互に実行するとともに、
前記第1モードの継続期間を定める所定の第1期間に基づいて前記第1モードを継続する、搬送システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記第1期間の期中において、前記第2モードで搬送すべき前記搬送対象物がある状態で、前記第1モードで搬送すべき前記搬送対象物が尽きた場合には、
搬送中の前記搬送対象物の所定の搬送が完了した後、前期第1期間終了前であっても前記第2モードを実行する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記コンベヤ機構上の第1位置において、前記双方向コンベヤ装置との間で前記搬送対象物の授受を行う第1装置と、
前記コンベヤ機構上の第2位置において、前記双方向コンベヤ装置との間で前記搬送対象物の授受を行う第2装置と、を更に備え、
前記制御装置は、
前記双方向コンベヤ装置、前記第1装置、及び前記第2装置を制御して、
前記第1モードにおいて、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物を前記双方向コンベヤ装置を通じて搬送させ、前記第2モードにおいて、前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物を前記双方向コンベヤ装置を通じて搬送させるとともに、
前記第1期間の期中において、前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物がある状態で、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が尽きた場合には、
搬送中の前記搬送対象物の前記第2位置への到着が完了した後、前期第1期間終了前であっても前記第2モードを実行する、請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記第1モードの実行中に、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物がある状態で前記第1期間が終了した場合には、
搬送中の前記搬送対象物の前記第2位置への到着が完了してから前記第2モードを実行する、請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記搬送対象物ごとに、搬送を早期に行う必要性の度合いを示す優先度が定められており、
前記制御装置は、
前記第1モードの実行中に、優先度が所定の閾値以上である前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が生じた場合には、前記第1モードを直ちに終了して前記第2モードを実行する、請求項3または4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第1装置から前記第2装置への前記搬送対象物の単方向の搬送が可能な単方向コンベヤ装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記第1装置から前記第2装置へ搬送すべき前記搬送対象物が所定数以下の場合には、
前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が無いものとし、
前記第1装置から前記第2装置へ搬送すべき当該搬送対象物を前記単方向コンベヤ装置を通じて搬送させる、請求項3または4に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物を双方向に搬送可能な双方向コンベヤが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報WO2020/090323号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の双方向コンベヤは、並行するコンベヤのバックアップラインとして設けられており、通常時に搬送対象物の搬送を行うものではない。そのため、当該双方向コンベヤを用いて地点間での搬送対象物の搬送を行おうとする場合の具体的な制御方法について開示はされていない。
【0005】
本発明の一態様は、双方向コンベヤを用いて、地点間での搬送対象物の搬送を効率的に行い得る搬送システムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る搬送システムは、双方向に搬送対象物の搬送が可能なコンベヤ機構を備えた双方向コンベヤ装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記双方向コンベヤ装置を制御して、前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を第1方向に搬送させる搬送モードである第1モードと、前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を前記第1方向とは逆の第2方向に搬送させる搬送モードである第2モードとを、交互に実行するとともに、前記第1モードの継続期間を定める所定の第1期間に基づいて前記第1モードを継続する。
【0007】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、双方向コンベヤを用いて、少なくとも2地点間での搬送対象物の搬送を効率的に行い得る搬送システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る搬送システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る搬送システムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る搬送システムの3つの動作モードを示した状態遷移図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る搬送システムの3つの動作モードを示した状態遷移図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係る搬送システムの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、実施形態1に係る搬送システム1の概要を模式的に示す図である。
図2は、搬送システム1の構成を示す機能ブロック図である。
【0011】
搬送システム1は、第1装置10、第2装置20、双方向コンベヤ装置30、及び制御装置50を備えている。搬送システム1において、これら各装置は互いに通信可能であり、相互に情報の授受を行うことができる。搬送システム1の制御装置50は、上位システム2と通信可能であり、相互に情報の授受を行うことができる。
【0012】
上位システム2は、例えば工場の工程における製品の生産を管理する情報処理システムである。上位システム2は、搬送システム1の制御装置50に対して、個々の製品、半製品、材料、治具類等の物品の搬送の指示を行う。上位システム2が制御装置50に対して搬送の指示を行った物品が搬送システム1における搬送対象物Bとなる。
【0013】
<双方向コンベヤ装置30>
双方向コンベヤ装置30は、コンベヤ制御部31と、コンベヤ制御部31によって制御されるコンベヤ機構部32とを備えている。双方向コンベヤ装置30は、コンベヤ機構部32上に載置された搬送対象物Bを、第1方向D1及び第1方向D1とは逆向きの第2方向D2に搬送させる双方向コンベヤ装置である。
【0014】
搬送システム1において、第1方向D1は、第1装置10から第2装置20へと搬送対象物Bを移送する方向であり、第2方向D2は、第2装置20から第1装置10へと搬送対象物Bを移送する方向である。搬送システム1の動作の説明を理解しやすくするために、以下では第1方向D1を順方向D1、第2方向D2を逆方向D2とも称するが、これらは便宜上の表現である。また以下では、第1方向D1(順方向)への搬送を順搬送、第2方向D2(逆方向)への搬送を逆搬送と表現する。
【0015】
双方向コンベヤ装置30は以下の動作を実行し得る。双方向コンベヤ装置30のコンベヤ制御部31が、順搬送を行う旨の指示を制御装置50から伝達される。すると、コンベヤ制御部31はコンベヤ機構部32を制御して、コンベヤ機構部32に順搬送を行う動作を実行させる。
【0016】
また、コンベヤ制御部31が、逆搬送を行う旨の指示を制御装置50から伝達される。すると、コンベヤ制御部31はコンベヤ機構部32を制御して、コンベヤ機構部32に逆搬送を行う動作を実行させる。さらに、コンベヤ制御部31が、停止の指示を制御装置50から伝達される。すると、コンベヤ制御部31はコンベヤ機構部32を制御して、コンベヤ機構部32を停止させる。
【0017】
<第1装置10、第2装置20>
第1装置10は、第1制御部11と、第1制御部11によって制御される第1機構部12とを備えている。第1装置10の第1機構部12は、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32との間で、搬送対象物Bの授受を行うことができる。このとき第1機構部12は、コンベヤ機構部32上の第1位置P1において、搬送対象物Bの授受を行う。
【0018】
第2装置20は、第2制御部21と、第2制御部21によって制御される第2機構部22とを有している。第2装置20の第2機構部22は、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32との間で、搬送対象物Bの授受を行うことができる。このとき第2機構部22は、コンベヤ機構部32上の第2位置P2において、搬送対象物Bの授受を行う。
【0019】
第1装置10及び第2装置20は例えば、物品を保管するストッカーであり得る。この場合、第1機構部12は、第1装置10内部の所要の位置への搬送対象物Bの収容あるいは所要の位置に収容された搬送対象物Bの取り出しを行うことができる。第2装置20についても同様である。また第1装置10または第2装置20は、双方向コンベヤ装置30以外の装置との間で、適宜に搬送対象物Bの授受を行うことができるポートを備えていてもよい。
【0020】
第1装置10及び第2装置20の少なくともいずれかはストッカー以外の装置であってもよい。第1装置10は、コンベヤ機構部32上の第1位置P1において双方向コンベヤ装置30との間で所要の搬送対象物Bの授受が可能な装置であれば、天井走行搬送システム、半製品等に対して所要の処理を実施する生産装置、検査装置等であってもよい。第2装置20についても同様である。
【0021】
第1装置10は以下の動作を実行し得る。第1装置10の第1制御部11が、第1装置10内の所要の物品を双方向コンベヤ装置30へ引き渡す旨の指示を制御装置50から伝達される。すると、第1制御部11は第1機構部12を制御して、当該物品を収容位置から取り出し、搬送対象物Bとして、コンベヤ機構部32上の第1位置P1で、双方向コンベヤ装置30に引き渡す。
【0022】
また、第1制御部11が搬送対象物受け取り指示を制御装置50から伝達されると、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32によって搬送される搬送対象物Bを受け入れ可能(受け入れ待機状態)とする。そうして第1位置P1に搬送対象物Bが搬送されてきたことを検知すると、第1制御部11は、第1機構部12を制御して当該搬送対象物Bをコンベヤ機構部32から取り上げる。すなわち、第1装置10は双方向コンベヤ装置30から搬送対象物Bを受け取る。
【0023】
さらに、第1制御部11は、受け取った搬送対象物Bについての情報を制御装置50に報告する。そのため、第1装置10は搬送対象物Bの識別情報を検知する適宜のセンサを備えている。搬送対象物Bの識別情報は、搬送対象物Bの外面に付された符号、マーク、バーコード等によって示されるものであってよい。あるいは搬送対象物Bの識別情報は、搬送対象物Bが備えるRFID(Radio Frequency Identification)タグの読み取りによって示されるものであってもよい。
【0024】
そうして第1制御部11は、第1機構部12を制御して、受け取った搬送対象物Bを第1装置10内部の適宜の収容位置に収容する。第1制御部11は、搬送対象物受け取り指示の解除を制御装置50から伝達されると、第1装置10による、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32によって搬送される搬送対象物Bの受け入れを止める(受け入れ待機状態を停止する)。
【0025】
第2装置20は以下の動作を実行し得る。第2装置20の第2制御部21が、第2装置20内の所要の物品を双方向コンベヤ装置30へ引き渡す旨の指示を制御装置50から伝達される。すると、第2制御部21は第2機構部22を制御して、当該物品を収容位置から取り出し、搬送対象物Bとして、コンベヤ機構部32上の第2位置P2で、双方向コンベヤ装置30に引き渡す。
【0026】
また、第2制御部21が搬送対象物受け取り指示を制御装置50から伝達されると、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32によって搬送される搬送対象物Bを受け入れ可能(受け入れ待機状態)とする。そうして第2位置P2に搬送対象物Bが搬送されてきたことを検知すると、第2制御部21は、第2機構部22を制御して当該搬送対象物Bをコンベヤ機構部32から取り上げる。すなわち、第2装置20は双方向コンベヤ装置30から搬送対象物Bを受け取る。
【0027】
さらに、第2制御部21は、受け取った搬送対象物Bについての情報を制御装置50に報告する。そのため、第1装置10は搬送対象物Bの識別情報を検知する適宜のセンサを備えている。そうして第2制御部21は、第2機構部22を制御して、受け取った搬送対象物Bを第2装置20内部の適宜の収容位置に収容する。第2制御部21は、搬送対象物受け取り指示の解除を制御装置50から伝達されると、第2装置20による、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32によって搬送される搬送対象物Bの受け入れを止める(受け入れ待機状態を停止する)。
【0028】
<制御装置50>
制御装置50は、搬送制御部51と、情報を記憶するメモリである記憶部52とを備えている。記憶部52には、順搬送待ちリストL1、逆搬送待ちリストL2、搬送中リストL3が記憶されている。
【0029】
搬送制御部51は、上位システム2からの物品の搬送指示に応じて、搬送システム1の動作モードを決定する。なお、搬送システム1の動作モードには、停止モード、第1モード、第2モードの3つのモードがあるが、これらについては後述される。また搬送制御部51は、動作モードと上位システム2からの物品の搬送指示に応じて、第1装置10、第2装置20、双方向コンベヤ装置30に上述の各装置に対する指示を適宜行うことで、第1装置10と第2装置20の間での、双方向の効率的な搬送を実現する。
【0030】
制御装置50は情報処理システムであるため、情報処理システムについて公知の通り、例えば一式の汎用コンピュータで構成されていてもよいが、必ずしもその必要はない。つまり搬送制御部51の機能は、物理的には分散した複数の装置にまたがって構築されていてもよい。また、記憶部52に記憶された各リストL1~L3もまた、物理的には分散した複数の装置にまたがって構成されていてもよい。
【0031】
例えば、搬送制御部51の全部の機能または一部の機能は、実質的に上位システム2と一体不可分のシステムとして構築されていてもよい。また搬送制御部51の全部の機能または一部の機能による情報処理は、第1装置10、第2装置20、あるいは双方向コンベヤ装置30の内部において実行されてもよい。例えば、記憶部52の各リストL1~L3のそれぞれは、全部または一部が実質的に上位システム2に一体不可分に組み込まれていてもよい。また各リストL1~L3のそれぞれは、全部または一部が第1装置10、第2装置20、あるいは双方向コンベヤ装置30の内部において記憶されていてもよい。
【0032】
<搬送システム1の動作の概要>
以下に搬送システム1の動作について説明する。始めに、搬送システム1の動作の概要について述べる。搬送システム1は、第1装置10から第2装置20に搬送すべき搬送対象物B及び第1装置10から第2装置20に搬送すべき搬送対象物Bが双方向とも十分にある状態の場合には、次のように動作する。
【0033】
搬送システム1は、第1モードと第2モードとを交互に実行する。ここで、第1モードとは、第1装置10から第2装置20へと搬送(順搬送)すべき搬送対象物Bを双方向コンベヤ装置30を用いて第1装置10から第2装置20へ搬送(順搬送)する搬送モードである。第2モードとは、第2装置20から第1装置10へと搬送(逆搬送)すべき搬送対象物Bを双方向コンベヤ装置30を用いて第2装置20から第1装置10へ搬送(逆搬送)する搬送モードである。
【0034】
すなわち、第1モードとは、コンベヤ機構上に載置される搬送対象物Bを順方向D1(第1方向)に搬送させる搬送モードでもある。第2モードとは、コンベヤ機構上に載置される搬送対象物Bを逆方向D2(第2方向)に搬送させる搬送モードでもある。
【0035】
この場合に第1モードと第2モードとの切替は、次のように行われる。搬送システム1は、第1モード開始後、第1モードの継続期間を定める所定の第1期間が経過すると、すなわち第1期間がタイムアップすると、その時点で搬送中の搬送対象物Bの搬送を完了させてから第2モードに切り替える。ただし、第2装置20から第1装置10へと搬送(逆搬送)すべき搬送対象物Bが無い場合にはその限りでない。
【0036】
また搬送システム1は、第2モード開始後、第2モードの継続期間を定める所定の第2期間が経過すると、すなわち第2期間がタイムアップすると、その時点で搬送中の搬送対象物Bの搬送を完了させてから第1モードに切り替える。ただし、第1装置10から第2装置20へと搬送(順搬送)すべき搬送対象物Bが無い場合にはその限りでない。
【0037】
一方搬送システム1は、第1期間の期中に、第2モードで搬送すべき搬送対象物Bがある状態において、第1モードで搬送すべき搬送対象物Bが尽きた場合には、その時点で搬送中の搬送対象物Bの搬送が完了した後に、第1期間終了前であっても第2モードに切り替える。同様に搬送システム1は、第2期間の期中に、第1モードで搬送すべき搬送対象物Bがある状態において、第2モードで搬送すべき搬送対象物Bが尽きた場合には、その時点で搬送中の搬送対象物Bの搬送が完了してから第1モードに切り替える。
【0038】
すなわち搬送システム1は、第1期間の期中に、第2装置20から第1装置10に双方向コンベヤ装置30を用いて搬送すべき搬送対象物Bがある状態で、第1装置10から第2装置20に双方向コンベヤ装置30を用いて搬送すべき搬送対象物Bが尽きた場合には、搬送中の搬送対象物Bの第2位置P2への到着が完了した後、第1期間終了前であっても第2モードに切り替える。
【0039】
同様に搬送システム1は、第2期間の期中に、第1装置10から第2装置20に双方向コンベヤ装置30を用いて搬送すべき搬送対象物Bがある状態で、第2装置20から第1装置10に双方向コンベヤ装置30を用いて搬送すべき搬送対象物Bが尽きた場合には、搬送中の搬送対象物Bの第1位置P1への到着が完了した後、第2期間終了前であっても第1モードに切り替わる.
このようにして搬送システム1においては、一式のコンベヤ装置を利用することによって、当該コンベヤ装置の搬送の方向を適切な方法によって切り替えることで、双方向への効率的な搬送が実現されている。
【0040】
<搬送システム1における各装置の動作の詳細>
次に、上述のような概要の搬送システム1全体としての動作が、どのような制御装置50の動作、及び制御装置50の指示に従った各装置の具体的動作によって実現されるかについて、
図3を参照しつつ詳細に説明する。
図3は、搬送システム1の3つの動作モードである、停止モード、第1モード、第2モードを示した状態遷移図である。
【0041】
制御装置50は、搬送システム1の動作モードがいずれの状態であっても、割り込み処理として、順搬送待ちリストL1、逆搬送待ちリストL2への情報の書き込みを以下のようにして実行する。なお、初期状態において各リストには、搬送対象物Bに関する情報は書き込まれていないものとする。
【0042】
制御装置50は上位システム2から、第1装置10が収容するある物品についての、第1装置10から第2装置20へと移送する旨の指示を受信すると、当該物品を搬送対象物Bとして記憶部52の順搬送待ちリストL1に追加する。制御装置50は上位システム2から、第2装置20が収容するある物品についての、第2装置20から第1装置10へと移送する旨の指示を受信すると、当該物品を搬送対象物Bとして記憶部52の逆搬送待ちリストL2に追加する。
【0043】
<動作の詳細:停止モード>
搬送システム1の初期状態において、制御装置50の搬送制御部51は、搬送システム1の動作モードが停止モードであると決定する。搬送システム1の動作モードが停止モードに遷移すると、搬送制御部51は双方向コンベヤ装置30に対して、コンベヤ機構部32を停止させるように指示する。
【0044】
停止モードにおいて、順搬送待ちリストL1に搬送対象物Bが掲載されると、搬送制御部51は搬送システム1の動作モードが第1モードに遷移すると決定する(
図3の「順搬送指示」)。停止モードにおいて、逆搬送待ちリストL2に搬送対象物Bが掲載されると、搬送制御部51は搬送システム1の動作モードが第2モードに遷移すると決定する(
図3の「逆搬送指示」)。
【0045】
<動作の詳細:第1モード>
搬送システム1の状態が第1モードに遷移すると、制御装置50の搬送制御部51は第1期間のカウントを開始する。また、搬送制御部51は双方向コンベヤ装置30に対して、コンベヤ機構部32が順搬送を実行する旨の指示を行う。
【0046】
制御装置50から当該指示を受信した双方向コンベヤ装置30のコンベヤ制御部31は、コンベヤ機構部32が順搬送を実行する、すなわち載置された搬送対象物を順方向D1(第1方向)へ搬送させるようにコンベヤ機構部32を制御する。さらに搬送制御部51は第2装置20に対して、受け入れ待機状態とするように指示を行う。制御装置50から当該指示を受信した第2装置20の第2制御部21は、第2機構部22を制御して第2装置20を受け入れ待機状態とさせる。
【0047】
第1モードにおいて搬送制御部51は、順搬送待ちリストL1に掲載されている搬送対象物Bについて、第1装置10に対して、双方向コンベヤ装置30に引き渡すように、順次指示を行う。その場合に搬送制御部51は、第1装置10に対して引き渡し指示を行った搬送対象物Bを順搬送待ちリストL1から削除し、搬送中リストL3に記入する。制御装置50から当該指示を受信するたびに第1装置10の第1制御部11は、第1機構部12を制御して、当該搬送対象物Bを第1位置P1において双方向コンベヤ装置30に引き渡す。
【0048】
また制御装置50は割り込み処理として、第2装置20から搬送対象物Bが第2位置P2に到着した旨の報告を受信すると、搬送中リストL3から当該搬送対象物Bに関する情報を削除する。このようにして、順搬送待ちリストL1に掲載されている搬送対象物Bが第2装置20に向けての搬送待ちであることを、順搬送待ちリストL1がリアルタイムに示している。また、第1モードにおいて、搬送中リストL3に掲載されている搬送対象物Bが第2装置20に向けて搬送中であることを、搬送中リストL3はリアルタイムに示している。
【0049】
順搬送待ちリストL1に掲載されている搬送対象物Bが尽きた場合には、搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、逆搬送待ちリストL2に搬送対象物Bが掲載されていれば、搬送システム1の動作モードが第2モードに遷移すると決定する(
図3の「逆搬送待ちで順搬送無し」)。第1期間のタイムアップ前であっても、第2装置20から第1装置10への移送を可能とし、搬送対象物Bの搬送の効率を高めるためである。
【0050】
また順搬送待ちリストL1に掲載されている搬送対象物Bが尽きた場合に、搬送制御部51は、逆搬送待ちリストL2に搬送対象物Bが掲載されていなければ、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、搬送システム1の動作モードが停止モードに遷移すると決定する(
図3の「逆搬送待ち無しで順搬送無し」)。双方向コンベヤ装置30の不要な稼動を停止し、エネルギー消費を抑制するためである。
【0051】
第1期間のタイムアップ、すなわち、第1モードへの遷移から第1期間が経過した場合には、搬送制御部51は、第1装置10に対する搬送対象物Bの引き渡しの指示の発令を停止する。そうして搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、逆搬送待ちリストL2に搬送対象物Bが掲載されていれば、搬送システム1の動作モードが第2モードに遷移すると決定する(
図3の「逆搬送待ちでタイムアップ」)。第1モードと第2モードの交互の実施による双方向の搬送対象物Bの搬送を実現するためである。
【0052】
またそうして搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、逆搬送待ちリストL2に搬送対象物Bが掲載されていなければ、搬送システム1の動作モードが再び第1モードに遷移すると決定する(
図3の「逆搬送待ちでタイムアップ」)。続けて第1装置10から第2装置20への移送を可能とし、搬送対象物Bの搬送の効率を高めるためである。なお、第1モードから再び第1モードに遷移した場合には、搬送制御部51は、第1期間を通常よりも短くする処置を行ってもよい。
【0053】
<動作の詳細:第2モード>
搬送システム1の状態が第2モードに遷移すると、制御装置50の搬送制御部51は第2期間のカウントを開始する。また、搬送制御部51は双方向コンベヤ装置30に対して、コンベヤ機構部32が逆搬送を実行する旨の指示を行う。
【0054】
制御装置50から当該指示を受信した双方向コンベヤ装置30のコンベヤ制御部31は、コンベヤ機構部32が逆搬送を実行する、すなわち載置された搬送対象物を逆方向D2(第2方向)へ搬送させるようにコンベヤ機構部32を制御する。さらに搬送制御部51は第1装置10に対して、受け入れ待機状態とするように指示を行う。制御装置50から当該指示を受信した第1装置10の第1制御部11は、第1機構部12を制御して第1装置10を受け入れ待機状態とさせる。
【0055】
第2モードにおいて搬送制御部51は、逆搬送待ちリストL2に掲載されている搬送対象物Bについて、第2装置20に対して、双方向コンベヤ装置30に引き渡すように、順次指示を行う。その場合に搬送制御部51は、第2装置20に対して引き渡し指示を行った搬送対象物Bを逆搬送待ちリストL2から削除し、搬送中リストL3に記入する。制御装置50から当該指示を受信するたびに第2装置20の第2制御部21は、第2機構部22を制御して、当該搬送対象物Bを第2位置P2において双方向コンベヤ装置30に引き渡す。
【0056】
また制御装置50は割り込み処理として、第1装置10から搬送対象物Bが第1位置P1に到着した旨の報告を受信すると、搬送中リストL3から当該搬送対象物Bに関する情報を削除する。このようにして、逆搬送待ちリストL2に掲載されている搬送対象物Bが第1装置10に向けての搬送待ちであることを、逆搬送待ちリストL2がリアルタイムに示している。また、第2モードにおいて、搬送中リストL3に掲載されている搬送対象物Bは第1装置10に向けて搬送中であることを、搬送中リストL3はリアルタイムに示している。
【0057】
順搬送待ちリストL2に掲載されている搬送対象物Bが尽きた場合には、搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、順搬送待ちリストL1に搬送対象物Bが掲載されていれば、搬送システム1の動作モードが第1モードに遷移すると決定する(
図3の「順搬送待ちで逆搬送無し」)。第2期間のタイムアップ前であっても、第1装置10から第2装置20への移送を可能とし、搬送対象物Bの搬送の効率を高めるためである。
【0058】
また逆搬送待ちリストL2に掲載されている搬送対象物Bが尽きた場合に、搬送制御部51は、順搬送待ちリストL1に搬送対象物Bが掲載されていなければ、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、搬送システム1の動作モードが停止モードに遷移すると決定する(
図3の「順搬送待ち無しで逆搬送無し」)。双方向コンベヤ装置30の不要な稼動を停止し、エネルギー消費を抑制するためである。
【0059】
第2期間のタイムアップ、すなわち、第2モードへの遷移から第2期間が経過した場合には、搬送制御部51は、第2装置20に対する搬送対象物Bの引き渡しの指示の発令を停止する。そうして搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、順搬送待ちリストL1に搬送対象物Bが掲載されていれば、搬送システム1の動作モードが第1モードに遷移すると決定する(
図3の「順搬送待ちでタイムアップ」)。第1モードと第2モードの交互の実施による双方向の搬送対象物Bの搬送を実現するためである。
【0060】
またそうして搬送制御部51は、搬送中リストL3に掲載される搬送対象物Bが無くなった後、順搬送待ちリストL1に搬送対象物Bが掲載されていなければ、搬送システム1の動作モードが再び第2モードに遷移すると決定する(
図3の「順搬送待ちでタイムアップ」)。続けて第2装置20から第1装置10への移送を可能とし、搬送対象物Bの搬送の効率を高めるためである。なお、第2モードから再び第2モードに遷移した場合には、搬送制御部51は、第2期間を通常よりも短くする処置を行ってもよい。
【0061】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0062】
実施形態2に係る搬送システム1では、制御装置50が上位システム2から、物品の搬送指示に併せて、搬送すべき搬送対象物Bに関する優先度を受信し、当該優先度の応じた処理を行うこと以外は、実施形態1と同様である。以下では実施形態1からの変更点について、
図4の実施形態2の場合における状態遷移図を参照しつつ、説明がなされる。
【0063】
なお、「優先度が高い」とは搬送を早期に行う必要性の度合いが大きい状態をいい、「優先度が低い」とは搬送を早期に行う必要性の度合いが小さい状態をいう。また、以下では、例示として優先度が0~100の数値で表されるものとし、当該数値が100に近いほど、「優先度が高い」ことを表しているものとする。実施形態2に係る搬送システム1においては、第1装置10及び第2装置20のそれぞれに、優先度の閾値が設定される。例えば、第1装置10について閾値が50と設定され、第2装置20について閾値が70と設定されたとする。
【0064】
搬送システム1の動作モードが第1モードである場合において、上位システム2から制御装置50に対して行われた、第2装置20から第1装置10へと物品を移送する旨の搬送指示において優先度が第2装置20について設定された閾値70未満とする。この場合、次の点を除いて搬送システム1の動作は、実施形態1と同様である。制御装置50の搬送制御部51は、第1期間中において、順搬送待ちリストL1に掲載された搬送対象物Bの中から、優先度の高い順に、第1装置10に対して双方向コンベヤ装置30に引き渡すべき旨の指示を行う。
【0065】
一方、搬送システム1の動作モードが第1モードである場合において、上位システム2から制御装置50に対して行われた、第2装置20から第1装置10へと物品を移送する旨の搬送指示において優先度が第2装置について設定された閾値70以上であったとする。この場合、制御装置50の搬送制御部51は、直ちに搬送システム1の動作モードが第2モードに遷移すると決定する(
図4において「逆搬送緊急指示」)。
【0066】
制御装置50の搬送制御部51は、第2モードの第2期間中において、逆搬送待ちリストL1に掲載された搬送対象物Bの中から、優先度の高い順に、第2装置20に対して双方向コンベヤ装置30に引き渡す旨の指示を行う。第2モードへの遷移により受け入れ待機状態となった第1装置10は、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32により第1位置P1に到着した搬送対象物Bを受け入れると共に、その旨を搬送制御部51に報告する。
【0067】
搬送制御部51は、第2モードに遷移したときに搬送中リストL3に掲載されていた搬送対象物Bの情報については、第1装置10からの受け入れの報告を受信すると搬送中リストL3から順方向搬送待ちリストL1に移動させる。当該搬送対象物Bについて再度順搬送待ちとするためである。
【0068】
搬送システム1の動作モードが第2モードである場合において、上位システム2から制御装置50に対して行われた、第1装置10から第2装置20へと物品を移送する旨の搬送指示において優先度が第1装置10について設定された閾値50未満とする。この場合、次の点を除いて搬送システム1の動作は、実施形態1と同様である。制御装置50の搬送制御部51は、第2期間中において、逆搬送待ちリストL2に掲載された搬送対象物Bの中から、優先度の高い順に、第2装置20に対して双方向コンベヤ装置30に引き渡すべき旨の指示を行う。
【0069】
一方、搬送システム1の動作モードが第2モードである場合において、上位システム2から制御装置50に対して行われた、第1装置10から第2装置20へと物品を移送する旨の搬送指示において優先度が第1装置について設定された閾値50以上であったとする。この場合、制御装置50の搬送制御部51は、直ちに搬送システム1の動作モードが第1モードに遷移すると決定する(
図4において「順搬送緊急指示」)。
【0070】
制御装置50の搬送制御部51は、第1モードの第1期間中において、順搬送待ちリストL1に掲載された搬送対象物Bの中から、優先度の高い順に、第1装置10に対して双方向コンベヤ装置30に引き渡す旨の指示を行う。第1モードへの遷移により受け入れ待機状態となった第2装置20は、双方向コンベヤ装置30のコンベヤ機構部32により第2位置P2に到着した搬送対象物Bを受け入れると共に、その旨を搬送制御部51に報告する。
【0071】
搬送制御部51は、第1モードに遷移したときに搬送中リストL3に掲載されていた搬送対象物Bの情報については、第2装置20からの受け入れの報告を受信すると搬送中リストL3から逆方向搬送待ちリストL1に移動させる。当該搬送対象物Bについて再度逆搬送待ちとするためである。
【0072】
実施形態2の搬送システム1によれば、優先度に従って、搬送システム1がいずれのモードにあるかに係らず、搬送を早期に行う必要性の高い搬送対象物を早期に搬送することが可能となる。なお、実施形態2の上記の説明において、優先度が数値で設定される例を示したが、上位システム2から制御装置50に伝達される優先度に関する情報は、優先すべき(緊急搬送すべき)か否かの情報であってもよい。
【0073】
〔実施形態3〕
図5は本発明の実施形態3に係る搬送システム1Aの概要を示す図である。搬送システム1Aは、実施形態1に係る搬送システム1の構成に加えて、搬送対象物Bの第1装置10から第2装置20への単方向のみの搬送が可能なコンベヤ機構42が設けられた単方向コンベヤ装置40を更に備えている。
【0074】
実施形態3の搬送システム1Aにおいては、第1装置10から第2装置20への搬送対象物Bの搬送に関して、双方向コンベヤ装置30よりも単方向コンベヤ装置40が優先的に用いられる。そのため実施形態3の搬送システム1Aでは、第1装置10から第2装置20へ搬送すべき搬送対象物Bのうち、搬送待ちとなっている搬送対象物Bが、所定数以下の場合には、双方向コンベヤ装置30を用いて第1装置10から第2装置20へ搬送すべき搬送対象物Bが無いものとして取り扱う。この場合に第1装置10から第2装置20へ搬送すべき搬送対象物Bは、単方向コンベヤ装置40によって搬送される。
【0075】
つまり実施形態3に係る搬送システム1Aにおいては、搬送待ちとなっている第1装置10から第2装置20へ搬送すべき搬送対象物Bの数が所定数を超える場合の搬送対象物Bを、実施形態1における順搬送待ちリストL2に記載すべき搬送対象物Bとして扱う。その他の搬送システム1Aの双方向コンベヤ装置30に関する動作については、実施形態1に係る搬送システム1の場合と同様である。
【0076】
なお搬送システム1Aは、搬送対象物Bの第2装置20から第1装置10への単方向のみの搬送が可能な単方向コンベヤ機構が設けられた単方向コンベヤ装置を更に備えていてもよい。この場合においても、双方向コンベヤ装置30を用いて第2装置20から第1装置10へ搬送すべき搬送対象物Bが同様の方法によって選定される。
【0077】
実施形態2の搬送システム1によれば、双方向コンベヤ装置30に加えて単方向コンベヤ装置を備えていることにより、搬送対象物Bの多寡に応じた柔軟かつ効率的な搬送を実現することができる。
【0078】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置50、第1制御部11、第2制御部21、コンベヤ制御部31それぞれ(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0079】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの汎用制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この汎用制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0080】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0081】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0082】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る搬送システムは、双方向に搬送対象物の搬送が可能なコンベヤ機構を備えた双方向コンベヤ装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記双方向コンベヤ装置を制御して、前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を第1方向に搬送させる搬送モードである第1モードと、前記コンベヤ機構上に載置される前記搬送対象物を前記第1方向とは逆の第2方向に搬送させる搬送モードである第2モードとを、交互に実行するとともに、前記第1モードの継続期間を定める所定の第1期間に基づいて前記第1モードを継続する。
【0083】
本開示の態様2に係る搬送システムは、上記態様1において、前記制御装置は、前記第1期間の期中において、前記第2モードで搬送すべき前記搬送対象物がある状態で、前記第1モードで搬送すべき前記搬送対象物が尽きた場合には、搬送中の前記搬送対象物の所定の搬送が完了した後、前期第1期間終了前であっても前記第2モードを実行する。
【0084】
本開示の態様3に係る搬送システムは、上記態様1または2において、前記コンベヤ機構上の第1位置において、前記双方向コンベヤ装置との間で前記搬送対象物の授受を行う第1装置と、前記コンベヤ機構上の第2位置において、前記双方向コンベヤ装置との間で前記搬送対象物の授受を行う第2装置と、を更に備え、前記制御装置は、前記双方向コンベヤ装置、前記第1装置、及び前記第2装置を制御して、前記第1モードにおいて、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物を前記双方向コンベヤ装置を通じて搬送させ、前記第2モードにおいて、前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物を前記双方向コンベヤ装置を通じて搬送させるとともに、前記第1期間の期中において、前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物がある状態で、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が尽きた場合には、搬送中の前記搬送対象物の前記第2位置への到着が完了した後、前期第1期間終了前であっても前記第2モードを実行する。
【0085】
本開示の態様4に係る搬送システムは、上記態様3において、前記制御装置は、前記第1モードの実行中に、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物がある状態で前記第1期間が終了した場合には、搬送中の前記搬送対象物の前記第2位置への到着が完了してから前記第2モードを実行する。
【0086】
本開示の態様5に係る搬送システムは、上記態様3または4において、前記搬送対象物ごとに、搬送を早期に行う必要性の度合いを示す優先度が定められており、前記制御装置は、前記第1モードの実行中に、優先度が所定の閾値以上である前記第2装置から前記第1装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が生じた場合には、前記第1モードを直ちに終了して前記第2モードを実行する。
【0087】
本開示の態様6に係る搬送システムは、上記態様3から5のいずれかにおいて、前記第1装置から前記第2装置への前記搬送対象物の単方向の搬送が可能な単方向コンベヤ装置を更に備え、前記制御装置は、前記第1装置から前記第2装置へ搬送すべき前記搬送対象物が所定数以下の場合には、前記第1装置から前記第2装置に前記双方向コンベヤ装置を用いて搬送すべき前記搬送対象物が無いものとし、前記第1装置から前記第2装置へ搬送すべき当該搬送対象物を前記単方向コンベヤ装置を通じて搬送させる。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1、1A 搬送システム
10 第1装置
11 第1制御部
12 第1機構部
20 第2装置
21 第2制御部
22 第2機構部
30 双方向コンベヤ装置
31 コンベヤ制御部
32 コンベヤ機構部(コンベヤ機構)
D1 第1方向、順方向
D2 第2方向、逆方向
P1 第1位置
P2 第2位置
40 単方向コンベヤ装置
42 コンベヤ機構
50 制御装置
51 搬送制御部
52 記憶部
L1 順搬送待ちリスト
L2 逆搬送待ちリスト
L3 搬送中リスト