IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ IHIプラント建設株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特開-地上式貯蔵タンク 図1
  • 特開-地上式貯蔵タンク 図2
  • 特開-地上式貯蔵タンク 図3
  • 特開-地上式貯蔵タンク 図4
  • 特開-地上式貯蔵タンク 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168812
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】地上式貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/00 20060101AFI20241128BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F17C3/00 A
F17C13/00 302E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085773
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】592009281
【氏名又は名称】株式会社IHIプラント
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】田附 英幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 英晃
(72)【発明者】
【氏名】山田 寿一郎
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB03
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD05
3E172CA36
3E172DA13
3E172EA03
(57)【要約】
【課題】コンクリート壁がコーナ部を有する地上式貯蔵タンクにおいて、コンクリート壁の内壁面の形状に対応してメンブレンを配置可能とする。
【解決手段】メンブレン5として、コンクリート基礎版1の内壁面に対向配置される底部メンブレン51と、コンクリート側壁2の内壁面に対向配置される側部メンブレン52と、コーナ部3の傾斜面3aに対向配置されると共に底部メンブレン51及び側部メンブレン52と接続されるコーナ部メンブレン53とが設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温液化ガスを貯蔵する地上式貯蔵タンクであって、
コンクリート壁と、前記コンクリート壁の内壁面に沿って配置されるメンブレンとを備え、
前記コンクリート壁は、底部と、前記底部に立設される側壁部と、前記底部の前記内壁面と前記側壁部の内壁面とを接続する傾斜面が前記内壁面として設けられたコーナ部とを有し、
前記メンブレンとして、前記底部の前記内壁面に対向配置される底部メンブレンと、前記側壁部の前記内壁面に対向配置される側部メンブレンと、前記コーナ部の前記傾斜面に対向配置されると共に前記底部メンブレン及び前記側部メンブレンと接続されるコーナ部メンブレンとが設けられている
ことを特徴とする地上式貯蔵タンク。
【請求項2】
前記コーナ部メンブレンは、
前記内壁面に対して平行に配置される中間メンブレンと、
前記側部メンブレンと前記中間メンブレンの上端とを接続するように屈曲された上部屈曲メンブレンと、
前記底部メンブレンと前記中間メンブレンの下端とを接続するように屈曲された下部屈曲メンブレンと
を有することを特徴とする請求項1記載の地上式貯蔵タンク。
【請求項3】
前記コンクリート壁に固定されると共に前記コーナ部メンブレンが接続されるアンカーを備えることを特徴とする請求項1または2記載の地上式貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上式貯蔵タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、コンクリート壁とメンブレンとを備える低温タンクが開示されている。特許文献1に開示された低温タンクは、メンブレンに囲まれた貯蔵空間を有しており、貯蔵空間にLNG(Liquefied Natural Gas)等の低温液化ガスを貯留する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭59-125698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、低温液化ガスを貯蔵する貯蔵タンクは、様々な種類がある。特許文献1に開示されたようなメンブレンを備える貯蔵タンクは、地下に埋設された状態で形成されるものが多い。しかしながら、近年、メンブレンを備える大型の貯蔵タンクを地上に形成することが提案されている。さらに、液化アンモニア等のLNGよりも液密度が高い低温液化ガスを貯蔵することも提案されている。これらの提案を実現するためには、コンクリート壁の強度を向上させる必要が生じ、コンクリート壁の底部と側壁部との接続部に傾斜面を有するコーナ部を設ける可能性がある。このような場合には、コンクリート壁の内壁面の形状に対応してメンブレンを配置する必要がある。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、コンクリート壁がコーナ部を有する地上式貯蔵タンクにおいて、コンクリート壁の内壁面の形状に対応してメンブレンを配置可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、低温液化ガスを貯蔵する地上式貯蔵タンクであって、コンクリート壁と、上記コンクリート壁の内壁面に沿って配置されるメンブレンとを備え、上記コンクリート壁は、底部と、上記底部に立設される側壁部と、上記底部の上記内壁面と上記側壁部の内壁面とを接続する傾斜面が上記内壁面として設けられたコーナ部とを有し、上記メンブレンとして、上記底部の上記内壁面に対向配置される底部メンブレンと、上記側壁部の上記内壁面に対向配置される側部メンブレンと、上記コーナ部の上記傾斜面に対向配置されると共に上記底部メンブレン及び上記側部メンブレンと接続されるコーナ部メンブレンとが設けられているという構成を採用する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、上記コーナ部メンブレンが、上記内壁面に対して平行に配置される中間メンブレンと、上記側部メンブレンと上記中間メンブレンの上端とを接続するように屈曲された上部屈曲メンブレンと、上記底部メンブレンと上記中間メンブレンの下端とを接続するように屈曲された下部屈曲メンブレンとを有するという構成を採用する。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1または第2の態様において、上記コンクリート壁に固定されると共に上記コーナ部メンブレンが接続されるアンカーを備えるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コーナ部の傾斜面に対向して配置されるコーナ部メンブレンを備える。また、コーナ部メンブレンは、側部メンブレン及び底部メンブレンと接続される。このため、本発明によれば、コンクリート壁のコーナ部がメンブレンによって覆われる。したがって、本発明によれば、コンクリート壁の内壁面の形状に対応してメンブレンを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の地上式貯蔵タンクの概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態の地上式貯蔵タンクが備えるコーナ部メンブレンを含む平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2のB-B断面図である。
図5図3のC-C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係る地上式貯蔵タンクの一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の地上式貯蔵タンク10の概略構成を示す模式図である。本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、LNGや液化アンモニア等の低温液化ガスXを貯蔵するメンブレン式タンクである。例えば、地上式貯蔵タンク10は、10万t以上の低温液化ガスXを貯蔵可能な大型タンクである。ただし、地上式貯蔵タンク10の低温液化ガスXの貯蔵量は特に限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、地上式貯蔵タンク10は、コンクリート基礎版1と、コンクリート側壁2と、コーナ部3と、屋根部4と、メンブレン5と、保冷パネル6と、液化ガス供給部7と、液化ガス排出部8とを備える。
【0015】
コンクリート基礎版1は、地上式貯蔵タンク10の底部であり、コンクリートによって形成されている。このコンクリート基礎版1は、地面上に設けられており、コンクリート側壁2、コーナ部3、屋根部4、メンブレン5、及び保冷パネル6等を直接的にあるいは間接的に支持する。なお、コンクリート基礎版1は、地中に埋設された複数の基礎杭に支持されてもよい。このようなコンクリート基礎版1は、例えば鉄筋コンクリートによって形成されている。また、コンクリート基礎版1は、例えば平面視が円形状となるように形成されている。
【0016】
コンクリート側壁2は、地上式貯蔵タンク10の側壁部であり、コンクリート基礎版1上に立設されている。例えば、コンクリート側壁2は、平面視において円形となるような円筒状に形成されている。なお、コンクリート側壁2の内面2aは、略円形状であるものの、本実施形態においては、多数の面が環状に接続された多面体形状に形成されている。このため、平面視にて、コンクリート側壁2の内面2aには、平坦な部位と、屈曲した部位とが交互に多数形成されている。
【0017】
例えば、コンクリート側壁2は、プレストレストコンクリートによって形成されている。このようなコンクリート側壁2は、メンブレン5が万が一破損して内部の低温液化ガスXがメンブレン5の外側に漏出した場合には、防液堤として機能する。つまり、コンクリート側壁2は、低温液化ガスXがメンブレン5の外側に漏出した場合には、地上式貯蔵タンク10の外部に低温液化ガスXが流れ出ることを防止する。
【0018】
コーナ部3は、コンクリート基礎版1とコンクリート側壁2とが接続される部位に設けられている。コーナ部3は、図1に示すように、コンクリート基礎版1の上面1a(内壁面)と、コンクリート側壁2の内面2a(内壁面)とを接続する傾斜面3a(内壁面)を有する。このような傾斜面3aは、平面視にてコンクリート側壁2からコンクリート側壁2で囲まれた空間の中央に向かうに連れて下方に向かうように、水平面に対して例えば45°傾斜している。例えば、このようなコーナ部3は、コンクリート側壁2の下端部と一体化され、また、コンクリート基礎版1と一体化されるように形成されている。
【0019】
本実施形態においては、コンクリート基礎版1と、コンクリート側壁2と、コーナ部3とがコンクリート壁20を形成する。つまり、本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、コンクリート基礎版1と、コンクリート側壁2と、コーナ部3とを含むコンクリート壁20を備える。このコンクリート壁20は、図1に示すように、有底円筒形状に形成されている。このようなコンクリート壁20の内壁面は、コンクリート基礎版1の上面1aと、コンクリート側壁2の内面2aと、コーナ部3の傾斜面3aとを含む。
【0020】
例えば、地下式のメンブレン式の低温貯蔵タンクの場合には、コンクリート側壁が径方向外側から地盤からの土圧によって外圧を受けている。一方で、本実施形態のような地上式貯蔵タンク10においては、コンクリート側壁2が地盤によって支えられないため、内面からの液圧によって径方向外側に膨らむ動きをし、結果としてコンクリート壁20とコンクリート基礎版1との接続部に大きな曲げモーメントが発生する。コーナ部3を設けることで、コンクリート壁20の強度が向上する。特に、コーナ部3を設けることで、コンクリート壁20の下部の強度が向上する。例えば液密度がLNGよりも高い低温液化ガスXを貯蔵するような場合であっても、コーナ部3を設けることでコンクリート壁20の全体の強度が向上し、コンクリート側壁2の厚みを抑えることができる。
【0021】
屋根部4は、地上式貯蔵タンク10の上部を形成しており、コンクリート側壁2の上端に接続されている。この屋根部4は、低温液化ガスXの貯蔵空間を上方から覆っており、低温液化ガスXが蒸発することを抑止する。屋根部4は、低温液化ガスXに対して耐性のある材料によって形成される。なお、本実施形態においては、屋根部4は、吊下げ支持されたデッキを備えていない。しかしながら、屋根部4は、デッキを備えてもよい。
【0022】
メンブレン5は、低温液化ガスXに対して直接的に接触する金属製の薄板部材であり、地上式貯蔵タンク10の内壁面を形成する。メンブレン5は、保冷パネル6を介してコンクリート基礎版1、コンクリート側壁2あるいはコーナ部3に支持されている。メンブレン5は図1においては不図示のアンカーを用いてコンクリート基礎版1あるいはコンクリート側壁2に固定されている。メンブレン5は、コンクリート壁20の内壁面(コンクリート基礎版1の上面1aと、コンクリート側壁2の内面2aと、コーナ部3の傾斜面3a)に沿って敷き詰められるように複数設けられており、隣接される他のメンブレン5に対して溶接されている。
【0023】
このようなメンブレン5は、数mm程度の厚さにて形成されている。また、各々のメンブレン5には、熱変形に形状変化を抑制するためのコルゲーション5aが形成されている。例えば、低温液化ガスXがLNGである場合には、メンブレン5は例えばステンレス鋼によって形成される。また、低温液化ガスXが液化アンモニアである場合には、メンブレン5は炭素鋼やステンレス鋼によって形成される。
【0024】
図1に示すように、メンブレン5としては、コンクリート基礎版1に対向配置されるものと、コンクリート側壁2に対向配置されるものと、コーナ部3に対向配置されるものとがある。コンクリート基礎版1に対向されるメンブレン5を底部メンブレン51と称する。コンクリート側壁2に対向配置されるメンブレン5を側部メンブレン52と称する。コーナ部3に対向配置されるメンブレン5をコーナ部メンブレン53と称する。
【0025】
底部メンブレン51は、保冷パネル6を介して、コンクリート基礎版1の上面1aと平行に配設されている。側部メンブレン52は、保冷パネル6を介して、コンクリート側壁2の内面2aと平行に配設されている。コーナ部メンブレン53は、保冷パネル6を介して、コーナ部3の傾斜面3aと平行に配設されている。
【0026】
図2は、コーナ部メンブレン53を含む模式的な平面図である。また、図3は、図2のA-A断面図である。図4は、図2のB-B断面図である。図5は、図2のC-C断面図である。図2に示すように、コーナ部メンブレン53は、複数のパーツに分割形成されている。具体的には、図2に示すように、コーナ部メンブレン53は、平坦部メンブレン31と、屈曲部メンブレン32と、平板メンブレン33とに分割形成されている。平坦部メンブレン31と屈曲部メンブレン32とは、コンクリート側壁2の周方向に等間隔で交互に複数配列されている。平板メンブレン33は、コンクリート側壁2の周方向にて、平坦部メンブレン31と屈曲部メンブレン32との間を埋設するように配置されている。
【0027】
平坦部メンブレン31は、コンクリート側壁2の平坦部2bに対向配置される部位であり、平板メンブレン33よりもコンクリート側壁2の周方向の幅寸法が小さな帯状に形成されている。図3に示すように、平坦部メンブレン31は、さらに、上部屈曲メンブレン31aと、下部屈曲メンブレン31bと、中間メンブレン31cとに分割形成されている。
【0028】
上部屈曲メンブレン31aは、側部メンブレン52と中間メンブレン31cの上端とを接続するように屈曲されたメンブレンである。なお、図3等に示すように、本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、コーナ部メンブレン53が接続されるアンカー9を備える。地上式貯蔵タンク10は、アンカー9として、上部アンカー91と、下部アンカー92とを備える。上部アンカー91は、コンクリート側壁2とコーナ部3との接続箇所に配置されており、コンクリート側壁2に対して固定されている。下部アンカー92は、コンクリート基礎版1とコーナ部3との接続箇所に配置されており、コンクリート基礎版1に対して固定されている。
【0029】
上部屈曲メンブレン31aは、図3に示すように、上部アンカー91に対して固定されている。上部屈曲メンブレン31aの上端は、側部メンブレン52の下端に対して溶接されている。また、上部屈曲メンブレン31aの下端は、中間メンブレン31cの上端と溶接されている。
【0030】
下部屈曲メンブレン31bは、底部メンブレン51と中間メンブレン31cの下端とを接続するように屈曲されたメンブレンである。下部屈曲メンブレン31bは、図3に示すように、下部アンカー92に対して固定されている。下部屈曲メンブレン31bの上端は、中間メンブレン31cの下端と溶接されている。下部屈曲メンブレン31bの下端は、底部メンブレン51の端部に対して溶接されている。
【0031】
中間メンブレン31cは、コーナ部3の傾斜面3aに対して平行に配置される平板状に形成されている。この中間メンブレン31cは、上下方向にて上部屈曲メンブレン31aと下部屈曲メンブレン31bとの間に配置されており、上述のように上端が上部屈曲メンブレン31aに溶接され、下端が下部屈曲メンブレン31bに溶接されている。
【0032】
なお、例えば図2に示すように、これらの上部屈曲メンブレン31aと、下部屈曲メンブレン31bと、中間メンブレン31cとの各々に対しては、コルゲーション5aが設けられている。
【0033】
屈曲部メンブレン32は、コンクリート側壁2の平坦部2bと平坦部2bとの接続箇所(屈曲部)を覆うように配置される部位である。屈曲部メンブレン32は、平坦部メンブレン31と同様に、平板メンブレン33よりもコンクリート側壁2の周方向の幅寸法が小さな帯状に形成されている。図4に示すように、屈曲部メンブレン32は、さらに、上部屈曲メンブレン32aと、下部屈曲メンブレン32bと、中間メンブレン32cとに分割形成されている。
【0034】
上部屈曲メンブレン32aは、側部メンブレン52と中間メンブレン32cの上端とを接続するように屈曲されたメンブレンである。上部屈曲メンブレン32aは、図4に示すように、上部アンカー91に対して固定されている。上部屈曲メンブレン32aの上端は、側部メンブレン52の下端に対して溶接されている。また、上部屈曲メンブレン32aの下端は、中間メンブレン32cの上端と溶接されている。
【0035】
下部屈曲メンブレン32bは、底部メンブレン51と中間メンブレン32cの下端とを接続するように屈曲されたメンブレンである。下部屈曲メンブレン32bは、図4に示すように、下部アンカー92に対して固定されている。下部屈曲メンブレン32bの上端は、中間メンブレン32cの下端と溶接されている。下部屈曲メンブレン32bの下端は、底部メンブレン51の端部に対して溶接されている。
【0036】
中間メンブレン32cは、コーナ部3の傾斜面3aに対して平行に配置される平板状に形成されている。この中間メンブレン32cは、上下方向にて上部屈曲メンブレン32aと下部屈曲メンブレン32bとの間に配置されており、上述のように上端が上部屈曲メンブレン32aに溶接され、下端が下部屈曲メンブレン32bに溶接されている。なお、図2及び図4に示すように、中間メンブレン32cは、上下方向に配列2つのパーツ32c1にさらに分割形成されている。
【0037】
なお、例えば図2に示すように、これらの上部屈曲メンブレン32aと、下部屈曲メンブレン32bと、中間メンブレン32cとの各々に対しては、コルゲーション5aが設けられている。
【0038】
平板メンブレン33は、図5に示すように、上端が上部アンカー91に対して固定されている。また、平板メンブレン33は、下端が下部アンカー92に対して固定されている。また、平板メンブレン33の2つの側縁は、一方が平坦部メンブレン31に溶接され、他方が屈曲部メンブレン32に溶接されている。
【0039】
このようなメンブレン5は、コンクリート壁20に対して一定の間隔で離間して配置されている。このようなメンブレン5とコンクリート壁20との隙間は、保冷パネル6が充填されている。このようなメンブレン5とコンクリート壁20との隙間の空間は、貯蔵される低温液化ガスXの冷熱が地上式貯蔵タンク10の外部に放出されることを抑制する保冷空間として機能する。
【0040】
保冷パネル6は、保冷空間に充填される断熱材である。保冷パネル6は、保冷空間を充填するように複数設けられている。各々の保冷パネル6は、例えばポリウレタンフォーム(PUF)等の発泡材によって形成されている。例えば、保冷空間には、メンブレン5とコンクリート壁20との配列方向に重なるようにして保冷パネル6が2層となるように設けられてもよい。各々の層の厚さは、例えば数十mm程度である。
【0041】
保冷空間には、樹脂製ライナを配置してもよい。樹脂製ライナは、ガス密性を有する薄膜であり、低温液化ガスXの気化ガスが保冷空間を通過することを防止する。また、樹脂製ライナは、外部の大気に含まれる水分が保冷空間を通過することを防止する。樹脂製ライナは、例えば、コンクリート壁20の内壁面と保冷パネル6との間、メンブレン5の背面と保冷パネル6との間に設けられている。
【0042】
液化ガス供給部7は、地上式貯蔵タンク10に対して低温液化ガスXを供給するための設備である。液化ガス供給部7は、例えば外部から供給される低温液化ガスXを案内する供給配管を有している。この供給配管は、例えば屋根部4を上方から下方に向けて貫通するように設けられている。
【0043】
液化ガス排出部8は、地上式貯蔵タンク10に貯蔵された低温液化ガスXを外部に排出するための設備である。液化ガス排出部8は、例えば、低温液化ガスXの貯蔵空間Kの底部近くまで上方から延びる排出配管と、低温液化ガスXを汲み上げる液中ポンプとを備えている。
【0044】
このような本実施形態の地上式貯蔵タンク10では、底部メンブレン51と、側部メンブレン52と、コーナ部メンブレン53とを備える。このため、メンブレン5をコンクリート壁20の内壁面の全体に対して対向するように設けることができる。
【0045】
以上のような本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、低温液化ガスXを貯蔵する。また、地上式貯蔵タンク10は、コンクリート壁20と、メンブレン5とを備える。メンブレン5は、コンクリート壁20の内壁面に沿って配置される。また、コンクリート壁20は、コンクリート基礎版1と、コンクリート側壁2と、コーナ部3とを有する。コンクリート側壁2は、コンクリート基礎版1に立設される。コーナ部3は、コンクリート基礎版1の上面1aとコンクリート側壁2の内面2aとを接続する傾斜面3aがコンクリート壁20の内壁面の一部として設けられている。
【0046】
また、本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、メンブレン5として、底部メンブレン51と、側部メンブレン52と、コーナ部メンブレン53とが設けられている。底部メンブレン51は、コンクリート基礎版1の上面1aに対向配置される。側部メンブレン52とは、コンクリート側壁2の内面2aに対向配置される。コーナ部メンブレン53は、コーナ部3の傾斜面3aに対向配置されると共に底部メンブレン51及び側部メンブレン52と接続される。
【0047】
本実施形態の地上式貯蔵タンク10によれば、コーナ部3の傾斜面3aに対向して配置されるコーナ部メンブレン53を備える。また、コーナ部メンブレン53は、側部メンブレン52及び底部メンブレン51と接続される。このため、本実施形態の地上式貯蔵タンク10によれば、コンクリート壁20のコーナ部3がメンブレン5によって覆われ、コンクリート壁20の内壁面の形状に対応してメンブレン5を配置することができる。
【0048】
なお、本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、コーナ部メンブレン53の長さを変更することで、コーナ部3の大きさに合わせた形状に容易に変更可能である。このため、どのような容量の地上式貯蔵タンク10に対しても容易に適用することができる。
【0049】
また、本実施形態の地上式貯蔵タンク10においてコーナ部メンブレン53は、中間メンブレン(中間メンブレン31c及び中間メンブレン32c)と、上部屈曲メンブレン(上部屈曲メンブレン31a及び上部屈曲メンブレン32a)と、下部屈曲メンブレン(下部屈曲メンブレン31b及び下部屈曲メンブレン32b)とを有する。中間メンブレン(中間メンブレン31c及び中間メンブレン32c)は、コーナ部3の傾斜面3aに対して平行に配置される。上部屈曲メンブレン(上部屈曲メンブレン31a及び上部屈曲メンブレン32a)は、側部メンブレン52と中間メンブレン(中間メンブレン31c及び中間メンブレン32c)の上端とを接続するように屈曲されている。下部屈曲メンブレン(下部屈曲メンブレン31b及び下部屈曲メンブレン32b)は、底部メンブレン51と中間メンブレン(中間メンブレン31c及び中間メンブレン32c)の下端とを接続するように屈曲されている。
【0050】
このような本実施形態の地上式貯蔵タンク10によれば、コーナ部メンブレン53が複数のパーツに分割形成されている。このため、コーナ部メンブレン53をコンクリート壁20の内壁面に合わせた形状とすることができる。
【0051】
また、本実施形態の地上式貯蔵タンク10は、アンカー9を備える。アンカー9は、コンクリート壁20に固定されると共にコーナ部メンブレン53が接続される。このような本実施形態の地上式貯蔵タンク10によれば、アンカー9を基準としてコーナ部メンブレン53を正確に位置決めすることができ、またコーナ部メンブレン53を強固に固定することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、上記実施形態においては、コーナ部メンブレン53が平坦部メンブレン31と、屈曲部メンブレン32と、平板メンブレン33とに分割形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。コーナ部メンブレン53の分割パターンは変更可能である。
【符号の説明】
【0054】
1……コンクリート基礎版、1a……上面(内壁面)、2……コンクリート側壁、2a……内面(内壁面)、2b……平坦部、3……コーナ部、3a……傾斜面(内壁面)、4……屋根部、5……メンブレン、9……アンカー、10……地上式貯蔵タンク、20……コンクリート壁、31……平坦部メンブレン、31a……上部屈曲メンブレン、31b……下部屈曲メンブレン、31c……中間メンブレン、32……屈曲部メンブレン、32a……上部屈曲メンブレン、32b……下部屈曲メンブレン、32c……中間メンブレン、33……平板メンブレン、51……底部メンブレン、52……側部メンブレン、53……コーナ部メンブレン、91……上部アンカー、92……下部アンカー、K……貯蔵空間、X……低温液化ガス
図1
図2
図3
図4
図5