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特開2024-168818情報処理システム及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168818
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G06F3/12 305
G06F3/12 338
G06F3/12 334
G06F3/12 359
G06F3/12 322
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085783
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 周平
(57)【要約】
【課題】本開示は、管理者が、ユーザによって扱われる印刷対象のデータの状況を管理することができる情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報処理システムは、プロセッサを含み、前記プロセッサは、印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付け、受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付け、
受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
第1通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第1通信に用いる第1通信経路が安全でない場合、前記第1通信経路を、取得された安全な第1通信経路に切り替えるよう通知する、
請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記条件を満たさない場合として、前記データが特定の情報を含む前記印刷情報の場合、当該印刷情報を出力する際に、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを生成する処理を実行するよう通知し、
前記処理が実行された場合、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを含む前記印刷情報を出力する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
第2通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第2通信に用いる第2通信経路が安全でない場合、前記第2通信経路を、取得された安全な第2通信経路に切り替えるよう通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2通信経路が安全でない場合、前記印刷情報を選択不可として表示する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記条件を満たさない場合として、前記印刷情報を印刷するための画像形成装置が安全でない場合、前記画像形成装置を変更するよう通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記画像形成装置が安全でない場合、前記印刷情報を選択不可として表示する
請求項6記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記画像形成装置が安全でない場合、安全な画像形成装置が設置された場所を通知する、
請求項6又は請求項7記載の情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付けさせ、
受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知させる、
ことを含む処理を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送信者に対応してファクシミリ送信するファクシミリ送信データを記憶する画像形成装置であって、前記ファクシミリ送信データのファクシミリ送信の許可又は不許可情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段で許可情報の入力を受け付けた場合に、許可された前記ファクシミリ送信データを、ファクシミリ送信するべく出力するファクシミリ送信データ出力手段と、前記入力手段で、不許可情報の入力を受け付けた場合に、不許可となった前記ファクシミリ送信データに従って、印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記送信者によって画像形成装置にログインした場合に当該送信者の印刷データとして表示させるべく、前記印刷データ生成手段で生成された印刷データを出力する印刷データ出力手段とを備えることを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
【0003】
特許文献2には、送信者に対応してファクシミリ送信するファクシミリ送信データを記憶する画像形成装置であって、前記ファクシミリ送信データのファクシミリ送信の許可情報又は不許可理由を含む不許可情報の入力を受け付ける入力手段と、前記入力手段で許可情報の入力を受け付けた場合に、許可された前記ファクシミリ送信データを、ファクシミリ送信するべく出力するファクシミリ送信データ出力手段と、前記入力手段で、前記不許可情報の入力を受け付けた場合に、不許可となった前記ファクシミリ送信データに従って、前記送信者に対応する第1の印刷データを生成する印刷データ生成手段と、前記送信者によって画像形成装置にログインした場合に、前記印刷データ生成手段で生成された当該送信者の第1の印刷データの一覧を表示する一覧表示手段と、前記一覧表示手段で処理する第1の印刷データを選択する印刷データ選択手段と、前記印刷データ選択手段で選択した第1の印刷データの不許可情報に含まれる不許可理由が、前記記憶したファクシミリ送信データを用いて再送信可能な不許可理由であるか、再送信不可能な不許可理由であるかを判定する理由判定手段と、前記理由判定手段で再送信可能な不許可理由であると判定される場合に、前記ファクシミリ送信データ出力手段で、前記印刷データ選択手段で選択された第1の印刷データに対応する前記ファクシミリ送信データを送信するべく出力し、前記理由判定手段で再送信不可能な不許可理由であると判定される場合に、前記印刷データ選択手段で選択された第1の印刷データを印刷するべく出力する出力手段とを備えることを特徴とする画像形成装置、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-015323号公報
【特許文献2】特開2011-135210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザが承認を要求した印刷対象のデータに対し、管理者が一度承認を行うことで、ユーザが当該データを印刷することができる情報処理システムがある。このような情報処理システムにおいては、管理者による承認が一度行われることで、その後、ユーザは、様々な状況で、データを使用して印刷することが可能となる。この場合、状況によっては、データの機密性が確保できない状態もあり、管理者は、必ずしもデータの機密性を確保するようユーザの印刷時の状況を管理することができなかった。
【0006】
そこで、本開示は、管理者が、ユーザによって扱われる印刷対象のデータの状況を管理することができる情報処理システム、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1態様に係る情報処理システムは、プロセッサを含み、前記プロセッサは、印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付け、受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知する。
【0008】
また、第2態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、第1通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第1通信に用いる第1通信経路が安全でない場合、前記第1通信経路を、取得された安全な第1通信経路に切り替えるよう通知する。
【0009】
また、第3態様に係る情報処理システムは、第2態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記条件を満たさない場合として、前記データが特定の情報を含む前記印刷情報の場合、当該印刷情報を出力する際に、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを生成する処理を実行するよう通知し、前記処理が実行された場合、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを含む前記印刷情報を出力する。
【0010】
また、第4態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、第2通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第2通信に用いる第2通信経路が安全でない場合、前記第2通信経路を、取得された安全な第2通信経路に切り替えるよう通知する。
【0011】
また、第5態様に係る情報処理システムは、第4態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記第2通信経路が安全でない場合、前記印刷情報を選択不可として表示する。
【0012】
また、第6態様に係る情報処理システムは、第1態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記条件を満たさない場合として、前記印刷情報を印刷するための画像形成装置が安全でない場合、前記画像形成装置を変更するよう通知する。
【0013】
また、第7態様に係る情報処理システムは、第6態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記画像形成装置が安全でない場合、前記印刷情報を選択不可として表示する。
【0014】
また、第8態様に係る情報処理システムは、第6態様又は第7態様に係る情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記画像形成装置が安全でない場合、安全な画像形成装置が設置された場所を通知する。
【0015】
また、第9態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付けさせ、受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知させる、ことを含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
第1態様、及び第9態様によれば、管理者が、ユーザによって扱われる印刷対象のデータの状況を管理することができる、という効果を有する。
第2態様によれば、安全でない通信回線により携帯端末へ印刷情報を出力する場合と比較して、携帯端末へ出力する際の印刷情報に対する機密性を確保することができる。
第3態様によれば、機密情報が含まれる印刷情報が携帯端末へ記憶される場合と比較して、携帯端末へ記憶される印刷情報の機密性を確保することができる。
第4態様によれば、安全でない通信回線により画像形成装置へ印刷情報を出力する場合と比較して、画像形成装置へ出力する際の印刷情報に対する機密性を確保することができる。
第5態様によれば、印刷情報が出力されない場合に印刷情報を選択可に表示する場合と比較して、印刷の出力が不可であることをユーザに通知することができる。
第6態様によれば、安全でない画像形成装置へ接続された際に変更するよう通知されない場合と比較して、ユーザは画像形成装置が安全でないことにより印刷情報が出力されないことを把握することができる。
第7態様によれば、印刷情報が出力されない場合に印刷情報を選択可に表示する場合と比較して、印刷の出力が不可であることをユーザに通知することができる。
第8態様によれば、安全な画像形成装置の設置場所が通知されない場合と比較して、ユーザへ印刷情報を印刷することが可能な画像形成装置の場所を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略を示す図である。
図2】本実施形態に係るクライアントコンピュータ、携帯端末、クラウドサーバの要部構成の一例を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
図4】クライアントコンピュータが印刷情報を印刷管理システムへ登録する際の動作を示すフローチャートである。
図5】クライアントコンピュータに表示される表示画面の一例を示す図である。
図6】印刷管理システムの動作を示すフローチャートである。
図7】承認条件を設定する際に表示される表示画面の一例を示す図である。
図8】承認条件に関する処理の詳細の動作を示すフローチャートである。
図9】携帯端末に表示される通知の一例を示す図である。
図10】携帯端末に表示される通知の他の一例を示す図である。
図11】携帯端末に表示される通知の他の一例を示す図である。
図12】携帯端末に表示される通知の他の一例を示す図である。
図13】携帯端末の動作を示すフローチャートである。
図14】携帯端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図15】承認条件付きの印刷情報に対応する処理の詳細の動作を示すフローチャートである。
図16】携帯端末に表示される表示画面の一例を示す図である。
図17】携帯端末に表示される通知の一例を示す図である。
図18】携帯端末に表示される通知の他の一例を示す図である。
図19】携帯端末に表示される通知の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を説明する。
【0019】
初めに、図1を参照して、本実施形態の概略について説明する。
【0020】
図1には、クライアントコンピュータ10、携帯端末20、クラウド上の印刷管理システム30、及び画像形成装置50が示されている。印刷管理システム30は、例えばクラウドサーバ40によってクラウド上に提供される。
【0021】
クライアントコンピュータ10、携帯端末20、及び印刷管理システム30は、各種ネットワーク等の通信回線を介して各々接続される。また、携帯端末20は、随時、画像形成装置50と通信回線を介して接続される。
【0022】
なお、図1に示す例においては、例えばユーザ2が利用するクライアントコンピュータ10と、ユーザ2の上司等である管理者4が利用するクライアントコンピュータ10とを示している。図1に示す例によらず、クライアントコンピュータ10は単数でもよいし、更に多くの数が接続されていてもよい。また、図1に示す例においては、ユーザ2が利用する携帯端末20、及びクラウドサーバ40を1つ示したが、それぞれ複数でもよいし、何れかが複数でもよい。また、クライアントコンピュータ10は1つでもよいし、より多くの数が接続されていてもよい。
【0023】
本実施形態では、ユーザ2がクライアントコンピュータ10を通して、印刷管理システム30へ印刷の対象となるデータ60を含む印刷情報を登録する。印刷管理システム30は、当該印刷管理システム30によって提供されるサービスである「承認印刷機能」が有効の場合、登録された印刷情報の、印刷の承認を求める通知を管理者4のクライアントコンピュータ10へ出力する。承認印刷機能による処理の詳細は後述する(図6参照)。また、印刷管理システム30によって提供されるサービスである「条件付き承認印刷機能」が有効の場合、印刷管理システム30は、以下で詳細に説明する「承認条件」を、管理者4によって上記要求が承認された印刷情報に付加し、当該印刷情報を携帯端末20へ出力する(図6-7参照)。印刷情報を受付けた携帯端末20は、例えばユーザ2の操作により画像形成装置50と接続されることで、当該印刷情報を画像形成装置50へ出力する(図13-20参照)。印刷情報を受付けた画像形成装置50は、印刷情報に含まれるデータ60を印刷する。なお、クラウドサーバ40、及び携帯端末20のそれぞれは、「情報処理システム」の一例である。
【0024】
次に、図1に示すクライアントコンピュータ10と携帯端末20とクラウドサーバ40との構成を説明する。
【0025】
図2は、本実施形態に係るクライアントコンピュータ10、携帯端末20、及びクラウドサーバ40の要部構成を示すブロック図である。なお、クライアントコンピュータ10、携帯端末20、及びクラウドサーバ40は、一般的なコンピュータ構成であるため、以下では、クラウドサーバ40を代表して説明する。
【0026】
本実施形態に係るクラウドサーバ40は、図2に示すように、プロセッサ40A、ストレージ40B、操作部40C、表示部40D、及び通信回線I/F(インターフェース)部40Eを含む。プロセッサ40Aは、CPU(Central Processing Unit)40a、ROM(Read Only Memory)40b、及びRAM(Random Access Memory)40cを含み、クラウドサーバ40の全体の動作を司る。ROM40bには、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM40cは、CPU40aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ストレージ40Bには、各種のデータやアプリケーションプログラム等が記憶される。操作部40Cは各種の情報を入力するために用いられる。表示部40Dは、各種の情報を表示するために用いられる。通信回線I/F部40Eは、外部の装置と各種データの送受信を行うためのインターフェースである。通信回線I/F部40Eは、例えばWi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を用いて、各機器と直接通信が可能な構成としてもよい。以上のクラウドサーバ40の各部は、システムバス40Gにより電気的に相互に接続されている。なお、本実施形態に係るクラウドサーバ40では、ストレージ40Bを記憶部として適用しているが、ストレージの一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部が適用される。
【0027】
なお、クライアントコンピュータ10は、上記クラウドサーバ40の構成と対応する構成の他、位置検出部10Fを備えていてもよい。位置検出部10Fは、GPS(Global Positioning System)等によってクライアントコンピュータ10の位置を検出する。また、携帯端末20は、上記クラウドサーバ40の構成と対応する構成の他、位置検出部20Fを備えていてもよい。位置検出部20Fは、GPS(Global Positioning System)等によって携帯端末20の位置を検出する。
【0028】
なお、プロセッサ10A、プロセッサ20A、及びプロセッサ40Aは、「複数のプロセッサ」の一例である。
【0029】
次に、本実施形態に係る画像形成装置50の構成について説明する。
【0030】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置50の要部構成を示すブロック図である。
【0031】
本実施形態に係る画像形成装置50は、図3に示すように、プロセッサ50A、ストレージ50B、通信回線I/F(インターフェース)部50C、表示部50D、操作部50E、画像形成部50F、搬送部50G、及び原稿読取部50Hを含む。
【0032】
プロセッサ50Aは、CPU50a、ROM50b、RAM50cを含む。CPU50aは、画像形成装置50の全体の動作を司る。RAM50cは、CPU50aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM50bには、各種情報処理プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。
【0033】
ストレージ50Bは、各種のデータやアプリケーションプログラム等を記憶する。表示部50Dは、各種の操作画面等を表示するユーザーインターフェースである。操作部50Eは、画像形成装置50を利用するユーザの操作指示を検出する。本実施形態では、表示部50Dと操作部50Eとを分けて説明したが、表示部50D及び操作部50Eを兼ね備えたタッチパネル等が適用されてもよい。
【0034】
原稿読取部50Hは、例えば原稿の読取処理を実行するためのCCD(Charge-Coupled Device;電荷結合素子)イメージセンサ等を備え、例えば画像形成装置50にセットされた原稿から、原稿画像を生成する。画像形成部50Fは、例えば電子写真方式、又はインクジェット記録方式等を用いて、印刷の対象となるデータの画像、又は原稿読取部50Hで生成された原稿画像を、用紙等の記録媒体上に形成する。搬送部50Gは、画像形成がされる前の用紙、及びデータの画像又は原稿画像等が形成された後の用紙等を搬送する。
【0035】
通信回線I/F部50Cは、画像形成装置50と、例えば携帯端末20等の外部装置との通信を行うことでデータの送受信を行うインターフェースである。プロセッサ50A、ストレージ50B、通信回線I/F部50C、表示部50D、操作部50E、画像形成部50F、搬送部50G、及び原稿読取部50Hは、システムバス50Jにより電気的に接続されている。
【0036】
次に、ユーザ2が印刷管理システム30へ印刷情報を登録する際のクライアントコンピュータ10の動作について説明する。
【0037】
図4は、クライアントコンピュータ10が印刷情報を印刷管理システム30へ登録する際の動作を示すフローチャートである。図4に示す動作は、印刷管理システム30と対応するアプリケーションプログラムが起動されることで実行される。なお、以下のステップS100-S106の処理は、プロセッサ10Aによって実行されるとして説明するが、少なくとも1の処理が、プロセッサ40Aによって実行されるよう構成されてもよい。
【0038】
ステップS100において、プロセッサ10Aは、印刷の対象となるデータに対する印刷設定を受け付ける。印刷設定とは、例えば印刷物のサイズや、カラー印刷又は白黒印刷等を指定するものである。印刷設定は、ユーザ2により行われる。
【0039】
ステップS102において、プロセッサ10Aは、印刷情報の出力先となる携帯端末20が、印刷管理システム30に登録されているか否かを判定する。詳細には、例えばユーザ2は印刷情報の出力先となる携帯端末20を予め印刷管理システム30へ登録することができ、プロセッサ10Aが印刷管理システム30に予め登録された携帯端末20の情報を取得することで、ステップS102の判定を行うことができる。なお、予め登録された携帯端末20は、印刷情報を出力する先の候補となる。
【0040】
予め登録された携帯端末20がある場合(ステップS102のYES)、プロセッサ10Aは、ステップS104の処理を実行する。携帯端末20が印刷管理システム30へ登録されていない場合(ステップS102のNO)、プロセッサ10Aは、ステップS106処理を実行する。ここで、ステップS102において表示部10Dへ表示される画面の一例を図5に示す。
【0041】
図5に示す表示画面100には、ステップS100において受け付けた印刷設定102が含まれる。なお、例えば承認印刷機能が有効である場合に、印刷設定において受け付けた管理者4へのコメント104が含まれる。また、ステップS102において、携帯端末20が予め登録されている場合は、出力先の携帯端末設定106が有効となるよう表示される。出力先の携帯端末設定106が有効の場合、ユーザ2は、指定欄108a、及び指定欄108bにより、印刷情報を出力する携帯端末20を指定することができる。例えば、複数の携帯端末20が印刷管理システム30へ登録されている場合において、全ての携帯端末20へ印刷情報を出力する場合は、指定欄108aを選択する。出力先の携帯端末20を指定する場合は、指定欄108bを選択し、指定欄110で複数の携帯端末20の中から、印刷情報の出力先とする携帯端末20を指定する。
【0042】
ステップS104において、プロセッサ10Aは、印刷情報に、印刷情報を出力する先の携帯端末20の情報を付加する。具体的には、図5に示す指定欄110で指定された携帯端末20がある場合は、指定欄110で指定された携帯端末20を示す「×××Phone」の、例えば識別コード、シリアル番号、MACアドレス等を印刷情報に付加する。指定欄108aが選択されている場合は、例えば印刷管理システム30へ登録されている複数の携帯端末20それぞれの識別コード、シリアル番号、MACアドレス等を印刷情報に付加する。これにより、印刷情報が携帯端末20へ出力される際は、付加された識別コードを有する携帯端末20へ当該印刷情報が出力される。なお、印刷情報の携帯端末20への出力は、スプールによる出力を含むものとする。
【0043】
ステップS106において、プロセッサ10Aは、印刷情報を印刷管理システム30へ出力する。
【0044】
次に、印刷管理システム30がクライアントコンピュータ10から出力された印刷情報を受付けた場合の、言い換えると、図4の処理が行われた後の、印刷管理システム30の動作について説明する。
【0045】
図6は、印刷管理システム30の動作を示すフローチャートである。図6に示す処理は、クラウドサーバ40に記憶されるアプリケーションプログラムにより実行される。
【0046】
ステップS200において、プロセッサ40Aは、クライアントコンピュータ10から出力された印刷情報を受付ける。
【0047】
ステップ202において、プロセッサ40Aは、受け付けた印刷情報のログを保存する。言い換えると、プロセッサ40Aは、受け付けた印刷情報の履歴を保存する。
【0048】
ステップ204において、プロセッサ40Aは、承認印刷機能が有効であるか否かを判定する。なお、承認印刷機能の有効無効は、例えば管理者4によって予め設定されている。承認印刷機能が有効に設定されている場合(ステップS204のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS206の処理を実行する。承認印刷機能が無効に設定されている場合(ステップS206のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS210の処理を実行する。
【0049】
ステップS206において、プロセッサ40Aは、例えば管理者4が利用するクライアントコンピュータ10へ、登録された印刷情報を印刷することの承認を求める通知(以下「承認依頼通知」と表記)を出力する。承認依頼通知を受け付けた管理者4は、管理者4が利用するクライアントコンピュータ10を通して、印刷情報を、例えばユーザ2が印刷することを承認するか否かを決定し、承認依頼通知に対する応答を行う。
【0050】
ステップS208において、プロセッサ40Aは、承認依頼通知に対し、承認されたか否かを判定する。承認された場合(ステップS208のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS210の処理を実行する。承認されなかった場合(ステップS208のNO)、プロセッサ40Aは、一連の処理を終了する。
【0051】
なお、ステップS206、及びステップS208の処理は、承認印刷機能による処理の一例である。
【0052】
ステップ210において、プロセッサ40Aは、印刷情報に対し、有効期限を設定する。有効期限は、例えば、管理者4によって予め印刷管理システム30に設定された期間によって算出される。
【0053】
ステップ212において、プロセッサ40Aは、条件付き承認印刷機能が有効であるか否かを判定する。条件付き承認印刷機能の有効無効は、例えば管理者4によって予め設定されている。条件付き承認印刷機能において、管理者4は承認条件を、予め印刷管理システム30へ設定しておくことができる。ここで、図7を参照して、承認印刷機能による承認条件、及び承認条件の設定について説明する。
【0054】
管理者4は、図7に示す表示画面200を用いて、印刷管理システム30へ承認条件を予め設定することができる。承認条件とは、印刷情報に含まれるデータ60の状況を管理するために設定される条件である。
【0055】
管理者4は、例えば、設定欄210により、印刷管理システム30と携帯端末20との通信(以下、「第1通信」と表記)の状況に関する条件を設定することができる。具体的には、例えば欄212によって第1通信の通信経路(以下、「第1通信経路」と表記)を指定する。設定欄210の設定により、印刷管理システム30は、第1通信が、指定された第1通信経路の場合に、印刷情報を携帯端末20へ出力する。以下、第1通信の状況に関する条件を「第1条件」と表記する。
【0056】
また、管理者4は、例えば、設定欄220により、データ60の個人情報又は機密情報等に関する条件を設定することができる。具体的には、データ60に個人情報、及び機密情報等が含まれる場合は印刷情報を携帯端末20へ出力しないよう指定する。以下、データ60の個人情報に関する条件を「第2条件」と表記する。
【0057】
また、管理者4は、例えば設定欄230により、携帯端末20と画像形成装置50との通信(以下、「第2通信」と表記)の状況に関する条件を設定することができる。具体的には、例えば第2通信の通信経路(以下、「第2通信経路」と表記)を指定することで、印刷管理システム30は、第2通信が指定された第2通信経路の場合に、印刷情報を携帯端末20から画像形成装置50へ出力する。以下、第2通信の状況に関する条件を「第3条件」と表記する。
【0058】
また、管理者4は、例えば設定欄240により、画像形成装置50の状況に関する条件を設定することができる。具体的には、例えば設定欄240において、安全な画像形成装置50を指定することで、印刷情報は、携帯端末20が安全な画像形成装置50と接続された場合に、当該画像形成装置50へ出力される。ここで、安全な画像形成装置50とは、例えば印刷管理システム30に予め登録されている画像形成装置50を示す。以下、画像形成装置50の状況に関する条件を「第4条件」と表記する。
【0059】
承認条件は、第1条件~第4条件の他、データ60の機密性を確保するために必要な条件が設定できるように構成されて構わない。プロセッサ40Aは、表示画面200によって設定された承認条件を予め受け付ける。承認条件は例えばストレージ40Bに記憶されている。
【0060】
図6に戻り、条件付き承認印刷機能が有効の場合(ステップS212のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS214の処理を実行する。条件付き承認印刷機能が無効の場合(ステップS212のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS216の処理を実行する。
【0061】
ステップS214において、プロセッサ40Aは、印刷情報に、設定された承認条件を付加する。
【0062】
ステップS216において、プロセッサ40Aは、ステップS104により印刷情報に付加されている、当該印刷情報の出力先となる携帯端末20との第1通信が確立したか否かを判定する。第1通信が確立した場合(ステップS216のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS218の処理を実行する。第1通信が確立しない場合(ステップS216のNO)、プロセッサ40Aは、一連の処理を終了する。
【0063】
ステップS218において、プロセッサ40Aは、印刷情報に承認条件が付与されているか否かを判定する。印刷情報に承認条件が付与されている場合(ステップS218のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS220の処理を実行する。印刷情報に承認条件が付与されていない場合(ステップS218のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS222の処理を実行する。なお、印刷情報に承認条件が付与されていない場合とは、例えばステップS212において、条件付き承認印刷機能が無効と判定された場合である。
【0064】
ステップS220において、プロセッサ40Aは、付加された承認条件に基づく処理を実行する。ステップS220の処理の詳細は後述する(図8参照)。
【0065】
ステップS222において、プロセッサ40Aは、印刷情報を出力先となる携帯端末20へ出力する。なお、図4のステップS104が実行されない、つまりステップS102の否定判定で出力先の携帯端末20の情報が印刷情報に付加されていない場合は、例えば出力先となる携帯端末20が別途登録された後に、上記ステップS216以降の処理が実行される。
【0066】
次に、図8を参照して、ステップS220の処理の詳細について説明する。なお、以下のステップS300-S316の処理は、プロセッサ40Aによって実行されるとして説明するが、少なくとも1の処理が、プロセッサ10Aによって実行されるよう構成されてもよい。
【0067】
ステップS300において、プロセッサ40Aは、印刷情報に付加された承認条件において、第1条件が設定されているか否かを判定する。第1条件が設定されている場合(ステップS300のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS302の処理を実行する。第1条件が付加されていない場合(ステップS300のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS308の処理を実行する。
【0068】
ステップS302において、プロセッサ40Aは、確立された第1通信が、第1条件を満たすか否かを判定する。例えば、図7に示す表示画面200において、「パスワード付き回線」が第1条件として設定されている場合は、確立された第1通信経路が、「パスワード付き回線」であるか否かを判定する。そして、確立された第1通信経路が「パスワード付き回線」である場合、確立された第1通信が第1条件を満たすとして、判定が肯定される。一方、確立された第1通信が「パスワード付き回線」以外の場合は、確立された第1通信が第1条件を満たさないとして判定は否定される。
【0069】
確立された第1通信が第1条件を満たす場合(ステップS302のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS308の処理を実行する。確立された第1通信が第1条件を満たさない場合(ステップS302のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS304の処理を実行する。なお、パスワード付き回線による第1通信経路は、安全な第1通信経路の一例である。
【0070】
ステップS304において、プロセッサ40Aは、第1条件を満たすための手段を通知する「第1通知」を、携帯端末20へ通知する。
【0071】
図9は、携帯端末20へ通知される第1通知の一例を示す図である。図9に示す第1通知300には、条件付き承認印刷機能の第1条件を満たすために、第1通信経路(図ではネットワークと表記)の切り替えが必要であることを通知するメッセージが示されている。プロセッサ40Aは、例えば第1通知300を表示した後、図10に示す第1通知310を通知する。図10の第1通知310は、確立された第1通信経路を、条件を満たす第1通信経路へ切り替えるよう促す通知である。第1通知310には、例えば携帯端末20によって取得された、第1条件を満たす第1通信経路の候補が、一覧として表示される。ユーザ2は、確立された第1通信における第1通信経路を、第1通知310において表示された第1通信経路に切り替えることができる。
【0072】
ステップS306において、プロセッサ40Aは、携帯端末20から第1通知に対する応答があったか否かを判定する。例えば、第1通知300、及び第1通知310に対し、プロセッサ40Aが、第1通信経路が切り替えられたことを示す通知を受付けた場合、プロセッサ40Aは応答があったと判定する。一方、第1通知300、及び第1通知310に対して、例えばキャンセルボタン(図9には図示されない)が押下されたことを示す通知を受け付けた場合、プロセッサ40Aは、応答がないと判定する。
【0073】
第1通知に対する応答があった場合(ステップS306のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS302の処理を実行する。応答がない場合(ステップS306のNO)、プロセッサ40Aは、一連の処理を終了する。
【0074】
ステップS308において、プロセッサ40Aは、印刷情報に付加された承認条件において、第2条件が設定されているか否かを判定する。第2条件が設定されている場合(ステップS308のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS310の処理を実行する。第2条件が付加されていない場合(ステップS308のNO)、プロセッサ40Aは、図6に示すステップS222の処理を実行する。
【0075】
ステップS310において、プロセッサ40Aは、印刷情報に含まれるデータ60の状況が、第2条件を満たすか否かを判定する。例えば、図7に示す表示画面200の設定欄220において、図示しない「個人情報又は機密情報を含むデータに特定の処理を実行」という条件が第2条件として設定されている場合は、データ60に個人情報又は機密情報が含まれているか否かを判定する。そして、データ60に個人情報又は機密情報が含まれていない場合は、データ60の状況が第2条件を満たすとして、判定が肯定される。一方、データ60に個人情報又は機密情報が含まれている場合は、データ60の状況が第2条件を満たさないとして判定は否定される。なお、データ60に含まれる個人情報及び機密情報等は、特定の情報の一例である。
【0076】
データ60の状況が第2条件を満たす場合(ステップS310のYES)、プロセッサ40Aは、図6のステップS222の処理を実行する。データ60の状況が第2条件を満たさない場合(ステップS310のNO)、プロセッサ40Aは、ステップS312の処理を実行する。
【0077】
ステップS312において、プロセッサ40Aは、第2条件を満たすための手段を通知する「第2通知」を、携帯端末20へ通知する。
【0078】
図11は、携帯端末20へ通知される第2通知の一例を示す図である。図11に示す第2通知320には、条件付き承認印刷機能の第2条件を満たすために、データ60に対して印刷管理システム30による処理の実行が必要であることを通知するメッセージが示されている。プロセッサ40Aは、例えば第2通知320を通知した後、図12に示す第2通知330を通知する。図12の第2通知330は、データ60に対して、印刷管理システム30による処理を実行するよう促す通知である。第2通知330には、データ60に対して実行できる印刷管理システム30による処理として、例えば「マスク処理」及び「個人情報のページ除去処理」が選択できるよう表示されている。ここで、マスク処理とは、データ60に含まれる個人情報等を黒塗りする処理を示す。また、個人情報のページ除去処理とは、例えばデータ60に複数ページが含まれる場合において、個人情報の含まれるページを除去する処理を示す。ユーザ2は、第2通知330において、印刷情報に対し処理を実行するよう指示することができる。
【0079】
ステップS314において、プロセッサ40Aは、携帯端末20から第2通知に対する応答があったか否かを判定する。例えば、第2通知330に対する応答として、ボタン332又はボタン334が押下されたことを示す通知を受付けた場合、プロセッサ40Aは応答があったと判定する。一方、第2通知320、又は第2通知330に対して、例えばキャンセルボタン(図示されない)が押下されたことを示す通知を受け付けた場合、プロセッサ40Aは、応答がないと判定する。第2通知に対する応答があった場合(ステップS314のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS316の処理を実行する。応答がない場合(ステップS314NO)、プロセッサ40Aは、一連の処理を終了する。
【0080】
ステップS316において、プロセッサ40Aは、受け付けた第2通知への応答に応じて、印刷情報に含まれるデータ60に対し、マスク処理又は個人情報ページ除去処理を実行する。マスク処理が実行されると、例えばデータ60の個人情報を示す箇所が黒塗りされたデータが生成される。また、個人情報ページ除去処理が実行された場合は、個人情報が含まれるページが除かれたデータが生成される。以下では、マスク処理、又は個人情報ページ除去処理によって生成されたデータを、処理済データと表記する。ステップS316の処理が実行された場合、印刷情報に含まれるデータ60は処理済データとなる。なお、マスク処理及び個人情報のページ除去処理によって、データ60に含まれる個人情報及び機密情報を除いた、又は隠したデータが生成される。
【0081】
以上が、図6に示すステップS220の処理の詳細である。ステップS220の処理により、第1条件及び第2条件が満たされた印刷情報が携帯端末20へ出力される。
【0082】
印刷管理システム30から出力された印刷情報を受付けた携帯端末20は、受け付けた印刷情報を、例えばストレージ20Bへ記憶する。
【0083】
次に、図13を参照して、携帯端末20が印刷情報を受付けた後、画像形成装置50において、印刷情報を印刷する際の携帯端末20の処理について説明する。
【0084】
図13は、携帯端末20の動作を示すフローチャートである。図13に示す動作は、携帯端末20に出力され、例えばストレージ20Bへ記憶されている印刷情報を、ユーザ2が画像形成装置50を用いて印刷しようとする際に、印刷管理システム30に対応するアプリケーションプログラムが起動されることで開始される。なお、ストレージ20Bには、複数の印刷情報が記憶されていてよい。なお、以下のステップS400-S414の処理は、プロセッサ20Aによって実行されるとして説明するが、少なくとも1の処理が、プロセッサ40Aによって実行されるよう構成されてもよい。
【0085】
ステップS400において、プロセッサ20Aは、記憶されている印刷情報に付与された有効期限が切れているか否かを判定する。有効期限切れの印刷情報がある場合(ステップS400のYES)、プロセッサ20Aは、ステップS402の処理を実行する。有効期限切れの印刷情報がない場合(ステップS400のNO)、プロセッサ20Aは、ステップS404の処理を実行する。
【0086】
ステップS402において、プロセッサ20Aは、有効期限の切れた印刷情報を、ストレージ20Bから削除する。
【0087】
ステップS404において、プロセッサ20Aは、携帯端末20と画像形成装置50との通信が確立したか否かを判定する。なお、携帯端末20と画像形成装置50との通信を「第2通信」とよぶ。第2通信が確立した場合(ステップS404のYES)、プロセッサ40Aは、ステップS406の処理を実行する。第2通信が確立しない場合(ステップS404のNO)、プロセッサ40Aは、一連の処理を終了する。
【0088】
ステップS406において、プロセッサ20Aは、ストレージ20Bに記憶されている印刷情報の一覧を含む表示画面を表示部20Dへ表示する。図14は、ステップS406において表示される表示画像の一例を示す図である。図14に示す表示画面400に含まれる印刷情報の一覧410には、有効期限が切れていない印刷情報が表示される。また、第2通信が確立されることにより接続された画像形成装置50の情報420が表示されている。
【0089】
図13の説明に戻り、ステップS408において、プロセッサ20Aは、例えば図14に示す表示画面400に表示された印刷情報の一覧410から、印刷の対象となる印刷情報が選択されたか否かを判定する。この判定は、例えばユーザ2が印刷情報の一覧410に表示された印刷情報の中から、印刷の対象とする印刷情報を選択されたか否かによって行われる。印刷の対象となる印刷情報が選択された場合(ステップS408のYES)、プロセッサ20Aは、ステップS410の処理を実行する。印刷の対象となる印刷情報が選択されない場合(ステップS408のNO)、プロセッサ20Aは、印刷の対象となる印刷情報が選択されるまでステップS408の処理を繰り返す。
【0090】
ステップS410において、プロセッサ20Aは、選択された印刷情報に、承認条件として第3条件又は第4条件が設定されているか否かを判定する。選択された印刷情報に第3条件又は第4条件が設定されている場合(ステップS410のYES)、プロセッサ20Aは、ステップS412の処理を実行する。選択された印刷情報に第3条件及び第4条件のいずれもが設定されていない場合(ステップS410のNO)、プロセッサ20Aは、ステップS414の処理を実行する。
【0091】
ステップS412において、プロセッサ20Aは、印刷情報に付加された承認条件において設定されている第3条件、及び第4条件の少なくとも一方に基づく処理を実行する。なお、ステップS412による処理の詳細は後述する(図15参照)。
【0092】
ステップS414において、プロセッサ20Aは、ステップS412の処理、又はステップS410の処理が実行された後の、選択された印刷情報を画像形成装置50に出力する。なお、詳細は後述するが、ステップS412において、設定されている第3条件又は第4条件を満たさない印刷情報は、画像形成装置50へ出力されない。
【0093】
図15は、ステップS412の処理において、プロセッサ20Aによって実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下のステップS500-S512の処理は、プロセッサ20Aによって実行されるとして説明するが、少なくとも1の処理が、プロセッサ40Aによって実行されるよう構成されてもよい。
【0094】
ステップS500において、プロセッサ20Aは、印刷情報に設定されている第3条件及び第4条件の、いずれの条件も満たすか否かを判定する。例えば、第3条件として「パスワード付き回線」が設定されており、第4条件として「安全な画像形成装置」が設定されている場合を想定する。この設定において、確立された第2通信の第2通信回線がパスワード付き回線であり、接続先の画像形成装置50が、例えば予め印刷管理システム30において登録されている場合は、第3条件及び第4条件のいずれの条件も満たすと判定される。一方、例えば確立された第2通信の第2通信回線はパスワード付き回線であるが、接続先の画像形成装置50が登録されていない画像形成装置50である場合、第4条件を満たさない、つまり、少なくとも1の条件を満たさないので判定は否定される。なお、例えば印刷情報に第3条件のみが設定されている場合であって、当該第3条件が満たされる場合、判定は肯定される。第4条件のみが設定されている場合においても同様である。なお、パスワード付き回線による第2通信経路は、安全な第2通信経路の一例である。
【0095】
第3条件及び第4条件のいずれも満たす場合(ステップS500のYES)、プロセッサ20Aは、図13のステップS414の処理を実行する。第3条件及び第4条件の少なくとも1の条件を満たさない場合(ステップS500のNO)、プロセッサ20Aは、ステップS502の処理を実行する。
【0096】
ステップS502において、プロセッサ20Aは、表示画面400において、選択された印刷情報を、出力不可として表示する。印刷情報を出力不可として表示する一例として、例えば印刷情報をグレー掛けして表示する。図16は、グレー掛けして表示された印刷情報の一例を示す図である。図16に示す例によれば、例えばステップS408で選択された印刷情報「報告書.docx」が、ステップS502の処理においてグレー掛け表示されている。なお、印刷情報のグレー掛け表示は、印刷情報を選択不可に表示することの一例である。
【0097】
ステップS504において、プロセッサ20Aは、選択された印刷情報が、設定された第3条件を満たすか否かを判定する。選択された印刷情報に第4条件のみが設定されている場合、判定は肯定される。第3条件を満たす場合(ステップS504のYES)、プロセッサ20Aは、ステップS510の処理を実行する。第3条件を満たさない場合(ステップS504のNO)、プロセッサ20AはステップS506の処理を実行する。
【0098】
ステップS506において、プロセッサ20Aは、第3条件を満たすための手段を通知する「第3通知」を、表示部20Dへ通知する。
【0099】
図17は、表示部20Dへ通知される第3通知の一例を示す図である。図17に示す第3通知500には、条件付き承認印刷機能の第3条件を満たすために、第2通信経路(図ではP2P通信と表記)の切り替えが必要であることを通知するメッセージが示されている。プロセッサ40Aは、例えば第3通知500のボタン510が押下された場合、図18に示す第3通知530を通知する。図18の第3通知530には、例えば携帯端末20によって取得された、第3条件を満たす第2通信経路の候補が、一覧として表示される。ユーザ2は、確立された第2通信における第2通信経路を、第3通知530において表示された第2通信経路に切り替えることができる。
【0100】
図15に戻り、ステップS508において、プロセッサ20Aは、第3通知に対する応答があったか否かを判定する。例えば、第3通知530に対し、プロセッサ20Aが、第2通信経路が切り替えられたことを示す通知を受付けた場合、プロセッサ20Aは応答があったと判定する。一方、第3通知500、及び第5通知530に対して、例えば閉じるボタン520(図18には図示されない)が押下されたことを示す通知を受け付けた場合、プロセッサ20Aは、応答がないと判定する。
【0101】
応答があった場合(ステップS508のYES)、プロセッサ20Aは、ステップS504の処理を実行する。応答がない場合(ステップS508のNO)、プロセッサ20Aは、一連の処理を終了する。
【0102】
ステップS510において、プロセッサ20Aは、印刷情報に付加された承認条件において、設定された第4条件を満たすか否かを判定する。選択された印刷情報に第3条件のみが設定されている場合、判定は肯定される。第4条件を満たす場合(ステップS510のYES)、プロセッサ20Aは、図13に示すステップS414の処理を実行する。第4条件を満たさない場合(ステップS510のNO)、プロセッサ20Aは、ステップS512の処理を実行する。
【0103】
ステップS512において、プロセッサ20Aは、第4条件を満たすための手段を通知する「第4通知」を、表示部20Dへ通知する。
【0104】
図19は、表示部20Dへ通知される第4通知の一例を示す図である。図19に示す第4通知600には、条件付き承認印刷機能の第4条件を満たすために、接続された画像形成装置50を変更する必要があることを通知するメッセージが示されている。なお、第4通知600のボタン610が押下されることで、安全な画像形成装置50が設置されている地図620を表示するように構成されてもよい。ユーザ2は、第4通知600により、安全な画像形成装置50へ接続することができる。
【0105】
ステップS512の処理が実行されると、ユーザ2が、例えば安全な画像形成装置50と携帯端末20とを接続する場合において、プロセッサ20Aにより、改めて図13の処理が実行される。
【0106】
上記で説明した処理により、条件付き承認印刷機能が有効な場合においては、管理者4によって設定されている承認条件を満たした場合に、印刷情報の印刷が可能となる。
【0107】
以上、実施の形態を説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0108】
また、上記実施の形態は、請求項に係る開示を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0109】
また、上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0110】
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0111】
本実施形態では、アプリケーションプログラムがストレージ10B、20B、40Bにインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態に係るアプリケーションプログラムを、コンピュータ読取可能な記憶媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを、CD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、本実施形態に係るアプリケーションプログラムを、通信回線I/F部10E、20E、40Eを介して外部の装置から取得するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、クライアントコンピュータ10、携帯端末20、及びクラウドサーバ40における処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。また、上記実施形態では、情報処理システムは、単一のクラウドサーバ40、又は単一の携帯端末20によるものとして説明した。情報処理システムは、単一の装置で構成される場合に限らず、複数の装置で構成されてもよい。
【0113】
その他、上記実施形態で説明したクライアントコンピュータ10、携帯端末20、クラウドサーバ40、及び画像形成装置50の構成は一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0114】
また、上記実施の形態で説明したアプリケーションプログラムの処理の流れ(図4、6、8、13、15参照)も一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0115】
また、上記実施の形態で説明したアプリケーションプログラムによる各表示画面、及び通知(図5、7、9-12、14、16-19参照)も一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要な要素を削除したり、新たな要素を追加したり、画像内の要素の配置を変更、要素の拡大、縮小する等のデザイン変更をしてもよいことは言うまでもない。
【0116】
以上の実施形態に関し、更に以下を開示する。
(((1)))
プロセッサを含み、
前記プロセッサは、
印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための承認条件と、を受付け、
受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記承認条件を満たさない場合、前記承認条件を満たすための手段を通知する、
情報処理システム。
(((2)))
前記プロセッサは、
第1通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第1通信に用いる第1通信経路が安全でない場合、前記第1通信経路を、取得された安全な第1通信経路に切り替えるよう通知する、
(((1)))記載の情報処理システム。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記条件を満たさない場合として、前記データが特定の情報を含む前記印刷情報の場合、当該印刷情報を出力する際に、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを生成する処理を実行するよう通知し、
前記処理が実行された場合、前記特定の情報を除いた又は隠したデータを含む前記印刷情報を出力する、
(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理システム。
(((4)))
前記プロセッサは、
第2通信により前記印刷情報を出力する際に、前記条件を満たさない場合として、前記第2通信に用いる第2通信経路が安全でない場合、前記第2通信経路を、取得された安全な第2通信経路に切り替えるよう通知する、
(((1)))に記載の情報処理システム。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記第2通信経路が安全でない場合、前記印刷情報を出力不可として表示する、
(((4)))に記載の情報処理システム。
(((6)))
前記少なくとも1のプロセッサは、
前記条件を満たさない場合として、前記印刷情報を印刷するための画像形成装置が安全でない場合、前記画像形成装置を変更するよう通知する、
(((1)))、(((4)))又は(((5)))に記載の情報処理システム。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記画像形成装置が安全でない場合、前記印刷情報を選択不可として表示する
(((6)))記載の情報処理システム。
(((8)))
前記プロセッサは、
前記画像形成装置が安全でない場合、安全な画像形成装置が設置された場所を通知する、
(((6)))又は(((7)))記載の情報処理システム。
(((9)))
コンピュータに、
印刷対象のデータを含む印刷情報と、前記データの状況を管理するための条件と、を受付けさせ、
受け付けた前記印刷情報を出力する際に前記条件を満たさない場合、前記条件を満たすための手段を通知させる、
ことを含む処理を実行させる情報処理プログラム。
【0117】
(((1)))、及び(((9)))によれば、管理者が、ユーザによって扱われる印刷対象のデータの状況を管理することができる、という効果を有する。
(((2)))によれば、安全でない通信回線により携帯端末へ印刷情報を出力する場合と比較して、携帯端末へ出力する際の印刷情報に対する機密性を確保することができる。
(((3)))によれば、機密情報が含まれる印刷情報が携帯端末へ記憶される場合と比較して、携帯端末へ記憶される印刷情報の機密性を確保することができる。
(((4)))によれば、安全でない通信回線により画像形成装置へ印刷情報を出力する場合と比較して、画像形成装置へ出力する際の印刷情報に対する機密性を確保することができる。
(((5)))によれば、印刷情報が出力されない場合に印刷情報を選択可に表示する場合と比較して、印刷の出力が不可であることをユーザに通知することができる。
(((6)))によれば、安全でない画像形成装置へ接続された際に変更するよう通知されない場合と比較して、ユーザは画像形成装置が安全でないことにより印刷情報が出力されないことを把握することができる。
(((7)))によれば、印刷情報が出力されない場合に印刷情報を選択可に表示する場合と比較して、印刷の出力が不可であることをユーザに通知することができる。
(((8)))によれば、安全な画像形成装置の設置場所が通知されない場合と比較して、ユーザへ印刷情報を印刷することが可能な画像形成装置の場所を提示することができる。
【符号の説明】
【0118】
2…ユーザ、4…管理者、10…クライアントコンピュータ、20…携帯端末、30…印刷管理システム、40…クラウドサーバ、50…画像形成装置、60…データ、100…表示画面、200…表示画面、300…通知、310…通知、320…通知、330…通知、400…表示画面、500…通知、530…通知、600…通知。
図1
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