(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168827
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】医用画像診断システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085805
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】大住 良太
(72)【発明者】
【氏名】奥村 貴敏
(72)【発明者】
【氏名】エリック・エヌグイエン
(72)【発明者】
【氏名】リオネル・ルスコラン
(72)【発明者】
【氏名】ファルク・タンハウザー
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE22
4C601HH02
4C601HH06
4C601HH21
4C601JB11
4C601JB28
4C601JB34
4C601JB53
4C601JC06
4C601JC09
4C601JC10
4C601JC21
4C601JC37
4C601KK25
4C601KK47
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザによる医用画像の画質調整を容易にする医用画像診断システムを提供する。
【解決手段】医用画像診断システムは、選択した画質指標アンカーに基づく医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成、表示させる、第1画像表示部と、アンカーから複数種類の画質指標を増減させ、複数の第2サムネイル画像として生成する、第2画像生成部と、生成された複数の第2サムネイル画像を表示させる第2画像表示部と、第1サムネイル画像と第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標を算出する新規画質指標算出部と、選択した第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用い、第1画像生成部に新たな第1サムネイル画像を生成、表示させ、新規画質指標の値に基づき、第2画像生成部に新たな第2サムネイル画像を生成させ、表示させる再生成表示部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を表示するための複数種類の画質指標に関して、ユーザが選択した画質指標の値をアンカーとし、前記アンカーに基づく前記医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成する、第1画像生成部と、
前記第1画像生成部で生成された前記第1サムネイル画像を表示部に表示させる、第1画像表示部と、
前記医用画像に関して、前記アンカーから前記複数種類の画質指標をそれぞれ増減させて、複数のサムネイル画像を第2サムネイル画像として生成する、第2画像生成部と、
前記第2画像生成部で生成された前記複数の第2サムネイル画像を前記表示部に表示させる、第2画像表示部と、
前記第1サムネイル画像と、前記第2サムネイル画像とを選択可能とし、前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標を算出する新規画質指標算出部と、
前記第1サムネイル画像又は前記複数の第2サムネイル画像の中からユーザが選択した前記第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用いて、前記第1画像生成部に新たな第1サムネイル画像を生成させ、前記第1画像表示部に新たな第1サムネイル画像を表示させ、前記新規画質指標算出部が算出した前記新規画質指標の値に基づいて、前記第2画像生成部に新たな第2サムネイル画像を生成させ、前記第2画像表示部に新たな第2サムネイル画像を表示させる、再生成表示部と、を備える医用画像診断システム。
【請求項2】
前記第2画像生成部は、前記アンカーから前記複数種類の画像指標をそれぞれ増減させて合成させた画像指標に基づく合成画像を、前記複数の第2サムネイル画像の1つとして生成し、
前記第2画像表示部は、前記合成画像を、前記複数の第2サムネイル画像の1つとして表示する、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記新規画質指標算出部は、ユーザの操作に基づいて、前記新規画質指標の増減を切り替える、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記新規画質指標の算出は、Bradley-Terry-Luce(BTL)モデルまたはThurstone-Mostellerモデルによる前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択の確率に依存することを特徴とする、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記新規画質指標の算出は、ベイズの定理を用いた確率的な推測によって最適化され、前記最適化は獲得関数(Acquisition function)を最大化することによって行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
前記ベイズの定理を用いた確率的な推測は、ガウス過程に従う事前分布モデルより行われることを特徴とする、請求項5に記載の医用画像診断システム。
【請求項7】
前記第1画像生成部及び前記第2画像生成部は、前記画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータに基づいて、画像処理または信号処理を行い、前記第1サムネイル画像及び前記第2サムネイル画像を、それぞれ生成する、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項8】
前記画像処理または信号処理は、多重解像度分解処理、非線形異方性拡散フィルタ、線形空間フィルタ、メディアンフィルタ、入出力曲線処理、ゲイン調整処理のいずれかである、請求項7に記載の医用画像診断システム。
【請求項9】
前記医用画像は、超音波診断システムにより撮像された画像である、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項10】
前記第1画像生成部及び前記第2画像生成部は、前記画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータの条件で超音波送受信を行い、前記第1サムネイル画像及び前記第2サムネイル画像を、それぞれ生成する、請求項9に記載の医用画像診断システム。
【請求項11】
前記超音波送受信の条件は、送信波形、受信中心周波数、受信周波数帯域、受信口径、音速のいずれかである、請求項10に記載の医用画像診断システム。
【請求項12】
前記超音波診断システムにおいて、前記画質指標の最適化は被検体の深さごとに行うことができる、請求項9に記載の医用画像診断システム。
【請求項13】
前記複数種類の画質指標には、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性(coherency)強調、エッジ検出度、明るさ、コントラスト、ゲイン、高輝度強調、分解能のいずれかが含まれていることを特徴とする、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項14】
前記第2サムネイル画像の数は、前記画質指標の種類の数以上であることを特徴とする、請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項15】
医用画像を表示するための複数種類の画質指標に関して、ユーザが選択した画質指標の値をアンカーとし、前記アンカーに基づく前記医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成するステップと、
生成された前記第1サムネイル画像を表示部に表示させるステップと、
前記医用画像に関して、前記アンカーから前記複数種類の画質指標をそれぞれ増減させて、複数のサムネイル画像を第2サムネイル画像として生成するステップと、
生成された前記複数の第2サムネイル画像を前記表示部に表示させるステップと、
前記第1サムネイル画像と、前記第2サムネイル画像とを選択可能とし、前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標を算出するステップと、
前記第1サムネイル画像又は前記複数の第2サムネイル画像の中からユーザが選択した前記第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用いて、新たな第1サムネイル画像を生成させ、生成された新たな第1サムネイル画像を表示させ、算出された前記新規画質指標の値に基づいて、新たな第2サムネイル画像を生成させ、生成された新たな第2サムネイル画像を表示させるステップと、を備える医用画像診断システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像診断システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断システム、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)システム、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)システム、陽電子放出断層撮影(PET:Positron Emission Tomography)システムなどの各種の医用画像診断システムの多くは、医用画像の画質をユーザの好みに合わせて調整できるようになっている。
【0003】
しかし、画質を制御する画質指標は多数あり、医用画像診断システムのユーザが複数の画質指標の値を調整して最適な画質に到達するのは困難である。例えば、所定の画像処理について、画質調整に寄与する画質指標が60種類あり、各画質指標につき5段階の調整値から選択設定できる場合、5の60乗の調整設定の組み合わせが生じうる。また、多数の画質指標から、有力なN種類の指標に絞ったとしても、N次元の調整が必要となり、依然として調整が困難である。そのため、多くの医用画像診断システムでは、ユーザの好みにあわせていくつかの画像指標の組をインデックス化して、システムのGUI(Graphical User Interface)としてインデックス値を数段階調整可能なものもある。しかし、このように画質指標の組をインデックス化すると、調整の自由度が相当に制約される。
【0004】
また、ユーザが画像を見ながら、調整する画質指標を選択したり、画質指標の値を調整したりできる医用画像診断システムもある。このような医用画像診断システムによれば、複数のレンダリング条件のそれぞれに対応してレンダリングされた複数のサムネイル画像を生成するとともに、所定のレンダリング条件に従ってレンダリングされたレンダリング画像を生成する。この方法によって生成された複数のサムネイル画像を、タッチコマンドスクリーンに操作ボタンとして表示すれば、数値入力やつまみにより画質指標の値を調整するよりも視覚的にわかりやすい。しかし、複数のサムネイル画像を、複数のレンダリング条件のそれぞれに対応させて表示する場合、画質指標の値のステップ幅は固定されている場合がある。このような場合、ステップ幅が大きければ、最適な画質を見逃す恐れがあり、ステップ幅が小さければ、最適な画質に到達するのに手間と時間がかかる。すなわち、画質指標の値のステップ幅が固定されている場合、最適な画質に到達するのが困難である。
【0005】
また、ユーザが画像を見ながら、複数の画像指標のそれぞれについて、1次元のスライダー操作に分解して、ユーザに提示することにより、画質指標の値を調整させ、ベイズ最適化により、未知の知覚関数を最適化できる医用画像診断システムもある。このような医用画像診断システムによれば、各次元の画質調整が連続的に変化できるものの、サムネイル画像を選択することにより画質指標の値を調整する方法には適用が困難である。
【0006】
また、ユーザが画像を見ながら、1種類の画像指標について調整できるUI(User Interface)を提示し、この画質指標をユーザに調整させ、ベイズ最適化を使用して、ユーザの画質に対する認識を推測し、画質指標の値を最適化する医用画像診断システムもある。このような医用画像診断システムによれば、複数の画像指標を同時に調整することができず、各次元の画質調整が連続的に変化するため、サムネイル画像を選択することにより画質指標の値を調整する方法には適用が困難である。
【0007】
さらに、n次元の画質探索問題を一連の2次元画質探索のサブタスク(subtasks)に分解し、2次元にマッピングされたサムネイルによって各サブタスクにおける画質指標の選択をユーザに行わせる医用画像診断システムもある。このような医用画像診断システムにおいて、n次元から2次元への変換は、さまざまな画像指標に適用できるように一般的な方法として定式化されている場合がある。しかしながら、医用画像における各画質指標への変換は、画像指標毎に定式化されていることが、臨床的に望ましい。そのため、n次元から2次元への変換がさまざまな画像指標に適用できるように一般的な方法として定式化されている場合にあっては、依然として、最適な画質に到達する困難さは解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6608126号公報
【特許文献2】特開2020-159789号公報
【特許文献3】特開2020-074996号公報
【特許文献4】特開2004-016612号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Y. Koyama, I. Sato, D. Sakamoto, and T. Igarashi, “Sequential line search for efficient visual design optimization by crowds”, ACM Trans. Graph., vol. 36, no. 4, Jul. 2017.
【非特許文献2】Kyurae Kim et al., “Ultrasound Design Gallery: Personalized Enhancement of Medical Ultrasound Images with Preferential Bayesian Optimization”, Pre-print Under review Nov. 2021.
【非特許文献3】Y. Koyama, I. Sato, M. Goto, "Sequential gallery for interactive visual design optimization", ACM Trans. Graph., Vol. 39, no. 4, August 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像診断システムにおいて、ユーザによる医用画像の画質調整を容易にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態に係る医用画像診断システムは、医用画像を表示するための複数種類の画質指標に関して、ユーザが選択した画質指標の値をアンカーとし、前記アンカーに基づく前記医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成する、第1画像生成部と、前記第1画像生成部で生成された前記第1サムネイル画像を表示部に表示させる、第1画像表示部と、前記医用画像に関して、前記アンカーから前記複数種類の画質指標をそれぞれ増減させて、複数のサムネイル画像を第2サムネイル画像として生成する、第2画像生成部と、前記第2画像生成部で生成された前記複数の第2サムネイル画像を前記表示部に表示させる、第2画像表示部と、前記第1サムネイル画像と、前記第2サムネイル画像とを選択可能とし、前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標を算出する新規画質指標算出部と、前記第1サムネイル画像又は前記複数の第2サムネイル画像の中からユーザが選択した前記第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用いて、前記第1画像生成部に新たな第1サムネイル画像を生成させ、前記第1画像表示部に新たな第1サムネイル画像を表示させ、前記新規画質指標算出部が算出した前記新規画質指標の値に基づいて、前記第2画像生成部に新たな第2サムネイル画像を生成させ、前記第2画像表示部に新たな第2サムネイル画像を表示させる、再生成表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る医用画像診断システムの全体構成の例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す医用画像診断システムのブロック構成図の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示す医用画像診断システムの制御部の機能を説明する機能ブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る医用画像診断システムが実行する画質最適化処理の内容を説明するフローチャートを示す図である。
【
図6】変形例1に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る医用画像診断システムにおける画質指標の変更を3次元座標で示した図である。
【
図9】変形例2に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図11】変形例3に係る医用画像診断システムのタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面の一例を示す図である。
【
図12】第4実施形態に係る医用画像診断システムの構成を模式的に説明する図である。
【
図13】第4実施形態に係る医用画像診断システムの制御部の機能を説明する機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、医用画像診断システム及びその制御方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る医用画像診断システム100の全体構成の例を示す斜視図である。この
図1に示す医用画像診断システム100は、例えば、超音波診断システムにより構成されている。
図2は、
図1に示す医用画像診断システム100のブロック構成図の一例を示している。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る医用画像診断システム100は、超音波プローブ101と、入力装置102と、メインディスプレイスクリーン103と、タッチコマンドスクリーン(Touch Command Screen:TCS)104とを備えて構成されている。また、
図2に示すように、医用画像診断システム100は、これらに加えて、送受信部201と、Bモード処理部202と、ドプラ処理部203と、画像処理部204と、メモリ205と、制御部206とを、その内部に備えて構成されている。
【0016】
超音波プローブ101は、超音波信号を被検体に照射し、被検体で反射された超音波信号を検出するデバイス(探触子)であり、電気/機械可逆的変換素子で形成されている。この超音波プローブ101は、例えばアレイ状に配列される複数の素子を先端部に装備したフェーズドアレイタイプのプローブで構成される。これにより、超音波プローブ101は、供給されるパルス駆動電圧を超音波信号に変換して被検体のスキャン領域内の所望方向に送信し、且つ被検体から反射してきた超音波信号をこれに対応する電圧のエコー信号に変換する。
【0017】
なお、この超音波プローブ101は、被検体を2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体を3次元で走査する3次元プローブすなわちメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであってもよい。3次元プローブを用いる場合には、メインディスプレイスクリーン103に表示される医用画像に、特定の断層像もしくは多断面変換(MPR:Multi Planar Reconstruction)表示が含まれる。
【0018】
送受信部201は、トリガ発生回路、遅延回路及びパルサ回路などを有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信する超音波信号を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波信号をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対して与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面からの送信方向を任意に調整する。
【0019】
なお、送受信部201は、後述する制御部206の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧などを瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能な発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0020】
また、送受信部201は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ101が受信した反射波である超音波信号に対して各種処理を行なって、反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波である超音波信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波である超音波信号をA/D変換してデジタルデータを生成し、このデジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって生成されたデジタルデータの加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波である超音波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0021】
なお、送受信部201による送受信の方式は、前記説明のように超音波信号をビーム状に集束する方式のほか、平面波を送受信する方式であってもよい。
【0022】
Bモード処理部202は、送受信部201からの反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理、対数圧縮などを行なって、複数のサンプル点それぞれの信号強度が輝度の変化として表現されるBモード情報を生成する。
【0023】
ドプラ処理部203は、送受信部201からの反射波データに対して、カラードプラ法を実行し、血流情報すなわちドプラ情報を算出する。カラードプラ法では、超音波信号の送受信が同一の走査線上で複数回行なわれ、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号) を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。そしてカラードプラ法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等のドプラ情報を推定する。
【0024】
画像処理部204は、Bモード情報、ドプラ情報の走査方式を、表示に適した走査方式に変換(スキャン変換)し、医用画像としての超音波診断画像を生成する。各画像情報の合成や並立、表示位置を示す情報、さらに超音波診断システムである医用画像診断システム100の操作を補助するための各種情報や、患者情報などの超音波診断に必要な付帯情報も、超音波診断画像とともに生成される。また画像処理部204は後述するタッチコマンドスクリーン104向けに、処理後の医用画像のサイズを縮小して、サムネイル画像を生成する。
【0025】
なお、画像処理部204は図示しない強調画像処理(enhancement image processing)を含むものとする。本実施形態において、画像処理部204は、画像処理として、生成した超音波診断画像に対して、多重解像度分解処理と非線形異方性拡散フィルタを用いた強調画像処理を行う。この多重解像度分解処理と非線形異方性拡散フィルタを用いた強調画像処理により、画像処理部204は、超音波診断画像を多重解像度分解し、各分解画像に非線形異方性拡散フィルタをかけ、そのフィルタ処理の過程で生じた「エッジ情報」を利用して、多重解像度高域信号を制御する。この強調画像処理は、画像のノイズまたはスペックルの低減、2つの組織の境界部のエッジの強調、なおかつ、境界周辺の画像を境界に沿って平滑化する一貫性強調(coherency enhancement)を行うことができる。言い換えると、強調画像処理は、ノイズ低減(noise reduction)、エッジ強調(edge enhancement)、一貫性強調の各画質指標を各々独立に適用できる。また、画像処理部204は、強調画像処理として、エッジ検出度、明るさ、コントラスト、及び、高輝度の強調を行うこともできる。つまり、強調画像処理は、エッジ検出度、明るさ、コントラスト、及び、高輝度の強調の各画質指標を各々独立に適用できる。各画質指標の調整方法についての詳細は後述する。なお、画像処理部204は、これらノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調、エッジ検出度、明るさ、コントラスト、及び、高輝度の強調以外のゲインや分解能などの画質指標に基づいて、医用画像の画質を調整することも可能である。また、一貫性強調は、滑らかさ強調とも呼ばれる。
【0026】
なお、本実施例では説明の簡単のために、強調画像処理はBモード処理部202から送出される超音波Bモード信号に対応する画像にのみ適用することを前提に説明するが、強調画像処理はカラードプラ・造影イメージング・エラストグラフィ・減衰イメージング・Mモード・ドプラ流速波形等の種々の画像にも適用可能である。また強調画像処理は断層像だけでなく、レンダリング後画像や、多断面変換(MPR)画像、3次元ボクセル画像にも適用可能である。
【0027】
メインディスプレイスクリーン103は、画像処理部204との連携により、そこからの画像情報を光学的情報に変換してスクリーン上に医用画像を表示する。以下の各実施形態の説明では、メインディスプレイスクリーン103に出力される画像を単に出力画像という。
【0028】
メモリ205は、Bモード情報や、ドプラ情報を含む、画像処理部204の説明で記載された各種情報を記憶する。また、メモリ205は、後述する各画質指標の調整の結果としての軌跡、過去の軌跡、画質指標の調整可能範囲に関する情報も適宜記憶する。このメモリ205が、本実施形態における記憶部を構成する。
【0029】
メモリ205への記憶の形態は、ライブ情報を一時的に記憶する場合と、取得されたライブ情報のエビデンスのため長期にわたって記憶する場合とがある。またメモリ205は、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見など)や、診断プロトコルや各種ボディーマークなどの各種データも記憶する。
【0030】
制御部206は、情報処理装置としての機能を実現するプロセッサであり、超音波診断システムである医用画像診断システム100の処理全体を制御する。具体的には、制御部206は、入力装置102を介してユーザから入力された各種設定要求や、各種制御プログラム、各種データに基づき、送受信部201、Bモード処理部202、ドプラ処理部203及び画像処理部204の処理を制御する。さらに、制御部206は、入力装置102とタッチコマンドスクリーン104とのインターフェース機能も制御する。
【0031】
入力装置102は制御部206に接続され、ユーザからの各種指示、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を医用画像診断システム100に取り込むための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、及び/又は、キーボード等を有している。
【0032】
タッチコマンドスクリーン104は、ユーザ入力デバイスとしての機能と、情報および画像をユーザへ与えるための出力デバイスとしての機能との両方を併せ持つ、入出力デバイスである。タッチコマンドスクリーン104は、ユーザ入力情報を制御部206に出力するほか、デバイス入力に必要なサムネイル画像やグラフィックスなどの画像を画像処理部204から取得する。このタッチコマンドスクリーン104が、本実施形態における表示部を構成する。
【0033】
タッチコマンドスクリーン104は、トラックボール、キーボード、ジョイスティック、マウス、および、当該技術分野において知られる同種の1つまたは複数のユーザ入力デバイスと併せて、用いることができる。また、タッチコマンドスクリーン104は、非タッチコマンドスクリーンなどの他のスクリーンと併用することもできる。また、2つ以上のユーザ入力デバイス及び/又は出力デバイスが設けられてもよい。例えば、タッチコマンドスクリーン104が、トラックボール、キーボード、ジョイスティック、またはマウスなどの少なくとも1つの他の入力デバイスと共に設けられてもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る医用画像診断システム100を変形して、メインディスプレイスクリーン103とタッチコマンドスクリーン104が同一のデバイスであってもよい。さらには、メインディスプレイスクリーン103、タッチコマンドスクリーン104、及び/又は、入力装置102が、医用画像診断システム100に対して有線または無線により接続できる別個のデバイスであってもよい。
【0035】
また、本実施形態に係る医用画像診断システム100を変形して、Bモード処理部202、ドプラ処理部203、画像処理部204、メモリ205、及び/又は、制御部206が、それらの要素とは別個の場所に、サーバの一機能として設けられていてもよい。
【0036】
図3は、本実施形態に係る医用画像診断システム100の制御部206の機能を説明する機能ブロック図である。この
図3に示すように、本実施形態においては、制御部206は、第1画像生成機能206aと、第1画像表示機能206bと、第2画像生成機能206cと、第2画像表示機能206dと、新規画質指標算出機能206eと、再生成表示機能206fとを備えている。第1画像生成機能206aは本実施形態における第1画像生成部に相当しており、第1画像表示機能206bは本実施形態における第1画像表示部に相当しており、第2画像生成機能206cは本実施形態における第2画像生成部に相当しており、第2画像表示機能206dは本実施形態における第2画像表示部に相当しており、新規画質指標算出機能206eは本実施形態における新規画質指標算出部に相当しており、再生成表示機能206fは本実施形態における再生成表示部に相当している。
【0037】
本実施形態では、第1画像生成機能206aと、第1画像表示機能206bと、第2画像生成機能206cと、第2画像表示機能206dと、新規画質指標算出機能206eと、再生成表示機能206fにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ205に格納されている。制御部206は、プログラムをメモリ205から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の制御部206は、
図3の制御部206内に示された各機能を有することとなる。なお、
図3においては単一の制御部206にて、第1画像生成機能206aと、第1画像表示機能206bと、第2画像生成機能206cと、第2画像表示機能206dと、新規画質指標算出機能206eと、再生成表示機能206fとが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御部206を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。また、第1画像生成機能206aと、第1画像表示機能206bと、第2画像生成機能206cと、第2画像表示機能206dと、新規画質指標算出機能206eと、再生成表示機能206fとが、各種機能を実現する際には、画像処理部204、メモリ205、入力装置102、メインディスプレイスクリーン103、及び、タッチコマンドスクリーン104を、適宜制御して利用する。
【0038】
<画質調整設定画面>
次に、本実施形態に係る医用画像診断システム100で実現される、医用画像に関する画質最適化処理について説明する。本実施形態に係る医用画像診断システム100においては、この画質最適化処理を実行することにより、容易に最適な画質に到達することができる
【0039】
図4は、本実施形態に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーン104に表示される、画質調整設定画面W10の一例を示す図である。すなわち、本実施形態に係る医用画像診断システム100においては、制御部206による制御の下、画像処理部204で強調画像処理が行われるが、この画質調整をするためのグラフィカルユーザインターフェースとして、画質調整設定画面W10が用いられる。
【0040】
この
図4の例では、画質調整設定画面W10を用いて、ユーザは、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調という3種類の画質指標に関する画質調整を、画質指標の値を離散的に変更することで、行うことが可能である。なお、ユーザが医用画像を表示するために調整可能な画質指標は、これら3種類に限られず、種々の画質指標を調整することが可能である。
図4では、これら複数ある画質指標の中から、ユーザが、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調という3種類の画質指標を、画質を調整するために選択した状態を示している。
【0041】
第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304はタッチコマンドスクリーン104上に描画されるボタンである。本実施形態においては、第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304は、医用画像のサムネイル画像により構成されている。これらのサムネイル画像には、同一の医用画像のデータに基づく、異なる複数の画質の出力画像が描かれている。なお、サムネイル画像は、出力画像を縮小した画像、又は、出力画像に関心領域(ROI:Region Of Interest)を設定し、設定した関心領域のみを切り出した画像であってもよい。
【0042】
タッチコマンドスクリーン104に表示される第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304のうち、第1の画質調整ボタン301には、メインディスプレイスクリーン103にそのときに表示されている医用画像と同じ画像処理を施したサムネイル画像が表示される。このサムネイル画像が、第1の画質調整ボタン301となる。これが現在の画質調整の中心となる医用画像で、この画質を得るためのそれぞれの画質指標の値の集合を、本実施形態では、「アンカー」と称する。
【0043】
図4に示す例では、調整する画質指標として、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調という3種類の画質指標が選択されているので、ノイズ低減の値、エッジ強調の値、一貫性強調の値が、それぞれ、アンカーとして1つ選定される。このため、「アンカー」は、これら画質指標の値から定まる点として、捉えることもできる。このように、ユーザが選択した画像指標の値であるアンカーに基づいて、第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像が生成される。また、この第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像は、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のそれぞれのサムネイル画像と画質を比較検討するために、ユーザによって参照される画像である。そのため、この第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像は、参照画像とも呼ばれる。以下の説明においては、この第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像を参照画像と呼ぶ。この参照画像が、本実施形態における第1サムネイル画像に相当する。
【0044】
この画質調整設定画面W10を操作して、ユーザは、アンカーから、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調の各画質指標をそれぞれ増減できる。その各画質指標をそれぞれ増減する操作のためのボタンが、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304である。具体的には、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のうち最も左側に置かれた第2の画質調整ボタン302は、ノイズ低減の画質指標の値を増やしたり減らしたりするが、他の画質指標の値を変化させない場合に、ユーザが選択するボタンである。
【0045】
同様に、第1の画質調整ボタン301の下側、かつ、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304の中央に置かれた第3の画質調整ボタン303は、エッジ強調の画質指標の値を増やしたり減らしたりするが、他の画質指標の値を変化させない場合に、ユーザが選択するボタンである。第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304の最も右側に置かれた第4の画質調整ボタン304は、一貫性強調の画質指標の値を増やしたり減らしたりするが、他の画質指標の値は変化させない場合に、ユーザが選択するボタンである。
【0046】
第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304として表示されるサムネイル画像は、それぞれの画質指標の値に基づいて生成されたサムネイル画像である。このため、ユーザは、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304として表示されているサムネイル画像を見ることにより、画質指標の値の変化の結果を、予め推測することができる。そして、これにより、より適切な画質指標の値の調整を行うことができる。これらの第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像のそれぞれは、後述する新規画質指標を算出するための候補となる画像である。そのため、この第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像のそれぞれは、候補画像とも呼ばれる。以下の説明においては、各画質指標をそれぞれ増減する操作のためのボタンとして表示されているサムネイル画像は候補画像とも呼ぶ。この候補画像が、本実施形態における第2サムネイル画像に相当する。
【0047】
ユーザは、タッチコマンドスクリーン104に表示された参照画像及び候補画像を見て、参照画像及び候補画像のうち、最も好ましい画像の画質調整ボタンを選択すると、制御部206は、その選択結果に基づいて、新規画質指標を算出する。
【0048】
そして、選択された画質調整ボタンに対応する画質指標の値を新たなアンカーに設定し、参照画像として、選択された画質調整ボタンの画質指標の値に基づくサムネイル画像を表示するとともに、選択した画質調整ボタンに対応する画質指標の値を用いた画像処理を画像処理部204で実施し、その結果をメインディスプレイスクリーン103に医用画像として表示する。また、制御部206は、算出された新規画質指標に基づいて、候補画像を生成し、表示する。この新規画質指標は、上述のように、参照画像及び候補画像からユーザが最も好ましい画像の画質調整ボタンを選択した後、ユーザが次の最も好ましい画像を選択するステップにおいて、タッチコマンドスクリーン104に表示される候補画像を生成するための画質指標である。以下の説明においては、この新規画質指標を次のステップの画質指標とも呼ぶ。
【0049】
図4に示す例において、例えば、ユーザが第2の画質調整ボタン302を押下して選択すると、この第2の画質調整ボタン302に対応する画質指標の値が、新たなアンカーの画質指標の値となる。結果として、第2の画質調整ボタン302のサムネイル画像が、第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像となる。そして、制御部206は、第2の画質調整ボタン302の選択結果に基づいて、新規画質指標を算出し、算出された新規画質指標に基づいて、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のそれぞれのサムネイル画像を生成し、生成した各サムネイル画像を第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304として表示する。
【0050】
なお、上述したように、本実施形態に係る医用画像診断システム100は、例えば、超音波診断システムにより構成されている。この超音波診断システムにおけるリアルタイム性に鑑みれば、メインディスプレイスクリーン103に表示する画像は静止画である必要はなく、むしろ、Bモード処理部202から所定のフレームレートで送出されるBモード情報に対し、画像処理部204でリアルタイムに処理し、メインディスプレイスクリーン103に動画として表示するようにしてもよい。すなわち、ユーザが選択している現在のアンカーの画質指標の値に基づいて、所定のフレームレートで取得される医用画像を、画像処理部204によりリアルタイムで処理して、メインディスプレイスクリーン103に動画として表示するようにしてもよい。つまり、画像処理部204が取得した医用画像を、参照画像に対応する画質指標の値に基づいて画像処理し、リアルタイムの動画を、メインディスプレイスクリーン103に表示されるようにすることも可能である。
【0051】
このように、医用画像診断システム100は、ユーザが第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304のいずれかを押下して選択した場合、画質調整ボタンの選択結果に基づいて、新規画質指標を算出し、選択された画質調整ボタンに表示されていたサムネイル画像を第1の画質調整ボタン301として表示するとともに、選択された画質調整ボタンに対応する画質指標の値を、新たなアンカーとする。そして、算出された新規画質指標に基づいて、候補画像を生成し、生成された候補画像を第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304として再度表示し、ユーザがさらに画質調整ボタンを押下して選択するのを待つ。これにより、ユーザは、連続して、さらなる画質調整が可能となるとともに、画質調整ボタンが押下されて選択されるごとに、画質調整ボタンの選択結果に基づいて、新規画質指標が算出され、算出された新規画質指標に基づいて、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304それぞれのサムネイル画像が生成されるので、画質指標の値を調整するステップ幅を可変にすることができ、最適な画質に到達することが容易になる。
【0052】
画質調整設定画面W10において、ユーザが望む画質に到達して、画質指標の値の選択を終了する場合、ユーザは、終了ボタン(不図示)を押下して選択する。これにより、医用画像の画質調整の設定が終了する。
【0053】
<画質の最適化(ベイズ最適化の概要)>
上述したように、医用画像診断システム100は、各画質調整ボタンとして表示されるサムネイル画像の選択結果に基づいて、次のステップの画質指標、すなわち新規画質指標を算出する。その新規画質指標の算出方法には以下の方法が用いられる。
【0054】
新規画質指標を算出するにあたり、画質の最適化において、ユーザが求める医用画像における臨床価値自体は潜在化されている。そして、この臨床価値は、ユーザがユーザにとっての高画質な画像を選択することにより、統計的な観測値、すなわち、嗜好画質(preference image quality values)として出力させることができる。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
<画質の最適化(画像選択の尤度モデル)>
上述したように、タッチコマンドスクリーン104には、それぞれの画質指標の値に基づくサムネイル画像という、離散的な選択肢が提示される。そのため、本実施形態に係るベイズ最適化手法においては、タッチコマンドスクリーン104に表示された参照画像及び候補画像からユーザの好みの画質のサムネイル画像をユーザに選択させる場合の尤度モデルとして、Bradley-Terry-Luce(BTL)モデルを採用する。
【0060】
【0061】
また、BTLモデルは3種類以上のアイテムの比較にも適用できる。例えばA、B、Cの3種類のアイテムからAを選択する場合の確率は、式(5)のように表される。
【数5】
【0062】
なお、本実施形態においては、離散的な選択の尤度モデルには、BTLモデルを用いたが、離散的な選択の尤度モデルはこれに限られない。例えば、離散的な選択の尤度モデルには、BTLモデル以外にThurstone-Mostellerモデルがあり、本実施形態において、BTLモデルの代わりにThurstone-Mostellerモデルを用いるようにしてもよい。
【0063】
【数6】
なお、共分散関数kは、各入力点間(xとx
')の類似性を表す。また平均関数の事前知識はないものとして、m(x)=0とおく。一方、共分散関数の算出方法で最も一般的なのが、2乗指数関数を用いるものである。この共分散関数は、式(7)のように表される。
【数7】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
なお、獲得関数は期待値改善関数に限定されず、例えば上方信頼区間(Upper Confidence Bounds:UCB)あるいは確率改善(Probability of Improvement:PI)の各関数であってもよい。
【0069】
図5は、本実施形態に係る医用画像診断システム100が実行する画質最適化処理の内容を説明するフローチャート図である。すなわち、
図4を用いて説明した画質指標の値を設定するための処理は、
図5に示す画質最適化処理を医用画像診断システム100が実行することにより、実現される。
【0070】
本実施形態においては、この
図5に示す画質最適化処理は、ユーザが入力装置102又はタッチコマンドスクリーン104を操作して、医用画像診断システム100に画質最適化処理の開始を指示することにより、実行される処理である。つまり、ユーザが、今後生成される医用画像について、その医用画像の画質を最適化したいと考えた場合に、実行される処理である。
【0071】
図5に示すように、画質最適化処理が実行されると、まず、医用画像診断システム100は、参照画像を生成する(ステップS10)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における第1画像生成機能206aが、画像処理部204を制御して、アンカーの画質指標の値に基づいて、参照画像として、第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像を生成する。ステップS10において、このアンカーの画質指標の値には、メインディスプレイスクリーン103に表示されている医用画像と同じ画質指標の値が用いられる。なお、第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像を生成する際には、制御部206は、画像処理部204を制御することにより、画像処理部204と協働して、アンカーに基づくサムネイル画像を生成する。上述したように、この参照画像が、本実施形態における第1サムネイル画像に相当する。
【0072】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、ステップS10で生成された参照画像を表示する(ステップS12)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における第1画像表示機能206bが、アンカーの画質指標の値に基づくサムネイル画像を、第1の画質調整ボタン301として、タッチコマンドスクリーン104の画質調整設定画面W10に表示する。
【0073】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、候補画像を生成する(ステップS14)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における第2画像生成機能206cが、アンカーから、画質指標の値を増減させて、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のそれぞれのサムネイル画像の画質指標の値を算出し、算出された画質指標の値に基づいて、候補画像として、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像を生成する。本実施形態においては、候補画像として、上述した
図4に示す画質調整設定画面W10では3枚のサムネイル画像を生成する必要がある。なお、ステップS10と同様に、アンカーの周囲のサムネイル画像を生成する際には、制御部206が画像処理部204を制御することにより、画像処理部204と協働して、これらのサムネイル画像を生成する。上述したように、この候補画像が、本実施形態における第2サムネイル画像に相当する。
【0074】
なお、本実施形態においては、上述した
図4に示すように、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のそれぞれのサムネイル画像を生成するために3組の画質指標の値を算出する必要があるが、医用画像診断システム100は、2種類の画質指標に関する画質調整が行われる場合には、2組の画質指標を算出するようにしてもよく、4種類以上の画質指標に関する画質指標が行われる場合には、4組以上の画質指標を算出するようにしてもよい。
【0075】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、候補画像を表示する(ステップS16)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における第2画像表示機能206dが、ステップS14で生成された第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタンのそれぞれのサムネイル画像を、タッチコマンドスクリーン104の画質調整設定画面W10に表示する。上述した
図4に示す画質調整設定画面W10では、3枚のサムネイル画像を、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304として、タッチコマンドスクリーン104に表示する。本実施形態において、
図4に示すように、3枚のサムネイル画像は、ステップS12で表示した第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像の下側に横方向に並べて配置する。このようにアンカーのサムネイル画像の周囲に画質指標の値を変化させたサムネイル画像を配置することにより、ユーザは、現在の画質指標の値から、どのように画質指標の値を変更させれば目的の画質に近づくのかを、感覚的に把握することができる。
【0076】
なお、医用画像診断システム100が第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像を表示する際には、それぞれのサムネイル画像に、そのサムネイル画像の画質指標の値に対応する画質選択ボタンの機能を割り当てる。すなわち、このアンカーの画質指標の値を選択するボタンの機能を、それぞれのサムネイル画像に割り当てる。
【0077】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、参照画像及び候補画像の選択を受け付ける(ステップS18)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における新規画質指標算出機能206eが、入力装置102又はタッチコマンドスクリーン104を介して、ユーザによる参照画像及び候補画像の選択を受け付ける。
図4に示す例において、医用画像診断システム100は、入力装置102又はタッチコマンドスクリーン104を介して、第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304の選択を受け付ける。
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、新たな参照画像を表示する(ステップS28)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部における再生成表示機能206fは、第1画像表示機能206bに、ステップS26で生成された新たなアンカーの画質指標の値に基づく新たなサムネイル画像を、第1の画質調整ボタン301として、タッチコマンドスクリーン104の画質調整設定画面W10に表示させる。
【0083】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、新たな候補画像を生成する(ステップS30)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部における再生成表示機能206fは、ステップS24において新規画質指標算出機能206eが構築した画質指標の値のセットに基づいて、新たな候補画像として、第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304の新たなサムネイル画像を第2画像生成機能206cに生成させる。
【0084】
【0085】
なお、ステップS10と同様に、アンカーの周囲のサムネイル画像を生成する際には、制御部206が画像処理部204を制御することにより、画像処理部204と協働して、これらのサムネイル画像を生成する。上述したように、この第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像が、本実施形態における第2サムネイル画像に相当する。
【0086】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、新たな候補画像を表示する(ステップS32)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における再生成表示機能206fが、第2画像表示機能206dに、新たな候補画像として、ステップ30で生成された第2の画質調整ボタン302~第4の画質調整ボタンのそれぞれのサムネイル画像を、タッチコマンドスクリーン104の画質調整設定画面W10に表示させる。
【0087】
なお、医用画像診断システム100が第1の画質調整ボタン301~第4の画質調整ボタン304のサムネイル画像を表示する際には、それぞれのサムネイル画像に、そのサムネイル画像の画質指標の値に対応する画質選択ボタンの機能を割り当てる。すなわち、このアンカーの画質指標の値を選択するボタンの機能を、それぞれのサムネイル画像に割り当てる。
【0088】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、選択した画質調整ボタンの画質指標の値を用いた医用画像を表示する(ステップS34)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における再生成表示機能206fは、ステップS18においてユーザが選択した画質調整ボタンの画質指標の値を用いた医用画像をメインディスプレイスクリーン103に表示する。すなわち、医用画像診断システム100は、第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像を生成する際に用いられる画質指標の値と同じ画質指標の値を用いた医用画像を生成して、生成した医用画像をメインディスプレイスクリーン103に表示する。
【0089】
次に、
図5に示すように、医用画像診断システム100は、ユーザが得たい画質に達したか否かを判断する(ステップS36)。具体的には、医用画像診断システム100の制御部206における再生成表示機能206fは、終了ボタン(図示せず)、又は、継続ボタン(図示せず)が選択された否かにより、ユーザが得たい画質に達したか否かを判断する。
【0090】
そして、ユーザが継続ボタンを押下することにより、ユーザが得たい画質に達していないと判断した場合(ステップS36:No)には、ステップS18に戻り、医用画像診断システム100は、ユーザが得たい画質に達するまで、ステップS18からステップS36の処理を繰り返す。なお、本実施形態において、医用画像診断システム100は、ユーザが継続ボタンを押下することにより、ユーザが得たい画質に達していないと判断したが、継続ボタンに代えて、ステップS28及びステップS32において表示された画質調整ボタンをユーザが押下することによりユーザが得たい画質に達していないと判断するようにしてもよい。
【0091】
一方で、ユーザが終了ボタンを押下することにユーザが得たい画質に達したと判断した場合(ステップS36:Yes)、本実施形態に係る画質最適化処理は終了する。これにより、メインディスプレイスクリーン103に表示される医用画像は、ユーザにとって臨床価値の高い画像となる。
【0092】
【0093】
なお、上述した医用画像診断システム100の画像処理部204における画像処理は、実際には、複数のパラメータを有することが多い。その場合、ユーザが選択した画質指標の値から、画像処理部204で使用されるパラメータへ演算によって変換する必要がある。このように画質指標の値をパラメータに変換することによって、ユーザが選択した画質指標の値を間接的に用いて、医用画像の画質調整することができるようになる。
【0094】
例えば、ノイズ低減N、エッジ強調E、及び、一貫性強調Cの3種類の画質指標において、画質指標をS={N,E,C}と定義し、パラメータをP={p1,p2,…,pn}と定義すれば、P=F(S)という関数により、演算による変換を表現することができる。この関数が線形であれば、Fは行列として、P=FSのように表すことができる。
【0095】
このため、上述した
図5の画質最適化処理においては、ステップS10では、制御部206の第1画像生成機能206aが、ステップS14では、制御部206の第2画像生成機能206cが、ステップS22では、新規画質指標算出機能206eが、ユーザの選択した画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータに基づいて、画像処理部204を制御して、各種のサムネイル画像を生成するようにしてもよい。あるいは、ステップS10では、制御部206の第1画像生成機能206aが、ステップS14では、制御部206の第2画像生成機能206cが、ステップS22では、新規画質指標算出機能206eが、ユーザの選択した画質指標の値を画像処理部204に出力し、画像処理部204が、画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータに基づいて、各種のサムネイル画像を生成するようにしてもよい。
【0096】
〔変形例1〕
上述した第1実施形態においては、次のステップの画質指標の値の各値は、各画質調整ボタンに表示されるサムネイル画像の選択結果に基づいて、算出することとしたため、次のステップの画質指標の値の増減を選択することができないが、ユーザが次のステップの画質指標の値の増減を選択できるように変形することも可能である。以下、この変形例を第1実施形態に適用した場合を変形例1として、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0097】
図6は、変形例1に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーンに表示される、画質調整設定画面W10の一例を示す図であり、上述した
図4に対応する図である。
図6に示すように、本変形例に係る画質調整設定画面W10には、第2の画質調整ボタン302から第4の画質調整ボタン304のそれぞれの下側に次のステップの画質指標の増減を切り替えるための切替ボタン302a、302b、303a、303b、304a、304bが表示されている。
【0098】
【0099】
【0100】
以上のように、本実施形態の変形例1に係る医用画像診断システム100によれば、切替ボタンを操作することによるユーザの操作に基づいて、新たなアンカーの画質指標に対して、次のステップの画質指標の増減を切り替えることができるため、ユーザは、画質指標の値の変化の結果を予め予測することができ、ユーザの意図しない変化を避けることができる。
【0101】
〔第2実施形態〕
上述した第1実施形態に係る医用画像診断システム100において、タッチコマンドスクリーン104に表示される画質調整設定画面W10に関する例を説明したが、これら説明した例以外にも、そのインターフェースを変更した変形例が存在する。例えば、上述した第1実施形態に係る医用画像診断システム100においては、1種類の画質指標を変更した場合の医用画像をサムネイル画像として確認することができるが、2種類以上の画質指標を同時に変更した場合の医用画像は確認することができない。そこで、第2実施形態においては、タッチコマンドスクリーン104に表示された1つの画面において、1種類の画質指標を変更した場合のサムネイル画像に加えて、複数の画質指標を同時に変更した合成画像を確認できる例を説明する。以下、上述した第1実施形態とは異なる部分を説明する。
【0102】
図7は、第2実施形態に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーン104に表示される、画質調整設定画面W20の一例を示す図であり、上述した第1実施形態における
図4に対応する図である。この
図7に示すように、本実施形態に係る画質調整設定画面W20においては、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類の画質指標の値のそれぞれに加えて、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類全ての画質指標の値も1つの画面で調整できるようにしている。つまり、本実施形態に係る画質調整設定画面W20には、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調のそれぞれの画質指標の値を調整するための画質調整ボタンに加えて、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類全ての画質指標の値を調整するための第5の画質調整ボタン305が追加されている。このように、本実施形態に係る画質調整設定画面W20には、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3つの画質指標に対して、画質を調整するための4つの画質調整ボタンが表示されている。つまり、本実施形態に係る画質調整設定画面W20に表示される、画質を調整するための画質調整ボタンに対応するサムネイル画像の数は、画質指標の種類の数以上である。
【0103】
また、この
図7に示すように、本実施形態に係る画質調整設定画面W20には、第1の画質調整ボタン301は、第2の画質調整ボタンの上側に配置され、第1の画質調整ボタン301の下側には、左側から順に、第2の画質調整ボタン302、第3の画質調整ボタン303、第4の画質調整ボタン304が配置され、第5の画質調整ボタン305は、第4の画質調整ボタン304の上側に配置されている。
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
以上のように、本実施形態に係る医用画像診断システム100によれば、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類の画質指標の値のそれぞれに加えて、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類全ての画質指標の値も1つの画面で調整できるようにしたので、ユーザによる医用画像の画質調整を容易にすることができる。
【0111】
〔変形例2〕
上述した第2実施形態においては、次のステップの画質指標の値の各値は、各画質調整ボタンに表示されるサムネイル画像の選択結果に基づいて、算出することとしたため、次のステップの画質指標の値の増減を選択することができないが、ユーザが次のステップの画質指標の値の増減を選択できるように変形することも可能である。以下、この変形例を第2実施形態に適用した場合を変形例2として、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0112】
図9は、変形例2に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーン104に表示される、画質調整設定画面W20の一例を示す図であり、上述した
図7に対応する図である。
図9に示すように、本変形例に係る画質調整設定画面W20には、第2の画質調整ボタン302から第5の画質調整ボタン305のそれぞれの下側に次のステップの画質指標の増減を切り替えるための切替ボタン302a、302b、303a、303b、304a、304b、305a、305bが表示されている。なお、切替ボタン302a、302b、303a、303b、304a、304bについては、上述した第1実施形態の変形例1の内容と同様であるため説明を省略する。
【0113】
【0114】
以上のように、変形例2に係る医用画像診断システム100によれば、切替ボタンを操作することによるユーザの操作に基づいて、新たなアンカーの画質指標に対して、次のステップの画質指標の増減を切り替えることができるため、ユーザは、画質指標の値の変化の結果を予め予測することができ、ユーザの意図しない変化を避けることができる。
【0115】
〔第3実施形態〕
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、ノイズ低減、エッジ強調、及び一貫性強調の3種類の画質指標を1つの画面で調整することとしたが、4種類の画質指標を1つの画面で調整できるようにしてもよい。そこで、第3実施形態においては、タッチコマンドスクリーン104に表示された1つの画面において、4種類の画質指標を調整できる例を説明する。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0116】
図10は、第3実施形態に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーン104に表示される、画質調整設定画面W30の一例を示す図であり、上述した第1実施形態における
図4に対応する図である。この
図10に示すように、本実施形態に係る画質調整設定画面W30においては、ノイズ低減、エッジ強調、及び、一貫性強調の3種類のそれぞれの画質指標の値を調整するための画質調整ボタンに加えて、明るさの画質指標の値を調整するための第6の画質調整ボタン306が追加されている。
【0117】
第6の画質調整ボタン306は、明るさの画質指標の値を増やしたり減らしたりするが、他の画質指標の値は変化させない場合に、ユーザが選択するボタンである。
図10に示す例において、この第6の画質調整ボタン306は、例えば、第4の画質調整ボタン304の上側に配置される。
【0118】
以上のように、本実施形態に係る医用画像診断システム100によれば、4種類の画質指標のそれぞれを調整するための画質調整ボタンをタッチコマンドスクリーン104に表示させることができるので、4種類の画質指標を1つの画面で調整できるようになるため、一度に多くの画質指標を調整することができ、ユーザによる医用画像の画質調整を容易にすることができる。
【0119】
なお、上述した第3実施形態においては、4種類の画質指標を1つの画面で調整できることとしたが、タッチコマンドスクリーン104に表示することが可能であれば、5種類以上の画質指標を1つの画面で調整できるようにしてもよい。また、5種類以上の画質指標を1つの画面で表示できない場合には、複数種類の画質指標のうち、どの画質指標を1つの画面に表示して調整しようとするのかを、ユーザが、タッチコマンドスクリーン104を操作して、選択する必要がある。例えば、ユーザが調整できる画質指標が10種類ある場合には、そのうちの4種類をユーザが選択できるようにする必要がある。
【0120】
〔変形例3〕
上述した第1乃至第3実施形態においては、第1の画質調整ボタン301から第6の画質調整ボタン306のそれぞれのサムネイル画像における画質調整開始時の画像からの画質の変化を確認するために、画質調整設定画面W10、W20、W30に画質調整開始時の画像を表示するように変形してもよい。以下、この変形例を第2実施形態に適用した場合を変形例3として、上述した第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0121】
図11は、変形例3に係る医用画像診断システム100のタッチコマンドスクリーン104に表示される、画質調整設定画面W20の一例を示す図であり、上述した
図7に対応する図である。
図11に示すように、変形例3に係る画質調整設定画面W20には、第1の画質調整ボタン301から第5の画質調整ボタン305に加えて、サムネイル画像401が表示されている。
【0122】
サムネイル画像401は、画質調整開始時の画像である。すなわち、上述した画質最適化処理のステップS10において生成された第1の画質調整ボタン301のサムネイル画像の画質指標の値が適用された画像である。このサムネイル画像401は初期画像とも呼ばれる。
図11に示すように、サムネイル画像401は、例えば、第3の画質調整ボタン303の上側に配置される。このサムネイル画像401は、第1の画質調整ボタン301~第5の画質調整ボタン305のいずれかの画質調整ボタンが押下されて選択されることにより、第1の画質調整ボタン301~第5の画質調整ボタン305のサムネイル画像の画質が変更しても、画質が変更することなく、タッチコマンドスクリーン104には、サムネイル画像401として、画質調整開始時の画像が表示される。また、本実施形態の変形例3においては、サムネイル画像401には、何の機能も割り当てられない。このため、ユーザがサムネイル画像401を押下したとしても、他の第1の画質調整ボタン301から第5の画質調整ボタン305のサムネイル画像の画質は変更されない。
【0123】
以上のように、変形例3に係る医用画像診断システム100は、画質調整設定画面W20に、画質調整開始時の画像であるサムネイル画像401を表示することとしたので、ユーザは、画質調整を開始してから画像の画質がどのように変化したのかを容易に比較することができる。
【0124】
なお、本変形例は、上述した第2実施形態の変形例として説明したが、第1実施形態や第3実施形態にも応用可能である
【0125】
〔第1乃至第3実施形態のその他の変形例〕
また、上述した第1乃至第3実施形態における画像処理は、多重解像度分解処理と非線形異方性拡散フィルタを用いた強調画像処理を前提としているが、画像処理または信号処理は、線形空間フィルタ、メディアンフィルタ、入出力曲線処理、ゲイン調整処理のいずれかであってよい。
【0126】
また、上述した第1乃至第3実施形態で最適化する画質指標は、画像処理部204における画像処理のパラメータもしくはパラメータに変換可能な指標を前提としているが、最適化する画質指標はそれらにとどまらない。医用画像診断システム100の送受信部201において、画質に関わる変更可能な超音波の送受信条件には、送信波形(波数と周波数)、受信中心周波数、受信周波数帯域、受信口径、あるいは受信信号処理のためにプリセットされた被検体内部の音速がある。そのため、最適化する画質指標は、医用画像診断システム100の送受信部201で制御される送信波形(波数と周波数)、受信中心周波数、受信周波数帯域、受信口径、あるいは受信信号処理のためにプリセットされた被検体内部の音速の少なくともいずれかの分解能であってもよい。
【0127】
また、上述した第1乃至第3実施形態において、超音波信号は被検体からの反射信号を受信して処理するため、画質が被検体の深さに依存する。そのため、上述した各画質指標を深さごとに設定することにより、画質の均一性が期待できる。そこで、深さごとに別の画質指標を用意し、医用画像診断システム100は、画質の最適化を深さごとに行うようにしてもよい。
【0128】
〔第4実施形態〕
上述した第1実施形態乃至第3実施形態に係る医用画像診断システム100は、超音波診断システムにより構成されている場合を例として説明したが、上述した画質最適化処理は、超音波診断システムに限らず、種々の医用診断システムに適用することが可能である。そこで、第4実施形態においては、医用画像診断システム100を磁気共鳴イメージング(MRI)システムに適用した場合を例として説明する。
【0129】
図12は、第4実施形態に係る医用画像診断システム100の構成を模式的に説明する図である。この
図12に示すように、本実施形態においては、医用画像診断システム100は、磁気共鳴イメージングシステム1100により構成されている。この磁気共鳴イメージングシステム1100により構成された医用画像診断システム100は、例えば、静磁場磁石1101と、静磁場電源(図示しない)と、傾斜磁場コイル1103と、傾斜磁場電源1104と、寝台1105と、寝台制御回路1106と、送信コイル1107と、送信回路1108と、受信コイル1109と、受信回路1110と、シーケンス制御回路1120と、データ処理装置1200とを備えて構成されている。なお、被検体P(例えば、人体)は理解を容易にするために示しており、磁気共鳴イメージングシステム1100の構成に含まれるものではない。
【0130】
静磁場磁石1101は、中空の略円筒形状に形成された磁石であり、内部の空間に静磁場を発生する。静磁場磁石1101は、例えば、超伝導磁石等であり、静磁場電源から電流の供給を受けて励磁する。静磁場電源は、静磁場磁石1101に電流を供給する。別の例として、静磁場磁石1101は、永久磁石でもよく、この場合、磁気共鳴イメージングシステム1100は、静磁場電源を備えなくてもよい。また、静磁場電源は、磁気共鳴イメージングシステム1100とは別に備えられてもよい。
【0131】
傾斜磁場コイル1103は、中空の略円筒形状に形成されたコイルであり、静磁場磁石1101の内側に配置される。傾斜磁場コイル1103は、互いに直交するX、Y、及びZの各軸に対応する3つのコイルが組み合わされて形成されており、これら3つのコイルは、傾斜磁場電源1104から個別に電流の供給を受けて、X、Y、及びZの各軸に沿って磁場強度が変化する傾斜磁場を発生する。傾斜磁場コイル1103によって発生するX、Y、及びZの各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Ge、及びリードアウト用傾斜磁場Grである。傾斜磁場電源1104は、傾斜磁場コイル1103に電流を供給する。
【0132】
寝台1105は、被検体Pが載置される天板1105aを備え、寝台制御回路1106による制御の下、天板1105aを、被検体Pが載置された状態で、傾斜磁場コイル1103の空洞(撮像口)内へ挿入する。通常、寝台1105は、長手方向が静磁場磁石1101の中心軸と平行になるように設置される。寝台制御回路1106は、データ処理装置1200による制御の下、寝台1105を駆動して天板1105aを長手方向及び上下方向へ移動する。
【0133】
送信コイル1107は、傾斜磁場コイル1103の内側に配置され、送信回路1108からRFパルスの供給を受けて、高周波磁場を発生する。送信回路1108は、対象とする原子の種類及び磁場強度で定まるラーモア(Larmor)周波数に対応するRFパルスを送信コイル1107に供給する。
【0134】
受信コイル1109は、傾斜磁場コイル1103の内側に配置され、高周波磁場の影響によって被検体Pから発せられる磁気共鳴信号を受信する。受信コイル1109は、磁気共鳴信号を受信すると、受信した磁気共鳴信号を受信回路1110へ出力する。
【0135】
なお、上述した送信コイル1107及び受信コイル1109は一例に過ぎない。送信機能のみを備えたコイル、受信機能のみを備えたコイル、若しくは送受信機能を備えたコイルのうち、1つ若しくは複数を組み合わせることによって構成されればよい。
【0136】
受信回路1110は、受信コイル1109から出力される磁気共鳴信号を検出し、検出した磁気共鳴信号に基づいて磁気共鳴データを生成する。具体的には、受信回路1110は、受信コイル1109から出力される磁気共鳴信号をデジタル変換することによって磁気共鳴データを生成する。また、受信回路1110は、生成した磁気共鳴データをシーケンス制御回路1120へ送信する。なお、受信回路1110は、静磁場磁石1101や傾斜磁場コイル1103等を備える架台装置側に備えられてもよい。
【0137】
シーケンス制御回路1120は、データ処理装置1200から送信されるシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源1104、送信回路1108及び受信回路1110を駆動することによって、被検体Pの撮像を行う。ここで、シーケンス情報は、撮像を行うための手順を定義した情報である。シーケンス情報には、傾斜磁場電源1104が傾斜磁場コイル1103に供給する電流の強さや電流を供給するタイミング、送信回路1108が送信コイル1107に供給するRFパルスの強さやRFパルスを印加するタイミング、受信回路1110が磁気共鳴信号を検出するタイミング等が定義される。
【0138】
さらに、シーケンス制御回路1120は、傾斜磁場電源1104、送信回路1108及び受信回路1110を駆動して被検体Pを撮像した結果、受信回路1110から磁気共鳴データを受信すると、受信した磁気共鳴データをデータ処理装置1200へ転送する。
【0139】
データ処理装置1200は、磁気共鳴イメージングシステム1100の全体制御やシーケンス制御回路1120から受信した信号の処理を実行する。データ処理装置1200は、
図13に示すように、処理回路1210と、メモリ1201と、入力装置1203と、ディスプレイ1204とを備える。処理回路1210は、インターフェース機能1211と、制御機能1212と、画像処理機能1213とを備える。
【0140】
本実施形態では、インターフェース機能1211、制御機能1212、画像処理機能1213にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ1201へ記憶されている。処理回路1210はプログラムをメモリ1201から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路1210は、処理回路1210内に示された各機能を有することになる。
【0141】
処理回路1210は、インターフェース機能1211により、シーケンス情報をシーケンス制御回路1120へ送信し、シーケンス制御回路1120から磁気共鳴データを受信する。また、磁気共鳴データを受信すると、インターフェース機能1211を有する処理回路1210は、受信した磁気共鳴データをメモリ1201に格納する。
【0142】
メモリ1201に格納された磁気共鳴データは、制御機能1212によってk空間に配置される。この結果、メモリ1201は、k空間データを記憶する。
【0143】
メモリ1201は、インターフェース機能1211を有する処理回路1210によって受信された磁気共鳴データや、制御機能1212を有する処理回路1210によってk空間に配置されたk空間データ、画像処理機能1213を有する処理回路1210によって生成された画像データ等を記憶する。
【0144】
処理回路1210は、制御機能1212により、磁気共鳴イメージングシステム1100の全体制御を行い、撮像や画像の生成、画像の表示等を制御する。例えば、制御機能1212を有する処理回路1210は、撮像条件(撮像パラメータ等)の入力をGUI上で受け付け、受け付けた撮像条件に従ってシーケンス情報を生成する。また、制御機能1212を有する処理回路1210は、生成したシーケンス情報をシーケンス制御回路1120へ送信する。
【0145】
処理回路1210は、画像処理機能1213より、k空間データをメモリ1201から読み出し、読み出したk空間データにフーリエ変換等の再構成処理を施すことで、磁気共鳴画像を生成する。また画像処理機能1213は、第1実施形態における強調画像処理も行う。
【0146】
処理回路1210は、インターフェース機能1211により、メモリ1201から、画像処理機能1213による画像処理のためのデータや画像等を取得する。
【0147】
入力装置1203は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置1203は、例えば、マウスやトラックボール等のポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスである。また入力装置1203は後述のディスプレイ1204に形成されるタッチコマンドスクリーンも含む。
【0148】
ディスプレイ1204は、制御機能1212等による制御の下、撮像条件の入力を受け付けるためのGUIや、制御機能1212等によって生成された画像等を表示する。ディスプレイ1204は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。ディスプレイ1204は、表示部の一例である。ディスプレイ1204は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有する。
【0149】
以上のような磁気共鳴イメージングシステム1100においても、第1実施形態乃至第3実施形態で説明した超音波診断システムと同様に、
図5に示した画質最適化処理を実行して、画質指標の値を変更し、医用画像の画質調整ができる。
【0150】
その場合、画質指標の値を調整する対象の医用画像は、k空間データから再構成処理を施した磁気共鳴画像である。例えば、磁気共鳴画像の画質指標には、超音波診断システムと同様に、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性強調がある。画像処理機能1213で画質指標の値の調整を行うためのGUIとして、上述した第1実施形態乃至第4実施形態で示したような画質調整設定画面W10、W20、W30を、ディスプレイ1204上のタッチコマンドスクリーンに形成する。
【0151】
画質調整設定画面W10、W20、W30の動作や表示形式は、各画質調整ボタンに表示されるサムネイル画像が磁気共鳴画像に基づいて生成されていることを除けば、上述した第1実施形態乃至第3実施形態と同様である。すなわち、
図5に示した画質最適化処理が処理回路1210で実行され、ユーザにとって最適な画質の画質指標の値が設定される。この画質最適化処理が実行される際には、画像処理機能1213が、上述した第1画像生成機能206aと、第1画像表示機能206bと、第2画像生成機能206cと、第2画像表示機能206dと、再生成表示機能206fとを果たし、制御機能1212が、新規画質指標算出機能206eを果たす。
【0152】
以上のように、本実施形態に係る医用画像診断システム100によれば、この医用画像診断システム100を磁気共鳴イメージングシステム1100により構成することができる。このように、超音波診断システム、磁気共鳴イメージングシステム、X線コンピュータ断層撮影システム、陽電子放出断層撮影システムなど、種々の医用画像診断システムで撮像された医用画像に対して、画質指標の値を調整することができる。
【0153】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ205、1201に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、メモリ205、1201にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0154】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【0155】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0156】
(付記1)
医用画像を表示するための複数種類の画質指標に関して、ユーザが選択した画質指標の値をアンカーとし、前記アンカーに基づく前記医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成する、第1画像生成部と、
前記第1画像生成部で生成された前記第1サムネイル画像を表示部に表示させる、第1画像表示部と、
前記医用画像に関して、前記アンカーから前記複数種類の画質指標をそれぞれ増減させて、複数のサムネイル画像を第2サムネイル画像として生成する、第2画像生成部と、
前記第2画像生成部で生成された前記複数の第2サムネイル画像を前記表示部に表示させる、第2画像表示部と、
前記第1サムネイル画像と、前記第2サムネイル画像とを選択可能とし、前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標を算出する新規画質指標算出部と、
前記第1サムネイル画像又は前記複数の第2サムネイル画像の中からユーザが選択した前記第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用いて、前記第1画像生成部に新たな第1サムネイル画像を生成させ、前記第1画像表示部に新たな第1サムネイル画像を表示させ、前記新規画質指標算出部が算出した前記新規画質指標の値に基づいて、前記第2画像生成部に新たな第2サムネイル画像を生成させ、前記第2画像表示部に新たな第2サムネイル画像を表示させる、再生成表示部と、を備える医用画像診断システム。
【0157】
(付記2)
前記第2画像生成部は、前記アンカーから前記複数種類の画像指標をそれぞれ増減させて合成させた画像指標に基づく合成画像を、前記複数の第2サムネイル画像の1つとして生成してもよい。
【0158】
(付記3)
前記第2画像表示部は、前記合成画像を、前記複数の第2サムネイル画像の1つとして表示してもよい。
【0159】
(付記4)
前記新規画質指標算出部は、ユーザの操作に基づいて、前記新規画質指標の増減を切り替えてもよい。
【0160】
(付記5)
前記新規画質指標の算出は、Bradley-Terry-Luce(BTL)モデルまたはThurstone-Mostellerモデルによる前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択の確率に依存してもよい。
【0161】
(付記6)
前記新規画質指標の算出は、ベイズの定理を用いた確率的な推測によって最適化され、前記最適化は獲得関数(Acquisition function)を最大化することによって行なわれてもよい。
【0162】
(付記7)
前記ベイズの定理を用いた確率的な推測は、ガウス過程に従う事前分布モデルより行われてもよい。
【0163】
(付記8)
前記第1画像生成部及び前記第2画像生成部は、前記画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータに基づいて、画像処理または信号処理を行い、前記第1サムネイル画像及び前記第2サムネイル画像を、それぞれ生成してもよい。
【0164】
(付記9)
前記画像処理または信号処理は、多重解像度分解処理、非線形異方性拡散フィルタ、線形空間フィルタ、メディアンフィルタ、入出力曲線処理、ゲイン調整処理のいずれかであってもよい。
【0165】
(付記10)
前記医用画像は、超音波診断システムにより撮像された画像であってもよい。
【0166】
(付記11)
前記第1画像生成部及び前記第2画像生成部は、前記画質指標の値から複数のパラメータを算出し、これら算出されたパラメータの条件で超音波送受信を行い、前記第1サムネイル画像及び前記第2サムネイル画像を、それぞれ生成してもよい。
【0167】
(付記12)
前記超音波送受信の条件は、送信波形、受信中心周波数、受信周波数帯域、受信口径、音速のいずれかであってもよい。
【0168】
(付記13)
前記超音波診断システムにおいて、前記画質指標の最適化は被検体の深さごとに行うことができてもよい。
【0169】
(付記14)
前記複数種類の画質指標には、ノイズ低減、エッジ強調、一貫性(coherency)強調、エッジ検出度、明るさ、コントラスト、ゲイン、高輝度強調、分解能のいずれかが含まれていてもよい。
【0170】
(付記15)
前記第2サムネイル画像の数は、前記画質指標の種類の数以上であってもよい。
【0171】
(付記16)
医用画像を表示するための複数種類の画質指標に関して、ユーザが選択した画質指標の値をアンカーとし、前記アンカーに基づく前記医用画像のサムネイル画像を第1サムネイル画像として生成するステップと、
生成された前記第1サムネイル画像を表示部に表示させるステップと、
前記医用画像に関して、前記アンカーから前記複数種類の画質指標をそれぞれ増減させて、複数のサムネイル画像を第2サムネイル画像として生成するステップと、
生成された前記複数の第2サムネイル画像を前記表示部に表示させるステップと、
前記第1サムネイル画像と、前記第2サムネイル画像とを選択可能とし、前記第1サムネイル画像と前記第2サムネイル画像の選択結果に基づき、可変のステップ幅で調整された新規画質指標のステップ幅を算出するステップと、
前記第1サムネイル画像又は前記複数の第2サムネイル画像の中からユーザが選択した前記第1サムネイル画像又は第2サムネイル画像に対応する画像指標の値を新たなアンカーとして用いて、新たな第1サムネイル画像を生成させ、生成された新たな第1サムネイル画像を表示させ、算出された前記新規画質指標のステップ幅の値に基づいて、新たな第2サムネイル画像を生成させ、生成された新たな第2サムネイル画像を表示させるステップと、を備える。
【符号の説明】
【0172】
100…医用画像診断システム、101…超音波プローブ、102…入力装置、103…メインディスプレイスクリーン、104…タッチコマンドスクリーン、201…送受信部、202…Bモード処理部、203…ドプラ処理部、204…画像処理部、205…メモリ、206…制御部、1100…磁気共鳴イメージングシステム、1101…静磁場磁石、1103…傾斜磁場コイル、1104…傾斜磁場電源、1105…寝台、1105a…天板、1106…寝台制御回路、1107…送信コイル、1108…送信回路、1109…受信コイル、1110…受信回路、1120…シーケンス制御回路、1200…データ処理装置、1201…メモリ、1203…入力装置、1204…ディスプレイ、1210…処理回路、W10~W30…画質調整設定画面