(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024016883
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】地盤性状判定システム
(51)【国際特許分類】
E02D 1/04 20060101AFI20240201BHJP
E21D 9/00 20060101ALI20240201BHJP
E21B 49/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E02D1/04
E21D9/00 Z
E21B49/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119154
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】303057365
【氏名又は名称】株式会社安藤・間
(71)【出願人】
【識別番号】390036504
【氏名又は名称】日特建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】ベジャ メヂイ
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】青木 園子
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043AA01
2D043AC01
2D043BA08
(57)【要約】
【課題】 本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、人の判断に依存することなく削孔中の地盤性状をリアルタイムで把握することができる地盤性状判定システムを提供することである。
【解決手段】本願発明の地盤性状判定システムは、削孔又は掘削を行う対象地盤の性状を判定するシステムであって、学習済みモデル生成手段と地盤性状判定手段を備えたものである。このうち学習済みモデル生成手段は、地質区分ラベルや土質区分ラベルが付された教師データを機械学習することによって学習済みモデルを生成する手段であり、地盤性状判定手段は、削孔中に取得された施工データを学習済みモデルに入力することによって対象地盤の地質区分や土質区分を判定する手段である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔又は掘削を行う対象地盤の性状を判定するシステムであって、
地質区分ラベル及び/又は土質区分ラベルが付された教師データを機械学習することによって、学習済みモデルを生成する学習済みモデル生成手段と、
削孔中又は掘削中に取得された施工データを前記学習済みモデルに入力することによって、前記対象地盤の地質区分及び/又は土質区分を判定する地盤性状判定手段と、を備え、
前記教師データは、削孔機械又は掘削機械から得られる施工に関する施工機械データ、削孔又は掘削によって得られる地盤スライムを撮影して得られるカメラ画像データ、該地盤スライムをスペクトルカメラで取得して得られるスペクトル画像データ、削孔後又は掘削後にボアホールカメラで撮影して得られるボアホール画像データから選択される1又は2以上のデータに、前記地質区分ラベル及び/又は前記土質区分ラベルが付されることで生成され、
前記学習済みモデルに入力される前記施工データは、前記施工機械データ、前記カメラ画像データ、前記スペクトル画像データ、前記ボアホール画像データから選択される1又は2以上のデータであって、機械学習に用いられた前記教師データと同種のデータである、
ことを特徴とする地盤性状判定システム。
【請求項2】
前記学習済みモデル生成手段は、地盤の硬軟度ラベルが付された前記教師データを機械学習することによって、前記学習済みモデルを生成し、
前記地盤性状判定手段は、前記学習済みモデルに前記施工データが入力されると、前記対象地盤の硬軟度を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の地盤性状判定システム。
【請求項3】
前記学習済みモデル生成手段は、地盤の空洞ラベルが付された前記教師データを機械学習することによって、前記学習済みモデルを生成し、
前記地盤性状判定手段は、前記学習済みモデルに前記施工データが入力されると、前記対象地盤の空洞の状況を判定する、
ことを特徴とする請求項1記載の地盤性状判定システム。
【請求項4】
1又は2以上の端末機器と、
前記端末機器と通信可能な中央装置と、をさらに備え、
前記端末機器を用いて入力された前記施工データは前記中央装置に送信され、
前記中央装置は、前記施工データを受信するとともに、前記地盤性状判定手段に該施工データを入力することによって前記対象地盤の地質区分及び/又は土質区分を判定し、
前記端末機器は、前記地盤性状判定手段によって判定された結果をリアルタイムで出力し得る、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地盤性状判定システム。
【請求項5】
前記端末機器は、施工の進捗に伴う削孔又は掘削の実績出来形と、計画された削孔形状又は掘削形状と、を重ねて2次元又は3次元表示し得る、
ことを特徴とする請求項4記載の地盤性状判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ボーリングの対象地盤の性状を判定する技術に関するものであり、より具体的には、事前に生成された学習済みモデルを使用して施工中に対象地盤の性状をリアルタイムで判定することができる地盤性状判定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボーリングとは、比較的小さい孔径で比較的長い筒状の地中孔を形成する施工のことであり、通常はロッドとその先端に装着されたビットを用いて削孔することで実施される。このボーリングは、コア採取や標準貫入試験といった地盤調査を目的として行われることもあるが、いわゆる本設の工事として行われることもある。例えば、発破掘削によるトンネル掘削では火薬(ダイナマイト)を装填するためドリルジャンボによってボーリングが行われ、NATM(New Austrian Tunnelling Method)によるトンネル工事ではロックボルトを挿入するためにやはりドリルジャンボによってボーリングが行われる。また、深層混合による地盤改良を目的として機械攪拌や高圧噴射などを行う際には、地盤に対して鉛直下向きにボーリングが行われる。
【0003】
近年、異常気象に伴う豪雨等によってのり面や斜面などの深層崩壊が発生したり、大規模な地すべりが発生したりしており、斜面等の対策工が以前にもまして重要となっている。そして、斜面等における深層崩壊や地すべりの対策工としては、今やアンカーシステムは欠かせないものとなっている。このアンカーシステムは、テンドンの一方の固定端を地盤内に設置することから、古くは「アースアンカー」と呼ばれ、現在では「グラウンドアンカー」と呼ばれている。グラウンドアンカーは、ダムの安定対策として1957年に初めて我が国に導入されて以来、60年近くにわたって採用されており、経済的であって施工性にも優れていることから、さらに高度成長に伴う社会資本整備の加速化もあって、2万4千件ともいわれる夥しい数の施工実績を数えるほど多用されてきた。このグラウンドアンカーも、やはりロータリーパーカッション式などのボーリングマシンでボーリングが実施される。
【0004】
本設としてのボーリング(以下、「ボーリング工事」という。)を実施する場合、一般的にはあらかじめ地盤調査が行われ、その調査結果に応じて削孔していく。例えばグラウンドアンカーを設置するためのボーリング工事では、定着層の位置やその定着層の物性値(周面摩擦抵抗など)を把握すべく地盤調査が行われる。そして、その地盤調査の結果に基づいて実施された設計計画にしたがって削孔していくものの、当然ながら削孔している地盤内の様子を目視することはできず、果たして設計計画どおりに実施したとしても問題ないかといったことを正確に判断することは著しく困難である。
【0005】
他方、ボーリング工事を行っている最中、即時的に(リアルタイムで)地盤内の性状を把握することは極めて有益であることが知られている。例えば、グラウンドアンカーのための削孔を行っているときにリアルタイムで定着層の位置やその物性値を把握することができれば、計画よりも短い削孔長(自由長や定着長)で足りることが判明したり、逆に計画よりも長く削孔しなければ機能しないことが判明したりすることもあり、結果的に効率的かつ効果的なグラウンドアンカーを設置することができるわけである。
【0006】
そこで、これまでにもボーリング工事の最中にリアルタイムで地盤内の性状を把握するための種々の取り組みが行われてきた。代表的な手法としては、特許文献1で開示されているように施工機械の電気信号(トルクや推力、打撃圧力など)から地盤の硬軟を推定する技術や、削孔に伴って地上に上げられたスライムの外観から専門技術者が目視判断したり薬品等を用いて化学的試験を行ったりすることで地質区分や土質区分を判定する技術などを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらリ、リアルタイムで地盤内の性状を把握する従来の手法はいずれも問題を抱えていた。例えば、施工機械の電気信号から地盤の硬軟を推定する手法(以下、「機械情報推定手法」という。)は、地盤の硬軟や空洞の有無を判定することができるものの、地質区分や土質区分を判定するには不向きである。一方、スライムを外観判定する手法(以下、「スライム外観判定手法」という。)は、地質区分や土質区分を判定することができるものの、地盤の硬軟や空洞の有無を判定することが難しい。
【0009】
また機械情報推定手法では、施工機械に装着された様々な計測機器やデバイスなどから情報が取得されることもあるが、それぞれ独立した情報であってフォーマットやディメンジョン(1次元~3次元)が異なり、ひとつの中央装置にアップロードして集約したとしても、それらの情報を総合的に判断することは容易ではない。つまり、このように有機的に連携していないいわばバラバラの情報から性状を判断するには、人の知見や経験、技術力に依存していたわけである。そのため判断する者の力量によってその結果が異なり、安定した判定を得ることができなかった。さらに、人が熟考をもって検討するが故に、リアルタイムで地盤性状(地質区分や土質区分など)を判定することができず、得られた情報を適時に施工にフィードバックすることができないこともあった。
【0010】
スライム外観判定手法は、上記したとおり専門知識を有する技術者がスライム外観から目視判断することによって地質区分や土質区分を判定するものである。そのため、ボーリング工事を行うにあたっては専門技術者を確保して常駐させる必要があり、その人件費を予算として用意しなければならない。特に、複数の施工班を配備して削孔を行うケースでは、複数人の専門技術者を常駐させることになるが、コストがかかるうえに、そもそも必要数を確保することが難しいこともある。さらに、複数の専門技術者による判定結果を速やかに集約することは困難であり、その結果、リアルタイムで地盤性状を判定することができず、得られた情報を適時に施工にフィードバックすることができない。また、専門技術者の力量によって判定結果が異なることも避けられず、安定した判定を得ることもできない。
【0011】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、人の判断に依存することなく削孔中の地盤性状をリアルタイムで把握することができる地盤性状判定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明の地盤性状判定システムは、種別ラベルが付された施工データを学習することによって学習済みモデルを生成し、施工中に施工データを学習済みモデルに入力することによって地質区分や土質区分をリアルタイムで判定する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われた発明である。
【0013】
本願発明の地盤性状判定システムは、削孔又は掘削を行う対象地盤の性状を判定するシステムであって、学習済みモデル生成手段と地盤性状判定手段を備えたものである。このうち学習済みモデル生成手段は、地質区分ラベルや土質区分ラベルが付された教師データを機械学習することによって学習済みモデルを生成する手段であり、地盤性状判定手段は、削孔中(あるいは、掘削中)に取得された施工データを学習済みモデルに入力することによって対象地盤の地質区分や土質区分を判定する手段である。なお教師データは、削孔機械(あるいは、掘削機械)から得られる施工に関する施工機械データ、削孔(あるいは、掘削)によって得られる地盤スライムを撮影して得られるカメラ画像データ、地盤スライムをスペクトルカメラで取得して得られるスペクトル画像データ、削孔後(あるいは、掘削後)にボアホールカメラで撮影して得られるボアホール画像データのなかから選択される1又は2以上のデータに、地質区分ラベルや土質区分ラベルが付されることで生成される。また学習済みモデルに入力される施工データは、施工機械データ、カメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データから選択される1又は2以上のデータであって、機械学習に用いられた教師データと同種のデータである。
【0014】
本願発明の地盤性状判定システムは、地盤の硬軟度ラベルが付された教師データを機械学習して学習済みモデルを生成するものとすることもできる。この場合、地盤性状判定手段は、学習済みモデルに施工データが入力されると対象地盤の硬軟度も判定する。
【0015】
本願発明の地盤性状判定システムは、地盤の空洞ラベルが付された教師データを機械学習して学習済みモデルを生成するものとすることもできる。この場合、地盤性状判定手段は、学習済みモデルに施工データが入力されると対象地盤の空洞の状況も判定する。
【0016】
本願発明の地盤性状判定システムは、1又は2以上の端末機器と、この端末機器と通信可能な中央装置をさらに備えたものとすることもできる。この場合、端末機器を用いて入力された施工データは中央装置に送信される。そして中央装置は、施工データを受信するとともに、地盤性状判定手段に施工データを入力することによって対象地盤の地質区分や土質区分を判定する。また端末機器は、地盤性状判定手段によって判定された結果をリアルタイムで出力することができる。
【0017】
本願発明の地盤性状判定システムは、施工の進捗に伴う削孔(あるいは、掘削)の実績出来形と、計画された削孔形状(あるいは、掘削形状)を重ねた3次元(あるいは2次元)表示が可能なものとすることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明の地盤性状判定システムには、次のような効果がある。
(1)不可視である地盤に関する情報(地質区分や土質区分、地盤の硬軟、空洞の有無)をリアルタイムに判定することができ、その結果、施工班に必要な情報を迅速にフィードバックすることができ、より適正なボーリング工事を行うことができる。
(2)人の知見等に依存することがないため、人的誤差やヒューマンエラーが排除され、安定的かつ整合性のある判定結果を得ることができる。
(3)複数の施工班を配備して削孔を行うケースであっても、各班からの施工データを中央装置に集約することによって様々な関係者が確認して共有することができ、これにより施工環境の不確実性に対する予見や適切な施工管理など適切なアドバイスを各所から提示することができる。
(4)施工の進捗に伴う削孔(あるいは、掘削)の実績出来形と、計画された削孔形状(あるいは、掘削形状)、そして判定された地盤情報(地質区分や土質区分、地盤の硬軟、空洞の有無)を重ねて3次元(あるいは2次元)表示することによって、より明確に地盤の性状を把握することができ、例えば計画された定着層や支持層を確認することも可能となる。
(5)施工中に得られた情報を改めて教師データとし、深層学習を継続的に行うことによって、さらに推定精度が向上した学習済みモデルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】施工データに基づいて判定される地盤性状を模式的に示すモデル図。
【
図2】本願発明の地盤性状判定システムの主な構成を示すブロック図。
【
図3】中央装置と端末機器が分散配置された地盤性状判定システムを示すブロック図。
【
図4】削孔機械から得られる施工機械データの一例を示す上方一覧図。
【
図5】(a)は3D表示された地盤表面とグラウンドアンカー頭部を模式的に示すモデル画像図、(b)は3D表示された地盤断面とグラウンドアンカーを模式的に示すモデル画像図。
【
図6】(a)は出力制御手段によって表示された計画ボーリング孔を模式的に示すモデル画像図、(b)は出力制御手段によって表示された計画ボーリング孔と出来形ボーリング孔の重複表示を模式的に示すモデル画像図。
【
図7】試験施工を実施しつつ、地盤性状判定システムを使用して学習済みモデルを生成するまでの主な処理の流れを示すフロー図。
【
図8】本施工を実施する中で、地盤性状判定システムを使用して地盤性状を判定するまでの主な処理の流れを示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明の地盤性状判定システムの例を図に基づいて説明する。
【0021】
1.全体概要
本願発明は、ボーリング工事を行っている最中、あるいは地盤掘削を行っている最中に、対象となる地盤の性状をリアルタイムで判定することができる技術である。より詳しくは、
図1に示すように施工中に得られるデータ(以下、「施工データ」という。)に基づいて、その地盤性状を判定する。なお本願発明は、ボーリング工事の最中に削孔深度ごとの地盤性状を判定することもできるし、地盤掘削工事の最中に掘削深度ごとの地盤性状を判定することもできるが、便宜上ここではボーリング工事の例で説明することとする。
【0022】
施工データとしては、例えば
図1に示すように「施工機械データ」や、「スライム写真」、「スペクトルデータ」、「ボアホール写真」を挙げることができる。このうち施工機械データは、後述するようにボーリング工事に使用される削孔機械(ボーリングマシンやドリルジャンボなど)から得られる種々の情報である。またスライム写真は、削孔中地上に上げられるスライムをデジタルカメラ等で撮影して得られる画像データであり、スペクトルデータは、そのスライムをハイパースペクトルカメラやマルチスペクトルカメラで撮影して得られるデータである。ただしスライム写真とスペクトルデータは、色見本とともに撮影したうえで取得することが望ましい。ボアホール写真は、ボーリング孔の内壁をボアホールカメラで撮影して得られる画像データである。なお施工データは、施工中定期的(あるいは断続的)に取得され、例えば施工機械データは15cmほど掘進するたびに、スライム写真とスペクトルデータは1~2mほど掘進するたびに取得され、ボアホール写真は削孔が完了したタイミングで取得される。
【0023】
一方の地盤性状としては、例えば
図1に示すように「地質区分」や、「土質区分」、「地盤の硬軟度」、「空洞状況」を挙げることができる。このうち地質区分は、例えば砂岩や花崗岩、粘板岩といった区分のことであり、土質区分は、砂質土や礫質土、粘性土といった区分のことである。また地盤の硬軟度は、いわゆる岩級区分などその強度を表す指標であり、空洞状況は、空洞の有無や大小、その規模など文字どおり空洞に関する状況のことである。
【0024】
施工データに基づいて地盤性状を判定するにあたっては、機械学習によって生成される「学習済みモデル」が用いられる。すなわち、施工データを入力すると学習済みモデルが地盤性状を出力するわけである。なお学習済みモデルを生成するには、深層学習(deep learning)をはじめ、従来用いられている種々の機械学習技術を採用することができる。
【0025】
機械学習によって学習済みモデルを生成するためには、教師データが用いられる。この教師データは、施工データに正解ラベル、つまり既知の地盤性状をラベル(以下、単に「地盤性状ラベル」という。)として付与したものである。そして、教師データを得るためにはあらかじめ試験的な施工(以下、単に「試験施工」という。)を行う必要があり、換言すれば、試験施工を実施したうえで実際の施工(以下、単に「本施工」という。)の際に地盤性状が判定される。なお試験施工では、本施工と同様の機械(特に、削孔用の機械)を使用することが望ましく、また少なくとも本施工で取得されるものと同様の施工データを取得する。そこで両者の施工データを区別するため、試験施工で得られるデータのことを「試験施工データ」と、本施工で得られるデータのことを「本施工データ」ということとする。あるいは、過去に実施された本施工を試験施工として取り扱うこともできる。つまり、過去に実施された本施工で得られる種々のデータに基づいて、施工データに地盤性状ラベルを付与することによって教師データを作成し、その教師データを学習することによって学習済みモデルを生成するわけである。もちろん、試験施工と過去の本施工で得られる情報を、それぞれ利用することによって教師データを作成することもできる。
【0026】
2.地盤性状判定システム
本願発明の地盤性状判定システムについて詳しく説明する。
図2は、本願発明の地盤性状判定システム100の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本願発明の地盤性状判定システム100は、学習済みモデル生成手段101と地盤性状判定手段102を含んで構成され、また施工機械データ取得手段103や出力制御手段104、出力手段105、学習済みモデル記憶手段108、試験ボーリングデータ記憶手段109、試験施工データ記憶手段110、本施工データ記憶手段111を含んで構成することもでき、さらに後述する端末側送受信手段106や中央側送受信手段107、端末機器、中央装置を含んで構成することもできる。
【0027】
地盤性状判定システム100を構成する主な要素のうち学習済みモデル生成手段101と地盤性状判定手段102、出力制御手段104は、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、マウスやキーボード等の入力手段やディスプレイを具備するもので、パーソナルコンピュータ(PC)やサーバー、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末などによって構成することができる。ディスプレイを具備したコンピュータ装置を利用する場合は、そのディスプレイを出力手段105として利用するとよい。
【0028】
学習済みモデル記憶手段108と試験ボーリングデータ記憶手段109、試験施工データ記憶手段110、本施工データ記憶手段111は、汎用的コンピュータの記憶装置を利用することもできるし、データベースサーバーに構築することもできる。データベースサーバーに構築する場合、ローカルなネットワーク(LAN:Local Area Network)に置くこともできるし、インターネット経由で保存するクラウドサーバーとすることもできる。なおこれらの記憶手段は、それぞれ別体として構成することもできるし、2以上の記憶手段をまとめて構築することもできる。
【0029】
地盤性状判定システム100を構成する一部の要素は、汎用的なコンピュータ装置を利用することができると説明したが、
図3に示すようにさらに端末機器と中央装置によって構成することもできる。端末機器は、実際にボーリング工事を行う施工班の近くに配置され、パーソナルコンピュータやタブレット型PC、スマートフォンなどを利用するとよい。一方の中央装置は、管理事務所や監督員詰め所など施工班とは異なる管理班に配置され、サーバーやパーソナルコンピュータなどを利用するとよい。また、端末機器に端末側送受信手段106を設けるとともに、中央装置に中央側送受信手段107を設けることによって、端末機器と中央装置は通信可能となり、これにより端末機器から中央装置に種々の情報(例えば、本施工データ)を送信したり、中央装置から端末機器に種々の情報(例えば、判定結果)を送信したりすることができる。なお
図3では、2つの施工班に配置された端末機器がそれぞれ中央装置と接続されている例を示しているが、これに限らず1の端末機器、あるいは3以上の端末機器を中央装置と接続して運用することもできる。
【0030】
以下、本願発明の地盤性状判定システム100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0031】
(学習済みモデル生成手段)
学習済みモデル生成手段101は、学習済みモデルを生成する手段である。具体的には、深層学習といった機械学習技術を利用して教師データ(施工データに地盤性状ラベルが付されたデータ)を学習することによって、この学習済みモデルを生成する。そして教師データは、既述したとおり試験施工を行うことによって得ることができる。以下、教師データを得るまでの手順の一例について説明する。
【0032】
まず、試験用のボーリング孔(以下、単に「試験ボーリング孔」という。)を形成する。例えば本施工が、グラウンドアンカーの設置工事であって、ロータリーパーカッション式ボーリングマシンによって削孔する計画であれば、その計画された(あるいは同規格の)ロータリーパーカッション式ボーリングマシンを用いて試験ボーリング孔を削孔していくとよい。このとき、本施工にて取得を計画している施工データを取得しながら削孔する。例えば本施工において施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データの取得を計画している場合は、試験施工においても施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データを取得しながら削孔する。
【0033】
ここで施工機械データとは、既述したとおりボーリング工事に使用される削孔機械(ボーリングマシンやドリルジャンボなど)から得られる種々の情報であり、削孔機械に搭載(あるいは装着)された施工機械データ取得手段103によって取得される。例えば施工機械データとしては、
図4に示すようにボーリングマシンの削孔速度や給進力、トルク、送水圧、打撃圧、送水流量といったローデータ(生データ)をはじめ、これらローデータから求められる打撃エネルギー、打撃ブロー数、破壊エネルギー値、削孔エネルギー値などを挙げることができる。もちろんこれらに限らず、削孔中のビットの位置やロッドの挿入角度といった計測値などをはじめ、削孔機械に関する様々な情報を施工機械データとして取得することもできる。試験施工中、取得された施工機械データや、カメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データといった施工データ(つまり、試験施工データ)は、試験施工データ記憶手段110に記憶される(
図2)。
【0034】
試験ボーリング孔が形成されると、取得したボーリングコアの観察を行う。また、得られたボーリングコアの1軸(あるいは3軸)圧縮試験を行ったり、孔内水平載荷試験を行ったり、削孔中に標準貫入試験を行ったり、所望の物理試験を行うことによって地盤の物理試験データを取得する。そして、ボーリングコアの観察結果と物理試験データを基に、人(例えば専門技術者)が試験ボーリング孔の地盤性状を評価する。具体的には、試験ボーリング孔を深度ごとのブロックに分割したうえで、そのブロックごとに地質区分と土質区分(あるいは、どちらか一方)を評価していく。このとき、地質区分や土質区分に加えて、地盤の硬軟度や空洞状況を評価することもできる。ここで得られる物理試験データや、ブロックごとの地盤性状(地質区分や土質区分など)は、試験ボーリングデータ記憶手段109に記憶される(
図2)。
【0035】
一方、試験ボーリング孔を削孔している間、施工機械データやカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データといった試験施工データが得られており、特に施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データは、掘削深度ごとに複数のデータが得られている。そして、これら試験施工データが取得されたときの深度に基づいて、それぞれの試験施工データに対して地盤性状(地質区分や土質区分など)を関連付け、それぞれの試験施工データに地質区分ラベルや土質区分ラベル、硬軟度ラベル、空洞ラベルといった地盤性状ラベルを付与することによって教師データを作成する。
【0036】
教師データは、評価された地盤性状の種別に応じて作成するとよい。例えば、専門技術者が地質区分と土質区分について評価したときは、試験施工データに地質区分ラベルと土質区分ラベルを付与して教師データを作成し、専門技術者が地質区分と土質区分、地盤の硬軟度、空洞状況について評価したときは、試験施工データに地質区分ラベルと土質区分ラベル、硬軟度ラベル、空洞ラベルを付与して教師データを作成する。
【0037】
また教師データは、取得した試験施工データの種別に応じて作成するとよい。例えば、試験施工データとして施工機械データのみが取得されているケースでは、その施工機械データに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成するが、試験施工データとして施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データが取得されているケースでは、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データそれぞれに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成する。あるいは、試験施工データとして施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データが取得されているケースでは、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データからなるデータセット(削孔深度に応じたデータセット)に対して、つまりデータセットごとに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成することもできる。
【0038】
既述したとおり教師データは、必ずしも試験施工(この場合、本施工ではないという意味)を実施したうえで作成する必要はなく、過去の本施工で得られた種々の情報に基づいて教師データを作成することもできるし、試験施工を行って得られる各種情報と過去の本施工で得られた各種情報に基づいて教師データを作成することもできる。
【0039】
学習済みモデル生成手段101は、このような手順で得られた数多くの教師データを学習することによって学習済みモデルを生成する。なお教師データは、1の試験ボーリング孔から作成することもできるし、2以上の試験ボーリング孔を形成したうえで作成することもできる。学習済みモデル生成手段101によって生成された学習済みモデルは、学習済みモデル記憶手段108に記憶される(
図2)。
【0040】
(地盤性状判定手段)
本施工中、取得された施工機械データや、カメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データといった施工データ(つまり、本施工データ)は、本施工データ記憶手段111に記憶される(
図2)。そして地盤性状判定手段102は、本施工データ記憶手段111から本施工データを読み出すとともに、その本施工データを学習済みモデルに入力することによって地盤性状(地質区分や土質区分など)を出力する。既述したとおり施工データは、施工中定期的(あるいは断続的)に取得される。そのため地盤性状判定手段102は、本施工データが取得されるたびに、換言すれば削孔深度ごとに地盤性状を出力することもできる。これにより、例えばグラウンドアンカーの削孔を行っているときにリアルタイムで定着層の位置やその物性値を把握することができ、その結果、計画よりも短い削孔長で足りることが判明したり、逆に計画よりも長く削孔しなければ機能しないことが判明したりするなど、効率的かつ効果的な施工を実現することができる。
【0041】
(出力制御手段)
地盤性状判定手段102によって判定された地盤性状(地質区分や土質区分など)は、ディスプレイやプリンタといった出力手段105に出力される。このとき、削孔深度ごとの地盤性状をリスト形式で出力することもできるし、図面形式で出力することもできる。また出力制御手段104によって、本施工によって形成されたボーリング孔(以下、単に「本ボーリング孔」という。)の形状とともに、削孔深度ごとの地盤性状を2次元(2D)や3次元(3D)で表示することもできる。
【0042】
施工機械データとして削孔中のビットの位置やロッドの挿入角度といった計測値などが取得されているケースでは、削孔の形状(つまり、実績出来形)を施工の進捗に応じて把握することができる。したがって出力制御手段104は、
図5に示すように本ボーリング孔を3D(あるいは2D)で出力手段105に表示することができるわけである。また出力制御手段104は、
図6に示すように計画されたボーリング孔(以下、「計画ボーリング孔DP」という。)の形状(削孔形状)と、実績出来形である本ボーリング孔(以下、「出来形ボーリング孔DA」という。)の形状を重複したうえで、出力手段105に3D(あるいは2D)で表示することもできる。なお、
図6(a)では計画ボーリング孔DPのみを破線で示し、
図6(b)は計画ボーリング孔DPと出来形ボーリング孔DAの重複表示を示している。
【0043】
また
図6(b)では、削孔深度ごとの地盤性状を出来形ボーリング孔DA上に表示している。このとき異なる地盤性状は、色や濃淡、パターン(模様)を変えることによって表示するとよい。また、
図3に示すように端末機器と中央装置によって構成する場合、ボーリング工事を行う施工班でも端末機器の出力手段105に表示された情報をリアルタイムで確認することができる。例えば、端末機器の端末側送受信手段106を利用して中央装置に本施工データを送信し、これを中央側送受信手段107が受信して地盤性状判定手段102が削孔深度ごとの地盤性状を判定するとともに端末機器に送信することによって、施工班では削孔深度ごとの地盤性状を計画ボーリング孔DPや出来形ボーリング孔DAとともに逐次確認することができるわけである。
【0044】
(使用例)
図7と
図8を参照しながら、本願発明の地盤性状判定システム100を使用する例について説明する。
図7は、試験施工を実施しつつ、地盤性状判定システム100を使用して学習済みモデルを生成するまでの主な処理の流れを示すフロー図である。また
図8は、本施工を実施する中で、地盤性状判定システム100を使用して地盤性状を判定してその結果を表示する主な処理の流れを示すフロー図である。なお
図7と
図8は、それぞれ中央の列に実施する処理を示し、左列にはその処理に必要な情報等を、右列にはその処理から生ずる情報等を示している。
【0045】
学習済みモデルを生成するにあたっては、
図7に示すようにまず試験ボーリング孔を形成するための削孔を行う(
図7のStep211)。このとき、本施工で計画されているものと同様の掘削機械を使用して削孔するとよい。試験ボーリング孔の削孔中は、ボーリングコアを採取し(
図7のStep212)、本施工で計画されているものと同様の施工データ(試験施工データ)を取得し(
図7のStep213)、また必要に応じて標準貫入試験を行う。
【0046】
試験ボーリング孔が形成されると、孔内水平載荷試験やボーリングコアの圧縮試験など物理試験を行うことによって地盤の物理試験データを取得し(
図7のStep214)、取得したボーリングコアの観察を行う。そして例えば専門技術者が、物理試験データとボーリングコアの観察結果を基に、試験ボーリング孔の深度ブロックごとに地盤性状を評価する。ここでは地盤性状として、地質区分と土質区分(あるいは、どちらか一方)を評価することもできるし、あるいは地質区分や土質区分に加えて地盤の硬軟度や空洞状況を評価することもできる(
図7のStep215)。
【0047】
地盤性状を評価すると、その取得深度に基づいてそれぞれの試験施工データに地盤性状を関連付け、さらにそれぞれの試験施工データに対して地盤性状ラベルを付与することによって教師データを作成する(
図7のStep216)。ことのき、評価された地盤性状の種別に応じて教師データを作成するとよい。例えば、専門技術者が地質区分と土質区分について評価したときは、試験施工データに地質区分ラベルと土質区分ラベルを付与して教師データを作成し、専門技術者が地質区分と土質区分、地盤の硬軟度、空洞状況について評価したときは、試験施工データに地質区分ラベルと土質区分ラベル、硬軟度ラベル、空洞ラベルを付与して教師データを作成する。
【0048】
また教師データは、取得した試験施工データの種別に応じて作成するとよい。例えば、試験施工データとして施工機械データのみが取得されているケースでは、その施工機械データに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成し、試験施工データとして施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データが取得されているケースでは、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データ、ボアホール画像データそれぞれに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成する。あるいは、試験施工データとして施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データが取得されているケースでは、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データからなるデータセットごとに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成することもできる。
【0049】
教師データを作成すると、深層学習といった機械学習技術を利用してこれら教師データを学習することによって、学習済みモデル生成手段101が学習済みモデルを生成する(
図7のStep217)。
【0050】
試験施工を実施して学習済みモデルを生成すると本施工を行う。本施工を行うにあたっては、
図3に示すように、管理班に中央装置を配置するとともに、施工班の近くに端末機器を配置するとよい。中央装置や端末機器の配置を行い、そのほか必要な仮設工事など準備工が完了すると、
図8に示すように本ボーリング孔を形成するための削孔を行う(
図8のStep221)。このとき、試験施工で採用されたものと同様の掘削機械を使用して削孔するとよい。
【0051】
本ボーリング孔の削孔中は、少なくとも試験施工で取得されたものと同様の施工データ(本施工データ)、つまり教師データと同種の施工データを取得する。例えば
図8では、削孔が進むたびに施工機械データ取得手段103によって施工機械データが取得され(
図8のStep222)、スライムが得られるたびにカメラ画像データとスペクトル画像データが取得されている(
図8のStep223)。またこの例では、これらの本施工データに加え、削孔が進むたびに削孔中のビットの位置やロッドの挿入角度といった計測値が取得されており、つまり削孔の進捗に応じて本ボーリング孔の実績出来形(削孔形状)を把握している(
図8のStep224)。
【0052】
本施工データが取得されると、その本施工データが地盤性状判定手段102に入力され、そして地盤性状判定手段102が本施工データに係る地盤性状を出力する(
図8のStep225)。このとき、教師データと同種の施工データが取得されていることから、教師データと同種の施工データが地盤性状判定手段102に入力される。例えば、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データに地盤性状ラベルが付与された教師データを機械学習したケースでは、施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データが地盤性状判定手段102に入力されるわけである。
【0053】
また地盤性状判定手段102は、当然ながら学習済みモデルを生成する際に用いた教師データと同種の地盤性状を出力する。例えば、地質区分ラベルと土質区分ラベルが付与された教師データを機械学習したケースでは、地盤性状判定手段102は地盤性状として地質区分と土質区分を出力し、地質区分ラベルと土質区分ラベル、硬軟度ラベル、空洞ラベルが付与された教師データを機械学習したケースでは、地盤性状判定手段102は地盤性状として地質区分と土質区分、地盤の硬軟度、空洞状況を出力する。なお、例えば施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データそれぞれに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成した場合は、入力された施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データそれぞれについて地盤性状を出力する。一方、例えば施工機械データとカメラ画像データ、スペクトル画像データからなるデータセットに地盤性状ラベルを付与して教師データを作成した場合は、データセットごとに地盤性状を出力する。
【0054】
図3に示すように端末機器と中央装置によって構成する場合、端末機器を用いて本施工データを入力し、中央装置の地盤性状判定手段102が地盤性状を出力する仕様とすることもできる。すなわち、施工班の近くに配置された端末機器に本施工データを入力すると、その本施工データが端末側送受信手段106によって中央側送受信手段107に送信され、中央装置の地盤性状判定手段102がその本施工データを取り込んで地盤性状を出力するわけである。この場合、地盤性状判定手段102によって出力された地盤性状は、端末機器に送信してその出力手段105に表示するとよい。
【0055】
地盤性状判定手段102によって地盤性状出力されると、出力制御手段104が
図5に示すように本ボーリング孔を3D(あるいは2D)で出力手段105に表示する(
図8のStep226)。あるいは、
図6に示すように計画ボーリング孔DPの形状(削孔形状)と、出来形ボーリング孔DAの形状を重複表示するとともに、色や濃淡、パターンを用いて地盤性状の種別を示すこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明の地盤性状判定システムは、斜面等の対策工としてのグラウンドアンカー工事や、トンネル工事、深層混合による地盤改良工事など、ボーリングを伴う種々の施工に利用することができる。本願発明によれば、高精度の情報化施工が可能であり、その結果、トンネル構造物や基礎地盤など高品質の社会基盤(社会インフラストラクチャ)を構築することができ、また斜面等における適切な災害対策を図ることができることを考えると、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0057】
100 本願発明の地盤性状判定システム
101 (地盤性状判定システムの)学習済みモデル生成手段
102 (地盤性状判定システムの)地盤性状判定手段
103 (地盤性状判定システムの)施工機械データ取得手段
104 (地盤性状判定システムの)出力制御手段
105 (地盤性状判定システムの)出力手段
106 (地盤性状判定システムの)端末側送受信手段
107 (地盤性状判定システムの)中央側送受信手段
108 (地盤性状判定システムの)学習済みモデル記憶手段
109 (地盤性状判定システムの)試験ボーリングデータ記憶手段
110 (地盤性状判定システムの)試験施工データ記憶手段
111 (地盤性状判定システムの)本施工データ記憶手段
DA 出来形ボーリング孔
DP 計画ボーリング孔