(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168833
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】検知システム、検知装置および着用体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/42 20060101AFI20241128BHJP
G01V 3/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61F13/42 F
G01V3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085825
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】522494282
【氏名又は名称】Lasiina株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128886
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 裕弘
(72)【発明者】
【氏名】野正 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】黒須 一博
【テーマコード(参考)】
2G105
3B200
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB03
2G105EE01
2G105HH04
3B200AA01
3B200AA03
3B200CA02
3B200CA11
3B200DF04
(57)【要約】
【課題】着用体に対して装置を安定して取り付ける。
【解決手段】検知システムは、尿を吸収する吸収部および吸収部に設けられる導電部を有してユーザに着用される着用体と、着用体に取り付けられ、導電部を用いて吸収部が吸収した尿を検知する検知装置と、を備える。そして、検知装置は、導電部と電気的に接続可能な接続部と、接続部を用いて得られる電流に関する電流情報を取得する取得部と、を有する。また、着用体は、検知装置の接続部が導電部に電気的に接続する位置に検知装置が取り付けられる取付部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿を吸収する吸収部および当該吸収部に設けられる導電部を有してユーザに着用される着用体と、
前記着用体に取り付けられ、前記導電部を用いて前記吸収部が吸収した尿を検知する検知装置と、
を備え、
前記検知装置は、前記導電部と電気的に接続可能な接続部と、当該接続部を用いて得られる電流に関する電流情報を取得する取得部と、を有し、
前記着用体は、前記検知装置の前記接続部が前記導電部に電気的に接続する位置に当該検知装置が取り付けられる取付部を有する、
ことを特徴とする検知システム。
【請求項2】
前記着用体は、ユーザが着用する下着に貼付部を介して貼り付けられ、
前記取付部は、前記貼付部に前記検知装置を貼り付ける、ことを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記取付部は、前記検知装置を取り付ける位置を示す表示部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項4】
前記取付部は、前記検知装置を取り付ける位置を案内する案内部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項5】
前記検知装置は、
予め定められた厚さの第1構造部と、当該第1構造部よりも薄い第2構造部とを有し、
ユーザが前記着用体を着用した状態で、当該ユーザにおける上側に前記第2構造部が位置し、当該ユーザにおける下側に前記第1構造部が位置するように当該着用体に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の検知システム。
【請求項6】
尿を吸収する吸収部および当該吸収部に設けられる導電部を有しユーザに着用される着用体に取り付けられる検知装置であって、
前記導電部と電気的に接続可能な接続部と、
前記接続部を用いて得られる電流に関する電流情報を取得する取得部と、
前記着用体に設けられ前記接続部を前記導電部に電気的に接続させる位置に本装置を取り付ける取付部に取り付けられる被取付部と、
を備えることを特徴とする検知装置。
【請求項7】
前記導電部に対する前記接続部の接続状態を通知する通知部を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
前記通知部は、発光する発光部を予め定められた発光期間に発光させて前記接続状態を通知する、ことを特徴とする請求項7に記載の検知装置。
【請求項9】
前記接続部は、一対の電極を有する第1電極部と、当該第1電極部の当該一対の電極よりも広い間隔で配置される他の一対の電極を有する第2電極部と、を有することを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項10】
前記着用体の種類を特定する特定部を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の検知装置。
【請求項11】
尿を吸収する吸収部と、
前記吸収部に設けられる導電部と、
前記導電部に接続可能な接続部を有する検知装置を、当該接続部が当該導電部に電気的に接続する位置に取り付ける取付部と、
を備えることを特徴とする着用体。
【請求項12】
前記導電部は、他の部材によって覆われるとともに、当該導電部の一部が露出する露出部を介して前記接続部が接続される、ことを特徴とする請求項11に記載の着用体。
【請求項13】
前記露出部に隣り合って設けられ、前記吸収部が吸収した尿が流出することを抑制する抑制部を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の着用体。
【請求項14】
前記露出部は、前記他の部材に設けられた開口部である、ことを特徴とする請求項12に記載の着用体。
【請求項15】
前記導電部は、他の部材によって覆われるとともに、当該他の部材の端部から一部が突出する突出部を有する、ことを特徴とする請求項11に記載の着用体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知システム、検知装置および着用体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被検査物の外面上または当該外面の近傍箇所に配された状態で被検査物に面して並ぶように位置する一対の電極と、一対の電極の一方に交流信号を印加して一対の電極の間に被検査物を通る電界を生じさせる測定部と、一対の電極の他方による受信信号を基に一対の電極の間の空間インピーダンスを認識して被検査物の含水状態を判定する制御部と、を備える水分検知センサの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、意図しないタイミングで尿を漏らしてしまう尿失禁の悩みをもつユーザが存在する。このようなユーザにより、尿を吸収する吸収体を備えたシートや下着などの着用体が利用されている。ここで、着用体における尿に関する情報を収集することができれば、例えばユーザに対して有益な情報を提供することも可能になる。そして、着用体における尿に関する情報を収集する場合には、着用体に対して情報を収集するための装置を取り付けることが考えられる。この場合に、装置は、着用体に安定して取り付けられることが要求される。
本発明は、着用体に対して装置を安定して取り付けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、尿を吸収する吸収部および当該吸収部に設けられる導電部を有してユーザに着用される着用体と、前記着用体に取り付けられ、前記導電部を用いて前記吸収部が吸収した尿を検知する検知装置と、を備え、前記検知装置は、前記導電部と電気的に接続可能な接続部と、当該接続部を用いて得られる電流に関する電流情報を取得する取得部と、を有し、前記着用体は、前記検知装置の前記接続部が前記導電部に電気的に接続する位置に当該検知装置が取り付けられる取付部を有する、ことを特徴とする検知システムである。
【0006】
ここで、前記着用体は、ユーザが着用する下着に貼付部を介して貼り付けられ、前記取付部は、前記貼付部に前記検知装置を貼り付けるとよい。
また、前記取付部は、前記検知装置を取り付ける位置を示す表示部を有するとよい。
また、前記取付部は、前記検知装置を取り付ける位置を案内する案内部を有するとよい。
また、前記検知装置は、予め定められた厚さの第1構造部と、当該第1構造部よりも薄い第2構造部とを有し、ユーザが前記着用体を着用した状態で、当該ユーザにおける上側に前記第2構造部が位置し、当該ユーザにおける下側に前記第1構造部が位置するように当該着用体に取り付けられるとよい。
【0007】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、尿を吸収する吸収部および当該吸収部に設けられる導電部を有しユーザに着用される着用体に取り付けられる検知装置であって、前記導電部と電気的に接続可能な接続部と、前記接続部を用いて得られる電流に関する電流情報を取得する取得部と、前記着用体に設けられ前記接続部を前記導電部に電気的に接続させる位置に本装置を取り付ける取付部に取り付けられる被取付部と、を備えることを特徴とする検知装置である。
【0008】
ここで、前記導電部に対する前記接続部の接続状態を通知する通知部を備えるとよい。
また、前記通知部は、発光する発光部を予め定められた発光期間に発光させて前記接続状態を通知するとよい。
また、前記接続部は、一対の電極を有する第1電極部と、当該第1電極部の当該一対の電極よりも広い間隔で配置される他の一対の電極を有する第2電極部と、を有するとよい。
また、前記着用体の種類を特定する特定部を備えるとよい。
【0009】
また、かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、尿を吸収する吸収部と、前記吸収部に設けられる導電部と、前記導電部に接続可能な接続部を有する検知装置を、当該接続部が当該導電部に電気的に接続する位置に取り付ける取付部と、を備えることを特徴とする着用体である。
【0010】
ここで、前記導電部は、他の部材によって覆われるとともに、当該導電部の一部が露出する露出部を介して前記接続部が接続されるとよい。
また、前記露出部に隣り合って設けられ、前記吸収部が吸収した尿が流出することを抑制する抑制部を有するとよい。
また、前記露出部は、前記他の部材に設けられた開口部であるとよい。
また、前記導電部は、他の部材によって覆われるとともに、当該他の部材の端部から一部が突出する突出部を有するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、着用体に対して装置を安定して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】本実施形態の電極部と導電部との接続に関する説明図である。
【
図12】本実施形態の情報処理システムの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(検知システム10)
図1は、本実施形態の検知システム10の全体図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の検知システム10は、ユーザの尿を吸収する尿漏れシート300と、尿漏れシート300における尿を検知する検知センサ100とを備える。
尿漏れシート300は、ユーザが着用する下着20に装着されて用いられる。検知センサ100は、尿漏れシート300に対して着脱可能に設けられる。そして、検知センサ100は、尿漏れシート300が取り付けられた下着20をユーザが着用した状態で、尿漏れがあった際に、尿漏れシート300に吸収された尿を検知する。また、本実施形態の検知システム10において、尿漏れシート300は、尿を吸収した後、すなわち使用後に使い捨てるタイプである。一方で、検知センサ100は、ユーザが尿漏れシート300を新たに使う度に、使用前の尿漏れシート300に取り付けて繰り返し使用される。
【0016】
また、本実施形態の尿漏れシート300は、シート状に形成されて尿を吸収するタイプのものである。尿漏れシート300は、例えばパンツ型のようなユーザが穿くタイプと比較して、ユーザの身体に占める面積の割合が比較的小さい。また、尿漏れシート300は、下着20と一緒に用いられるものである。そして、尿漏れシート300は、ユーザが着用していること自体が他人から目立ちにくいものである。これに伴い、本実施形態の検知センサ100は、検知センサ100をユーザが装着していることを他人から目立ちにくくなっている。
【0017】
本実施形態の尿漏れシート300の具体的な構成は以下のとおりである。本実施形態の尿漏れシート300は、尿を吸収する吸収体330(後述)および吸収体330に設けられる導電部350を有してユーザに着用される。検知センサ100は、尿漏れシート300に取り付けられ、導電部350を用いて吸収体330が吸収した尿を検知する。そして、検知センサ100は、導電部350と電気的に接続可能な電極部170(後述)と、電極部170を介して得られる電流に関する電流情報を取得する制御部180(後述)とを有する。また、尿漏れシート300は、検知センサ100の電極部170が導電部350に電気的に接続する位置に検知センサ100が取り付けられるセンサ取付部360を有する。そして、本実施形態の検知システム10では、尿漏れシート300に対して検知センサ100が安定して取り付けられる。以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0018】
なお、本実施形態において位置関係の説明をする際には、下着20等を身に着けるユーザの視点を基準に説明する。例えば、下着20、尿漏れシート300および検知センサ100は、ユーザの肌を向く面を裏側とし、肌とは反対側に向く面を表側とする。
【0019】
図2は、本実施形態の検知センサ100の説明図である。なお、
図2(A)は、本実施形態の検知センサ100を表側から見た全体斜視図である。
図2(B)は、本実施形態の検知センサ100を裏側から見た図である。
図3は、本実施形態の検知センサ100の説明図である。
図3(A)は、本実施形態の検知センサ100の内部構造を表側から見た図である。
図3(B)は、本実施形態の検知センサ100の内部構造を裏側から見た図である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の検知センサ100は、検知センサ100を構成する部品を収容する筐体部110を備える。また、
図3に示すように、検知センサ100は、各種の電子部品が実装される基板130と、特定の状態を表示する通知部140と、外部との通信を行う通信モジュール150と、を備える。また、検知センサ100は、充放電するバッテリ160と、尿漏れシート300と電気的に接続する電極部170とを備える。さらに、検知センサ100は、検知センサ100に設けられる電子部品を制御する制御部180と、バッテリ160に充電する充電電極部190とを備える。
【0021】
なお、検知センサ100の説明において、検知センサ100における幅が比較的長い長手方向を第1方向と呼ぶ。また、検知センサ100における幅が比較的短い方向を第2方向と呼ぶ。そして、第1方向は、検知センサ100が尿漏れシート300に取り付けられた際に、後述する導電部350が延伸する方向と交差(略直交)する方向である。また、第2方向は、導電部350が延伸する方向に沿う(略平行)方向である。
【0022】
図2(A)に示すように、筐体部110は、裏側に設けられる底面部111と、表側に表面部113とを有している。筐体部110は、底面部111と表面部113とが接続することで、内部に各種の構成部品を収容する空間を形成する。
【0023】
図2(B)に示すように、底面部111は、矩形状であって平面状に形成される。底面部111は、表側に上述した各種の構成部品が取り付けられる。また、底面部111は、裏側にて、電極部170および充電電極部190を露出させる。
【0024】
表面部113は、矩形状に形成される第1表面部114と、テーパ状に形成される第2表面部115とを有する(
図2(A)参照)。第1表面部114に対応する位置には、比較的高さを有する通信モジュール150やバッテリ160が配置される。第2表面部115は、第1表面部114に連続して接続している。また、第2表面部115は、第1表面部114から離れるに従って厚さが小さくなるように傾斜している。そして、第2表面部115に対応する位置には、電極部170が配置される(
図3(A)および
図3(B)参照)。
【0025】
そして、本実施形態の検知センサ100は、第2表面部115がユーザの身体における上側に位置するように尿漏れシート300に取り付けられる(
図1参照)。すなわち、検知センサ100は、ユーザの腹部側にテーパ状の第2表面部115が向くように配置される。このようにユーザの身体に沿った形で装着されることで、装着したユーザの違和感を低減したり、ユーザの下着20の外から検知センサ100の存在を気づかれにくくしたりしている。
また、検知センサ100は、厚さが異なる第1表面部114および第2表面部115を有することで、ユーザが検知センサ100自体の向きを容易に判断できるようにしている。
【0026】
図3(A)および
図3(B)に示すように、基板130は、電子部品間における信号の送受信や給電を行う電子回路を形成する配線パターンを有する。基板130には、予め定められた位置に電子部品が電気的に実装される。本実施形態の基板130には、通知部140、通信モジュール150、バッテリ160、電極部170、制御部180および充電電極部190が実装される。
【0027】
通知部140は、例えばLEDを用いることができる。通知部140は、筐体部110の表側にて露出して設けられる。通知部140は、制御部180の制御に応じて発光する。通知部140は、例えば赤や緑などの複数の色で発光することができる。また、通知部140は、点滅や連続して点灯するなど異なる複数の発光パターンによって発光することができる。これによって、通知部140は、検知センサ100の状態などを示す通知を行う。
【0028】
通信モジュール150は、後述する端末装置200などの外部の装置と通信を行う。本実施形態の通信モジュール150は、無線に関する通信規格に準拠した通信を行うことができる。無線通信の通信規格としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等を用いることができる。なお、通信モジュール150は、例えば通信ケーブルなどの有線通信によって、外部の端末装置などと通信を行ってもよい。
【0029】
バッテリ160は、本実施形態の検知センサ100が動作するために必要な電力を供給する。バッテリ160には、例えばリチウムイオン電池などを用いることができる。バッテリ160は、充電電極部190を介して充電される。
【0030】
電極部170は、第1メイン電極171と、第1メイン電極171と対に設けられる第2メイン電極172とを有する。また、電極部170は、第1サブ電極173と、第1サブ電極173と対に設けられる第2サブ電極174とを有する。
【0031】
第1メイン電極171および第2メイン電極172は、それぞれ一方向に長く延伸する棒状に形成されている。そして、第1メイン電極171および第2メイン電極172は、それぞれ第1方向に沿って縦に並ぶように配置される。すなわち、第1メイン電極171および第2メイン電極172は、後述する第1導電性糸351と第2導電性糸352と交差する方向に設けられる。本実施形態では、第1方向に沿った一方側に第1メイン電極171が設けられ、第1方向に沿った他方側に第2メイン電極172が設けられる。
【0032】
そして、第1メイン電極171と第2メイン電極172とは、長さG1の間隔を有して離れて配置される。長さG1は、後述する第1導電性糸351と第2導電性糸352との間隔である長さW(
図4(A)参照)よりも狭い距離に設定される。
【0033】
これによって、検知センサ100が尿漏れシート300に取り付けられた際に、第1メイン電極171が、第1導電性糸351に接触し、第2メイン電極172が、第2導電性糸352に接触するようにしている。
【0034】
第1サブ電極173および第2サブ電極174は、それぞれ一方向に長く延伸する棒状に形成されている。そして、第1サブ電極173および第2サブ電極174は、それぞれ第1方向に沿って縦に並ぶように配置される。すなわち、第1サブ電極173および第2サブ電極174は、後述する第1導電性糸351と第2導電性糸352と交差する方向に設けられる。本実施形態では、第1方向に沿った一方側に第1サブ電極173が設けられ、第1方向に沿った他方側に第2サブ電極174が設けられる。また、第1サブ電極173は、第1メイン電極171との間に間隔を有して、第1メイン電極171に沿って(略平行)に設けられる。また、第2サブ電極174は、第2メイン電極172との間に間隔を有して、第2メイン電極172に沿って(略平行)に設けられる。
【0035】
そして、第1サブ電極173と第2サブ電極174とは、長さG2の間隔を有して離れて配置される。長さG2は、後述する第1導電性糸351と第2導電性糸352との間隔である長さWよりも広い距離に設定される。さらに、長さG2は、長さWと長さG1とを足した合計の長さよりも短く設定される。
【0036】
これによって、検知センサ100が尿漏れシート300が正常に取り付けられた際に、第1サブ電極173および第2サブ電極174は、それぞれ第1導電性糸351および第2導電性糸352とは接触しないようにしている。一方で、尿漏れシート300に対して検知センサ100が正常に取り付けられない場合に、第1サブ電極173または第2サブ電極174は、第1導電性糸351または第2導電性糸352に接触するようにしている。
【0037】
制御部180は、電極部170による電流の検知、通信モジュール150による通信、通知部140による発光を制御するためのドライバ等を含む回路である。制御部180には、例えば特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)などを用いることができる。
【0038】
制御部180は、電極部170から得られる尿漏れシート300の後述する導電部350の電流の状態である電流情報を取得する。制御部180は、通信モジュール150を用いて外部に電流情報を送信する。尿漏れシート300が尿を吸収され、導電部350を構成する第1導電性糸351と第2導電性糸352との間の領域に尿が存在することで、第1導電性糸351と第2導電性糸352との間における電流の流れやすさ(すなわち抵抗)に変化が生じる。また、例えば第1導電性糸351と第2導電性糸352との間の領域に比較的多くの尿が存在するほど、導電部350を介して電流が流れやすくなる。一方で、例えば第1導電性糸351と第2導電性糸352との間の領域に比較的少ない量の尿しか存在しない場合には、導電部350を介して電流が流れにくくなる。このように、制御部180は、電極部170から得られる電流値を電流情報として特定する。
【0039】
制御部180は、電極部170と尿漏れシート300の導電部350との接続状態に応じた接続の判定を行う。そして、制御部180は、例えば判定結果に応じて通知部140を予め定められた態様で発光させる。
また、制御部180は、バッテリ160の電圧値に基づく充電量に関する情報を取得する。制御部180は、バッテリ160の電池残量に関する情報を、通信モジュール150を介して外部に送信することができる。また、制御部180は、電池残量に応じて通知部140を発光させることができる。
【0040】
制御部180は、尿漏れシート300の種類の特定を行う。制御部180は、導電部350に基準の電圧をかけたときに得られる電流値などに応じて、複数の尿漏れシート300の種類から、検知センサ100が接続している尿漏れシート300の種類を特定する。例えば尿漏れシート300は、吸水能力に応じてサイズが変化するとともに、導電部350の長さも異なってくる。そして、制御部180は、導電部350に所定の電圧をかけることで得られる電流値(抵抗値)に基づいて尿漏れシート300の種類を区別することが可能になる。そして、制御部180は、特定した尿漏れシート300の種類を、通信モジュール150を介して送信する。
なお、尿漏れシート300に、無線通信を介して識別情報の読み取りが可能なタグを設けてもよい。制御部は、そのタグから尿漏れシート300の種類を特定しても良い。
【0041】
充電電極部190は、図示しない充電器の充電端子と電気的に接続可能である。充電電極部190は、充電器から受電し、バッテリ160の充電を行う。
【0042】
続いて、本実施形態の尿漏れシート300について説明する。
【0043】
図4は、本実施形態の尿漏れシート300の説明図である。なお、
図4(A)は、尿漏れシート300を表側300Aから見た上面図である。
図4(B)は、
図4(A)に示すIVB-IVB線における尿漏れシート300の断面図である。
図5は、本実施形態のセンサ取付部360の説明図である。なお、
図5(A)は、尿漏れシート300を表側300Aから見た場合のセンサ取付部360の部分拡大図である。また、
図5(B)は、
図5(A)に示すVB-VB線における尿漏れシート300の部分断面図である。
【0044】
図1に示すように、尿漏れシート300は、下着20に装着される。尿漏れシート300は、後述する接着層380によって、表側300Aが下着20の裏側に貼り付けられる。また、本実施形態の尿漏れシート300には、上述した検知センサ100が取り付けられる。検知センサ100は、尿漏れシート300の一方側の端部に取り付けられる。本実施形態の尿漏れシート300において、検知センサ100は、ユーザにおける腹部側である前側に取り付けられる。検知センサ100は、尿漏れシート300が下着20に取り付けられた状態で、ユーザにおける上側となる尿漏れシート300の端部に設けられる。また、検知センサ100は、下着20と尿漏れシート300との間に挟み込まれるように配置される。
【0045】
検知センサ100は、一定の厚みを有している。したがって、尿漏れシート300においてユーザの背中側に検知センサ100を設けると、例えばユーザが椅子に座るなどした場合に検知センサ100が邪魔になる可能性がある。また、尿漏れシート300は、給水する尿の量に応じてサイズが変更される。このとき、尿漏れシート300において、ユーザの背中側である後側(
図1参照)のサイズを長くしたり短くしたりすることで吸収面積を調整する。すなわち、尿漏れシート300は、腹部側の端部の位置は変わらずに、後側の端部の位置がバリエーションによって変化する。そこで、本実施形態では、検知センサ100の取り付け位置が一定となるように、検知センサ100を尿漏れシート300においてユーザの腹部側に対応する端部に配置する。
【0046】
図4(B)に示すように、尿漏れシート300は、最も裏側300Bに設けられるトップシート部310と、トップシート部310の表側300Aに設けられる吸収体330と、吸収体330の表側300Aに設けられる導電部350とを備える。さらに、尿漏れシート300は、導電部350の表側300Aに設けられるバックシート部370と、バックシート部370の表側300Aに設けられる接着層380と、接着層380の表側300Aであって最も表側300Aに設けられる剥離シート部390とを備える。そして、尿漏れシート300は、検知センサ100の取付箇所を形成するセンサ取付部360を備える。
【0047】
トップシート部310は、ユーザの肌に接触する面を形成する。トップシート部310は、尿を透過する液浸透性を有する材料を用いて構成される。トップシート部310は、尿を吸収体330に移動させる作用がある。
吸収体330は、尿などの液体を吸収する。本実施形態の吸収体330は、高吸収性ポリマーを用いることができる。高吸収性ポリマーは、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであればよい。
【0048】
導電部350は、導電性を有する第1導電性糸351および第2導電性糸352を有する。第1導電性糸351および第2導電性糸352は、例えば金属細線や、導電性繊維、導電性繊維からなるフィラメント等を材料に用いることができる。本実施形態の第1導電性糸351および第2導電性糸352は、線状または帯状に形成されており、例えば後述する電極部170と接続するための特別な構造部を有していないシンプルな形状になっている。
【0049】
そして、
図4(A)に示すように、第1導電性糸351および第2導電性糸352は、尿漏れシート300の長手方向に沿って延伸して設けられる。第1導電性糸351および第2導電性糸352は、尿漏れシート300の長手方向の略全幅に亘って設けられる。第1導電性糸351および第2導電性糸352は、尿漏れシート300の長手方向と交差する方向(以下、幅方向)における中央部に設けられる。また、第1導電性糸351と第2導電性糸352とは、予め定められた長さWの間隔を有して略平行に設けられる。
【0050】
図4(B)に示すように、バックシート部370は、吸収体330が保持している尿が下着20を濡らさないようするための構成部である。バックシート部370は、液不透過性を備えた基材を用いて形成される。液不透過性の材料には、不透液性のポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることができる。
【0051】
接着層380は、尿漏れシート300をユーザの下着20に対して取り付けるために設けられる。接着層380には、公知の粘着剤を用いることができる。
剥離シート部390は、接着層380を覆って保護するために使用される。剥離シート部390は、接着層380に対して剥離可能に貼り付けられている。そして、剥離シート部390は、尿漏れシート300を下着20に装着する際に剥がされる。
【0052】
図4(A)に示すように、センサ取付部360は、尿漏れシート300の長手方向における一端側に設けられる。そして、センサ取付部360は、開口する開口部375と、検知センサ100の取付位置を案内する枠表示部377とを有する。
【0053】
図5(B)に示すように、開口部375は、接着層380およびバックシート部370の一部の領域であって、導電部350に対応する領域が開口することで形成される。開口部375は、検知センサ100が電極部170(
図2(B)参照)の外形に対応して開口する。そして、開口部375は、尿漏れシート300の表側300Aにおいて導電部350の一部を露出させる。これによって、開口部375は、検知センサ100の電極部170が導電部350と電気的に接続可能な箇所を形成する。
【0054】
また、
図5(A)に示すように、センサ取付部360において、枠表示部377の内側であって開口部375の外側となる領域に接着層380が設けられる。この接着層380には、検知センサ100の底面部111における電極部170以外の部分が接着される。そして、センサ取付部360は、接着層380に底面部111を接着させることで、検知センサ100を保持する。この場合に、検知センサ100の底面部111は、センサ取付部360に保持される被保持部として機能する。
【0055】
枠表示部377は、バックシート部370に形成された線であって、検知センサ100を取り付ける位置を示す。本実施形態の枠表示部377は、バックシート部370とは異なる色である例えば水色の破線で表示される。枠表示部377に合わせて検知センサ100を取り付けることで、検知センサ100の電極部170と導電部350とが電気的に接続されるように、ユーザに対して視覚的に取り付け位置の案内をする。
【0056】
なお、枠表示部377は、検知センサ100を取り付ける向きを案内してもよい。本実施形態では、検知センサ100に設けられる通知部140が尿漏れシート300の長手方向における位置を指示する。具体的には、枠表示部377は、「表示ランプがこちら側」といったようにテキストや矢印で方向を案内する表示を行ってもよい。
【0057】
以上のように構成される尿漏れシート300に対して検知センサ100が取り付けられる。このとき、検知センサ100は、センサ取付部360が設けられる尿漏れシート300の裏側300Bにおいて、電極部170以外の箇所が接着層380に対向することになる。そして、検知センサ100は、接着層380によって接着され、尿漏れシート300に対して第1方向および第2方向において動かないように取り付けられる。さらに、検知センサ100は、尿漏れシート300と下着20との間に挟み込まれる。
【0058】
これによって、検知センサ100は、厚み方向、第1方向および第2方向において尿漏れシート300に対してずれにくく取り付けられるようになっている。また、本実施形態のセンサ取付部360は、検知センサ100が取り付けられることで、電極部170と導電部350とが電気的に接続するように位置を合わせるように機能している。
【0059】
以上のように、本実施形態の検知システム10では、検知センサ100は、接着層380に接着することで、上下左右方向にずれにくく保持される。また、検知センサ100は、厚み方向においても、尿漏れシート300と下着20との間に挟まれて保持される。このように、検知センサ100は、上下左右方向および厚み方向である前後方向において保持されることで、安定して尿漏れシート300に取り付けられる。これによって、検知センサ100の電極部170と尿漏れシート300の導電部350との電気的な接続も安定する。
【0060】
図6(A)および
図6(B)は、本実施形態の電極部170と導電部350との接続に関する説明図である。なお、
図6(A)は、電極部170と導電部350との接続が正常な場合である。
図6(A)は、電極部170と導電部350との接続が異常な場合である。
【0061】
検知センサ100が尿漏れシート300に取り付けられた場合、電極部170と導電部350とが電気的に接続する。そして、検知センサ100は、導電部350における通電状態に基づいて尿を検知可能になっている。
【0062】
図6(A-1)に示すように、尿漏れシート300に対する検知センサ100の取り付け位置が正常な場合、第1導電性糸351は、第1メイン電極171に接触する。また、第2導電性糸352は、第2メイン電極172に接触する。この場合に、第1導電性糸351および第2導電性糸352は、第1サブ電極173および第2サブ電極174と接触しない。このとき、制御部180は、検知センサ100が正常に接続していると判定する。
【0063】
そして、
図6(A-2)に示すように、制御部180は、第1導電性糸351が第1メイン電極171と接触し、第2導電性糸352が第2メイン電極172と接触し、正常に接続したと判定された時点から、通知部140を予め定められた一定期間(例えば5秒間)、連続して通知部140を発光させる。本実施形態の通知部140は、例えば緑色に発光させる。これによって、ユーザが検知センサ100を尿漏れシート300に取り付けた際に、正常に取り付けられているとユーザに認識させることができる。
【0064】
一方で、
図6(B-1)に示すように、尿漏れシート300に対する検知センサ100の取り付け位置が第1方向においてずれている場合、第1導電性糸351は、第1メイン電極171および第1サブ電極173には接触せずに、第2メイン電極172に接触する。一方で、第2導電性糸352は、第2メイン電極172および第2サブ電極174に接触する。この場合に、制御部180は、第2メイン電極172と第2サブ電極174との間で通電が確認できる。これをもって、制御部180は、検知センサ100の尿漏れシート300に対する取り付けに異常があると判定する。
【0065】
なお、
図6(B-1)に示す尿漏れシート300と検知センサ100との第1方向におけるずれの位置関係が逆の場合っであっても、制御部180は、第1導電性糸351および第2導電性糸352に対する、第1メイン電極171および第1サブ電極173の接触状態に基づいて取り付けの異常を判定することができる。
【0066】
そして、
図6(B-2)に示すように、制御部180は、例えば第1導電性糸351が第1メイン電極171と接触し、第1サブ電極173にも第1導電性糸351が接触し、異常な接続があると判定された時点から、予め定められた一定期間(例えば5秒間)の間に間欠的に通知部140を発光させる。つまり、制御部180は、通知部140を予め定められた一定期間(例えば5秒間)の間に通知部140を点滅させる。本実施形態の通知部140は、正常である場合の発光色とは異なる例えば赤色に発光させる。これによって、ユーザが検知センサ100を尿漏れシート300に取り付けた際に、取り付けに異常があるとユーザに認識させることができる。
【0067】
なお、制御部180は、正常時と同様に、一定期間(例えば5秒間)の間に連続して通知部140を発光させてもよい。この場合、制御部180は、異常接続時の通知部140の発光色を正常接続時の通知部140の発光色とは異ならせる。
【0068】
以上のように構成される本実施形態の制御部180は、正常に接続される場合および接続に異常があった場合に、それぞれ、通知部140を比較的長い長時間、常時発光させるのではなく、比較的短い短時間だけ発光させている。これによって、ユーザが検知センサ100を身に着けたときに、検知センサ100が発光して検知センサ100が目立たないようにしている。
【0069】
また、制御部180は、正常に接続された場合と、接続に異常があった場合に、それぞれの発光パターンの開始時間から終了時間までの一連の期間を同じにしている。すなわち、正常な接続が行われた場合に、本実施形態の制御部180は、通知部140を緑色に連続して発光させる際、緑色の発光開始から発光終了までを特定期間の間に行う。一方で、異常な接続が行われた場合にも、本実施形態の制御部180は、通知部140を赤色で複数回点滅させる際、赤色の複数の点滅の発光開始から発光終了までを同じ特定期間の間に行う。このように、発光パターンが異なる場合でも、その発光パターンを実行する期間を同じにすることで、ユーザが決まった期間だけ通知部140を確認すれば良いようにしている。
【0070】
続いて、変形例が適用される検知システム10について説明する。
(変形例1)
図7は、変形例1の尿漏れシート300の説明図である。
【0071】
図7に示すように、変形例1が適用される尿漏れシート300のセンサ取付部360は、表側300Aにて裏側300Bに向けて矩形状に窪む凹部361を有する。
凹部361は、少なくとも吸収体330、導電部350、バックシート部370および接着層380が裏側300Bに向けて窪ませられる加工によって形成される。凹部361は、本実施形態の検知センサ100の底面部111の外形よりも一回り大きく形成される。凹部361は、検知センサ100の厚み方向における少なくとも一部が埋没する程度の深さに形成される。
【0072】
そして、凹部361は、検知センサ100を尿漏れシート300に取り付ける際、検知センサ100が嵌まり込むように、構造によって検知センサ100の取付位置を案内する。このように、凹部361は、検知センサ100の第1方向および第2方向において、検知センサ100を取り付ける位置を案内する。
【0073】
なお、変形例1が適用される尿漏れシート300においても、検知センサ100の底面部111が接着層380に接着されて固定される。
また、変形例1が適用される尿漏れシート300でも、凹部361の周囲に枠表示部377が印刷される。これによって、本実施形態の検知システム10では、検知センサ100を尿漏れシート300に取り付ける際に、凹部361による構造的な取付位置の案内とともに、凹部361による視覚的な取付位置の案内がユーザに対して示される。
【0074】
(変形例2)
図8は、変形例2の尿漏れシート300の説明図である。なお、
図8(A)は、変形例2の尿漏れシート300の全体図である。
図8(B)は、変形例2の尿漏れシート300を表側300Aから見た上面図である。
図8(C)は、
図8(B)に示すVIIIB-VIIIB線における尿漏れシート300の部分断面図である。
【0075】
図8(A)に示すように、変形例2の尿漏れシート300は、導電部350が尿漏れシート300の端部から更に外側に延伸している。すなわち、第1変形例では、導電部350は、尿漏れシート300の少なくとも吸収体330の一方の端部から一部が突出するように設けられる。
そして、
図8(B)に示すように、変形例2の尿漏れシート300は、突出した導電部350を折り返して用いる。折り返した部分は、下着20を挟むように設けられ、下着20の外側に設けられることになる。尿漏れシート300は、折り返した部分の内側に接着層380が形成されている。そのため、下着20の表側および裏側の両方の面に対して尿漏れシート300を貼り付けることができる。
【0076】
図8(C)に示すように、変形例2の尿漏れシート300は、折り返した部分に、導電部350の一部が露出する。そして、検知センサ100は、尿漏れシート300を折り返すことで露出した部分に取り付ける。このとき、検知センサ100の電極部170および尿漏れシート300の導電部350は、互いに電気的に接続される。
【0077】
変形例2の尿漏れシート300では、例えば上述した実施形態の尿漏れシート300のように、一部に開口部375などを設ける加工が不要になる。また、検知センサ100は、下着20の外側に設けることが可能になる。
【0078】
(変形例3)
図9は、変形例3の尿漏れシート300の説明図である。なお、
図9(A)は、変形例3の尿漏れシート300を表側300Aからみた上面図である。
図9(B)は、
図9(A)に示すIXB-IXB線における尿漏れシート300の部分断面図である。
【0079】
図9(A)に示すように、変形例3の尿漏れシート300は、バックシート部370および接着層380の第2方向における一方の端部が形成されていない。これによって、変形例3の尿漏れシート300は、第2方向における一方の端部にて、導電部350の一部が露出する露出部340を形成する。
【0080】
また、変形例3が適用される尿漏れシート300は、導電部350が露出される露出部340に対して第2方向における他方側にカシメ部345を有する。カシメ部345は、尿漏れシート300の表側300Aおよび裏側300Bの両方から尿漏れシート300を圧着させて厚みを狭めることで形成される。そして、カシメ部345は、露出部340が尿漏れシート300の一部を露出させることに伴って、吸収体330から吸収した尿が漏れ出すことを抑制する。
【0081】
なお、変形例3のカシメ部345は、例えば変形例1や変形例2において導電部350が露出する箇所に隣り合って設けてもよい。この場合においても、導電部350を露出させることに伴って吸収体330から尿が漏れ出すことを抑制できる。
【0082】
そして、
図9(B)に示すように、変形例3の尿漏れシート300に対して検知センサ100を取り付ける。このとき、検知センサ100は、底面部111が接着層380に接着することで、尿漏れシート300に固定される。また、検知センサ100が尿漏れシート300に取り付けられることで、導電部350と電極部170とが電気的に接続される。
【0083】
(変形例4)
図10は、変形例4の尿漏れシート300の説明図である。なお、
図10(A)は、変形例4の尿漏れシート300を表側300Aからみた上面図である。
図10(B)は、
図10(A)に示すXB-XB線における尿漏れシート300の部分断面図である。
【0084】
図10(A)に示すように、変形例4の尿漏れシート300は、シート側電極359を備えている。シート側電極359は、導電性を有する電子部品である。本実施形態のシート側電極359は、第1導電性糸351および第2導電性糸352にそれぞれ対応して1対に設けられる。各シート側電極359は、一端側が導電部350(第1導電性糸351または第2導電性糸352)に電気的に接続し、他端側が接着層380側にて露出している。このように、シート側電極359は、バックシート部370および接着層380を貫通して設けられる。
【0085】
変形例4の尿漏れシート300を採用する場合、検知センサ100の電極部170(
図2参照)は、シート側電極359に対応する形状にすることができる。例えば電極部170は、シート側電極359が内側に嵌まり込む円環状の凹部状に形成することができる。さらに、電極部170は、弾性を利用してシート側電極359が嵌まり込んで引っ掛けることで機械的にシート側電極359を固定可能に構成してもよい。
そして、変形例4の尿漏れシート300においても、検知センサ100(
図2参照)の本体は、接着層380に貼り付けられて固定される。また、変形例4の尿漏れシート300においても、枠表示部377を設けることができる。
【0086】
なお、変形例4のシート側電極359の形状に代えて他の構造によって、尿漏れシート300の導電部350と検知センサ100の電極部170とを電気的に接続してもよい。この場合に、例えば金属などの導電部品をバックシート部370および接着層380を貫通させて内側の導電部350と電気的に接続させる。そして、導電部350に電気的に接続する導電部品を接着層380側にて露出させればよい。
【0087】
(変形例5)
図11は、変形例5の尿漏れシート300の説明図である。なお、
図11(A)は、変形例5の尿漏れシート300を表側300Aからみた上面図である。
図11(B)は、
図11(A)に示すXIB-XIB線における尿漏れシート300の部分断面図である。
【0088】
図11(A)に示すように、変形例5の尿漏れシート300は、導電部350を構成する第1導電性糸351および第2導電性糸352がバックシート部370にそれぞれ編み込まれている。そして、
図11(B)に示すように、第1導電性糸351および第2導電性糸352は、それぞれバックシート部370の表面側および裏面側にて断続的に露出するように形成される。なお、変形例5の尿漏れシート300を製造する際には、第1導電性糸351および第2導電性糸352が予め縫い込まれたバックシート部370用のシートを材料に用いることができる。
【0089】
そして、変形例5の尿漏れシート300においても、検知センサ100の本体は、接着層380に貼り付けられて固定される。そして、検知センサ100は、電極部170を尿漏れシート300において接着層380側にて露出している第1導電性糸351および第2導電性糸352に電気的に接続させることができる。
【0090】
(他の変形例)
本実施形態では、尿漏れシート300に導電部350を設けて検知センサ100により尿を検知しているが、この態様に限定されない。本実施形態の検知システム10は、尿を吸収するとともに吸収した尿を外部に漏らさない機能を有する下着である所謂吸水ショーツに適用することができる。吸水ショーツは、例えば洗濯などを行って乾かすことで下着と同様に繰り返し使用することができる。そして、この吸水ショーツに導電部350を設け、導電部350に検知センサ100を着脱可能に設ける。
【0091】
吸水ショーツには、検知センサ100が取り付けられるポケット部(保持部の一例)を形成する。ポケット部は、検知センサ100の位置決めを行う。この場合に、ポケット部は、検知センサ100を保持することで、検知センサ100の電極部170と吸水ショーツに設けられる導電部350とが電気的に接続するように位置を定める。このように、吸水ショーツに設けられられた導電部350に対しても検知センサ100の電極部170を電気的に接続させることができる。
【0092】
(他の変形例)
さらに、本実施形態の検知システム10は、吸収体が設けられるとともにユーザが下着のように穿くパンツ型のものであって使い捨タイプの所謂大人用おむつにも適用することができる。この場合においては、大人用のおむつにおいても、検知センサ100を保持する保持部を形成する。保持部は、検知センサ100の位置決めを行う。この場合に、保持部は、検知センサ100を保持することで、検知センサ100の電極部170と大人用おむつに設けられる導電部350とが電気的に接続するように位置を定める。このように、大人用おむつに設けられられた導電部350に対しても検知センサ100の電極部170を電気的に接続させることができる。
【0093】
続いて、本実施形態の検知システム10を含む情報処理システム1の説明を行う。
【0094】
図12は、本実施形態の情報処理システム1の全体図である。
【0095】
図12に示すように、情報処理システム1は、検知センサ100と、検知センサ100を用いるユーザが利用する端末装置200と、検知センサ100に関する情報を処理するサーバ装置400とを備える。
検知センサ100、端末装置200およびサーバ装置400は、ネットワークを介して相互に情報の送受信を行うことが可能である。
【0096】
また、端末装置200およびサーバ装置400は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)と、記憶手段である主記憶装置(メイン・メモリ)および外部記憶装置を備える。また、端末装置200およびサーバ装置400は、画像を表示する表示部(ディスプレイ)と、コンピュータの操作者による入力操作が行われる、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスと、ネットワーク通信のためのネットワーク・インターフェイスとを備える。
【0097】
端末装置200は、検知センサ100を用いるユーザが操作するものである。端末装置200は、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット型端末などの携帯端末機器等、ユーザが携行することが可能な装置を用いることができる。本実施形態の端末装置200は、タッチパネルが設けられており、表示部をユーザがタッチ操作することで表示部に表示される画像に対する操作や指示を行う。なお、端末装置200は、設置型のパーソナルコンピュータ(PC)でもよい。
【0098】
本実施形態の端末装置200は、検知センサ100から電流情報などの各種の情報を取得する。そして、端末装置200は、検知センサ100から取得した各種の情報をサーバ装置400に送信する。
【0099】
端末装置200は、検知センサ100の通信モジュール150を介して取得した各種の情報に基づいて、ユーザに対して情報を表示することができる。
【0100】
本実施形態の端末装置200は、尿漏れシート300に対する検知センサ100の取り付けが不十分であり、制御部180から接続の異常に関する情報を取得した場合に、接続異常に関する情報を画面に表示させてもよい。これによって、ユーザに、尿漏れシート300に対する検知センサ100の接続異常を知らせるとともに、検知センサ100を取り付け直すことを促すことができる。
【0101】
端末装置200は、バッテリ160の電池残量に関する情報を取得した場合に、その情報を画面に表示させてもよい。これによって、端末装置200は、検知センサ100の電池残量を知らせるとともに、検知センサ100の充電をユーザに促すことができる。
【0102】
端末装置200は、制御部180から取得した導電部350を介して流れる電流の情報に基づいて吸収体330が吸収した尿の量を特定し、尿の量に関する情報を画面に表示させてもよい。この場合、端末装置200は、尿漏れの量をユーザに通知することができる。また、端末装置200は、尿漏れの量に応じて、尿漏れシート300の取替タイミングに関する情報を表示させることができる。この場合に、端末装置200は、検知センサ100から取得した尿漏れシート300の種類に応じた給水量の能力に関する情報と、導電部350を介して流れる電流に基づいて特定した尿漏れの量の情報とを用いて、取替タイミングを通知することができる。
【0103】
端末装置200は、ユーザの尿漏れシート300の利用に関する情報に基づいて、そのユーザに適した尿漏れシート300の種類の推奨情報を画面に表示することができる。これによって、ユーザは、自身の身体に合った尿漏れシート300を使うことが可能になる。
【0104】
サーバ装置400は、端末装置200を介して検知センサ100から取得可能な各種の情報を収集する。そして、サーバ装置400は、複数のユーザからそれぞれ検知センサ100の情報を取得することができる。このように、本実施形態の情報処理システム1は、サーバ装置400によって、複数のユーザについての尿漏れシート300の利用に関する情報を収集可能である。
【0105】
なお、検知センサ100における尿漏れに関する尿(体液)の検出方法は、任意であり、上述したような電気的な特性の変化を利用する方法に代えてまたは加えて、湿気や臭気の変化を検出する方法が利用されてもよい。
【0106】
ここで、検知システム10は、検知システムの一例である。検知センサ100は、検知装置の一例である。尿漏れシート300は、着用体の一例である。第1表面部114は、第1構造部の一例である。第2表面部115は、第2構造部の一例である。底面部111は、被取付部の一例である。通知部140は、通知部および発光部の一例である。電極部170は、接続部の一例である。第1メイン電極171および第2メイン電極172は、第1電極部の一例である。第1サブ電極173および第2サブ電極174は、第2電極部の一例である。制御部180は、取得部および特定部の一例である。吸収体330は、吸収部の一例である。導電部350は、導電部の一例である。センサ取付部360は、取付部の一例である。接着層380は、貼付部の一例である。開口部375は、露出部の一例である。カシメ部345は、抑制部の一例である。枠表示部377は、表示部の一例である。凹部361は、案内部の一例である。
【0107】
なお、上記では種々の変形例を説明したが、これらの変形例同士や変形例と本実施形態とを組み合わせて構成してもよい。また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0108】
1…情報処理システム、10…検知システム、100…検知センサ、110…筐体部、111…底面部、113…表面部、114…第1表面部、115…第2表面部、140…通知部、170…電極部、171…第1メイン電極、172…第2メイン電極、173…第1サブ電極、174…第2サブ電極、180…制御部、200…端末装置、300…尿漏れシート、300A…表側、300B…裏側、330…吸収体、340…露出部、345…カシメ部、350…導電部、351…第1導電性糸、352…第2導電性糸、360…センサ取付部、361…凹部、370…バックシート部、375…開口部、377…枠表示部、380…接着層、390…剥離シート部、400…サーバ装置