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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168835
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動式車両洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20241128BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60S3/04
B08B3/02 E
B08B3/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085827
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】511259289
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス関東
(71)【出願人】
【識別番号】391013715
【氏名又は名称】日本車輌洗滌機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高木 誠
(72)【発明者】
【氏名】増田 尚弘
【テーマコード(参考)】
3B201
3D026
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB92
3B201BB94
3D026AA02
3D026AA12
3D026AA62
(57)【要約】
【課題】 車両全体を洗浄できて、且つ、任意の設置場所に設置可能な移動式の車両洗浄装置を提供することにある。
【解決手段】 ゲート状の本体洗浄機20からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機20を通過する車両90を洗浄する車両洗浄装置10である。本体洗浄機20は、左右一対のサイドフレーム31,31及びトップフレーム36からなるコ字形のゲート部30と、サイドフレーム31の下端に車両90の通行方向へ向けて敷設する土台部40と、ゲート部30に取り付けられた液体噴射用配管及び噴射ノズル50と、を備えた本体洗浄機20の土台部40に差込孔41,41を形成し、この差込孔41,41にフォーク式荷役機器95のフォーク96,69を差し込み本体洗浄機20を移動する。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機を通過する車両を洗浄する車両洗浄装置であって、
水平方向に延伸するフォークを備えたフォーク式荷役機器のフォークが差し込める差込孔を本体洗浄機に形成し、フォーク式荷役機器により本体洗浄機の移動が可能なことを特徴とする移動式車両洗浄装置。
【請求項2】
左右一対のサイドフレーム及びサイドフレームの上端どうしを架設するトップフレームからなるコ字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部に差込孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項3】
左右いずれかのサイドフレーム及びサイドフレームの上端から車両の通行方向と直交する方向へ延びるトップフレームからなるL字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部に差込孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項4】
土台部がサイドフレームと接続する接続箇所から対称となる位置へ一対の差込孔を形成したことを特徴とする請求項2又は3記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項5】
トップフレームの真下に設置するとトップフレーム方向へ液体を噴射させる液体噴射用配管及び噴射ノズルを備えた移し置き可能な下部洗浄機を、本体洗浄機と組み合わせて設けたことを特徴とする請求項1記載の移動式車両洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両、特に各種作業等に用いられる大型車両を洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冬期の雪氷作業に用いられる車両(雪氷車両)には凍結防止剤(塩化ナトリウム等)が付着し、発錆による腐食が生じ得る。そのため、雪氷作業を終えて車両が基地に戻ると当該車両の洗浄を行う必要がある。この洗浄を人力ではなく、機械(装置)による自動化を実現すべく、特許文献1の「車両移動型の車両下部洗浄装置」が開発された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-74364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、特許文献1の考案は、凍結防止剤が車両の下面に多く付着するとして、車両下部を洗浄することに限定されている。
しかし、必ずしも、凍結防止剤が車両下面だけに付着するとは限らず、腐食防止や清掃という観点からは、車両下部に限らず、車両全体を洗浄することが求められる。
【0005】
また、特許文献1の考案は、固定式(据え置き式)であって、一度設置したら基本的に移動することはできない。
しかし、雪氷車両に洗浄が必要になるのは冬期であって、通年ではない。従って、必要な時に必要な場所に設置できる移動式のものであれば、適材適所で好ましい。
【0006】
そこで、本願発明者は、車両全体を洗浄でき、且つ、任意の設置場所に設置可能な移動式の車両洗浄装置を提供すべく、鋭意試験・研究を行い、本願発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の発明は、ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機を通過する車両を洗浄する車両洗浄装置であって、水平方向に延伸するフォークを備えたフォーク式荷役機器のフォークが差し込める差込孔を本体洗浄機に形成し、フォーク式荷役機器により本体洗浄機の移動が可能なことを特徴とする移動式車両洗浄装置である。
第2の発明は、左右一対のサイドフレーム及びサイドフレームの上端どうしを架設するトップフレームからなるコ字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部に差込孔を形成したことを特徴とする上記第1の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
第3の発明は、左右いずれかのサイドフレーム及びサイドフレームの上端から車両の通行方向と直交する方向へ延びるトップフレームからなるL字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部に差込孔を形成したことを特徴とする上記第1の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
第4の発明は、土台部がサイドフレームと接続する接続箇所から対称となる位置へ一対の差込孔を形成したことを特徴とする上記第2の発明又は第3の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
第5の発明は、トップフレームの真下に設置するとトップフレーム方向へ液体を噴射させる液体噴射用配管及び噴射ノズルを備えた移し置き可能な下部洗浄機を、本体洗浄機と組み合わせて設けたことを特徴とする上記第1の発明から第4の発明のいずれかに係る移動式車両洗浄装置である。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、その本体洗浄機を車両が通過することで、車両下部のみではなく、車両全体を洗浄することが可能になる。また、フォーク式荷役機器のフォークを差し込める差込孔が本体洗浄機に形成されているので、フォーク式荷役機器を使って本体洗浄機(車両洗浄装置)を移動することが可能になる。
(2)本願発明は、本体洗浄機がサイドフレーム(左右一対のタイプ又は左右一方のタイプ)とトップフレームと土台部と液体噴射用配管及び噴射ノズルとからなる極めてシンプルな構造であるので、重量を最低限に抑えて(軽量化されて)、その移動が容易になる。また、差込孔が本体洗浄機の基礎である土台部に形成されているので、フォーク式荷役機器を使った移動が安定する。
(3)本願発明は、差込孔が土台部のサイドフレームと接続する接続箇所から対称となる位置へ一対で形成されているので、差込孔へ差し込むフォーク式荷役機器の各フォークへ均等の重量がかかりバランスがとれて、よりフォーク式荷役機器を使った移動が安定する。
(4)車両下面への洗浄が可能な下部洗浄機を備えることで、車両全体の洗浄をより確実に行える。また、下部洗浄機を本体洗浄機とは別に設けて、本体洗浄機と下部洗浄機とを別々に移動し、設置場所で本体洗浄機と下部洗浄機と組み合わせて使用することで、車両洗浄装置の移動と設置が簡易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(1)。
図2】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(2)。
図3】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(3)。
図4】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(4)。
図5】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(5)。
図6】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(6)。
図7】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(7)。
図8】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(8)。
図9】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(9)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る移動式車両洗浄装置の正面図、図2は同背面図、図3は同平面図、図4は同底面図、図5は同右側面図、図6は同左側面図、図7は同斜視図、図8は同使用状態を示す参考図1である。
図1図7に図示するように、本願発明に係る移動式車両洗浄装置10は、本体洗浄機20と、下部洗浄機60と、を組み合わせてなる。
【0011】
本体洗浄機20は、コ字形のゲート部30と、土台部40と、液体噴射用配管及び噴射ノズル50と、を備える。
ゲート部30は、左右一対のサイドフレーム31,31と、サイドフレーム31,31の上端どうしを架設するトップフレーム36によって、コ字形に形成されている。そして、このコ字形のゲート部を洗浄対象となる車両90(図示では、雪氷車両)が通過する。
【0012】
土台部40は、本体洗浄機20の基礎となるものであって、サイドフレーム31の下端に車両90の通行方向へ向けて敷設される。
液体噴射用配管及び噴射ノズル50は、ゲート部30を通過する車両90に向けて液体を噴射するために設けられるもので、ゲート部30(サイドフレーム31,31とトップフレーム36)を躯体として取り付けられる。なお、液体噴射用配管及び噴射ノズル50に液体を送水するためのポンプやタンクは当然に必要であるが、一般的な構成であるのでその図示は省略する。
【0013】
下部洗浄機60は、車両90の通過する路面上に設置されるものであり、トップフレーム36の真下を跨ぐように設置される。そして、本体洗浄機20が、コ字形のゲート部30を備えて液体噴射用配管及び噴射ノズル50を取り付けているので、ゲート部30を通過する車両90の主として正面・背面・上面・両側面を洗浄することになる。また、下部洗浄機60は、路面上に設置されているので、その上を通過する車両90の主として下面・正面・背面を洗浄することになる。その結果、移動式車両洗浄装置10は、車両90の全体(正面・背面・上面・下面・両側面の全て)を死角なく満遍に洗浄することができる。
【0014】
本体洗浄機20と下部洗浄機60は、一体化されておらず、構造上は別体となっている。従って、任意の設置場所で組み合わせて設置されることによって、初めて1台の移動式車両洗浄装置10として稼働する。
【0015】
本体洗浄機20の移動は、図5図7に図示する土台部40に形成された差込孔41,41によって行われる。図示するように、土台部40のサイドフレーム31と接続する接続箇所から対称となる位置に一対の差込孔41,41が形成されている。なお、本体洗浄機20の特徴の1つに、この土台部40の差込孔41,41があるので、図面上差込孔41を実線で、その他の部分を破線で表してもよい。
【0016】
図9は、この差込孔41,41を利用して、本体洗浄機20を移動する方法を図示したも参考図2である。本体洗浄機20の移動には、水平方向に延伸するフォーク96,96を備えたフォーク式荷役機器95を用いる。
図示するように、フォーク式荷役機器95のフォーク96,96を差込孔41,41に差し込み、このフォーク式荷役機器95を操作することで、本体洗浄機20を確実に移動することができる。また、左右の土台部40,40のそれぞれに差込孔41,41を形成しているので、2台のフォーク式荷役機器95を用いて本体洗浄機20を移動することができる。
【0017】
フォーク式荷役機器95を用いた移動の場合、移動対象物を一旦持ち上げて(縦への移動)、それから移動(横への移動)することになるので、重量やバランスが非常に重要になる。本体洗浄機20の場合、洗浄機として必要な最少限度の構成(ゲート部30,土台部40,液体噴射用配管及び噴射ノズル50)にして、できる限り重量を減らしている。また、差込孔41,41を本体洗浄機20の躯体であるサイドフレーム31から対称となる位置に形成しているので、バランスが保たれる状態になる。その結果、重量やバランスの問題をクリアして、本体洗浄機20を安全且つ確実にフォーク式荷役機器95で移動することが可能になった。
【0018】
なお、移動式車両洗浄装置10は、本体洗浄機20に飛沫除け21を設けてもよい。
また、移動式車両洗浄装置10は、コ字形のゲート部30であるが、サイドフレームを左右どちらか一方のみにしたL字形のゲート部であったもよい。この場合、土台部は1個になるので、移動の際に使用するフォーク式荷役機器は1台となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願発明に係る移動式車両洗浄装置は、車両の洗浄を自動化するものとして幅広く利用できる。特に、車両の大小は問わないが、移動式であるので、雪氷車両等その使用が特定の時期に限定されるものや、災害等の緊急時に一時的・暫定的に設置が求められる場合に有効に活用できるものである。
【符号の説明】
【0020】
10 移動式車両洗浄装置
20 本体洗浄機
21 飛沫除け
30 ゲート部
31 サイドフレーム
36 トップフレーム
40 土台部
41 差込孔
50 液体噴射用配管及び噴射ノズル
60 下部洗浄機
70 液体噴射用配管及び噴射ノズル
90 車両
95 フォーク式荷役機器
96 フォーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9