IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ネクスコ・メンテンナンス関東の特許一覧 ▶ 日本車輌洗滌機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図1
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図2
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図3
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図4
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図5
  • 特開-移動式車両洗浄装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168836
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動式車両洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/04 20060101AFI20241128BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60S3/04
B08B3/02 B
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085828
(22)【出願日】2023-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】511259289
【氏名又は名称】株式会社ネクスコ・メンテナンス関東
(71)【出願人】
【識別番号】391013715
【氏名又は名称】日本車輌洗滌機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】高木 誠
(72)【発明者】
【氏名】増田 尚弘
【テーマコード(参考)】
3B201
3D026
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB92
3B201BB94
3D026AA02
3D026AA12
3D026AA62
(57)【要約】
【課題】 車両全体を洗浄できて、且つ、任意の設置場所に設置可能な移動式の車両洗浄装置を提供することにある。
【解決手段】 ゲート状の本体洗浄機20からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機20を通過する車両90を洗浄する車両洗浄装置10である。本体洗浄機20は、左右一対のサイドフレーム31,31及びトップフレーム36からなるコ字形のゲート部30と、サイドフレーム31の下端に車両90の通行方向へ向けて敷設する土台部40と、ゲート部30に取り付けられた液体噴射用配管・噴射ノズル50と、を備えた本体洗浄機20の土台部40の外側に沿って重量物であるH型鋼53,53を上下に重ねて配置してなる固定機構52を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機を通過する車両を洗浄する車両洗浄装置であって、
本体洗浄機に、キャスターと、車両洗浄装置の設置面に対してキャスターを昇降させるアジャスターと、を有する移動機構を備え、本体洗浄機の移動が可能なことを特徴とする移動式車両洗浄装置。
【請求項2】
左右一対のサイドフレーム及びサイドフレームの上端どうしを架設するトップフレームからなるコ字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部の両端にそれぞれ移動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項3】
左右いずれかのサイドフレーム及びサイドフレームの上端から車両の通行方向と直交する方向へ延びるトップフレームからなるL字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部の両端にそれぞれ移動機構を備えたことを特徴とする請求項1記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項4】
移動機構のアジャスターは、キャスターを取り付ける基盤となる移動基部にキャスターを囲むように3本以上立設し、移動基部を上下高さ方向に調整可能な脚体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項5】
本体洗浄機に重量物を配した固定機構を接続して、本体洗浄機を車両洗浄装置の設置面に固定可能なことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の移動式車両洗浄装置。
【請求項6】
トップフレームの真下に設置するとトップフレーム方向へ液体を噴射させる液体噴射用配管及び噴射ノズルを備えた移し置き可能な下部洗浄機を、本体洗浄機と組み合わせて設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の移動式車両洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車両、特に各種作業等に用いられる大型車両を洗浄するための洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冬期の雪氷作業に用いられる車両(雪氷車両)には凍結防止剤(塩化ナトリウム等)が付着し、発錆による腐食が生じ得る。そのため、雪氷作業を終えて車両が基地に戻ると当該車両の洗浄を行う必要がある。この洗浄を人力ではなく、機械(装置)による自動化を実現すべく、特許文献1の「車両移動型の車両下部洗浄装置」が開発された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63-74364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
但し、特許文献1の考案は、凍結防止剤が車両の下面に多く付着するとして、車両下部を洗浄することに限定されている。
しかし、必ずしも、凍結防止剤が車両下面だけに付着するとは限らず、腐食防止や清掃という観点からは、車両下部に限らず、車両全体を洗浄することが求められる。
【0005】
また、特許文献1の考案は、固定式(据え置き式)であって、一度設置したら基本的に移動することはできない。
しかし、雪氷車両に洗浄が必要になるのは冬期であって、通年ではない。従って、必要な時に必要な場所に設置できる移動式のものであれば、適材適所で好ましい。
【0006】
そこで、本願発明者は、車両全体を洗浄でき、且つ、任意の設置場所に設置可能な移動式(仮設式)の車両洗浄装置を提供すべく、鋭意試験・研究を行い、本願発明を完成させるに至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の第1の発明は、ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、本体洗浄機を通過する車両を洗浄する車両洗浄装置であって、本体洗浄機に、キャスターと、車両洗浄装置の設置面に対してキャスターを昇降させるアジャスターと、を有する移動機構を備え、本体洗浄機の移動が可能なことを特徴とする移動式車両洗浄装置である。
第2の発明は、左右一対のサイドフレーム及びサイドフレームの上端どうしを架設するトップフレームからなるコ字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部の両端にそれぞれ移動機構を備えたことを特徴とする上記第1の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
第3の発明は、左右いずれかのサイドフレーム及びサイドフレームの上端から車両の通行方向と直交する方向へ延びるトップフレームからなるL字形のゲート部と、サイドフレームの下端に車両の通行方向へ向けて敷設する土台部と、ゲート部に取り付けられた液体噴射用の配管及び噴射ノズルと、を備えた本体洗浄機の土台部の両端にそれぞれ移動機構を備えたことを特徴とする上記第1の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
第4の発明は、移動機構のアジャスターが、キャスターを取り付ける基盤となる移動基部にキャスターを囲むように3本以上立設し、移動基部を上下高さ方向に調整可能な脚体であることを特徴とする上記第1の発明から第3の発明のいずれかに係る移動式車両洗浄装置である。
第5の発明は、本体洗浄機に重量物を配した固定機構を接続して、本体洗浄機を車両洗浄装置の設置面に固定可能なことを特徴とする上記第1の発明から第4の発明のいずれかに係る移動式車両洗浄装置である。
第6の発明は、トップフレームの真下に設置するとトップフレーム方向へ液体を噴射させる液体噴射用配管及び噴射ノズルを備えた移し置き可能な下部洗浄機を、本体洗浄機と組み合わせて設けたことを特徴とする上記第2の発明から第5の発明に係る移動式車両洗浄装置である。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)本願発明は、ゲート状の本体洗浄機からその内側に向けて液体を噴射させて、その本体洗浄機を車両が通過することで、車両下部のみではなく、車両全体を洗浄することが可能になる。また、キャスターを有する移動機構を備えることで、移動機構を使って本体洗浄機(車両洗浄装置)を移動することが可能になる。さらに、移動機構はキャスターの他にアジャスターを有しているので、移動が必要な時だけキャスターを降下させて移動を行い、移動が不要な時はキャスターを上昇させて移動しないようにできる。
(2)本願発明は、本体洗浄機がサイドフレーム(左右一対のタイプ又は左右一方のタイプ)とトップフレームと土台部と液体噴射用配管・噴射ノズルとからなる極めてシンプルな構造であるので、重量を最低限に抑えて(軽量化されて)、その移動が容易になる。また、移動機構が本体洗浄機の基礎である土台部の両端にそれぞれ備えているので、キャスターを使った移動が安定する。
(3)本願発明は、移動機構のアジャスターが、キャスターを取り付ける基盤となる移動基部にキャスターを囲むように3本以上立設し、移動基部を上下高さ方向に調整可能な脚体であるので、車両洗浄装置の設置面に対してキャスターを確実に昇降させることができる。
(4)本体洗浄機に重量物を配した固定機構を接続することで、移動機構でアジャスターを使いキャスターを上昇させて移動できないようにするだけでなく、確実に本体洗浄機を設置面に固定できる。
(5)車両下面への洗浄が可能な下部洗浄機を備えることで、車両全体の洗浄をより確実に行える。また、下部洗浄機を本体洗浄機とは別に設けて、本体洗浄機と下部洗浄機とを別々に移動し、設置場所で本体洗浄機と下部洗浄機と組み合わせて使用することで、車両洗浄装置の移動と設置が簡易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(1)。
図2】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(2)。
図3】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(3)。
図4】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(4)。
図5】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(5)。
図6】本願発明に係る移動式車両洗浄装置を説明する説明図(6)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本願発明に係る移動式車両洗浄装置を構成する本体洗浄機20の一部を図示したものである。
図1に図示する本体洗浄機20は、コ字形のゲート部30と、土台部40と、を備える。なお、本願発明の本体洗浄機20は、これに液体噴射用配管・噴射ノズルを備えるが、ここでは「移動機構」を説明するために、液体噴射用配管・噴射ノズルの図示を省略する。
【0011】
ゲート部30は、左右一対のサイドフレーム31,31と、サイドフレーム31,31の上端どうしを架設するトップフレーム36によって、コ字形に形成されている。そして、このコ字形のゲート部を洗浄対象となる車両(図示省略するが、例えば雪氷車両など)が通過する。
【0012】
土台部40は、本体洗浄機20の基礎となるものであって、サイドフレーム31の下端に車両90の通行方向へ向けて敷設される。そして、この土台部40の両端に「移動機構42」を備える。
移動機構42は、本体洗浄機20を移動可能にするための機構であって、本体洗浄機20がこの移動機構42を備えることで、任意の場所に車両洗浄装置を設置することができる。
【0013】
図2は、図1に図示した移動機構42の拡大図(図2(a))と底面図(図2(b))である。
図2(a)に図示するように、移動機構42は、土台部40の両端の設置面側(底面)に設けられている。そして、図2(b)に図示するように、移動機構42は、矩形状の外フレームとその外フレームの中心から十字に伸びるブレース形状の内フレームとを組み合わせた形状の移動基部43と、移動基部43(外フレーム及び内フレーム)の中心から垂下するようにして取り付けられたキャスター44と、内フレームの先端側であって外フレームのコーナー外側に4本のアジャスター45と、を有する。
【0014】
図3は、移動機構42の仕組みを図示したものである。
図3(a)は、キャスター44を使用して本体洗浄機20を移動可能にした状態を図示したものであるが、移動基部43が降下するように4本のアジャスター45を脚体として調整すること(=アジャスター45を地面から離すこと)で、移動基部43に取り付けられたキャスター44が地面と接し、任意の設置場所に本体洗浄機20を移動できる。
図3(b)は、キャスター44を有しつつも本体洗浄機20を移動不可能にした状態を図示したものであるが、移動基部43が上昇するように4本のアジャスター45を脚体として調整すること(=アジャスター45を地面に接地させること)で、移動基部43に取り付けられたキャスター44が地面から浮いた状態となり、本体洗浄機20を移動できないようにする(固定する)。
【0015】
1の移動機構42につき、アジャスター45の本数は3本以上であればよい。3本以上あれば、アジャスター45が地面に接した場合に、移動基部43を安定して支持できるからである(3点支持)。
また、アジャスター45の調整(長さ調整)は、移動基部43に形成された取付孔との螺合による位置合わせや、ダブルナットによる位置合わせなどの公知の技術を利用できる。なお、ジャッキアップして調整してもよい。
【0016】
図4は、本願発明に係る移動式車両洗浄装置の全体図を図示している。
移動式車両洗浄装置10は、本体洗浄機20(図1の図示で省略した液体噴射用配管・噴射ノズル50を備えた本体洗浄機20)に、下部洗浄機60を組み合わせたものである。
そして、本体洗浄機20には、移動機構42の他に、「固定機構52」を備えている。固定機構52は、移動機構42を備えた本体洗浄機20の設置面への固定を確実なものとするために本体洗浄機20に接続するものである。
【0017】
図4に図示する固定機構52は、重量物であるH型鋼53,53を上下に重ねて、土台部40の外側に沿って配置してなる。
図5は、固定機構52の構造を移動式車両洗浄装置10の正面から図示したものである。図示するように、固定機構52は、土台部40の下端から外側に延伸するベース41の上にH型鋼53,53を重ねて配置する。また、重ねたH鋼53,53の上端には土台部40又はゲート部30(サイドフレーム31)に向けてL型アングル54を配置する。なお、各々の部材(ベース41,H型鋼53,L型アングル54など)どうしは、ボルト・ナット等の締結具55で締結する。
【0018】
図4及び図5に図示するように、固定機構52が本体洗浄機20に接続されると、左右に配置されたH型鋼53,53が「重し」となり、任意の場所に移動させた移動式車両洗浄装置10をより確実に固定できるようになる。
すなわち、移動式車両洗浄装置10は、移動機構42(キャスター44)を備えることで任意の場所に移動させてその場所での設置を可能にするが(図3(a)の状態:移動可機能)、固定状態を維持するためにキャスター44を設置面から離し、キャスター44が働かないようにする(図3(b)の状態:移動不可機能)。
【0019】
固定機構52は、この移動機構42による「移動不可機能」に加えて、より移動式車両洗浄装置10の固定を確実なものとするための機構として設けられたものである。よって、「ダブルロック機構」とも言い得るものである。なお、本実施形態では重量物としてH型鋼53を使用したが、これに限定されるものではない。例えば、液体や砂などの流動物の入ったタンクのようなものであってもよい。
【0020】
次に、移動式車両洗浄装置10による車両の洗浄について説明する。
液体噴射用配管・噴射ノズル50は、ゲート部30を通過する車両(図示省略)に向けて液体を噴射するために設けられるもので、ゲート部30(サイドフレーム31,31とトップフレーム36)を躯体として取り付けられる。なお、液体噴射用配管・噴射ノズル50に液体を送水するためのポンプやタンクは当然に必要であるが、一般的な構成であるのでその図示は省略する。
【0021】
また、下部洗浄機60は、車両90が通過する路面上に設置されるものであり、トップフレーム36の真下を跨ぐように設置される。そして、本体洗浄機20が、コ字形のゲート部30を備えて液体噴射用配管・噴射ノズル50を取り付けているので、ゲート部30を通過する車両90の主として正面・背面・上面・両側面を洗浄することになる。また、下部洗浄機60は、路面上に液体噴射用配管・噴射ノズル70を設置しているので、その上を通過する車両の主として下面・正面・背面を洗浄することになる。その結果、移動式車両洗浄装置10は、車両の全体(正面・背面・上面・下面・両側面の全て)を死角なく満遍に洗浄することができる。
【0022】
本体洗浄機20と下部洗浄機60は、一体化されておらず、構造上は別体となっている。従って、任意の設置場所で組み合わせて設置されることによって、初めて1台の移動式車両洗浄装置10として稼働する。
なお、図6に図示するように、本体洗浄機20(液体噴射用配管・噴射ノズル50)や下部洗浄機60(液体噴射用配管・噴射ノズル70)による洗浄を制御するための制御盤80を備える。制御盤80は、制御盤架台81の上に設置されて、固定機構52(H型鋼53)にL型アングル82を介して固定されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本願発明に係る移動式車両洗浄装置は、車両の洗浄を自動化するものとして幅広く利用できる。特に、車両の大小は問わないが、移動式であるので、雪氷車両等その使用が特定の時期に限定されるものや、災害等の緊急時に一時的・暫定的に設置が求められる場合に有効に活用できるものである。
【符号の説明】
【0024】
10 移動式車両洗浄装置
20 本体洗浄機
30 ゲート部
31 サイドフレーム
36 トップフレーム
40 土台部
41 ベース
42 移動機構
43 移動基部
44 キャスター
45 アジャスター
50 液体噴射用配管・噴射ノズル
52 固定機構
53 H型鋼
54 L型アングル
55 締結具
60 下部洗浄機
70 液体噴射用配管・噴射ノズル
80 制御盤
81 制御盤架台
82 L型アングル
図1
図2
図3
図4
図5
図6