(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024168847
(43)【公開日】2024-12-05
(54)【発明の名称】火災監視システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241128BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241128BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20241128BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/00 510M
G08B25/10 A
H04Q9/00 311J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085850
(22)【出願日】2023-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217021
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 進吾
(72)【発明者】
【氏名】吉方 敬
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
5K048
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA19
5C087AA32
5C087BB20
5C087BB72
5C087DD04
5C087DD20
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF13
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5G405AA04
5G405AD05
5G405BA08
5G405CA46
5K048BA34
5K048DB01
5K048DC01
5K048EB12
5K048EB15
5K048HA04
5K048HA06
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】火災監視エリアから離れた遠隔地で火災監視エリアにおける火災報知を受けた際に、直ちに火災監視エリアの状況を遠隔地において視認することができる火災監視システムを得る。
【解決手段】火災監視エリアで火災が発生したことを検知した場合に火災信号を無線信号として出力する無線式検知器と、火災監視エリアに設置され、火災監視エリアを撮像した監視画像データを無線信号として出力する監視カメラと、火災監視エリアから離れた遠隔地の設備に設置され、無線式検知器および監視カメラと無線通信を行い、遠隔地の設備において火災監視エリアにおける火災発生状況を判断するために、火災信号および監視画像データを情報提供する監視装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災監視エリアで火災が発生したことを検知した場合に火災信号を無線信号として出力する無線式検知器と、
前記火災監視エリアに設置され、前記火災監視エリアを撮像した監視画像データを無線信号として出力する監視カメラと、
前記火災監視エリアから離れた遠隔地の設備に設置され、前記無線式検知器および前記監視カメラと無線通信を行い、前記遠隔地の設備において前記火災監視エリアにおける火災発生状況を判断するために、前記火災信号および前記監視画像データを情報提供する監視装置と
を備える火災監視システム。
【請求項2】
前記監視カメラは、外部指令を受信することで起動する機能を有しており、
前記監視装置は、
前記無線式検知器から前記火災信号を受信した場合には、前記火災信号を受信したことを報知し、
報知結果に基づくオペレータの操作入力により前記監視カメラの起動指令を受け付けた場合には、前記監視カメラに対して前記起動指令を無線信号として転送し、
前記監視カメラは、前記外部指令として前記起動指令を受信することで起動し、前記火災監視エリアを撮像した前記監視画像データを前記監視装置に返信する
請求項1に記載の火災監視システム。
【請求項3】
前記監視カメラは、
外部指令を受信することで起動する機能を有しており、
前記無線式検知器から出力された前記火災信号を前記外部指令として受信することで起動し、前記火災監視エリアを撮像した前記監視画像データを前記監視装置に送信する
請求項1に記載の火災監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災監視システムに関し、特に、火災監視対象を遠隔から監視する際に適した火災監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年発生した文化財の火災事故により、文化財の防災対策への関心が高まっている。特に、常時は人がいない建物における火災検知に適した火災監視システムが強く望まれている。
【0003】
文化財を例に説明すると、文化財の過去の火災原因は、「放火」、「飛火」、「花火」等、外装の火災の割合が70%程度を占めている。このことより、屋内のみならず、屋外での火災原因を確実に検知することが求められている。
【0004】
重要文化財などにおける放火を検知する従来技術として、以下のような放火検知システムがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係るシステムは、炎検知部を有する炎センサと、人体検知部を有する人体センサと、炎検知部の感度を設定する感度設定部と、人体検知部が人体を検知したときに侵入信号を送信する送信部と、侵入信号を受信する受信部とを備えている。
【0005】
特許文献1に係るシステムは、侵入信号を受信した時、感度設定部の感度を高感度に切り替えるように制御している。そして、炎センサにより炎が検出された場合には、火災信号が受信機に無線で送信され、火災信号と侵入信号とを受信した受信機は、放火が発生したと判断し、放火信号を携帯端末に移報している。
【0006】
この結果、通常は感度を低感度に設定して、屋外に設置しても、太陽光などによって誤報が生じることを抑制した上で、携帯端末を所持する管理者に対して、火災が検知されたことを迅速に報知することを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に係るシステムは、放火をターゲットとして、常時は人がいない建物の屋外における火災発生を、人体を検出した際に感度を高めて監視している。しかしながら、上述したように、火災原因は、「放火」に限られず、「飛火」、「花火」等も考えられ、これら全ての火災原因に起因した外装の火災を確実に検知することが重要となる。
【0009】
このような観点で、特許文献1に係るシステムは、侵入信号が検知されない限り、高感度での放火発生検出を行うことができず、想定される外装の火災を確実に検出することができない。
【0010】
また、火災監視システムの環境によっては、火災監視対象である寺院などが、施主宅から離れた位置にあることも想定される。例えば、施主宅から、車も通れない山道を徒歩で15分ほどかかる離れた場所に、火災監視対象である寺院がある場合には、検知器による発報があった際に、施主による迅速な現地確認が困難となる。特に、施主が高齢者である場合には、このような問題がより顕著となる。
【0011】
従って、検知器による発報があったことを遠隔地で知った場合に、より迅速に火災監視エリアの状況を正確に確認できるシステムが望まれる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、火災監視エリアから離れた遠隔地で火災監視エリアにおける火災報知を受けた際に、直ちに火災監視エリアの状況を遠隔地において確認することができる火災監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る火災監視システムは、火災監視エリアで火災が発生したことを検知した場合に火災信号を無線信号として出力する無線式検知器と、火災監視エリアに設置され、火災監視エリアを撮像した監視画像データを無線信号として出力する監視カメラと、火災監視エリアから離れた遠隔地の設備に設置され、無線式検知器および監視カメラと無線通信を行い、遠隔地の設備において火災監視エリアにおける火災発生状況を判断するために、火災信号および監視画像データを情報提供する監視装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、火災監視エリアから離れた遠隔地で火災監視エリアにおける火災報知を受けた際に、直ちに火災監視エリアの状況を遠隔地において確認することができる火災監視システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の実施の形態1における火災監視システムに関する全体構成図である。
【
図2】本開示の実施の形態1における火災監視システムを適用した具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の火災監視システムの好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本発明に係る火災監視システムは、火災監視エリアに無線通信が可能な無線式の自動検知器および監視カメラを設置し、火災監視エリアから離れた遠隔地に設置された監視装置において、無線式の自動検知器から火災信号が出力された際に、監視カメラによる監視画像データを即時に視認できる構成を備える点を技術的特徴としている。なお、本開示では、このような無線式の自動検知器のことを無線式検知器と称することとする。
【0017】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における火災監視システムに関する全体構成図である。本実施の形態1に係る火災監視システムは、火災監視エリアに設置された無線式検知器10および監視カメラ20と、火災監視エリアから離れた遠隔地の設備に設置された監視装置30とを備えて構成される。
【0018】
無線式検知器10は、火災監視エリア内の火災監視対象に設置され、火災監視エリアで火災が発生したことを検知した場合に、火災信号を無線信号として出力する機能を備えている。無線式検知器10は、無線通信により、遠隔地に火災信号を送信でき、かつ電源を電池とすることで、配線工事等の手間を削減することができる。
【0019】
監視カメラ20は、火災監視エリア内あるいは火災監視エリアの近傍に設置され、火災監視エリアを撮像した監視画像データを無線信号として出力する機能を備えている。監視カメラ20は、無線通信により、遠隔地に監視画像データを送信でき、かつ電源を電池とすることで、配線工事等の手間を削減することができる。
【0020】
一方、監視装置30は、火災監視対象を遠隔から監視する設備であり、通信処理部31および入出力処理部32を備えている。通信処理部31は、無線式検知器10および監視カメラ20のそれぞれと無線通信を行う機能を備えている。
【0021】
また、入出力処理部32は、監視装置30を操作するオペレータとの間で、マンマシンインタフェース機能を実現する。具体的には、入出力処理部32は、通信処理部31で受信した火災信号および監視画像データを報知出力することで、オペレータに火災関連情報を提供する。また、入出力処理部32は、必要に応じて、報知結果に基づくオペレータによる操作入力を受け付ける。
【0022】
ここで、本実施の形態1に係る火災監視システムの具体的な設置環境としては、山頂あるいは山の中腹に位置する寺院が火災監視対象であり、その寺院の管理者である施主が山の麓に居住している場合が挙げられる。以下の説明では、この具体例に則して、施主が、監視対象エリアから離れた居住地から、遠隔で火災発生状況を視認できる構成について、
図2を用いて詳細に説明する。
【0023】
図2は、本開示の実施の形態1における火災監視システムを適用した具体例を示す説明図である。
図2では、火災監視対象である神社1が山頂に位置し、神社の施主の住居2が山の麓に位置し、施主が、住居2内の監視装置30を用いて、遠隔地にある神社1の火災監視を、住居2内から実施する場合を例示している。
【0024】
なお、
図2では、神社1および住居2のそれぞれに配置された各機器をわかりやすくするために、左側に拡大して示している。
【0025】
神社1には、2箇所に無線式検知器10(1)および10(2)が配置されており、無線式検知器10(1)、10(2)の少なくともいずれか一方が火災信号を出力することで、神社1における火災を検知できるように構成されている。なお、無線式検知器10の台数は2台には限定されず、火災監視対象の規模、構成等に応じて、1台以上の無線式検知器10を適切な位置に配置すればよい。
【0026】
無線式検知器10(1)、10(2)のそれぞれは、電源としての電池を内蔵するとともに、検知結果である火災信号を無線信号として出力する機能を備えている。従って、無線式検知器10(1)、10(2)のそれぞれは、外部と接続するための配線が不要であり、所望の位置に容易に設置することができる。
【0027】
また、神社1を撮像するための監視カメラ20が、神社に隣接したポールに設置されており、火災監視対象である神社1の全体を撮像することで監視画像データを出力できるように構成されている。なお、監視カメラ20の台数は1台には限定されず、火災監視対象の規模、構成等に応じて、1台以上の監視カメラ20を適切な位置に配置すればよい。
【0028】
監視カメラ20は、電源としての電池を内蔵するとともに、撮像結果である監視画像データを無線信号として出力する機能を備えている。従って、監視カメラ20は、外部と接続するための配線が不要であり、所望の位置に容易に設置することができる。
【0029】
一方、神社1と離れた住居2内には、監視装置30が設置されている。監視装置30は、先の
図1で示したように、通信処理部31および入出力処理部32を備えていればよく、パーソナルコンピュータ等で実現することができる。
【0030】
監視装置30内の通信処理部31は、無線式検知器10(1)、10(2)のそれぞれと無線通信を行うことで、火災信号を受信することができる。さらに、監視装置30内の通信処理部31は、監視カメラ20と無線通信を行うことで、監視画像データを受信することができる。
【0031】
そして、監視装置30内の入出力処理部32は、無線通信による受信結果に基づいて、施主に対して、火災信号および監視画像データに関する情報提供を行うことができる。例えば、入出力処理部32は、通信処理部によって火災信号が受信された場合には、音響出力、文字表示出力などにより、火災信号を受信したことを報知することができる。
【0032】
さらに、入出力処理部32は、通信処理部によって監視画像データが受信された場合には、監視画像データを表示出力させることにより、火災信号が発生している際の神社1の現状を、住居2内から画像としてリアルタイムに視認することを可能とする。
【0033】
なお、監視カメラ20は、外部指令を受信することで電源が供給されて起動し、火災監視エリアを撮像した監視画像データを監視装置に返信する機能を備えるように構成することもできる。このような機能を備えている場合には、無線式検知器10により火災信号が発生したときのみ外部指令を受信して監視カメラ20を起動させる構成を採用することで、監視カメラ20の省エネ化を図り、電池寿命を延ばすことが可能となる。
【0034】
外部指令によって監視カメラ20を起動させるための具体的な構成としては、次の2つのケースが考えられる。
【0035】
<ケース1:無線式検知器10から出力された火災信号を、外部指令として直接、監視カメラ20で受信する構成>
ケース1を採用した場合には、監視カメラ20を通常は停止させておき、火災信号が発生したときだけ、起動させることが可能となる。なお、無線式検知器10と監視カメラ20とは、近傍に設置されるため、外部指令のやりとりは、無線通信、有線通信のいずれも採用することが可能である。
【0036】
<ケース2:火災信号を受信した監視装置30側から、オペレータの操作入力に基づいて転送された起動指令を外部指令として、監視カメラ20で受信する構成>
ケース2を採用した場合には、報知結果に基づくオペレータからの操作入力があったときに限定して監視カメラ20を起動させることができ、ケース1よりもさらに省エネ化を図ることができる。
【0037】
以上のように、実施の形態1によれば、火災監視エリアに無線通信が可能な無線式検知器および監視カメラを設置し、火災監視エリアから離れた遠隔地に設置された監視装置から、火災信号の発生の有無を確認できるとともに、火災信号が発生した状況において監視カメラで撮像された監視画像データを即時に視認できる構成を備えている。
【0038】
この結果、火災信号が発生した際に、火災監視エリアまで急行することなしに、遠隔地において、直ちに火災監視エリアの状況を視認することができる。このように、火災信号と火災画像データを併用して、遠隔地において火災が発生したことを容易にかつ迅速に判断できる。
【0039】
さらに、検知器による検知結果と、監視画像データによる視認結果とを併用して、遠隔地において火災監視エリアの状況をリアルタイムで正確に確認することができ、誤報であるか否かをオペレータが介在して迅速に判断することが可能となる。
【0040】
また、火災監視エリアに設置される無線式検知器および監視カメラを、電池内蔵型とすることで、配線作業を不要とすることができ、設置作業の容易化を図ることができる。
【0041】
なお、監視カメラとしては、単に視野領域を撮像するカメラの代わりに、赤外線温度センサにより火災監視エリアの温度を測定可能な赤外線カメラを採用することも可能である。
【0042】
また、監視装置の設置位置と火災監視対象の位置とが、無線通信が可能な距離よりも離れている場合には、無線信号を中継可能な中継器を介在させる構成を採用することで対応可能である。
【0043】
また、火災監視エリアにおいて、無線式検知器と人感センサを併用し、人感センサが反応したときのみ無線式検知器を起動する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 神社(火災監視対象)、2 住居、10 無線式検知器、20 監視カメラ、30 監視装置、31 通信処理部、32 入出力処理部。